QB「少しくらい、本当の奇跡が起こってもいいじゃないか」【後編】

2012-03-01 (木) 00:36  まどか☆マギカSS   8コメント  
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137:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 22:46:42.01 ID:xWxN8pHX0

QB「そうさ、この子は巴マミだ……さっきの二人は、マミの両親だよ」ピョン


QB「……これが、ワルプルギスの夜の正体さ」ナデナデ


マミ「…………」ピッ… ピッ…

まどか「そんな……だって、マミさんはもう!」

ほむら「……あくまで、別時間軸での巴マミよ」

ほむら「私達の知っている彼女では無いわ」



139:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 22:49:12.11 ID:xWxN8pHX0

まどか「あ、そっか……」

まどか「…………」

まどか「……ほむらちゃんにとっての、今の私みたいなものなんだね」

ほむら「まどか……」

ほむら「……ええ、そうね」



ほむら「私達の、大切な先輩であることに……変わりはないわね」



まどか「……うん」



140:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 22:51:33.50 ID:xWxN8pHX0

QB「……ふむ、なるほどね」ボウ…

QB「そういうことか……」

ほむら「情報の回収は済んだの?」

QB「ああ……全てわかったよ」


QB「ワルプルギスの夜が何なのか」


―――――――――――――――



141:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 22:56:56.82 ID:xWxN8pHX0

―――――――――――――――



ワルプルギスの夜は、誰も居ない結界の中でしばらく回り続けていた。


しかし、それでは彼女―― 巴マミの願いが叶えられたことにはならない。

彼女の願いは、現実を物語に変えること。

そしてその物語は、魔法少女が主役なのだ。


やがてワルプルギスの夜はその世界を離れ、平行世界を回って、少しずつ物語に変えていくことにした。

魔女は時空を超えて過去に飛び、魔法少女の種としてインキュベーターをばら撒いた。

インキュベーターたちは契約を通して魔法少女を、ひいては魔女を作った。

そして時はめぐり、物語の主人公……鹿目まどかのもとにも、インキュベーターが現れる。

まどかはインキュベーターと契約し、魔法少女となるだろう。

仲間たちと力を合わせ、時には衝突しながら困難を乗り越えていくだろう。

そうして仕上げに、自分自身をまどかの最後の敵に添えれば……完璧だ。



142:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 22:57:45.33 ID:xWxN8pHX0

それこそ魔法少女 まどかマギカ。 それはもはやただの物語ではなく、現実となった。

嘘と現実は入れ替わり、巴マミの願いは叶えられた。


……ただ一つ、誤算だったのは。

マミは、この物語が最後にどうなるのか……まだ、聞いていなかった。

そして、もう二度と聞く機会もなくなってしまった。

これでは、どのように終われば良いのかわからない。



だから、ワルプルギスの夜は永遠に回転し続ける。



―――――――――――――――



143:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:01:05.38 ID:xWxN8pHX0

―――――――――――――――



QB「……そもそも、この世界には魔法少女なんて存在していなかった」

QB「当然魔女も、インキュベーターも」

ほむら「……じゃあ巴マミは、ワルプルギスの夜はどうやって生まれたというの?」

QB「多分、僕らのような存在は居たんだろう」

QB「人間の願いを叶え、その代償としてエネルギーを採取する地球外生命体はね」

QB「ただ、そのやり方は今よりもずっと非効率的だった……」

ほむら「……それを改善するために、巴マミの願いを利用した?」

QB「そう、彼らはより効率的なエネルギー採取のため、魔法少女という概念に目を付けた」

QB「……普通の人間は、願いを叶えると言われても大したことをするわけじゃないだろう」

QB「富、地位、名声……もしくは大切な人の蘇生か、能力の向上かな」

QB「そんな願いをいくら叶えても、彼らには何のメリットもない」


QB「……ただ、マミの願いは違った」



144:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:03:22.12 ID:xWxN8pHX0

QB「交通事故で両親を亡くした上に、感覚と体の自由を失ってしまった彼女にとっては……」

QB「……この世界に、欲しい物など何も残されていなかったんだろう」

まどか「…………」

QB「彼女にとっては、キュゥべえというあだ名の医師が語る魔法少女の物語だけが全てだった」

QB「だから、マミは世界を変えることを願ったんだ」

QB「魔女と戦う魔法少女が存在する、まるでフィクションのような世界をね」

ほむら「……奴らにとっては、都合が良い願いね」

QB「そうだね……彼らは猿の手の話のように、その願いを歪んだ形で叶えたんだろう」

QB「そして、より効率のいいエネルギーの回収システム……」

QB「……魔法少女とインキュベーターを手に入れた」



146:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:07:51.99 ID:xWxN8pHX0

ほむら「あなた達も……ただの駒に過ぎなかったということ?」

QB「残念だけどそういうことみたいだ」

まどか「……じゃあ、わたし達の知ってる魔法少女の仕組みは、マミさんが……」

まどか「……ワルプルギスの夜が、作ったの?」

QB「正確には、インキュベーターをばら撒いただけだけどね」

QB「まあ、全ての魔法少女を滅ぼすほどの力を持った魔女だし」

QB「全ての魔法少女を生み出すほどの祈りによって生まれたとしても、おかしくはないだろう?」

まどか「…………」



147:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:09:14.19 ID:cFBRYI4M0

なるほど



148:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:11:15.97 ID:xWxN8pHX0

ほむら「……でも、そんな魔女を一体どうやって倒せば良いの」

ほむら「舞台装置だけが独り歩きしている以上……」

ほむら「例えここに居る巴マミに何かしても、影響は与えられないんじゃないかしら?」

QB「そうだね……でも大丈夫」


QB「一応、ワルプルギスの夜に対抗する手段は思いついたよ」


まどか「……! じゃあ、倒せるの!?」

QB「成功する確率はかなり低いけどね」

ほむら「何でもいいわ、やりなさい」

ほむら「ここでワルプルギスの夜を倒せたら……いろんなことが上手くいくかもしれない」

ほむら「あなた達だって、彼女の呪縛から解放されるかもしれないんだから」



149:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:14:22.66 ID:xWxN8pHX0

QB「…………」

QB「……わかった、やろう」

QB「ただ、少し時間がかかると思うから……」



――ズンッ!



まどか「!?……何、今の音?」

ほむら「……この、感覚!」ゾクッ…



――オオオオオオオオ…



QB「……まずいね」



151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:16:42.46 ID:xWxN8pHX0

QB「どうやら、ここの主に見つかってしまったみたいだ」

まどか「そ、それって……まさか」

QB「ああ、多分……」




――アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!




QB「……ワルプルギスの夜が来た」



153:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:22:36.35 ID:xWxN8pHX0

ズズン…



まどか「きゃっ……!」グラグラ

ほむら「まどか!」ガシッ

まどか「あ、ありがとう……」

QB「……まさか、僕らが元居た世界を放り出して、ここに帰ってくるなんてね」

ほむら「どういうこと? 奴の目的は、世界を戯曲に変えて回ることじゃないの!?」

QB「多分、彼女は魔法少女との対決を求めて来たんだろう」

QB「魔法少女と敵対する存在、魔女こそが……この物語での、彼女の役割なんだから」

ほむら「そうか……あの町にはもう、まどかが居ない……!」



154:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:24:50.45 ID:xWxN8pHX0

QB「……ふう」

QB「どうやら……ここで終わりみたいだね」

まどか「え? キュゥべえ……?」

ほむら「…………」



QB「……ほむら、時間を巻き戻すんだ」



まどか「えっ……あ、諦めろって言うの!?」

ほむら「…………」

QB「仕方が無いよ……今から手を打とうにも遅すぎる」

QB「おそらくその前に、この病院ごと破壊されてしまうだろうね」

まどか「そんな……」



155:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:33:42.17 ID:xWxN8pHX0

QB「もしそんなことになれば、全ておしまいだ」

QB「ここに至るまでの苦労も、犠牲も……全て水の泡になってしまう」

QB「……それなら、君だけでも時間を巻き戻して、この時間軸を脱したほうが良い」

ほむら「…………」

まどか「……ほむら、ちゃん」

ほむら「…………」クルッ スタスタ…

QB「ほむら?……何をやっているんだい」

QB「早く能力を使って、時間を巻き戻すんだ! 間に合わなくなるよ!?」



ほむら「……その必要はないわ」



QB「なっ……」



156:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:40:19.44 ID:xWxN8pHX0

QB「……まさか、戦うつもりかい?」

ほむら「ええ、手持ちの武器ならまだいくつか残っているし」

QB「そんな装備で、倒せるはずが無いじゃないか……」

ほむら「……何を言っているの?」

ほむら「私は、時間を稼ぐだけで良いんでしょう?」

QB「えっ?」


ほむら「……あなたが、その対抗手段とやらを試すまでの時間を」


QB「………!」



158:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:43:14.59 ID:xWxN8pHX0

QB「……僕を信用するというのかい? 君が?」

ほむら「勘違いしないで」

ほむら「ただ、それしか手が無いだけよ」

QB「わけが……わからないよ」

QB「どうしてそこまで、この時間軸にこだわるんだい?」

QB「君は既に、ワルプルギスの夜に対して大きな知識を得ている」

QB「それを持ち越して、次の機会に活用した方が効率的じゃないか」



160:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:45:27.71 ID:xWxN8pHX0

QB「なぜわざわざ、危険な賭けに……」

ほむら「…………」

ほむら「……私の後ろに、まどかが居て」

まどか「………!」

ほむら「彼女を守れる可能性が、少しでもあるのなら……」




ほむら「……そこが私の、戦場だから」





バッ!



161:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:46:47.52 ID:xWxN8pHX0

………………………………………



まどか「……行っちゃったね」

QB「止めないんだね? ……少し意外だったよ」

まどか「…………」

まどか「……信じてるから」

まどか「ほむらちゃんも、キュゥべえも」

QB「…………」


まどか「……それに、マミさんも」


QB「え?」

まどか「わたし、思ったんだ……わたし達が、この結界に連れてこられた理由はさ」

まどか「……マミさんが呼んだから、なんじゃないかな、って」



163:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:48:00.65 ID:xWxN8pHX0

QB「マミが、僕らを……?」

まどか「そう……ワルプルギスの夜じゃなくて、この、マミさんが」


まどか「ワルプルギスの夜を止めてもらいたくって……呼んだんじゃないかな?」


QB「…………」

まどか「マミさんはきっと、希望を振りまく魔法少女が見たかっただけで」

まどか「こんな……こんな魔女ができることは望んでない」

まどか「だから、わたしと、ほむらちゃんと、キュゥべえに……」

まどか「……助けてもらうために、呼んだんじゃないかな?」



164:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:49:48.09 ID:xWxN8pHX0

まどか「だから、キュゥべえなら……絶対できるよ!」

まどか「マミさんを、助けてあげられるよ! きっと!」



まどか「……わたしは、そう信じてるから」



QB「……君の言うことは、いつもそうだね」

QB「不確かで、想像の域を出ない夢物語ばかりだ」



165:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:52:42.63 ID:xWxN8pHX0

まどか「…………」

QB「……でも」


QB「その確率も……0じゃないね」


まどか「……っ!」

QB「こんな状況、最初で最後だろうし……」




QB「……僕も賭けてみようか、その希望に」



……………………………………………………



166:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:55:20.37 ID:xWxN8pHX0

――ドガッ!



ほむら「くっ……! うあああっ!!」ゴロゴロ…



ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハハ…」



ほむら「はあっ、はあっ……ぐっ!」スクッ

ほむら「……まだ、終わらないわよ」ジャキッ!



ドガガガガガガッ!



168:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:56:38.99 ID:xWxN8pHX0

ほむら(……ここで終わるなんて、そんなの認めない!)ポイッ



ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハ…」



ほむら(私はまどかを助けて……一緒に、幸せに生きたい!)ズッ…


……ジャキンッ!


ほむら(助けられればそれで良いなんて、そんなの嘘)カチッ


ガガガガガガガガガッ!


ほむら(やりたいことも、話したいことも……まだ一杯ある!)ポイッ



169:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:57:01.38 ID:xWxN8pHX0

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハ…」


ほむら(終わるどころか、まだ始まってすらいないのに!)ズッ…


ジャキンッ!


ほむら(同じ所をぐるぐる回り続けるのは……もううんざりよ)バッ!



ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ…」




ほむら「だから今! ここで!……あなたを倒す!」ジャキッ



ドガンッ!



171:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:58:55.65 ID:xWxN8pHX0

…………………………………………………

――病院



まどか「……でもキュゥべえ、どうやってワルプルギスの夜を倒すつもりなの?」

QB「……ワルプルギスの夜は、マミが聞かされた物語を元に世界を塗り替えている」

QB「でもおそらく、その物語が完結する前に……彼女は魔女になってしまったんだろう」

QB「だから最後にどう振舞っていいのかわからず、永遠に回り続けているのさ」

まどか「あ……じゃあ、そのお話を完結させれば」


QB「……それに沿った内容に、行動を変化させられるかもしれない」


まどか「なるほど……それなら、なんとかなるかも!」

QB「……でも、これには問題があってね」



172:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/26(日) 23:59:24.41 ID:xWxN8pHX0

QB「彼女にこの物語を語って聞かせていたのは……あくまで医師のキュゥべえだ」

QB「僕は、その代替物としては不十分かもしれない」

まどか「あ……」

QB「そもそも、マミが僕の作ったストーリーを受け入れてくれるかもわからないのに」

QB「感情もろくに無い僕が、物語を作るなんて……」

まどか「……わたしが、代わりに考えようか?」

QB「駄目だろう……あくまで、キュゥべえが語った物語でないと意味がない」

まどか「そっか……」


QB「……でも、やるしかないさ」ピョン


まどか「……うん、そうだね」



QB「じゃあ、始めるよ」スッ…



173:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:00:14.24 ID:BMl1M5sU0

―――――――――――――――



僕は、だらんと投げ出されたままになっているマミの手に、前足を載せた。

その瞬間、マミの人差し指が三回動く。

確か……これは、キュゥべえへの挨拶だ。

彼女は、僕が語り始めるのを待っているんだろう。


……本物のキュゥべえなら、きっとすぐに語り出せたに違いない。

彼女の頭を優しくなでてやったりしたに違いない。

でも情けないことに、僕は頭の中でストーリーをまとめるのに精一杯だった。



174:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:00:35.16 ID:zlNEkD4Z0

思えば、僕はマミに対して何もしてこなかったね。

マミだけじゃない、他の魔法少女にもそうだ。

何もせず、語らず……ただ淡々と、仕事をこなしてきた。

僕は今、そのツケを払わされているのかな?


契約したばかりのころ……夜眠れずに、僕の所に来た君に。

それこそ毎日、物語でも語って聞かせればよかったのかな?

そうすれば……君たちの感情というものを、少しは理解できたのかな?


……そんなこと、今更後悔したって仕方が無いか。



175:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:01:23.40 ID:BMl1M5sU0

よし、内容は大体決まった。

後は、語って聞かせるだけだ。


僕は筆のような形をした尻尾を使って、マミの小さな手のひらに文字を書き始めた。

テレパシーでは意味がない。

キュゥべえはこうやって彼女と会話していたんだから。



――やあ またせたね

――さびしかったかい?



マミの指先が、小さく二回、震えた。



176:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:01:48.91 ID:BMl1M5sU0

―――――――――――――


……さて、お話の続きをしようか。


時を止める黒い魔法少女、ほむらは、ついに最大の魔女の元にたどり着いた。

その名はワルプルギスの夜。

魔法少女の、最大にして最後の敵さ。


なのに、戦える魔法少女はほむらだけだった。

他の魔法少女たちは皆戦えなくなり、倒れてしまっていたんだ。

皆の中で一番強かった、まどかでさえね。


―――――――――――――



177:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:02:16.27 ID:BMl1M5sU0

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハ…」



ほむら「……っ、あ」ヨロッ

ほむら(次の、武器を……)ズッ…

ほむら「……え?」


ほむら「もう……武器が、無い?」


ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハ…」スイッ…


ほむら「……っ!」



178:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:02:40.84 ID:BMl1M5sU0

―――――――――――――


……勝てないと思うかい?

そうだね、ほむらは一番弱い魔法少女だったから、そう思っても無理はないね。

体が弱くて、内気で、泣き虫で、すぐに逃げ出して……いつもまどかの後ろに隠れていて。

唯一、戦うための武器を持っていない魔法少女……それがほむらだった。


……でもね。 それは彼女の本当の姿じゃなかったんだ。

戦えないまどかを背に、堂々と敵に立ち向かった彼女は……


その時初めて、真の魔法少女になった。


―――――――――――――



179:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:03:06.00 ID:BMl1M5sU0

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ…」ズオオオ…



ほむら「っ!?」

ほむら(……まずい)

ほむら(病院のある方に……向かってる!)



ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハ…」



ほむら「……だ、め」ヨロッ

ほむら「あそこには……まどかが居るのに……っ!」



――カッ!



ほむら「……っ!?」パアアアア…



180:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:03:28.80 ID:BMl1M5sU0

―――――――――――――



……背中には一対の巨大な翼が生え、左手には盾の代わりに弓を持っている。

本当のほむらは、まるで天使のような姿をしていた。


もう時を止める必要も、巻き戻す必要もない。 他人から借りた武器も必要ない。

ただ、目の前の敵に矢を放てば良い。


なんたって彼女は、絶望の中にいる魔女を救い、人々に希望を振りまく――




――魔法少女なんだからね!



―――――――――――――



182:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:06:02.99 ID:BMl1M5sU0

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハ… ハハ」


ワルプルギスの夜「…………ハ?」


真ほむら「…………」バサッ…


ワルプルギスの夜「アハ… ハハハハハハハ!」


ゴッ!


真ほむら「…………」グッ…



ドガガガガガガガガガガッ!!



ワルプルギスの夜「…………!?」ビキビキビキッ!



184:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:06:36.20 ID:BMl1M5sU0

ワルプルギスの夜「……アハハ……」フラッ…

ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハッ!!!」ゴッ!!

真ほむら「…………」



真ほむら「……はっ!」バサッ!



ブワッ!!



ワルプルギスの夜「ハ………」グラッ…



…ズズン


真ほむら「……次で最後よ」グッ…



185:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:07:05.93 ID:BMl1M5sU0

ワルプルギスの夜「ハ……ハ……」


真ほむら「ワルプルギスの夜……」ググッ…

真ほむら「……いえ、巴マミ」ギリギリギリッ…


ワルプルギスの夜「……ハ……」


真ほむら「あなたも、今までずっと一人で……辛かったでしょうね」



186:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:07:48.66 ID:BMl1M5sU0

ワルプルギスの夜「…………………」

真ほむら「……だから」


…ギリッ


真ほむら「……もう、これで最後にしましょう」


ワルプルギスの夜「………………フフ」





真ほむら「……ティロ・フィナーレ!!」バッ!





――バキッ!!



189:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:08:36.68 ID:BMl1M5sU0

―――――――――――――



ほむらの放った最後の矢は、ワルプルギスの夜を粉々に砕いた。


彼女はついに、その親友を守りぬいたのさ。

僕には想像もつかないけど、二人にはこれからきっと……幸せな未来が待っているんだろうね。



……これでおしまいだ。



そう、これでこの話は終わり。 フィナーレだよ。

ああ……ありがとう。



君に会えてよかったよ、マミ。


―――――――――――――



190:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:09:05.63 ID:BMl1M5sU0

まどか「……っ!」

まどか「ほむらちゃん……すごい、天使みたい……」


QB「どうやら、成功したようだね」ヒョコッ

まどか「キュゥべえ!」

まどか「……マミさんは?」

QB「一応納得してくれたよ」

QB「陳腐で、打ち切りみたいな終わり方だけど……」


QB「……一応ハッピーエンドだから、許すってさ」


まどか「……キュゥべえは――」



…グラッ



192:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:09:30.82 ID:BMl1M5sU0

まどか「っ!? ……な、何? 今の」

QB「大丈夫さ、もうワルプルギスの夜は居なくなった」

QB「今の揺れは、この結界が揺らいだために起こっただけだよ」

まどか「揺らいだって……もしかして、ここは」


QB「ああ……もうすぐ崩壊するんじゃないかな」


まどか「!!」

QB「主人を失ったんだ、当然だろう?」

まどか「で、でも……そしたら、マミさんは?」



194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:10:07.90 ID:BMl1M5sU0

QB「この時間軸ごと、無かったことになるだろうね」

まどか「…………」

QB「仕方ないさ……ワルプルギスの夜を生み出した時点で、いつかはこうなる運命だった」

QB「それでも、最後に君たちに会えて幸せだっただろう」

まどか「そう、かな……」

QB「どうせ確認する時間なんて無いんだ、そう思っておけばいいさ」

まどか「……もう、すぐそういうこと言うんだから」



195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:10:31.38 ID:BMl1M5sU0

QB「僕の言葉に変な期待をしないほうが良いよ」

まどか「ふふ……わかってるよ」


…グラッ


まどか「あ、また……」

QB「……そろそろ、時間切れだね」



196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:10:55.09 ID:BMl1M5sU0

まどか「…………」

QB「さあ、君ももう行くといい」

まどか「……え?」

QB「多分何の害も無いとは思うけどね」

QB「一応、ほむらの近くに居た方が安全だろう……」

QB「今の彼女なら、何が起ころうとも危険は無いはずだから」

まどか「いや……そうじゃなくて」

まどか「キュゥべえは……? 一緒に来ないの?」

QB「……当たり前じゃないか」

QB「僕はあくまで、マミの願いによって生み出された存在……いわば役者側なんだから」



QB「この世界と……マミと共に、消えるよ」



197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:11:22.61 ID:BMl1M5sU0

まどか「……っ!」

QB「……わけがわからないね、どうして君がそんな顔をするんだい?」

QB「これでもう、魔法少女が生まれることは無い……」

QB「……君にとっては喜ばしいことだろう?」

まどか「……いじわる」

まどか「そんな風に、思えるわけ……ないじゃない」

QB「…………」

まどか「……うっ、ぐすっ……」


…グラッ



198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:11:46.50 ID:BMl1M5sU0

QB「……まどか」

QB「もう、僕のことなんて忘れてしまったほうが良い」

まどか「………!」

QB「僕は所詮、君たちの敵だ……覚えていたってどうにもならないよ」

まどか「そんなこと……」

QB「事実さ」

QB「君がどれだけ僕のことを知ろうとそれは変わらない」

QB「僕が契約をしてきたことが、無かったことになるわけじゃない」

まどか「…………」



199:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:12:11.01 ID:BMl1M5sU0

QB「……そんなことよりも、君は先のことについて考えるべきだ」

まどか「え……?」

QB「これからどうやって生きていくのか、困難に当たったらどうすればいいのか」

QB「それを、考えていくんだ」



QB「それこそ……僕やマミには、もう出来ないことなんだからね」



まどか「……あっ」

QB「都合のいい奇跡や魔法は使えなくなるよ」

QB「でも君には良い友人も居るし、歩くことも話すこともできる」

QB「……もう、インキュベーターなんて必要ないんだ」

QB「そうだろう? まどか」


まどか「……うん!」グシグシ



200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:12:48.25 ID:BMl1M5sU0

…グラッ


QB「……わかったのなら、もう行くんだ」

まどか「うん……」




まどか「……ばいばい、キュゥべえ」


QB「……さようなら、まどか」




タッ タッ タッ タッ タッ タッ…



…………………………

…………………

………



201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:12:54.27 ID:WvuRm4s90

これもまたキュゥべえとマミのカップリングとして一つの形ではあるか



202:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:14:25.61 ID:BMl1M5sU0

―――――――――――


……さて。


彼女も行ったことだし、そろそろ話を始めようか。


名前なんて知らないけど、僕の上司にあたるのかな?

魔法少女ができる前に、人間の願いを叶えていた存在。

どうやら、君たちがエネルギーとして採取しているのは魂そのもののようだけど……

僕にも一応、魂くらいはある。



それを代償に、叶えて欲しい願いがあるんだ。



―――――――――――



203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:14:48.29 ID:BMl1M5sU0

――まどかの部屋



チュン… チュチュン…



ガバッ!



まどか「……あれ?」


まどか「わたしの、部屋?」

まどか「…………」

まどか「……あ! そうだ!」


ゴソゴソ… カパッ



205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:15:28.77 ID:BMl1M5sU0

まどか「…………」ピッ ピッ ピッ…


プルルルルルルル… プルルルルルル…


まどか「…………」ゴクッ


プルルルルルルル… プルルルルルル…


ガチャッ


さやか『……はい、もしもし……』

まどか「!!……さやかちゃん?」



206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:16:01.39 ID:BMl1M5sU0

さやか『あー……まどか……?』

さやか『朝っぱらから、何の……用……』

まどか「さやかちゃん? さやかちゃんだよね!?」

さやか『はーい……そうですけどー……』

まどか「……っ!!」ブワッ

さやか『まどかー? もしもーし?』

まどか「良かった……」



まどか「さやかちゃんが、生きてる……」

まどか「夢じゃなかったんだ……!」ホロホロ



さやか『……はい?』


………………………………



207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:16:24.73 ID:BMl1M5sU0

――教室



さやか「……で? 結局朝のはなんだったのよ?」

まどか「あ、あはは……えーっと」

まどか「……色々あったんだよ、うん」

さやか「色々って何? 何があったらあんなことになるわけ!?」

まどか「あー、その……」


ほむら「そのくらいにしておきなさい、美樹さやか」ファサッ


まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「誰にだって話したくないことくらいあるでしょう?」



208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:17:04.35 ID:BMl1M5sU0

さやか「ほっほう……転校生のくせに生意気だなー?」ガタッ

ほむら「……え?」

さやか「そんな悪い子は……」


さやか「……こうしてやるー!」バッ!


ほむら「なっ……ひゃあっ!?」

さやか「あちゃー、まどか以上に控えめだなー」モミモミ

まどか「ちょっ、さやかちゃん!?」

ほむら「や、やめっ……ふあっ!」



209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:17:30.10 ID:BMl1M5sU0

さやか「ぐへへへへ! ここか? ここか!?」

ほむら「いい……加減にっ……」

ほむら「……しろっ!!」


ドスッ!


さやか「ぎゃああああ!? 目があああああ!!」ゴロゴロ


ほむら「ふーっ、ふーっ……」

まどか「ほむらちゃん、それは流石にやり過ぎじゃあ……」

ほむら「……言ってわからないバカは殺すしか無いのよ」

さやか「」ピクピク

ほむら「さ、行きましょうまどか」グイグイ

まどか「う、うん……」テテテ



210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:18:00.62 ID:BMl1M5sU0

……………………………………


――屋上



ほむら「ふう……」

まどか「大丈夫? 疲れちゃったかな?」

ほむら「……いえ、平気よ」

ほむら「でも、流石に前のようには行かないわね」

ほむら「美樹さやか如きにあそこまでやられるなんて……」

まどか「ほむらちゃんって、契約する前は病弱だったんだね……」

ほむら「……そうね、自分でも半分忘れてたわ」

ほむら「この眼鏡をかけるのも、随分久しぶりだし」クイッ



212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:19:07.59 ID:BMl1M5sU0

まどか「わたしは見るの初めてだけどね」

ほむら「……そうだったわね」

まどか「結構似合ってるよ?」

ほむら「あ、ありがとう……」

まどか「えへへ、どういたしまして……」



まどか「……それで、マミさんは?」

ほむら「…………」

ほむら「三年生の教室には、居なかったわ」

まどか「……そっか」



213:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:19:43.82 ID:BMl1M5sU0

ほむら「美樹さやかの生存や、私の身体能力が落ちていることからすると……」

ほむら「……やっぱり、キュゥべえの存在そのものが消えている可能性が高いわね」

まどか「もしそうだとしたら、マミさんは……」

ほむら「…………」

ほむら「……奴との契約が無ければ、彼女は事故で大怪我を負うはず」


ほむら「あの結界の中で見たような状態に……なっているかもしれないわね」


まどか「…………」

ほむら「……まどか」ギュッ

ほむら「まだそうと決まったわけじゃないわ」

ほむら「病院にも行かなければ、なんとも言えない……」

ほむら「……放課後に、寄ってみましょう」

まどか「……うん」ギュッ



214:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:20:08.45 ID:BMl1M5sU0

…………………………………



――病院前




まどか「…………」

ほむら「まどか?」

まどか「あ……ごめん」

まどか「なんか、怖くなっちゃって」

ほむら「……私だけで見てきましょうか?」

まどか「ううん、わたしも行く」

ほむら「……そう」



215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:20:31.45 ID:BMl1M5sU0

まどか「……でも」

まどか「もし、マミさんが居たら……どうしよう?」


まどか「もう、契約して治すこともできないのに」


ほむら「まどか……」

まどか「……ごめん、変なこと言っちゃったね」

ほむら「……まどかは、その……」



???「……君たち、マミに会いに来たのかい?」



218:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:21:08.72 ID:BMl1M5sU0

まどか「えっ?……あっ!!」

まどか「あ、あなたは……」

???「……ああ、びっくりさせちゃったかな?」

まどか「あ、いや、その……」アタフタ

医者「大丈夫、一応ここの医者だから怪しい者じゃないよ」

ほむら(この声、それに白髪……まさか!)


まどか「……キュゥべえ、なの?」


医者「え?」

医者「……たしかに、僕のあだ名はキュゥべえだけど」

医者「どうして君が知ってるんだい?」

まどか「……あっ! えっと、それは……」



219:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:21:36.27 ID:BMl1M5sU0

ほむら「……巴マミから聞いたんです」

医者「ああ……」

医者「じゃあ、君たちはマミのお友達なんだね」

ほむら「!……ええ」

まどか「あっ……あの!」



221:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:22:01.44 ID:BMl1M5sU0

医者「ん?」

まどか「マミさんは、今どこに……」

医者「え? マミなら……」




マミ「……久部先生? その子たちは?」





まどか「……っ!!」



222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:22:27.77 ID:BMl1M5sU0

久部「ああマミ……丁度いいところに来たね」

久部「私服みたいだけど、また学校をサボったのかい?」

マミ「うっ……ご、ごめんなさい」

久部「……まあいいか」

久部「それより、お友達が君を探してたみたいだよ」

マミ「? ……友達?」

久部「違うのかい?」

マミ「うーん……知り合いでは無いけど」

久部「そうなのかい? じゃあ勘違いかな……」

久部「君にも友達が居るのか、って安心したんだけど、残念だね」

マミ「……ちょっと、それどういう意味かしら?」



223:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:22:49.83 ID:BMl1M5sU0

久部「さあ、どういう意味かな?」

マミ「もう……あっ、そういえば」

マミ「あなた達、探してる人はどんな……」クルッ



ガバッ!



マミ「……え?」

まどか「マミ、さん……」ギュウウウ…

マミ「あ、あのー……」


まどか「……うわあああああん!」ドバーッ


マミ「えーっ!?」



224:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:22:52.99 ID:EBWfLXLB0

マミさああああああああああああああん!!!



226:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:23:54.67 ID:BMl1M5sU0

マミ「え、えっと……え? 何で泣くの!?」

まどか「うわあああああん……」

マミ「えーっ……」

マミ「……よ、よしよし」ナデナデ

まどか「うっ……ひっぐ……」



久部「…………」ポカーン

ほむら「…………」ポカーン



227:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:24:12.19 ID:uDDEM7Ry0

ええはなしや・・・




ええはなしや・・・



228:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:24:31.94 ID:BMl1M5sU0

ほむら(……キュゥべえのモデルになった医者はともかく、何故巴マミが……)

ほむら(まさか、本当に奇跡が起こったわけでも無いだろうし……)

ほむら「……あっ」

ほむら(そうか、まだ願いを叶える存在は残ってるのね)

ほむら(魔法少女が生まれる原因となった、巴マミの願いを叶えた何者か……)

ほむら(……彼らに、誰かが巴マミの生存を願ったのなら)

ほむら(誰が? それは当然……)


ほむら「……キュゥべえ、か」


久部「……君」

ほむら「へ? あ、はい!」

久部「彼女は……どうして泣いてるのかな?」



229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:24:59.38 ID:BMl1M5sU0

ほむら「そ、それは……」

久部「……答えにくいなら、別に良いよ」

久部「マミに、君たちみたいな知り合いができたっていうだけでも喜ばしいことだからね」

ほむら「……そうなんですか?」

久部「……僕は精神科医でね」

久部「マミの家族が交通事故で亡くなった時に、彼女の担当になったんだ」

久部「当然だけど、心に大きな傷を負ってしまっていて……」

ほむら「…………」



230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:25:32.69 ID:BMl1M5sU0

久部「今はもう、ほとんど克服したみたいだけど」

久部「それでも時々、夢に見たりするらしくてね」

久部「そういう時は決まって、学校をサボってから僕のところに来るのさ」

ほむら(……だから学校に居なかったのね)

久部「……でも、あの子が居たらそういうことも無くなるかな?」

久部「えっと……そういえばまだ名前を聞いてなかったね」

ほむら「……私は暁美ほむら、彼女は鹿目まどかです」

久部「へえ、いい名前だね」

ほむら「…………」



ほむら「……それは、どっちが?」

久部「……どっちもさ」


…………………………………



231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:26:03.55 ID:BMl1M5sU0

マミ「…………」

マミ(……あー)


マミ(……全部、聞こえてるんだけどな……)


マミ(全く、キュゥべえも好き勝手言ってくれるわね)プンスカ

マミ(私にだって友達くらい居るわよ……佐倉さんとか)

マミ(た、確かに学校には少ないかもしれないけど、それは入院していたからであって……)

まどか「……マミさん?」

マミ「へっ? ……あ、もう落ち着いたかしら?」

まどか「はい……すみません、いきなり」



232:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:26:34.59 ID:BMl1M5sU0

マミ「気にしなくていいわ、このくらい」

マミ「……でも、どうしてあんな風に?」

まどか「え、えーっと……」

まどか「……マミさんに、会えたから」

マミ「え?」

マミ「あなたとは初対面だと思ってたけど、どこかで会ったかしら?」

まどか「うっ……そ、それは、その」

まどか「……まあ良いじゃないですか!」


まどか「今は知らなくても、これから思い出を作っていけば良いんですから」


マミ「そう、かしら?」

まどか「そうですよ!」

マミ「……はあ」


マミ(やっぱり、わけがわからないわ……)



233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:27:16.41 ID:BMl1M5sU0

―――――――――――――――



……そう、マミを事故から生還させてほしい。 無傷でね。


それが、僕が魂をかけるに値する願いさ。


魔法少女と魔女を消し去っても、また同じ状況になったら意味がないからね。

僕一人の魂でも、それくらいなら叶えられるだろう?



234:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:27:50.71 ID:BMl1M5sU0

……なんでそんなことをするのかって?


僕には、まだ感情というのが何なのかはわからない。

でも、考えはすこし変わったんだよ。

まどかに影響されたのかな? ……それだけでも、奇跡みたいなことだけどね。


でも……




QB「少しくらい、本当の奇跡が起こってもいいじゃないか」








235:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:28:04.95 ID:uDDEM7Ry0

キュウベェ・・・



236:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:28:23.27 ID:uDDEM7Ry0


イイハナシダナー



239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:29:25.50 ID:EkcRIiG20

乙!
そう言えばワルプルの声はミズハスだったな



241:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:30:57.41 ID:GHHX/VGy0

何この精神疾患持ちのインキュベーター
あ、だから精神科医か?



242:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:31:32.13 ID:8yfZci0wO


奇跡は最後の最後に起きるから奇跡、か



243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:31:50.33 ID:2RPt2PyeO


素晴らしかった



244: ◆T4SUG8REFC3M :2012/02/27(月) 00:32:08.30 ID:BMl1M5sU0

以上 こんな長々と付き合ってくれてありがとう オリジナル設定が多くてごめんね



248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:36:16.68 ID:T8zlKiFX0

いいはなしだったわー



249:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:37:45.25 ID:5reV2VWL0

乙!



250:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:37:57.92 ID:EkcRIiG20

いやオリ設定とはいえうまく絡めててあり得そうな話になってた
面白かったよ



257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 01:06:35.54 ID:UlS+iTKm0

虚淵(・・・映画の内容はこの話でいくか)



251:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/02/27(月) 00:40:10.84 ID:XXdiOlPy0

久しぶりに良いもん見た、ありがとう



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まどか☆マギカSS   コメント:8   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
18679. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/01(木) 07:06 ▼このコメントに返信する
良い話だ(´;ω;`)
18680. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/01(木) 07:33 ▼このコメントに返信する
思ってたより話がしっかりしてて驚いた

読んでる途中で普通に感心したわ
18681. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/01(木) 09:07 ▼このコメントに返信する
ええ話やないか!!
18682. 名前 : 名無し◆- 投稿日 : 2012/03/01(木) 13:24 ▼このコメントに返信する
泣いた(´・ω・`)
18685. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/01(木) 16:29 ▼このコメントに返信する
疑いようのない良作だったわ
18943. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/03/06(火) 13:47 ▼このコメントに返信する
あまり大きな声で言えないけどキュウべぇ好きです
23521. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/07/04(水) 22:58 ▼このコメントに返信する
SSとはわかってるけど、キュゥべえちょっとだけ好きになった
良作だった
44095. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2014/08/15(金) 09:04 ▼このコメントに返信する
夢とか大規模結界とかでたせいで、新編を思わせた。マジでこっからきてないよね?
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