火憐「じゃあ処女やる。私の処女あげるから」 暦「それならいいぜ」【後編】

2012-03-31 (土) 00:17  その他二次創作SS 化物語   6コメント  
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715:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 11:32:11.17 ID:WBrKoVGu0

神原「ところで阿良々木先輩、私は阿良々木先輩を尊敬しているのだ」

阿良々木「それは嬉しいけど、たまにお前からの期待が僕という人間の身に余るように感じて心苦しいよ」

神原「自分で気づいていなくとも阿良々木先輩には長所がたくさんある、胸を張っていてくれればよい」

神原「ああ、男の阿良々木先輩に胸はなかったか……ならば腰を張っていてくれればそれでいい」

阿良々木「お前はその発言で僕にどこをどうツッコんでほしいんだ!?」

神原「ふむ……了解した阿良々木先輩、今すぐ裸になろう」

阿良々木「そしてどうしてその結論に至った!?」

神原「いや、阿良々木先輩が突っ込むのだろう?私に、腰で」

もう嫌だこの後輩、ああこれも全部狐のせいか。

正直この程度は平常運転な気がしないでもないのだが、ここは狐のせいということにしておきたい。

僕の精神の安定のためにも。



716:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 11:46:34.89 ID:WBrKoVGu0

神原「ところでたまに思うのだ、ノリ突っ込みって……素晴らしく卑猥じゃないだろうか?」

阿良々木「卑猥なのはツッコみという単語ではなく、そこから妙なことを想像するお前自身だ!」

神原「阿良々木先輩。考えてもみてくれ、相手のペースに乗って一度希望を与えた後に……突っ込んで堕とすのだろう?」

阿良々木「漫才におけるオチを漢字で変換して堕ちと書くのは全国探してもお前くらいだよ!」

神原「この短い言葉に濃縮されたエロス……はは、素晴らしいな!阿良々木先輩、ちょっと私にノリ突っ込みをしてはくれないか?」

阿良々木「これ以上の発言は電話かけて救急車呼ぶことになるぞ、ここに頭をケガした人がいるってな」

神原「なるほど……阿良々木先輩は私の頭を穢すつもりなのか……うむ、そういうプレイも悪くないな!」

阿良々木「もう止めろ神原!僕が何でもかんでもツッコめる人間だと思ったら大間違いだ!」

神原「そうか!やはり阿良々木先輩は私に突っ込むのか!待っていてくれ、すぐ裸になろう!」

阿良々木「無限ループって怖いんだなぁ本当に!!」

どうやら、僕は神原の家の中にいるにも関わらず迷路に嵌まり込んでいたらしい。

変態という名の出口がない迷路に。



719:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 11:49:57.71 ID:KBB8mPd+0

狐なんていなかったんや



722:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 12:09:36.79 ID:WBrKoVGu0

とまあ、こういった感じでドタバタを繰り広げつつ僕は部屋の整理を続けていた。

神原「整理か……もしやとは思うが阿良々木先輩、私の部屋は妊娠したりしないだろうか」

阿良々木「部屋が妊娠すると言った概念が僕には理解できないしお前が言っている意味も何一つとして分からない」

神原「この部屋は月に二回ほど整理がくるだろう?つまりはそういうことだ」

阿良々木「説明されても理解できない!?」

今日も神原は快調だ、さっきは狐のせいとか言ってたけどそんなことはなかった。

神原駿河の変態性にはもう狐の影響など関係ないのかもしれない。

常にゲージが百パーセントまで溜められているこの変態を相手に

一体なにを付けたせるというのだ。



727:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 12:33:41.09 ID:WBrKoVGu0

さて……だいぶ片付いてきた、あと一息といったところか。

神原「阿良々木先輩、これをそっちに置いてもらえるだろうか?」

阿良々木「ん、渡してくれ」

背中合わせに作業する神原から何かを手渡される。

スパッツだった。

神原「阿良々木先輩、これもよろしく頼む」

ブラジャー。

神原「ああ、これは大切な絶滅危惧種だから丁重に扱ってほしい」

ブルマ。

神原「そしてこれは私のお気に入りだ」

パンツ。

阿良々木「お前はさっきから何をやっているんだ!?」

神原「無論、部屋着の整理だが」

阿良々木「僕とお前じゃ部屋着の概念が違うらしいな!」



730:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 12:52:43.81 ID:WBrKoVGu0

阿良々木「終わった、ようやく……」

長い、永い戦いに終止符が打たれた。

ああもうどっと疲れたな、肉体的な意味でも精神的な意味でも。

神原「感謝するぞ阿良々木先輩、あの部屋をここまで整頓してくれるとは流石の一言に尽きる」

阿良々木「……次からはもう少し自分でも整理整頓を心がけような」

神原「そうしたいのはやまやまなのだが、あまり自分できっちりやろうとするとそれはそれで困るのだ」

阿良々木「困る?なんで?」

神原「阿良々木先輩を家に呼ぶ口実がなくなってしまう」

阿良々木「……いや、別にいつだって呼んでくれて構わないけどさ」

神原「そういうわけにはいかない、阿良々木先輩は勉強で忙しい時期だ、あまり困らせたくはない。」

神原「仮に私にいつでも阿良々木先輩を呼べる権利が与えられれば、ひっきりなしに呼んでしまうだろう」

阿良々木「それは……まあ確かにちょっと困るかもな」

神原「もしかすると阿良々木先輩が私の家族になっているかもしれない」

阿良々木「それは大いに困るな!」



734:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 13:08:56.92 ID:WBrKoVGu0

神原「ははっ、やはり阿良々木先輩は良い。先輩としての垣根を感じず、気楽に話せる」

その後に神原は、もちろん阿良々木先輩への敬意には一部の傷もつけはしないが。と付け加えた。

本当にコイツはどうしてそこまで僕を敬ってくれるんだろうな。

神原「さて、ここで一つ。私から阿良々木先輩に告白があるのだが聞いてもらえるか?」

阿良々木「告白?あらたまってどうした?」

神原「いや、別に今さら言うことでもないのだが……」

その後輩はじっと僕の目を見据え、そしてはっきりとこう口にした。


神原「私は阿良々木先輩を愛しているのだ」



747:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 13:46:58.29 ID:WBrKoVGu0

阿良々木「…………」

神原「好きなのだ、どうしようもなく。阿良々木先輩のことが」

……ここで、もう一度だけはっきりと明言しておくとしよう。

僕は狐が大っ嫌いだ。

神原「当然、阿良々木先輩には戦場ヶ原先輩という彼女がいることも理解している」

神原「だったら私は二番目でよい、戦場ヶ原先輩に向ける愛の一厘程度で構わない」

神原「ほんの少しだけ、私のことも愛してはくれないだろうか?」

……………………

……神原には珍しい、真剣な表情。なるほど、千石や羽川のときのような冗談ではないらしい。

ならば答えなければならないのだ。

神原への返答を、僕自身の口から。



767:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 14:57:15.47 ID:T3Qgz6f20

阿良々木「断る」

神原「……そうか、阿良々木先輩ならばそう言うと思っていた」

肩を落とす神原をみているとなんだかこの上なく申し訳ない気持ちになってくる。

いつも明るい馬鹿な僕の後輩、変態でも僕を慕ってくれている後輩。

神原駿河。

その告白を僕は断った。

そうしなければいけなかったのだ。



769:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 15:14:20.42 ID:T3Qgz6f20

神原「阿良々木先輩、何故私では駄目なのか……よければ教えてもらえないだろうか」

阿良々木「…………」

神原「戦場ヶ原先輩に勝てないのは初めから分かっていた、だから私は二番目でもいいと言ったのだ」

神原「……私は、阿良々木先輩の二番目になることも出来ないのか?」

髪を伸ばしている今の神原が俯くと顔が隠れて表情を見ることはできない。

それでも、神原がどんな顔をしているのかは容易に想像がついた。

たった今、僕に訴えかけた神原の声は、普段からは想像もつかないほどに震えていたのだから。



773:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 15:31:02.71 ID:T3Qgz6f20

阿良々木「はっきり言うぞ、僕は神原のことが好きだ。お前みたいな奴を嫌いになんかなれるわけがない」

神原は一緒にいると僕に若干の疲労と同時にそれを遥かに上回るほどの楽しさを与えてくれる。

人当たりもいいし容姿だって抜けているし運動で鍛えた素晴らしいスタイルだって持ち合わせている。

まあ若干の変態ではあるけれども……正直僕も人のことは言えないしな。

それでもだ。

阿良々木「それでも……僕は今のお前の告白にはノーと言わなきゃならない」

神原「ならばやはり……戦場ヶ原先輩がいるから、ということなのだろうな……」

阿良々木「違う」

神原「えっ……?」

戦場ヶ原のことも確かに理由ではある、でも一番の理由はそうじゃない。

私は二番目でいい、戦場ヶ原の百分の一でいい、いつも冗談ならともかく先の神原は真剣だった。

それが何よりも問題なのだ。



782:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 15:55:22.67 ID:T3Qgz6f20

阿良々木「二番目なんかじゃない。お前っていう、神原駿河という人間はこの世に一人しかいないんだからな」

神原「阿良々木……先輩……?」

阿良々木「一人しかいない自分を他人と比較するな、自分を貶めるな」

学校の試験の成績や会社の営業成績で順位をつけることはあっても

自分の友人に順位をつけることなどあってはならないはずなのだから。

ましてや恋人に順位など存在するはずがないのだから。

阿良々木「だから、さっきのお前の言葉は受け取れない」

僕のために、彼女である戦場ヶ原ひたぎのために、そして何より僕にとって大切な存在である神原駿河のために。

はっきりと、その告白は断らなければならなかった。



790:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 16:21:06.00 ID:T3Qgz6f20

その時、僕の視界が突如として反転した。背中が部屋の床に触れた時点で状況を把握する。

僕は神原に押し倒されたのだ。

阿良々木「か、神原……!?」

神原「……動かないでくれ阿良々木先輩、狙いがずれてしまう」

耳元で囁かれる神原の声に僕は戸惑わざるをえなかった。

何だ、一体何が起きているというんだ。

神原「やはり……阿良々木先輩は良い体をしているな、実に私好みの筋肉だ」

僕の腹筋の辺りを神原の手が撫で回している、若干くすぐったいがそれは我慢しよう。

一番困っているのはこの密着した体勢。

当たってしまっているのだ、神原の色々な部分が。



802:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 16:55:50.18 ID:T3Qgz6f20

阿良々木「ま、待て神原!」

神原「心配しなくていい阿良々木先輩、私は初めてだ」

阿良々木「初めてって!?」

神原「大丈夫だ、すぐに終わる……」

ああこれダメだ畜生、抜け出せない!

確かにさっき僕は忍に血を吸ってもらったことじゃ吸血鬼に近い状態にはなっている。

それでもこの状況、密着されて上に乗られて自由を奪われたこの体制じゃ力を籠めることも出来ない。

ようするに……どういうことだ?

……平たく言えば詰んだということなのかもしれない。



803:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 16:57:41.18 ID:5mfVUhyi0

ワッフルワッフル



804:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 17:00:58.65 ID:jDLiGoTl0

ばるかんさん流石っす



809:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 17:10:23.76 ID:T3Qgz6f20

神原「本当にじっとしていてくれ……間違いが起きれば阿良々木先輩にも戦場ヶ原先輩にも会わせる顔がない」

阿良々木「…………?」

その言葉の意味を理解しようと頭を回したとき、既に神原は僕の頭に腕を回して固定していた。

その次に、僕は本日二度経験したあの感触を今度は額で経験することになったのである。

それは神原駿河の唇の感触、前の二人とは似てるようでどこか違うその感触を。

僕は額で経験した。



810:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 17:12:41.44 ID:zTSFDrIz0

ふおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお



818:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 17:32:32.21 ID:T3Qgz6f20

神原「……すまなかったな阿良々木先輩、なんと謝ればいいか分からない」

阿良々木「あ、ああ……えっと……」

口を開いた神原の言葉に何と返答すべきなのか僕には分からなかった。

神原「……やはり阿良々木先輩は優しすぎる、あんなことをした私を怒りさえしないとは」

阿良々木「…………」

神原「だがしかし……それが阿良々木先輩の良さでもあるのだな」

神原「そして私の告白を断った際の言葉、心に染み入ったぞ」

阿良々木「…………」

僕は沈黙を返答とした、それは言葉に困ったというわけじゃない。

神原が今、自分の力で積み上げている自分なりの答え。

それを僕の言葉で崩してしまうのは、明らかに無粋であるのだから。



820:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 17:47:47.86 ID:T3Qgz6f20

神原「……阿良々木先輩、今ここで私がしたことについては全てを忘れてほしい」

私が口にしたことも、私が口づけをしたことも……その言葉に、僕は何も言わずに首を縦に振った。

神原「今度会った私は以前と同じ可愛らしいエロっ娘ちゃんに戻っていることだろう」

阿良々木「自分で自分のことをエロっ娘ちゃんとか言うな!」

神原のことをそう呼んだのは忍野……神原の本質をスポーツではなくエロとしたのはさすがと言うべきか。

神原「それと忘れる前に聞かせてほしい……阿良々木先輩」

神原は大きく息を吸い込み

神原「もし仮に私が戦場ヶ原先輩より先に阿良々木先輩と出会い、告白していたら……」

神原「私の恋人になってくれていただろうか?」



823:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 18:03:05.59 ID:T3Qgz6f20

過去における仮定の話などなんの意味もないのかもしれない。

時を戻すことなど誰にだって出来はしないのだから。

それでも、それでも

阿良々木「お前が……一人寂しく佇む僕の友達になってくれていたら。きっと、そうなっていたかもな」

少しくらいなら意味のないことをするのもいいだろう?

神原「……ありがとう、阿良々木……暦先輩」

僕の大切な後輩の、この笑顔を見ることが出来たのだから。



834:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 18:44:44.08 ID:T3Qgz6f20

・・・

阿良々木「…………」

忍「何じゃお前様、狐につままれたような顔をして」

阿良々木「……羽川とお前から気を付けろって言われた直後にこれだよ、何というか……死にたい」

忍「かかっ!今のお前様は再生能力が高くなっておるからの、死ぬにも一苦労じゃな」

阿良々木「妹二人、八九寺、千石、羽川、神原……もはや取り返しがつかなくなってる気がするな」

忍「ま、考えてみれば……妹二人を覗けばみな綺麗な形で話は纏まっておるんじゃ」

そう気を病むこともあるまいて、……って言われてもな。

一体僕は戦場ヶ原に、どの面下げて会えばいいと言うのだ。

出てくる溜め息はあとを絶たない、二酸化炭素濃度が僕の周りだけ高くなってるんじゃないだろうか。

やれやれ、どうしたものか……



840:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 19:02:06.34 ID:T3Qgz6f20

「あら偶然ね、阿良々木君じゃない。それとも暦君って呼んだほうがいいのかしら?」

……………………

噂をすれば影、とはよく言ったものだ。いやホント、先人たちには感服するしかないね。

……辺りに忍の姿はない、例によってまたいつの間にやら僕の影に戻っていたらしい。

自分一人で何とかしろ、ということか。

……ああ、言われなくても分かってるさ。

何故なら今度の相手は、蟹に行き遭った少女、髪をショートに変えた少女……そして、僕の彼女。

戦場ヶ原ひたぎなのだから。



841:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 19:07:37.42 ID:wO0K5Gbi0

キマシタワー



842:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 19:11:52.36 ID:mkq7CQWn0
848:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 19:37:52.88 ID:T3Qgz6f20

阿良々木「……こんにちは、ガハラさん」

戦場ヶ原「こんにちは、暦くん」

暦くん……ね、いつも阿良々木くんって呼ばれてたから何だか新鮮に感じる。

ゴミとか犬の死体とか呼ばれてた気もするけれど多分気のせいに違いない。

戦場ヶ原「こんなところで会えるなんて驚きね、この辺りは暦くんのテリトリーじゃないと思ったけれど……」

戦場ヶ原「野良犬みたいな暦くんは野良犬みたいに歩き回ってここまでやってきたのかしら」

ガハラさん、気のせいと思わせてください。

最近は僕にデレてきてくれているけれど染み付いた言葉の暴力は簡単には抜けないらしい。

そりゃそうだろうなぁ……でもこの毒舌が綺麗になくなってしまうとなればそれはそれで寂しい気もする。

戦場ヶ原「フフ……心配しないでこよみん、ちゃんと定期的に言葉虐めはしてあげるから」

阿良々木「心を読むな、積極的に暴言を吐こうとするな、そしてこよみんってのは僕のことか」



850:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 19:43:04.19 ID:5mfVUhyi0

こよみんいただきましたー



851:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 19:43:08.34 ID:Umc06sFX0

阿良々木さんにはラギ子ちゃんというオフィシャルニックネームがあっただろ!?



852:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 19:47:33.25 ID:T3Qgz6f20

戦場ヶ原「さて……阿良々木くん、今から真面目な話をしましょうか」

あ、阿良々木くんに戻った。暦くんとか色々模索したらしいけど結局そこに落ち着くんだな。

僕としてもそれが一番呼ばれ慣れた名前だから別にいいんだけれどさ。

阿良々木「謹んで聞こうじゃないか」

戦場ヶ原「さっきも言ったようにこの辺はあなたの活動範囲じゃないはずだけれど、何をしていたのかしら?」

阿良々木「…………」

僕は羽川と戦場ヶ原の二人にだけは嘘をつけない、下手な嘘を言っても即座に見抜かれるし

戦場ヶ原の場合、嘘がバレた後になにをされるか分かったものじゃないからだ。

阿良々木「神原の家に行った帰りだよ、部屋の片付けを頼まれてさ」



854:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 20:03:21.41 ID:T3Qgz6f20

戦場ヶ原「そう、神原の家に……ね……」

僕の言葉を聞いた戦場ヶ原はつかつかと歩み寄ってきたかと思うと

阿良々木「っ!?」

僕の頭を両手で固定し、ぐっと顔を近付けてきた。

戦場ヶ原「……ねえ阿良々木くん、私は常々思っていることがあるのだけれど聞いてくれるかしら?」

阿良々木「……聞こうじゃないか、プリンセスひたぎ」

戦場ヶ原「『嘘はついていない』って主張して罪を逃れようとする人がたまに言う人がいるわね」

戦場ヶ原「でもそれって、与えるべき情報を隠している時点でそれは既に詐欺だと思わない?」

阿良々木「…………」

戦場ヶ原「二、三、四、……七人かしら……ねぇ?」

この時、僕の中を渦巻いていた思考。それは決して言い訳などではなく

有事の際には再生能力がちゃんと追い付いてくれることを神に願うことのみだった。



872:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 20:59:27.85 ID:T3Qgz6f20

戦場ヶ原「きちんと説明してくれるかしら、無理やり言わされるよりも自分で言ったほうが罪は軽いわよ」

阿良々木「……分かってる、今日一日の出来事を隠さずに全部話すさ」

ただ正直、恋慕狐のことは話すか否か判断に迷う……

……と思ったのだが、今回は怪異のことも含めてきちんと説明しようと思う。

隠し事はしないようにすると以前にも約束したことがあるし、何より

『よく分からないけど何か今日は女の子からモテてモテて仕方なかったんだよなー』

などと、言えるはずがなかったからである。

というか僕が死ぬ。

ただ存在するだけの怪異に責任を求めるのはお門違いではあるけれど、今回は泥を被ってもらうとしよう。



875:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 21:11:58.08 ID:T3Qgz6f20

・・・

戦場ヶ原「……なるほど、分かりました阿良々木くん。そういうことだったのね」

戦場ヶ原「つまりあなたはその狐のせいで、色々と苦労させられていると……言い換えるなら」

戦場ヶ原「大した魅力もないのに女の子を落としまくる節操のない恋愛ゲームの馬鹿主人公の如き状態なのね?」

阿良々木「比喩表現に多大な悪意を感じるが概ねその通りだ」

戦場ヶ原「で、狐に憑かれてることを言い訳に……八九寺ちゃんだったかしら?その子とは将来結ばれる約束をして」

戦場ヶ原「あなたの妹さんの友達からは頬にキスをされ」

戦場ヶ原「羽川様……じゃない、羽川さんからは逆の頬にキスをされて」

突っ込まない、羽川のことを羽川様って言ったのを僕は決して突っ込まない。

正直今はそれどころじゃないから。

戦場ヶ原「そして神原には押し倒された挙げ句に額にキスされた……間違いないわね?」

阿良々木「…………はい」

こうして羅列されると改めて感じる。

ギルティー、圧倒的ギルティーであると。



876:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 21:16:13.80 ID:HtC9w29v0

妹はセーフか…日常茶飯事だからかな



879:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 21:26:08.54 ID:yBcvDrgl0

全員嫁にすれば解決するのか



880:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 21:28:11.34 ID:T3Qgz6f20

戦場ヶ原「やむを得ない状況であったことを考慮しても私にとってはあまり気持ちのいい話ではないわね」

戦場ヶ原「阿良々木くんは私が他の男から頬にキスされて一人からは押し倒された、なんか聞いたらどう思うのかしら?」

阿良々木「……正直、嫉妬するじゃすまないかもしれないな」

その野郎のところにいって、人の彼女に何すんじゃ!くらいのことは言うかもしれない。

……いや、確実に言うだろうな。

戦場ヶ原「でしょうね、そして今の私はあなたの想像の十倍嫉妬しているのよ阿良々木くん」

阿良々木「……返す言葉もない」

戦場ヶ原「謝っても許してあげないわ。今からしばらくの間、阿良々木くんには私の命令に従ってもらいます」

……ああ、甘んじて受けようじゃないか。忍や羽川から忠告されといてこの結果だからなぁ。

とてもじゃないが自分でも擁護出来ない。

覚悟は出来てる。命令されれば、犬にでも猫にでも何にだってなってやろうじゃないか。



881:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 21:36:08.15 ID:T3Qgz6f20

嫉妬に狂っていると自称する戦場ヶ原ひたぎから僕に下された命令。

簡単でシンプルなたった一つの命令。

それは

戦場ヶ原「他の子たちの誰よりも、今日これから私に優しくしなさい……でないと、許さないわよ?阿良々木くん」



889:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 21:55:48.72 ID:T3Qgz6f20

阿良々木「…………」

戦場ヶ原「何、出来ないのかしら?」

阿良々木「いや……いいのか、本当にそんな命令で」

戦場ヶ原「もっと何か肉体的にキツい命令が来るとでも思ったのかしら?」

阿良々木「正直に言う、そうとしか思っていなかった」

戦場ヶ原「正直なのはいいことよ、でもね阿良々木くん。前にも言ったと思うけれど」

戦場ヶ原「自分の彼氏がモテるというのは女の子からしてみればかなり嬉しいことなのよ」

もっとも、だからといってキスしていい理由にはならないけれど。と、最後に付け加えた。

戦場ヶ原「そして……その人気者の恋人を独占出来るっていうのは女の子にとって最高に嬉しいことなんだから」

阿良々木「…………ありがとうな、戦場ヶ原」

僕は、この先何が起ころうともこの戦場ヶ原ひたぎを悲しませないという誓いを込め

戦場ヶ原にキスをした。



898:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 22:25:26.40 ID:T3Qgz6f20

戦場ヶ原「…………」

阿良々木「……ガハラさん?」

僕とキスのあと、ふと戦場ヶ原は俯いて黙り込んでしまった。

……ちょっと待て、僕はまた何か間違いをしでかしたのか?

不安になり、表情を伺うために顔を近付けると

戦場ヶ原「えい」

指で頬をつつかれ、そしてクスクスと笑われた。

阿良々木「ガハラさん……?」

戦場ヶ原「本当、困ったことをしてくれたわね阿良々木くん」

戦場ヶ原は笑いを抑えることもせず、ただ真っ直ぐに僕の目を見つめていた。

そして

戦場ヶ原「あなたに触れたり、会話したり、そばにいるだけで……私はとても楽しいの」

戦場ヶ原「もっと長い時間をあなたと過ごしたいし、もっとたくさんあなたのことを知りたい」

戦場ヶ原「そして……もっと深くあなたと繋がりたい、最近はそんなことばかり考えてしまうのよ」



905:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 22:53:49.24 ID:T3Qgz6f20

戦場ヶ原「貝木が言っていたわね、私はつまらない女になったって」

阿良々木「貝木か……あまり何度も聞きたい名前じゃないな」

戦場ヶ原「あんなことを言われたら当時の私ならば激怒していたでしょうね」

戦場ヶ原「まあ、あの時もちょっとイラッとして殺……いえ、パチンッとしてやりたくなったけれど」

阿良々木「パチンッって可愛い表現してもそれはダメ!」

戦場ヶ原「でもね阿良々木くん、あなたと付き合い始めて触れ合った結果つまらない女になったのなら」

戦場ヶ原「私はつまらない女のままでいい、そう思ってしまうくらい……私はあなたしか見えていない」

…………

……不覚にも、実感が薄れていた。

戦場ヶ原ひたぎという女の子の彼氏でいられることがどれほど幸せなことであるのかを。

阿良々木「……僕も、お前が好きだよ。戦場ヶ原」

戦場ヶ原「そう、嬉しいわ……ありがとう、阿良々木くん」



906:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 22:54:58.87 ID:g2G027750

ひたぎエンド



907:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 22:56:15.79 ID:yT7ROWlc0

やっぱ最後はガハラさんっすよね



909:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:00:24.85 ID:T3Qgz6f20

「プラチナムカつく」


ふと、そんな声が聞こえた気がした。



910:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:01:39.13 ID:PXYkSynI0

oh...



912:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:02:42.17 ID:TUFTFWeR0

あっ



913:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:03:17.59 ID:g2G027750

やべえ



914:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:03:53.89 ID:USHgvJsh0

おお……?



918:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:11:55.55 ID:9aKdAjCd0

ざわ...ざわ...



919:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:11:56.96 ID:T3Qgz6f20

ハッピーエンドを迎える前に一悶着あるのはゲームや漫画ではある種のテンプレートと化している。

そして、それは現実にも起こり得ることであったのだ。

ただし今回は一悶着という単語で済むレベルではないのかもしれない。

僕の妹、小さい妹、阿良々木月火……

僕の愛しい家族、その右手には

紛れもない

刃が握られていたのだから。



927:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:24:11.93 ID:T3Qgz6f20

阿良々木「月火ちゃん……か」

月火「私だけじゃないよ」

火憐「…………」

阿良々木「お前も……か」

火憐「……ごめんよ兄ちゃん」

阿良々木「……………」

戦場ヶ原「阿良々木くん、あの子たち……」

阿良々木「……僕の、妹だ」

まさか、最後に立ちふさがる大きな壁が自らの妹たちであるとは予想外である。

そしてようやく理解出来た。

恋慕狐、それは恋い慕う狐の怪異……恋を実らせることが出来なかった狐の物語。

自らの一族を愛したが故に想いを遂げられなかった狐の怪異だったのであると。



931:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:38:05.68 ID:T3Qgz6f20

月火「お兄ちゃん、誰だろうね?その女の人」

阿良々木「…………」

月火「妹が聞いてるんだよ、教えてくれたっていいんじゃない?」

阿良々木「戦場ヶ原ひたぎ……僕の彼女だ」

月火「へぇ……綺麗な彼女さんだね、お兄ちゃんには似合わないくらいに」

阿良々木「…………」

目は据わった月火ちゃんは明らかにいつもとは様子が違う。

恋慕狐の影響を強く受けるとこうなるか……まったく笑えない。

戦場ヶ原「逃げましょう阿良々木くん、少なくともここじゃ危険だわ」

阿良々木「…………」

踵を返して走り出した僕たちの背後から声が聞こえる。

「逃がさない」

月火ちゃんの放ったその声は、どことなく狐の鳴き声に似ていた。



934:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:50:30.76 ID:T3Qgz6f20

・・・

日は既に落ち辺りは暗くなっていた。ここは誰もいない夜の公園。

ここで僕は二人の妹と相対していた。

月火「もう鬼ごっこは終わりなの?お兄ちゃん」

阿良々木「ああ、もう終わりにしよう……」

妹が兄に恋い焦がれ殺したいほど愛するなんて、馬鹿な三文芝居にすら満たない寸劇は

もう幕を下ろす必要があるだろう。

火憐「…………」

見たところ火憐は月火ちゃんのような状態にまでは陥っていない。

もし火憐ちゃんが本気を出してたらこの公園に逃げてくる途中で捕まっていたはずだ。

多分、僕と分かれた後で月火に見つかり、あの迫力と威圧感に圧されて行動を共にしていた……とか

……うん、容易に想像がつくな。

となると、実質止めなければならないのはただ一人。

小さい妹、阿良々木月火だけとなる。



936:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/29(木) 23:57:09.53 ID:T3Qgz6f20

阿良々木「戦場ヶ原、ここは僕一人に任せてくれないか」

戦場ヶ原「そのほうがいいでしょうね、私はあの子のことをよく知らないし……それに」

阿良々木「それに?」

戦場ヶ原「小さい子は苦手なのよ」

……いや、一応もう中学生なんだけどな。

戦場ヶ原「とにかく阿良々木くん……約束して、絶対に死んじゃダメよ」

阿良々木「……分かってる」

それに、仮に僕が月火ちゃんに殺されてしまうようなことがあれば

戦場ヶ原は間違いなく月火ちゃんを殺すだろうから。



946:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 00:19:56.69 ID:GTO9QNIA0

月火「さっきからうるさいなぁぁぁっ!!」

阿良々木「!」

月火が刃物を振り上げて一直線に走ってきた、が思った以上にその動きが速い。

体育会系じゃないはずなのにどうなってるんだ、参謀担当じゃねぇのかよ!

これも怪異の影響だって言うのか!?

どうなってんだ忍!確か最初の辺りでこの怪異はそこまで害はないとか言ってたじゃないかよ!

阿良々木「くそっ……!」

迫り来る刃をギリギリのところで避ける……なんて器用な真似は到底出来ない。

狙うは一定の距離を置いて大きな隙をついて刃物を奪うこと。

誰も傷つかずにすむ唯一の方法だ。



949:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 00:30:23.97 ID:GTO9QNIA0

月火「全部……全部壊れればいいんだ……!!」

突如として月火ちゃんが僕とは別方向に向かって走り出した。

月火の走るその方向の先にいたのは

戦場ヶ原「!」

戦場ヶ原ひたぎ。

阿良々木「くそっ!」

なんてことだ、僕は馬鹿か!月火の狙いが僕一人だと思い込んでいたなんて!

恋慕狐が恋の実らなかった狐の怪異だとするならば、己の恋敵を恨むのはごく自然なことじゃないか。

戦場ヶ原「…………っ!」

以前の戦場ヶ原は体中に武器となる文房具を身に付けていたが、今現在はそれらをすべて外している。

つまり、刃物の盾となるようなものは持ち合わせていない。

―――間に合え


次の瞬間……肉に刃物が刺さる音が響き渡り、赤い鮮血が公園の砂を濡らしていた。



957:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 00:40:18.74 ID:GTO9QNIA0

阿良々木「ぐっ……」

戦場ヶ原「あ、阿良々木くん……!」

先の表現に誤りがあったので、ここで訂正しようと思う。

戦場ヶ原ひたぎの盾は存在する。

僕という、阿良々木暦という名の盾が。

阿良々木「離れろ……戦場ヶ原……!」

火憐「に、兄ちゃん!!」

月火「……刺さったのはお兄ちゃんか、まあいいや……結果は同じだしね」

僕の体から刃物が抜かれる、冷たい刃が引き抜かれていく感触と同時に激痛が走る。

貫かれたのは胸の辺り、心臓は無事みたいだが致命傷だ。

だが

阿良々木「……同じじゃねぇよ」

それでも、僕は倒れなかった。



960:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 00:55:35.14 ID:GTO9QNIA0

普通の人間なら出血死していたかもしれないレベルの傷でも僕は倒れず立っていられた。

少量ではあったが、千石の家で忍に血を与えていたことがここに来て功を奏したらしい。

既に出血は止まり、傷も再生しつつある。

月火「なんで……?」

阿良々木「お前が……大切だからだよ月火ちゃん」

僕を見くびるなよ狐め。お前のために自分の家族を、妹を殺人犯なんかにさせてたまるか。

月火「そういうのが……プラチナムカつくんだよ!!」

二撃目を放つべく月火は大きく腕を振りかぶる、僕に更なる致命傷を与えるために。

一撃で僕を仕留めるために。



962:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 00:57:57.26 ID:GTO9QNIA0

その時、振り上げられた月火の腕を掴む人影が一つ。

見覚えのあるそのシルエットの人物は

「阿良々木先輩と戦場ヶ原先輩を傷つけさせはしない」

聞き覚えのある声でそういった。



968:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:09:32.52 ID:GTO9QNIA0

阿良々木「か、神原……?」

神原「すまなかった阿良々木先輩、まさかこのような事態になっているとは予測出来なかった」

阿良々木「なんで……お前がここに……!」

神原「私にもよく分からないのだ、ただ……気がついたら足がここへ向いていた、とでも言うべきか」

そんな都合のいい展開があり得るのか……?夜にたまたま歩いてここにやって来ただって?

神原「とりあえず、それについては他のみなも私同じであるらしいぞ」

阿良々木「みんなって……!」

撫子「ららちゃん、もう止めて!」

月火「せ、せんちゃん……?」

羽川「凄い大立ち回りになっちゃってるね、戦場ヶ原さん」

戦場ヶ原「は、羽川様……?」



974:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:23:32.38 ID:GTO9QNIA0

八九寺「はぁ。本当に、阿良々木さんは話題に事欠かない人ですね」

阿良々木「八九寺……お前まで……!」

どうなってんだ本当に、こんなのがただね偶然であるはずが……

忍「偶然でないならば必然であるということじゃ、我が主様よ」

八九寺に続く最後の登場人物として、忍が影の中から姿を表した。

阿良々木「どういうことだ……?」

忍「引かれ合ったのじゃよ、同じ怪異にあてられたもの同士が……一人が暴走したことによっての」

阿良々木「…………」

そう言われれば、狐という動物はそういった危険察知能力に長けているらしい。

外敵の接近、自然災害の予兆、そして仲間の異変……その性質がこの怪異にもあてはまったというわけだ。

忍「ま、一つの怪異が複数の人間に影響を及ぼすなど稀有なことじゃがの」

説明を終えた忍はかかっ!笑って見せ、そして

忍「さあお前様よ、幕引きの時じゃ」

そう僕に告げた。



977:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:34:13.05 ID:GTO9QNIA0

月火ちゃんは神原と火憐に腕を抑えられ、その体を千石が泣きながら抱きしめていた。

阿良々木「……月火ちゃん」

月火「……何さ、お兄ちゃん」

阿良々木「本当、呆れるくらいに僕たちって仲が悪かったよな?」

月火「……そうだね、お兄ちゃんが中学生の頃は喧嘩してばっかりだったし」

阿良々木「取っ組み合いの喧嘩もよくやったな、お前ら正義の味方のくせに二対一で掛かって来やがって」

あ、初代プリキュアも二対一だったか。あ、いや見てないよ僕は。あんな少女アニメ……

……はい、見てました。毎週必ず。

月火「……そうだったね、取っ組み合いなんかもやってたね」

阿良々木「……最近、そんな喧嘩してなかったな」

月火「ん…………」



978:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:39:46.30 ID:GTO9QNIA0

阿良々木「で、どうだった?」

月火「え?」

阿良々木「感想だよ、久々に僕と大喧嘩した感想」

僕はさっきから怪異がどうとか大騒ぎしていたが、冷静に考えてみれば何のことはない。

こんなのはただの喧嘩にすぎなかったのだ。

ちょっとだけやりすぎた、多くの知り合いを巻き込んでしまった、考えの行き違いから生じてしまった

ただの、兄妹喧嘩である。



980:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:47:47.75 ID:GTO9QNIA0

月火「……ばっかみたい、プラチナムカつく」

阿良々木「はは、結局そう言われるのか」

月火「……何か、すっごく疲れちゃった。ちょっとだけ眠っていいかな?」

阿良々木「ああ、僕が体を支えててやる」

月火「………………」

月火「………………」

月火「……ごめんね、お兄ちゃん」

阿良々木「こっちこそ、ごめんな月火ちゃん」

そして月火ちゃんは目を閉じ、僕の腕の中で寝息を立て始めた。

こうして、三文芝居にも満たないただの寸劇以下の兄妹喧嘩は

お互いの謝罪の言葉、『ごめんなさい』の一言で

幕を下ろしたのである。



982:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:50:38.96 ID:GTO9QNIA0

後日談というか今回のオチ

忍曰わく、恋慕狐はもういなくなったらしい。

そして本来なら月火ちゃんのレベルにまで暴走することなど起こり得ないらしいのだ



981:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:49:52.73 ID:TLoXftZ/0

終わり・・・か・・・?



990:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:55:17.46 ID:pOLX4hXJO

乙 くっそ楽しかった



994:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:56:40.19 ID:eRreuJjq0

おもしろかった!はじめから見てたから長かったわw



996:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:57:01.37 ID:C+snCage0

もう金曜日かいつからだっけ?



997:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/30(金) 01:57:44.56 ID:yBKXTIbH0

もしまだ続きあるなら短くても新スレ立ててくれると嬉しい
とにかく乙



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コメント一覧
20015. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/31(土) 02:55 ▼このコメントに返信する
文章力はすごいな
オチがしっかりしてれば最高だった
20016. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/31(土) 03:13 ▼このコメントに返信する
確かにオチが弱かったかな
にしてもかんばるは違和感無さ過ぎてほぼ平常に見える件
20017. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/31(土) 03:22 ▼このコメントに返信する
久々の本格的物語SSだった!非常に面白かったよ!
アララギさんのイケメンさ加減に乾杯!
20019. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/31(土) 03:57 ▼このコメントに返信する
次スレに完結まで書かれてなかった?
20020. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/31(土) 05:35 ▼このコメントに返信する
次スレでもうちょっと書かれてたで
40322. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2013/12/15(日) 20:02 ▼このコメントに返信する
ナニコレ後一歩が足りないwwwww
最後まであるなら入れといてくれよ・・・
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