1:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:26:14.65
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「二人で話し合ってメニューを決めたわ」
ヘンゼル「ボルシチはメインディッシュ、最初はマカロニから、ね」
ヴェロッキオ「ケッ、クソガキどもが。どういう風の吹き回しだ?」
バラライカ「茶番だけど、それなりのものを用意してもらわないと困るわよ」
張「やれやれ、なんで俺まで……」
2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:29:12.80
ID:3SlXFEh7o
ヘンゼル「さて、まずはマカロニだけど……どうしようか、姉様?」
ヘンゼル「マカロニをそのまま皿に乗せて出すだけじゃ、つまらないよね」
グレーテル「マカロニといえば、やっぱりグラタンだわ」
グレーテル「マカロニグラタンを作ってあげましょう」
ヘンゼル「それはとてもいいアイディアだね」
グレーテル「それじゃ、さっそく調理開始ね」
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:32:11.68
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「まずは鶏のもも肉と玉ねぎを切りましょう」
ヘンゼル「任せてよ」シャキンッ
ヘンゼル「鶏もも肉を小さめに切るよ。筋に沿って、ね」ザクッザクッ
グレーテル「いい手つきだわ、兄様」
ヘンゼル「人の肉より切りやすいよ、姉様」
グレーテル「次は玉ねぎを薄切りにするのよ」
ヘンゼル「うん」ザクザク
ヘンゼル「うわっ、目にしみるよ! 手伝ってくれない?」ポロポロ…
グレーテル「男の子が簡単に涙を見せてはいけないわ、兄様」
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:35:49.24
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「それじゃ、今切った肉と玉ねぎをお鍋に入れて炒めましょう」ジャッジャッ
ヘンゼル「玉ねぎがしんなりしてきたね」
グレーテル「そしたら、小麦粉を入れて混ぜてしまいましょう」マゼマゼ
ヘンゼル「脳みそをこねるようにね」
グレーテル「さらに、牛乳、スープの素、マカロニを入れて煮詰めるの」グツグツ…
グレーテル「うふふ、内蔵みたいにとろけてきたわ……」
ヘンゼル「大量に血を失った死体みたいに白くてキレイだね、姉様」
グレーテル「ここで塩コショウで味付けして……」パッパッ
5:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:38:16.20
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「グラタン皿に入れて、チーズを乗せて、いよいよオーブンで焼くのよ」
ヘンゼル「人の肉を焼くと、とてもいい香りがするよね、姉様」
グレーテル「ええ、シャネルなんかよりもよっぽど上等な香りよ」
グレーテル「だけど、グラタンを焼くとさらにいい香りがするのよ」
ヘンゼル「僕らは贅沢だね」
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:41:19.49
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「こんがり焼けたら、完成よ」
ヘンゼル「わぁっ、とてもいい香りだね」
グレーテル「あとはパセリとブロッコリーをふりかけて……完成っ!」
ヘンゼル「とてもおいしそうに出来たね、姉様」
グレーテル「はい、召し上がれ」コトッ
ヴェロッキオ「ガキどもが、いっちょまえに待たせやがって……」
ヴェロッキオ「どれ……」モグッ
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:43:40.44
ID:3SlXFEh7o
ヴェロッキオ「!」
グレーテル「どぉう?」
ヴェロッキオ「う、うまいじゃねェか!」ハフッハフッ
ヴェロッキオ「熱々のチーズと具が混ざり合い、絶妙なハーモニーを醸し出してやがる!」
ヴェロッキオ「特にこのマカロニのコリコリとした食感がたまらねえ!」
ヴェロッキオ「これほどの快感、一流のコールガールを抱いたところで味わうこたァできねェ!」
グレーテル「やったわ、兄様」
ヘンゼル「やったね、姉様」
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:46:13.54
ID:3SlXFEh7o
モレッティ「……」ゴクッ
モレッティ「あの……ボス」
ヴェロッキオ「なんだ?」
モレッティ「俺にも一口、分けてくれませんか」
ヴェロッキオ「……モレッティ」
ヴェロッキオ「三下のおめェが親に向かって、ずいぶんな口を叩くじゃあねェか」
ヴェロッキオ「“わきまえ”って言葉はどこだ? どこかに落としてきたのか? あ?」
ヴェロッキオ「いいか、よく聞けクソ野郎!」ドガッ バキッ
ヴェロッキオ「一口だってやらねェよ!」ドゴッ ドカッ
ヴェロッキオ「たとえてめェがパレルモの親分衆だったとしてもな!」ドカッ ガスッ
グレーテル「あら、可哀想に」
ヘンゼル「仕方ないよ、姉様」
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:49:18.73
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「じゃあ、いよいよメインディッシュのボルシチにとりかかりましょう」
ヘンゼル「あ、そうだ。一度ここでボルシチについておさらいしておこうよ、姉様」
グレーテル「そうね」
グレーテル「ボルシチは、ウクライナの伝統料理で世界三大スープの一つともされるわ」
グレーテル「ロシアを始めとした、東欧諸国で広く食されているの」
ヘンゼル「僕らが生まれたルーマニアでも食されてるみたいだね」
グレーテル「ボルシチは家庭料理でもあるから、決まった作り方はないのだけど……」
グレーテル「私たちは私たちのやり方で作りましょう」
ヘンゼル「うん、分かったよ」
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:52:30.37
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「さ、調理開始よ」
ヘンゼル「いっぱい野菜が並んでいるね。まるで野菜畑だ」
グレーテル「ええ、ボルシチはたくさんの野菜を煮込む料理だから」
グレーテル「さっそく、ジャガイモ、セロリ、ニンジンを一口サイズに切るわ」ザクザク
ヘンゼル「なら僕はビーツ(赤カブ)とキャベツを切るよ」ザクザク
グレーテル「ボルシチの赤いスープは、ビーツによるものなのよ」
ヘンゼル「どうりで。血の色みたいでとてもキレイだもの」
グレーテル「本当ね、兄様」
11:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:54:55.35
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「お鍋を用意しましょう」
ヘンゼル「おとぎ話に出てくる魔女の釜みたいでステキだね」
グレーテル「まずは、牛肉、セロリ、ジャガイモ、ニンジンを油で炒めるの」ジャッジャッ
グレーテル「それから水を加えて、ベイリーフを入れて20分煮込むわ」グツグツ…
ヘンゼル「20分か……長いね」
グレーテル「トランプ遊び(ジンラミー)でもしましょうか?」
バラライカ「火を扱っている時に、火の元から目を離すな」ギロッ
グレーテル「怒られてしまったわ」
ヘンゼル「仕方ないよ、姉様」
グツグツ… グツグツ…
12:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:56:46.01
ID:3SlXFEh7o
ヘンゼル「20分経ったね」
グレーテル「ビーツとキャベツを入れてしまいましょう」サッサッ
ヘンゼル「さらに、赤ワイン、トマトペースト、バルサミコ酢、ケッパーも入れよう」サッサッ
グレーテル「ここからさらに煮込むのよ」
ヘンゼル「わぁ、お鍋の中が、真っ赤になってきたよ。とても美しいね」
グレーテル「ええ、ホント。食べちゃうのが勿体ないくらい」
グツグツ… グツグツ…
13:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 00:59:12.57
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「ふうっ、やっと煮込み終わったわ」
ヘンゼル「長かったね」
ヘンゼル「それじゃ、スープを皿によそってしまおう。いい香りがするね」スッ
グレーテル「サワークリームとディル(ハーブの一種)を散らして、出来上がり!」
ヘンゼル「やったね、姉様」
グレーテル「やったわね、兄様」
14:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 01:02:38.54
ID:3SlXFEh7o
グレーテル「どうぞ、召し上がれ」
ヘンゼル「血のように真っ赤なボルシチを、たんと味わってよ」
バラライカ「ボルシチは久しぶりだわ」
バラライカ「どれ……」ズッ
バラライカ「あら、スープと野菜が溶けあっていて、非常に美味だわ」
バラライカ「一口飲むたびに、体だけでなく心まで温かくなっていくような感覚ね」
バラライカ「質は量に勝る、というけど、このボルシチは質も量も兼ね備えている」
ヘンゼル「好評だね、姉様」
グレーテル「時間をかけたかいがあったわね、兄様」
15:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 01:05:00.51
ID:3SlXFEh7o
ボリス「大尉殿」
バラライカ「なんだ、同志軍曹」
ボリス「我々にも一口頂けたら、と」
メニショフ「どうかお願いします」
サハロフ「是非」
バラライカ「……本音をいえば、一人で全部食べてしまいたいところだが」
バラライカ「お前たちは大切な戦友だ……許可しよう」
三人「ありがとうございます!」
16:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 01:07:14.71
ID:3SlXFEh7o
ラプチェフ「おい、バラライカ」
バラライカ「ん?」
ラプチェフ「俺もブリヌイを作ったから食ってみてくれ」
バラライカ「あら、KGB(チェーカー)崩れにしては気がきくじゃない」モグッ
バラライカ「……」
ラプチェフ「どう?」
バラライカ「……一つ忠告しといてやろう、クソ野郎」
バラライカ「私はな、冷えたブリヌイが我慢ならんのだ!」ドカッ バキッ グシャッ
ラプチェフ「ぐげええっ……!」
ヘンゼル「あーあ、仲間割れだ」
グレーテル「ボルシチみたいに真っ赤な血が飛び散ってるわね、兄様」
張「……」
17:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 01:10:08.76
ID:3SlXFEh7o
張「ところで、お嬢ちゃんたち」
グレーテル「なにかしら?」
張「俺には何かないのか?」
張「さして器もでかくもない俺の胃袋だが、さすがに待てなくなってきたようだ」グゥゥ…
グレーテル「もちろんあるわよ」
張「そりゃありがたい」
張(いったいどんな料理が……? 今までの流れからいくと、中華料理になるんだろうが――)
18:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 01:12:06.57
ID:3SlXFEh7o
ヘンゼル「はいこれ」ドサッ
グレーテル「フライドチキンのバーレル」
張「……」
張「徹夜明けにゃ、ちと重いな……」ムシャムシャ
― END ―
20:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 02:42:25.54 ID:4NKy9JWbO
平和な飯テロという矛盾
21:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/15(木) 17:40:05.28 ID:IRKMXwjM0
飯テロが毎日行われている無法の地・ロアナプラ
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1481729174/
- 関連記事
-
Amazonの新着おすすめ
おすすめサイトの最新記事