2:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 17:56:19.39
ID:ImEoAZr+O
繋がらない。
完全に途絶えてしまっている。
私が絶対の信頼を置いていたソレは、もはや何の役にも立たなくなっていた。
つい先程までは何ともなかった。
けれど、ふとした一瞬で。
なにも出来なくなってしまって。
心細さが胸を埋める。
頼れるモノが近くに無い。
それだけで、不安は何倍にも増した。
3:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 17:57:09.07
ID:ImEoAZr+O
後どれくらい、このままでいなければならないのだろうか。
これでは私の論破率が下がってしまう。
一緒に鷺沢さんと読めなくなってしまう。
プロデューサーさんの質問に、すぐ答えられなくなってしまう。
一つだけ方法はあった。
この苦しみ・不安から抜け出す方法が。
今すぐにも可能な事だ。
そしてソレを行えば、瞬時に私は解放されるだろう。
4:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 17:57:49.54
ID:ImEoAZr+O
けれど、それを行ってしまえば。
私は、きっと…
仕方が無い。
自分が依存しすぎてしまっていた。
諦めるしか、無い。
…然るべき罰として、受け入れる他無い様ですね。
そうポツリと呟き。
私は一人、その日を待ち望んだ。
5:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 17:58:33.72
ID:ImEoAZr+O
橘ありす:通信制限編
6:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 18:09:03.84
ID:ImEoAZr+O
目の前に、恐怖の具現化が存在している。
例え私が何をしようとも、どんな手を使おうとも。
正確に、無慈悲に。
全てを突き付けてくる、悪魔の機械。
目を逸らしても意味は無い。
どのみち逃げられぬ運命なのだから。
もし今私がここを逃げ出したところで。
明日には、逃げられぬ場所でまた待っているのだ。
7:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 18:09:58.39
ID:ImEoAZr+O
知識とは常に人間にとってプラスになる物とは限らない。
ソレを知らなければ幸せに暮らせた人もいるだろう。
優しい嘘という言葉がある通り、常に正しい事だけを知ると言うのは。
おそらく人間にとっては、良い事だけでは無い筈だ。
だから私が今ここで。
ソレを知る必要は無い筈だ。
そう言い訳を羅列する。
泣きそうになりながらも、けれど心の何処かで分かっていた。
今さらそんな事を考えても、最早意味などないという事を。
遅かったのだ。
間に合わなかったのだ。
もう少し早くに、気付けていれば…
8:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 18:10:27.03
ID:ImEoAZr+O
何が、美味しいから大丈夫なのだ。
今の私ならわかる。
全くもって大丈夫では無いと言う事を。
…逃げられないよね…
意を決して、私は乗り込む。
その先にあるものが希望が、あるいは絶望か。
神判は、下された。
9:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 18:10:57.14
ID:ImEoAZr+O
三村かな子:体重測定
12:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 19:56:59.01
ID:ImEoAZr+O
かさかさ、かさかさ
かちかち、かちかち
静かな部屋に、時計の音と足音だけが響き渡る。
あれからどれくらいの時間が経っているだろう。
一時間かもしれないし、五分かもしれない。
緊迫した空気は私の体感時間を狂わせている。
暗い部屋の中で、息を殺して耳を澄ませる。
それだけで段々と息が上がりそうになってきたけれど、ここで相手に私の位置を教える方が不味い。
必死になって、口を押さえた。
13:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 19:57:27.86
ID:ImEoAZr+O
久しぶりに、部屋を掃除しようかな。
ママに怒られちゃうし。
きっかけは、そんな軽い気持ちだった。
普段からきちんと整理整頓していれば良かったのに。
今さらそんな後悔した所で、何かが変わる訳ては無いが。
ガサッ!
「きゃっ!」
足音が一気に大きくなる。
思わず私は悲鳴をあげた。
14:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 19:58:04.67
ID:ImEoAZr+O
いや!いや!いや!!
早く出て行って!近付かないで!
私はアイドル。
誰かに付き纏われる事も、残念ながら慣れていた。
でも、いつもプロデューサーさんが守ってくれて。
けれど、今。
この場にプロデューサーさんは居ない。
私を守ってくれる者は、誰一人…
15:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 19:58:32.23
ID:ImEoAZr+O
「助けて…助けて下さい!」
当然、何も起こらない。
現実は無慈悲にも、私一人で終わらせろと告げる。
…やるしか、ない。
やらなきゃ、やられちゃう。
すぅ…と大きく息を吸って、私は覚悟を決めた。
相手を殺す、と言う覚悟を。
私が殺す、と言う覚悟を。
16:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 19:59:20.43
ID:ImEoAZr+O
島村卯月:G
17:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 20:05:15.47 ID:WEudf3+IO
書き分けが上手いからか分かりやすくて好き
18:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 20:18:46.72 ID:cynfdoSDO
いかに日常に恐怖が満ち溢れているかがよく分かる
19:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 20:38:36.00
ID:ImEoAZr+O
つん、と鼻をつく様な臭いが部屋を埋める。
私は現実を受け入れられず、すぐさま扉を閉じた。
あまりの衝撃に、一瞬夢かと思ってしまう。
ベタだけどほっぺたを抓り、既に目は覚めている事を確認。
出来れば夢であってほしかったけど。
残念なことにコレは本当の事みたい。
直視するのが怖い。
触れるのが怖い。
現実を受け入れるのが、怖い。
20:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 20:39:10.68
ID:ImEoAZr+O
それでもナナは、進まなきゃいけないんです。
全て、自分の責任だから。
私の不注意が引き起こしてしまった事だから。
最近は、お仕事がいそがしかったから。
飲みに誘われて家に帰れない事が多かったから。
色々な人がお裾分けをくれるくらい、仲良く慣れたから。
理由を並べるも、現状を打破してくれる訳ではない。
むしろ悲しみが大きくなってゆく。
21:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 20:39:57.48
ID:ImEoAZr+O
なんだか涙が溢れそうになった。
でも、ナナは負けない。
今までも泣きそうになった事は何度もある。
けれど、その積み重ねで私は成長してきたんだ。
今回だって、やり直せばいい。
一から作り直せばいい。
大きく窓を開け、換気扇を付け。
ゴミ袋を大量に用意して。
腐臭を振り撒くその扉へと、手を伸ばした。
22:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 20:40:30.69
ID:ImEoAZr+O
安部菜々:夏の冷蔵庫
23:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 23:23:04.12
ID:ImEoAZr+O
…もう、引き返せませんね…
ザァザァと強い雨の中。
傘をさし本を片手に事務所へと向かう途中で。
私はふと、とある事に気付いてしまった。
…気付かなければ…良かったのに…
そんな事、考えさえしなければ良かった。
それなら今日も1日、何てことなく過ごせたのに。
けれど、気付いてしまった。
その時点でもう、逃れられない。
24:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 23:23:36.19
ID:ImEoAZr+O
現時点で、若干遅刻気味だ。
今更引き返してしまえば、大目玉だろう。
そんな選択肢を取る訳にはいかない。
けれど、だとしたら。
私は1日。
この辛さを味合わなければならないのか。
…大丈夫な筈…でも、もしかしたら…
25:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 23:24:17.65
ID:ImEoAZr+O
不安が渦を巻く。
一度気にしてしまうと、もう間に合わない。
大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせても。
心は全く落ち着いてくれなかった。
どうしましょうか…ええと…
悩み過ぎて、足を止めてしまう。
そんな事をするくらいなら走って戻ればいいのに。
そこまで踏み切れず、私は立ち竦んでしまった。
26:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 23:26:35.48
ID:ImEoAZr+O
ええと…ええと………
パニックに陥ってしまった。
思考が落ち着かない。
どうしよう、どうしよう!
もう時間のことなんて忘れ。
私は走って、家まで戻った。
やらない後悔より、やって後悔。
私はアイドル活動を通して、そう学んだのだ。
きっとこれで間違いは無い。
これで、私は。
ちやんと、安心出来る。
結果、私は自分が思っているよりしっかり者だった様で。
きちんと、締めてあった。
27:
◆TDuorh6/aM 2016/09/08(木) 23:27:17.41
ID:ImEoAZr+O
鷺沢文香:家の鍵、締めたっけ…?
28:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 23:34:53.29 ID:cdB37H8/O
大抵閉まってるよね……
29:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 23:36:09.32 ID:9Sx5RHTwo
確認しなかった時に限って開いてるよね……
30:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/08(木) 23:36:14.59 ID:6hKy5SlQo
10回に1回くらい開いてるんだよなあ…
39:
◆TDuorh6/aM 2016/09/09(金) 15:11:45.08
ID:2+C2qNCLO
ひんやりと、私の足元から冷たい空気が伝ってきた。
まるでこの部屋だけが異世界へと移ってしまったかの様に。
一瞬にして、ただの汗が冷や汗へと変わる。
アタシが仕事に行く前は、こんな事にはなって無かった。
ほんの数時間。
それなのに、こんなに…
今朝、妹の莉嘉に起こされて。
眠い目を擦って支度を終え、一緒に家を出た。
その時はこんな事になるだなんて。
想像すら出来なかった。
40:
◆TDuorh6/aM 2016/09/09(金) 15:12:38.30
ID:2+C2qNCLO
今までに経験した事の無い震えが、体の芯から湧き上がる。
どうしよう、どうしよう。
どうすればいいのか分からず、アタシは鞄を落としてしまった。
自分の部屋なのに。
過ごし慣れた空間なのに。
それなのに、扉を開けるのが、怖い。
その先に待っているのは、きっと。
アタシにとって、恐怖以外の何でも無いから。
41:
◆TDuorh6/aM 2016/09/09(金) 15:13:19.11
ID:2+C2qNCLO
けれど、それは自分が招いてしまった事。
誰かの所為にするのは御門違い。
責任は自分で取らなければならない。
自分の口から、自分の手で。
一気に、扉を開ける。
部屋に充満した空気が、私を襲う。
夏とは思えないくらいの冷や汗を、けれどアタシは耐えて。
部屋へと、踏み込んだ。
42:
◆TDuorh6/aM 2016/09/09(金) 15:13:49.02
ID:2+C2qNCLO
城ヶ崎美嘉:冷房消し忘れ
43:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/09(金) 16:18:20.56 ID:nxuLwWlqO
それは割と気持ちいいからまあいっかってなるやつ
44:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/09(金) 18:14:55.50 ID:beppPTWKO
フィギュアとかプラモとか飾ってると消せないねん
45:
◆TDuorh6/aM 2016/09/09(金) 23:47:50.27
ID:2+C2qNCLO
あぁ…やっちまった
大きく息を吐き、スマホを投げ出す。
虚無感が今になって襲い掛かってきた。
あたしは、我慢出来なかったんだ。
自分が思っている以上に、あたしの心は弱かった。
何が大丈夫大丈夫ーだ。
結局、こうなっちゃったじゃないか。
46:
◆TDuorh6/aM 2016/09/09(金) 23:48:20.54
ID:2+C2qNCLO
どうしよう…
今更考えても仕方の無い事ではあるけれど。
考えずにはいられないんだ。
だって、もし…
いや、やめよう。
これ以上苦しむのは嫌だ。
全部自分が悪かった。
そうやって、納得するしかないんだ。
47:
◆TDuorh6/aM 2016/09/09(金) 23:49:27.26
ID:2+C2qNCLO
運が悪かった。
タイミングが悪かった。
そう自分に言い聞かせても、やっぱり。
心の何処かに、納得出来ていない自分が居た。
はー…
なんだか、何も考えたくないな。
色んな予定が入ってた気がするけど。
凛と加蓮との遊びも、暫くは断って。
このまま寝ちゃおうか。
48:
◆TDuorh6/aM 2016/09/09(金) 23:50:08.55
ID:2+C2qNCLO
うん、そうしよう。
失っちゃったモノも小さくないし、何より。
もう、あたしには。
限界が、来てるから…
49:
◆TDuorh6/aM 2016/09/09(金) 23:50:54.22
ID:2+C2qNCLO
神谷奈緒:月頭に課金上限
54:
◆TDuorh6/aM 2016/09/10(土) 14:05:59.95
ID:CLiUVB2DO
まずいまずいまずい
絶対に大丈夫だと思っていたのに。
バレるはずは無かったのに。
こんな事になるはずじゃなかったのに。
今まで築き上げてきたモノが、全て崩れ落ちる音がした。
確かに善悪で言えば悪だけれど。
セーフアウトで言えばアウトだけれど。
白か黒かと言われれば黒だけれど。
55:
◆TDuorh6/aM 2016/09/10(土) 14:06:36.17
ID:CLiUVB2DO
それでも、このまま誰もが幸せに終われる。
その予定だった。
プロデューサーさんが、倒れるまでは。
56:
◆TDuorh6/aM 2016/09/10(土) 14:07:10.42
ID:CLiUVB2DO
仕事自体は、大人組や他の部署の方々の協力で何とでもなった。
騒いだりお見舞いに行きたがる子達も、説得して止められた。
プロデューサーさん本人も、数日もすれば治る。
全てが丸く収まる、筈だった。
一部のアイドルが何もせずにいてくれれば。
過度の疲労、そんな事ならいくらでも対処できる。
悪いのは事務所側であって私個人では無いから。
有給を取らせるなり叱るべき金額を払うなり。
他のアイドル達もそれで納得してくれていた。
けれど、誰が言い出したのかは分からないけれど。
プロデューサーが常に飲んでいるドリンクに原因があるのではないか。
そんな噂が流れた時、全ては一変した。
57:
◆TDuorh6/aM 2016/09/10(土) 14:07:41.66
ID:CLiUVB2DO
まるでシーソーがいきなり傾く様に。
唐突に電柱が倒れてくる様に。
安全だと思っていたモノがいきなり爆発したかの様に。
私の立ち位置は、一気に揺らいだ。
ドリンクのストックは私しか分からない場所に隠してある。
けれど、プロデューサーさんの家の冷蔵庫にも数本残っていたなんて考えが及ばなかった。
持ち越しは厳禁と伝えておいたのに。
それもまた、疲労によって忘れていたのかもしれないけれど。
58:
◆TDuorh6/aM 2016/09/10(土) 14:08:36.12
ID:CLiUVB2DO
もう直ぐ、来てしまう。
けれど私は逃げるわけにはいかない。
何とかして、上手く落とし所を見つけなければ。
ツケが回ってきたなんて考えない。
これを糧として、またうまい方法を考えないと。
大きく息を吸い込み。
私は、覚悟を決めた。
59:
◆TDuorh6/aM 2016/09/10(土) 14:09:47.56
ID:CLiUVB2DO
千川ちひろ:虚偽表示・違法薬物・違法労働・etc
62:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/10(土) 14:14:10.66 ID:CCuy0no1o
これは懲役ですわ…
63:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/10(土) 16:26:06.05 ID:123wU+gDO
悪は滅びるのだ
65:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/10(土) 20:06:24.52 ID:Y+/xgDaAo
最後全然ありふれてないのですがそれは……
66:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/10(土) 20:29:40.72 ID:Cl9gAqO5o
>>65
薬物以外はありふれてるんじゃ?(ブラック感)
67:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/09/11(日) 00:43:02.86 ID:MYc8ovca0
すっきりさっぱり読みやすかった
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1473324936/
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