1:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:10:50.03 ID:
t1Czfzh+0
~ リング ~
ドカッ!
格闘家「おぶっ……!」ドサッ
レフェリー「…………」
レフェリー「ストップ!」バッ
カンカンカンカンカーン……!
ワァー……! ワァー……! ブゥー……! ブゥー……!
格闘家(ちくしょう……また負けた……)
格闘家(これでデビュー以来、9連敗……)
修羅の門 第弐門(10) (講談社コミックス月刊マガジン)
2:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:12:51.84 ID:YZHlh6Ey0
幼女強過ぎだろ
5:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:15:51.48 ID:ECZ9FmQT0
>>2
お前のせいで笑っちまった
3:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:14:35.34 ID:
t1Czfzh+0
~ 控え室 ~
格闘家「すみません、コーチ……」
格闘家「次は必ず──」
コーチ「…………」ハァ…
コーチ「お前さぁ……」
コーチ「努力を買って、デビューまでさせといてなんだけどさ」
コーチ「格闘家向いてねぇよ」
コーチ「悪いこたぁいわねえ。引退しな」
格闘家「!」
7:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:17:23.42 ID:
t1Czfzh+0
格闘家「たしかに……そうかもしれません」
格闘家「でも、せめて……一勝、一勝するまでは……!」
コーチ「一勝? 今の格闘界に、お前が勝てる相手なんているか?」
格闘家「!」
コーチ「たった一発のパンチすら当てられない奴が、いったいどうやって勝つんだ?」
コーチ「とうとう客からブーイングが出る始末だ」
コーチ「なんならサンドバッグを選手だってことにして、リングに上げるか?」
格闘家「そ、それは──」
コーチ「それにさ」
コーチ「お前があまりに不甲斐ないと、コーチである俺の評判まで下がるんだよ」
コーチ「これ、意味分かるよな?」
格闘家「は、はい……」
9:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:20:16.46 ID:
t1Czfzh+0
コーチ「次がラストチャンスだ」
コーチ「次の試合で勝てなきゃ、もう引退しろ」
コーチ「俺もこれ以上、見込みのない奴を面倒みきれん」
格闘家「コーチ……!」
コーチ「なぁに、お前もまだ若いんだ。他に色んな道があるだろ」
コーチ「俺もプロじゃなく、ただの練習生としてのお前になら付き合ってやるよ」
コーチ「じゃあな」バタンッ
格闘家「…………」
13:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:23:42.76 ID:
t1Czfzh+0
格闘家(コーチのいうとおりだ……)
格闘家(強くなりたい一心で、プロを目指して必死に練習して)
格闘家(コーチも半ばお情けで、俺をプロデビューさせてくれたというのに)
格闘家(まともにパンチを当てることすらできず)
格闘家(あれよあれよと9連敗……)
格闘家(素人だってもうちょっとやれるだろう)
格闘家(こんなもん、恩を仇で返すってレベルじゃない)
格闘家(むしろ9戦もやらせてくれたことに感謝すべきだ)
格闘家「…………」
格闘家(試合があった日は必ず行くって決めてたし、今日も報告に行くか……)
15:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:25:04.51 ID:fHfbk05IO
17:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:26:49.45 ID:
t1Czfzh+0
~ 墓地 ~
格闘家(父さん……)
格闘家(母さん……)
格闘家(姉さん……)
格闘家(ゴメン……今日も負けちゃったよ)
格闘家(パンチをかわされて、カウンター喰らって、KO負け……)
格闘家(ホント情けないよな、俺)
格闘家(だけど、もう心配しなくていいよ)
格闘家(多分……次が最後の試合になるから……)
22:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:29:23.99 ID:
t1Czfzh+0
~ 河原 ~
格闘家「シッ、シッ、シュッ!」シュッシュッシュッ
格闘家「シイッ!」ブオンッ
格闘家「ハァ……ハァ……ハァ……」
格闘家(俺はこれだけ練習してる! パンチだってキックだって……!)
格闘家(俺は弱くない! ──なのに、なんで試合じゃ攻撃が当たらないんだ!)
格闘家(なんで勝てないんだ!)
幼女「おじちゃん、よわーい!」
格闘家「なんだと!?」
25:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:33:27.18 ID:
t1Czfzh+0
格闘家(──って、子供!?)
格闘家(子供相手にムキになるなんて……アホか、俺は)
格闘家「ハハハ、ごめんね。怒鳴ったりして、悪かったね」
幼女「おじちゃん、よわすぎ!」
幼女「よわい、よわい、よわい、よわい、よわい!」
幼女「なんでそんなによわいの?」
幼女「よわいのぉ? よわすぎぃ!」
格闘家「…………」イラッ
28:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:36:20.15 ID:
t1Czfzh+0
格闘家「俺は……弱くなんかない!」
格闘家「ただちょっと──本番に弱いだけなんだ!」
幼女「それ、よわいってことじゃない」
格闘家「うぐっ……」ギクッ
幼女「いっとくけど、おじちゃんってほんとよわいよ」
幼女「あたしより、よわいよ」
幼女「たぶん、ケンカしたら、あたしがかつね」
格闘家「な、なんだと……」
30:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:39:22.75 ID:
t1Czfzh+0
格闘家「いくら俺だって、一般人には負けないよ。これでもプロ格闘家なんだ」
格闘家「ましてや、君みたいな女の子に──」
幼女「まけるよ」
幼女「だっておじちゃん、よわいんだもん。よわすぎなんだもん」
幼女「なんなら、ケンカする?」
格闘家「いいだろう……」
格闘家(周囲にだれもいないよな……)キョロキョロ
格闘家(一発小突いて、交番に迷子ですって突き出すか)
31:
忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:15) :2013/07/28(日) 01:41:33.52 ID:XiU06eoA0
幼女にけちょんけちょんにされて自分のやってきたことを全否定されたい
32:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:42:18.58 ID:
t1Czfzh+0
格闘家「そらっ!」ヒュッ
格闘家「えいっ!」ヒュッ
格闘家(あ、あれ? 当たらない。そんなバカな!)
格闘家「だっ!」ビュッ
格闘家「だりゃっ!」ビュッ
格闘家(な、なんで!?)
格闘家(もちろん力加減はしてるけど、本気で狙ってるってのに!)
幼女「だっらしない」
幼女「ほんとにおじちゃん、かくとーかなの?」
格闘家「…………」ムカッ
36:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:45:45.30 ID:
t1Czfzh+0
格闘家(こんな女の子にさえ──)ビュバッ
格闘家(なんで──)ブオンッ
格闘家(パンチやキックを──)シュバッ
格闘家(当てられないんだ!?)
格闘家「うおっ!?」ズルッ
ドサッ!
格闘家「あだだっ……!」
幼女「きゃはは、おじちゃんださぁ~い!」
39:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:47:57.79 ID:
t1Czfzh+0
幼女「あだだ、だって。だらしな~い」
幼女「あっ、そろそろかえらなきゃ」
幼女「じゃね~!」タタタッ
格闘家(本当にだらしない……)
格闘家(女の子相手に本気になり、攻撃を当てられず、ずっこける……)
格闘家(こんな格闘家、世界のどこを探したっているわけない)
格闘家(やっぱり引退すべきなのかなぁ……)
43:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:51:34.69 ID:
t1Czfzh+0
~ ジム ~
友人「よう、なに落ち込んでんだ?」
格闘家(女の子に負けた、なんていえるわけがないよな……)
格闘家(勝った負けた以前に、幼い女の子とケンカしたって事実がすでにヤバイ)
友人「いつまでもクヨクヨすんなって!」
友人「次勝てばいいだけのハナシだろ?」
友人「俺も今度試合あるからさ、気晴らしにスパーでもやろうぜスパー」
格闘家「……ああ」
46:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:54:15.81 ID:
t1Czfzh+0
バスッ! ドカッ! ドッ!
友人「ぐっ……やるな!」
格闘家(そう……)
格闘家(もちろんスパーだから、お互い本気じゃないとはいえ)
格闘家(友人だってかなり強いのに、俺もまずまず戦えてる……)
格闘家(なのに、なんで試合じゃ全然攻撃を当てられないんだ?)
格闘家(やっぱり俺、本番に弱いのか……?)
友人「フゥ……フゥ……」
格闘家「ハァ……ハァ……」
コーチ「そこまで!」
48:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:57:41.77 ID:
t1Czfzh+0
~ 河原 ~
幼女「こんにちは~おじちゃん」
格闘家「また君か」
格闘家「もうケンカはしないよ。いくら罵られてもね」
幼女「あっそ」
幼女「おじちゃん、よわい、よわい、よわすぎ!」
幼女「なんでそんなよわいの? どうしたらそんなによわくなれるの?」
幼女「よわよわよわよわよわよわぁ~~~~~い」
格闘家「…………」ピクピクッ
格闘家「い、いい加減にしろ!」
49:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 01:59:55.46 ID:
t1Czfzh+0
幼女「だったらさ」
幼女「あたしのこと、いっぱつぐらいひっぱたいてみなさいよ」
格闘家(なんてイヤな女の子なんだろうか……!)
格闘家(なんで俺はたかが女の子に、大人気なくイラついてるんだろうか……!)
格闘家「今度こそ、やってやる!」
幼女「むだだってば!」
格闘家「どりゃっ」シュッ
52:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:05:20.58 ID:
t1Czfzh+0
シュッ! ヒュッ! シュッ!
格闘家「ハァ……ハァ……くそっ!」
幼女「あたらないね~、よわいよわい」
格闘家(──しまった、夢中になりすぎた)チラッ
格闘家(あそこに通行人がいるじゃんか! ヤバイ!)
格闘家(ってあれ? 俺たちをチラッと見ただけで、どっかに行っちまったぞ)
格闘家(通報しにいくって雰囲気でもない)
格闘家(ああ……そうか)
格闘家(俺は大人気なく、この女の子を本気でひっぱたこうとしてるのに)
格闘家(通行人からすると──)
格闘家(俺とこの女の子がじゃれ合ってるようにしか見えないってことか……)
格闘家(助かったけど、ますます情けねえ……)
54:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:08:21.14 ID:
t1Czfzh+0
~ ジム ~
コーチ「次の試合が決まった」
コーチ「一ヶ月後、相手は──金髪だ」
コーチ「金髪はバリバリのハードパンチャーだ。俺もオーナーも断ったんだが──」
コーチ「向こうのジムの方が圧倒的にデカイし、断りきれなかった……」
コーチ「戦績は9勝0敗7KO……お前と正反対だな」
格闘家「…………」
コーチ「本当はもう少し弱い相手とやらせたかったってのが本音だが」
コーチ「この試合に負けたら……分かってんな」
格闘家「はい、分かってます」
55:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:11:29.96 ID:
t1Czfzh+0
~ 河原 ~
幼女「ふうん、しあい?」
格闘家「ああ、十中八九最後の試合になる」
格闘家「この試合で負けたら、俺は引退だ」
格闘家「でも、いいんだ。一応夢だったプロデビューはお情けでだけど叶ったし」
格闘家「これ以上、家族を心配させたくないしね」
幼女「かぞく?」
格闘家「ああ、天国にいる家族さ」
58:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:14:17.94 ID:
t1Czfzh+0
格闘家「俺には家族がいたんだ。四人家族になるはずだった」
格闘家「三人とも交通事故で亡くなっちゃったけどね」
格闘家「そして、母さんの腹の中にいた、産まれる寸前だった俺だけが生き延びた……」
格闘家「三人が必死に母さんの腹を守ってたおかげらしい」
格闘家「だから俺、死んだ三人のためにも強くなりたくて──」
格闘家「格闘家を目指したんだけど……このザマさ」
幼女「ふぅ~ん」
60:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:16:29.60 ID:
t1Czfzh+0
幼女「だったら、なおさらよわくちゃだめじゃん!」
幼女「せめて、あたしをなぐれるようにならなきゃ!」
幼女「ほらほら、よわいよわぁ~い」
格闘家「よぉーし、今日こそひっぱたいてみせる!」
格闘家「いくぞ!」
幼女「ぜったい、むりむり~! おじちゃん、よわいんだもぉ~ん!」トテテッ
63:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:19:57.18 ID:
t1Czfzh+0
~ ジム ~
格闘家「うおおおおっ!」
バスッ! バスッ! バスッ! バスッ!
友人「気合入ってんな。サンドバッグに同情するぜ」
格闘家「最後の試合になるかもしれないし、悔いは残したくないからな……」
友人「金髪ってたしか、すげーチャラチャラしてる、いけ好かない奴だろ?」
友人「絶対ブチのめせよ!」
格闘家「ああ、分かってる!」
格闘家(せめて一発くらい……パンチを当ててみせる)
64:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:20:26.77 ID:AIaS94Tz0
ビスケみたいな幼女か
65:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:22:43.03 ID:
t1Czfzh+0
~ 河原 ~
幼女「よわい、よわい、よわぁ~い!」トテテッ
格闘家「待てっ!」タタタッ
格闘家(10歳にも満たないだろう女の子を追い回す、20代プロ格闘家……)
格闘家(こんなに犯罪的なシチュエーションも、なかなかないよな)
格闘家(でも、この子と遊んでると、なぁ~んか)
格闘家(張りつめた気持ちがいい感じに、ほぐれるんだよな……)
格闘家(もしかして俺って、隠れロリコンだったのかな……)
69:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:26:30.55 ID:
t1Czfzh+0
~ 自宅 ~
格闘家(いよいよ明日は試合か……)
格闘家(意外と気分は落ちついてるけど、体を動かしたい気分だ……)ウズウズ…
格闘家「シッ! シュシュッ!」シュシュシュッ
グラグラ……
パサッ……
格闘家「──ん?」
格闘家(これは……アルバムだ)
72:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:29:23.91 ID:
t1Czfzh+0
格闘家(そういや俺、死んだ家族の写真って、ほとんど見たことないんだよな……)
格闘家(なんか辛くなっちゃいそうで……避けてた)
格闘家(今まで避けてた家族の写真を見ることが、少しは自信につながるかもしれない)
格闘家(……見てみるか)ペラッ…
格闘家(これが父さんか。俺をちょっとヒョロくしたって感じだな)
格闘家(母さんは……優しそうな顔してるな。俺を産んでくれて、ありがとう)
格闘家(このちっこいのが、姉さん──)
格闘家「!?」
82:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:33:27.50 ID:
t1Czfzh+0
~ 河原 ~
幼女「やっほ~! よわいおじちゃん、きたきた! いよいよしあいだね!」
格闘家「…………」
幼女「どしたの? そんなこわいかおしてさ」
格闘家「あのさ──」
格闘家「俺、君の正体が分かっちゃったかもしれない」
幼女「!」
格闘家「君は──俺の姉さん……なんだろう?」
88:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:37:32.70 ID:
t1Czfzh+0
幼女「……あ~あ、ばれちゃったか」
幼女「あたしがここにいられるのは、ちょうどきょうまでだし」
幼女「はずかしいから、このままだまったままかえろうっておもったのに」
格闘家(今日まで……)
格闘家「姉さん。君……いやアンタは弱い俺が心配になって来てくれたんだろう?」
格闘家「アンタみたいな女の子を本気で追い回して、俺が通報すらされないのは」
格闘家「多分……アンタは俺にしか見えないからだ」
格闘家「俺がアンタみたいな女の子に、本気で腹を立てることができたのは──」
格闘家「本能的に……俺はアンタが姉さんだって気づいてたからだろう」
幼女「う~ん、なかなかだけど、70てんってとこかな」
90:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:40:21.34 ID:
t1Czfzh+0
幼女「まずね、あたしがここにきたのはね」
幼女「あんたと、きょーだいゲンカってのを、ちょっとやってみたかっただけ」
幼女「パパとママはあんたをうんで、じょーぶつしちゃったけど」
幼女「あたしだけは、みれんがあったのよね」
幼女「べつに、あんたのしんぱいなんかしてないわ」
格闘家「…………」
幼女「それとね、もうひとつ」
幼女「あんたは、よわくなんかないよ」
格闘家「!」
92:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:43:14.50 ID:WTviw42s0
ツンデレ幼女
93:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:43:25.45 ID:
t1Czfzh+0
幼女「あんたがあたしをなぐれなかったのはね」
幼女「あたしがよけてたってより、むしろあんたがよけてたのよ」
格闘家「俺が……避けてた!?」
幼女「そ」
幼女「あんた、どうもほんきになると、ひとをなぐれないみたいね」
格闘家(そうか……そういうことだったのか)
格闘家(俺は本気を出すって場面になると、相手を殴れない……)
格闘家(俺のパンチの方から、無意識に相手を避けちまう……)
格闘家(友人相手なら、友人は強いし、あくまで本気じゃないスパーリングだから)
格闘家(普通に戦うことができたんだ……)
96:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:46:23.10 ID:
t1Czfzh+0
幼女「だからさ」
幼女「さいごに、あたしをおもいっきりブンなぐってごらん!」
格闘家「ブン殴れっていわれても……」
幼女「だいじょーぶ! あたし、もうしんでるしさ」
幼女「おんなのこ、しかもねーさんをなぐれるようになれば」
幼女「だれだって、なぐれるようになるはずよ!」
格闘家「…………」ゴクッ…
格闘家「わ、分かった!」ザッ
98:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:49:26.53 ID:
t1Czfzh+0
格闘家「いくぞ……姉さん!」
幼女「どんときなさい!」
格闘家(本気で女の子を、しかも実の姉を、格闘家である俺が、ブン殴るッ!)
格闘家「うわぁぁぁっ!」
ブオンッ!
格闘家(すり抜けた……)
幼女「いいパンチだったよ」
幼女「やっぱ、あんたつよいよ!」
格闘家「俺が、強い……?」
格闘家「……ありがとう、姉さん」
103:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:52:40.37 ID:
t1Czfzh+0
幼女「それじゃ……きょーだいゲンカってのもやれたし」
幼女「そろそろあたしはいくよ」
幼女「もともと、きょうまでしかいられなかったしね」
格闘家「あっ……」
格闘家「ま、待ってくれ! 行かないでくれ! ──姉ちゃん!」
格闘家「もっと俺と遊ぼう、姉ちゃん!」
幼女「だいじょーぶ、あんたはつよいんだから」
幼女「あたしの、じまんのおとうとだよ」ニコッ
格闘家「姉ちゃん! 待ってくれ! せめて俺の試合を──」タッ
幼女「じゃあね……バイバイ」
スゥ……
格闘家「姉ちゃん……!」
格闘家「うっ……ぐぅぅ……っ! くっ……! ねえ、ちゃん……」
107:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:56:33.74 ID:
t1Czfzh+0
~ 控え室 ~
コーチ「さて、準備いいか?」
格闘家「……バッチリです」バスッ
友人「今日は俺もセコンドにつくぜ。なにか役に立てるかもしれねえし」
格闘家「ありがとう」
コーチ「よし、そろそろ入場すんぞ」
格闘家「……コーチ」
コーチ「ん?」
格闘家「これまで本当にありがとうございました」
格闘家「本来プロの域に達してない俺を、こうしてプロのリングに上げてくれて──」
格闘家「本当に感謝しています」
109:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:59:08.33 ID:LRpUzowkP
ベタだけど嫌いじゃない王道ってのはいつ読んでもいいもんだ
110:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 02:59:18.82 ID:
t1Czfzh+0
コーチ「お前、あまり俺を見くびるなよ」
コーチ「俺はお情けやら親心やらで」
コーチ「プロのレベルに達してない奴をデビューさせるほど、落ちちゃいねえよ」
コーチ「俺がお前をプロデビューさせたのは」
コーチ「お前はそのレベルに達してると判断したってだけだ」
格闘家「コーチ……」
コーチ「だから、今日負けたら引退させるってのも、脅しじゃなくマジだ」
格闘家「……分かってます」
友人「全部ぶつけてこい!」パシッ
格闘家「ああ!」
114:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:02:36.61 ID:
t1Czfzh+0
~ リング ~
ワァー……! ワァー……!
金髪「すんまちぇんね~、生け贄になってもらって」
格闘家「…………」
レフェリー「コラ、私語は──」
金髪「ウチの会長、ホープである俺に確実に記念すべき10連勝目を上げさせるために」
金髪「無理やりアンタみたいな9連敗中のカスと、試合組んでくれたんスわ」
金髪「ま、アンタみたいなゴミ、食ってもなんの足しにもならんけど」
金髪「1ラウンドとまではいわんけど、せめて1分くらいは頑張って下さいよ」
格闘家「…………」
119:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:04:24.32 ID:6uggB43I0
金髪うぜえw
120:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:04:32.01 ID:Cui6R1KO0
金髪が負けるのが目に見えすぎてて逆に応援したくなる
122:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:06:27.89 ID:
t1Czfzh+0
レフェリー「ファイッ!」バッ
カーンッ!
金髪(さぁ~て、こんなゴミさっさとカタしちまうか)ザッ…
金髪(インタビューでなにいうか、考える時間もねーな)
金髪「そらっ!」
ドスッ! ボスッ! ドズッ! ドボッ! ガッ!
格闘家「ぐ……っ!」
コーチ「手ぇ出せ!」
友人「動け、動け! 止まっちゃダメだ!」
格闘家(姉ちゃん……)
126:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:09:25.22 ID:
t1Czfzh+0
格闘家(俺、はじめて──他人を本気で殴るよ)
格闘家(だって俺、姉ちゃんだって本気で殴れたんだから)
格闘家(もう多分……だれだって殴れる!)キッ
金髪「あ?」
ボゴォッ!!!
133:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:13:27.33 ID:
t1Czfzh+0
カンカンカンカンカーン……!
『1ラウンド、59秒! ノックアウト! 勝者、格闘家ーっ!』
ワァー……! ワァー……! ワァー……! ワァー……!
友人「ハハッ、やりやがった……一発KOだぜぇ!」
コーチ「フン……ようやく開花しやがったか」ニッ
格闘家(姉ちゃん……ありがとう!)
<おわり>
142:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:30:26.20 ID:4joHnFJP0
問題は幼女でも見抜ける他人を本気で殴れないありがちな癖に気付かないコーチや友人と本人
143:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:32:34.66 ID:RFo+aDiX0
ただの幼女じゃなくおねぇちゃんの幼女だから見抜けたとそう考えるんだ
144:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:34:09.51 ID:y/yScplb0
久々の王道
147:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:55:32.32 ID:PQdyvcS2i
発つ>>1後を濁さず
141:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/28(日) 03:26:38.10 ID:zYrOiHBd0
乙
王道で面白かった
- 関連記事
-
Amazonの新着おすすめ
おすすめサイトの最新記事