1:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:34:19.40
ID:3eIcWRnS0
須賀京太郎 15歳 春
己の雀力に限界を感じ悩みに悩みぬいた結果
彼がたどり着いた結果(さき)は
感謝であった
2:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:35:40.91
ID:3eIcWRnS0
京太郎「なぁ、咲」
咲「何?」
京太郎「もしさ……俺が麻雀やってなかったら、今頃自分はどんな感じだったと思う?」
咲「え? どうしたのさ、いきなり急に」
京太郎「いや、ふと気になってな」
咲「うーん……そうだねぇ……」
3:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:37:37.31
ID:3eIcWRnS0
咲「とりあえず、京ちゃんは勿論、私も麻雀部には入ってないことになるのかな」
京太郎「俺が連れてきたわけだしな」
咲「てことは和ちゃんや優希ちゃん、部長や染谷先輩のこともよく知らなくて……」
京太郎「うんうん」
咲「……中学の頃と似たような変わらない感じ?」
京太郎「それってさ、今とどっちが楽しいと思う?」
咲「それはもちろん、今だよ!」
京太郎「そっか……なら、やっぱ麻雀には感謝しないとな」
4:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:40:06.31
ID:3eIcWRnS0
咲「それにしても、変なこと聞くね。何かあったの?」
京太郎「なんかさ、申し訳なくなったんだ。麻雀に」
咲「え?」
京太郎「ほら、俺って麻雀弱いだろ?」
咲「まぁ、初心者だし……」
京太郎「俺たちさ、麻雀のおかげでこうして皆と出会って、楽しくやってるわけだ」
京太郎「それなのに、俺はこんなに弱いじゃん。何か麻雀に、申し訳なくなってさ」
咲「……京ちゃん、変なものでも食べた?」
京太郎「俺は真面目な話をしてるんだっつーの!」
5:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:41:39.78
ID:3eIcWRnS0
咲「よくわからないけどさ、弱いのが嫌なら、強くなればいいんじゃない?」
京太郎「そんなホイホイ強くなれれば苦労しねーよ」
咲「プロの人たちだって、最初はみんな弱かったんだよ」
京太郎「と言われてもな……」
咲「それ以外にも、感謝? を示したいなら、色々あるんじゃない?」
京太郎「例えば?」
咲「うーん……卓を拭くとか、部室の掃除をするとか……」
京太郎「それ、いつもやってるわ」
咲「あ、ありがとう……ごめん……」
6:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:42:53.21
ID:3eIcWRnS0
咲「ま、まぁ、京ちゃん初心者なんだから、これからどんどん伸びるよ!」
咲「ほら、私も協力してあげるからさ」
京太郎「伸びる……か。でもなぁ……」
『リンシャンツモ。70符2飜は1200・2300』
京太郎(どれだけ鍛えても……)
京太郎(ああは、なれるとは思えないんだよなぁ)
7:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:43:58.22
ID:3eIcWRnS0
・
・
・
京太郎(お、トップ……初心者卓だけど)カチカチ
京太郎(へへへ……やっぱ楽しいよなぁ、麻雀って)
京太郎(和や優希、部長、染谷先輩……友達もいっぱいできたし)
京太郎(これも全部、麻雀のおかげだよな……)
京太郎(…………)
京太郎(やっぱ、少しでも恩を返したい)
京太郎(咲たちはきっと、次の県大会でも優勝して、全国に行くだろう)
京太郎(でも、俺は全国とかそんな力はない)
京太郎(俺に、やれることは……何か……)
京太郎(……………………)
8:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:45:07.24
ID:3eIcWRnS0
京太郎は考えた。
悩みに悩んだ。
そしてしばらく後、麻雀マットと牌を部屋に持ってきた。
京太郎(よし……明日は休日だな。やるぞ!)
9:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:46:29.33
ID:3eIcWRnS0
自分自身を育て、最高の仲間たちとも出会わせてくれた、麻雀への限りなく大きな恩
自分なりに少しでも変えそうと思いたったのが
一日一万回 感謝のツモ切り!
気を整え 拝み 祈り ツモって 切る
一連の動作を一回こなすのに当初は5~6秒
一万回ツモ切り終えるまでに初日は18時間以上を費やした
10:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:48:02.29
ID:3eIcWRnS0
和「須賀君、どうして机の中にタオルを敷いてるんですか?」
京太郎「授業中に牌の音を出したら、まずいからな」
和「?」
ツモ切り終えれば倒れる様に寝る
11:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:49:19.38
ID:3eIcWRnS0
優希「京太郎、何ニヤニヤしてるんだじぇ?」
京太郎「いや、麻雀への感謝の示し方を見つけてな」
まこ「……京太郎、疲れとるのか?」
久(雑用押し付けすぎたのかしら……)
起きてはまたツモ切るを繰り返す日々
12:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:50:23.31
ID:3eIcWRnS0
一ヵ月が過ぎた頃 異変に気付く
京太郎(…………!)
京太郎(どういう……ことだ……!?)
13:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:51:35.35
ID:3eIcWRnS0
一万回ツモ切り終えても 日が暮れていない――――――――――
14:
◆cC.wC24o9M 2016/07/31(日) 16:53:05.80
ID:3eIcWRnS0
今日はここまで。
予定では6~7回で終わります。ちなみにシリアス展開は全くありません。
20:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 20:03:35.87 ID:AqrIcfMho
乙です
ハンターハンターも咲も大好きだからめっちゃ期待
21:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/31(日) 21:09:56.67 ID:M1oMhSPEO
雑用押し付けすぎたかしらってなにげにひどいなww
26:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:42:29.76
ID:ooaHK/bZ0
『決まったぁーっ! 長野県代表は、清澄高校!』
県大会が終わる頃 完全に羽化する
京太郎(……9998、9999、10000!)
感謝のツモ切り 1時間を切る!!
27:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:43:29.17
ID:ooaHK/bZ0
久「よーし、全国出場おめでとうパーティー始めるわよ!」
優希「おー……って京太郎、何してるんだじぇ?」
京太郎「祈ってる」
和「最近の須賀君、どうしたんでしょうか……」
咲「個人戦も『いま俺自身が大変でそれどころじゃない』とか言って出なかったしね」
まこ「そっとしておきんしゃい……」
かわりに 祈る時間が増えた
28:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:44:37.52
ID:ooaHK/bZ0
そして
久「……それじゃ、そろそろ暗くなってきたし、今日の部活は終わりにしましょう」
和「そうですね。じゃあ皆さん帰りましょうか」
優希「うむ……って聞いてたか? 今日もそこで祈ってる犬」
京太郎「…………」ツカツカ
咲「京ちゃん?」
タンッ!!
29:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:45:44.54
ID:ooaHK/bZ0
京太郎「…………」
まこ「どうしたんじゃ、京太郎? いきなり牌を切ったりなんかして」
京太郎「……ああ、すいません。そうですね、帰りましょうか……」
京太郎「ふ、ふふふふ……はははは……」
咲「きょ、京ちゃん……?」
まこ「もしかして今度の合同合宿、久にハブられたからおかしくなっとるんじゃ……」
久「そ、そんな! だって連れてくわけにもいかないでしょ!」
優希「そもそも京太郎がおかしいのは、ここずっとだじぇ」
和「…………」
和(いま……須賀君が打った後で、牌の音が聞こえたような……)
和(気のせい、ですよね……)
京太郎の打牌は 音を置き去りにした
30:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:47:02.47
ID:ooaHK/bZ0
・
・
・
京太郎(…………)
京太郎(俺の雀力は、相変わらず最低レベルのままだ)
京太郎(だが、もしあの手が使えれば……誰にも負ける気はしねぇ)
京太郎(確かみんなが行ってる合宿所は、県外に出てすぐそこだったな)
京太郎(……試して、みるか)
31:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:48:15.39
ID:ooaHK/bZ0
合宿所
文堂「うわ、あの卓すごい」
蒲原「入りたくないなー」
咲「…………」
衣「…………」
靖子「あと一人」
32:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:49:45.37
ID:ooaHK/bZ0
久「じゃあ私が入って、久しぶりに本気……」
スッ
京太郎「お願いします」
咲「きょ、京ちゃん!?」
衣「む?」
靖子(……誰!?)
34:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:50:42.55
ID:ooaHK/bZ0
久「す、須賀君!? 何でここにいるの!?」
京太郎「え? いや場所は聞いてましたんで、普通に来ました」
久「そういうこと言ってるんじゃない!」
靖子「おい、誰なんだこの少年は?」
咲「え、えっと……一応、うちの部員で……」
京太郎「清澄一年、須賀京太郎です。咲、天江さん、藤田プロ。ぜひ俺を加えてください」
久「いやいやいや、ちょっと待ちなさい須賀君!」
35:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:51:35.87
ID:ooaHK/bZ0
ニャニャ!オトコガイルシ!
ワハハ、ソウイエバキヨスミハキョウガクダッタナー
アー、オレアイツ、プールデミタコトアルワ
オトコハカエルッスヨ、シッシッ!
京太郎「何か騒がしいですね」
久「誰のせいだと思ってんの! 男子がここに来ちゃダメでしょ!」
京太郎「別に合宿に参加させろってわけじゃないです。一局打つだけですよ」
久「あのねぇ……須賀君は初心者でしょ。あの3人と打ってみなさい、瞬殺されるわよ」
京太郎「大丈夫です。でも今の俺は負ける気がしません」
久「そんなわけないでしょ。今すぐ帰りなさい」
衣「うむ、見たところお前からは何も感じない。衣の相手になるとは思えぬ」
靖子「……まぁ、度胸は認めてもいいけど、初心者が入れる卓じゃない」
36:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:52:19.16
ID:ooaHK/bZ0
京太郎「……確かに俺には、才能は無いかもしれません」
京太郎「ですが、そんなものに頼る必要なんかなくなったんですよ」
衣「ほう、では何を頼るというのだ?」
京太郎「……力、ですよ」
京太郎「才があろうとなかろうと、関係ない。圧倒的な力でねじ伏せる」
京太郎「今の俺には、それができると確信してます」
久「須賀君、ちょっといいかげんに……」
靖子「わかった、須賀君だったかな。そこまで言うなら一局だけ打とうか」
久「えぇ!?」
37:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:53:18.23
ID:ooaHK/bZ0
靖子「少し強くなった初心者が、調子に乗るのはよくあることだ」
久「いや、そもそも彼、ここ一ヵ月以上も打ってる姿さえも見てなくて……」
靖子「久の後輩でもあるし、一度現実ってものを教えてやるのもいい」
京太郎「ありがとうございます! 咲と天江さんも、よろしいですか?」
衣「構わん。だが、衣の麻雀に凡夫が耐えられるとは思えんがな」
咲「きょ、京ちゃん、本気?」
京太郎「よろしくお願いします」
久「はぁ……須賀君、気を失わないようにね」
透華「」ポツーン
38:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:54:37.99
ID:ooaHK/bZ0
京太郎「その前に一つ。俺の後ろに、何か見えますか?」
咲「え? 後ろ?」
衣「……?」
靖子「いや、特に何も。観戦者はいるけど」
京太郎「そうですか……いや、変なこと聞いてすみません。始めましょう」
衣(……この男は、凡夫。それは間違いなきこと)
靖子(だが……虚勢にも見えない、この自信はどういうことだ……?)
咲(京ちゃん……一体どうしたの?)
この場にいる、誰もが見えていなかった。
京太郎の背後の、観音像を。
39:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:55:48.70
ID:ooaHK/bZ0
東1局
靖子「リーチ」
咲(早い……これはオリかなぁ)
衣(さて、お手並み拝見といくか)
靖子(七対子の一索待ち……河に四索がある、ひっかけだ)
靖子(さて、どう出る? 少年)
京太郎「……」タンッ
靖子(なっ……ド真ん中の無筋だと!?)
京太郎「……通し、ですよね?」
靖子「あ、あぁ……」
40:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:56:39.56
ID:ooaHK/bZ0
・
・
・
靖子「テンパイ」
咲「ノーテンです」
衣「ノーテン」
京太郎「テンパイ」
衣「……えっ?」
咲「一索単騎の、形式テンパイ……?」
京太郎「これが当たると、思ったんでな」
靖子(馬鹿な、そんなビタ止め……偶然か?)
京太郎「確信しましたよ……この麻雀、俺に負けはありえないって」
靖子「な、何!?」
41:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:57:40.89
ID:ooaHK/bZ0
東2局
衣「さて、そろそろ御戸開きといこうか」ゴォッ
靖子(始まったか……衣の支配)
咲(一向聴地獄……大会の時も思ったけど、やっぱり手ごわい……)
靖子(しかも、このまま行くと海底は……)
京太郎(…………)
42:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 20:58:57.99
ID:ooaHK/bZ0
京太郎「……リーチ」
咲(え? ラスト一巡でリーチ?)
靖子(衣の支配を突破したか……しかし)
衣「無駄だ。海底をツモるのは衣、有象無象に和了れはせぬよ。リーチだ」
京太郎「へぇ……じゃあ、試してみましょうか」
43:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 21:00:18.33
ID:ooaHK/bZ0
衣「ふん……何をしようと、この海底で終わりだ」ツモッ
京太郎「…………」
衣「……な……!?」
靖子「どうした?」
咲「衣ちゃん……もしかして、和了れなかったの!?」
衣(馬鹿な……確かに海底は、七筒を感じていた……)
衣(なぜ、七筒ではないのだ!?)
44:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 21:01:27.13
ID:ooaHK/bZ0
衣「ぐ……」タンッ
京太郎「それです、天江さん。メンピン河底……裏々。満貫ですね」
衣「そ、そんな馬鹿な!?」
靖子「衣が海底で和了れないばかりか、振り込んだ……だと……!?」
京太郎「……いつから……」
衣「……!」
京太郎「いつから『海底は自分だけのもの』と、錯覚していたんです?」
衣「……!?」
京太郎「さぁ、まだ東二が終わっただけです。次いきましょう」
45:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 21:02:32.84
ID:ooaHK/bZ0
東3局
衣(そんな……なぜ、和了れなかった……)
靖子(手が進む……さっきの衝撃で、衣の支配が弱くなっている……?)
咲「ポン」
靖子(……! 今度は、こっちか……!)
京太郎(咲がポンか。ということは、おそらく……)
咲「カン」
京太郎(やはり、加カン!)
46:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 21:03:47.55
ID:ooaHK/bZ0
咲(嶺上牌は、四萬。これで、和了る)
京太郎「…………」
咲「……え……そんな……」
衣「……どうした、咲?」
靖子「まさか、お前まで!?」
咲「嘘……なんで、和了り牌じゃないの……」タンッ
京太郎「それだ、咲。タンピン三色ドラドラ、跳満」
咲「なっ……!」
靖子(ぐ、偶然なんかじゃない……この少年は……)
京太郎「さぁ、この親番で決めるとするか」
47:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 21:05:07.46
ID:ooaHK/bZ0
東4局
衣「うぅ……馬鹿な……」
咲「…………」タンッ
京太郎「咲、その牌……カンだ」
咲「……え……」
京太郎「咲も天江さんも、一つ大きな勘違いをしている」
衣「……なに……」
48:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 21:06:31.09
ID:ooaHK/bZ0
京太郎「確かに、天江さんは海底、咲は嶺上牌を支配しているのかもしれない」
京太郎「だが……その支配は、絶対的なものではないってことだ」
靖子「……どういうことだ……?」
京太郎「圧倒的に強大で、抗いようのない強さ……牌の神様ですら屠るような力」
京太郎「そんなモノと戦っても、その支配力は維持できるのか?」カシッ
咲「……! カンドラ、モロ乗り……!」
衣「ま、まさか……」
京太郎「見せてやるよ。これがその力……神をも滅ぼす力だ!」
京太郎「ツモ! タンヤオ、嶺上開花……ドラ4! 親っ跳ね、18000!」
京太郎「咲……責任払いで、トビだ」
49:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 21:07:42.66
ID:ooaHK/bZ0
咲「…………」ボーゼン
衣「……な、何者なんだ、お前は……」
靖子「まさか、君も……牌に愛された子なのか?」
京太郎「いえ、俺に才能はありません。凡夫なのは間違いないでしょう」
京太郎「でも……そんな凡夫でも、力があれば勝てる」
京太郎「たとえ相手が、牌に愛された子……麻雀の神様を味方につけた相手でも」
京太郎「だから、俺は牌に愛された子じゃない。言うなれば……」
50:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 21:09:01.59
ID:ooaHK/bZ0
京太郎「『神殺し』須賀京太郎……とでも、呼んでください」
須賀京太郎、15歳。
まだまだ厨二病が抜けきっていない年齢であった。
51:
◆cC.wC24o9M 2016/08/01(月) 21:11:45.40
ID:ooaHK/bZ0
今日はここまでです。
次回はこの対局の、京太郎サイドからの回想みたいな感じになります。
まだ全部書きあがってはいませんが、予定ではあと4回で終わります。
52:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/01(月) 21:27:43.42 ID:owO5WLiHO
このまま中二病を患って行くのか
良いぞもっとやれ
53:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/01(月) 21:29:17.63 ID:9yO3Y4QH0
最後の最後でワロタwww
そらぁ高校1年生だし抜けて無い奴も普通に居るよなw
74:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:17:04.33
ID:4ac8woKk0
京太郎「いや~、あんなうまくいくなんてな」
京太郎「他校の女の子の連絡先もいっぱいゲットできたし、行ってよかった」
京太郎「今のところ俺の最強モテモテ計画、絶好調だ!」
京太郎「本当に麻雀には感謝の言葉もないぜ」
75:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:18:57.61
ID:4ac8woKk0
一週間前
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東一局
靖子「リーチ」
咲(早い……これはオリかなぁ)
衣(さて、お手並み拝見といくか)
靖子(七対子の一索待ち……河に四索があるひっかけだ)
靖子(さて、どう出る? 少年)
76:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:20:34.33
ID:4ac8woKk0
京太郎(藤田プロからリーチか……うーん、とりあえず筋だし一索でも切りたいけど……)
京太郎(ここで、須賀式観音・参乃掌!)
須賀式観音・参乃掌は
相手の手牌を引き寄せ 即座にもとに戻すという 危険牌の察知等に有用な掌
靖子の手牌を確認し戻すまでの間 0.1秒を切る
京太郎(ふむふむ……って、一索当たってるじゃん! あぶねーあぶねー、別の牌切っとこ)
京太郎(そうだ、せっかくだから無筋を切った方がかっこいいな)タンッ
靖子(なっ……ド真ん中の無筋だと!?)
京太郎「……通し、ですよね?」
靖子「あ、あぁ……」
77:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:21:40.41
ID:4ac8woKk0
京太郎(よーし、次は壱乃掌だ。ツモられちゃ終わりだしな)
須賀式観音・壱乃掌は
山や王牌にある牌をめくり確認し戻す 最もシンプルな掌
都合の悪い牌なら そのまま別の牌にすり替えることも可能
京太郎(ふんふん……げ、藤田プロ次で一索ツモるじゃん。隣の牌と入れ替えとこ)ヒュンヒュン
京太郎(さて、どうしよう。ツモ牌操作すれば俺が和了ることなんて余裕なんだけど……)
京太郎(ここは一発、当たり牌のビタ止めでビビらせときますか!)
78:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/02(火) 22:21:47.84 ID:JaDeWIed0
ばれなきゃイカサマじゃないからなー
79:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/02(火) 22:22:39.82 ID:RK1LKO/9o
0.1秒って普通に見えませんかね…
80:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:22:58.86
ID:4ac8woKk0
靖子「テンパイ」
咲「ノーテンです」
衣「ノーテン」
京太郎「テンパイ」
衣「……えっ?」
咲「一索単騎の、形式テンパイ……?」
京太郎「これが当たると、思ったんでな」
京太郎(てゆーか、手牌見たから当たり前なんだけど)
靖子(馬鹿な、そんなビタ止め……偶然か?)
京太郎「確信しましたよ……この麻雀、俺に負けはありえないって」
靖子「な、何!?」
京太郎(いける……須賀式観音は、誰の目にも追えてない……)
京太郎(ならば俺に、負けはありえない!)
81:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:24:03.04
ID:4ac8woKk0
東2局
衣「さて、そろそろ御戸開きといこうか」ゴォッ
靖子(始まったか……衣の支配)
咲(一向聴地獄……大会の時も思ったけど、やっぱり手ごわい……)
靖子(しかも、このまま行くと海底は……)
京太郎(うわー、これが噂の一向聴地獄か。確かに全然張れないな)
京太郎(ま、俺には関係ないんだけど。はい壱乃掌)ヒュンヒュン
京太郎(ふむふむ、次順ツモは西か。いらないな……)
京太郎(あ、次の咲のツモ三索じゃん。これ欲しいから俺の西とすり替えとこ)ヒュンヒュン
京太郎(えーっと、このままいくと海底は天江さんか。やっぱ和了るのかなぁ)
京太郎(ふっふっふ……皆の驚く顔が楽しみだぜ)
82:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:24:58.88
ID:4ac8woKk0
京太郎「……リーチ」
咲(え? ラスト一巡でリーチ?)
靖子(衣の支配を突破したか……しかし)
衣「無駄だ。海底をツモるのは衣、有象無象に和了れはせぬよ。リーチだ」
京太郎「へぇ……じゃあ、試してみましょうか」
京太郎(壱乃掌! なるほど海底は七筒で……次は参乃掌!)ヒュンヒュン
この間 0.1秒を切る
京太郎(うえっ、本当に七筒で和了ってるよ! まったく、牌に愛された子ってマジでチートだな……)
京太郎(だがしかーし! 王牌に俺の和了り牌、二萬があるのは確認済みだ!)
83:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:25:53.35
ID:4ac8woKk0
衣「ふん……何をしようと、この海底で終わりだ」ツモッ
京太郎(今だ! 海底と王牌の牌をすり替える!)ヒュンヒュン
衣「……な……!?」
靖子「どうした?」
咲「衣ちゃん……もしかして、和了れなかったの!?」
衣(馬鹿な……確かに海底は、七筒を感じていた……)
衣(なぜ、七筒ではないのだ!?)
京太郎(すんません、俺がすり替えたからっす)
84:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:26:48.41
ID:4ac8woKk0
衣「ぐ……」タンッ
京太郎「それです、天江さん。メンピン河底……裏々。満貫ですね」
京太郎(本当は裏は乗ってなかったんだけど、せっかくだしすり替えておいた)
衣「そ、そんな馬鹿な!?」
靖子「衣が海底で和了れないばかりか、振り込んだ……だと……!?」
京太郎「……いつから……」
衣「……!」
京太郎「いつから『海底は自分だけのもの』と、錯覚していたんです?」
衣「……!?」
京太郎「さぁ、まだ東二が終わっただけです。次いきましょう」
京太郎(き、き、き、気ン持チイイイイイイイイ!!!!!!!)
85:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:27:40.13
ID:4ac8woKk0
東3局
衣(そんな……なぜ、和了れなかった……)
靖子(手が進む……さっきの衝撃で、衣の支配が弱くなっている……?)
京太郎(うーん、いまいちだな……テキトーにツモをいい牌にすり替えとくか)ヒュンヒュン
咲「ポン」
靖子(……! 今度は、こっちか……!)
京太郎(咲がポンか。ということは、おそらく……)
京太郎(カンが、来る!)
86:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:28:28.65
ID:4ac8woKk0
京太郎(壱乃掌! 嶺上牌は四萬か……次は参乃掌!)ヒュンヒュン
京太郎(……四萬頭待ちか。ったく、ほんとにとんでもない連中だな)
京太郎(うんうん、この手牌だと二索は浮くな)
京太郎(対面の山の、左から4番目の上の牌が二索なのは壱乃掌で確認済み……)
京太郎(そして俺は、二索できっちり和了れるようにツモを操作していた)
咲「カン」
京太郎(やはり、加カン!)
京太郎(加カンできないように咲のツモ牌を操作することも、勿論できたが……)
京太郎(俺は、もっとカッコよさを求める!)
87:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:29:21.24
ID:4ac8woKk0
咲(嶺上牌は、四萬。これで、和了る)
京太郎(この瞬間、嶺上牌と二索をすり替える!)ヒュンヒュン
咲「……え……そんな……」
衣「……どうした、咲?」
靖子「まさか、お前まで!?」
咲「嘘……なんで、和了り牌じゃないの……」タンッ
京太郎「それだ、咲。タンピン三色ドラドラ、跳満」
咲「なっ……!」
靖子(ぐ、偶然なんかじゃない……この少年は……)
京太郎「さぁ、この親番で決めるとするか」
京太郎(やっべええええええ須賀式観音最高おおおおおおおおお)
88:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:30:22.02
ID:4ac8woKk0
東4局
衣「うぅ……馬鹿な……」
京太郎(よーし、最後は俺も嶺上開花で決めるとするか! 悪いが咲、トんでもらうぜ!)
京太郎(ん、配牌で二筒が対子か。なら参乃掌! 全員の手牌を確認!)ヒュンヒュン
京太郎(よし、誰の手牌にも二筒はない。じゃあ残り2枚は山か王牌のどこかに……)ヒュンヒュン
京太郎(あった! 1枚を俺がツモるようにして……)ヒュンヒュン
京太郎(あとは、咲に二筒回りを引かせないようにして……これでオッケー!)
89:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:31:06.79
ID:4ac8woKk0
京太郎(よし、張った! タンヤオのみのテンパイ!)
京太郎(そしてあとは、咲のツモに二筒を送り込む! すると……)ヒュンヒュン
咲「…………」タンッ
京太郎(来た!)
京太郎「咲、その牌……カンだ」
咲「……え……」
京太郎「咲も天江さんも、一つ大きな勘違いをしている」
衣「……なに……」
90:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:31:44.68
ID:4ac8woKk0
京太郎「確かに、天江さんは海底、咲は嶺上牌を支配しているのかもしれない」
京太郎「だが……その支配は、絶対的なものではないってことだ」
靖子「……どういうことだ……?」
京太郎「圧倒的に強大で、抗いようのない強さ……牌の神様ですら屠るような力」
京太郎「そんなモノと戦っても、その支配力は維持できるのか?」
京太郎(ここで新ドラ表示牌を、一筒にすり替える!)ヒュンヒュン
咲「……! カンドラ、モロ乗り……!」
衣「ま、まさか……」
京太郎「見せてやるよ。これがその力……神をも滅ぼす力だ!」
京太郎(嶺上牌を、場所確認済みの俺の和了り牌にすり替える!)ヒュンヒュン
京太郎「ツモ! タンヤオ、嶺上開花……ドラ4! 親っ跳ね、18000!」
京太郎「咲……責任払いで、トビだ」
91:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:32:42.04
ID:4ac8woKk0
咲「…………」ボーゼン
衣「……な、何者なんだ、お前は……」
靖子「まさか、君も……牌に愛された子なのか?」
京太郎「いえ、俺に才能はありません。凡夫なのは間違いないでしょう」
京太郎(実際、須賀式観音がなかったらボコボコにされてたわけだし)
京太郎「でも……そんな凡夫でも、力があれば勝てる」
京太郎「たとえ相手が、牌に愛された子……麻雀の神様を味方につけた相手でも」
京太郎「だから、俺は牌に愛された子じゃない。言うなれば……」
92:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:33:54.38
ID:4ac8woKk0
京太郎「『神殺し』須賀京太郎……とでも、呼んでください」
京太郎(決まったああああああああああっ!)
靖子「…………」
咲「…………」
衣「…………」
観戦者一同(((((神殺しはないでしょ…………)))))
96:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:35:47.08
ID:4ac8woKk0
久「ま、まぁ、ともかく……凄いわね、須賀君」
ゆみ「おいおい久。こんな強い一年がいるなんて、教えてくれてもよかったじゃないか」
久「いや、私が知ってる須賀君は弱々だったんだけど……」
和「須賀君、一体何が……ゆーき、何か知りませんか?」
優希「私も何が何だかサッパリだじぇ……地獄の底で悪魔と取引でもしてきたのか……?」
美穂子「須賀君……でしたっけ。今度はぜひ私とも打ってくれないかしら?」
ゆみ「ふむ……それほど強いなら、ぜひ鶴賀にも一度来てほしいところだな」
桃子「ええっ!? ダメっすよ、男は狼っすよ!」
智美「ワハハ、連絡先交換しとこかー? 須賀君」
透華「きーっ! 私より目立つなんて許しませんわ! 倒してさしあげます!」
靖子「……まいったな、とんだ化け物がいたもんだ」
衣「うむ……これほどの力を持ちながら、全く強そうな気配を持ち合わせていないのが更に恐ろしい」
咲「京ちゃん……凄いや……」
ワイノワイノ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
98:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:36:57.71
ID:4ac8woKk0
京太郎「来てる……俺の時代、完全に来てる……」
京太郎「この調子で、全国でも活躍し、テレビ中継とかされれば……」
和『素敵です須賀君! 抱いてください!』
美穂子『ああんもう、抜け駆けしちゃだめよ!』
桃子『先輩一筋だったっすけど……その、京さんのことも、ちょっといいかなって……』
智紀『須賀君……好き……』
まだ見ぬ巨乳雀士A『あの……私のこと、あったかくしてくれたらなって……』
まだ見ぬ巨乳雀士B『京太郎さん、神社の入り婿とか興味ありませんか?』
京太郎「うへ……うへへへへ……」
京太郎「ありがとう麻雀……感謝、感謝……」
京太郎「待ってろ、全国! 神殺しが大暴れしてやるぜ!」
100:
◆cC.wC24o9M 2016/08/02(火) 22:39:23.03
ID:4ac8woKk0
今日はここまでです。
明日はもしかしたら、もうちょっと遅い時間になるかもしれません。
>>79
実際0.1秒を切るのはテレプシコーラで、百式観音はそれよりも速いから
まぁ視認するのは不可能レベルだと思ってくれれば……
142:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:42:39.95
ID:EeHgWwo70
全国大会
恒子「決まったぁーっ! 決勝進出は、清澄高校と、臨海女子!」
恒子「清澄は初出場ながら、先鋒の須賀選手の圧倒的リードを保ったまま、余裕のトップ通過!」
健夜「5人とも良い選手ですけど……やはり一番恐るべしは、須賀選手ですね」
健夜「あの圧倒的な支配力、まるで全ての局を意のままに操っているかのようです」
健夜「その力は牌に愛された子と名高い、神代小蒔もまるで勝負になりませんでしたから」
恒子「『神殺し』の異名は、伊達ではないということですね」
健夜「対戦相手は口々に『全く強そうには感じなかった』というのがまた凄まじいです」
健夜「あれほどの力を、完全に隠せるほどに……彼の真の力は一体どれほどなのか、私にもわかりません」
143:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:44:14.53
ID:EeHgWwo70
まこ「よっし、これで決勝進出じゃのう!」
久「ふふふ、覚醒した須賀君を先鋒に置く私の作戦が、うまくハマったわね」
咲「一回戦なんか、京ちゃんのところで3人まとめてトばしちゃったもんね」
京太郎(あれはちょっとやりすぎたな……)
和「こんなに楽な大会になるとは、考えもしてませんでした……」
京太郎「あ、新タコス係。腹減ったからタコス買ってきてくれ」
優希(補欠落ち)「じぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
144:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:45:34.78
ID:EeHgWwo70
京太郎「ふぅ、食った食った。お、あれは……」
イイオモチダッタノデスノダ!!
デネー、ハルチャンガー
ノドカトアソブンダ!!
京太郎「阿知賀女子……そういえば、まだ『触って』なかったな」
145:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:46:27.62
ID:EeHgWwo70
京太郎「適度に離れて……須賀式観音!」サワサワ
宥「きゃあ!」
玄「な、ななななな!?」
灼「ん? どうしたの?」
憧「だ、誰!?」クルッ
穏乃「え?」
146:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:47:48.95
ID:EeHgWwo70
憧「も、もう、シズ! ビックリさせないでよ!」
穏乃「何の話?」
宥「いま、お尻を触られたんだけど……」
玄「めっ、なのです!」
穏乃「えええええ!? 知らないよ!?」
憧「だって、後ろにいたのはシズじゃん!」
灼「私、別に触られてないけど……」
京太郎「次は、こっちだ! 須賀式観音」モミモミ
147:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:48:53.82
ID:EeHgWwo70
宥「きゃああああああっ!」
玄「こ、こら! おもちを揉んじゃいけないのです!」
憧「シズ! いいかげんにしなさいよ!」
穏乃「ぬ、濡れ衣だぁーーーーーっ!」
灼「みんな、何やってるの……」
京太郎「うむ、いいお尻、いいおもちだった」
京太郎「須賀式観音は、もはやカメラのスロー再生でも追えはしない速度。負ける要素は一切なし!」
京太郎「気力の充電もできたことだし、さっさとホテルに戻って寝るか」
148:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:50:05.79
ID:EeHgWwo70
翌日
恒子「さぁ、ついに始まります、決勝戦!」
恒子「制するのは、チャンピオン宮永照を擁する白糸台か!」
恒子「強豪臨海女子か! ダークホース阿知賀女子か!」
恒子「それとも、今大会一番の大活躍『神殺し』須賀選手の清澄か!」
恒子「王者の座をかけて、対局開始だぁーっ!」
京太郎(ふっ……俺の華々しい伝説の、生贄となってもらうぜ!)
玄「よ、よろしくお願いします!」
照「……よろしく」
智葉(何で男なんだ)
150:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:51:01.48
ID:EeHgWwo70
京太郎(チャンピオンに、前回3位、そして阿知賀のドラゴンロード……)
京太郎(まともにやったら歯が立たないだろうが、須賀式観音の前では塵も同然!)
京太郎(さぁいくぜ! まずは軽く壱乃掌でツモを見て……)ヒュン
バチィ!!!!!
京太郎(っっっっっ!?)
151:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:51:52.55
ID:EeHgWwo70
心滴拳聴(しんてきけんちょう)と、呼ばれる現象がある。
真の強者同士がぶつかり合う瞬間にはよくある、時間感覚の矛盾だ。
「死ぬ」という瞬間に時間がスローになり、自分の人生を振り返る……それに近い。
だかこの場合、自分ではなく相手がその時思っていたことを聞き取るのである。
京太郎(ば、馬鹿な……)
京太郎(壱乃掌が、叩き落とされた……!?)
152:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:52:31.93
ID:EeHgWwo70
須賀式観音で牌を見て、戻す。
それに要する時間は、何者にもとらえられぬ、まさに刹那の瞬間。
だが、京太郎はその狭間、確かに聴いた。
『それは、なしだよ。君』
153:
◆cC.wC24o9M 2016/08/03(水) 23:53:12.98
ID:EeHgWwo70
震えながら顔を上げたその先は――――――――――
対面。京太郎を射抜く、チャンピオンの瞳。
176:
◆cC.wC24o9M 2016/08/04(木) 23:58:39.99
ID:9MTkJqyq0
前日
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
菫「……と、これが向こうのブロックの準決勝の映像だ」
淡「へぇー、なかなか面白そうじゃん。特にこの先鋒の男子、やばすぎでしょ」
誠子「みんな手ごわそうですけど……やっぱりその中でも、飛び抜けてますね」
尭深「……昨年個人戦3位の、辻垣内智葉をも圧倒する力」
菫「どうだ、照? 彼を見て」
照「……今のところ、もう一回巻き戻せる?」
菫「ん、構わんが」
177:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:00:22.26
ID:aVQ4ybnp0
照「…………」
照(おそろしく速いすり替え。私でなきゃ見逃しちゃうね)
照(ていうか、できても普通やる? この大舞台で)
菫「勝てそうか? 照」
照「……これがMAXの速度かどうかはわからないけど、大丈夫」
照「多分、私の方が速いから」
菫「早和了りなら負けない、か。なら心配ないな」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
178:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:01:27.75
ID:aVQ4ybnp0
照「それほどの力を磨きあげたのは褒めてもいいけど、やってることは褒められない」
京太郎「まさか、宮永……照、さん。あなたも……」
照「そう。私も君と似たような力がある」
京太郎「……俺だけの、力じゃなかったってわけか……」
照「私もびっくりした。他の人のを見るのは、初めてだったから」
照「でも、それは不正行為ってやつ。フェアにやらなきゃ」
照「そうじゃなきゃ、真面目に取り組んできた人たちの本気と覚悟に対して、失礼でしょ」
京太郎「くっ……正論すぎて反論のしようがねぇ……」
※圧縮された時間の中での会話なので他の人には聞こえません
180:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:04:07.30
ID:aVQ4ybnp0
照「その能力、いつ身につけたの?」
京太郎「えーっと、かくかくしかじかで……」
照「なるほどね、麻雀への感謝から……って、やってることはむしろ冒涜じゃない?」
京太郎「いや、大会で活躍してモテモテになりたくて……」
照「モテモテって……そういえば、ちょっと小耳に挟んだんだけど……」
京太郎「何ですか?」
照「知ってる? この会場に妖怪がいるって噂」
京太郎「妖怪って、牌に愛された子とか、そういうのですか?」
照「いや、そういうのじゃない。本物の妖怪」
181:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:05:48.76
ID:aVQ4ybnp0
照「選手の女の子たちが、何人も被害に遭ってるみたいなんだけど」
京太郎「どんな妖怪なんです?」
照「なんでも突然、胸とお尻をなでくり回される感触があったとか」
京太郎「…………」
照「うちの尭深と淡も被害に遭ったみたい」
京太郎「…………」
照「……須賀君」
京太郎「そういえば、照さんの能力ってどんなです?」
照「誤魔化し方が強引すぎるけど……まぁいいや、教えてあげる」
ズズズ・・
照「紹介しよう。マジカルエステのサッキィちゃん」
京太郎「うおっ、びっくりした……って、これ……咲!?」
182:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:08:12.13
ID:aVQ4ybnp0
照「咲の写真をずーっとただ眺めたりとか、ペロペロしたりとか……」
照「あと何百枚何千枚と咲を写生してたら、出せるようになった。ついでに身体能力も向上した」
京太郎「変態じゃないっすか!」
照「変態じゃない。ていうかバレないことをいいことに、ちかんを繰り返す君に言われたくない」
京太郎「このサッキィちゃんとやらは、何ができるんです?」
照「性感マッサージとか、オーラをローションにしてのローションプレイとか……」
京太郎「やっぱ変態じゃないっすか!」
照「変態じゃない。ちょっと妹が好きなだけの姉だから」
京太郎「限度がありますよ!」
183:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:09:39.92
ID:aVQ4ybnp0
照「まぁ、ちかんに関してはもう許してあげるから、不正はなしの方向で」
京太郎「……須賀式観音・九十九乃掌!」シュババババ
照「無駄だってば」バシバシバシ
京太郎「ぐぅっ……」
照「速さに特化した能力だし、もっと鍛えれば私よりも早くなるかもしれないけど、今はまだ無理」
照「普通に打とうよ。別に弱いわけじゃないんでしょ?」
京太郎「いや、滅茶苦茶弱いです。何度咲たちに飛ばされたことか」
照「そ、そうだったの……まぁ、自業自得だと思って諦めて」
京太郎「くそぅ、この大会で伝説に残る雀士になって、モテモテになるはずが……」
照「モテたいなら、まっとうな手段で頑張って」
玄(なんだろう……何か濃密な会話が繰り広げられてるような気がするよ)
智葉(なんか知らんが清澄の男子、準決勝よりえらい弱くなってるな……)
184:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:12:43.23
ID:aVQ4ybnp0
恒子「さて、南場に突入! トップは宮永照、そして須賀選手はどうしたことか、ハコ割れ寸前だ!」
健夜「あれぇ……? なんか彼、普通に初心者レベルのような……あれぇ?」
京太郎(駄目だ……ヒラ打ちでなんか、勝てるわけねぇ……)
京太郎(ここまで、なのか……俺の力は……)
京太郎(もう、どうしようもないのか……?)
京太郎(……俺には……何が足りなかった?)
185:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/05(金) 00:14:34.23 ID:oRVn5ibSO
すこやんから漂うポンコツ臭
186:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:16:07.73
ID:aVQ4ybnp0
『でも、それは不正行為ってやつ。フェアにやらなきゃ』
『そうじゃなきゃ、真面目に取り組んできた人たちの本気と覚悟に対して、失礼でしょ』
京太郎(……考えてみれば、俺、全然真面目に麻雀やってなかったな)
京太郎(須賀式観音で、牌をすり替えまくって、楽して勝つばかり)
京太郎(最後にガチで打ったのって、何ヶ月前だっけ……?)
188:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:19:57.48
ID:aVQ4ybnp0
京太郎(でも、やっぱり勝ちてえよ、俺)
京太郎(『神殺し』須賀京太郎の伝説は、最後にボコボコに負けて、終わりました)
京太郎(そんなんじゃ、カッコつかねえもんな……)
京太郎(卑怯でも、何でもいい。絶対に勝って、フィニッシュしたい)
京太郎(……そうだ。俺に足りなかったものは、本気と覚悟)
京太郎(この力で、絶対に勝てると思って……安心の上に、あぐらをかいていた……)
京太郎(必要なのは、そう。この対局で、絶対に勝つために……)
京太郎(これで終わってもいいという覚悟!)
189:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:22:33.24
ID:aVQ4ybnp0
その瞬間、京太郎の体が光った。
轟音と共に、爆風が弾ける。
玄「きゃあっ!」
智葉「な、何だ……!?」
照「……!」
「This way……」ゴゴゴゴゴ・・
190:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:24:17.51
ID:aVQ4ybnp0
照「なっ……!」
智葉「」パクパク
玄(あれ? 清澄の男の子、急に老けたような……気のせいかな?)
そこにいたのは、全身の筋肉が膨れ上がり。
髪を大きく逆立たせた、大男であった。
控室の咲たちも、実況も、大勢の観戦者たちも。
誰もが、その異様な光景に呆然としていた。
状況を理解できたのは、ただ一人。
照(方法はわからないが、強制的に成長したんだ……)
照(私を倒せる年齢(レベル)まで!)
191:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 00:26:44.22
ID:aVQ4ybnp0
以上です。次回が最終回です。
ちなみに、すこやんとかは別に能力者ではないです。
強い人が発現するなら京ちゃんが念使えるのはおかしいし。
192:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/05(金) 00:34:00.18 ID:e/ERgkbFo
乙
斜め上の展開に草
194:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/05(金) 00:41:27.62 ID:LODqOAOp0
乙
何でそこまで覚悟決めるんだよww
196:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/05(金) 01:01:37.88 ID:n0FcVheU0
京ちゃんが京さんになってもうた……
197:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/05(金) 01:30:46.21 ID:R25YCN9ao
京さんwwwwww
199:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/05(金) 04:46:02.98 ID:pMeYcDLo0
いろいろブッ込んできたなぁw
206:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:37:25.95
ID:aVQ4ybnp0
京太郎「……南1だ」
照「くっ……」
京太郎「さいしょは、北……」タンッ
ヒュンヒュンヒュン
京太郎「……ツモ。倍満」
照(……! 観音の腕が、捉えられない……!)
照(雀力は大して変わってなさそうだけど、やっぱり能力の向上が半端ない!)
照(駄目だ……止められない……!)
207:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:38:22.20
ID:aVQ4ybnp0
京太郎「ロン。跳満」
もう これで 終わってもいい
京太郎「ロン。倍満」
だから ありったけを
京太郎「ツモ。倍満」
208:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:39:40.61
ID:aVQ4ybnp0
照(すり替えを、追いきれない! 速すぎる!)
京太郎「ロン。跳満」
玄(こ、これが『神殺し』の本気なの……!? 強すぎるよ……!)
京太郎「ツモ。三倍満」
智葉(普通の麻雀させてくれ……)
京太郎「ツモ。跳満」
209:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:42:27.14
ID:aVQ4ybnp0
照(この一局に、持ちうる才能と資質をすべて投げ出した)
京太郎「ロン。倍満」
照(生涯にわたって、麻雀を打てなくなってもいい)
京太郎「ツモ。跳満」
照(それほどの覚悟をもって……!)
京太郎「ツモ。純正九蓮宝燈……終わりだ」
210:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:43:32.45
ID:aVQ4ybnp0
恒子「な、なんと、先鋒戦で須賀選手が、他3人を飛ばして終了!」
恒子「これが、須賀京太郎! これが、神殺し! 強い、圧倒的に強い!」
恒子「優勝は、清澄高校だぁーっ!」
玄「」チーン
智葉「」チーン
京太郎「…………」
照「……やられたよ。君の覚悟を、甘く見ていたね」
211:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:44:41.82
ID:aVQ4ybnp0
照「おめでとう。これで須賀君は、伝説を作った」
京太郎「…………」
照「でも、それほどまでに力を使い切っちゃったら、もう能力は使えないね」
京太郎「…………」
照「そんな体になってまで……君は本当に、それでよかったの?」
京太郎「…………」
照「……須賀君?」
智葉「……おい、まさか……」
玄「……えっ?」
智葉「こ、こいつ……」
212:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:45:28.05
ID:aVQ4ybnp0
「死んでいる……」
214:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:46:46.45
ID:aVQ4ybnp0
一年後
久「何とか、晴れてよかったわね」
まこ「そうじゃのう。雨の墓参りってのも、それはそれで風情あるかもしれんが」
咲「……もう、一年になるんだね。あの時から」
和「今でも、昨日のことのように思い出します……」
優希「えっと、京太郎の墓は確か……」
久「あのへんだったわね……あら? 誰か先客がいるわね」
215:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:48:09.43
ID:aVQ4ybnp0
照「……ん、咲?」
咲「お姉ちゃん!?」
久「あら、宮永プロも須賀君の墓参りに来てくれたの?」
和「確か、大会の解説を担当していたのでは?」
照「私の担当分はもう終わったから……だから帰省ついでに、ちょっとね」
咲「そうだったんだ……」
まこ「宮永プロは、京太郎とあの一局を打ったんじゃからな……しかも地元となれば墓参りにも来るか」
照「それもあるし……彼は私にとって、特別な存在だったから」
優希「じぇじぇっ!?」
咲「お、お姉ちゃん、まさか京ちゃんのこと……!?」
照「いや、それはない。断じて」
照「ただ……特別な力を持ちあった仲だから。もしかしたら、世界で唯一……ね」
咲「……?」
216:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:49:24.85
ID:aVQ4ybnp0
照「そういえば、大会……惜しかったね」
咲「うん。残念だけど、一歩及ばなかったよ」
咲「でも、正直ちょっと安心もしたんだ。あんな優勝なら、もう二度とゴメンだから」
優希「咲ちゃん、すごい勢いでワンワン泣いてたもんなー」
咲「ゆ、優希ちゃんだって……ていうか皆、そうだったじゃん!」
和「まぁ、負けたおかげで、こうして須賀君の命日に来れましたしね」
まこ「わしらも頑張ったんじゃが……やはり、埋めきれんかったのう」
まこ「久と……京太郎の、抜けた穴は」
久「あはは、須賀君と並べられると、私はおまけにもならないわよ」
照「…………」
217:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:52:09.87
ID:aVQ4ybnp0
えり『準々決勝、終了です。前年度優勝の清澄高校、ここで姿を消しました』
咏『ん~、今年の清澄も強いは強いんだけど、やっぱ須賀君がいればって思っちゃったねー』
えり『須賀選手……去年の団体の話題は、彼一色でしたね』
咏『そりゃもう、あれほどまでに圧倒的だったんだから、そうもなるさ」
咏『彼の雄姿は、きっと見てた人全員が、一生忘れない』
咏『この大会に永遠に残り続ける、伝説になるだろう』
えり『……そう考えると、今後の選手たちは、ある意味厳しくなりましたね』
咏『そうだねぃ。どんだけ活躍する選手が今後出てきても、どうしても言われちゃうだろうさ』
咏『「強いけど、須賀京太郎には及ばないだろう」……ってね』
218:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:52:55.78
ID:aVQ4ybnp0
淡『あーあ、清澄負けちゃったか。テルーの妹と打つの、楽しみだったんだけどな』
誠子『こらこら、まだ私たちが決勝に行けると決まったわけじゃないぞ』
菫『でも、残念は残念だな。特に照はそうだろう』
照『咲をなぐさめるついでに、イチャついてくる』
尭深『相変わらずですね……』
淡『……須賀君がいれば、きっと勝ってたのにな……』
照『……!』
219:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:54:14.30
ID:aVQ4ybnp0
誠子『おい、淡』
淡『だってぇー、亦野先輩もそう思うでしょ。化け物みたいに強かったんだもん』
誠子『まぁ、それは否定しないけど』
淡『ついでにカッコいいって、私の学年では人気だったんですよ』
尭深『あ、私の学年でも、一緒に打った宮永先輩を羨ましがってた子いました……』
菫『生きていれば、どれほどの雀士になったんだろうな……正直、神殺しって二つ名はどうかと思うが』
誠子『ほらほら、それよりも次の相手の研究だ。先輩方が応援にきてくれてる前で、みっともない試合するなよ』
淡『あー、去年の準決勝の亦野先輩みたいな?』
誠子『なんだと!』
照(…………)
220:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:55:01.12
ID:aVQ4ybnp0
『くそぅ、この大会で伝説に残る雀士になって、モテモテになるはずが……』
『モテたいなら、まっとうな手段で頑張って』
照(須賀君、君の願いは叶ったよ)
照(一年たっても、みんなが君の噂をしてる。みんなが君を覚えてる)
照(今の君は、空の向こうで、笑顔でいられてるのかな?)
221:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:56:12.24
ID:aVQ4ybnp0
ビュオオオッ!!
照「ん……」
和「きゃあっ!」
久「!」
優希「じぇっ!」
咲「……ふぅ、びっくりしたー。いきなり凄い風が吹くんだもん」
和「……今の……ただの風、ですよね?」
まこ「それ以外に何かあるんか?」
和「あ、あの……気のせいかもしれませんが……その……」
優希「和ちゃん、どうしたんだ?」
和「……胸とお尻を、その……撫でられたような……」
久「え、和も!?」
照「…………!」
222:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:57:03.89
ID:aVQ4ybnp0
咲「私は、ただの風としか……」
優希「私もだじぇ」
まこ「二人の勘違いじゃないんか?」
久「う、うん……そりゃそうよね……」
優希「……いや、これはきっと天国の京太郎が、風に化けてエロエロなことをしようとしたんだじぇ!」
咲「あはは、まさか」
和「そんなオカルトありえません……」
優希「そうとは限らんじぇ。何せここは、あのエロ犬の墓前だからな! エロエロの霊がいるじぇ」
まこ「そんな霊、おったとしたら、あの世で仏罰を食らうぞ」
照「……いや、そうかもしれない」
咲「お姉ちゃん?」
223:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:58:26.47
ID:aVQ4ybnp0
照「世の中にはいろんな人がいるんだし、きっとあの世にもいろんな人がいる」
照「だから、もしかしたら、女の子の胸やお尻を触るのが大好きな、ちょっとエッチな神様」
照「……いや、仏様だっているかもしれないよ」
照「空の向こうの須賀君も、もしかしたら、そんな感じかも」
久「えらい煩悩にまみれた仏様ね……」
まこ「少なくとも、御利益はなさそうじゃのう……」
優希「でも、もしそうなら、触ったのは和ちゃんと竹井先輩だけってわけか」
優希「……って、くぉらー! 私をスルーするとはどういうことだ、京太郎ー!」
咲「ぷっ……あはははは!」
まこ「やれやれ、いてもいなくても騒がせてくれる奴じゃのう、京太郎は」
224:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:59:18.15
ID:aVQ4ybnp0
まこ「さて……じゃあ、そろそろ帰るとするかの」
久「私はちょっと、大学の方に寄ろうかしら」
和「インカレでも活躍中ですからね、竹井先輩は」
優希「咲ちゃんのお姉さんは、どうするんだじぇ?」
照「とりあえず、咲と一緒に実家に戻ろうかなと」
咲「お父さんも喜んでたよ。久々に照に会えるって」
照「よし、咲。姉妹水いらずで、一緒にお風呂でも入ろっか」
咲「お、お姉ちゃん……なんか目、怖いんだけど……」
226:
◆cC.wC24o9M 2016/08/05(金) 23:59:58.93
ID:aVQ4ybnp0
優希「よし、それじゃあまたなー! 京太郎!」
和「また来年の今日、お会いしましょう、須賀君」
まこ「おいおい、それじゃ大会負けてる前提になるぞ」
和「そ、そうでした……」
久「ふふ、須賀君なら数日遅れでも許してくれるわよ」
咲「じゃあね、京ちゃん!」
照「…………」
227:
◆cC.wC24o9M 2016/08/06(土) 00:00:48.08
ID:VvDyf2sa0
ねぇ、須賀君。
君は麻雀に出会えて、幸せだったかな?
何度も何度も負かされて、挫折して、苦しんで。
そして、一瞬の栄光と引き換えに、命を落として、それでも満足できたのかな?
今となっては、私には分からないけど、一つだけ言えることがあるよ。
須賀君、君のことは誰もが忘れない。
清澄高校一年『神殺し』須賀京太郎。最強の雀士として、みんなの心に残り続ける。
それだけは、間違いないよ。
229:
◆cC.wC24o9M 2016/08/06(土) 00:02:11.47
ID:VvDyf2sa0
照(60年先か、70年先か……いつか私も、そっちに行くからさ)
照(そうしたら、また一緒に打とうか。もちろん、ズルはなしでね)
咲「さっ、行こう。お姉ちゃん」
照「……うん、いま行く」
230:
◆cC.wC24o9M 2016/08/06(土) 00:02:51.72
ID:VvDyf2sa0
最後に、くるりと墓へ振り返る。
照「またね、須賀君」
応えるように、ふわり、と。
一陣の風が、胸を撫でていった気がした。
END
234:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/06(土) 00:03:45.41 ID:X1P+Fgfco
つまりどういう事だってばよ
236:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/06(土) 00:07:30.89 ID:eltIhRsx0
いい話になってて草生える
241:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/06(土) 01:33:11.14 ID:zdGurVdzo
イイハナシカナー?
240:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/06(土) 01:15:30.96 ID:KOZVVkT1O
IFルートとか書いてもええんやで?
256:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/06(土) 23:57:49.68 ID:/2Luzs2Ho
俺たちの予想のはるか上を突っ走っていったな……
乙でした
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1469950459/
- 関連記事
-
Amazonの新着おすすめ
おすすめサイトの最新記事