武内P「まゆのお悩み相談室?」まゆ「はぁい」

2020-05-16 (土) 12:01  アイドルマスターSS   0コメント  
1: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:46:39.72 ID:yo4ZRVm4O

注意事項

・武内Pもの

・武内Pもの





<<まゆのお悩み相談室>>


武内P「不思議な張り紙があったので様子を見にきたのですが、いったい何をされているのですか?」

まゆ「実はここ最近、立て続けに悩みの相談を受けることがありまして。ならいっそのこと、相談を受ける場所を用意しようと思ったんです」

武内P「そうでしたか。ちなみにどのような相談を受けたのですか?」

まゆ「そうですねぇ……」


ポワン、ポワン、ポワン――





佐久間まゆ
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2: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:48:25.32 ID:yo4ZRVm4O

ケース①脇山珠美


珠美「珠美もいまやぼんきゅっぼん」

まゆ「え?」

珠美「珠美もいまやぼんきゅっぼん」

まゆ「た……珠美ちゃん?」

珠美「珠美も……今や……ぼん……きゅ……ぼん」

まゆ「……よしよし」

珠美「う、うう……珠美もいまやぼんきゅっぼんと言いたいのに……全然成長できなくて」グス

まゆ「焦ることはないですよ。明るくて元気で可愛らしい珠美ちゃんは、凛とした強く美しい女性に少しずつ変わっていっている最中なんですから」

珠美「ま、まゆ殿にそう言っていただけると嬉しいです。何せまゆ殿は珠美の目標とは違いますが、たおやかで可愛らしさと美しさを兼ね合わせる御仁ですから!」

まゆ「うふふ。珠美ちゃんにそう言ってもらえるまゆの方が嬉しいですよ」

珠美「……はぁ」

まゆ「珠美ちゃん?」

珠美「その余裕をもった切り返し……同じ16歳とは思えません」

まゆ「……何かあったんですか?」

珠美「うぇっと……その……」

まゆ「早く大人っぽくなりたいという想いは元々あったと思います。けどそれが願いではなく、不安や焦りになってしまった原因を、まゆでよければ話してくれませんか?」

珠美「その……自分でもくだらないと思う事なんで」

まゆ「だったらなおのこと話してください。くだらないって思っているうちはまだ話せるけど、時間が経って悩みが深まっていくほど話しにくくなるんですから」

珠美「むっ! それは言い得て妙ですね。それではお言葉に甘えさせていただきます」





脇山珠美
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3: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:49:32.83 ID:yo4ZRVm4O

珠美「昨日のことなんですが……プロデューサー殿が」

まゆ「珠美Pさんが?」

珠美「プロデューサー殿が雑誌を食い入るように読んでいたので、何を読んでいるんだろうと後ろから覗いてみたんです。そしたら!」

まゆ(雑誌……食い入るように……珠美ちゃんの不安と焦り……あっ)

珠美「美優殿のグラビアのページだったんですよ! 酷くないですか!? 確かに美優殿は女性らしい体つきに何とも言えない色香がありますが! 同じ部屋に! すぐ隣に! 珠美がいるのに! 写し絵に心を奪われるとは!」

まゆ「あ……はい」

珠美「珠美がそのことを怒っても笑うばかりで、あろうことか――」



珠美『珠美も2年後……いや3年後……いややっぱり5年後なら! 美優殿に負けないグラマラスなボデエになってるんですよ! その時になって珠美に謝っても遅いんですからね!』

珠美P『珠美……あのな』

珠美『プロデューサー殿?』

珠美P『珠美には珠美の良いところがあるんだから……無理すんな』

珠美『~~~~~っっっ』



珠美「ストレートに馬鹿にされるよりよっぽど腹に据えかねます! なんですかあの慈しみにあふれた瞳は! 珠美では5年どころか10年あっても美優殿のようにはなれないという確信からくる哀れみに、珠美は……珠美は!」

まゆ「……年頃の女の娘にしていい仕打ちではありませんね」

珠美「……ッ!? わかっていただけますかまゆ殿!!」

まゆ「もちろんです。悪気は無いんでしょうけど、だからこそ許せません」

珠美「その通りです! そのためには珠美はぼんきゅっぼんとなり!」



珠美P『う、美しい……ハッ!?』

珠美P『せめてその(豊満な)胸の中で!』



珠美「――という具合に珠美に見惚れさせて、プロデューサー殿に俺が悪かったと謝らせてみせます!」





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4: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:50:33.13 ID:yo4ZRVm4O

まゆ「……」

まゆ「その程度でいいんですか?」

珠美「え?」

まゆ「珠美ちゃんの純情を踏みにじっておきながら、数年後に謝っておしまい。まゆはそれじゃいけないと思います」

珠美「確かに今すぐじゃないのはアレですが……珠美としては、ちゃんと謝ってくれれば納得できます」

まゆ「その数年を待つ間に、さらにデリカシーの無いことを言われるかもしれません」

珠美「むむっ。確かに」

まゆ「それに体つきは努力が反映される部分と、生まれつきの部分があります。珠美ちゃんが努力して美優さんのような美しい体になれるかもしれませんし、なれないかもしれません」

珠美「で、では! 珠美はいったいどうすれば!?」

まゆ「ようするに珠美ちゃんは珠美Pさんが美優さんに見惚れたように、自分を見惚れさせたいんですよね?」

珠美「その通りです! そして珠美に見惚れたプロデューサー殿を思いっきり笑って、それから謝ってほしいんです!」

まゆ「なら話は簡単ですよぉ」





まゆ「珠美Pさんを落としましょう♪」





珠美「落とす? こう、キュッとですか?」

まゆ「いえ、首を絞めるのではなく」

珠美「こう、ベチャッとですか?」

まゆ「真っ赤なトマトみたいに叩きつけたいんですか?」

珠美「では落とすとは?」

まゆ「珠美ちゃんに夢中にさせる、ということです」

珠美「あー、なるほど! そちらの意味でしたか! 珠美としたことがうっかりアハハハハハハハはあ!?」

まゆ「どう、どう」




5: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:51:07.71 ID:yo4ZRVm4O

珠美「こ、これが落ち着いていられますか!? ととと突然何を言い出すんですか!? 珠美にはそういうのはまだ早いですし、別にプロデューサー殿にそういう風に見てもらいたいわけじゃ……っ」

まゆ「そういう風に見てもらいたく……ないんですか?」

珠美「え? いや、あの……その。珠美としては……やぶさかではないといいますか……」

まゆ「松・竹・梅で言うと?」

珠美「……松です!」

まゆ「なら決まりですね」

珠美「決まり……じゃないです!? 何でそうなるのですか!?」

まゆ「珠美ちゃん。恋をすると女性は美しくなるんですよ」

珠美「聞いたことがあります。それにまゆ殿が言うと説得力がありますね……」

まゆ「恋をして、好きな人を落とす……その経験はきっと珠美ちゃんを美しい大人の女性にするでしょう」

珠美「つ、つまり。プロデュサー殿を落とせば、珠美はぼんきゅっぼんに……?」

まゆ「…………は、はい。きっと」

珠美「ぼんきゅっぼんになるため……そうです、これはぼんきゅっぼんになるため……そもそも悪いのは珠美の乙女心を踏みにじったプロデューサー殿にあり……」

まゆ「そうですよぉ珠美ちゃん。珠美ちゃんには復讐する権利があって、その復讐とは珠美Pさんを珠美ちゃんに夢中にさせることなんです」

珠美「悪いのはプロデューサー殿……悪いのはプロデューサー殿……」

まゆ「……ちなみに珠美ちゃん。改心した珠美Pさんが、珠美ちゃんを愛するがあまり付き合ってほしいと言ったら……どうします?」

珠美「つ、付き合う!? そ、そういうのはまだ未熟な珠美には早いと思います。いやでも、ああ!?」

まゆ「その頃の珠美ちゃんは未熟ではない美しい女性です」

珠美「……珠美はいまや?」

まゆ「ぼんきゅっぼん、です」

珠美「えへへ♪ まあ、元はプロデューサー殿が悪いとはいえ、プロデューサー殿のおかげでぼんきゅっぼんになれたわけです。プロデューサー殿が改心したうえで、珠美でなければいけないとお願いするのでしたら……まあ珠美もこれまでの御恩もありますから! 仕方なく、仕方なくですね! 結婚を前提にですね!」

まゆ「はぁい、仕方なくです」

珠美「まったくプロデューサー殿は……珠美がいないとダメなんですから……えへへ……えへへへへ♪」

まゆ「……よし」




6: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:52:15.31 ID:yo4ZRVm4O

ケース②星輝子



輝子「最近……親友の様子がおかしいんだ」

まゆ「おかしい? どんな感じなんですか?」

輝子「ここ一、二ヵ月ぐらいボーッとしてたり……かと思ったら急に顔がニヤってしたり……ため息ついたりするのが急に多くなって」

まゆ「……なるほど」

輝子「わ、わかるのか?」

まゆ「恋、ですね」

輝子「………………え?」

まゆ「輝子Pさんが経理の薄家夢里(うすげむり)さんに業務に関係なく話しかけているのを、何度か見かけました。思い返してみると、いつもそわそわした様子でしたね」

輝子「そ、そうか。プロデューサーは――恋を、しているのか」

まゆ「輝子ちゃん? 大丈夫ですか?」

輝子「えっ!? わ、私は大丈夫に決まっているじゃないか、フヒ。心配なのはプロデューサーの方で……でもプロデューサーはいい奴だから、きっとうまくいくな。うん」

まゆ「……」

輝子「あ、ありがとうまゆさん。おかげでプロデューサーの様子がおかしい理由がわかって……あ、安心できた」

まゆ「本当に、悩みはこれで終わりですか?」

輝子「……」

まゆ「まゆの胸の中で納めておきますから、さあ」

輝子「……プロデューサーは彼女ができても、私に優しくしてくれるかな?」

まゆ「……彼女ができたからって、輝子ちゃんをないがしろにする人ではありません。けど――」

輝子「うん。ないがしろにはしなくても、彼女の方を優先するのは当たり前で……私を相手してくれるのは、プロデューサーが優しいからってのもあるけど、それが仕事だから……」

輝子「プロデューサーが恋をしてるって聞いて……私を置いて遠く離れたところに行く感じがして……なんだか胸が、ぼっちだった時みたいに絞めつけられたんだ」

まゆ「大丈夫ですよ輝子ちゃん。輝子ちゃんから輝子Pさんは離れたりしません。それにまゆや皆もいます」

輝子「フヒ。ありがとう、まゆさん。……けど、そうだとしても……それでも……プロデューサーに彼女ができるのが……幸せになってほしいって思うのに……嫌なんだ」

まゆ「輝子ちゃん……」

輝子「私……こんなにイヤな奴だったんだ。お世話になったプロデューサーの幸せを願えないなんて……キノコよりもジメジメしてる」

まゆ「……輝子ちゃん!」ガシッ

輝子「まゆさん?」

まゆ「いいですか輝子ちゃん。まゆの今から言うことをよく聞いてください。それで輝子ちゃんも、輝子Pさんも幸せになれます」

輝子「……あるのか? プロデューサーだけじゃなくて……こんな私まで……幸せになれる方法が?」

まゆ「はい。だからそんなに思いつめないでください」

輝子「う……フハハハハ、それは実にハッピイじゃねえか!? 聞かせてくれよまゆさん! そのオマエに良し、俺に良しなクールなアイデアをよおオォ!」





まゆ「輝子ちゃんが輝子Pさんの彼女になるんです」





星輝子
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7: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:53:33.43 ID:yo4ZRVm4O

輝子「……誰が?」

まゆ「輝子ちゃんが」

輝子「……何に?」

まゆ「彼女に」

輝子「……誰の?」

まゆ「輝子Pさんのです」

輝子「……マァッシュアッップ?」

まゆ「良いアイデアだと思いませんか? 輝子Pさんは輝子ちゃんという、けなげで可愛らしい彼女ができる。輝子ちゃんはこれまで通り――いえ、これまで以上に輝子Pさんに優しくしてもらえます」

輝子「こ、これまで以上にプロデューサーが……私に優しく……だ、ダメだ!? 幸せすぎて死ぬ!」

まゆ(カワイイ)

輝子「ふ、フフフ……まゆさん、冗談はやめてくれよ。わわ私みたいな根暗でジメジメした嫌な女が、プロデューサーの彼女になれるわけが……」

まゆ「なりたくないんですか? 彼女になって、今以上に優しく愛されたいと思わないんですか?」

輝子「愛され!? そんなことあるわけ――」   



輝子P『しょーうーこ♪』ギュッ

輝子『ヒャッ!? なな、何するんだプロデューサー!?』

輝子P『んー? 輝子の後ろ姿が可愛いから、つい』

輝子『つ、ついって。恥ずかしいから……や、止めてくれ』

輝子P『えー? まあ輝子がイヤっていうなら仕方ないか』

輝子『い、イヤっていうか……あの……その』

輝子P『ん?』

輝子『正面から……抱きしめてくれた方が……私は嬉しい』

輝子P『……輝子ぉ!!』ガバッ

輝子『ヒャアッ!!?』

輝子P『輝子はカワイイなあ! カワイイなあ、よしよし! もう今日はずっと一緒にいようなあ!!』

輝子『フヒ……フヒヒヒヒヒッ♪』



輝子「フ、フヒヒヒヒッ。だ、ダメだぞ親友だからってそんなことさわっちゃ……あ、でも恋人なら……って違う違う!!」

まゆ「愛されたいんですね♪」




8: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:54:23.43 ID:yo4ZRVm4O

輝子「あっ……でもな、まゆさん。私なんかより、その……パッション無理さん?」

まゆ「薄家夢里(うすげむり)さんです」

輝子「その人と付き合った方が……プロデューサーは幸せになれるんじゃないか? 私、その人のこと知らないけど……プロデューサーが好きになった人なんだ。きっと私みたいなジメジメした変な女なんかじゃない、ステキな……ステキな人に……グス……違いない」

まゆ「確かに薄家さんはステキな女性です。でも輝子ちゃん、輝子Pちゃんを絶対に幸せにできる人は、この世で輝子ちゃんだけなんですよ」

輝子「え……?」

まゆ「もしこのまま輝子ちゃんが何も行動も起こさず、輝子Pさん薄家さんと付き合って――さらに結婚したとします」

輝子「う……うん」

まゆ「そして結婚した男性が、家庭に居場所が無いという話は珍しくありません。輝子Pがそうならないと断言できますか?」

輝子「え……え、ええ!?」

まゆ「断言できませんよね」ニッコリ

輝子「え、いや……でも! プロデューサーが好きになった人と結婚して、そんなことになるわけが」

まゆ「では家庭に居場所が無い男性の全員が、愛する人と結婚できなかったのでしょうか? 家族サービスの努力を怠った人たちでしょうか?」

輝子「へ!? いや、難しくて……私にはわからないぞ」

まゆ「はい。人と人の関係は難しくて、一度うまくいったからといってそれがずっと続くわけでもありません」

まゆ「輝子Pさんは最初のうちは幸せかもしれませんが……少しずつ家庭の話を避けるようになり、仕事が終わったのに事務所から帰らなかったり、居酒屋やカフェに寄り道して真っすぐ家に帰ろうとしなくなる――そんな未来が待っているかもしれません。そしてそんな彼を、輝子ちゃんは何もできずに見ているしかできません」

輝子「う……」

まゆ「もう自分のモノにはできないのに、大切にされていない想い人を間近で見続ける日々に……輝子ちゃんは、耐えられますか? 私が奥さんだったらこんな目に遭わせないと、あの時動かなかったことを後悔する輝子ちゃんを、まゆは見たくありません」

輝子「で、でも……そうなってしまう可能性は多分高くないし……私なら絶対に幸せにできるってわけでも……」

まゆ「輝子ちゃんなら、絶対です。輝子ちゃんは輝子Pさんを裏切ったり、ないがしろになんか絶対にしませんから。そしてそんな一途な輝子ちゃんが一緒にいてくれたら、何があっても輝子Pは幸せです」

まゆ「さあ、輝子ちゃん。輝子ちゃんのためにも、輝子Pさんのためにも。今ここで動きましょう!」

輝子「……む」

まゆ「む?」

輝子「むーりーぃー!!!」バタバタバタッ

まゆ「あ、輝子ちゃん!?」


ガチャ、バタン


まゆ「……行っちゃいました。輝子ちゃんには刺激が強いお話でしたか」

まゆ「でもまゆのお話は少し大げさだったけど、現実になる可能性もあるから今動かないといけないのに……」

まゆ「輝子ちゃん……大丈夫かな?」





※大丈夫でした

モバP「輝子が魔王になってしまった」輝子「Welcome to this crazy Time!!!」




9: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:55:31.28 ID:yo4ZRVm4O

ケース③城ヶ崎美嘉



美嘉「いやあ、なんかね? 悩みの相談というか愚痴というか、もしかしたら笑い話になるのかな? っていう話なんだけど★」

まゆ「ふふ。本人は真剣でも、他人からしたら笑い話に見えそうなのが、悩みを人に相談しにくい理由かもしれませんね」

美嘉「あ~、そういうのあるよね。相手がすっごいマジな顔してるから身構えたら、話の内容が斜め上すぎて笑いを堪えるのに必死になったり」

まゆ「では、はい。まゆは今、笑わない心構えができたので、お話してもらっていいですよ」

美嘉「うん――ってアタシの悩みは笑い話確定してんの!?」

まゆ「莉嘉ちゃんと加蓮ちゃんの情報網の事でしょうか? それともLiPPSで振り回されるのに疲れたとか?」

美嘉「あ、うん。それも悩みっちゃ悩みなんだけど……あのね」





美嘉「なんでかアタシ……カリスマ処女とか、処女ヶ崎って呼ばれているらしいんだ」





まゆ「……そ、そうだったんですか」

まゆ(笑えない真剣な相談じゃないですか!?)

美嘉「いやー、なんかね!? アタシが未経験とか、いくならんでも夢を見過ぎだよね!? そりゃあファンとしてはアイドルが未経験であることを望むかもしれないけど、恋愛経験豊富なアタシにそれを望むなんて面白いよね★」

まゆ「そ、そうですね」

美嘉「そういう願いは奥手そうなアイドル、かな子ちゃんとか智絵里ちゃんにすればいいのに、アハハハハ。おかしくってもう。あ、やっぱり笑い話になっちゃったね?」

まゆ「……」

美嘉「まゆ?」

まゆ「……笑えませんよ、美嘉ちゃん」

美嘉「……笑ってよ」

まゆ「……むーりぃ」





城ヶ崎美嘉
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10: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:56:11.06 ID:yo4ZRVm4O

美嘉「……どうして、どうして」グス

まゆ「美嘉ちゃん……」

美嘉「どうして、未経験なのをバカにされないと……いけないのよ。古い考えかもしれないけど……こういうのは結婚してからか、せめて結婚を約束した相手じゃないとイヤって考えじゃ……ダメなの?」

まゆ「恋愛の価値観は人それぞれだと、まゆは思います。そして美嘉ちゃんのその考えは、まゆはとても共感をもてます」

美嘉「だよね!? そうだよね!? 少なくとも笑われるような考えじゃないよね!? まゆは味方だと信じて良かった!」

まゆ「はぁい。まゆはプロデューサーさんに操を立てていますから♪」

まゆ「……それにしてもおかしな話ですよね? 体がキレイであることを願われるアイドルが、未経験であることをバカにされるなんて」

美嘉「そう言われてみればそうね。なんでアタシだけ?」

まゆ「う~ん。やっぱり恋愛経験豊富なカリスマギャルというコンセプトのせいでしょうか?」

美嘉「う」

まゆ「ところで――美嘉ちゃんをカリスマギャルとしてプロデュースしたのは、どなたですか?」

美嘉「え、それはアイツ(武内P)よ」

まゆ「つまり――美嘉ちゃんが未経験な事を笑われる原因を、CPのプロデューサーさんが作ったということですね?」

美嘉「!!?」




11: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:56:46.78 ID:yo4ZRVm4O

まゆ「これはCPのプロデューサーさんに、責任をとってもらわないといけませんねぇ?」

美嘉「責任!!? えっと……責任って、つまり」

まゆ「結婚前でも、結婚を約束した相手なら大丈夫。美嘉ちゃんはさっき、そう言いましたよね?」

美嘉「いや言ったけど!? 結婚を約束してすぐはちょっとというかなんというか別にアイツがイヤってわけじゃないけど急すぎるっていうかそのね!?」

まゆ「何か問題がありますか? CPのプロデューサーさんは、美嘉ちゃんを未経験のままカリスマギャルとしてプロデュースした責任をとる。美嘉ちゃんはもう2年近い想いが叶う上に、名実ともにカリスマギャルになれる。問題解決です♪」

美嘉「な、なるほど……じゃなくて! ちょっと待って!? そもそもアイツは、アタシを恋愛経験豊富だと思っているんだから、アイツに非は――」

まゆ「気づいていましたよ。CPのプロデューサーさん」

美嘉「――――――――――え?」

まゆ「もうだいぶ前になります。美嘉ちゃんがインタビュー等で恋愛観を語っている時にいたたまれない顔をされて、近くにいたまゆに話題を変えるように頼まれました」

美嘉「嘘……だよね? じゃなきゃ、アタシ」



美嘉『またアンタ悪くも無いのに謝って。年下の女に下手に出すぎ。もっと堂々としなきゃ、女の子は寄ってこないわよ』

美嘉『――良し。どうプロデューサー、今日のアタシは? ん、あれれ~? どうしたの? もしかして見惚れちゃった!? アハハハ、アンタにもそういう感情があったんだ。いいよいいよ、もっと見惚れて。別に見られて減るもんじゃないし。なんならちょっとサービスしてあげよっか★』

美嘉『アンタってほんと女の子のエスコートが下手よね。ま、ここは経験豊富なアタシが練習相手になってあげるから★』



美嘉(あんだけ偉そうに語っておきながら、未経験だってバレてたなんて~~~っっ)

美嘉「ふふ。フフフフフフフ」

まゆ「美嘉ちゃん?」

美嘉「こんな辱めを受けた以上、責任は――とってもらわないとね?」

まゆ「はい!」

まゆ(……これで3人。そろそろ張り紙でもして、誘い出しましょうか)




12: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:57:29.92 ID:yo4ZRVm4O

ケース④武内P



<<まゆのお悩み相談室>>


武内P「不思議な張り紙があったので様子を見にきたのですが、いったい何をされているのですか?」

まゆ「実はここ最近、立て続けに悩みの相談を受けることがありまして。ならいっそのこと、相談を受ける場所を用意しようと思ったんです」

武内P「そうでしたか。ちなみにどのような相談を受けたのですか?」

まゆ「そうですねぇ……」


ポワン、ポワン、ポワン――


まゆ「……」

武内P「佐久間さん?」

まゆ「女の子のプライベートに関わることなので、お教えできません」

武内P「それもそうですね。配慮が足りませんでした」

まゆ「気になるのは当然だと思うので、お気になさらず。ところでCPのプロデューサーさんも相談してみませんか?」

武内P「……え? 私もですか?」

まゆ「はい。年頃の女の子たちに囲まれた、プロデューサーさんならでは悩みもあると思います」

武内P「お気持ちはありがたいのですが、佐久間さんに相談にのっていただくわけには……」

まゆ「……CPのプロデューサーさんは最初は怖い顔ばかりに目が行きますけど、それなりに付き合いが長いと何を考えているかわかりやすい人です」

武内P「そう……なのですか?」

まゆ「はい。だからCPのプロデューサーさんが悩みを抱えていることを察して、担当アイドルたちが心配する……ということもありえます」

武内P「!!?」

まゆ「これはしょせん、女子高生のお遊びみたいなものです。そのお遊びで、アイドルたちに心配をかけずにすむのなら儲けものとでも考えて、どうか気楽に話してください♪」

武内P「その……少し話しづらい内容なのですが」

まゆ「はい。どうぞ続けてください」

武内P「なぜかわからないのですが……私のことを、同性愛者だと思っている方が複数いるようなのです」

まゆ「なぜも何も、大企業の出世コースにある偉丈夫が、結婚はおろか恋人もいなくて、そのうえ女の子の扱いが苦手。妙な噂が立つ下地がこれでもかというぐらいありますから」

武内P「仕事人間のつまらない人間の隣に、女性がいないのはそこまで不自然ではないと思うのですが……」

まゆ「CPのプロデューサーさんの自己評価は置いておきましょう。妙な噂が立つ下地はあると言いましたが……その下地を思いっきりこねくり回して発酵させて、いたるところにばらまいている人がいますね」

武内P「はい。困ったことに」

まゆ「あの……“アレ”は彼女の個性とは思いますが、さすがに一度注意した方がいいとまゆは思います」

武内P「私もそう思い、一度注意しようとしたのですが――」





由里子『 ホ モ を 恥 じ る な ! ! ! 』





大西由里子
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13: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:58:56.05 ID:yo4ZRVm4O

武内P「注意しようとしたら、なぜか私の方が説教されていました」

まゆ「」

武内P「まあ特に実害は無いので、このままでもいいかと考えていたのですが……」

まゆ「同性愛者という誤った噂をたてられている時点で、実害は出ていると思いますけど……何かあったのですか?」

武内P「その……噂を真に受けたのか、妙な行動をとる人が出てきたのです」

まゆ「え!?」

武内P「トイレで用を足していると、他のところが空いているのに私の背後に立ち、無言で見つめてきたり――」

まゆ「」

武内P「更衣室で着替えているとチラチラ……いえ、ジーッと私を見てくるのです。そして私が薄着の状態になると、話しかけてきて不自然なまでにボディタッチを――」

まゆ「」

武内P「また更衣室に置いていた使用済みのワイシャツが無くなったかと思うと、数日後にはクリーニングがされた状態で元の場所に戻してあるんです」

まゆ(あ、それは凛ちゃんです)

武内P「誰かに相談しようとも考えたのですが、男が男にセクハラをされているなど笑われてしまいそうで……」

まゆ「そんなことはありません。セクハラが怖いのは男性であっても同じなんですから、それを笑うのはセクハラする人と同類です」

武内P「佐久間さん……ありがとうございます」

まゆ「ふふ。しかし……その変態さんへの対処も必要ですが、噂の方も何とかしなければ第二、第三の変態さんが現れかねませんね」

武内P「確かに。噂を流しているのは大西さんなので、ほとんどの人は察してくれているのですが、中には真に受ける人もいるようです」

まゆ「やはりここは、CPのプロデューサーさんが女性とお付き合いするのが一番効果的です」

武内P「そうかもしれませんが……相手がいないのです」

まゆ「まゆにはそうは見えませんよ。例えば、美嘉ちゃんとか♪」

武内P「あの……なぜそこで未成年、それも以前担当していたアイドルの名前をあげるのですか?」

まゆ「前々から二人の相性は良さそうだなあ、と思ってたのでつい。それに強面(こわもて)で口数が少ないけど真面目な男性と、見た目は派手だけど相手への思いやりにあふれた少女の組み合わせは、まゆじゃなくても心が惹かれると思います♪」

武内P「その……私では城ヶ崎さんに釣り合いません」

まゆ「う~ん」

武内P「佐久間さん?」

まゆ(この反応は、深く考えたら後戻りできなくなるから、思考を中断するのに慣れた反応――まゆのプロデューサーさんで見慣れた反応です)

まゆ(つまり脈あり、ということです)

まゆ「ゴホン。では話を戻しましょうか。CPのプロデューサーさんは好きな女性はいますか?」

武内P「残念ながらいません」

まゆ「では好みの女性は?」

武内P「そうですね……笑顔がステキな女性でしょうか」

まゆ「それはつまり、これまでプロデュースしてきたアイドルの誰かとお付き合いしたいという……?」

武内P「違います」

まゆ「ではこういった女性とは付き合えない、というものはありますか」

武内P「アイド――」

まゆ「え?」

武内P「……アイド――」

まゆ「聞こえません」

武内P「……人の努力を笑う人は無理です」

まゆ「なるほど、わかりました」ニッコリ




14: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 06:59:48.04 ID:yo4ZRVm4O

まゆ「しかし……女性であるまゆには本音で話しにくいというのもあると思いますが、CPのプロデューサーさんからはどんな女性と付き合いたいという具体的なヴィジョンが伝わってきません」

武内P「佐久間さんのおっしゃる通りですね。深くそういうことを考えてきませんでしたから」

まゆ「そこでまゆからの提案です。どのような女性と付き合い、結婚するか。それについて真剣に考えるためには、今よりも女性と身近な関係になるべきです」

武内P「今よりも身近、ですか」

まゆ「はい。なので機会があれば深く考えずに、女性とお付き合いすべきだと思います」

武内P「……それは相手に失礼なのでは」

まゆ「好きな相手もいなくて、どのような女性と付き合いたいという具体的なヴィジョンも無い以上は、お試しでもいいから付き合うべきです。それを不誠実だと思うのでしたら、付き合っている間は相手に真剣であればいいとまゆは思います」

武内P「……そうですね。私の場合、それぐらいしなければいけませんね」

まゆ「はい。なので女性と深い仲になれそうなとき、笑顔がステキで、そして他人の努力を笑うような人ではない限り付き合いましょう」

武内P「はい」

まゆ「……言い換えると、もしこれからCPのプロデューサーさんに告白する女性がいたとして断るとしたら、その女性は笑顔がステキではないか、性格が悪い女性ということですね?」

武内P「……? そういうことになりますね」


ガチャ、バタン


美嘉「……」

武内P「城ケ崎さん……?」

美嘉「ちょっと話があるんだけど……一緒に来てくれる?」

武内P「ええ、構いませんよ。それでは佐久間さん、相談にのっていただきありがとうございました」

まゆ「いえ、お役に立てたのなら何よりです。あ、美嘉ちゃん」

まゆ(がんばってくださいね)ヒソヒソ

美嘉「う、うん。アタシ、がんばるから」

武内P「……? それでは失礼します」


ガチャ、バタン


まゆ「――さて。うまくいったので、ここを片付け……あれ、誰か来ました?」




15: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 07:02:43.88 ID:yo4ZRVm4O

ケース⑤キュートP



キュートP「武内君を、掘りたいんだ」

まゆ「は、はあ」

キュートP「あ、ごめんごめん。言い方を間違えた」

まゆ「そうですよね。安心し――」

キュートP「武内君を掘る権利が、俺にあると思うんだ」

まゆ(安心できない……っ)

まゆ「あの……よければなぜ、そう思うようになったか教えてください」

キュートP「……元々俺は、ノンケだった」

まゆ「あ、そうだったんですか」

キュートP「今から5年前だ。モバマスに興味を持ち始めた時にアニメが始まったので、ランランと幸子目当てで見始めたんだ」

まゆ「ロリコンさんですねぇ」

キュートP「そんな俺の心を誰よりも強くつかんだのは、ランランでも幸子でもなく、武内君だった!!」

まゆ「ロリコンからホモ。奈良重雄ですねぇ」

キュートP「アニメが終わってもへそ下辺りがむずがゆいままで、武内君にセクハラしまくるSSを書き上げた」

まゆ「この作者の黒歴史ですねぇ」

キュートP「わたしをホモにした責任、ちゃんととってもらうんだから」

まゆ「月姫ですねぇ」

キュートP「――というわけで、武内君は俺をホモにした責任をとってもらう。俺には武内君を掘る権利がある!!」

まゆ「はあ」

キュートP「ありがとうまゆちゃん。この想いを人に話したのは初めてだったんだけど、話しているうちに掘る権利があると確信できた」

まゆ「あの、人が性犯罪の教唆をしたような物言いは止め――」

キュートP「善は急げ! 武内君を捕ゲイしてくる! あ、安心してねまゆちゃん。武内君がまゆPに近づかないように、俺無しの体にこれからグフェフェフェフェフェ」


ガチャ、バタン ダダダダダダダダッ


まゆ「……」


<セイイッパイ 輝ク 輝ク 星ニナレ♪


まゆ「もしもし凛ちゃん。今大丈夫ですか? CPのプロデューサーさんのワイシャツの件なんですけど」

まゆ「いえいえ、別にまゆは凛ちゃんを疑ってなんかいませんよ。ただ濡れ衣を着せても良心が痛むどころか、爽快感すらある人物に心当たりがありまして」

まゆ「……はい。今4Fの廊下を、東館に向かって走っていきました。CPのプロデューサーさんに接触する前に始末した方がいいと思います」

まゆ「はい、それでは」

まゆ「ふう。予想外のことでしたが、これでCPのプロデューサーさんを狙う変態さんの処分も終わりました。これ以上変な人が来ないうちに、早く片付け――あれ、また誰か来ましたか?」




16: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 07:04:55.74 ID:yo4ZRVm4O

ケース⑥大西由里子



由里子「CPのプロデューサーが、ノンケのフリをするんだじぇ」

まゆ「はあ」

由里子「なぜノンケのフリをするか、考えてるんだじぇ」

まゆ「ノンケだからじゃないでしょうか?」

由里子「ハッハッハ。ナイスジョーク」

まゆ「一蹴されてしまいました……。あの、由里子さん? 由里子さんはCPのプロデューサーさんを同性愛者と確信しているようですが、何か決定的なモノはあるのでしょうか? 状況証拠以外でお願いします」

由里子「ユリユリがティンときた時点でほぼ確定なんだけど、念のため確認はしたよ」

まゆ「どのようにですか?}

由里子「まず、ユリユリがCPのプロデューサーに『ホモですか?』と尋ねて――」

まゆ「はい」

由里子「『違います』と答えました。ホモは嘘つき。よってホモ」

まゆ(ダメだこの人。早くなんとかしないと……)



♂♂♂ ノンケでもできるユリユリのホモチェック方法 ♂♂♂


最初にホモなのか質問します

A.否定された場合
 →ホモは嘘つき。よってホモ

B.肯定された場合
 →大胆な告白はホモの特権。よってホモ

C,否定でも肯定でもない場合(例:私はノンケです)
 →ノンケの意味を知っている。よってホモ



由里子「まあそんなわけでガチホモ総受け確定のCPのプロデューサーがなぜノンケのフリをするか考えた結果、ホモに生きる者なら一度は抱く迷い――今ならまだノンケに戻れるんじゃないか――そんな迷いを抱いていると思われます」

まゆ「以前より寛容になったとはいえ、異性愛者と比べて肩身が狭いのは変わっていませんからね。時には寛容になった反動が出ることさえあります」

由里子「でもそんな迷いを抱いた時こそ、パートナーは力強く抱きしめて勇気づけるんだじぇ!!」

まゆ「は、はあ」

由里子「攻めが迷っているのなら、受けは暖かく柔らかく受け止める! 受けが迷っているのなら、攻めは迷いが吹き飛ぶぐらい激しく攻める!」

由里子「だからまゆちゃんからも、まゆPにいつも以上に激しくCPのプロデューサーのプロデューサーをプロデュ―――――――――――――――――――――」




18: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 07:06:40.11 ID:yo4ZRVm4O

――

――――

――――――――



由里子P「ユリユリ~、おーいユリユリ~! あんにゃろう打ち合わせさぼってどこ行きやがった。電話にも出ねえし」

まゆ「由里子Pさん? 由里子さんを探しているんですか?」

由里子P「ああ、まゆちゃん。そうなんだよ。ナニ(♂)かに夢中になって連絡つかない時あるけど、今回もそれなのかな? 見つかんなくて本当に困るよ」

まゆ「……由里子Pさんは」

由里子P「ん、なに?」

まゆ「もしこのまま由里子さんが見つからなかったら、どう思いますか?」

由里子P「え、突然どうしたの?」

まゆ「フフ。女の子を一生懸命探している男の人を見ていたら、なんだか訊きたくなったんです」

由里子P「あー、創作だとよくあるシーンだよね。しかしユリユリがこのまま見つからなかったらか。うーん」

由里子「アイツなんでもかんでもホモにもっていくし、俺と梨沙Pと梨沙パパの三角関係を捏造する困った奴だけど……俺はアイツのそういう騒がしいのは嫌いじゃないし、付き合いも長いから――まあやっぱり見つからなかったら寂しいし、悲しいだろうな」

まゆ「……そうですか」

由里子P「あんまりまゆちゃん好みの答えじゃなかったかな?」

まゆ「いえいえ、そんな事はありませんよ。ところで由里子さんですが『シャンバギは……キテるんだろ!?』『お前のバギー玉、俺によく馴染むぜ』みたいなことを大声で言いながら走り去ってしまいました」

由里子P「何してんだアイツ……」

まゆ「きっと明日になれば“無事”に出会えますよ」

由里子P「んー、まあ明日でいいか。教えてくれてありがとうまゆちゃん。じゃあ、お疲れ様」

まゆ「はい。お疲れ様です」

まゆ「……良かったですね、由里子さん。命拾いできて」




19: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 07:07:46.09 ID:yo4ZRVm4O

――まゆのお悩み相談室から数日後



まゆP「おかしい……」

まゆP(世界は狂ってしまった)

まゆP「おかしいぞこれは……」

まゆP(それとも狂ったのは俺なのか)

まゆP「いくらなんでもおかしいぞ、これは!」

まゆP(世界全てが狂ったと考えるより、俺一人が狂ったと考えた方が現実的だが……)

まゆP「違う……俺は、まともだ」

まゆP(自分の正気を疑えるのなら、まだ狂気に堕ちていない。まだ……まだ俺は大丈夫だ)

まゆP「おかしいのはアイツ等の方だ……ッ!!」





珠美P『珠美がさー、最近ホント可愛くってさー。前々から背伸びしたがる子だったけど、ああ、ついにこんな事までするようになったんだって感慨深くってさー』

まゆP『何だよいきなりうざい絡み方しやがって。で、珠美ちゃん今度は何をしたんだ?』

珠美P『それが――』

まゆP『ん?』

珠美P『――や、やっぱり話せないわ』

まゆP『何だよオマエ。さっきまで自慢しまくりだったのに、急に……おいちょっと待てオマエ』

珠美P『な、何すかまゆPさん』

まゆP『オマエ俺に言えないような事、もといプロデューサーとして許されざることを珠美ちゃんと――いたしたんじゃなかろうな?』

珠美P『……』

まゆP『……』

珠美P『珠美もいまやぼんきゅっぼん』

まゆP『はい?』

珠美P『体はまだだけど……というか永遠にまだかもしんないけど……心は、心はぼんきゅっぼんだから』

まゆP『何言ってんだオマエ!?』

珠美P『俺は悪くねぇっ! 俺は悪くねぇっ!』ダダダダダダッ

まゆP『あ、コラ待て! ええ~……アイツ何してんだ。珠美ちゃんまだ16歳だろ。部長に報告は――話がデカくなるから最後の手段として、ここは殴ってでも止めないと』

輝子P『……』

まゆP『――あ。輝子P、今の話……聞いてたか?』

輝子P『……』

まゆP『担当しているアイドル、それも未成年に手を出すとか懲戒処分に加えて条例違反だが……アイツは悪い奴じゃないんだ。話がでかくなる前に、やり直す機会を』

輝子P『魔王には……』

まゆP『ん?』

輝子P『魔王には勝てなかったよ……』フラフラ~

まゆP『え、オイ!? 輝子Pまでどうしたんだ……? やらかしてしまったような様子だったけど』

まゆP『うちで魔王っていったら蘭子ちゃんだが、輝子Pは関わりは無いし……他に魔王っていったらクラウザーさん……輝子ちゃん? 輝子ちゃん!?』

まゆP『魔王には勝てなかったというのはつまり、輝子ちゃんには勝てなかった。そしてさっきのやらかした様子で勝てなかったというのは、つまり――』

まゆP『立て続けにプロデューサーが二人も……? いったい何が起こっている!?』




20: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 07:09:03.74 ID:yo4ZRVm4O

まゆP(まだだ…まだ間に合う。だが俺一人でこの流れを矯正するのは無理だ。たとえ世界が狂ってしまっても、武内は未成年のアイドルに手を出したりはしない)

まゆP(だがこの異常事態だ。俺と武内が手を組むのを阻もうとする奴がいるかもしれん。ここは慎重に、気配を消しながら武内と合流――)

まゆP「……ん?」


<ハ、ハナレテクダサイ イージャン、コノグライ★


まゆP「会議室から声がする。このバリトンボイスは武内か?」

まゆP「まずはこっそり様子を見て――!!?」

武内P「いけません城ヶ崎さん、お願いですから離れしょう」

美嘉「んー? なんでー?」ギュウウウウッ

武内P「なんでと申しましても……他の人に見られるかもしれませんから」

美嘉「……そうだよね」

武内P「わかっていただけましたか」ホッ

美嘉「アタシなんかに抱きつかれてもうっとうしいだけだし……付き合ってるって知られても迷惑だよね」

武内P「!!?」

美嘉「ごめんね……強引に付き合わせちゃって。ほんの少しの間だったけど、貴方と付き合えてアタシは嬉しかった。たとえそれが、同情でも」

武内P「そ、そんなことはありません! 私は城ヶ崎さんを、その――」

美嘉「……名前で、呼んでくれないのね」

武内P「これは……急には変えるのが難しいためで、私は――美嘉さんを、あい……大切に想っています」

美嘉「……ふーん」

武内P「その、急には信じてもらえないかもしれませんが」

美嘉「ううん。貴方はアタシに嘘をついたりしない人だから、信じてあげる」

武内P「ありがとうござ『だ・か・ら』……なんでしょうか?」

美嘉「さっき言いかけた言葉を、ちゃんと口にして? そしたらアタシ、貴方に愛されているって自信が持てて安心できるから、離れてあげる★」

武内P「……じょ――美嘉さん」

美嘉「うん」

武内P「私は、貴女を――愛しています」

美嘉「……えへへへへへへへ★」

武内P「あ、あの美嘉さん?」

美嘉「貴方が、アタシにねえ? 口下手で不器用で女心がわからない貴方が、ちゃんと口にしてくれたって思うと、幸せすぎて頭がおかしくなりそう★」

武内P「よ、喜んでいただけて、私も幸せです。あの……ところでそろそろ」

美嘉「ん、なーにぃ?」

武内P「そろそろ離れていただけると……」

美嘉「……」

武内P「美嘉さん?」

美嘉「離れていいの?」




21: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 07:10:08.09 ID:yo4ZRVm4O

武内P「え……?」

美嘉「アタシは……貴方に愛してるって言われて、胸がいっぱいで――もっと一緒にいたいって気持ちが強くなったよ。貴方は、そうではないの?」

武内P「わ、私は……」

美嘉「ねえ、教えて」

武内P「……では、もう少しだけ」

美嘉「うん★」

まゆP「……」


スタスタスタスタスタ


まゆP「………………………なんだあのバカップルは」

まゆP「昼間だぞ! 職場だぞ! 相手は未成年だぞ! 元とはいえ担当していたアイドルだぞ! 何してんだアイツ!?」

まゆP「あのアホ……アイツはパッション系と付き合うのが一番幸せになるだろうなとは思っていたけど! 美嘉ちゃんと相性が抜群に良い事には気づいてはいたけど! アイツの周りのパッションは奥手ばかりだし、美嘉ちゃんにいたっては鉄壁の純潔だからと油断して、クールとキュートばかり警戒していた結果がこれか……」

まゆP「クソ……見損なったぞ武内。いくら一番幸せになれる相性抜群の、文句のつけようがない相手とはいえ、相手は未成年のアイドルだぞ」

まゆP「まったく、どいつもこいつも情けない。ったく」

まゆP「……はあ」

まゆP「――俺もまゆと付き合いたいのに」

まゆ「……」

まゆP「……」

まゆ「うふふ」

まゆP「……いつからいましたか、まゆさん」

まゆ「そうですねえ。このぐらいの準備を整えられるぐらい前には」


スマホ<俺もまゆと付き合いたいのに


まゆP「」


ICレコーダー<俺もまゆと付き合いたいのに


まゆP「」


ビデオカメラ<俺もまゆと付き合いたいのに


まゆP「」




22: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 07:10:52.96 ID:yo4ZRVm4O

まゆ「どれもはっきり録音できてます。それにビデオの方も、プロデューサーさんの憂いと切実さをよく映してくれていますね」

まゆP「あ、うん」

まゆ「プロデューサーさん?」

まゆP「いや、なんかさ……こうも言い逃れできない状況だと諦めがついて――諦めた途端、これまでの疲れが急に押し寄せてきて……ふふふ、あいつらあっさり折れやがって。俺はなあ、天使みたいなまゆを相手に、二年近く耐えたっていうのによう。俺だけが我慢するなんてバカらしいなって」

まゆ「も、もうプロデューサーさんったら。天使だなんて」

まゆP「なあ、まゆ」

まゆ「えへへへへへ。あ、はい。なんでしょうかプロデューサーさん」

まゆP「結婚しようか」

まゆ「」

まゆP「まゆ?」

まゆ「」

まゆP「まゆ? ……オイ、まゆ!?」

まゆ「」

まゆP「息を……していない」



――こうしてまゆちゃんのファーストキスは人工呼吸となりました。
皆が幸せになれたとはいえ、目的のためには手段を選ばなかった罰なのでしょうか。
ともあれ、めでたしめでたし。





~おしまい~




23: ◆SbXzuGhlwpak 2020/05/01(金) 07:11:37.70 ID:yo4ZRVm4O

最後まで読んでいただきありがとうございました

いよいよ第九回総選挙ですね
第九回シンデレラガールにはふみふみになってほしいのですが、加蓮とまゆでも私は一向にかまわん!!!

なのでそれ以外の担当アイドルのTOP5入りを応援したいのですが、TOP5に入れそうな担当アイドルが楓さんを筆頭に何人もいて悩みます
今回Paの票が集中しそうな美嘉ねぇにしようかなあ(そして頑張れちゃんみお。シンデレラガールになった翌年は辛い戦いが待っている。あの菜々さんでさえ)

今回から始まったボイスオーデションも悩みどころです
忍ちゃん、都、ユリユリ、時子様、岡崎パイセン、頼子さん
誰に投票しよう

とりあえず様子見
no title




追記

十三機兵防衛圏クリアしました
久しぶりにPS4を買っておいて良かったと思える名作です
PS Storeで5/7まで25%Offなので、ステイホーム中の時間潰しにはもってこいですね!(ダイマ)
――そして皆で東雲パイセンに戦慄しましょう




元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1570966043/

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