勇者「女魔王との結婚生活」【後編】

2011-10-11 (火) 19:17  魔王・勇者SS ドラクエ   11コメント  
前→勇者「女魔王との結婚生活」




281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 16:21:47.71 ID:FhWWPdzMO
――…コンコン

ガチャッ

女武闘家「こんにちわっす!」

バタン

コンコン!!

ガチャッ

女武闘家「どうして閉めたんですか!?」
勇者「魔王がな……女武闘家が来た時には一度ドアを閉めろって」

女武闘家「ただの嫌がらせじゃないですか!?」
女武闘家「あっれー? もしかして私、嫌われてます??」

勇者「いや、そんなことないと思うぞ…」
勇者「……パーティの中ではお前が一番お気に入りだと思う…俺の目から見てだがな」

女武闘家「本当ですかー?」アセ

――…

女魔王「来たか、さあ、座れ」ポンポン

女武闘家「……子供扱いされてるの?」ジト

勇者「それは…………否定は出来ん」タラ



284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 16:31:06.98 ID:FhWWPdzMO
女武闘家「お腹も大きくなりましたね~」

女魔王「そうだな……」

女武闘家「あれ? 体調すぐれません??」

女魔王「今日は良い方だ……貴様も見舞いに来てくれたことだしな」

女武闘家「……」
女武闘家「(勇者様~っなんか優しいですー!)」パチパチ<アイコンタクト

勇者「(だろう? ちょっと良ければ理由を聞いてみてくれないか)」パチ、パチ

女武闘家「あのぉ~、魔王さん?」

女魔王「……どうした?」クス

女武闘家「私のこと、どう思います?」ドキドキ

女魔王「ふむ……」
女魔王「産まれてくる子が貴様のようだったら良いなと思ってな」ニコ

女武闘家「(勇者様~っ! 不意の笑顔に惚れちゃいそうですー!!)」パチパチ<アイコンタクト

勇者「(安心しろ、俺も惚れ直したっ)」グッ



287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 16:38:29.89 ID:FhWWPdzMO
女武闘家「それは……評価していただきありがたきなんたらです」ヘコヘコ

女魔王「なにをかしこまっておる」フフ
女魔王「頭も良く、人当たりも良い。おまけに最高クラスの戦闘力を持つときた」

女魔王「人間の世界で暮らしていくに、この上ない要素ではないか」
ナデ

女武闘家「はは……頭を撫でられるのって久しぶりですね」クシャクシャ

女魔王「ほう、そうなのか」

女武闘家「勇者様は最近かまってくれませんし…」
女武闘家「前なら一緒にお風呂にも入ったのに……」シュン

女魔王「それは……寂しいな」

女武闘家「はい……」

女魔王「…………」ニコ

勇者「(目を合わせずとも怒気が伝わってくる……)」ブルッ



291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 16:48:31.50 ID:FhWWPdzMO
女武闘家「実は、私が勇者様のパーティに一番に入ったんですよ」ニコッ

女魔王「そうなのか……そういえば旅の馴れ初めを聞くのは初めてだな…」

女武闘家「初めは二人でLV上げとかして……」

女魔王「当然のことだが、勇者にも弱い時期があったのだな」フム

女武闘家「3つ目の町くらいまでは二人でやっていったんですよ」エヘヘ

女魔王「それは……すごいのか?」チラ

勇者「まあ……二人パーティも珍しいからな」

女武闘家「でも、二人では限界が来て……新しい仲間を加入させようって話になって…」
女武闘家「私、正直、少し嫌だったんです」

女武闘家「勇者様と二人きりだったパーティに知らない人が入ってくるのが……」ハハ

勇者「……俺がいる事を忘れているのか?」
勇者「(なんなら出て行…)」チラ

女魔王「(……聞け、その方がお前と武闘家、両方のためになる)」パチ



294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 16:57:55.83 ID:FhWWPdzMO
女武闘家「それで……ルイーダの酒場に行ったんです。あそこ、興信所の役割もあるので」

女魔王「そうなのか……ただの酒場ではなかったのだな」

女武闘家「すぐにパーティに入ってもらえそうな人をリストから探していたんですけど…」
女武闘家「……子供二人のパーティに入ってくれる人も中々いなくて…」

女魔王「それは……確かにな」ムゥ

女武闘家「でも、そこで逆に話しかけてくれた人がいたんです」ニコ

女魔王「ほう」

女武闘家「それが女賢者さんなんですよ」ニッ

女魔王「……」ジトー

勇者「(露骨にイヤそうな顔をするなよ)」タラ

女武闘家「なんか、勇者様って、お姉さんから好かれる顔してるって」ニコニコ

女魔王「あの女……魔王討伐を出会いの大義名分にしておったのか…」カチン

女武闘家「あの時は私も14歳で、勇者様も一つ上でしたから」ニコ



296以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 17:09:20.32 ID:FhWWPdzMO
女武闘家「賢者さん、初めから賢者だったので即戦力でしたっ」
女武闘家「そして三人で冒険をしていた時に……」

―――――……………

勇者『このパーティに足りないのは男だと思う』グッ

女武闘家「えー、今でも十分やっていけてるよ?」

女賢者「男なんて入れたら勇者様の身体が危険にさらされますよ」ウル

勇者「どうしてボクが危険になるんだ…」
勇者「……とにかくっ、無性に男同士でバカやりたくなる時があるんだっ」

女武闘家「稽古相手なら私がしますし……」
女賢者「女の子に話しづらい話なら私が聞きますよー」

勇者「賢者の言い分は支離滅裂すぎて意味がわからない…」
勇者「でも男分が足りないんだ!」

―――――……………

女武闘家「それで、再びルイーダの酒場に……」ハハ

女魔王「どれだけ男が欲しかったのだ……よほどの執着力だぞ」ハァ

勇者「……言い訳する言葉も無い」ハハ



303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 17:21:24.00 ID:FhWWPdzMO
―――――……………

勇者『掲示板の前に立っていた戦士を勧誘してきました!』

女賢者「……ええと、どこにもいないですけど…」キョロ

勇者「ほら……後ろに隠れてないで…」

戦士『は、はい……』ヒョコッ

戦士「あの……年は規定の年齢に達していませんが、実力は人並み以上の自信があります」

戦士「よ、よろしくお願いします」ペコッ

女武闘家「またかわいい子を連れてきて…」ナデ
女武闘家「ぼく、お姉さんは武闘家で……」

女賢者「…………違う」
女武闘家「え?」

女賢者「同性の匂いがします……」キッ
勇者「……もしかして、だけど…君って……」

女戦士「? 私、女……ですけど」キョトン
勇者「   」

―――――……………
女武闘家「今さらパーティから出ていけなんて言えるはずもなく……」タラ

女魔王「はは……苦笑いしか出てこぬわ」フゥ



309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 17:33:38.14 ID:FhWWPdzMO
女魔王「貴様らの馴れ初めはわかった…」
女魔王「それで、トントン拍子で魔王城まで辿りついたと。」

女武闘家「そんなに順調にはいきませんでしたよ…」
女武闘家「……戦士ちゃんが加入して5年かかりましたから」

女魔王「パーティ完成から5年で魔王討伐をほぼ完遂したのならすさまじいな」ホォ

女武闘家「戦士ちゃんが入った時はまだ10歳でしたから」ハハ

女魔王「15? あの小娘、あのナリで15なのか??」

女武闘家「すごい美人さんになりましたよねー……正直、私よりもスタイル良いですし」ガク

女魔王「貴様ら三人供、似たようなサイズではないか」ジー

女武闘家「胸の話はしていませんっ!」イーッ



312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 17:42:17.87 ID:FhWWPdzMO
女武闘家「魔王城に到着する頃には暗黙の了解が出来ていて……」

女魔王「……続けろ」

女武闘家「魔王を倒すまでは抜け駆け無し、という不文律が……」カァ

女魔王「ほう……それは…」

女武闘家「そうして、魔王を倒すか倒されるかとなった時に――」

女魔王「……その、なんと言えばいいのだろうか」

女武闘家「魔王さんは気にしないでください」クス
女武闘家「私たちも同じように驚きましたから」ハハ

女武闘家「ひんし状態の女戦士ちゃんも起き上がったくらいですし」クスクス

女魔王「ああ……アレには…悔しいが笑わされた」クックッ


勇者「(よくわからんが、また女戦士をネタに笑ってるのは理解した)」



316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 17:53:24.09 ID:FhWWPdzMO
――…

女武闘家「えっ、今日は泊まっていってもいいんですか??」

女魔王「ああ……良いだろう? 勇者」

勇者「俺に反対する理由は無いな」

女武闘家「本当ですかっ?」
女武闘家「わ~いっ! 久しぶりに勇者様とお泊まりお泊まり♪」

女魔王「喜んでくれたのならこちらも嬉しい」フフ

勇者「……」

女魔王「……どうした?」

勇者「出産が近いから合わせて優しくなってるのかな、と思っていたんだが…」
勇者「……お前ら二人は相性が良さそうだな」ニコ

女魔王「そうか? ……」チラ

女武闘家「寝間着はどうしよう……お風呂上がりはいつもと違う髪型になんかしたりして…」エヘヘ

女魔王「妹……というより娘に近い感覚だな」クス

勇者「俺には仲の良い姉妹に見えるぞ」



319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 18:04:33.29 ID:pvFVhTi30
こんな奥さんが欲しい



320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 18:04:39.10 ID:FhWWPdzMO
――…
勇者「"今日は別の部屋で寝ろ"?」

女魔王「ああ、今日は一人で寝たい気分なのだ」
勇者「いつもは『一緒にいられるだけくっついていたい』って言うのに……」

女魔王「……き、今日は特別なんだ」
女魔王「寝室は女武闘家と二人で使え、あとは知らん」

勇者「うーん……お前がそう言うなら」

女魔王「(まあ、女武闘家にはそうする機会くらい与えてやってもいいだろう……)」

――…チュンチュン

女武闘家「ふぁ~あ、おはようございます」フワァ

女魔王「眠たそうだな……」クス

女武闘家「はっはい! 実は昨日……勇者様が…」
女魔王「ああ……」

女武闘家「寝ぼけていたのか、私を抱き枕みたいに抱き締めてくれて~っ!」キャー
女魔王「……は?」

女武闘家「もう、勇者様分満タンですよ~」ツヤツヤ

女魔王「まぁ……いらぬ世話だったか」
女魔王「そいつは……良かったな」ニコッ
ナデナデ



321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 18:12:12.78 ID:FhWWPdzMO
――…

女武闘家『元気な赤ちゃんを産んでくださいね~』パタパタ

ガチャンッ!!

扉の外<扉を閉める勢い強すぎじゃないですか!? もしかして早く出ていって欲しかったとか!?
キャーキャー

勇者「……今のでいいのか?」

女魔王「ああ……あやつを弄るのはまこと、愉快だ」クス

勇者「ほどほどにな……」ハァ

ガチャッ

勇者「忘れ物か……?」

女魔王「いや……違うな…」

『勇者様~(ハァト』

勇者「この声は……」

女魔王「すぐに追い返すのだ」ジト

勇者「そう言うなよ……」ハハ



322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 18:18:32.39 ID:FhWWPdzMO
コトッ

女賢者「あっ、お構い無く」ニコ

女魔王「……なんの用だ」

女賢者「知人と話がしたいだけ……じゃ、駄目でしょうか」フフ

女魔王『駄目だ。』

勇者「どんだけ嫌いなんだよ……」

女魔王「それに、聞いたぞ小娘……」

女賢者「……はい?」ニコ

女魔王「ルイーダの酒場を出会いの場として使用していた、勇者のパーティにあるまじきその性魂。穢らわしい……魔物以上に欲求に忠実な女よ…」

女賢者「なっ、なにをおっしゃって……」チラ

勇者「?」

女賢者「良いじゃないですか別に!」ドンッ

勇者「なにかしらんが開き直ったのは理解したぞ」



326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 18:30:28.48 ID:FhWWPdzMO
女魔王「良いか勇者、人間・魔族に問わず、猫をかぶって男の機嫌を伺う雌を、雌は一番嫌うのだ」キッ

勇者「身体に響くぞ……あまりハッスルしないようにな…」

女賢者「確かに、初めはごく微量に下心があったかもしれません……」

女魔王「なにがごく微量だ。隣の商屋比120%増しに見え見えだわ」

女賢者「でも、一緒に旅を続けるにつれ……パーティの皆との連帯感も生まれ、仲間意識が強まり…」

勇者「うんうん……」

女賢者「勇者様も私の予想以上に、逞しく…素敵になられて……」ホゥ
女賢者「旅の最中でも、綺麗だね。とか、賢者の髪は今まで見た中で一番美しいよ、とか」クネクネ

女魔王「腰をくねらせるな。毒イモムシか貴様は」チッ

女賢者「それに、前にもおヘソが綺麗だって……やですよもうー」テレテレ



336以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 18:45:53.69 ID:FhWWPdzMO
女魔王「自分語りが終わったのならすぐに帰れ」

女賢者「過去の話をぶり出したのは魔王さんの方ですよ」

女魔王「もう話をする事はない」
女賢者「あら、勇者様とまだ話してませんよ」フフ

女魔王「」ブチッ
女魔王「それなら家の外でも話せるであろう……あまり苛立たせるな」ゴゴゴゴゴ

女賢者「わ、わかりましたから……そこまで本気にならないでください…」

――…

勇者「おい……」
コツン

女賢者「ぃたっ」

勇者「そろそろ産気付いてもおかしくない時期なんだから……あまり興奮させるな」ハァ
女賢者「つい……猫をかぶっていると言われましたが、私からすると向こうの方がよっぽど泥棒猫ですよ……」ツンツン

女賢者「あと……これ」ガサ
勇者「ん? 土産か??」

女賢者「私が祷りを込めた、安産間違いなしのお守りです」

勇者「これを持ってきたなら始めに出せば……」

女賢者「だから……あの人の前だと、つい感情的になってしまって……」ハハ



344以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 18:58:35.89 ID:FhWWPdzMO
――…

ガチャ…

勇者「……気分はどうだ?」

女魔王「あやつのせいで、せっかく上機嫌だったものが台無しだ」ムゥ

勇者「賢者なりに元気付けようとしたんだよ」

女魔王「そうか? ……そうだろうか…」
女魔王「……ちがうな」ウム

勇者「あと……これ、あいつが祷りを込めたっていう安産祈願というか、安産確定のお守りらしい」
スッ

女魔王「……」
女魔王「……受け取っておく」ギュッ

――…

女魔王「勇者ー」

勇者「どうした?」

女魔王「このお守りだが…」
女魔王「ロザリオのようにとはいかんが、身に付けられるように出来ないだろうか……」テレ

勇者「……」ニッ
勇者「問題無い。賢者も喜ぶぞっ」ニコ



348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 19:06:48.84 ID:FhWWPdzMO
――…

勇者「待ってろ! いま女賢者を呼んでくる!!」

――…

女賢者「はぁっ……はあっ」
女賢者「今さらだけど、人間の出産方法と同じでいいのかしら……?」

勇者「ここまで一緒だったんだっ、とにかく頼むぞ……」

女賢者「……わかりました」コクッ

――…

女賢者「……おそらく、人間と同じでしょう」

勇者「……魔王」

女賢者「勇者さんに出来る事は事前にお教えしましたよね」

女魔王「……なにを慌てておる…」
女魔王「……我は魔王だ、お前ら人の基準と一緒にす…」

女賢者「はい強がりですねわかりますーまずは息を吸って~……吐いてー…」

勇者「……」バク…バク…
ギュッ



380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:12:58.70 ID:FhWWPdzMO
――…先日

勇者「生まれてくる子は……人型、だよな?」

女魔王「そうは断言出来ぬ…」
女魔王「……過去には人型ではない魔王もいたと聞いておる」

勇者「……そうか」
勇者「性別は……?」

女魔王「……わからぬ」
女魔王「人型でもあれば魔物の姿をしていたり、雌雄が有ればどちらでも無かったり」

女魔王「絶対というものは無いのだ」
勇者「……そうか」

女魔王「我はどちらの形をしていようが気にせぬが……」

勇者「……考えるだけ無駄かもな…」
勇者「その時になればわかるだろう」

女魔王「……そういうものか」
女魔王「我は、はやくその姿を拝みたいところだ」ニッ
――…

女賢者「もう少しですよーっ魔王さん!」

スッ…

勇者「……っ!」



390以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:26:50.95 ID:FhWWPdzMO
――…

勇王(娘)『おとうさーん』

勇者「……元気だなー、お前は」

娘「おかあさんの?」

勇者「……ああ、お前は写真でしか見たことないからな」

勇者「……魔王の、ロザリオ。届けに行くんだ」

娘「またお留守番ー?」

勇者「いや、今日はお前も連れていく…」
勇者「……大事な日だからな」ニコ

娘「おー、大事……?」

勇者「おかあさん似だな、お前は」
勇者「……行くか」

娘「女戦士さんは?」

勇者「あいつはお留守番だ」

娘「そっか……」
テク、テク…



391以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:27:30.62 ID:hvzLTNTQ0




392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:27:52.84 ID:KP98N5n00
え?



394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:28:17.08 ID:64CVKawd0
まさか…



398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:29:29.35 ID:UO6Ht/pJ0
おい、やめろ



409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:31:40.73 ID:kUBziqvy0
そんなはずないよな・・・



422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:36:57.38 ID:FhWWPdzMO
――…
勇者「ここで、眠っているのがおかあさんだ」
娘「ほー……」
娘「おかあさん、恐い?」

勇者「……ああ、おとうさんよりずっと恐いぞ」ニコ
娘「……きんちょうしてきた」

勇者「起きないから、緊張せんでも良いぞ」

ガチャ…

『……おぉ、来たか』

勇者「お前っ、もう目が覚めたのか!?」
女魔王「なんだ……早くに目を醒められてはいけい理由でもあったのか」クス

勇者「いや、医者の話だと一週間の間面会謝絶と聞いていたからな…」
勇者「……でも、良かった」

ギュッ
女魔王「……ふふ、随分と久しい気がする………ん?」

娘「…………」ガクブル
女魔王「っ! ……」ウル
スッ…
娘「ゃっ」サッ
スカッ

女魔王「な……っ」ガーンッ



423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:37:41.57 ID:2bhGlKc90
よかった(´:ω;` )



424以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:37:45.58 ID:JCOKaxf40
どういうことだってばよ



446以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:48:26.31 ID:FhWWPdzMO
娘「……」ビクッ

勇者「お前に似て美人だろう」
勇者「小さい頃の魔王もこんな感じだったんだろうな」
女魔王「確かに……だが、魔族の匂いが薄いな」

勇者「というか成長スピードがとんでもないんだが…」
勇者「生後一週間で歩いて、言葉も初めからある程度知っていて……人間でいえば6歳くらいか」

女魔王「魔族は一番弱い時期が一番短いからな」フム
女魔王「生後あたりから成長のスピードは緩やかになっていく……」

女魔王「ほら、ここに……おいで」チョイチョイ
娘「……」
娘「……」
テクテク…

女魔王「捕まえたっ」ガバッ

娘「!?」

女魔王「可愛いなぁまったく…」
女魔王「……本当に、涙が出るほどに愛らしい…」グスッ

娘「……」クス
娘「おかあさん、こわくないね」

女魔王「……魔族にしては威厳が足りないようにも見えるな…」
勇者「そこはまあ、半分勇者の血も混ざっているということでさ…」
勇者「……威厳が無いのをそのせいにはしないでくれよ…」ポリ



447以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:49:52.98 ID:64CVKawd0
よかった



450以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:53:22.48 ID:wdD+MKDU0
いいわ
これいいわ



451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 20:54:54.79 ID:hTFtb9Xz0
素晴らしい



456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:02:26.73 ID:FhWWPdzMO
――…【自宅】
女魔王「久方ぶりの我が家だな」フゥ

ガチャッ

女賢者&女武闘家&女戦士『退院おめでとうございます!!』パンッ パンッ

女魔王「……」キョトン

勇者「本当はもっと大勢で集まる話だったんだが…」
勇者「女戦士が、こういう時に大勢の対応をさせるのもかわいそうだから。ってさ」

女魔王「……そうか」
女魔王「気恥ずかしいな……こういう慣わしは、魔族にはないから慣れておらなんだ」

女戦士「……お帰りなさい…」ニコ
女魔王「……ああ、ただい… 娘『戦士おかあさ~んっ』ピョンッ

ポフッ

女戦士「こら、あまりはしゃぐと、怪我の元ですよ」

女魔王「……? どういうことだ、今のこれは」

娘「戦士おかあさんが一緒の時は"おかあさん"って呼んでいいよって!」ニコッ

女戦士「…………」キョロ…

女魔王「……おい、目を合わせろ…」ニコ



462以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:12:32.29 ID:FhWWPdzMO
女戦士「だって……赤ん坊の頃に側に母親がいないのは可哀想じゃないですか」キョロ

女魔王「筋の通ってる事を言っている自信があるならば目を反らす必要がどこにある……」

娘「おかあさんが帰ってきても、女賢者さんはおとうさんと同じ部屋で寝るの?」

女魔王「なっ……」キッ

女賢者「この季節はですね……毛布より人肌の方が暖かいんですよ」ニコ

女魔王「……」ピキ

娘「武闘家おねえちゃんも、おとうさんと結婚するんだよねっ」ニコッ

女武闘家「……ええと…」
女武闘家「……うんっ♪」ニコッ

女魔王「いや、そこは気まずそうにするところだ……」ハァ
女魔王「……」チラ

勇者「!」
勇者「……お帰り、魔王」ニッ

ギュッ

女魔王「……ん」
女魔王「ただいま……勇者…」チュッ



467以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:22:57.33 ID:FhWWPdzMO
――…数年後

娘「お父さん、キラーマジンガにバイキルトをかけたら手がつけられなくなっちゃった……」

勇者「……支度をするから少し待ってなさい」

――…

娘「お母さーん、隣の国の王様が無理矢理、私を誘拐しようとしたから咄嗟にマダンテ使っちゃったんだけど……」

女魔王「またか、よいよい。その場に放っておけ」

勇者「いや死んでしまう死んでしまう」アセ

勇者「……支度をするから、待っていなさい」ハァ

――…

娘「お父さん……戦士おかあ…女戦士さんが修行で手加減してくれなくて…」

勇者「それは仕方がない、アイツも顔は避けてくれている辺り良心的じゃないか」

娘「お母さん~」

女魔王「小娘Cにやられるとは情けない……勝つまで負けてこい」

娘「~っ」
娘「このバトルばか夫婦っ!」ハァ



468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:25:10.10 ID:+HcYky8E0
世界最強親子爆誕



469以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:26:28.75 ID:kUBziqvy0
勇者、大変そうだな



495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:50:41.02 ID:/vrsH4SMO
キラーマジンガにバイキルトとか想像もしたくねえな



497以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:53:31.18 ID:7L3rIKYn0
>>495
そのうちテンションあげてくるで



477以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:37:25.33 ID:FhWWPdzMO
――…

娘「お父さんっ、はい! チョコレートっ」ニコッ

勇者「おう、ありがとうな」ナデ

娘「へへ……」

――…翌年

娘「お父さんっ今年のチョコっ」ニコッ

勇者「ありがとう」ニコ

女魔王「娘がなついてくれるとは喜ばしい限りじゃないか」クス

勇者「それもいつまで続くか……毎年、これが最後のチョコだと思って食べてるよ」ポリ

――…翌年
娘「お父さん……? これ、チョコ」スッ

――…翌年
娘「お、お父さん……こ、これ」カァ

――…翌年
娘「あの……チョコだけじゃなく、セーターも、あ、編んだの…………」カアァ

勇者「うちの娘はグレずに育ってくれて嬉しい限りだよ……」パクッ

女魔王「勇者と魔王の子は、常識には当てはまらないのかもしれぬな」フム



483以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:39:20.87 ID:yhVPgINP0
まさかの親子丼ルート



484以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:39:25.11 ID:pDWcYKrgO
娘かわいいよ娘



492以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:48:13.11 ID:FhWWPdzMO
――…

娘「そういえば……」
娘「弟か妹って出来ないの?」

勇者「っ」ゴホッ、ゴホッ

女魔王「なにを焦っておる……」
女魔王「そうだな……勇者次第だな」ニコ

勇者「娘一人でも体力的にキツい現状だからな……」

女魔王「まあ、我は毎日相手をしてもらっているからな……不満は無い」

娘「そっかー」

娘「で、どうして弟妹が出来るのにお父さんの了承が必要なの?」

勇者「っ」ブフォッ

女魔王「まったく……ほれ、顔をこっちに向けろ」
フキ… フキ

娘「結局、どうしてかわからないままだよう……」



499以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 21:56:39.91 ID:FhWWPdzMO
――…
女魔王「最近は、『おおききなったらお父さんと結婚するーっ』と言わなくなったな」

勇者「そうだな……仕方がないよそれは」ハハ
勇者「娘がいつか俺を邪険に扱う日がくるのさ……」ウル

娘「? 私、お父さん好きだよ??」

勇者「優しいなあ、娘は」ウンウン

娘「だって、お父さんはお母さんのものだから」ニコ

娘「結婚出来なくても私はお父さんの事、好きだよっ」ニコッ

勇者「……魔王」

女魔王「……?」

勇者「お前といい娘といい、魔族の血が流れている者は、割りきりがしっかりしているというか…」
勇者「……大物だよな」

女魔王「我なら愛した者に相手がいようが関係ないだろうが…」
女魔王「……身をひくあたり、やはり人間の血も混ざっているということだろうな」

勇者「やっぱり……二人の子なんだな、って思うよ」ニコ



505以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 22:11:14.57 ID:FhWWPdzMO
――…
娘「戦士おかあさんは、結婚しないの?」

女戦士「っ……まだ、良い」

娘「私がいま11歳で…私が産まれた時に戦士おかあさんは15歳だから……」
娘「25、6歳? まだ若いねえ」

女戦士「鍛錬が足りないという事です」

娘「好きな人はいるの?」
娘「戦士おかあさんすっごく美人だから、お母さんと同じくらい綺麗なの、戦士おかあさんだけだよっ」ニコ

女戦士「……誉めてくれるのは嬉しいですが…」チラ
女戦士「正直、容姿よりも…戦闘の方で貴方に追い抜かれた事の方がショックです……」ハァ

娘「大丈夫だよっ、お父さんを抜かせば人間で一番強いからっ!」ニッ

女戦士「……勇者様と同等が貴方の母、その下に貴方…」
女戦士「私の現目標は娘さん、貴方という事になりますね……」スチャ

娘「いや……でも戦士おかあさんより強いって自覚ないし…戦士おかあさんに勝てる気がしないし……」タラ

女戦士「そうですね……」
女戦士「では、ハンデ無しのマジバトル。いきましょうか」ニコッ

娘「ううぅ……親に匹敵する戦闘バカだよぉ女戦士さん…」グスッ



510以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 22:19:24.54 ID:FhWWPdzMO
娘「痛た……」ヨロ

娘「どんな体さばきをすれば、あの人みたく空中で変化出来るのかな……」イタタ

『お疲れのようね、娘ちゃん』

娘「この声はっ!」パアァッ

女武闘家「どうも、"はじまりの村に吹く一陣の風"女武闘家ですっ」キリッ

娘「わーかっこいい~」パチパチ

女武闘家「一部始終は見させてもらったよ」ニコッ

娘「見てました? …丁度よかった」
娘「女戦士さん、教会に連れていってあげてください……たぶん自力じゃ動けないと思います」

女武闘家「娘ちゃん、私も20代じゃなくなるから……」

娘「?」

女武闘家「手合わせお願いしますっ♪」ニコッ

娘「えぇ~っ!」ガーン



514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 22:27:12.67 ID:FhWWPdzMO
娘「あの……出来れば、日を改めて…」
娘「というかどうして私なんですか?」

女武闘家「私には心残りが一つあってね…」
女武闘家「……本当は、旅が終わったからはその人に戦闘で勝てたら告白しようと思っていたんだけど……」

女武闘家「いよいよ無理そうで……」ハハ

娘「ふむふむ……」

女武闘家「なので、悔いを残さぬよう、勝っても負けてもあの人を吹っ切ろうと思うの」ニッ

娘「わー素敵っ」
娘「……私が相手じゃなければ…」ズーン

娘「お父さんやお母さんじゃ駄目なんですか?」

女武闘家「勇者様は無理だし、魔王さんは本当に無理っ」ニコッ
女武闘家「それじゃあ……よろしくお願いしますっ!」スゥッ…

娘「もう……勇者パーティの鬼ぃ~っ!」グスッ



517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 22:35:44.47 ID:FhWWPdzMO
――…

娘「……ん…」チラ
娘「ここ…は?」ガバッ

『まだ安静にしてなきゃ駄目よー』

娘「この甘ったるい声は…」
娘「……女賢者さん!」

女賢者「正解ー♪」パチパチ

女賢者「それより……女武闘家ちゃんが痛々しい姿で貴方を運んできたんだけど……事情を教えてくれないかしら?」

娘「実は……」

――…

娘「女武闘家さん、お母さんの言っていたとおり、狡猾な人なのかもしれません……」

女賢者「というか、私にはあの戦士ちゃんと戦った後の連戦で武闘家ちゃんをメタメタにした貴方に感心するわ」タラ

娘「親に鍛えられてますから…」
娘「……女賢者さんは結婚しないんですか?」

女賢者「どうかしら……」ウーン

娘「どうしてみんな美人なのに結婚しないんだろう……」フム



522以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 22:42:39.32 ID:FhWWPdzMO
女賢者「でも、娘ちゃんも勇者様が好きでも結婚しないでしょう?」

娘「それは……お母さんがいるし…」

女賢者「皆も一緒よ」クス

娘「……そうかわかった」
娘「みんなも好きな相手が結婚してるんだ……っ!」ポンッ

女賢者「う……ん、当たりといえば当たりね」ニコ

娘「そっかー……」

――…

娘「ということがあってね……」

勇者「戦士よりも強くなったのか……これは俺も鍛え直す必要が……」

女魔王「我は勇者を入れて4人を同時に相手取ったのだぞ……せめて小娘三人には同時にとは言わぬが、連戦なら勝ってほしいところだな……」

娘「二人とも? 一人娘が絆創膏だらけの包帯グルグルなのにはなにも感想無いの……?」タラ



528以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:00:29.76 ID:FhWWPdzMO
――…

勇者「俺も30になったか……」

女魔王「見た目は変わらぬな」

勇者「これから皺とか出てくるんだろうなー」フゥ

女魔王「我は、お前がどんなに老けようが愛し続けるぞ」
女魔王「大事なのは、容姿ではなく、魂なのだから」

勇者&女魔王「この約10年……」
勇者「あっという間だったな……」 女魔王「長く、充実していたな……」

女魔王「おや……」

勇者「50年は刹那に等しい時間、なんじゃなかったのか?」

女魔王「勇者こそ、50年が想像出来んほど長いと言っておったではないか」

勇者「……くくっ」

女魔王「……不思議だな…」

勇者「ああ……お前と一緒だから、この10年が短く感じられたんだ」

女魔王「貴様と一緒だから、この10年が今までのどの10年よりも充実し、とても思い出しきれないほどに……長いものに感じられるのだ」ニコ



532以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:09:22.81 ID:FhWWPdzMO
女魔王「それでな……勇者」

勇者「……ん」

女魔王「お前の寿命を延ばす方法も見つかったのだが……きっとお前は使わないだろう?」

勇者「……そうだな…」
勇者「パーティの皆も死んでしまうだろうし、仮にその三人も寿命を延ばしても……今度は俺たちだけ、というワケにはいかなくなる」

女魔王「我も考えたのだ…」
女魔王「……貴様と生きる1000年も素晴らしいものだろう」

女魔王「だが」
女魔王「貴様と生きる50年が、その1000年に及ばぬものでなど決してないと」

勇者「俺も、そう信じたいよ」

女魔王「信じたい? 勇者にしては弱気だな」フッ

勇者「……前言撤回、その1000年になんか必ず負けない…お前の言う、"充実"した50年にするよ。俺が約束する」

女魔王「……ああ」
女魔王「貴様がそう言うのなら、間違いないな」クス

女魔王「我の最後の不安も、今ので全て、払拭されたわ」ニコ



539以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:26:18.43 ID:FhWWPdzMO
――…

勇者「最近、娘相手に苦戦するようになってきたなあ」

女魔王「いつまでも若いわけじゃあるまいし、いつかは越えられる日が来る」

勇者「確かに、子に自らを越えられるというのはそう悪いものでもないな……」

女魔王「負けた日は、慰めてやるから。思いっきり泣き言を言え」ニッ

勇者「お前はいつまでも若々しいな……」

女魔王「勇者が喜んでくれるのなら、我も嬉しいのだが……」

勇者「よしっ、今日は張りきるか……」パクッ ハグッ

女魔王「そ、そうか……そうやる気を出されると、嬉しいぞこちらも」テレ

勇者「まだまだ妻にも娘にも負けてたまるか……っ」ガツガツ



543以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:34:23.13 ID:FhWWPdzMO
――…

勇者「強くなったなー、父さん嬉しいぞ」
ナデ

娘「うん……ありがとう」グスッ

勇者「どうしてお前が泣くんだよ……」ハハ

娘「だって……」
娘「お父さんの背中が小さく見えて……」グスッ グスッ

勇者「……そうか」
勇者「お前が大きくなったんだ。魔王とそっくりだよ」

娘「今日まで育ててくれてありがとう……お父さん。これからも…よろしくお願いしますっ」ペコッ

勇者「ああ……これからも、よろしくな」ニコッ
ナデッ

――…

女魔王「よくやったよ……勇者」

勇者「……ああ、今日まで…すごく長かった気がするよ」

女魔王「まだだ……これから、まだまだ我らの人生は充実していくんだからな」
ギュッ



545以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:35:34.75 ID:wdD+MKDU0
こみ上げるものがある



550以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:43:53.53 ID:BfSVXf91O
これは…



551以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:44:00.76 ID:FhWWPdzMO
――…

勇者「温泉か……若い内には来られなかったなあ」チャプン

女魔王「そうだな……ふう、やすらぐ…」

カポーン

勇者「こうやって、夕陽に染まる外の景色を一望しながら、お前と二人で風呂に入っている今が幸せだ」
勇者「そして、明日はまた一番幸せ。毎日が一番幸せなら、それは一番幸せな人生だということだな」フゥ

女魔王「ああ、勇者……我も、幸せだ」
ザバァ

女魔王「ふぅ……」

勇者「……」

女魔王「どうした?」

勇者「……改めて見ても、お前が綺麗でな…」
勇者「人生で二度、同じやつに一目惚れするとは思わなかった」

女魔王「勇者よ……我も少しは年をとっているのだ…」
女魔王「……最近は、貴様に誉められる度に…顔が、赤くなってしまう……」ブクブク…



559以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:53:25.27 ID:FhWWPdzMO
――…
勇者「魔王……少し、外を歩かないか?」

女魔王「良いだろう……いま一度、村を見て回ってみるか?」フフ

――…

キャッキャ ワイワイ

勇者「平和だな……」

女魔王「ああ、平和だ」ニコ

勇者「人々が活気に溢れ、子供達が楽しそうに遊んでいる……」

女魔王「これは、貴様が取り戻した平和だ」
女魔王「貴様の人生は……人々のためになった…」

勇者「……そうなら良いと思うよ」

女魔王「勇者が存在していた事を、歴史も…人々も…」
女魔王「……我も、必ず、忘れぬ…」ポタッ

勇者「おいおいお前も娘じゃないんだから……私のために泣かないでくれ」ニカ



561以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:56:42.34 ID:7L3rIKYn0
結構経ったのか?



562以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/09(日) 23:57:01.41 ID:LfiCRFlj0
一人称が私になっとる……



566以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 00:01:04.71 ID:rBEAbl8fO
――…
勇者「……よいしょっ、と」ググ

女魔王「一人で起きてきたのか……今日は調子が良いんだな」ニコ

勇者「今からもう一度、冒険に出ても良いくらいだよ」ハハ

女魔王「そうか……貴様が再び来てくれるなら、我は再びあの玉座に座して待っていてやろう」

勇者「はは……三度目の一目惚れをさせる気かい?」

女魔王「ああ……我もまた、一層、貴様を愛することだろう…」

勇者「……愛しているよ、魔王」

女魔王「……ああ、我もだ。勇者よ」
ギュッ…



576以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 00:08:04.58 ID:rBEAbl8fO
――…

女魔王「勇者……聞こえるか?」

勇者「……ああ、おはよう。魔王…」

女魔王「今日三回目の挨拶だな」ニコ

女魔王「夕飯の支度が出来た。今日は消化の良いものだけでなく、貴様の好物を食べさせても良いと、賢者から許しを得ておる」

勇者「それは……楽しみだな…」

女魔王「前は見えるか?」

勇者「微かにな……明かりはもう少し強くならないのか?」

女魔王「これが限界だ……これ以上は身体に障る…」

勇者「そうか……」
勇者「……不思議だな…視界がぼやけても、君の姿だけははっきりと映る…」

女魔王「……勇者…」
女魔王「我が、貴様の手となり足となろう……目の代わりにだってなってやるからな」ニコ



595以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 00:16:58.21 ID:rBEAbl8fO
――…
娘「お父さん、私……今度、結婚することになったの」

勇者「そうか……それは朗報だ」ニコ

娘「……」グスッ
娘「お父さんっ……!」
ダキッ

娘「お父さん……っ、お父…さん……っ」ヒック…ヒック

勇者「泣くんじゃないよ……新しい門出じゃないか…」
勇者「……綺麗になったなあ…」

娘「お父さん……」グスッ

チュッ

娘「私……ずっと、お父さんの事が 勇者「それは……言わずに行くんだ」

娘「お父…さん?」

勇者「魔族の血が流れるお前は無意識に人の魂を見て、綺麗なソレを持つ者を選ぶ…」
勇者「……その人と、幸せにな…」ニコッ

娘「は……い、ありがとう……お父…さん…っ」ヒック…グスッ

勇者「良い子だ……」
ナデ…



606以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 00:23:54.32 ID:rBEAbl8fO
――…

勇者「……」

女魔王「二人でこうして、日向に座っている事が日常になって、どれくらいだろうな……」

勇者「……」

女魔王「貴様と肩を寄せ合う……それだけで、我の胸は満たされる」

勇者「綺麗な夜空だな……」

女魔王「……ああ、とても、綺麗だ」

勇者「娘も見ているだろうか……」

女魔王「当たり前だ。あの子も伴侶と共に幸せを歩んでいく……勇者、貴様と同じものが見えぬはずがない…」ニコ

勇者「暖かいなあ……」

女魔王「ああ……、とても良い天気だ…」



622以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 00:33:23.19 ID:rBEAbl8fO
――…
 勇者っ、聞こえるか?

 勇者っ、勇者っ!

「……」

 勇者!

勇者「……ああ、また眠っていたのか…」

女魔王「勇者……」グスッ…

勇者「魔王……どうしてそんなに泣いているんだ?」
女魔王「……っ…っ」グスッ… グスッ

勇者「……そうか…」
勇者「その時が来たというわけか……」

勇者「さながら、いま意識がはっきりしているのは風前の灯火というやつか……」チラ
女魔王「勇者……」グスッ

勇者「魔王……今まで、ありがとう」

女魔王「勇者っ、勇者……」ヒック

勇者「一片の悔いも無い……素晴らしい人生だった…」
勇者「……君のおかげだ…」ニコ

女魔王「……わ、我も……勇者のおかげ……で…ひっ、く……」グスッ



640以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 00:45:42.08 ID:rBEAbl8fO
勇者「最後にこうして君と話せて……万感の想いがめまぐるしく浮かび上がってくるよ…」
勇者「……そうだ、浮かび上がってきたといえば…そこの棚、その奥を探ってごらん」

女魔王「……?」グスッ

ガサ…ゴソ

スッ

女魔王「これは……」

勇者「初めて君が、スライム分が足りないと言って故郷に戻る時があっだろう?」
勇者「その時に5分ほど時間をもらって買いに行ったんだ…」

女魔王「あの時の……毛皮…」ヒック…

勇者「君ならいつでも買えると思うけど……当時の私は、買ったはいいが、渡すのが恥ずかしくなってね……」コホッ、コホッ

女魔王「……ありがとう…」
ギュッ

勇者「……こちらこそ、ありがとう…」
ギュッ



656以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 00:53:46.82 ID:rBEAbl8fO
勇者「好きだよ、魔王」

女魔王「我も……好き、だ」

勇者「愛している」

女魔王「我の方、が……愛して…いる…」グスッ

勇者「私の方が……感謝している…」ニコ

女魔王「……この、負けず嫌いめ…」ハハ

勇者「……ありがとう」

女魔王「……ありがとう」

勇者「魔王、私は君と歩んだ人生に満足している……」…

女魔王「我もだっ、我も満足しているっ!」ヒック
女魔王「我も……勇者、貴様といられて…」

女魔王「しあわせ、だった……」ニコッ グスッ

 おやすみ……勇者…

 チュッ



675以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:03:17.07 ID:rBEAbl8fO
――…

『母さん』『お母さんっ』

女魔王「……ここは…」
女魔王「……そうか、今際の際……というやつか……」

『お母さん!』『母さんっ!!』

女魔王「あれから……何千年と人と共に過ごし…勇者の言う共存を現実のものとするために尽力した」
カアサン! オカアサンッ!!

女魔王「いつの間にか我は魔王と呼ばれる事も無くなり…柄にもなく、母と人々に呼ばれ…親しまれた……」

女魔王「勇者……今なら貴様の気持ちも理解出来よう…」
女魔王「人間も、魔族も……等しく、かけがえのない命だ……」

女魔王「我も……いま、そちらに行く…」

カアサン! イヤ… オカアサンッ!!

女魔王「我は……幸せ…だったぞ…………」


女魔王『…………なあ? 勇者』ニコッ



680以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:05:36.50 ID:1zcJ6Qow0
また、一目惚れし合うんだな



692以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:10:31.99 ID:rBEAbl8fO
 とある勇者と魔王の物語。

 勇者と魔王が最果ての地で出会った事実は、永遠になくならない……。

 勇者と魔王が共に生活し、人々と暮らしながら魔物との共存を夢見た事は無駄にはならない。

 勇者と魔王が子を成し。育て。共に幸福な人生を歩んだ事を、世界は忘れない。

 勇者と魔王の幸せで、この上ない……人生という名の物語は、人々の記憶で、伝承で、書物で……永遠に残っていくことだろう……。


 勇者と魔王……

 二人は……確かに、幸せであった。



  <完>



716以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:12:57.63 ID:tvK93AR30

良い話だったよ



718以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:13:37.78 ID:WytPiex90
一乙



723 ◆0f/9jKtPus :2011/10/10(月) 01:14:05.96 ID:rBEAbl8fO
 保守&支援、ありがとうございました!

 仮に、自分が再びこの二人の物語を書けば、それがまた、二人の生きた証になるのです。

 乙です!



726以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:14:22.08 ID:pA+Z+tNa0
オッパイさえ有れば良いと思って開いたら最高に良い意味で裏切られた
>>1乙!!!!!!!



729以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:14:29.26 ID:yxoBOJcpO





お年寄りと暮らすのって切ないね



733以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:15:25.54 ID:RPBtrOf+0
乙!!!



618以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 00:30:38.44 ID:RPBtrOf+0
改めて始めから通して見ると切ないな



619以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 00:31:39.61 ID:Ynlri0vX0
>>618
お前のせいで涙腺がヤバいじゃねえか
毛皮のくだりとかなつかしくて泣いた



739以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:17:20.76 ID:MZsABqIv0


これからまた>>1から読み直してくる



767以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:31:50.15 ID:DTfg0/pJ0
乙、ひのきのぼう2本は伏線では無かったのか



771以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:36:26.17 ID:teIbevi30
>>767
次作への伏線の可能性アリ



753以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:21:36.77 ID:teIbevi30
魔王や娘からの視点での話の構成も広げられそうな内容だな

>>1の作品はまた読んでみたい
これだからViPは辞められないよ



736以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:16:55.43 ID:dfmsKfjl0

笑って死ねるようになりたいね



749以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/10(月) 01:20:15.79 ID:eh81P9Ja0

いいSSだった



関連記事

魔王・勇者SS ドラクエ   コメント:11   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
13204. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/10/11(火) 23:34 ▼このコメントに返信する
良いSSだ
13208. 名前 : アポロ◆- 投稿日 : 2011/10/12(水) 01:12 ▼このコメントに返信する
↑それは同感だw結婚生活とあったから色々妄想してしまったがいいお話だった>>1乙です
13211. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/10/12(水) 02:21 ▼このコメントに返信する
掛け値なく、いいSSだった。
13213. 名前 : 名無しさん@ニュース2ちゃん◆- 投稿日 : 2011/10/12(水) 02:39 ▼このコメントに返信する
存外いい出来だったな
最後の方はちょっと泣ける
13220. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/10/12(水) 08:43 ▼このコメントに返信する
最高、これしか浮かばんww
13252. 名前 : 名無しさん◆- 投稿日 : 2011/10/12(水) 23:53 ▼このコメントに返信する
クオリティー高いSSだった乙
13259. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2011/10/13(木) 11:48 ▼このコメントに返信する
ディスガイア2のロザリーで再生された
19589. 名前 : 名無しさん@ニュース2ちゃん◆- 投稿日 : 2012/03/21(水) 04:11 ▼このコメントに返信する
ちょw
うるっと来てしまったジャマイカw
まじGJ!
21171. 名前 : 名無しさん◆- 投稿日 : 2012/05/01(火) 00:34 ▼このコメントに返信する
ガチで涙でたわw
22225. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2012/06/01(金) 23:47 ▼このコメントに返信する
寿命系は駄目なんすよ・・・
41790. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2014/02/22(土) 01:20 ▼このコメントに返信する
ガチで泣いたわ…
切ないのにすごく暖かい
コメントの投稿