雪ノ下雪乃「比企谷くんってセ〇クスが下手なのね」

2017-12-28 (木) 21:01  俺ガイルSS   0コメント  
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 03:55:21.36 ID:xP7YGYVO0

八幡「おい、人のセックスを笑うなってナオコーラさんも言ってただろうが」

雪乃「別に笑うつもりはないのだけれど。事実を言ったまでよ」

八幡「し、仕方ないだろうが……こういうの初めてだったんだよ」

雪乃「あなた……童貞だったの?」

八幡「友達すらできない人間が非童貞とか常識的に考えてありえねぇだろうが……」

雪乃「あなたのことだから、合意を得ずに強引に行為を行った経験があるのだと思っていたわ」

八幡「いやそれ人間的にも法律的にもアウトですよね? この俺がそういう行為に及ぶと思うか?」





2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 03:56:02.19 ID:xP7YGYVO0

雪乃「確かに……あなたの小悪党ぶりを見ると、刑事罰に問われそうな行為を行うほどの度胸はないかもしれない」

雪乃「買いかぶり過ぎていたわ。ごめんなさいね」

八幡「度胸とかそういう問題じゃないから。俺は善良な一般市民としてちゃんと法律は守るんだよ」

八幡「第一、性犯罪とか、そういうことができるような人でなしならこんなに人間関係やら何やらで悩むかよ」

雪乃「そんなにも悩んでいたの?」

八幡「……まあ、何だ。いろいろあるじゃねぇか」

雪乃「……そうね。いろいろあるわね」




3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 03:56:44.38 ID:xP7YGYVO0

八幡「……痛くなかったか」

雪乃「……思っていたほどではなかったわ」

八幡「そうか」

八幡「…………」

雪乃「…………」

八幡「つかお前……やっぱ処女だったのな」

雪乃「比企谷くん、かつて孔子はこう言ったそうよ」

雪乃「一度も敵兵に攻め落とされることのなかった城塞と、一度も敵城を攻め落とすことができなかった軍兵、はたしてどちらに価値があるのか」

雪乃「答えは言うに及ばず、とね」




4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 03:57:33.47 ID:xP7YGYVO0

八幡「言い得て妙な例えだな。その論理にのっとるならば、処女には稀少価値があって、童貞はゴミカスということになる」

八幡「つか本当に孔子がそんなこと言ったの?」

雪乃「ソースはネット上の掲示板」

八幡「それ信憑性ゼロに等しいじゃねぇか……」

雪乃「信憑性はともかくとして、世間一般の価値観には合致しているのではなくて」

八幡「まあ、そうなんだろうな」

雪乃「でも、そんな世間の価値観に迎合して気に病む必要なんてないと、私は思う」

八幡「別に気に病んだりはしてねぇよ。世間に迎合とか俺が一番嫌いな考え方なんだからよ」

八幡「第一、なんだ……もう俺、童貞卒業しちゃったわけだしな」

雪乃「…………」




5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 03:58:06.50 ID:xP7YGYVO0

八幡「こう……ヤっといてなんだけどさ。お前、俺なんかに処女を……」

雪乃「あなただから」

八幡「……え?」

雪乃「あなたが相手だったから……よ。ほかの人間に差しだそうなんて、そんな考えはなかったわ」

八幡「…………。そ、そうか……」

雪乃「比企谷くん」

八幡「おう、何だ」




6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 03:59:27.24 ID:xP7YGYVO0


雪乃「短小包茎なうえに早漏だなんて……あなた生きていて恥ずかしくないの?」


八幡「ぐっ……! やめろっ……! やめてくれっ……!」

雪乃「何か変な病気を移されていないかしら……。検査したほうがいいかもしれないわね」

八幡「そんな深刻そうな顔して言うなよ……傷ついちゃうだろ……」

雪乃「性感染症を侮ってはいけないわ。きちんと手入れはしているの?」

八幡「普段からちゃんと洗って清潔にしてるから……。大丈夫だから(震え声)」

八幡「つか、人の身体的特徴をあげつらって侮辱するとか最低な行為だからな。マジ差別だからな」

雪乃「別に侮辱しているつもりはないのだけれど」




7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:01:01.95 ID:xP7YGYVO0

八幡「お前だって、その慎ましげな胸をまな板とか絶壁とか如月千早とか言われたらへこむだろ?」

雪乃「……くっ……」

八幡「あ、悪い。今のは別に嫌みで言ったわけじゃないぞ……ものの例えで」

雪乃「比企谷くんは……」

八幡「ん?」

雪乃「あなたは……胸の大きな女性の方が好みなの?」

八幡「…………」

雪乃「例えば……由比ヶ浜さんや、平塚先生や、姉さんのような」

八幡「ああ、そうだな」

雪乃「……!」




8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:02:15.33 ID:xP7YGYVO0

八幡「まあ、俺も健全な高校生男子だからな。豊満なおっぱいの中には男の夢と希望が詰まっているまである」

雪乃「そう……。でも、だったらどうして私を」

八幡「けれども、胸の大きさだって所詮は身体的特徴の一つに過ぎないんだよ。それだけで人間の価値が決まりはしない」

八幡「身体だけじゃない。性格とか趣味趣向とか価値観とか人間性とか……そんなもん全てをひっくるめての人間だろ」

八幡「俺はそんな全てをひっくるめてお前のことが好きになった」

雪乃「比企谷くん……」




9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:03:19.70 ID:xP7YGYVO0


雪ノ下はすがりつくように俺の胸板に顔を寄せる

雪のように白くて透明感のある肌と、流れるように艶やかに伸びた黒髪が地肌に触れる
彼女は今、俺の心音を直に耳にしているのだろう

熱くくぐもった吐息が俺の胸をくすぐった




10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:04:46.43 ID:xP7YGYVO0

雪乃「私は上手く言い表せないの。あなたに対するこの溢れる感情の意味を」

雪乃「でも、あなたの言になぞらえるならば、やっぱり……私も、あなたのことが好きなのかもしれない」

八幡「別に無理に言語化する必要はないんじゃねぇの」

八幡「俺だって、この気持ちを一言『好き』ってだけで片付けるのには抵抗もあるんだ」

雪乃「そうかもしれない。言葉で伝えられることには限界があるって、いつも思うわ」

雪乃「それはもどかしいことだけれど、言葉で伝えられなくても……心と心の間で伝えあうことができれば、それでいいのかしらね」

八幡「以心伝心か。まあ、それでいいんじゃねぇの。……言葉はなくても共感できるならば」




11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:05:40.17 ID:xP7YGYVO0


雪ノ下の華奢な身体を優しく包み込むように抱きしめる
彼女の瞳は潤み、憂いを帯びた表情は普段の凛々しさとはかけ離れ、か弱さすら感じさせた

彼女が外に向ける強さと内に秘める弱さ
それらをすべてひっくるめて、今の俺は前よりも、彼女のことを少しは理解できたと思っている

わずかに湿り気のある前髪を撫でるようにかき分けて、彼女の額にキスをした




12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:06:39.20 ID:xP7YGYVO0

雪乃「比企谷くん……私……怖いわ」

八幡「何が怖いんだよ」

雪乃「私たちの関係は、もう後戻りできないということが」

雪乃「明日から、どんな顔をして由比ヶ浜さんと接したらいいの。私にはわからない」

八幡「ああ……俺にも、わからないな」




13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:07:51.78 ID:xP7YGYVO0


変わりゆく雪ノ下雪乃と、変わってしまうであろう比企谷八幡

由比ヶ浜はすぐに、俺達の関係の変化を察するだろう
彼女のことだ
おそらく、空気を読んで奉仕部から――俺達の前から――遠ざかっていくのだろう
そんな空気、読んでくれなくていいというのに

すべてが、変わってゆく

万物は生々流転
変わっていくのは当然のことで、それはこれまでもこれからも変わらないのに、どうしてこんなに怖くなるのだろう




14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:08:38.54 ID:xP7YGYVO0

雪乃「それだけではないの」

八幡「他に、何かあるか。陽乃さんのこととか、実家のこととか……か?」

雪乃「それもあるけれど……一番不安なのは」




15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:09:10.12 ID:xP7YGYVO0


雪ノ下は両手を俺の背中に回し、まるで赤ん坊が母親に対してそうするように俺をきつく抱き締める

そんな彼女の体は小刻みに震えていた




16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:10:21.42 ID:xP7YGYVO0

雪乃「あなたが……あなたまでが……いずれどこかに行ってしまうんじゃないか」

雪乃「それが不安で仕方がないの……」

八幡「…………」

雪乃「比企谷くん……お願い。私を置いていかないで……」

雪乃「私を……見捨てたりしないで……」

八幡「……見捨てるかよ。むしろ見捨てられるとしたら、それは俺の方だろうが」




17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:10:59.94 ID:xP7YGYVO0


彼女の身体を抱き返す

決して離したりしないように
決して逃がしたりしないように

二人が一つになった、あの瞬間の感覚を取り戻すように

強く強く、抱き締め合った




18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:11:52.60 ID:xP7YGYVO0


――それからどれほどの時間が経過しただろうか


ゆっくりと抱擁を終え、お互いに向き合った

彼女の瞳から零れ落ちた涙のあとはもうなく、いつもの、雪ノ下雪乃らしい表情に戻っていた

彼女は柔和な微笑みを浮かべて語りかけてくる




19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:13:34.84 ID:xP7YGYVO0

雪乃「ふふ。確かに、無様に打ち捨てられる憐れな姿は、あなたのほうがお似合いかもしれないわ」

八幡「まあな。むしろぼっちとしての人間強度が高まるから打ち捨て上等まである」

雪乃「あら、あなたの無様なモノがまたそそり立っているじゃない。どれだけ性欲の塊なの。野性の獣かしら?」

八幡「男の子はみんな狼だから野獣なんだよ。男の性欲なめんな」

雪乃「でも、あなたは獣というより、独りぼっちの“のけもの”と言った方がより的確でしょうね」

八幡「実際けものもいるし、のけものもいるんだよなぁ……」


八幡「つかよくあけすけに言えるよな、お前。襲うぞ」

雪乃「いい度胸ね。来るがいいわ。あなたが音を上げるまで、搾り取ってあげるから」




20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:14:35.91 ID:xP7YGYVO0


結局、自分が追い求めている本物とは何だったのか

それはセックスをしたところで分からなかったし、仮に分かったつもりになったとしたら、
そのセックスは欺瞞に満ちた遊びであり、ただの偽物なのだろう


本物は言葉では言い表せないし、当然、言葉を交わすことで容易に得られるものでもないはずだ

それでも人は、言葉を紡ぎ続ける

いつか本当の意味で心と心を通わせて、人と人との本物のつながりを得られるその日を夢見て




21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/17(日) 04:15:33.31 ID:xP7YGYVO0





だから、今日も言葉を交わし続ける

俺も
彼女も




二人で本物を手にする、その日まで――




(了)




元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513450521/

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