古泉「どうしても名前が思い出せないらしいんです」キョン「名前?」

2020-01-23 (木) 18:01  涼宮ハルヒのSS   0コメント  
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 13:58:46.51 ID:yJm2b4iho

古泉「はい。昨日、涼宮さんから一つ頼まれ事をされまして」

キョン「またか。で、その頼まれ事ってのは?」

古泉「ある人の名前がどうしても思い出せなくて困っているそうです。それで特徴を言うから、今日の団活までに調べておいてと」

キョン「いつも通り傍若無人な頼み事だな。それでお前も困ってるって訳か」

古泉「ええ。涼宮さんが言うには、僕やあなたも絶対に会った事がある人物だそうなんですが、どれだけその人の特徴を聞いても誰かわからないんですね。このままだと、また涼宮さんの機嫌が悪くなりそうで正直まいっています」

キョン「仕方ない、俺も一緒に考えてやるから、ハルヒが来る前に誰か突き止めとこう。それで、一体、どんな特徴をハルヒは言ってたんだ?」

古泉「はい。『女の子で、背は低い方で、無口で、ショートカット』だそうです」

キョン「長門じゃないか」

古泉「え?」





2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:00:07.76 ID:yJm2b4iho

キョン「女で、背が低くて、無口でショートカットって言ったら長門しかいないだろ。何でそれで悩むんだよ」

古泉「いえ、それだけで長門さんと決めつけるのは流石にどうかと……。他にも沢山いると思いますし」

キョン「まあ、確かにそれだけだと他にもいるかもしれないな。でも、俺も古泉もハルヒも知っていて、それでその特徴ときたらもう長門で決まりだろ」

古泉「ええ、確かに。だから、僕も最初は長門さんだと思ったんですが……。しかし、涼宮さんが長門さんの名前を思い出せないなんて事があるでしょうか?」

キョン「いや、ある。あいつ、たまにド忘れする事があるからな。大体、ハルヒは俺の名前すら多分忘れてるぞ。その証拠に、俺の事を名前で呼んだ事一回もないからな」

古泉「……そうですか。いや、それはともかくとしてですね」

キョン「なんだよ?」

古泉「涼宮さん、こうも言ってたんですよ。『歩いてるだけで胸がバインバイン揺れるのよ』って」

キョン「…………」

古泉「…………」

キョン「だったら、長門じゃないじゃないか」

古泉「ですよね」




3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:01:36.12 ID:yJm2b4iho

キョン「あの長門が、朝比奈さんを超える巨乳な訳がないもんな」

古泉「はい」

キョン「服の上からでも明らかに胸がないのがわかる。どれだけ俺が贔屓目に見たとしても、控え目としか言いようがないぞ。本音を言えば貧乳なんだけどな」

古泉「はあ……。まあ、少なくとも大きくはないですよね」

キョン「だろ? 大体、想像してみろ、古泉。もしも長門が歩く度に胸がバインバイン揺れる巨乳だったらどうする? ロリ巨乳で興奮しないか?」

古泉「何の話をしているんですか」

キョン「いや、だから、長門はあれぐらいのサイズで丁度いいって事だ。もしも長門が巨乳だったら、朝比奈さんなんか存在意義がなくなるしな。もともとお茶を淹れるぐらいしか存在意義がないのに」

古泉「え?」

キョン「とにかく、それは長門じゃない。古泉、他に何か特徴を言ってなかったか?」

古泉「ええ、まあ、そうですね……。確か、『本を読んでる姿しか思い浮かばない』とも言ってましたね」

キョン「だったら、長門じゃないか」

古泉「え?」




4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:02:47.00 ID:yJm2b4iho

キョン「長門と言えば読書、読書と言えば長門だろう。もうこれは長門で間違いないぞ」

古泉「そうでしょうか?」

キョン「当たり前だろ。なにせ海水浴に行っても本を読んでるぐらいなんだぞ。二ノ宮金次郎ですらそんな事しないのに」

古泉「いえ、そもそも二ノ宮金次郎は海水浴に行く事はなかったと思いますけど」

キョン「だから、それだけ長門が読書好きだって話だ。多分、長門は北極とかに行っても本を読んでるだろうし、本を読みながら片手で北極熊を撃退してるはずだ。だからもう、それは長門で決まりだ」

古泉「果たして本当にそうでしょうか?」

キョン「いや、そうだろ。何でだよ?」

古泉「いえ、涼宮さんはこうも言ってたんですよ。『一緒にカラオケに行くと、テンション上がってマイクを離さないのよ』と」

キョン「…………」

古泉「…………」

キョン「じゃあ、長門じゃないじゃないか」

古泉「ですよね」




5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:04:48.84 ID:yJm2b4iho

キョン「長門がカラオケに行く、まではまあいい。ハルヒに付き合わされて行く事もあるだろう」

古泉「はい」

キョン「だけど、テンション上がって、はおかしい。長門じゃない。そもそもみるからにテンションが上がってる長門を見た事がない」

古泉「それは僕もです」

キョン「その上、マイクを離さないなんて事は有り得ない。長門がノリノリで、ソファの上に立って『ハレ晴れユカイ』とか歌ってたら、俺はその場で間違いなく抱き締めるぞ。とてつもなく可愛いじゃないか」

古泉「え?」

キョン「とにかく、それは長門じゃない。そういう事をやりそうなのは鶴屋さんだな。ショートカットじゃないが、ばっさり髪を切った可能性もあるし」

古泉「鶴屋さんですか……。確かにその可能性もなくはないですが……」

キョン「何だ? まだ何か引っ掛かるのか?」

古泉「いえ、涼宮さんが、『魔女のコスプレがよく似合ってた』とも言っていたんですよね」

キョン「だったら、長門じゃないか」

古泉「え?」




6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:06:26.74 ID:yJm2b4iho

キョン「正直、口には出さなかったが、長門のあの文化祭での格好はメチャクチャ似合ってた。お前もそう思ったろ、古泉?」

古泉「はあ……。まあ……」

キョン「仮に、あれを鶴屋さんがやってみろ。『キョン君、呪っちゃうぞー』とか明るい声で言ってあちこちはしゃぎ回るんだぞ。メチャクチャ似合わないだろ。言っとくが、あんなオタク心とマニア心の両方をくすぐる衣装が似合うのは長門とプリキュアだけだからな」

古泉「ちょっと待って下さい。プリキュア?」

キョン「つまり、現実では長門しかいないって事だ。出来れば、もう一回ぐらい着てくれないかと俺は常日頃からそう思ってるぐらいだからな」

古泉「頼めば長門さんならあるいは着てくれそうな気もしますが……。いえ、そんな事よりも」

キョン「何だよ、そんな事って。大事な事だろ」

古泉「話を元に戻しましょう。僕も恐らく長門さんで75%ぐらい確定だと思うんですが、それでもやはり、どうにも腑に落ちない事があるんですよ」

キョン「今度は一体何だ?」

古泉「涼宮さん、こうも言ってたんですね。『ドラえもんで言うとのび太ポジションね』と」

キョン「…………」

古泉「…………」

キョン「じゃあ、長門じゃないじゃないか」

古泉「ですよね」




7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:08:34.08 ID:yJm2b4iho

キョン「長門はドラえもんで言うと間違いなくドラえもんだもんな。まかり間違ってものび太じゃない」

古泉「そうなんですよね。長門さんはどう考えても頼りになるオールマイティーキャラなんですよ。どんな状況に陥っても長門さんさえいればどうにかなるような気がしますし。その点、完全にドラえもんなんですよね」

キョン「まあハルヒは長門がそれだけの力を持っている事を知らないから、百歩譲ってドラえもんだとは思わなかったとしよう。だけど、それでものび太はないよな」

古泉「絶対にないですね。ドラえもんでなかったら出来杉君でしょうし。長門さんが鶴屋さんにイジメられて涼宮さんに泣きついているところなんて完全に想像がつきませんから」

キョン「というより、むしろのび太ポジションは朝比奈さんじゃないのか? あの人、足を引っ張った事はあっても役に立った事一度もないだろ?」

古泉「一度もとは言いませんが……。でも、淹れてくれるお茶は美味しいですよ」

キョン「そうだな、お茶は美味しいよな」

古泉「はい」

キョン「…………」

古泉「…………」

キョン「ハルヒは他に何か特徴言ってなかったか、古泉?」

古泉「そうですね……。ああ、そういえば」

キョン「そういえば?」

古泉「涼宮さん、こうも言ってました。『実は宇宙人じゃないかと思ってるんだけど』と」

キョン「だったら、長門じゃないか」

古泉「え?」




8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:09:49.96 ID:yJm2b4iho

キョン「古泉、何でそれを早く言わなかったんだ。それさえ最初から知っていれば、100%長門で決定していたんだぞ」

古泉「いえ、ですがよく考えてみて下さい。僕達は長門さんが宇宙人だと知っているから、そう言われたら長門さんしか思い浮かばない訳ですが、その事を知らない涼宮さんが果たして長門さんの事を宇宙人だと思うでしょうか?」

キョン「どういう意味だ?」

古泉「つまりですね。例えばあなたが何も知らされていない状態でSOS団に入ったとします。それで、涼宮さんと同じように今日まで色々な事を隠されて過ごしてきたとしましょう。そうなった場合、あなたは長門さんを、実は宇宙人じゃないかと疑ったりしますか?」

キョン「…………」

古泉「…………」

キョン「いや、疑わないな。って事は長門じゃないじゃないか」

古泉「ですよね」




9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:12:01.74 ID:yJm2b4iho

キョン「いや、そりゃ少しは思うだろうけどな。長門ってちょっと普通じゃないよなぐらいは」

古泉「はい」

キョン「だけど、だからって宇宙人だとは絶対に思わないな。見た目は完全に地球人だしな、あいつ。ベジータぐらい地球人だぞ。むしろ天津飯の方がよっぽど宇宙人だろ」

古泉「一体、何の話ですか」

キョン「長門がそれだけ地球人っぽいって話だ。宇宙人の中じゃ一番可愛いんだぞ、あいつは。ちなみに二番目はラムちゃんだ。異論は認めない」

古泉「はあ……。という事はつまり、長門さんではないと」

キョン「当たり前だろ。というか、何かもっと他にないのか、古泉。そんなファジーな特徴じゃなくて、一発でこれだってなるわかりやすい特徴が」

古泉「わかりやすいとなると……。ああ、そういえば」

キョン「そういえば?」

古泉「涼宮さん、こうも言ってました。『眉毛が太くて、一回だけサバイバルナイフを持ち歩いてたのを見た事があるわ』と」

キョン「…………」

古泉「…………」

キョン「朝倉じゃないか!」

古泉「ですよね」




10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:13:49.86 ID:yJm2b4iho

キョン「眉毛が太いと言えばもう間違いない。加えてサバイバルナイフだろ? あんなの持ち歩いてる女子高生、朝倉以外でいたら俺はもうこの学校には来ないぞ。テロリスト養成所か、ここは?」

古泉「つまり、朝倉さんで確定ということでいいですか?」

キョン「そりゃそうだろ。他にどんな特徴があろうと、眉毛が太くてサバイバルナイフなのは朝倉以外いないからな。これが出てきた時点で他にどんな特徴があっても、それは朝倉だ」

古泉「背が低くてショートカットで無口で巨乳で読書好きでも」

キョン「朝倉だ。ハルヒの記憶違いだろ」

古泉「カラオケではしゃいだり魔女コスプレが似合っていたりのび太ポジションでも」

キョン「朝倉だ。たまには朝倉だってはっちゃける事もあるだろうし、服が似合う似合わないは人の主観によるから万人にとって共通なものじゃないし、何か眉毛がのび太っぽいし」

古泉「そうですか。いえ、僕もあなたと同じ意見です。それを聞いた時は、僕も朝倉さんだと確信しました。……ところがですね」

キョン「おい、ちょっと待て。まだ何かあるのか?」

古泉「実は、涼宮さん、こうも言っていたんです。『言っとくけど、朝倉じゃないわよ』と」

キョン「…………」

古泉「…………」

キョン「じゃあ、朝倉じゃないじゃないか!」

古泉「そうなんですよ」




11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:15:26.41 ID:yJm2b4iho

キョン「いい加減にしろよ、古泉。どうしてあの特徴で朝倉じゃないんだ。ふざけてるのか。いくら温厚な俺でも流石に湯呑みぶん投げるぞ」

古泉「それは僕ではなく涼宮さんに言って下さい。僕もそれを聞いた時には、神人退治を辞めようかと考えたぐらいなんですから」

キョン「じゃあ何か? この学校には朝倉以外でサバイバルナイフを所持する女子高生がいるっていうのか?」

古泉「残念な事にそういう結論に至ってしまう訳なんですよ」

キョン「冗談じゃない。一種のサイコホラーだぞ、これ。明日から防衛の為に鉄板持って学校に行けっていうのか?」

古泉「場合によってはそうですね。ですから、僕達はなんとしてもその人間を特定しなくてはいけないんですよ。危険を回避する為にも」

キョン「確かにそうだな。古泉、他に何かハルヒは特徴を言ってなかったか?」

古泉「ええ、その後にこう言ってました。『やっぱりサバイバルナイフは勘違いだったわ。よく見たらスイカバーだったのよ』と」

キョン「古泉ぃ!!!」




12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/02(木) 14:16:25.68 ID:yJm2b4iho

古泉「んふ」

キョン「んふ、じゃねえよ、ふざけるな。スイカバー、口に突っ込むぞ」

古泉「そんなに怒らないで下さい。ちょっとしたお茶目じゃないですか」

キョン「お茶目で済むか。ここがもし開拓時代のアメリカ西部だったらロープでくくって馬で引きずり回してるとこだからな」

古泉「すみません、謝ります。しかし、本当に困ってるんですよ。長門さんのようで長門さんではなく、朝倉さんのようで朝倉さんでもないんですから」

キョン「確かにそうだな。とは言っても流石にそろそろハルヒが部室に現れる頃だろ? 結局、誰かわからないままだし、このままだと、またハルヒが文句を言い出すぞ」

古泉「ええ、なのでもう勘で答えてみます。運良く合っていればそれで何事もなく済みますし」

キョン「そうか。で、誰を言うつもりなんだ?」

古泉「喜緑さんです」

キョン「髪がワカメじゃないか」






ありがとうございました




元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1577941126/

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