1:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:08:09.51
ID:5bEGkDhgO
「ただいま、司令官」
「えっとね今日はすごいのよ」
「じゃーん! プリンよプリン」
「いろいろなところにおねがいして、頼み込んでようやく手に入れたのよ」
「この暁様の人望の賜物なんだから」
2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:08:48.69
ID:5bEGkDhgO
「わかってるわね、ちゃんと半分こよ」
「ちょっとちょっとそっちのほうが少し大きいんじゃないの?」
「まったくもう油断もすきもないんだから」
「え? どうしたの司令官」
「……! それってもしかしてアイス!?」
「同じこと考えてたって? 一緒に食べようって?」
「最高ね! 司令官! 今日のあなたは最高に紳士だわ!」
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:09:17.22
ID:5bEGkDhgO
「あー、おいしい。幸せ」
「司令官もおいしい? そう、よかった」
「こんなにおいしいのは暁が隣にいてくれるからって?」
「んー口説き文句としてはいまいちね」
「ふふっ、私が帰ってくるまでに考えておくこと!」
「いいじゃないどうせ暇なんでしょ」
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:09:46.84
ID:5bEGkDhgO
「……そろそろ時間ね」
「そんな顔しないでよ、大丈夫なんだから」
「司令官は笑って見送るものよ」
「そうそう、ちょっと引きつってるけどね」
「マルナナマルマル、駆逐艦暁、出撃します……っと」
「行ってきます。司令官」
5:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:10:18.70
ID:5bEGkDhgO
「あー暁久しぶりー」
「まだ死んでないようで安心安心」
「そっちのろくでなしは元気?」
「はー相変わらずラブラブですなあ」
「ふーん、すましちゃってまあ」
「昔の暁だったらムキになってくれたのになあ」
「つまんないなあ、からかいがいがなくなっちゃって」
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:10:56.73
ID:5bEGkDhgO
「ん? ああ、もう知ってるの?」
「そうそう、とうとう七駆も私だけになっちゃった」
「悲しいけどこれ戦争なのよね」
「大丈夫だって、覚悟はしてたから」
「うちのクソご主人様は泣き喚いちゃってたけどね」
「おかげで今日来るときも絶対に死ぬなって言われちゃった」
「死んでたまるかっつーの」
「死亡フラグ立てるなっつーの」
「……」
「さて暗い話はこれで終わり!」
「今回も一緒に生き残ろうぜ! 相棒!」
「作戦名は『いのちだいじに』」
「がんばろーおー!」
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:11:29.16
ID:5bEGkDhgO
「あんたらが今回の駆逐艦?」
「あたしは雷巡北上。まーよろしく」
「ああいいよ。名乗らなくって」
「どうせ覚える意味ないし」
「え? どういうことだって?」
「だってあんたらすぐ死んじゃうじゃん」
「あーもうつっかかんないでよ」
「うざいなあ」
「わかったよ。そんなににらまないでよ加賀さん」
「ごめんね、駆逐艦」
「ハイこれで仲直り」
「まあ適当にがんばってよ。私が被弾しそうなときは盾くらいにはなってよね」
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:12:02.66
ID:5bEGkDhgO
「マイクチェッーク。1,2」
「みんなそろったみたいね」
「私は金剛型四番艦、霧島よ」
「この寄せ集めのくそったれ……おっと失礼。死にぞこないどもの旗艦よ」
「この作戦にはわが国の未来がかかってるらしいから、適当に頑張りましょう」
「作戦内容は簡単」
「見敵必殺。サーチアンドデストロイ」
「死ぬまで殺せってことよ。簡単でしょ?」
「これが成功したらとりあえずは補給物資のルートが確保できるらしいわ。よかったわね」
「で、作戦開始はいつ? え? 明日?」
「最高のジョークね。 こんなに笑ったのは先週の葬式以来だわ」
「……というわけで今日はこれにて解散」
「適当に親睦を深めておいてね」
「じゃまた明日」
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:12:30.73
ID:5bEGkDhgO
「いいお酒が入ったのよ」
「これよ。ペンギンがチャームポイントよ」
「提督のものを借りてきたの。いいのよ、明日のことは明日考えれば」
「おっとっと……ありがとう」
「さて何に乾杯する?」
「……じゃあ今日も生きのびられたことに乾杯」
「ふう……」
「それにしてもこうして三人で飲むのも恒例になってきたわね」
「今だからいうけど二人の第一印象は最悪だったわ」
「扶桑は超ネガティブでいまにも死にそうだったし、霧島はナイフみたいにとがってたし」
「ふふっ。じゃあみんな最悪からスタートしたのね」
「私たち案外似たもの同士なのかもね」
「……」
「ああ、今日は月がきれいね」
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:12:58.06
ID:5bEGkDhgO
「……」
「……」
「きれいなお月様ね」
「司令官も同じ月を見てるかしら」
「響は……」
「まだあっちは出てないかな」
「あ、霧島さん、扶桑さん、加賀さん」
「三人で集まって、何してるの?」
「月見酒? ……ってそんなものどこから持ってきたのよ。知らないわよ」
「じゃ私も一杯だけもらおうかしら」
「……ん。甘い」
「甘いお酒は好き。苦いのはまだちょっと苦手かな」
「え? 素直になったって?」
「もう見栄を張る相手もいないからかしらね」
「……」
「それにしても月がきれいね」
11:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:13:29.27
ID:5bEGkDhgO
「暁ちゃんにはお酒はまだ早いんじゃない?」
「お酒に逃げていいのは大人だけよ」
「そうよ大人はずるいのよ」
「お子様にはまだ早かったかなー?」
「あはは。冗談よ冗談」
「暁ちゃんは酔ったらからかいがいがあって面白いわね」
「明日の作戦が心配?」
「大丈夫よ私たちが守るから」
「うん、あの夜空の月にかけて誓うわ」
「ふふふ、ジュリエット気取り?生意気ね」
「仕方ないわね」
「じゃあこの国の名前を背負った」
「扶桑の名にかけて誓うわ」
12:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:13:59.95
ID:5bEGkDhgO
「おはよう」
「みんな用意はいい?」
「よく眠れた?」
「親睦は深まった?」
「トイレは済ました? 神様にお祈りは? 遺書は書いた?」
「……ジョークよ」
「さて、爆笑ジョークで場も暖まったところで」
「出撃ね」
13:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:14:34.86
ID:5bEGkDhgO
「敵艦発見」
「十時の方向よ」
「重巡級2、軽巡級2、駆逐級2」
「まあ前哨戦ってところね」
「私は後ろで応援してるから、みんなやっちゃって頂戴」
「それは無理よ」
「だって持ってないんだもの」
「艦功も艦爆も艦戦も」
「持ってきたのは偵察機だけよ」
「大丈夫よ、期待されてる役割は果たすわ」
「同情なんていいからさっさと片付けて」
「私は応援してるから」
14:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:15:01.48
ID:5bEGkDhgO
「敵艦見ゆー」
「ああ、ほんとに戦艦級に空母級がいるんでやんの」
「めんどくさいなあ、退避してていい?」
「さっきみたいに、戦艦様たちの邪魔にならないようにさー」
「わかったよ……ちぇ」
「魚雷装填完了っと」
「じゃーいきましょうかねー」
15:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:15:27.43
ID:5bEGkDhgO
「……」
「ぬかったわね」
「あなたらしくもない」
「相手が戦艦だったとはいえ、よけられなかった攻撃じゃないでしょ」
「またそうやって不幸不幸って。山城じゃないんだから」
「はあ、まあいいわ」
「言い残す言葉はある?」
「ちゃんと伝えといてあげる」
「私が生き残ったらだけど」
「ん? なに? 言わないとわからない?」
「戦艦扶桑はここで処分していくって言ってるの」
「文句ある?」
16:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:16:00.31
ID:5bEGkDhgO
「世話をかけるわね、霧島」
「ああ、ばれてたの」
「どの道私に当たってたわよ」
「ほら私って不幸だから」
「……」
「あなたのそういうところ好きよ。霧島」
「だから泣かないで」
「ちゃんと狙ってよ」
「あの子達のこと頼んだわね」
「……ああ、空はあんなに青いのに」
17:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:16:29.91
ID:5bEGkDhgO
「敵艦発見ktkr!」
「とうとうラスボスの登場ですか!?」
「腕が鳴るなあ」
「駆逐艦は私にお任せを」
「徹底的にやっちまうのね!」
「はいはい、わかってますよー」
「まっすぐいってぶっ飛ばせばいいんでしょう?」
「とっつげーき」
18:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:17:01.56
ID:5bEGkDhgO
「あらー、まいったねこりゃ」
「どうするかね。相手まだ戦艦三隻も残ってるよ」
「頼みの綱の霧島さんは大破してるし」
「こりゃあ詰みかな」
「雷撃?」
「うーんそこまで近づくのは難しいんじゃないかな」
「それともこの距離から撃ってみる?」
「博打は嫌いじゃないけどね」
「えっ?」
「本気で言ってるの? 加賀さん」
「それが期待されてる役割ってやつ?」
「まあいいけどね、どうでも」
19:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:17:32.34
ID:5bEGkDhgO
「……」
「……」
「……」
「やっぱり痛いわね」
「飛行甲板が壊れてしまったわ」
「弓も矢も、どこかにいってしまった」
「でもまあ雷撃は命中したみたいね」
「さすがねハイパー北上さん。このスーパー加賀が命をかけた甲斐はあったわ」
「……冗談よ」
「……」
「なんだあなた、そんな顔もできるんじゃない」
20:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:18:00.40
ID:5bEGkDhgO
「……」
「何を笑ってるの? 化け物共」
「私がもう何もできないと思っているの?」
「私は霧島、金剛型四番艦」
「たとえ大破していようが関係ない」
「戦艦との殴り合いは、望むところよ」
「私をなめるな」
「霧島をなめるな」
「金剛型をなめるな」
「……」
「ああ、懐かしいわねその目」
「昔はよくそんな目で見られていたわ」
「じゃあね化け物。あの世であったらもう一発殴ってやるから」
21:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:18:32.91
ID:5bEGkDhgO
「うわーどんびきだわ」
「大破してるのに敵陣に単機特攻なんて」
「あの人はもうちょっとクールだと思っていたのに」
「なんていってる場合じゃないか」
「後、敵は戦艦級一体だけだけど……」
「問題はこっちの戦力も少ないってことだよね」
「おまけにあっちは無傷だし」
「これなんて無理ゲー?」
「ん? なにあれ撤退準備してる?」
「ああそっか。もうすぐ日が落ちる」
「夜戦になったらさすがに分が悪いってことか」
「……でも」
「逃げられないよ、漣はしつこいから」
22:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:19:07.74
ID:5bEGkDhgO
「あーあ、何をやってるのかね。あのお子ちゃまは」
「探照灯なんて使ってさ、格好の餌食じゃん」
「もうあんなにぼろぼろなのにさ」
「なんでそこまでするかね」
「水雷魂ってやつ? やだやだ」
「だから駆逐艦は嫌いなんだよ」
「死にたがりの馬鹿野郎め」
「ほら敵が砲撃体制にはいってんじゃん」
「いくらなんでも避けられないね」
「……」
「ああ、今回の博打はあたしの勝ちか」
23:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:19:37.74
ID:5bEGkDhgO
「はあ……」
「総司令からは『作戦ご苦労、各々の鎮守府に帰り、次の指令を待て』ってだけかー」
「まあ知ってたけど薄情だよねー」
「でも無事帰ってきたのが私たちだけだって知って、ちょっと顔が引きつってたのは気分よかったね。メシウマ!」
「ざまあみろー。貴様の宇宙に私が亀裂を刻んでやったぜ」
「はっはっはっはー……」
「あーあ、帰ったらまたくそご主人様の相手かー」
「やだなーもう」
「……今日はカレーうどんでも作ってもらお」
「じゃあまた次の作戦で会おう」
「あばよセリヌンティウス!」
24:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:20:11.79
ID:5bEGkDhgO
「はーつかれたつかれた」
「おつかれー」
「何?駆逐艦」
「ああ、あのときの魚雷?」
「別に感謝されるほどじゃないよ」
「あんたが足止めしてくれなきゃ外してただろうし」
「むしろ囮になってくれてありがとうって感じ」
「何ニヤニヤしてんのさ」
「うざいなあもう」
「まあいいや、じゃあね暁」
「帰りに羊羹でももらってかえろーっと」
25:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/09(水) 22:20:51.36
ID:5bEGkDhgO
「司令官まだおきてる?」
「もうなんて顔してるのよ」
「信じてたって?」
「嘘ばっかり。目が真っ赤よ」
「ふふふ、わかったわよ。私の司令官はとっても頼もしくてやさしいからね」
「うん。大丈夫だから」
「暁はここにいるよ」
「あはは。なにそれプロポーズ?」
「……ああそっか。でもそういうストレートな言葉のほうが、私は好きよ?」
「うん」
「ただいま、司令官」
終わり
26:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/10(木) 07:49:52.81 ID:X/pUEHnDO
……漂う末期戦の雰囲気
27:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/11/10(木) 08:27:51.87 ID:03b0MM0/O
むしろ初期の頃な感じ
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1478696889/
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