2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:14:17.94
ID:OZn9YOLL0
トトトトト…
チト「ユー」
ユーリ「なに?」
チト「今日やたらと暑くないか?」
ユーリ「え、何それ」
ユーリ「暑いわけないじゃん、雪まで降ってるのに」
チト「そうか」
ユーリ「うん」
チト「いや、暑いね」
ユーリ「は?」
チト「脱ぐ」ヌギッ
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:14:46.02
ID:OZn9YOLL0
ユーリ「ちょっ、運転中に何してんの!?」バッ
チト「放せ!脱ぐんだー!!ジタバタ
ユーリ「危ないって!」
ユーリ「ほらハンドルが!!」グイッ
ドスン!
ユーリ「わーっ!」ベシャ
ユーリ「いたたたた…」
チト「うう…」
ユーリ「まったく、ちゃんと前見て運転しないから…」
ユーリ「いきなりどうしたのさ?ちーちゃんがご乱心だなんて珍しい」
チト「…」
ユーリ「ちーちゃん?」
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:15:19.41
ID:OZn9YOLL0
チト「ユー…」ハァハァ
ユーリ「だ、大丈夫?」ジュッ
ユーリ「うわっ、すごい熱!?」
チト「ごめん」
チト「私はもう、ダメみたいだ…」
ユーリ「何言ってるのちーちゃん!?」
チト「」ガクッ
ユーリ「ちーちゃん!?」
ユーリ「ちーちゃーん!!」
5:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:15:49.75
ID:OZn9YOLL0
…
チト「ん…」ムクッ
ユーリ「あっ、起きた?」
チト「ここは…?」
ユーリ「たぶん倉庫か何かの跡じゃないかな」
チト「ユーがここまで運転したのか?」
ユーリ「うん、まあ…屋根があるとこ探してさー」
ユーリ「前にちーちゃんがケガした時以来になるのかな?」
ユーリ「けっこう距離があったけど何とかできたよ」フフン
チト「そうか…」
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:16:22.81
ID:OZn9YOLL0
ユーリ「熱は下がった?」
チト「うーん…」
ユーリ「汗がすごかったから拭いて、それから救急箱にあった解熱剤を飲ませたんだけど、どうかな?」
チト「だいぶ楽になった…、とは思う」
チト「まだ体は重いし関節は痛いけどね」
ユーリ「そうなんだ、食欲は?」
チト「正直あまり…」
ユーリ「ダメだよ?食べなきゃ!」グイッ
チト「お、おい…」
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:16:48.23
ID:OZn9YOLL0
チト「何だこれは?」
ユーリ「ふっふっふっ…」
ユーリ「ユーリ様特製”おかゆ”です」
チト「おかゆ?」
ユーリ「変なものじゃないよ、この本の通りに作ったから」
ユーリ「と言っても、材料がそろわないからレーションで代用したんだけどね」
ユーリ「レーションを砕いてから、お湯に溶かして塩を入れたんだ」
チト「ちょっと待て」
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:17:21.89
ID:OZn9YOLL0
ユーリ「あ、燃料使ったのバレちゃった?」
チト「そうじゃなくて」
チト「さっき本の通りって言ったけどお前、字は読めないだろ?」
ユーリ「あー、それね」
ユーリ「なんでいまだに勘違いされてるのかよくわかんないんだけど…」
ユーリ「まあ私もあえて否定しなかったし?」
ユーリ「面白がってわざと読めないフリをしてたってところもあるからなー」ウンウン
チト「おい、何の話だ?」
ユーリ「ちーちゃん、本当に覚えてないの?」
チト「?」
ユーリ「2人でいっしょにおじいさんに読み書き教わったこと」
チト「…」
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:17:50.88
ID:OZn9YOLL0
チト「…あ!」
ユーリ「思い出した?」
ユーリ「それからだよね、ちーちゃんが本にハマったの」
ユーリ「私は本に全然興味なかったから読まなくて、それで勘違いしちゃったのかもね」
チト「そう、なのか…?」
ユーリ「もしかしてちーちゃんって…」
チト「ん?」
ユーリ「記憶力悪い?」
チト「お前にだけは言われたくない」
チト「でも、そうか」
チト「ユー、字が読めたのか…」
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:18:27.29
ID:OZn9YOLL0
ユーリ「じゃなくて!」バン!
ユーリ「今そんなことどうでもよくない!?」
ユーリ「ほら、おかゆが冷めちゃう!」グイッ
チト「い、いいよ…」
ユーリ「だーめ」
ユーリ「あーんして、あーん」
チト「やめろよ、恥ずかしいだろ…」カアア
ユーリ「私たちしかいないのに恥ずかしいも何もないじゃん」
ユーリ「ほら、あーん」
チト「わ、わかったよ…」
チト「食べればいいんだろ!?」パクッ
ユーリ「お、いい食いつき」
チト「///」
11:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:19:06.11
ID:OZn9YOLL0
ユーリ「どう?」
チト「う、美味い…」
チト「塩加減が絶妙だ」
ユーリ「でしょー」ニコニコ
ユーリ「やっぱり私ってこういう才能があるっていうかー」
ユーリ「ちーちゃんもそう思わない?」
チト「うっ…」ポロポロ
ユーリ「えっ何…ど、どうしたの!?」
ユーリ「どこか痛いとか?」オロオロ
12:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:19:35.02
ID:OZn9YOLL0
チト「いや…」
チト「ユー、ちゃんと運転できるし、字も読めるし…」
チト「美味しいおかゆも作れるし、病人の介護もできるんだな」
チト「ホントに才能あるよ…」
ユーリ「ご、ごめん…ちょっと調子乗りすぎちゃったかな!?」
ユーリ「そんなことちーちゃんはいつもやってることだよね…」
ユーリ「運転とかもっと代わってあげればよかったし…」
ユーリ「何て言うか、今までちーちゃんに甘えることに慣れ過ぎちゃってたからさー」
ユーリ「って、言い訳になってないなこれ…」
チト「違う、そうじゃないんだ」
ユーリ「え?」
13:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:20:17.23
ID:OZn9YOLL0
チト「私は…、ユーにもっと頼ってもらいたいんだ」
チト「ユーに頼られることが私の生きがいだと思ったから…」
チト「だから今まで、ユーの事を何にもできないダメダメな奴だと思い込んでた」
チト「日記にもユーの事ボロクソに書いたし…」
ユーリ「ちょっと!?」
チト「でも今回、はっきりわかったよ」
チト「私が迷惑かけて、熱出して何にもできない時でも、ユーはちゃんと対応できた」
チト「別に私の助けなんて必要なかったんだな…」
ユーリ「そんな…」
14:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:21:01.29
ID:OZn9YOLL0
チト「なあユー」
チト「ユーが何でもできるなら、私の存在意義はいったい何なんだ?」
ユーリ「何を言って…」
チト「いや、そんなことどうでもいいか…」
チト「ユーが一人でも大丈夫だってことがわかったんだし、むしろ喜ぶべきなんだよな」
チト「この分ならユーは私が死んでも大丈夫そうだ」
ユーリ「ちーちゃん…?」
チト「ユー、もしも私がこのまま死んだら…」
チト「今じゃないかもしれないけど、明日、この先…その時が来たら」
チト「その時はせめて…、私の分まで生きてほしい」
15:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:21:33.58
ID:OZn9YOLL0
ユーリ「あのさぁ…」ハァ
ユーリ「ちーちゃんはまーた勘違いしてる」
チト「ユー?」グスッ
ユーリ「ちーちゃん、私たちが出会ったのっていつだっけ?」
チト「いつ…?」
ユーリ「気付いたら一緒にいた、そんな感じしない?」
チト「…」
ユーリ「ずっと昔から私たちはふたりで旅してきて、今があって…」
ユーリ「そしてこれからもずっと、ずーっと続けていくんだと思う」
チト「…?」
ユーリ「…つまりさ、私たちはふたりでひとつなのであるわけでして」
ユーリ「なんていうか、お互いがお互いにとっての存在意義というか…」
16:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:22:06.45
ID:OZn9YOLL0
ユーリ「あーもう、何でわかんないかなあ!?」
チト「!?」ビクッ
ユーリ「ちーちゃんが私と一緒にいてくれること!それがちーちゃんの存在意義なの!!」
チト「なっ…///」
ユーリ「ちーちゃんがいないと私、生きていけないもん…」
ユーリ「私にとってのちーちゃんはそんな存在」
ユーリ「…ちーちゃんにとって、私はそうじゃないの?」
チト「そ、そんなことは…」
チト「そんなことは、ない…」
ユーリ「よかった」ニコッ
17:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:22:39.34
ID:OZn9YOLL0
ユーリ「だったら…」
チト「?」
ユーリ「めっ」デコピン
チト「いたっ」
ユーリ「ただの熱でしょ?」
ユーリ「そんなことで死ぬなんて冗談でも言わないでね?」キッ
チト「ごめん…」ヒリヒリ
ユーリ「もしちーちゃんが死んだら、私もすぐ死ぬから」
チト「えっ」
ユーリ「ちーちゃんがいない世界なんて生きる価値ないよ」
チト「ユー…」
ユーリ「だから、私のために生きてね?」
チト「…わかった」
18:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:23:12.56
ID:OZn9YOLL0
ユーリ「さてと、今日はもう寝て」
ユーリ「明日は元通り元気なちーちゃんを見せてよね」
チト「うん…」
チト「あ」
ユーリ「?」
チト「お礼、まだ言ってなかったよな?」
チト「ありがとう、いろいろ…」
ユーリ「どういたしまして」
チト「おやすみ」
ユーリ「おやすみ」
19:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:23:43.45
ID:OZn9YOLL0
…
トトトトト…
ユーリ「今日は昨日とうってかわって、いい天気だねぇ…」
ユーリ「絶好の旅日和だ」
チト「そうだな」
ユーリ「本当に体調は大丈夫なの?」
チト「まあな、おかげさまで」
チト「ユーこそ大丈夫なのか?運転」
ユーリ「もっちろん、まかせて!」
ユーリ「ちーちゃんは寝てていいよ」
チト「そうか、悪いな」
ユーリ「これからはどんどん私を頼りにしていいから!」
20:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:24:17.01
ID:OZn9YOLL0
チト「…って言ったよな?」
ユーリ「あはは…」
チト「それなのに、なんで…」
チト「なんで!溝に!ハマるかな!?」
ユーリ「いやー、これは仕方ない」
ユーリ「誰だって気付かないよ」
チト「それ以前の問題だろ?」
チト「まっすぐ運転できましたか?」ゴゴゴ
ユーリ「できませんでした…」
チト「だよな?」
ユーリ「ハイ」
21:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:24:49.34
ID:OZn9YOLL0
チト「あーあ、どうしよう…」ハァ
ユーリ「でもさ、考えようによっては良かったんじゃない?」
チト「何が?」イラッ
ユーリ「ちーちゃんの生きがいを取り戻せたじゃん」
チト「調子に乗るな」ゴン
ユーリ「ぐえっ」
ユーリ「いたい…」ヒリヒリ
22:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:25:25.45
ID:OZn9YOLL0
チト「まあでも?」
チト「やっぱりユーは、私がいないとダメみたいだな」
ユーリ「うん、そうだよ」
チト「…」フーッ
チト「まったく…しょうがないなあユーは」
ユーリ「えへへ…」
チト「…引き上げるから、何か挟めるもの持ってきて」
ユーリ「りょーかい!」
23:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/14(木) 23:25:59.23
ID:OZn9YOLL0
おわりです。
お読みいただきありがとうございました。
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