7 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:07:02.76
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「おっおっ。今日はいい天気だおー」
果てなく広がる平原-
( ^ω^)「おっ、昨日までの雨で池ができてるお」
どこまでも吹き抜ける風-
( ^ω^)「水うめえwwwww」
風に揺れるたてがみ-
-( ^ω^)はライオンのようです-
8 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:08:03.52
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「水も空気もなくては生きられないものの、当然飯は必要だお…jk」
ライオンは百獣の王。だが、現実は厳しい。
ブーンだけで獲物を狩れるほど、草食獣達もどんくさくはない。
( ゚д゚)「ハフッ、ハムハム、ハフッ」
( ゚д゚)「草うめえwww」
( ^ω^)「キメェwww」
( ^ω^)「…インパラだお。捕まえたいとこだお」11 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:09:08.56
ID:z1KEuYguOインパラとブーンの距離はおよそ300M。
決して近くはない。
( ^ω^)「でも」
インパラは食事に夢中。
ある程度まで近付き、捕獲の可能性を上げられるチャンスでもあった。
( ^ω^)「よし、コソーリ近付くお」
250M-
( ゚д゚)「バリバリ」
200M-
( ^ω^)「うはwwこれはいけるかもわからんね」
13 名前:ライオン[>>12 総合に一部投稿した] 投稿日:2008/02/09(土) 01:11:26.82
ID:z1KEuYguO
170M…
その時、風が吹く。
ブーンの気配を乗せて…
( ゚д゚)「ムシャム……!!!11」
( ゚д゚)「…」
(;゚д゚)「…」
(゚д゚)
(;^ω^)「ばれたお!」14 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:12:27.28
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「まだ遠いけど、とりあえず走るお」
⊂二二( ^ω^)二⊃「ブーン」
(゚д゚)「ちょwwwおまww前足ww」
ブーンは鋭い爪で、インパラは堅いひづめで、サバンナの大地を捕え
そして蹴り出す…16 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:14:01.28
ID:z1KEuYguOこの通り
(;^ω^)「まったく距離が詰まらないお」
( ゚д゚)「こっちくんな」
-ライオン一頭で-
( ^ω^)「違うんデスヨ-。そーゆーんじゃないんデスヨ-。逃げないで下さいヨー」
( ゚д゚)「エウリアン乙」
-捕食できる可能性は-
( ´ω`)「逃げられちゃったお」
高くはない-18 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:15:59.49
ID:z1KEuYguO(;^ω^)「これで連続50回狩り失敗だお」
( ^ω^)「お腹すきすぎだお」
通常、ライオンはチームで狩りを行う。
( ^ω^)「この石が唐揚げに見えるお」
生活も群れ単位
( ^ω^)「歯が欠けたお」
だが…
「やっぱり、一人じゃ駄目だお」
ブーンは一人ぼっち20 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:18:40.09
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「ほかのライオンに相談してみるかお」
柔らかな、それでいて確な風が吹くサバンナをブーンは行く
( ^ω^)「おっ。ドクオだお!!」
ブーンと同じ年齢のライオン。
少し痩せ気味だが、しっかり群れを形成している。
( ^ω^)「ガリガリ君おいすーww」
(´A`)「あぁ?うっせピザww。なんか用?」
( ^ω^)「ブーンはお腹が空いてるお。なんか恵んでほしいお」22 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:19:25.45
ID:z1KEuYguO(´A`)「やだ」
ほんの少しの間もあけず、彼は答える。
そして続ける。
(´A`)「今までにも言ってきたけどさ、自分でなんとかしろよ」
( ^ω^)「なんとか出来なかったから、お願いしてるんだお。少しでいいんだお」
(´A`)「やだ、無理」
( ´ω`)「どうしてもかお?」
(´A`)「ああ。悪いな。ウチもそうそう余裕なんてないんだよ」
( ´ω`)「なら、狩りを手伝ってくれないかお?」
(´A`)「はあ…。なあ、ブーン」
( ´ω`)「お?」
(´A`)「お前とは小さい頃から一緒に遊んだりしてたよな」25 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:20:40.59
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「だおだお。そうだお。仲良しだお!!だから、食べ…」
彼はブーンの言葉を遮り、自分の言葉を続ける。
(´A`)「だからこそ、最後に言わせてくれ」
最後。彼は確かにそういった。
(´A`)「この場所で、自分の力で餌を捕れない。自分のために狩りをしてくれる群れも作れないライオンは…」
彼は伝える。
ただ、静かに。たんたんと。
(´A`)「生きては行けない。淘汰されるしかないんだ」
( ^ω^)「だから、ドクオに狩りを手伝ってほしいお」
彼はブーンの言葉に耳を傾けはしない。
風が吹き抜ける。
(´A`)「幼馴染みとしての義理ははたしたぞ」26 名前:ライオン[>>24 仕様だと願いたい] 投稿日:2008/02/09(土) 01:22:36.40
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「お?どういう意味だお?」
彼は言う。ここからは敵だ。と。
低く唸る。体勢も低く。
鋭い爪を大地に食い込ませ、さらに唸る。
(;^ω^)「お?どうしたんだお?止めるおドクオ」
(´A`)「ライオンのオス同士。片方は群れを持たず」
(;^ω^)「ドクオ怖いお」
(´A`)「片方は群れを持ち、そしてそのテリトリーを侵されている」
(;^ω^)「ちょ、難しいこと言うなお。テリトリーとか何語だお」
英語。多分。
(´A`)「なら、オレは群れを守るため戦う」
低く構えた体勢から、彼は素早くブーンに駆け寄る。
風を裂く爪。
風が止まったサバンナに舞う…
赤27 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:23:49.12
ID:z1KEuYguO( ゚ω゚)「アッー!!」
(´A`)「次は、本気でお前を殺すぞ」
彼の爪はブーンの前足を軽く傷つけただけではあった。
だが、
( ;ω;)「痛いおー痛いおー。怖いおー」
ブーンは、今まで仲良くしてくれ、困った時には食事を恵んでくれもしたドクオに攻撃された事で、混乱しきっていた。
(´A`)「これ以上痛みを味わいたくないのなら…」
(´A`)「ここから去るか…」
(´A`)「オレを殺すか…だ」30 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:25:12.51
ID:z1KEuYguO( ;ω;)「ブーンには、ドクオと戦うなんてできn」
そうじゃない。彼は言う。
(´A`)「戦うじゃない。殺す…だ」
( ;ω;)「おーんおーん。ドクオ怖いお。どうしたんだお?テリトリーって何語だお?」
英語。多分。
(´A`)「なら、去れ。それがライオンの掟だ」
彼は構えを解き、静かに言う。
風が吹く。
( ;ω;)「どうしてもかお?」
彼はブーンを見つめている。
風が吹く。
誰も答えない。32 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:26:54.54
ID:z1KEuYguO( ;ω;)「…」
ブーンは歩く。力なく。
( ;ω;)「…」
空腹感も今は感じなかった。
( ;ω;)「…」
行くあてはない。
( ;ω;)「…」
ただ、歩く。
風が吹く。
33 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:28:38.27
ID:z1KEuYguO川゚-゚)「よかったのか?」
(´A`)「あ?なにが?」
彼の妻が問う。
川゚-゚)「ブーンだ。少しくらいなら蓄えもあったのだぞ?」
(´A`)「あぁ、良いんだよ。あいつも自分の力で生きていけないなら」
彼は爪に力を入れる。
(´A`)「それまでだ。力のないヤツは死ぬ。それがサバンナだろ」
川゚-゚)「リサリサ先生。煙草…逆だぜ」36 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:30:47.12
ID:z1KEuYguO从 ゚∀从「この木の実マジ旨いよな」
从'ー'从「あれれ~私のお弁当がないよ~?」
从 ゚∀从「うっはマジサイコー。二人前かるいわwww」
从'ー'从「ハインちゃん私のお弁当知らない?」
从 ゚∀从「しらん。ん?あれライオンじゃね?」
从'ー'从「ほえ~?」
リス達は木の上からブーンを見付ける。
( ^ω^)「よく考えたら、ドクオの言う事もわかったお。多分あれは英語だお」
数分前とはうってかわり、軽い足取りのブーン。
木の下に差し掛かる。
从 ゚∀从「でもよー、ライオン百獣の王とかいうけどよ、強いから偉そうにしてるだけで、別に王じゃなくね?」
从'ー'从「ん~どうかな?よくわかんないや~」
風が吹く。
彼女達の声をブーンに届ける。37 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:32:22.84
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「(別に王じゃなくてもいいお)」
从 ゚∀从「つかさ、正直アイツラ嫌われてっしょ?サバンナでwww」
从'ー'从「ちょっと、ハインちゃんやめなよ~。聞こえちゃうよ~?」
風は止まない。
( ^ω^)「(おっ?嫌われてる?なんでだお?)」
ブーンは立ち止まり、
少し考える。
38 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:34:04.73
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「ブーンは狩りをしなきゃご飯食べれないから、狩られる側からしたら嫌なもんなのかお?」
ライオンは狩る。
ライオンは狩られない。
産まれた時からライオンだったブーン。
狩られる側の気持ちを考えた事など…
( ´ω`)「そりゃそうだおね。ブーンだって、さっきドクオに攻撃された時怖かったお」
( ´ω`)「なんでこんな簡単な事に気付かなかったんだお?」
ブーンは理解する。
この広大なサバンナで、
( ´ω`)「インパラもリスも」
いま自分は
( ´ω`)「水牛もウサギも」
一人。
39 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:34:32.66
ID:z1KEuYguO( ´ω`)「でも、ブーンだって好きでやってるわけじゃないお」
草食獣にかぎらない。
他の肉食獣だって、餌を奪いあう
( ´ω`)「こんなにたくさん生き物がいるのに」
敵
( ´ω`)「ブーンは一人ぼっちかお…」
みんな ブーンが きらい
41 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:35:58.50
ID:z1KEuYguO( ´ω`)「なんか寂しいお…」
( ´ω`)「トーチャンとカーチャンに会いたいお…」
ブーンの両親はもういない。
いたとしても、親離れをしたライオンが親と会う事はない。
( ´ω`)「ドクオ…」
この広いサバンナで、唯一ブーンの話し相手足りえた彼。
( ´ω`)「だめだおね。ドクオもブーンが嫌いだから追い払われたんだおね」
違う。
( ´ω`)「誰かと話したいお。誰かそばにいてくれお」
風が吹く。
誰も答えない。
42 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:37:29.37
ID:z1KEuYguO( ´ω`)「…」
歩く
( ´ω`)「がお-…」
澄みきった空
( ´ω`)「誰か…」
命が産まれ
( ´ω`)「寂しいお。寂しいお」
命が還る大地
( ;ω;)「がお-」
彼方で動く影
45 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:38:44.44
ID:z1KEuYguO( ´ω`)「お…?」
陸上でもっとも巨大な生物。
( ^ω^)「象さんだお」
ブーンは走る。
⊂二二( ^ω^)二⊃ ブーン
象はブーンを見つめている。
( ^ω^)「象さんこんにちわだお!!ブーンだお」
彼は答える。
(´・ω・`)「やあようこそバーボンハウs」47 名前:ライオン[>>46 なんですって?] 投稿日:2008/02/09(土) 01:41:25.34
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「バーボン?なんのことだお?」
(´・ω・`)「いや、すまない。なんでもないんだ。とりあえず注文を聞こうか」
( ^ω^)「おっおっ。ブーンは唐揚げがたべたいお」
(´・ω・`)「ねーよ。石でも食っとけ」
( ^ω^)「歯が欠けたお」
何気無いやりとり。
(´・ω・`)「食った!?」
( ^ω^)「ものは試しだお」
他愛ない会話。
(´・ω・`)「ずいぶん元気だね?しょぼくれていたようにみえたけど?」
( ^ω^)「おっおっ。なぜか楽しいんだおー^^」49 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:42:40.87
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「ブーンは今、誰かと話したかったんだお」
( ^ω^)「象さんがブーンと話してくれてるから、なんか楽しいお」
(´・ω・`)「そうかい。お役に立てたかな?百獣の王様」
( *^ω^)「おっおっお。ブーンはただのライオンだお。王なんかじゃないお」
(´・ω・`)「でもキミ達は強い。荒れ狂う暴君のようにね」
( ^ω^)「そ、そうかお?なんか照れるお」
( ^ω^)「で、ボークンて何語だお?」
(´・ω・`)「英語。中でも君の強さはハッキリ覚えているよ」
少し風が強くなる
51 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:44:09.05
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「ブーンの、強さ、お?」
いつの間にか太陽は傾き、サバンナの大地は紅い色素で覆われてゆく。
(´・ω・`)「そう。ほかならぬ、君の強さだよ。ブーン君」
彼はゆっくりとした口調で話し続ける。
(´・ω・`)「ねえ、ブーン君。君には家族はいる?」
唐突に話題がかわる。
( ^ω^)「お?トーチャンカーチャンはもういないお」
( ///)「け、結婚はまだしてないお」
54 名前:ライオン[>>52すまねえ] 投稿日:2008/02/09(土) 01:45:56.78
ID:z1KEuYguO(´・ω・`)「そうか。私にはね妻と子供がいたんだよ」
穏やかな口調。
(´・ω・`)「妻はね、元々体が強い方ではなくて、子供を遺して早くに逝ってしまったんだ」
(;^ω^)「それは可哀想だお…」
(´・ω・`)「でもね、わたしには子供がいた。守らなくてはいけないし、子供の笑顔、泣き顔、寝顔、全てが私を癒してくれた」
( ^ω^)「そうだお。子供は可愛いお」
風が強くなる。
「き……され…た…」
夜が近付いたから。
( ^ω^)「お?なんていったお?」
ブーンが問う。
風が吹く。
彼がゆっくりと答える。57 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:48:50.50
ID:z1KEuYguO(´・ω・`)「君に 殺された」
( ^ω^)「お…?」
(´・ω・`)「あの日、とても穏やかな日だった」
彼の口調はかわらない。
(´・ω・`)「私の子供が水浴びをして、私はそれを眺めていた」
(´・ω・`)「周りに敵は見当たらなかったし、私は安心して少し眠ってしまったようだった」
(´・ω・`)「とても楽しい夢を見たんだよ?ブーン君。子供と妻と私でサバンナを歩く。ただ、それだけだけど、とても幸せな気持ちだった」
風はいつの間にか止んでいた。
(´・ω・`)「そして、目が覚めた時に見えたのは」
いや、吹いているのかもしれない。
(´・ω・`)「誰もいなくなった湖」
どちらにしろ、ブーンの耳には彼の声しか届かない。58 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:49:06.36
ID:z1KEuYguO(´・ω・`)「そしてふと彼方をみると。今まさに倒れる我が子と…」
まだ夜ではない。
寒くはない。
震えるブーン。
(´・ω・`)「君がいた」60 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:50:08.30
ID:z1KEuYguO( ´ω`)「……なさいだお…」
(´・ω・`)「ん?今夜は風が強いね。よく聞こえなかったよ」
( ´ω`)「ごめんなさいだお」
ブーンにも憶えがあった。
丁度一年程前、ブーンは水浴びをしていた子象を見付け
(´・ω・`)「謝る必要はないさ」
ころした
(´・ω・`)「この場所では当たり前の光景。君は狩る運命。私達は狩られる運命。それだけのことだろう?」
( ´ω`)「でも…でも、ごめんなさいだお」
彼の表情が少しかわる。
(´・ω・`)「謝るんじゃない。いくら謝ってもらったって、私は君を許すことなどない」
( ´ω`)「お…」
(´・ω・`)「謝ることで、君は楽になるかもしれない。だが、私は君からの謝罪など受け付はしない」61 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:51:16.31
ID:z1KEuYguO( ´ω`)「じゃあ、どうすればいいんだお…?」
空には星が輝く。
遮るものがないサバンナ。
星はどこまでも広がる。
(´・ω・`)「どうもしなくていいさ。さっきもいったが、あれは運命。君を恨んでいるわけじゃない」
( ´ω`)「でも、ブーンを許さないって言ったお…」
(´・ω・`)「ああ。恨んではいないが」
彼の目はブーンから外れない。
「憎いね」63 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:52:48.65
ID:z1KEuYguO( ;ω;)「ブーンを……嫌わないでほしいお」
自分が殺した子供の親。
その相手に向けるには、あまりに不条理な言葉。
( ;ω;)「ブーンは相手の気持ちとかわからなかったんだお。でもブーンだって生きなきゃない(´;ω;`)「あの子だってそうだろ!!!!」
( ;ω;)「お…」
(´・ω・`)「あの子だって、生きるべきだった」
一瞬、激しい感情を溢れさせたものの、すぐに彼は穏やかな彼にもどる65 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:54:19.52
ID:z1KEuYguO(´・ω・`)「いや、取り乱してすまなかったね。運命と言ってみたり、生きるべきだったといってみたり」
口許に、軽い微笑みのようなものが浮かぶ。
(´・ω・`)「でも、子供を失った親なんてみんなどこか狂ってしまうんだよ」
( ´ω`)「お」
( ´ω`)「ブーンはここを出ていくお…」
(´・ω・`)「そうなのかい?」
( ´ω`)「だお。ブーンはサバンナじゃみんなに嫌われてるんだお」
( ´ω`)「同じライオンのドクオからも嫌われたし」
(´・ω・`)「…」
( ´ω`)「象さんにも、象さんの子供にも辛い思いをさせたお…」
(´・ω・`)「君は、ここで産まれ育ったんだろ?寂しくないのかい?」
( ´ω`)「…しいお」
風は強く吹いている。
( ;ω;)「本当はここにいたいお。寂しいお。おーおー。」66 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:55:50.31
ID:z1KEuYguO(´・ω・`)「なら、やめるかい?」
彼はあくまでも穏やかに-冷酷-穏やかに聞いた。
( ;ω;)「…」
風がたてがみを揺らす
( ;ω;)「…いくお。話しをしてくれてありがとうだお」
(´・ω・`)「さようなら」68 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 01:57:51.58
ID:z1KEuYguOブーンは歩く。
行くあてなどない。
だが、目的は決まっている。
( ´ω`)「さよならだお。サバンナ。ドクオ。象さん」
風が吹く。
誰も…
70 名前:ライオン[>>67そう願いたい] 投稿日:2008/02/09(土) 01:59:08.78
ID:z1KEuYguO( ;ω;)「サバンナ広すぎだお」
ブーンは、象と別れてから丸二日歩き続けていた。
( ;ω;)「お腹すい……どうでもいいお」
空腹ではあったが、食べるものなどないし、今のブーンには動物を狩るという行為は受け入れられそうになかった。
( ;ω;)「歯が欠けたお…」
宵闇が少しづつ白み始めてきた頃、ブーンの目になにかが映った。71 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:00:36.39
ID:z1KEuYguO( ;ω;)「橋…吊り橋というやつかお…?」
深く切り立った崖。
その両岸を結んでいる、一本の吊り橋だった。
古びているものの、まだ役割は果たすことが出来ているようだ。
かろうじてだが。
( ;ω;)「きっと、これを渡れば、サバンナの外だお」
実際には向こう岸もサバンナの範疇ではあったが、ブーンに知る由はない。
( ;ω;)「こ、怖いお…でも、ブーンは行くと決めたんだお」
( ;ω;)「が、がが、がお-だお」
雄叫びを上げ、ブーンは駆け抜ける。74 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:03:17.36
ID:z1KEuYguO( ;ω;)「い、いい意外とゅ余裕だったったえお」
( ;ω;)「お?これはなんだお?はじめて見たお」
道端に咲く一輪の
( ;ω;)「なんだかお日様みたいだお」
たんぽぽ
( ´ω`)「きれいだお-…たんぽぽとかいうお花かお?」
風は吹いていない。
75 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:03:38.20
ID:z1KEuYguO( ´ω`)「でもどうせ、キミもブーンを嫌いなんだお?」
風は吹いていない。
誰も答えない。
( ´ω`)「ブーンから逃げてしまうんだお?」
風が吹く。
誰も答えない。
たんぽぽが咲いている。
( ´ω`)「逃げないお…ブーンが恐くないのかお?逃げないでいてくれるのかお?」
風が吹いている。
誰も答えない。
たんぽぽが一度だけ
うなずいた。76 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:05:29.84
ID:z1KEuYguO( ´ω`)「お…?うなずいてくれたお」
ブーンを追い払いもしない。
ブーンから逃げもしない。
( ^ω^)「嬉しいお!!友達ができたお!!」
ただ、それだけ。
( ^ω^)「おっお-。名前は何かお?」
たんぽぽはただ、咲いている。
朝日を浴び、金色に輝く。
( ^ω^)「おー。きれいだお。きっと女の子だおね」
( ^ω^)「葉っぱがギザギザで、ツンツンしてるから、名前は」79 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:06:52.09
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「…」
( ^ω^)「まあ、名前はいいお。たんぽぽさんだお」
-ξ゚⊿゚)ξ「テメエwww」-
柔らかい風が吹く。
たてがみが揺れる。
たんぽぽも揺れる。
( ^ω^)「そういえば」
( ^ω^)「ここまで休まずに歩いてきたから、疲れたお。少し寝ようかお」
二日以上休まずに歩き、食事もとっていない。
( ^ω^)「おやすみだお。たんぽぽさん」
だが、
( -ω-)「おー…おー…」
ブーンは久しぶりに、幸せな気持ちで眠りについた。
風は変わらず
優しい。80 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:08:51.57
ID:z1KEuYguO太陽が輝きを増し
小鳥がさえずる。
( -ω-)「おー…おー…」
ブーンの隣には
( -ω-)「んん…冷凍ギョウザうめえ…お…」
たんぽぽ。
82 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:10:04.23
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「おー、よく寝たおー。なんだか毒に耐性ができた気もするおー」
ブーンが目を覚ましたのは、翌日の朝。
( ^ω^)「おっおっ。たんぽぽさんおはようだお」
優しい風が吹く。
たんぽぽが揺れる。
( ///)「女の子と添い寝してしまったお」
ピッコロ「けっ。なにを言ってやがる」84 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:11:34.89
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「今日はこの辺りを探索してみるお」
ブーンがいる場所からは、産まれ育った平原に繋がる橋が見える。
( ^ω^)「あっちには、なるべく戻りたくないお」
( ^ω^)「逆はどうなってるのかお?行ってみるおー」
-半日後-
(メメ´ω`)「たんぽぽさんただいまだお…」
85 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:12:29.56
ID:z1KEuYguO(メメ´ω`)「酷い目にあったお」
-数時間前-
( ^ω^)「おっおー。こっちも中々広くていい感じだおー」
川を隔てた事によってか、多少ふいんき(なぜかr)が異なり、地面が露出している箇所も多い。
( ^ω^)「広いから思いきりブーンできそうだお」
その時、ブーンの目に飛込んできた光。耳に飛込んできた声。86 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:13:30.48
ID:z1KEuYguOベジータ「よけろーナッパー!!!!!」
ナッパ「!!!」
-ザンッ!!!-
岩を切り裂く、光
クリリン「とっておきだったのによ…」
山吹色の道着の男が力なく…
呟く。
切り裂かれた岩が地面に落下する。87 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:14:38.07
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「あの岩は、どう見てもこっちに飛んできています。ほんとうにありが…」
(;^ω^)「…」
(;゜ω゜)「アッー!!!」
舞い上がる土煙。
落下の衝撃でさらに細かく砕け散る岩。
遠くで声がしている。
「53万です」89 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:16:00.10
ID:z1KEuYguO-現在-
(メメ´ω`)「なんとか岩は避けたお。あ、あたらなければどうということはないんだお」
飛び散る破片までは避けきれなかった。
( ^ω^)「とにかく、あっち側には二度と近付かないお」
( ^ω^)「と、なると…」
ブーンは呟く。
( ^ω^)「あの吊り橋を渡らないと、水すら飲めないお」
( ^ω^)「でも…」
91 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:17:30.61
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「サバンナに戻るのはよくない気もするお…」
今、ブーンがいる場所。崖のこちら側とてサバンナではあるのだが、ブーンは知らない。
( ^ω^)「たんぽぽさん、どうしようだお?」
風は吹かない。
誰も答えない。
たんぽぽは揺れない。93 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:19:13.30
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「…いくお」
( ^ω^)「ブーンは一人じゃないお。死ぬ訳にはいかないお」
たんぽぽと一緒にいたい。
ブーンの、頬の冷たさを奪ってくれた
( ^ω^)「たんぽぽさんにこれから恩返しをしなきゃなんだお!!」
(;^ω^)「でも、象さんに悪いから、なるべく橋から離れない程度にしとくお」95 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:21:21.89
ID:z1KEuYguO(;^ω^)「や、やややっぱりゅ余裕だったったえお」
ブーンは吊り橋を渡る。
そして、案外近くに水場は見付かった。
( ^ω^)「おーラッキーだお!!」
元々ブーンが産まれた場所からは、そう近くはない場所。
ブーンを知る動物達に会う事もなかった。
ブーンは喉を潤し、たてがみに水を含ませて吊り橋を戻る。
たんぽぽの元へ。96 名前:ライオン[今更だが、>>1さん] 投稿日:2008/02/09(土) 02:22:41.24
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「たんぽぽさん、ただいまだおー」
優しい風がたんぽぽを揺らす。
( ///)「おっおっ。一人じゃないっていいもんだお」
一頭と一輪。
言葉はない。
でも、ブーンは
一人ではなかった。
( ^ω^)「たんぽぽさんにも、水もってきたお」
ブーンは頭を軽く振る。
たてがみに含まれた水分が飛び、たんぽぽを濡らす。
( ^ω^)「おー?少ししかかからなかったお」
水滴のほとんどは、たんぽぽとは無関係の岩肌に吸い込まれる。
( ^ω^)「でも」
たんぽぽを濡らしたのは、ほんの数滴。
( ^ω^)「でも、たりなかったらブーンが何回でも汲んできてあげるお」
優しい風。
たんぽぽが
笑う。97 名前:ライオン[スレ立て&支援感謝] 投稿日:2008/02/09(土) 02:24:15.74
ID:z1KEuYguO訪れる朝。
全てを包み込む暖かな陽射し。
( ^ω^)「おはようだお、たんぽぽさん」
( ^ω^)「今日も水を汲んでくるお」
もう何日続けているだろう。
毎朝の日課。
ブーンにとっては誇らしい日課。
( ^ω^)「もう、吊り橋にも慣れたおー。たんぽぽさんに水を汲むためなら、むしろ楽しいお」
水場。
( ^ω^)「今日はもう少し周りを見てみるおー」
( ^ω^)「んお?あれはなんだお?」
水場からそう遠くない岩場の窪み。
何かが、輝く。98 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:25:35.77
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「おーっ、これはwww」
ブーンが見付けたのは
小さな琥珀。
陽射しを浴びて、金色に輝く。
( ^ω^)「たんぽぽさんによく似た色の小石だお。きれいだお」
大事そうにそっと口に含む。
( ^ω^)「たんぽぽさんのお土産にするおwww」
ブーンは楽しそうに水場に向かい、喉を潤したてがみを濡らす。
琥珀を口に戻す。
空には少しづつ
雲がかかる…100 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:27:08.53
ID:z1KEuYguO( ^ω^)「(たんぽぽさん喜んでくれるかお?)」
ブーンは吊り橋へ向かう。
( ^ω^)「(きっと喜んでくれるお!!)」
雲は確実に厚みを増して行く。
( ^ω^)「(そしたらブーンも幸せだお)」
吊り橋に差し掛かる。
雨が降り出す。
( ^ω^)「(ちょwwwたてがみ濡らした意味ねーおwwwww)」
吊り橋の中腹。
響く
雷鳴102 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:28:48.24
ID:z1KEuYguO視界が完全に白に覆われる。
吊り橋の支柱に
光は吸い込まれる。
落ちる
吊り橋
落ちる
心優しき
獅子103 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:29:52.18
ID:z1KEuYguOどれくらいの時間がたっのだろうか…
雨はブーンの体を濡らす。
少しずつ取り戻す五感。
冷たい。痛い。
ブーン痛みに目を
(メメ´ω`)「いたいお…」
さます。
(メメ´ω`)「ここはどこだお…?」
ブーンは辺りを見渡す。
(メメ´ω`)「おー…さっきの石はあるおー…なくさなくてよかったお…」
ブーンに寄り添うように佇む、小石。104 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:31:08.57
ID:z1KEuYguOブーンは空を見上げる。
雨粒が顔を叩く。
(メメ´ω`)「ブーンは落ちたのかお…。空が…」
(メメ´ω`)「あんなに、遠くて狭いお…」
両側は切り立った崖。
空は小さい。
崖の上ではたんぽぽを雨粒が濡らす。
花びらを雫が伝う。
たんぽぽが泣いている。
時間が流れてゆく。106 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:32:36.81
ID:z1KEuYguO(メメ´ω`)「ブーンが帰ってこないから、たんぽぽさんが心配してるかもしれないお」
ブーンは立ち上がる。
激痛を堪えて。
そして
(メメ´ω`)「ガオー!!!!!!!!!!だお」
雄叫びをあげる。
ブーンの声は崖を駆け上がる。
雨が地面を叩く音に
(メメ´ω`)「たんぽぽさん聞こえたかお…?」
掻き消されはしない。
雨に打たれたからか、
風が吹いたからか、
遥か谷底の優しいライオンの声が駆け抜けたからか、
崖の上でたんぽぽが
揺れる。
ブーンには見えない。107 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:34:23.93
ID:z1KEuYguO(メメ´ω`)「たんぽぽさん。この通り、ブーンは元気だお」
痛みに負けた訳ではない。
(メメ´ω`)「だから、たんぽぽさん泣いたりなんかしてなきゃいいお…」
だが、谷底に打ち付けられ、傷だらけの体は確実に力を失い
(メメ´ω`)「ブーンは一人ぼっちの時、寂しくて泣いてばかりだったお」
静かに地面に横たわる。
(メメ´ω`)「たんぽぽさんには、あんなほっぺたの冷たさは…」
(メメ´ω`)「ずっと、知らないでいてほしいお…」
ブーンの横で小石が輝く。
ブーンには見えない。108 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:35:34.27
ID:z1KEuYguO雨は止まない。
傷だらけのブーンの体から、雨と共に流れる
(メメ ω )
赤。そして
(メメ ω )「ブーンは…死ぬ…のかお…?」
命
(メメ ω )「残念…だお。象さんにも…ドクオにも…迷惑かけてしまったままだ…お」
もう、ブーンの体からは熱が
(メメ ω )「もし…」
失われ始めている。
(メメ ω )「もし産まれ変わるなら……たんぽぽさんみたいに…」
雨は止まない。
(メメ ω )「なれれば……みんな…に…愛してもらえるのかお…」
たんぽぽは誰も狩ったりしないから。110 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:37:17.73
ID:z1KEuYguO雨は大地を潤し続ける。
だが、雨音もブーンにはもう
(メメ ω )「が……ぉ…-」
(メメ ω )「もぅ…声も……うまく出せない……ぉ」
届かない。
(メメ ω )「死ぬ…んだ…ぉ」
小石だけはブーンに寄り添い続ける。
(メメ ω )「なんで…だお…?寂しく……ないぉ」
(メメ;ω;)「涙…ぁったかい…ぉ…きっと、たんぽ……」112 名前:ライオン[>>111そうです] 投稿日:2008/02/09(土) 02:39:26.26
ID:z1KEuYguO崖の上ではたんぽぽが
(メメ ω )
揺れる。
ライオンはもう113 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:40:33.22
ID:z1KEuYguOいつしか雨が止み
風がたんぽぽの種を運ぶ。
夏が終わり
雪が止む。
季節は代わり、春は訪れる。
サバンナ。
橋のない崖。
全てが色付く。114 名前:
ライオン[] 投稿日:2008/02/09(土) 02:41:52.80
ID:z1KEuYguO谷底は金色に輝く。
一面に咲く、たんぽぽの花
ライオンによく似た
-了-
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