男「東進講師ランキング戦?」

2013-07-11 (木) 18:01  オリジナルSS 芸能人   0コメント  
1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 22:51:40.56 ID:/z8e36zc0

厳しい試練を掻い潜り、俺はついに東進の講師となった。
だが本当の戦いは、ここからだったのだ――

男「東進講師ランキング戦? なんですかそれは」

長岡先生「一年に一度、この東進の全講師が雌雄を決する戦いだ。
ちょうど明日から始まるから、君も出ることになる」

男「そんな……いきなりなんて無理です! 勝てるわけないじゃないですか!」

長岡先生「男くん、いいかい。教師というのは、生徒の『できない』を『できる』に変えるのが仕事だ。
その君ができるわけない、なんて絶対に口にしてはいけない」

男「先生……!」

長岡先生「まず敵を知ること。すべてはそこからだ」

男「はい!」


eval.gifいつやるか? 今でしょ!





2:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 22:52:27.14 ID:JyP6m2AF0

数式は言葉です。計算ジャナイ



5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 22:59:50.13 ID:/z8e36zc0

長岡先生から渡された、今回のルールを見る。
一回戦はブロック戦。四人一組のブロックの中で総当たりをやり、上位一名が二回戦に進むことができる。

男「俺はFブロックか。えーと……!? 今井先生と安河内先生、名物講師が二人も!
そんな、各ブロックの力量は平等になるようにできているんじゃなかったのか! 
いや、新任の僕が平均値を下げてるから、その分名物講師が二人も入れるのだろうか」

                    ――『できない』を『できる』に変える

    ――まず敵を知ること

            ――すべてはそこからだ

……! 流石長岡先生の言葉だ。心に沁みるなあ。
諦める前に、明日の相手の今井先生を探しにいってみるか



7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 23:14:33.18 ID:/z8e36zc0

今井先生といえば、代ゼミから引き抜かれた英語の先生だ。
パラグラフリーディングを用いて英語教育に改革しておきながら、
いち早くパラグラフリーディングに見切りをつけてしまった、英語界の最先端を歩く男……!

男「ここだ。この教室だ!」

窓から覗けるのは生徒の姿だけ。黒板前にいるだろう今井先生の姿は見えない。

「じゃあ音読しよう! さあ始めて!」

「「「「None of the people living in this area were aware of the murder!」」」」

なんだ今のっ。まるで訓練された合唱団のように、呼吸のタイミングまで完璧に一致してる。
いや、この完全な統制と、そして抜き身の刃のような鋭さ――これはもう生徒なんてものじゃない、軍団だッ!

今井先生「まだまだ! murder の urはちゃんと伸ばして! m∂:rd∂r !」

そんな、あれだけの生徒の中から、発音の微妙なずれを読み取っているというのか!?
なんて聴力、いや、それよりも……!

「これは準動詞の例文、livingが修飾する関係が要だ in this areaまでがおーきな主語! さあ意識してー」

「「「「None of the people living in this area were aware of the murder!」」」」

この程度、意味はもちろんよく分かる。僕だって講師のはしくれだ。
だが……なんだこの悪寒は。

誰にも気づいてもらえないまま、殺人鬼に殺される僕の姿が頭に浮かぶ。
刺された感触。腹から覗く臓器と、見る間に足元を染める血。身体が徐々に冷えていく実感!
そしてなにより、このどうしようもない痛みは――!



8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 23:21:47.11 ID:/z8e36zc0

男「う、ぐ……う、あ……あ……」

授業中だ。こんなところで叫び声をあげるわけには……。
だ、だが、痛い。痛すぎる。そして身体が冷たい。冷える身体に反比例して足元の血が熱く感じられる。
体の中に氷が、外側にマグマが。そして腹の痛覚が暴れ回り脳内をかき乱し、生命のデッドラインを超えた僕は――。

安河内先生「大丈夫かい?」

男「はっ……!?」

そうだ。こんなのは幻覚、落ち着いて足元を見れば血なんて一滴もたれてない。
ただ僕の冷や汗が水溜りになってるだけだ。

安河内先生「間違うのは良いことだ。今の幻視は、例文の意味を魂で理解していなければ見えないんだから」

男「はっ……はっ……はぁ……」

まだ悪寒がひかない。こんな相手と、僕は戦えるのか……?

安河内先生「でも授業を邪魔しちゃいけない。君、叫びだしそうだったでしょ?」

男「はい……ごめんなさい」

安河内先生「ほら、間違えたら考える! 間違えの原因を考えていけば、次は必ず成功できる」

男「はい!」

安河内先生「じゃ、僕は明日に備えて早めにあがるから」



6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 23:00:56.43 ID:BrHLGvGbP

一浪だけど今井先生の参考書にはお世話になってるわ
http://www.amazon.co.jp/dp/4890854509/




9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 23:31:48.03 ID:/z8e36zc0

結局、今井先生に勝つ糸口はまったく見えなかった。

――『次は必ず成功できる』

      ――『できない』を『できる』に変える

けど僕は闘う。
だって……

            ――『間違うのは、良いことだ』

たとえどんな無残な結果になったとしても、僕は立ち向かう!!!

今井先生「君が今日の相手か」

坊主頭にラウンド髭。濃い顔を眼鏡がやわらげて、実に良い笑顔を浮かべている。
そして何より、全身から本物のオーラが発散されている。

男「はい! よろしくお願いします」

今井先生「よろしくな!」

アナウンス「Fブロック第一試合、始めてください」

空の教室に入り、今井先生と向き合う。
夏の講習などで用いられる小教室。逃げ場のない狭さが逆に嬉しい。
もし大教室なら、きっと僕は今井先生の闘気に耐えきれずに無様に部屋の隅へ逃げ込んでいただろう。

背水の陣。漢と趙の攻城戦で、漢はあえて川を背にすることで逃げ場をなくし、120%の力で闘って勝利を得たという。
僕も、この狭い教室で自分の限界を超えてみせる……!



10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 23:39:50.58 ID:/z8e36zc0

今井先生「成績を上げる一番の方法は、音読」

く、来る!

今井先生「The hotel I stayed at last night wasn't very expensive」

男「昨夜止まったホテルはあまり高く無かった……はっ!?」

再び僕を幻覚が捉える! 

短期の出張、降りない経費。安宿のベッドは堅く布団はくたびれている。
夏の熱さの中で布団で投げ飛ばせば、どこからともなく蚊がよってくる。
半袖の僕はやむなく蚊から逃れるために布団を被るが、暑さに耐えられず布団を捨て、蚊の飽くなき戦いに参戦。
疲れ切った僕の翌日のプレゼンはぼろぼろで、僕は心身ともに疲れ切り……。

男「う、あ……ぐ……」

たった一回の音読で、膝をついてしまった。全身が重く、まるで物理講師の重力操作を受けているよう。

今井先生「分からせましょう。君の僕の格の差を、本当に呆れるほど分かるほど分からせますから――」

男「~~!」

身体を包む重圧が増す。まずい、このままじゃあ例文一つで殺られる――。

こうなった僕も名言を使うしかない! 試験でライバルたちを倒した、あのフレーズだッ!

>>13



13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 23:44:55.75 ID:lOWQtvBT0

今井は面白いだけで成績は上がらん



14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/08(月) 23:54:22.91 ID:/z8e36zc0

男「今井は……面白いだけで」

今井先生「ほぅ」

男「成績はッ 上がらない!」

これが僕の戦い方、ネガティブキャンペーンっ!
他の先生や予備校をディスることで、僕の授業を受けている生徒は相対的に勝ち組なのだという認識を植え付ける。
相手のいる前で直接言うのは初めてだが、もしかすると生徒に使うより効果があるのでは――。

今井先生「まだ分からない?」

男「き、効いてない……!」

今井先生「講師名、男。1987年生まれ、うん。ルーブル合意だね。
幼稚園は東神永世幼稚舎。ミッション系だ。初恋の相手は女ちゃん。そしていまだに一途に思い続けている……」

男「ば、馬鹿な、なぜそんなことを……!?」

今井先生「音読を通して5回~10回やったらもう頭の中入ってるから」

男「!?」

今井先生「例文から学ぶことは一つじゃない。単語の活用、英語のリズム、変形から発音、同型問題。
例文の言葉一つが、英語という大樹の根元に繋がっているんだ。これが、言葉を学ぶということ――!」

男「ば、ばかな……!」

今井先生「君の得意戦法がnegative campaignであることは、既に頭に入っているんだ。
そして予想していれば、どんな問題にでも対応できる」



19:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 00:02:37.56 ID:o+fNyEsb0

今井先生「さあ、音読を続けようか」

僕の武器はまったく通用していない。

これが少しでもダメージを与えていたなら、まだ希望があったかもしれない。鉛筆を振れば一定の確率で正答は出る。
喩えるなら猿が適当にタイプライダーをうってシェイクスピアを作りうるように、僕にも勝機の欠片はあった。

だがダメージが0なら、完全に無駄っ! 記述式問題を前にして鉛筆を転がすようなもの――!

今井先生「The hotel I stayed at last night wasn't very expensive」

男「うぐああああ!」

朝食付きのコスパにつられて選んだホテルだが、味噌汁が微妙に冷めていたあああぁぁ――!
濃い目の味は、冷たさのせいで甘味が控え目になり、塩っぽさだけが僕を苛む!

くっ、駄目だ。ご飯を、ご飯を食べなくては。だが! ご飯は! 御代わりできない!
納豆を食べるには一定量のご飯が必要不可欠。味噌汁のためにご飯を消費すれば、納豆が余るぅぅぅうぅ!

今井先生「The hotel I stayed at last night wasn't very expensive」

なんてサービスが悪いんだ。これでは、これでは! またプレゼンは失敗する!
いや、むしろ前回よりも悪い。疲労のたまった僕は、プレゼン中にめまいに倒れ――。




――『間違えの原因を考えていけば、次は必ず成功できる』

男「そうだ! 安河内先生! 僕は、諦めないッ!」



20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 00:13:24.17 ID:o+fNyEsb0

今井先生「5回も繰り返せば、きっと分かる」

既に三回。僕の心はかき混ぜ過ぎた納豆のように疲れている。
粘性をもった流動体はタンパクなので熱で駄目になってしまう。

早く突破口を見つけなければ。僕の心は既にホテルのサウナ状態部屋で蒸し焼きだ!

今井先生「The hotel I stayed at last night wasn't very expensive」

男「ぅ……ああああああああ!」

授業をされているわけでもないのに意味が染み込んでくる。
形容詞節の基本、変形してIを主語にした場合は――駄目だ、ペースにのせられている。この先を想像してはまずい。

考えるんだ。失敗の原因を。僕のネガキャンが通用しないのは何故だ!?
今井先生は僕の言葉の意味を理解しているから。

だが僕だって今井先生の言葉の意味を理解している。理解しているからこそ安宿に苦しんでいるんだ。

この差は何だ。

この差は、そう、先生は音読を繰り返しているということ――!

今井先生「授業も大詰め、さあ、音読だ」

今井先生のことを重ねて批判し続ければ、僕の攻撃も届くかもしれない。

>>21
>>22
>>23



21:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 00:19:29.49 ID:hTurStYo0

今井はホモ



22:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 00:20:52.17 ID:WsTRYuyA0

今井は教養が無い



23:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 00:26:14.69 ID:hTurStYo0

今井は短小



26:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 00:38:16.61 ID:o+fNyEsb0

男「今井は……ホモ!」

今井先生「効かないって」

男「今井は教養が無い」

今井先生「The hotel I stayed at last night」

目覚めの直後、壁に止まってるわりと大きめの蛾を見つけてげんなりぃぃぃいぃ!
ダメだ、これが五回目、僕はもう……。

男「今井は……今井は……っ! 短小っ!」

今井先生「……wasn't very expensive」

男「うぐああああああああ!」

蒸し暑い部屋で一晩過ごしたせいで汗疹がああああああ!

痒さに気をとられて指示棒の扱いをミスりプレゼン終了後に指摘される!
その後もかゆみが収まらず、上司に叱責されながらつい身体をかいてしまって怒られ、出生コースから離れていくぅぅぅぅ!
計算が狂ったせいで給料が一向に上がらず、数年後に払う量が増えるタイプのローンに押しつぶされるぅぅぅうぅぅううう!

うぁあああああああああ!

今井先生「短小とか、言っていいことと悪いことがあるでしょー」

な、なんだ。今井先生がチャックを開けて……。

イメージが! ローンが払えず男に身体を売ることになるイメージが! 今井先生の短小が!



27:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 00:46:51.72 ID:o+fNyEsb0

次に目覚めたとき、僕は講師室にいた。

安河内先生「さあ、見直しをやろう」

男「安河内先生……僕は……」

安河内先生「君は今井先生の力に耐えきれず、絶頂して気絶した。でも失敗は誰にだってある」

男「確かに、戦いの中で学んだものはありました。けど、今井先生とは自力が違いすぎた……」

夏の熱いホテル。朝方には体中から流れ出た汗が冷えだして、思い出すだけで身震いする。

安河内先生「受験英語なんてものがあると思うか?」

男「えっ?」

安河内先生「受験英語と、ネイティブイングリッシュ。本来は同じもののはずだろう?」

男「それは、そうですけど……」

安河内先生「自然のままの英語を理解できていれば、受験なんておそるるにたりない。そうじゃないか?」

男「自然の、まま……」

安河内先生「そうだ。君は他人を攻撃するとき、口調が変わるよね。一人称も俺になって、講師を呼び捨てにする」

男「先生、まさか採用試験のときから僕を見てたんですか!?」

安河内先生「受験のためだけの言葉には、命がない。受験英語は、生きてないんだ!」



28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 00:54:14.15 ID:o+fNyEsb0

男「先生! 分かりました!」

今井先生から学んだ、反復練習の大切さ。
そして安河内先生が教えてくれた、言葉の命。

これらを僕のネガキャンに合わせれば、あるいは……!

安河内先生「間違うことは良いことだ!人間、間違わなきゃ進歩がないでしょ!」

男「はい!」

最後の一撃、今井先生を短小と罵ったとき、今井先生は少し顔色を変えていた。
あれは僕の攻撃が通じた証。ダメージは通った。なら次は、わずかながらの勝機がある。

安河内「明日の授業、見に来るといい」

男「明日の授業? これからしばらくはランキング戦のために休校のはずじゃ」

安河内「僕と今井先生との戦いだよ」

そうか。明日は今井先生と安河内先生が闘う日。

思えば今井先生が微妙な例文で攻めてきたのは、安河内先生との戦いに備えて力を温存するためだったのかもしれない。
つまり明日こそ、今井先生の本気が見れる。そして、安河内先生の力も……!

男「はい! 見に行きます!」



30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 01:05:20.49 ID:o+fNyEsb0

ついにこのときがやってきた。
戦場は大教室。戦いはインターネット配信されている。

僕とは明らかに扱いが違う。おそらく一回戦でもっとも注目されている試合だろう。

今井先生「私は硬派な人間ですから、ほんとに絶対手加減しません」

安河内先生「こんなもの殺れば誰だってでkill……!」

あの温厚な安河内先生が殺気を全開にしている!
画面越しだっていうのに足が震えてきた。なんて戦いだっ。

今井先生「音読を通して5回~10回やったらもう頭の中入ってるから」

で、でたっ! 得意のイメージ攻撃の前に、安河内先生の全てを理解し、予想する絶対防御だ!

安河内先生「はっきり言うけど、過去の成績なんて関係ない!」

安河内先生の的確なカウンター! これまでの自分と決別することで自身の行動を読ませない!
自己同一性、意識の連続性といった倫理分野の問題までカバーする含蓄の深い名言だ!

今井先生「はい」

安河内先生「はい」

互いににらみ合いつつ、教室の中を歩いていく。
一定の距離を保ちながら、相手の隙を探り合う形。



32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 01:17:30.48 ID:o+fNyEsb0

先に動いたのは安河内先生。

横長な机の上に乗り、今井先生を一瞥。直後に一気に駆け寄ってきた。

安河内先生「霊感少女リサ!」

安河内先生はあえて得意の音読攻撃を捨て、色物の参考書で攻めてきた!
おそらく音読流同士での相打ちを避けるための側面攻撃!

表紙でリサがもってるけど、本編中では一切登場しない謎の杖が安河内先生の手の中に現れる。

安河内先生「世界初! 初等英語系ライトノベル!」

机の上から飛びかかり、重力をのせて杖の振りおろし!
謎の杖にまきついたリボンがはためき、弧の先端が空を切る。

流石は代表クラスの講師。容易く音速を超えた杖先は、音を置き去りにする。
風切り音は、机が砕け散る音とほぼ同時に到達し、砕けた机の破片が今井先生を襲う。

今井先生「The fire spread quickly , but everyone was able to escape」

だが音読効果による身体ブーストを合わせた今井先生はさらに早く、破片の合間を縫って全てを回避する。



33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 01:30:29.61 ID:o+fNyEsb0

今井先生「The fire spread quickly , but everyone was able to escape」

安河内先生「ミラクルアイドルメグ!」

東進ブックス、英文ライトノベル第二段。
なんとなく英語が分かった気がすると話題の勉強なのか趣味なのか良く分からない一冊!

安河内先生「こちらが先手を取ったことにより、今井先生は後手に回らざるをえなくなりました。
今井先生の反復練習法は重ねて音読することで効果を強める技。
だがその技、一度使い出したら最低五回は連続使用する制約をつけば攻略可能!」

前作の半生を踏まえてイラストはラノベらしさを増したものの
内容は虐待されているぼっち女子が家を追い出されてホームレス生活を始め、万引きに手を染めるハードでダークなもの。
たまたまスカウトされてアイドル活動を始めたのち、親に虐待されたり学校ではぶられたりダンボールでネタ経験を赤裸々に告白。
超不幸系アイドルとして秋葉原を中心に一躍人気を博す――!

今井先生「The fire spread quickly , but everyone was able to escape」

安河内先生「間違うことは良いことだぁあああああああ!」

今井先生「なっ、この例文がきいてない!?」

今井先生が使った例文の効果は、敵の攻撃に対する回避力の増大。
素早さを増して敵の攻撃を避け続け、そして着実に例文を積み重ねて自分を強化していく戦術は今井流の基本にして真骨頂。

だが。

安河内先生「ミラクルアイドルメグ、vol2!」

どん底経験を活かして這い上がるストーリーを自身に重ねることで、今井先生が強くなるのに合わせて安河内先生も力を増していく!



34:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 01:39:27.72 ID:o+fNyEsb0

安河内先生「前回は音読対決で負けましたが、敗北から学んだ私はもう負けない!」

今井先生「The fire spread quickly , but everyone was able to escape」

安河内先生「英語は「体」で勉強しなさい! かっこ中経の文庫ぉおおおおお!」

安河内先生の右ストレートを、今井先生がすんでのところでかわす。
そのまま勢いにのっての右回し蹴りを、今井先生は予想していたかのようにジャンプで回避。今井先生の机の上にのる。

今井先生「The fire spread quickly , but everyone was able to escape」

今井先生は基礎英文を唱え続ける。だがそれは安河内先生の強化にもつながっているはず。
今井先生、何を考えているんだ……!

今井先生「The fire spread quickly , but everyone was able to escape」

安河内先生「カードで覚える!言えそうで言えない身近な重要英単語300!」

安河内先生を取り巻く無数のカード群が、今井先生におそいかかる。

超速のカードは真空をつくり、空気の刃が教室を切り裂く。
300の英単語に対応した全方位攻撃に死角なし。教室中が裂かれ、安河内先生のたっている机だけが残った。

今井先生「The fire spread quickly , but everyone was able to escape」

だが今井先生は無傷。全方位攻撃と言えば、その攻撃には時間差がある。
コンマ以下の細かな体捌きで安全地帯へと動き続けることで、今井先生はカードの嵐を潜り抜けていた。

安河内先生「な……!?」



35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 01:45:03.48 ID:o+fNyEsb0

今井先生「ミラクルアイドルによる身体強化は、全ステータスを強化する万能術式。
対して私は回避だけを重点的に強化し続けてきた。もう、当たるはずはないと思わないか?」

安河内先生「……!

今井先生「The fire spread quickly , but everyone was able to escape」

安河内先生「だが、回避はあっても防御は乏しい。一撃当てれば勝てるはずです」

今井先生「なら、試してみなさい。分からせてあげますから。
絶対に分からせますから。本当に呆れるほど分かるほど分からせますから」

安河内先生のフライング文法ブレイズがいとも容易く捌かれる。
カード攻撃に隠れて接近してのグラップリングホールド超基礎固め わかる英文法すらも抜け出されてしまう。



36:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 01:52:55.77 ID:o+fNyEsb0

今井先生「I saw an old man fall down on the snow」

十分な回避力を得た今井先生が次なる例文に入る。
床に雪が積もり、安河内先生の足を取る。

安河内先生の攻撃はいくら火力があっても当たらず、代わりに攻撃の度に転んで身体が傷ついていく。

男「安河内先生、やめるんだ、これ以上やったら先生は……!」

今井先生「I saw an old man fall down on the snow」

安河内先生のカード攻撃で机が破壊されたため、机の上にのって雪上を避けることができない。
安河内先生の亞光速のパンチが奔る。そして転ぶ。勢いはそのまま安河内先生にもどってくる。

机の破片が額を切り、雪を赤く染めていく。

安河内「ま、まだだ! できる人の超速★勉強法」

今井先生「愚かな…… I saw an old man fall down on the snow」



37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 02:03:39.65 ID:o+fNyEsb0

転び続けた安河内先生は、服がボロボロになり、生の肌が露出して霜焼けを起こし始めていた。
額から流れた血が身体を伝わって足元まで流れ落ち、安河内先生が限界に近いことは誰の眼にも明らか。

雪上を舞う安河内先生は、美しかった。壊れる間際の芸術。
まるで練り続けた納豆がにわかに甘味を増し、粘り気が少なくなって別の食品に代わっていくように……。
だがそこから練りすぎれば、納豆は形を崩してただの気持ち悪いペーストになってしまうのだ。

限界の一線、果てる直前の安河内先生は、とてもとても美しかった。

そしてボロボロの服から垣間見える筋肉美にホモの今井先生が目を奪われたとき、安河内先生は最後の賭けに出る。

安河内先生「おとなのやりなおし英語学習法 ― これで TOEIC Test 990点!!!!!!!」

全ての追加効果を強制キャンセルする秘法!
だがさまざまな参考書を惜しげもなく使ってきた安河内先生の方が、一つの例文を唱え続ける今井先生よりTP消費が激しい。
ここまで受けたダメージの差も大きい。ここでのリセットの後、得をするのは明らかに今井先生。

だが、このリセットの瞬間そのものは、安河内先生にとって最大の好機っ!
回避力増加を打ち消した上で、一度加速のついた肉体が今井先生に迫る!

強化の切れた体は、光速間際の超速度にたれ切れず自壊し、安河内先生の身体は今井先生に近付くほどに擦り切れていく。
ウラシマ効果による時間圧縮の最中、無限にも近い痛みを耐え抜いて――。

安河内先生の謎の杖が今井先生の身体を貫いた。

安河内先生「当てた……が……」

今井先生「見事……!」

二人は同時に倒れ伏す。おのおの、好敵手に対する惜しみない称賛を胸の内に抱きながら、二人は同時に意識を手放した。



38:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 02:06:12.91 ID:o+fNyEsb0

今井先生編、完

なお作中で使用した例文はすべて駿台予備校の和文英訳のテキストを使わせていただきました。
飯田先生、ありがとうございます。

四当五落なんて言葉もありますが、睡眠は大切です。おやすみなさい。



40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 02:08:05.95 ID:KPNNq+940

キャラ崩壊が



41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 02:11:52.01 ID:dDcbOkuI0

これは名作



39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/07/09(火) 02:07:06.51 ID:xpnLE/Ij0

乙 おまえ今井先生の授業受けたことないだろwwww



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