1:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:06:41.85
ID:ISsnnioDo
今日は加賀さんの休みの日である
加賀さんは何をしようか、と思案を巡らせていた
加賀「……龍驤」
基本的にこの加賀さんというのは赤城さんの次には龍驤さんである
別に友達が少ないわけではない(本人談)
今日は赤城さんは出撃しているので龍驤さんに会いに行く
2:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:07:10.36
ID:ISsnnioDo
加賀さんは龍驤さんの部屋の前にいた
加賀「……」
小さく深呼吸をして恐る恐るノックをする
加賀さんが自分から龍驤さんを訪ねるのは初めてであった
龍驤「はーい。お、加賀か珍しい。ははーんさては赤城が出撃やから暇なんやな?」
加賀「……」
龍驤「ええってええって、入って映画でも観よう」
龍驤さんはイギリスのスパイ映画を流し始めた
龍驤「はー、いつ見ても緊張感の無いBGMやね。まあそこがいいんだけどさ」
3:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:07:37.88
ID:ISsnnioDo
しかし加賀さんは映画に全然集中できなかったのだ
それもそのはず
龍驤さんはポップコーンを食べていた
ただ食べるだけなら気にならないだろう
龍驤さんはすごい勢いで食べていたのだ
ヒョイパクヒョイパクとでも表現しようか
とかくすごかった
加賀さんはその様子が面白く
とても映画どころではなかったのであった
4:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:08:05.68
ID:ISsnnioDo
ただ時間が経つにつれ加賀さんもだんだん腹が立ってくる
もういい加減にして欲しいと思った
加賀(頭にきました)
龍驤「ん?なんや加賀、用事でも思い出したって顔やね」
加賀「そんな事は……」
龍驤「ええってええって、行ってきな」
加賀「……ごめんなさい」
加賀さんはそそくさと退散した
龍驤「……やっぱ『ムーンレイカー』の方がよかったんかな」
5:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:08:33.94
ID:ISsnnioDo
加賀さんは考えていた
普段加賀さんが廊下を歩いていると
艦娘たちは丁寧な挨拶をしてくる
一方赤城さんや龍驤さんにはくだけた挨拶や立ち話
というより自分以外にはみんなフレンドリーなのだ
加賀さんはなんとなく悲しくなった
そこで名案を思いつく
加賀(鎮守府のみんなをアッと驚かせてみれば、距離も縮まるかも)
早速、加賀さんは近所のスーパーへと向かう
もちろんいつものママチャリで
それを見かけた鳳翔さん曰く
かつてないほどニヤけていたらしい
6:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:09:16.20
ID:ISsnnioDo
秋月さんも本日は休みであった
特に行く宛もなく鎮守府を散歩していると前から加賀さんが歩いてくる
花柄のエコバッグを抱えていた
秋月「こんにちは、加賀さん」
加賀「これ」
秋月「えっ?」
加賀さんはエコバッグをあさる
加賀「アメリカの牛缶」
そう言って加賀さんは秋月さんにSPAMを手渡す
7:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:09:50.33
ID:ISsnnioDo
秋月「わあ、初めて見る……」
加賀「これで丈夫な子供を産んで」
下ネタであった
秋月「やだぁ加賀さんたら、そんな相手いませんよ。でもありがとうございます」
秋月さんは照れながら答える
通じたか通じなかったかは微妙なラインだった
だが加賀さんは通じたと判断したようだ
加賀(やりました)
さあ次に行こう、と加賀さんは足早に去って行った
秋月「あのう、どうして子供って……行っちゃった」
8:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:10:25.35
ID:ISsnnioDo
加賀さんが食堂に行くと熊野さんと暁さんがお茶を飲んでいた
熊野「あら、加賀さん。ごきげんよう」
暁「ごきげんようです」
熊野「あら、可愛らしいバッグですわね」
加賀「え」
このエコバッグは加賀さんが自分で選んだ物である
加賀さんはちょっぴり頬を染めた
そしてエコバッグをあさり始める
加賀「これ」
熊野「あら……」
暁「これって……午後ティーじゃないの!」
9:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:10:53.39
ID:ISsnnioDo
加賀「飲んで」
熊野「え、ええ……後でいただきますわ」
加賀「今」
熊野「今!?」
さすがの熊野さんも声を荒くして驚いた
熊野「構いませんけども……」
熊野さんはカップに入っていた紅茶を飲み干し
代わりに午後の紅茶を注ぎ込む
暁さんも同じよう飲み干した
そして熊野さんが暁さんのカップに午後の紅茶を注ぐ
10:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:11:33.05
ID:ISsnnioDo
熊野「いただきます」
暁「いただきまーす」
加賀「うん」
加賀さんは二人の様子をジッと見つめていた
加賀「美味しい?」
熊野「え、ええ……」
暁「まあ、午後ティーね……」
加賀「そうね……」
11:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:11:59.31
ID:ISsnnioDo
加賀さんは心の中でガッツポーズをとる
加賀(やりました)
そうして新たなターゲットの元へと向かって行った
熊野「……なんだったのかしら」
暁「でも、午後ティーも美味しい」
熊野「あら、それじゃあレディーにはまだ程遠いですわね」
暁「えー!どうしてー!」
12:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:12:26.95
ID:ISsnnioDo
加賀さんが埠頭へと向かうと三人の駆逐艦たちがいた
なにやら女性誌を広げて騒いでる様子である
初霜「やっぱり、爽やかな方が好きかも」
白雪「こっちの渋い人も捨てがたいけど」
長月「いや、見た目はともかく男は中身だ」
初霜「でも見た目が良くないと中身なんか見たくならないし……」
白雪「野菜だって、見た目が悪いのは買わないでしょ?」
長月「そんな悲しいこと言うなよ……」
加賀「……」
13:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:12:54.65
ID:ISsnnioDo
初霜「うわっ!!加賀さん!?」
白雪「あ、こんにちは加賀さん」
長月「どうも」
加賀さんは一言呟く
加賀「石原莞爾」
初霜「……えっ」
白雪「どうして、石原莞爾……?」
加賀「石原莞爾」
長月「……まさか、石原莞爾が好きなタイプって言うんじゃないだろうな」
加賀「そう」
14:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:13:22.81
ID:ISsnnioDo
もちろん加賀さんなりの冗談である
本当に好みなタイプな訳ではない
多分
初霜「そう、ですか……石原莞爾……」
白雪「石原莞爾って……」
長月「うーん、石原莞爾かァ……」
三人の駆逐艦たちはウンウンと唸り始めた
加賀(やりました)
加賀さんはまたもやしてやったとばかりにルンルン気分で歩き出した
初霜「石原莞爾……」
白雪「渋い系、かな……」
長月「爽やかさも無くはないが……」
15:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:13:53.25
ID:ISsnnioDo
加賀さんは今度は入渠ドックへと向かった
脱衣所に入ると下着姿で筋トレしている鬼怒さんがいた
ある事情があって加賀さんは鬼怒さんが苦手である
しかし加賀さんは立ち向かう
鬼怒「あ、加賀さん!お風呂入るの?」
加賀「……」
加賀さんは無言でエコバッグからある物を取り出した
加賀「これ」
16:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:14:22.67
ID:ISsnnioDo
鬼怒「ええっと……黄色と黒のしましまだね、このパンツ」
加賀「鬼怒のパンツ」
鬼怒「……」
加賀「鬼怒のパンツはいいパンツ」
鬼怒「……」
加賀「……ごめんなさい」
加賀さんは土下座をした
鬼怒「いや、怒ってはないんだけど……加賀さんってそんな冗談を言うんだね」
17:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:14:59.03
ID:ISsnnioDo
鬼怒さんはなんとなく加賀さんが可愛く思えた
加賀「そう、今後はそういうお茶目な部分もプッシュしていこうかなって思ってます、はい」
なぜか流暢に喋り出す加賀さん
鬼怒「ふふ、いいと思う」
鬼怒さんは加賀さんの意外な面を見れて嬉しかった
加賀(やりました!!)
加賀さんもまた嬉しかった
そしてウキウキとした様子で脱衣所を立ち去る
鬼怒「……はっ!違う、加賀さんとはそんな関係じゃ……もう!筋トレの続きやろっと!」
阿武隈「外でやってよお姉ちゃん汗臭いの」
18:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:15:26.81
ID:ISsnnioDo
加賀さんは工廠に来ていた
伊19「あ!加賀さんなの!」
伊58「こんにちはー!」
二人は何かを期待している様子である
どうやら今日の加賀さんは面白い、と伝わっているようだ
加賀さんはエコバッグをあさる
加賀「これ」
伊19「人形なの?」
伊58「何の人形?」
加賀「カトリーヌちゃんとオーイちゃん」
19:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:16:02.30
ID:ISsnnioDo
伊19「名前、聞いたことあるよ……?」
加賀「訓練ごっこして遊ぶ」
伊58「訓練ごっこ……」
二人は顔を見合わせ肩をすくめた
なんか思ってたのと違っていたのだ
加賀(やりました)
しかし加賀さんは目的を果たしたので次へと向かう
伊19「確かにヘンなの」
伊58「でもたまには、いいかもね」
20:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:16:29.93
ID:ISsnnioDo
次は執務室へと向かった
今日は秘書艦の長門さんしかいない
加賀さんはあの堅物に面食らわせてやろうと思った
長門「加賀か、何か用か?」
加賀「これ」
加賀さんはエコバッグの中身の最後の一つを取り出す
それはTシャツであった
長門「なんだ、これ」
21:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:17:51.71
ID:ISsnnioDo
加賀「着て」
長門「えぇ?ああ、構わんが……」
加賀「スカートも脱いで」
長門「な、なぜ」
加賀「いいから」
長門さんは不思議に思いつつも自身の服を脱ぎ手渡されたTシャツを着た
長門「ちょっと大きいな……なんだこの柄は」
_人人人人人人_
> 提督LOVE <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
22:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:18:38.80
ID:ISsnnioDo
長門「ちょっと待て!なんのつもりだ加賀!」
加賀「やりました」
加賀さんは長門さんの服をサッとエコバッグに入れた
長門「待て!服を返せ!」
加賀「追いつけたら。でも職務放棄は重罪。執務室から出られるかしら」
長門「ぐぅっ!だが!これは!」
長門さんはシャツを引っ張って下着を隠している
なので追いかけようにも、といったところである
ついに加賀さんは執務室を飛び出す
長門「だあああああ!!待ってくれ加賀ああああぁぁぁぁぁぁ…………はずかしぃょぅ……」
23:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:19:33.94
ID:ISsnnioDo
加賀さんがカートゥーンみたいな動きで廊下を練り歩いていると江風さんがいた
江風「え、加賀さん……」
加賀「こうふう」
江風「えっ」
加賀「えふう」
江風「……あ!かわかぜだよ!」
しかし加賀さんは全く聞いていない
24:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:20:10.65
ID:ISsnnioDo
加賀「こうかぜ」
江風「かわかぜ」
加賀「シエ風」
リベッチオ「シエスタ!」
江風「えっ」
加賀「シエスタ」
リベッチオ「シエスタ!」
江風「かわかぜ!」
加賀さんとリベッチオさんはハイタッチしたあとスキップで駆けて行った
江風「かわかぜだもん……ぐすん」
25:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:20:54.18
ID:ISsnnioDo
リベッチオさんと別れた加賀さんはエコバッグをブンブン振り回しながら廊下を歩いていた
するとそこへ陸奥さんが近付いてくる
陸奥「長門から電話があったのだけど」
加賀「やりました」
陸奥「よねー。いい加減ヤキモキしてたところだし」
加賀「あの二人にはちょうどいい薬ね」
陸奥「そうね、ありがと。進展があったら長門から聞いとくわ」
加賀「さすがに気分が高揚します」
長門さんの服を手渡し陸奥さんと別れる
加賀さんは部屋に戻ることにした
26:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:21:20.07
ID:ISsnnioDo
今日のいたずらは大成功だった、と加賀さんは思った
畳に寝て意味もなくゴロゴロ転がっているとノックの音が鳴る
加賀「どうぞ」
扉を開けると龍驤さんだった
龍驤「加賀、すまんなー、ウチ自分勝手やったかも」
加賀「……」
龍驤「だからほら、今度はこれ見よ。『ムーンレイカー』」
加賀「ポップコーンは?」
27:
◆TLyYpvBiuw 2015/08/19(水) 18:21:54.55
ID:ISsnnioDo
龍驤「……あ!ポップコーンやったんか!すまん!もう全部食べてもうたー!」
加賀「そう……それなら見ましょう」
龍驤「え?それならって……まあええわ、見よ見よ!」
加賀さんにとってこの休日は
とっても充実した1日となったようだ
翌日に提督さんと長門さんがなぜか同じ部屋から出てきたとか
秋月さんが毎日のようにSPAMを出すのでキレた照月さんが秋月さんの前歯をへし折ったりとか
鎮守府にちょっとした変化が訪れたが
それはまた別のお話
おしまい
35:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/19(水) 20:22:33.68 ID:0pJ7nPQn0
乙
なんか思っていたのと違っていたのとカートゥーンで腹抱えて笑った
39:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/19(水) 21:55:37.92 ID:Dcy4X3PAO
こんなん卑怯や
声出して笑ったわww
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