1:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:16:58.49 ID:
x4wOyYgf0
放課後──
男「──お前の家に?」
戸愚呂弟「ヒマだったら、遊びに来ないかね?」
男「別にいいけど……なんでまた突然」
戸愚呂弟「お袋が、たまには友達でも連れてきなさいってうるさくてねェ」
男「はぁ……」
大人も知らない「本当の友だち」のつくり方 (こころライブラリージュニア)
2:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:17:56.97 ID:xD5k/XAT0
続きを聞こうか
3:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:18:44.36 ID:ztfMIGWnO
発想がすごい
4:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:18:53.66 ID:CGjcLejT0
やるねぇ…
6:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:19:51.39 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂の家──
戸愚呂弟「ここだ」
男「へぇ~」
男「けっこういい家に住んでるじゃん」
戸愚呂弟「オヤジがけっこうムリして買ってねェ」
戸愚呂弟「30年ローン、といったところか」
男「ふうん」
戸愚呂弟「ま、入ってくれ」
男「オジャマします」
7:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:22:56.84 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂弟の部屋──
男(予想通り、筋トレグッズばかりだな……)
男「やっぱりお前って、毎日このダンベルとかで鍛えてるわけ?」
戸愚呂弟「私は趣味がない妖怪でねェ」
戸愚呂弟「唯一やることといえば、筋力トレーニングなんですよ」
男「(なぜ急に敬語に……)へ、へぇ~」
戸愚呂弟「しかし、最近じゃダンベル程度じゃ物足りなくなってねェ」
戸愚呂弟「最近じゃ他の物を持ち上げてトレーニングするようになった」
男「他の物って?」
8:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:26:24.33 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂弟「家」
男「家……って、この家?」
戸愚呂弟「持ち上げてスクワットをねェ……」
男「いやいやいやいや、ローンまだあるんだろ!?」
男「オヤジさん泣くぞ!」
戸愚呂弟「ま、おかげで1分でこの家を平らにできるくらいになったがね」
男「絶対やるなよ!」
11:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:31:15.07 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂の母がやってきた。
戸愚呂母「あらぁ~いらっしゃい!」
男(うわっ、髪型はパーマだけど、顔が戸愚呂そっくりだ……!)
男(同じサングラスだし……)
男(しかも、体は戸愚呂よりデカイぞ……肩幅がヤバイことになってる)
戸愚呂母「今日は来てくれてありがとうね」
戸愚呂母「この子、筋肉操作しか能がないから友達いないのかもって心配だったの」
戸愚呂母「オホホホホ」
男「いえいえ、戸愚呂君は人気者ですよ」
男「飼育委員として、ヘレンの世話を頑張ってますし」
戸愚呂母「そうなのぉ~よかったわぁ~」
12:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:32:46.98 ID:ztfMIGWnO
母wwwwwwwww
13:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:33:01.51 ID:03ClWa2S0
あれ飼ってるとかとんでもない学校だな
15:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:34:19.19 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂母「ところでなにか飲む?」
戸愚呂弟「酒はダメなんで、オレンジジュースください」
男「(だからなんで敬語……)じゃ、ぼくもオレンジジュースで」
オレンジジュースを飲む二人。
戸愚呂弟「やはりオレンジジュースは果汁100%に限るねェ」
男「う、うん」
戸愚呂弟「しかもこのジュースは100%の美味しさも兼ね備えている」
戸愚呂弟「つまり」
戸愚呂弟「100%中の100%……!」
男「!?」ビクッ
17:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:36:03.10 ID:dEYGXRMP0
何が兼ねてるんだよ
18:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:38:13.97 ID:
x4wOyYgf0
格闘ゲームを楽しむ二人。
男「よっしゃー、また勝った!」
戸愚呂弟「やるねェ……」
男「俺もこのゲーム持ってて、けっこうやり込んだからな」
戸愚呂弟「初めて敵に出会えた……。いい試合をしよう……」
男(む、ここから本気を出すってことか!?)
~
ズガガガッ!
男「よっしゃー! 最強コンボが決まったァーっ!」
戸愚呂弟「わ、わざと負けるってのは思ったよりストレスが溜まるねェ」
男(なんという負け惜しみ……!)
20:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:45:30.89 ID:
x4wOyYgf0
すると──
ガチャッ
戸愚呂兄「ヒャハハハハハッ! 弟よ。まさかお前がダチを家に連れてくるとはな」
戸愚呂兄「らしくないことしやがってぇ、ヒヒヒ」
戸愚呂弟「兄者……ノックくらいしろ」
男「(戸愚呂より小さいけど、アニキなのか……!?)こ、こんにちは」
戸愚呂兄「テメェのことは弟から聞いてるぜェ」
戸愚呂兄「テメェ、同じクラスのA子ってのが好きなんだってなァ?」
男(な、なぜそれを!?)
男(ま、まさか──)
戸愚呂弟「…………」スッ
男(目をそむけた! てか、なんで自分のアニキにそんなこと話してんだよ!?)
24:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:52:42.62 ID:FVz9I68K0
再現度高い
32:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:03:18.76 ID:Htf1bivy0
22:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:48:34.92 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂兄「ま、せっかく来たんだ。ゆっくりしていけや」
男「ど、どうも……」
戸愚呂兄「よし、大サービスだ。俺がテメェの恋の行方をシミュレートしてやろう」
男「シミュレート……?」
戸愚呂兄「…………」グニュルルル…
男(うわっ、右手が粘土みたいに形を変えていく!)
戸愚呂兄「こんなもんかァ?」グニュグニュ
男(アニキの右手親指が俺に、右手小指がA子になった!?)
男(なんという再現力!)
男(いったい何が始まろうとしているんだ!?)
23:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:51:15.85 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂兄「ひひひ、始まり始まり……」
戸愚呂兄「弟のダチである男はA子が好きでした」
戸愚呂兄「好きで好きでたまりませんでした。襲いたくなるほど好きでした」
戸愚呂弟「兄者……!」
戸愚呂兄「いいからやらせろよ」
戸愚呂兄「男のA子に対する気持ちは日に日に高まっていきました」
戸愚呂兄「ある日、男はA子に告白をしました」
戸愚呂兄「好きです、付き合って下さいと」
男(ど、どうなる……?)ドキドキ
25:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:54:26.76 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂兄「A子の返事はオーケーでした」
戸愚呂兄「男とA子は晴れて付き合うことになりました」
男(おお、しょせん人形劇だけどなんか嬉しい……)ドキドキ
戸愚呂兄「さっそく二人は次の休みにデートをすることになりました」
戸愚呂兄「二人はデートの日に向けて念入りに準備を重ねました」
戸愚呂兄「そして初デートの日……」
男(初デート……!)ゴクッ
28:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 00:59:28.87 ID:
x4wOyYgf0
ズドドドドッ!
男「!?」
戸愚呂兄の左手が、右手の二人を貫いた。
戸愚呂兄「二人は酔っ払いの運転するダンプカーにハネられてしまいましたァ!」
戸愚呂兄「ビンゴォォォ! 致命傷ォォォッ!」
戸愚呂兄「天国に旅立った二人は、あの世で仲良く暮らしましたとさ!」
戸愚呂兄「めでたし、めでたし……」
戸愚呂兄「ヒャハハハハハハハハハハッ!」
男(うぜぇ……)
戸愚呂弟「ち、兄者の悪いクセだ……」
男(いや、お前はお前でアニキに俺の恋愛事情とか話すなよ)
30:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:01:18.34 ID:I5tSZYxJ0
うぜえワロタ
31:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:02:14.63 ID:FVz9I68K0
このとぐろ兄には好感が持てる
33:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:03:51.70 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂兄「どうだった? けっこう楽しめたろォ?」
男「えぇ、いい趣味をしてらっしゃいますね」
戸愚呂兄「ヒャハハハハッ! 喜んでもらえて俺も嬉しいぜェ!」
男(皮肉が通じねェ……)
戸愚呂兄「さて弟よ、俺は出かけてくるぞ」
戸愚呂弟「どこへ?」
戸愚呂兄「女のところさ」
男「デ、デートですか?」
35:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:10:13.07 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂兄「デートですか、だとォ!?」
戸愚呂兄「ヒャハハハハハッ!」
戸愚呂兄「ンなわけねーだろォ! ストーカーに決まってんだろ、ボケがァ!」
男「えっ」
戸愚呂兄「けけけ、今日も日が変わるまでつきまとってやるぜェ!」
戸愚呂兄「もちろん、あの女を犯す妄想をしながらなァ……」
戸愚呂兄「じゃあな。お袋に今日はメシはいらねぇ、っていっとけ」
戸愚呂弟「アイアイサー」
男「…………」
戸愚呂弟「ち、兄者の悪いクセだ……」
男(悪いクセ、どころじゃないと思う)
38:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:12:32.99 ID:
x4wOyYgf0
男(そういや、小便に行きたいな)
男「戸愚呂、トイレ借りていいか?」
戸愚呂弟「どうぞ。ドアを出て、右に行くと便所だ」
男「サンキュー」
戸愚呂弟の部屋を出て、トイレに向かう。
男「ふんふ~ん」スタスタ
42:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:18:23.41 ID:
x4wOyYgf0
男は少女に出会った。
男「!?」
男(な、なんだ女の子は!? ま、まさか妹!?)
戸愚呂妹「…………」
男(戸愚呂にも、お母さんにも、さっきの犯罪者確定コースのアニキにも似てない)
男(──つうか、すげェ可愛い!)
男(目はぱっちりしてて、色白で、外国の人形みたいだ!)
男(A子より美人になるって確信できるくらい可愛い!)
44:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:20:18.13 ID:
x4wOyYgf0
男(とりあえず、挨拶しておこうかな)
男「やぁ、こんにちは」
男「君、戸愚呂の妹? 今、何歳なんだい?」
戸愚呂妹「…………」
戸愚呂妹「私は品性まで売った覚えはない」
男「えっ(戸愚呂と声が同じ……だと……!?)」
49:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:22:31.31 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂妹「アンタが兄者の友人かねェ?」
戸愚呂妹「見苦しいのを通り越すと、挨拶する気すら失せるねェ」
戸愚呂妹「アンタは人間じゃない。骨と皮と肉のただのガラクタだ」
戸愚呂妹「アンタもしかしてまだ、自分を平均以上と思ってるんじゃないかね?」
戸愚呂妹「私にはアンタがゴミにしか見えない」
それだけいうと、戸愚呂妹は自分の部屋に戻ってしまった。
男「…………」グスッ
男の目からは涙があふれていた。
50:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:23:27.44 ID:rNHPCcRiO
妹辛辣www
52:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:24:40.71 ID:38tdoRiJO
男…元気出せ…
53:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:25:40.78 ID:
x4wOyYgf0
涙を拭いて、男はトイレのドアを開ける。
ガチャッ
戸愚呂祖父「ふぉぉぉぉっ!」
男「うわっ!?」
戸愚呂祖父「技を超えた純粋な強さ、それがパワーだ!」
男「!?」ビクッ
戸愚呂祖父「ひり出す屁の風圧すら武器になるッ!」ブッ!
男(くっさ……!)
56:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:28:02.88 ID:
x4wOyYgf0
男(なんだこの、戸愚呂を白髪にして、シワをつけような人は……)
男(つーか、トイレ入ってるんならカギしめといてくれよ……)
男「す、すいません。開けてしまって……」
戸愚呂祖父「おや、アンタは……?」
男「戸愚呂弟君の友人です」
戸愚呂祖父「ワシの孫の友人か……アンタも大変だねェ」
男「ど、どうも……」
57:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:32:09.85 ID:
x4wOyYgf0
便座を立つ戸愚呂祖父。
男「あ、あの……」
戸愚呂祖父「なにかね?」
男「流して……ないですよね」
戸愚呂祖父「…………」ハッ
戸愚呂祖父「あ、あえて流さなかったのだ」
男「流さなかったんじゃない、忘れてたんだろ?」
戸愚呂祖父「…………」
戸愚呂祖父は便を流した。心なしか、泣いているように見えた。
ジャ~……
58:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:34:56.68 ID:
x4wOyYgf0
無事トイレを済ませ、戸愚呂弟の部屋に戻った男。
戸愚呂弟「ずいぶん長かったねェ」
戸愚呂弟「長引いちまったかい?」
男「いや……」
男「お前の妹に泣かされて、お前のジイさんを泣かせてきた」
戸愚呂弟「?」
戸愚呂弟「まぁいい、ゲームの続きをするぞ」
男「おう」
59:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:39:05.08 ID:
x4wOyYgf0
夜になった。
戸愚呂弟「すっかり遅くなっちまったねェ」
男「ああ。じゃあ俺はそろそろ──」
戸愚呂弟「よかったら、夕飯を食っていかないかね?」
男「え?」
戸愚呂弟「というか、お袋がもうアンタの分も用意しちまっててねェ」
男「……いいけど」
戸愚呂弟「おお、そうかい。お袋も喜ぶ」
男(すっげぇ不安……)
60:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:41:54.12 ID:
x4wOyYgf0
男は家に連絡をし、戸愚呂家の食卓に参加することにした。
戸愚呂母「さぁ、支度ができたわよ~!」
戸愚呂母「男君もどんどん食べてねぇ~?」
戸愚呂祖父「ところでメシはまだかねェ?」
戸愚呂母「今からメシでしょうが!」
ドゴッ!
戸愚呂母の拳が、戸愚呂祖父の顔面にヒットした。
男「……おいおい、大丈夫なのか?」ボソッ
戸愚呂弟「いつものコトだ」
62:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:45:00.98 ID:03ClWa2S0
顔が変形しそうだ
63:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:46:48.39 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂弟「兄者は女をストーカーするから、今日は戻らないそうだ」
戸愚呂母「まったく、あの子にも困ったものねェ」
戸愚呂母「あの性格じゃモテないでしょうに、執念だけはゴキブリ並なんだから……」
戸愚呂母「今の内に砕いて、水槽の中にでも閉じ込めとこうかしら」
戸愚呂弟「ところで姉者は?」
戸愚呂母「あの子もボーイフレンドのところに行くって」
戸愚呂母「色気づいてきちゃって、まったく……」
男「お前のアネキってどんな人なんだ……?」ボソッ
戸愚呂弟「女装と厚化粧をした兄者を想像してくれればいいねェ」
男「なるほど」
64:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:48:48.02 ID:
x4wOyYgf0
まもなく、戸愚呂妹が食卓に現れた。
男(やっぱり可愛いな、この子……。でも──)
戸愚呂妹「…………」チラッ
男「!」
戸愚呂妹「アンタ、まだいたのかい。3分でアンタを平らにしてみせようか」
戸愚呂母「喝ッ! お兄ちゃんの友達になんてこというの!」
戸愚呂妹「ちっ……」
戸愚呂弟「生意気な妹ですまないねェ」
男「いや、さっき体験したから……少しは慣れたかな」
66:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:51:58.63 ID:
x4wOyYgf0
続いて、まだ会っていなかった戸愚呂祖母がやって来た。
戸愚呂祖母「おやおや、お客さんかい。珍しいねェ」シュコーシュコー
戸愚呂祖母「こりゃあ、明日は雪かもねェ」シュコーシュコー
男「!?」ビクッ
男(で、でけぇ! 戸愚呂より、戸愚呂のお母さんよりでけぇ!)
男(そういや、この人が来た途端、なんか寒気がしてきたぞ……)ゾクッ
戸愚呂母「お義母さん、今日は肩で呼吸しないで下さいね」
戸愚呂母「息子のお友達が死んでしまいますから」
戸愚呂祖母「あらやだ、これは失礼したねェ」ピタッ
男「あ、楽になった……。いったい今のは?」
戸愚呂弟「婆さんがアンタの魂を喰いかけてたんだねェ」
男(じょ、冗談じゃねぇ!)
67:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:53:58.20 ID:
x4wOyYgf0
「いただきます!」
戸愚呂弟「今日はご飯とみそ汁とトンカツとキャベツ、か」
戸愚呂弟「オーソドックスだねェ」
戸愚呂妹「私はキャベツが嫌いでねェ」ヒョイッ
戸愚呂母「好き嫌いするお前は、結局半端者なのだ!」ボゴッ
戸愚呂妹「痛いねェ」
戸愚呂祖父「ソースはダメなんで、醤油ください」
戸愚呂祖母「今日は豚の厄日だね」
男(なんてにぎやかな食卓なんだ……!)
68:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:56:40.82 ID:
x4wOyYgf0
男「…………」モグモグ
男(しかし……意外にも、といったら失礼かもしれないけど……)モグモグ
男(このトンカツ、美味いな)モグモグ
男(味噌汁もなかなか……)ズズ…
男(キャベツも……イケる)サクサク
「ただいま」
戸愚呂弟「どうやらオヤジが帰ってきたようだねェ」
男(ついに現れたか……戸愚呂のオヤジ、戸愚呂父!)
69:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 01:59:12.60 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂母「お帰りなさい、あなた」
戸愚呂父「お、今日はトンカツか~」
男(普通だ!)
男(普通のサラリーマンだ!)
男(戸愚呂に似てるけど、顔は優しげだし、体型もいたって平均的!)
男(とんでもない化け物を想像してたけど……)
男(案外そうでもなかったんだな、よかった……)
70:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:05:51.88 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂父は風呂に入ってから、食卓にやってきた。
男「こんばんは」
戸愚呂父「おぉ!? ──君は?」
戸愚呂弟「俺の友人だねェ」
戸愚呂父「おぉ、お友達か。こんばんは」
戸愚呂父「まぁ、ゆっくりしていきなさい。なんだったら、泊まっていくといい」
男「ありがとうございます」
男(なんだか慣れてきたら居心地よくなってきたな……)
男(……マジで泊まっていこうかな)
73:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:08:28.88 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂父「母さん、ビール」
戸愚呂母「今日も一日お疲れ様」コポコポ
戸愚呂父「…………」グビッ グビッ
戸愚呂父「う~ん、うまい!」
男(友達の親父さんだし、なんか話しかけてみるか……)
男「やっぱり、風呂上がりにビールをキュッとやるのっていいですよね!」
男「あ、もちろんボクはまだ未成年だから飲んだりしませんけど……ハハ」
戸愚呂父「…………」ピクッ
74:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:13:24.21 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂父「ビールをキュッとやる……」
男「えっ」
戸愚呂父「ビールをキュッ……」
戸愚呂父「ビールキュッ……」
戸愚呂父「ビーキュッ……」
戸愚呂父「Bキュッ……」
戸愚呂父「B級……」
男(なに!? なんなの!?)
77:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:18:23.68 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂父「B級……?」
戸愚呂父「この私がB級上位……?」ピクピクッ
男「えぇっ!?」
戸愚呂弟「まずいねェ。オヤジの前で“B級”は禁句(タブー)なんですよ」
戸愚呂弟「それは意味も意図もない厳然たるルールなんだねェ」
男(お、俺は“ビールをキュッと”っていっただけなのに……)
戸愚呂弟「アンタ、もう帰った方がいいねェ。この家は戦場になる」
戸愚呂父「うおおおおおおおおおおっ!!!」メキメキメキメキ
戸愚呂父の筋肉が一気に盛り上がり、戸愚呂祖母よりも大きくなった。
男「ひいぃぃぃぃぃっ!?」
78:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:23:25.81 ID:
x4wOyYgf0
戸愚呂父「私がB級上位だとォォォォォッ!」グゴゴゴゴ……
戸愚呂父「私はギリA級だと世間に思い知らせなければならないねェ!」ゴゴゴ…
戸愚呂母「お義母さん、お義父さん、止めますよ!」
戸愚呂祖父「しょうがない息子だ。ギリA級ってところがみみっちいねェ」
戸愚呂祖母「ホントだよ、まったく世話が焼けるねェ」
戸愚呂妹「やれやれ、夕飯が台無しだねェ」
戸愚呂弟「アンタは窓から逃げるといい。靴は明日、学校で渡すねェ」
男「わ、分かった! ゴメンな!」ダッ
戸愚呂弟「世話ばかりかけちまったな……」
男は靴下のまま、戸愚呂の家から逃げ出した。
79:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:25:32.87 ID:
x4wOyYgf0
男が振り返ると、戸愚呂の家からはとてつもない怒号と轟音が聞こえてきた。
きっと中では凄まじい死闘が繰り広げられているのだろう。
当然通報され、サイレンが鳴り響き、辺りは騒然となった。
この阿鼻叫喚の地獄絵図を作り出したのが、
自分の何気ない一言だということが、男にはとても信じられなかった。
82:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:31:16.90 ID:
x4wOyYgf0
翌日 学校にて──
戸愚呂弟「おはよう」
男「おお、戸愚呂! 無事だったか、よかったぁ~!」
男「どうなったのか気になって、昨日はあまり寝つけなかったんだよ」
戸愚呂弟「ま、いつものことだからねェ」
戸愚呂弟「ところでお袋が、昨日はちゃんともてなせなかったから」
戸愚呂弟「今日またアンタに来て欲しいっていってたんだが……どうするね?」
男「…………」
男「行くぜ。連れてってくれ!」
今日もまた、世界一濃い一家での戦いが始まる──
<おわり>
83:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:32:23.58 ID:U7pZShkL0
最後の文がみえない
89:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 03:05:02.40 ID:FVz9I68K0
まだ30%だろ?
84:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:35:48.28 ID:ucSDQWtkO
奥さんも好きだねェ・・・
85:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:37:25.74 ID:7FUprwdJO
乙だねェ
86:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:41:24.99 ID:Py/+32VtO
感動したねぇ
88:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 02:48:20.11 ID:b+ubrIAi0
なかなか、やるねェ
93:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 03:39:46.63 ID:pPWEpSdt0
久々にいいSSだねぇ・・・
94:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/04/08(日) 03:48:04.38 ID:ggdfYYsF0
本当に・・・ バカなんだから全く
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