1:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 22:34:25.93
ID:zKRmMd2U0
ザザァーーーーーーー・・・・・・ パシャ チャプ
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「・・・良い風ね」
提督「あぁ・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 22:38:02.27
ID:zKRmMd2U0
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・この海の向こうには」
天津風「・・・?」
提督「一体、何があるんだろうな」
天津風「・・・陸があると思うわ」
提督「はは・・・まぁ、そうなんだけどな」
提督「俺はもっと、何か別のものがあるような気がするんだ」
天津風「なにそれ」
提督「俺達が知らない、何かがな・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 22:42:12.40
ID:zKRmMd2U0
提督「・・・こうやって風に当たっていると」
提督「頭の中に、真っ先に天津風が思い浮かんでくるんだ」
天津風「・・・えぇ」
提督「お前がここに来て、少し経ってから」
提督「俺に一緒に風に当たらないか? なんて誘われたときは」
提督「本当にびっくりしたよ」
天津風「そう・・・」
提督「あぁ、まさかそんなことを言われるとは思っていなかったからさ」
提督「でも、嬉しかったよ」
天津風「・・・・・・」
提督「今まで風を楽しむことなんてなかったからね」
提督「実際に風に当たってみたら、随分と良いものだった」
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 22:50:21.80
ID:zKRmMd2U0
提督「この綺麗な海から漂う、潮の香りが心地良かった」
提督「あぁ・・・なんか、昔を思い出すな・・・」
天津風「そうね・・・」
提督「あぁ・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 22:52:51.49
ID:zKRmMd2U0
ザザァーーーーーーー・・・・・・
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
提督「・・・昔のことと言えば」
提督「やっぱり天津風との思い出が一番、心に残っているな」
天津風「・・・・・・」
提督「長い付き合いだったからな、俺達」
天津風「そう・・・ね・・・」
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 22:57:11.35
ID:zKRmMd2U0
提督「最初は何処かツンツンしている印象だった」
提督「だが、面倒見が良くてお姉さん気質な娘だとわかった」
提督「それから姉妹艦も徐々に集まってきて」
提督「姉妹みんな揃ったときは、本当に嬉しそうだったな」
天津風「・・・そうね、うん十年ぶりの再会だったもの」
天津風「とても・・・とても嬉しかったわ」
提督「ふふ・・・良かったな」
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:01:10.34
ID:zKRmMd2U0
提督「・・・島風とは最近、どうなんだ?」
天津風「特に変わりないわ」
天津風「いつもと同じように、あの娘はあたしにかけっこを誘ってくるわ」
提督「そうか・・・島風は元気だな」
天津風「えぇ・・・とても元気な、あたしの親友よ・・・」
提督「親友・・・そうか・・・」
提督「良いことだ、大切な仲間ができるというのは」
天津風「島風だけではなくて、みんな仲間よ」
天津風「もちろん、あなたもね・・・」
提督「・・・・・・」
提督「・・・そう言ってもらえると、嬉しいよ」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:06:26.51
ID:zKRmMd2U0
提督「・・・お前はさ」
天津風「?」
提督「俺の・・・秘書艦になって、随分経つよな」
天津風「えぇ・・・」
提督「お前が俺に初めて料理を作ってくれたあの日のこと」
提督「今でも鮮明に覚えているよ」
天津風「・・・・・・」
提督「少し照れくさそうに、目線をそらしながら」
提督「美味しいか? と聞いてきたな」
天津風「て、照れてなんていなかったわ」
提督「そうか? でもまぁ・・・」
提督「とても美味しかったよ、そして何よりも」
提督「温かかった・・・」
提督「天津風の・・・俺に対する気持ちがな・・・」
天津風「・・・・・・」
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:10:08.18
ID:zKRmMd2U0
提督「それから俺は、すっかりお前に夢中になってしまってな」
提督「あんな・・・恥ずかしいプロポーズをしてしまったが」
提督「お前はそんな俺も受け入れてくれたな・・・」
天津風「そう・・・だったわね・・・」
天津風「あなたはあなたのままで良いの」
天津風「何も変える必要なんてないの」
天津風「そんなあなたが好きだったから・・・」
提督「ありがとう・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
12:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:18:24.38
ID:zKRmMd2U0
ザザァーーーーーーー・・・・・・
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・なぁ、天津風」
天津風「・・・なに?」
提督「お前は・・・俺とケッコンしてさ」
提督「その・・・幸せだったか?」
提督「何か・・・不自由はなかったか?」
天津風「・・・・・・」
天津風「・・・あたしは」
天津風「幸せだったわ」
天津風「あなたは、あたしの全てを受け入れてくれたわ」
天津風「良いところも、悪いところも」
天津風「あなたと会えて、ケッコンして」
天津風「本当に良かったと思っているわ」
提督「そ、そう言われるとなんか・・・恥ずかしいな・・・」
天津風「恥ずかしがる必要はないわ」
天津風「そう・・・何も・・・」
提督「・・・あぁ」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
13:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:21:12.00
ID:zKRmMd2U0
提督「・・・・・・」
天津風「・・・・・・」
天津風「」チラ
提督「・・・・・・」
天津風「(・・・・・・)」
天津風「(この広い海の向こうに、あなたは行ってしまうのね)」
天津風「(もう・・・忘れ物はないわよね?)」
天津風「(穏やかに続いていく日々には、限りがあるものね・・・)」
14:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:22:40.60
ID:zKRmMd2U0
天津風「・・・・・・」
ザザァーーーーーーーー・・・・・・ パシャ
天津風「(夕焼け空が海を紅く染めている)」
天津風「(夕陽が遠くで絶え間なく佇んでいる)」
天津風「(海の底は、暗くて見えなかった)」
15:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:24:26.44
ID:zKRmMd2U0
天津風「(波止場の硬いアスファルトには、あたしとあなたの2つの影が)」
天津風「(寂しそうに映っている)」
天津風「(今こうしているうちにも、時間は着々と進んでいる)」
天津風「(不思議と時計の音が聞こえてくるような気がする)」
天津風「(あたしとあなたの別れの時間が近づいている)」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
16:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:26:57.31
ID:zKRmMd2U0
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「(・・・ふと、あなたの横顔を見つめたけれど)」
天津風「(あなたは今、何を思い、何を見つめて、そして何を感じているのかしら?)」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「(・・・あたし達は、明日になったらどうなるのかしら?)」
天津風「(あなたは別の世界に戻って、あたしは・・・)」
天津風「(・・・?)」
天津風「(あたしは・・・)」
天津風「(あたしは・・・どうなるのかしら・・・?)」
天津風「(・・・・・・)」
17:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:28:12.92
ID:zKRmMd2U0
天津風「(・・・もしあたしに、この先が)」
天津風「(明日がないのなら)」
天津風「(あなたとともに、どこまでも一緒についていきたい)」
天津風「(そう・・・どこまでも・・・)」
天津風「・・・・・・」
提督「・・・・・・」
18:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:30:56.83
ID:zKRmMd2U0
ザザァーーーーーーーー・・・・・・
天津風「(・・・あなたの言う通り)」
天津風「(どうしても、今までのことを思い出してしまうわ)」
天津風「(あなたと出会ってからの喜び、愛する心、そしてあなたの笑顔・・・)」
天津風「(全て大切な思い出)」
天津風「(以前からあなたは、この場所が好きだと言っていたわね)」
天津風「(天津風と一緒に、この綺麗な光景と風を楽しむのが好きって)」
天津風「(そう言いながら、静かに眺めていたわ)」
天津風「(そう・・・あたしもこの場所は好き)」
天津風「(でも・・・・・・)」
天津風「(もう・・・これが最期なのね・・・)」
天津風「・・・・・・」
19:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:34:12.10
ID:zKRmMd2U0
提督「・・・・・・」
提督「・・・なぁ、天津k」
提督「!」
提督「天津風・・・・・・」
天津風「・・・?」
天津風「どうしたの? あなた・・・・・・」
天津風「!」
天津風「え・・・どうして・・・?」
天津風「ゴ、ゴメンなさい・・・気にしないで・・・」
天津風「ちょっと目にゴミが入っただけだから・・・」グシグシ
提督「・・・・・・」
20:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:37:02.47
ID:zKRmMd2U0
天津風「(どうして・・・?)」
天津風「(あたし・・・どうして泣いてなんか・・・)」
天津風「(イヤ・・・止まってよ・・・)」
天津風「(こんなの・・・涙なんか流したら・・・)」
天津風「(もう・・・あなたと二度と会えないみたいじゃない・・・!)」
天津風「(う・・・うぅ・・・!)」
天津風「」ポロポロ
提督「・・・・・・」
提督「天津風・・・」ギュ
天津風「!」
21:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:40:55.87
ID:zKRmMd2U0
提督「俺だって・・・本当はお前と別れたくない」
提督「いつまでもここにいて、ずっと一緒に過ごしたい」
天津風「うぅ・・・!」ポロポロ
提督「でもな、もう・・・来てしまったんだ・・・」
提督「明日で・・・・・・」
22:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:42:24.55
ID:zKRmMd2U0
提督「 サ ー ビ ス が ・ ・ ・ 終 了 す る 日 な ん だ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 」
27:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:52:00.07
ID:zKRmMd2U0
提督「いつかはこの日が来る」
提督「そう・・・わかってはいたんだ・・・」
提督「でも、まだまだ先のことだろうと思っていて・・・」
提督「・・・・・・」
天津風「イヤ・・・イヤ・・・!」ポロポロ
提督「天津風・・・」
28:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:58:36.15
ID:zKRmMd2U0
提督「この先、俺は別の世界・・・現世に帰ることになる」
提督「お前達艦娘や妖精さんは・・・」
提督「・・・すまん、俺にはわからない・・・」
提督「最期に、俺にとって誇らしいと思うのは」
提督「お前達のような、気持ちの優しい、芯の強い艦娘達と出会えたこと」
提督「そして、この世界を深海棲艦の手から救えたこと・・・」
提督「思い残すことはあるけれど、仕方がないんだ・・・」
天津風「あなた・・・あなた・・・!」ポロポロ
提督「天津風、泣くんじゃない」ナデナデ
提督「その涙も、この悲しみも」
提督「全て、俺とお前がここにいた証になるんだ」
提督「お前と過ごした時間は、決して無駄ではなかったんだ・・・」
天津風「うぅ・・・っ!」グス
29:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/28(日) 00:03:27.01
ID:XSpe+RRg0
提督「天津風・・・愛している・・・」
天津風「あなた・・・」
天津風「・・・あたしもよ」
天津風「あたし達の愛は、永遠のものよ・・・」
提督「あぁ・・・」
天津風「またいつか・・・」
天津風「またいつか、会いましょう・・・」ニコ
提督「・・・・・・」
提督「・・・あぁ」
提督「また・・・いつか・・・な・・・」スッ
天津風「ん・・・・・・」
終わり
31:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/28(日) 00:15:29.69 ID:Gyo6eb4Ro
乙
天津風はこういう切ないのとか健気でいじらしいの合うな
23:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/27(土) 23:45:41.88 ID:FgsGxU0mo
やめてくれよ・・・
32:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/28(日) 00:25:15.91 ID:UkWZnAXgo
その後、別ゲーで新しい嫁をすぐ見つける提督であった
30:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/28(日) 00:08:35.55 ID:YSvav38qo
乙
いつか訪れると考えると切ないな
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