1:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:07:35.35
ID:np8cZAp/0
明石「…………」
カーンカーン
ギュイーンガガガガ
明石「…………ふぅ。改修成功」
明石(これで……今日の作業は終わりかな…)
明石「って、もうこんな時間。工廠に籠ってると時間が分からな……っ、痛たた……」
明石(流石に何時間もぶっ続けで作業してると体にくるなぁ)コキコキ
明石(まあ、いつも通り寝れば治るかな…)
明石「…………ふぅ」
シーン
明石「…………静かだね。一人だから当たり前だけど」
明石「………」
明石(……少しだけ寂しいな)
明石(……ううん。これが、私の仕事だもんね。やることは沢山あるんだし……うん)
明石「あ………指が真っ黒…」
明石(いつにも増して真っ黒。作業内容的にしょうがないけど………今日は――に時間がかかりそう)
コンコン
明石「ん?」
提督「おーい、明石いるかー?」
明石「え、提督? ち、ちょっと待って下さい」サッ
2:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:08:44.35
ID:np8cZAp/0
提督「失礼するぞ」ガチャ
明石「お疲れ様です。作業の方は無事終了しました」
明石(こんな時間に提督が来るなんて珍しいですね…)
提督「ご苦労だった。……体の方は大丈夫か?」
明石「はい?」
提督「いや、随分と詰め詰めの作業スケジュールだったからな。もう少しゆとりを持っても良いんだぞ」
明石「いえ、大丈夫です。これが、私の仕事ですから」
提督「そうか…あまり無理はするなよ」
明石「はい」
提督「えーと、そうだ。明石。25日なんだが……」
明石「はい、25日の改修予定ですね。その日は……」
提督「あー違うんだ。改修じゃなくて」
明石「あ、修理ですか。じゃあスケジュールを…」
提督「そうじゃなくてな…」
明石「?」
3:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:09:34.29
ID:np8cZAp/0
提督「その…もし、明石が良かったらクリスマス、一緒に出かけないか」
明石「……………へ?」
明石「くりすます……ああ、クリスマスですか」
提督「ああ」
明石「……え………………ええええええ?!?」
提督「だ、駄目か?」
明石「べ、べべ別に良いですけど……提督は良いんですか?」
提督「そりゃあ、誘ってるのはこっちだし」
明石「あ、そそそそうですよね……あはは…」
提督「じゃあ、そういう事で。詳しい日はまた後で連絡する」ガチャバタン
明石「は、はい…」
4:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:10:55.05
ID:np8cZAp/0
明石「……………」
明石「く、クリスマス…私が提督と……? ど、どういうこと…」
明石「夢じゃないわよね……」ギュー
明石「い、いひゃい……夢じゃなひ…」
明石「あわわ……ど、どうしよう……」
ーーーー
ーーーー
大淀「はぁ、提督にクリスマスデート誘われたけど、どうすれば良いか分からない?」
明石「う、うん」
大淀「それはクリスマスに業務が入っている私への当てつけですか?」
明石「ち、違います! 本当に分からないんですよ!」
明石「そもそもなんで提督は私なんか……。私は戦線で活躍もしてないし、こんな煤と機械油まみれの女よりもっと他の娘の方が……」
明石「あ、もしかして提督は誰かと間違えているんじゃ…….」
大淀「………明石の中での提督からの評価はそんな感じなんですね」
明石「だって事実じゃないですか…」
大淀「はぁ……工廠に篭りっきりなのも考え物ですね」
明石「?」
大淀「じゃあ、他の娘と変わってもらったら?」
明石「え?! だ、駄目です!」
5:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:11:43.39
ID:np8cZAp/0
大淀「まあそうですよね……で、私に何が聞きたいんですか?」
明石「その……いわゆるデートのコツとか。大淀ってよく提督と出かけてるから…」
大淀「……誤解があるようですが、あれは仕事ですからね。デートじゃありませんよ」
明石「そうなんですか? 皆が言っていたからてっきり…」
大淀「頭が痛くなってきました……」
明石「お願いします! こんどお昼奢りますから!」
大淀「というか、具体的には何をアドバイスすれば良いのですか?」
明石「え、服とか…」
大淀「そっからですか…別になんでも良いのでは?」
明石「何でもって…あ、クリスマスだからイルミネーション巻くとか?」
大淀「ああ……これは重症ですね」
明石「え、駄目ですか?」
大淀「……しょうがないですね。昔からのよしみです。助けましょうか」
明石「あ、ありがとうございます!」
6:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:14:53.97
ID:np8cZAp/0
ーーーー
ーークリスマス当日
明石「………」ソワソワ
明石「………」キョロキョロ
明石(鎮守府前にヒトサンマルマル。後十五分だわ)
明石(時間、間違えてないよね……。あ、そういえば昨晩この時計落としたんだった…)
明石(もしかして壊れて時間が狂ってるかも?! ど、どうしよう…修理….)
提督「明石。早いな」
明石「ひゃい?! て、提督?!」
提督「お、おお…どうした慌てて?」
明石「あ、ああ……今日はお日柄も良く…」
提督「?」
明石「あ、違っ……えーと。ま、待った?」
提督「??」
明石「ううん、今来たとこ……ってこれも違う違う…」
提督「明石」ガシッ
明石「ふぇ?」
提督「落ち着け」
明石「は、はい……」
7:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:16:42.56
ID:np8cZAp/0
ーーーー
ーー
明石「すいません、お見苦しい所をお見せしました…」
明石(うう…何をやってるんだろう私…)
提督「いやいや、こっちも驚かせてすまなかったな」
提督「というか、アレだな。さっきの明石は中々新鮮で面白かったよ」
明石「も、もう。からかわないでください///」
提督「じゃあ、行こうか」
明石「は、はい」
明石「あ……て、手を……」
提督「ん? どうした?」
明石「……な、なんでもないです」
明石(うう…駄目、出来ない……)
8:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:18:10.78
ID:np8cZAp/0
ーーーー
ーー
明石「すいません、お見苦しい所をお見せしました…」
明石(うう…何をやってるんだろう私…)
提督「いやいや、こっちも驚かせてすまなかったな」
提督「というか、アレだな。さっきの明石は中々新鮮で面白かったよ」
明石「も、もう。からかわないでください///」
提督「じゃあ、行こうか」
明石「は、はい」
明石「あ……て、手を……」
提督「ん? どうした?」
明石「……な、なんでもないです」ギュッ
明石(うう…駄目、出来ない……)
9:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:19:24.27
ID:np8cZAp/0
ーーーー
ーー映画館
明石「ここが映画館ですか。私、初めて来ました」キョロキョロ
提督「俺も久し振りだなぁ」
明石「あそこは何ですか? 売店?」
提督「ああ……えーと、飲み物とか売ってる…まぁ、映画館の間宮さんみたいなところだな」
明石「間宮さん? じ、じゃあ最中とかカレーとかあるんですか?」
提督「最中とカレーはないかな…」
明石「ないんですか……」シュン
提督「それで、明石は何が見たい?」
明石「え、えーと…」
明石「こ、このホラー映画がみたいです!」
明石(これでドサクサに紛れて提督に…///)
提督「おお、ホラーか? いいな。明石もこういうの好きなのか」
明石「え? は、はい! 前から見たかったんですよ!」
提督「これめちゃくちゃ怖いらしいからなぁ…楽しみだ」
明石「め、めちゃくちゃ怖い…?」
10:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:20:50.05
ID:OtPA2NP7O
ーーーー
ーー
明石「あ……あああ………」
明石(こ、怖いいいいいい?!)ガシッ
提督「ひぎぃ!? ちょ、明石強く掴みすぎ……」
明石「あああ…腕が…腕が……」ギリギリ
提督(あ、明石。折れる! 腕折れちゃう!)
明石「あわわわ……」
提督(ヒエー……)
ーーーー
ーーーー
明石「ほ、本当にすいませんでした!」
提督「い、いや気にするな。確かに怖かったからしょうがないさ」
明石「うう…すいません」
提督「えーと、次は…」
明石「はい……あ///」グウゥ
提督「あはは……ちょっとお茶でもするか」
明石「は、はい…」
明石(は、はしたないと思われちゃったかな……)
11:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:22:19.27
ID:OtPA2NP7O
ーーーー
ーー喫茶店
提督「ふぃー、さて何にしようかなぁ」
明石「………」
明石(ここは、女の子っぽい食べ物を…)
提督「明石、注文決まったか?」
明石「はい、私はパフェを」
提督「パフェか。明石は甘いのが好きなんだな」
明石「お、女の子ですから…えへへ…」
オマタセシマシターゴチュウモンドウゾー
明石「あ、私はこのジャンボレッドキャッスルパフェで…」
提督「ん…大きいやつだけど大丈夫か?」
明石「はい、お腹空いてるので……そ、それに良かったら少しシェアしましょうよ」
明石(提督と二人で一つのパフェを……///)
提督「ああ、なるほど。それなら大丈夫か」
12:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:23:20.83
ID:OtPA2NP7O
ーーーー
ーー
オマタセシマシター
パフェ「」ドーン
提督「大丈夫じゃなさそうだった…」
明石「ええ……な、何このサイズ」
提督「あ、明石……残しても俺が食べるから大丈夫…」
明石「い、いえ。頼んだのは私ですから、提督は食べたい分だけ食べてください!」
提督「大丈夫か…?」
明石「はい…あ、明石。参ります!」
ーーーー
ーーーー
明石「うっ…….うぐっ……」パクパク
提督「明石……俺が食べるから」
明石「明石は……ら、らいじょうぶです…責任もって最後まで……」パクパク
明石「うっ………うう」パクパク
明石「……かんひょくです……」
提督「だ、大丈夫か?」
明石「うう…は、はい…」
提督「明石…その、顔がクリームで凄いことに…」
明石「え?! み、見ないで下さい!」
提督「ほら、拭くからじっとしてろ」
明石「ううぅ…すいません」
13:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:25:59.20
ID:OtPA2NP7O
ーーーー
ーー雑貨屋
明石「わぁ…色んな物がありますね…」
提督「この前、教えてもらったんだ。アーンティークな小物もあって良い雰囲気だろ」
明石「はい! 見てるだけで楽しいですね」
提督「何か欲しいのがあったら買ってあげるぞ」
明石「え? ほ、ほんとですか? じゃあ……」
明石(あ……この歯車のペンダント可愛いな……)
明石(……でも、高いし……私なんか…ペンダントを買ってもらえる程、親密じゃないよ……ね)
明石「…じゃあ、この小物で」
提督「そんなんで良いのか。何でも良いんだぞ」
明石「いえ、映画や食事代まで出してもらいましたから…」
提督「んー……そうか」
明石「わ、私。他の見てますね!」
提督「ああ」
明石(意気地なしだなぁ…私)
14:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:27:13.76
ID:OtPA2NP7O
ーーーー
ーーーー
提督「もう真っ暗だな」
明石「はい…」
提督「後もう少しで門限か…」
明石(なんだか失敗ばかりだったな……提督にも迷惑ばかりかけちゃった)
明石(提督もせっかくのクリスマスなのに…つまらなかったかな…)
明石(私なんかじゃなくて、もっと別の娘だった方が楽しかったのかな…)
提督「明石、最後に寄りたい所があるんだが良いか?」
明石「え? は、はい……」
ーーーー
ーーーー
明石「わぁ……綺麗なイルミネーションですね」
提督「ああ、幻想的だよな…」
明石「………とっても、キラキラしてて…」
提督「これを明石見せれて良かったよ」
明石「はい……本当に綺麗で…」ツー
提督「….…明石?」
明石「あ…ご、ごめんなさい。大丈夫、大丈夫です…」
15:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:28:37.63
ID:OtPA2NP7O
明石「でも提督も酷いですよねっ」
明石(あれ……)
明石「こんな綺麗なイルミネーションならもっと別の娘に見せてあげた方が良かったですよっ」
明石(違う…こんな事言いたくないのに….…)
提督「明石……」
明石「もっと戦果をあげている娘とか沢山いるじゃないですか」
明石「私なんてお洒落じゃないし、女の子っぽい趣味もないし、きっと機械油臭いし、手はいつも真っ黒だし…それにそれに….…」
提督「………」
明石「あ、あはは….…なに言ってんだろ私……」
明石「ごめんなさい…本当にごめんなさい……帰りま…」
提督「明石」ギュッ
明石「え?」
16:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:30:51.43
ID:OtPA2NP7O
明石「て、提督……手を離してくださ」
提督「明石の手」
明石「わ、私の手がどうしたんですか。………がさがさで汚いですよ…」
提督「明石。俺はな、艦娘の中で明石の手が1番女の子らしいと思うんだ」
明石「え……」
提督「男の整備兵なんかはな、機械油で爪が真っ黒に染まっちまうんだ」
明石「………」
提督「毎日念入りに洗えば良いんだが、どうせまた黒くなる。まぁ野郎共は気にしないから別に良いが」
提督「でも、明石の爪は違う。綺麗なピンクだ。真っ黒になった後もキチンと毎日磨いてるんだろう」
明石「……き、気付いていたんですか」
提督「まぁな………それで、なんというか…」
提督「そういう所が凄く女の子らしいというか……その、可愛らしいと思うんだ」ポリポリ
明石「も、もう。たかが指だけなのに何を言ってるんですか///」
17:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:34:26.86
ID:OtPA2NP7O
提督「す、すまん……。でもそれだけじゃない。他にも明石にしかない物を俺は沢山知っている」
提督「明石が工廠で頑張っているのを知っているし、明石がいるから皆が戦えるんだ」
提督「…だから、あまり自分を卑下しないでくれ」
明石「提督……」
提督「……ほら」スッ
明石「あ……これは…歯車のペンダント……」
明石「…い、良いんですか?」
提督「クリスマスプレゼントだ」
提督「迷いそうになったら、それを見て今日の言葉を思い出してくれ」
明石「はい…ありがとう…ありがとうございます…!」
提督「ああ……。時間か…そろそろ戻ろうか」
明石「……! あ、あの!」
提督「ん?」
明石「…手。繋いでも…良いですか」
提督「…もちろんだ」ギュ
明石「あ…。あったかい…」
明石「あったかい提督の手……」
明石(そっか……ちゃんと見ていてくれたんだ…提督は)
18:
◆RgF.6MREXo 2015/12/20(日) 16:36:04.65
ID:OtPA2NP7O
ーーーーーーーー
ーーーー
ーー
カーンカーン
ギュイーンガガガガ
明石「ふぅ……」
明石「んー……痛っ…いてて…」
明石「………」
明石(もう……こんな時間…)
明石「………」
明石「………」チャラッ
明石「……」ギュッ
明石「よし、もう一息頑張りますか」
ーー完ーー
25:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/21(月) 04:27:54.14 ID:2nyLtSQNO
良かった乙
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