1:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 22:55:29.45
ID:CPwA4cva0
琴葉「夜中に宿題をしていたら、突然窓がノックされた」
琴葉「コツコツコツ、と軽く三回」
琴葉「……お化けかな? なんてちょっぴり怖くなったけれど」
琴葉「確かめない方が気味が悪い……。私は勇気を振り絞って」
琴葉「自室のカーテンを恐る恐る開けたのだった」
窓に張り付く所恵美
無言でカーテンを閉める琴葉
琴葉「――さぁ、切り替えて宿題の続きしようっと♪」
恵美「待って! せめてワケを聞いてっ!!」コンコンココン!
2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 22:57:17.63
ID:CPwA4cva0
琴葉「はぁ……。一体どうしたって言うの? 恵美」
琴葉「いくら明日が土曜日でも、そろそろ日付変わりそうよ」
琴葉「それに来るなら来るで事前に連絡の一つぐらい……」
琴葉「私、お化けかと思っちゃったんだから!」
恵美「にゃはは、ごめんごめん怒んないでよ」
恵美「実はさっきまでカラオケで遊んでてさ。明日はオフだしオールで騒ごー!」
恵美「……なーんて盛り上がるハズだったんだけど、どいつもこいつも予定あるって」
恵美「アタシ一人で残るのも癪じゃんか? ――で、来たの」
琴葉「一切連絡無しのまま?」
恵美「そう! びっくりする琴葉が見たくってさぁ~」
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 22:57:59.50
ID:CPwA4cva0
恵美「サプラァーイズっ!」ワァー
琴葉「有難迷惑」
恵美「ついでにも一つ迷惑していい?」
琴葉「ええ」
恵美「いい加減中に入れてください」
琴葉「ごめん、ワケだけ聞けば帰ると思ってたわ」
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 22:58:44.01
ID:CPwA4cva0
琴葉「……なーんてね、冗談♪」ガチャ、ガララララ…
恵美「もう琴葉ぁ~、そういうのはプロデューサー相手にしなよぉ」
琴葉「だって、恵美が驚かせるんだもの」
琴葉「少しぐらい意地悪返してやりたいじゃない?」
琴葉「それにプロデューサーが尋ねて来たんだったら――」
恵美「喜び勇んで窓開けちゃう?」
琴葉「ずぇったい中には入れないわ! 何に巻き込まれるか分かんないんだもの」
恵美「……まっ、夜の訪問客としては危険すぎか」
5:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 22:59:23.78
ID:CPwA4cva0
恵美「ってなワケで窓からおこんばんわ」
琴葉「こらっ、サッシに足をかけない!」
琴葉「タオルでも敷くからちょっと待って。も~、外国じゃないんだから」
琴葉「……そういえば恵美、どうやって屋根まで登ったの?」
恵美「内緒♪」
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 22:59:56.60
ID:CPwA4cva0
恵美「まぁまぁアタシのことはいいからさぁ~」
恵美「琴葉は部屋で何してたの? ……こんな時間だから一人エッチ?」
琴葉「恵美っ!!」
恵美「ジョーダン! やだっ、怒んないで!!」
琴葉「言って良いのと悪いのがあるでしょーに!」
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 23:00:28.88
ID:CPwA4cva0
琴葉「私は宿題してたんです! ほら、机の上のノートが証拠」
恵美「不健全だね」
琴葉「め~ぐみぃ~?」
恵美「分かった分かったもう言わない。下ネタ今後一切禁止!」
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 23:01:02.11
ID:CPwA4cva0
恵美「……でもさぁ、実際明日からお休みだってのに」
恵美「夜更かしの理由が宿題なんてこの夜に申し訳なくないの?」
琴葉「申し訳ない?」
恵美「そっ! 時計の針が十二時回るまで平日は終わっちゃないんだからさ」
恵美「どう? 夜の散歩なんて。一緒に悪あがきしに行こーよ♪」
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 23:01:42.75
ID:CPwA4cva0
琴葉「……確かに恵美が言う通り、ちょっと勿体なく使ってたかも」
琴葉「でも、だからって未成年がこれから深夜徘徊なんて」
琴葉「すっごくとぉーっても悪い事だから止めなさいなんて嘘になるわ!」
恵美「にゃはは♪ 琴葉もけっこーワルだよね~」
琴葉「そ、そう? そんなに悪い子かな?」テレテレ
恵美「パジャマ姿が似合う超ワルだよ♪」
琴葉「あっ!? こ、これはお風呂も入ったから――」
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/12(土) 23:02:14.22
ID:CPwA4cva0
琴葉「――と、言うワケで洋服に着替えました!」
琴葉「どう? これで文句ないでしょ?」
恵美「オッケー、オッケー。んじゃ、早速出掛けよっか」
琴葉「それで窓からこっそり出て行くなんて、今夜の私は大胆かも……!」
恵美「足滑らさないよう気をつけてよ」
琴葉「大丈夫、分かってるから……あっ」
恵美「琴葉?」
琴葉「ごめん、恵美みたいにジーパンに履き替えてもいいかな?」
11:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/13(日) 21:32:31.65
ID:cj3i1uof0
――数分後
恵美「で、そっから思い切ってジャンプ!」
琴葉「え、えいっ!」ドサッ
恵美「上出来! 琴葉もやるもんじゃない」
琴葉「ふふっ、アクションドラマの経験が活きたかな?」
恵美「何でもやっといて損はないね」ニャハハ
琴葉「だけど恵美も手慣れた感じだった」
琴葉「……もしかして、常習犯?」
12:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/13(日) 21:33:10.74
ID:cj3i1uof0
恵美「……そだね。琴葉にだけは話しちゃおっかな」
琴葉「えっ?」
恵美「実はアタシの正体はアイドルじゃない」
恵美「ホントは、夜な夜な宝石店や美術商の屋敷に忍び込んでお宝を奪い去るプロの怪盗」
恵美「そうして、そんな私が今宵盗み出すは――」
恵美「月明かりに照らされたガーネット♪ 君さ!」パチン
琴葉「なっ!!? じょ、冗談は止めて! からかわないで!!」
13:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/13(日) 21:33:41.30
ID:cj3i1uof0
琴葉「もぉ! いくら私でもそんな話が作り物だってことぐらい分かるんだから」
恵美「なんて言いながら耳まで真っ赤なのだった」
琴葉「嘘! この暗さじゃ絶対見えてない!」
恵美「さーて……どうだろうね?」
琴葉「恵美! ホントのホントにもうおしまい! ……で、散歩って一体ドコ行くのよ?」
14:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/13(日) 21:34:08.16
ID:cj3i1uof0
恵美「ドコ行きたい? 琴葉に合わせる」
琴葉「そういうの凄く困るんだけど」
恵美「じゃあ琴葉の判断に任せるよ♪」
琴葉「さっきと変わってないじゃない!」
15:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/13(日) 21:34:38.89
ID:cj3i1uof0
琴葉「……決めた! 近所のコンビニに行って帰る」
恵美「コンビニぃ~? ちょっとちょっと琴葉、冗談でしょ!?」
恵美「電車はまだまだ動いてんだよ? 街の明かりは朝まで消えないんだよ!」
恵美「そりゃあアタシだって流行りのバーに行って、とか無茶は言わないけどさぁ~」
恵美「それでも冒険したい年頃でしょ? も少しぐらい有意義な場所に繰り出そうよ」
16:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/13(日) 21:35:27.29
ID:cj3i1uof0
琴葉「でも私、新しい筆ペンを買わなきゃいけないから」
恵美「ふ、ふで……?」
琴葉「ちょうど替え時だなって思ってたの。劇場のほら、張り紙書く時に使ってるやつ」
琴葉「本当はもっと雰囲気を出すためにも、きちんとした筆と墨を使うべきなんだろうけど」
琴葉「これだ! ……って半紙に中々出会えなくて」
恵美「筆と墨は見つけてるんだ」
17:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/13(日) 21:36:21.90
ID:cj3i1uof0
琴葉「ねぇ恵美?」
恵美「んー?」
琴葉「私ね、今ふっと考えてたんだけど」
琴葉「劇場やお仕事の帰り以外で、こんな時間に二人でいるの珍しくない?」
恵美「あー、あぁ~……うん、確かに」
恵美「プライベートで会わないこともないけど、大抵他に一緒だしね」
恵美「二人っきりってのはレアかも」
琴葉「それにほら、いくら真夜中近い時間だって」
琴葉「通りに出れば人がいるし、車も沢山走ってるし」
琴葉「……子供の頃に想像してた夜はもっと静かで暗かったな」
恵美「…………ん、まぁ、琴葉の言いたいコトは分かるけどさ」
18:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/13(日) 21:37:10.25
ID:cj3i1uof0
恵美「アタシだって、中学の頃は八時も過ぎれば夜って感じ」
恵美「九時や十時でも遊んでる兄貴を羨ましいって思いながら」
恵美「やっぱちょっと、コワいんだよね。友達と一緒につるんでてもさ」
恵美「けど、モデルなんかもさせてもらうコトがあって」
恵美「偶然プロデューサーとの出会いもあって」
恵美「気づいたらホラ、曲がりなりにもアイドルしてる自分がいるじゃん?」
琴葉「そうね。……いつの間にかステージに立つのが当たり前の日常になってる」
19:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 05:22:27.84
ID:8PvEx2XS0
恵美「でしょ? で、アタシの感覚から言うと、それって大人の仲間入りになるんだよね」
恵美「琴葉だって齢で言えばニコ上だし。ホントなら"先輩"って呼ぶべき立場じゃんか」
琴葉「今更そんな事言われたって全然想像できないけど」
恵美「だよねー。……『おはようございますエレナ先輩!』」
琴葉「ないない言わない、絶対ない」フフッ
20:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 05:23:39.35
ID:8PvEx2XS0
恵美「そんなのがさ、許してくれる相手がいてこそってのは分かってるつもりだけど」
恵美「アタシ大人組にもタメ口で話すじゃんか?」
琴葉「そういえば恵美、初めの頃は敬語で話そうとしてたよね」
琴葉「なのに、初対面でもタメ口で相手されるこのみさん」
恵美「あれはタメ口じゃなくて小さい子用! 親戚の子供の面倒みる時とか」
21:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 05:24:31.80
ID:8PvEx2XS0
恵美「とにかく、自分より年上と一緒になって」
恵美「現場で色々話してると、あの人らもアタシらとそんな変わんないなって」
琴葉「確かに。幾つになっても女の子――なんて言葉の意味が分かる気がする」
恵美「だからって自分があの人達に守られてない、尊敬してないって話じゃないけどね」
恵美「ただ、そうやって"大人"って存在が分かってくると」
恵美「昔みたく無意識のうちに警戒って言うか、感じてた壁みたいのは曖昧になって」
恵美「あの人達の作ってる輪の中にアタシも一緒に居ていいんだ……的な」
22:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 05:25:03.06
ID:8PvEx2XS0
恵美「結局の話ガッコのね、先輩とか、先生とか」
恵美「そういう人達って怖がられる為にいるワケじゃん?」
琴葉「流石に怖がられるっていうのは語弊があるんじゃない?」
恵美「そこは琴葉、優しく無いって意味じゃなくて」
琴葉「えっ? あ! ああ、ごめんね」
琴葉「恵美の言いたい事は分かってるんだけど、つい」フフッ
恵美「まっ、別にいいんだけどさ~」ニャハハ
23:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 05:25:46.63
ID:8PvEx2XS0
恵美「アタシの中にあった"上下関係の形"が変わった時に」
恵美「"学校"っていう容れ物が前よりよく見えるようになって」
恵美「そうしたら夜の街だって平気になった。危なくないとは言わないけど、イタズラに怖がることもしない」
琴葉「――そうね、改めて考えてみると不思議」
琴葉「私達って、いつから夜が平気になっちゃうんだろう?」
恵美「それってアタシの話の続き?」
琴葉「ううん。それとはまた少し違う話」
24:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 05:26:26.49
ID:8PvEx2XS0
琴葉「私達って気がついたら、夜でも昼と同じように」
琴葉「今だって並んで道を歩いて、お喋りもして、変わらない時間の使い方をしてる」
琴葉「小さい頃は特別だったハズの夜を、自分の自由に使ってる」
琴葉「私、プロデューサーや劇場のスタッフさん」
琴葉「大人組の人たちがお酒を飲みに出かけるのは、憂さ晴らしをしたいからだって思ってたけど」
琴葉「本当の目的はそうじゃなくて、ただ私達がこうしてしてるみたく」
琴葉「特別な夜だって感じていたい。悪あがきの方法だって思わない?」
25:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 05:27:38.27
ID:8PvEx2XS0
恵美「ん~……正直そこんトコはどんなだろね?」
恵美「アタシらじゃファミレスに集まってさ、駄弁るぐらいしか経験ないじゃん」
琴葉「でもそれって昼間の話じゃない」
恵美「…………あれ? 琴葉とはしてないっけ」
琴葉「……はぁ、今のは聞き流しておいてあげる」
琴葉「と言うか、思い出してみればそもそも恵美が私の家に来た理由も――」
恵美「にゃ、にゃはははは……。あ、あんまし怖い顔しないで琴葉。昔、昔の話だから!」
26:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 22:49:04.24
ID:VZJTvfcX0
琴葉「言い訳して。ほんの数分前の話なのに」
恵美「そんなことない! オールなんてホント久しぶりで――」
恵美「事務所に入ってからは一回も。毎回誰かが途中抜けしてさ~」
恵美「人数少ないとテンション持たないし、今日こそは! ……って思ってたのに」
琴葉「……それ、アナタの友達が気を利かせてるってことはないの?」
恵美「へっ?」
琴葉「恵美がアイドル始めたから、そういう事が問題にならないようにしてくれてるんじゃ……」
恵美「そ、そうかな? ……そうなのかな?」
27:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 22:49:34.67
ID:VZJTvfcX0
恵美「言われてみると案外思い当たるフシが」ブツブツ…
琴葉「ふふっ、夜遊びも程々にしないといけないわね」
琴葉「そうだ! 私もこのまま駅まで送ってあげようか?」
恵美「ちょ……なっ、琴葉ぁ~!!」
28:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 22:50:06.10
ID:VZJTvfcX0
琴葉「……でも、もう一つの選択肢として」
琴葉「今晩はウチに泊まって行く? 恵美が良かったら、だけど」
恵美「琴葉っ!? そ、それってつまり……」ゴクリ
恵美「琴葉の初めてをアタシにって!?」
琴葉「どーしてこっちがあげる側なの!!」
恵美「ならアタシの初めて貰ってくれる? いいよ、アタシ、琴葉だったら……!」
琴葉「そういうシャレは止めなさいって!」
29:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 22:50:39.24
ID:VZJTvfcX0
琴葉「全くもう! ……ほら、コンビニだって見えて来たから」
恵美「おっ、ホントだ」
琴葉「筆ペン買って、お菓子買って」
恵美「お酒とつまみも用意してっ♪」
琴葉「ダメです」
恵美「ダメか~」
琴葉「後二年……ううん、恵美は四年」
琴葉「四年後の夜もこんな風に、笑いながらお喋りしていたいね」
30:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/01/14(月) 22:51:08.89
ID:VZJTvfcX0
琴葉「それまではジュースとアイスで我慢しましょ♪」
恵美「いや、この寒空にアイスは遠慮するよ」
おしまい!
31:
◆Xz5sQ/W/66 2019/01/14(月) 22:53:19.00
ID:VZJTvfcX0
訂正
〇
琴葉「……はぁ、全く恵美ったら。今のは聞き流しておいてあげる」
琴葉「と言うか、思い出してみればそもそも私の家に来た理由も――」
×
琴葉「……はぁ、今のは聞き流しておいてあげる」
琴葉「と言うか、思い出してみればそもそも恵美が私の家に来た理由も――」
32:
◆NdBxVzEDf6 2019/01/14(月) 23:20:48.75 ID:eJy6n0gO0
屋内だったらまだ食べれそうだけどね…
乙です
>>1
田中琴葉(18)Vo/Pr
所恵美(16)Vi/Fa
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1547301329/
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