1:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 14:53:55.62 ID:
w7EklE3F0
男「そんな和気藹々とした空間に俺、居て大丈夫か?」
友『何を言ってるんだい。むしろ喜ぶよ、兄も弟もお母さんも』
男「それが逆に行きにくい原因となるんだけどな…」
友『あはは。君らしくもない、そんな空気なんて読まないのが君だろ?』
男「喧嘩売ってんのか」
友『冗談だって。とにかく君が気にする要因なんてものは一つもないよ』
友『──血の繋がった家族と思ってしまってもいいぐらいにさ』
男「…そか、お前が言うんなら大丈夫なんだろ」
友『そうともさ、では来週の日曜日には暇を開けておいてくれ』
男「うぃ。りょーかい」
君に届け 19 (マーガレットコミックス)
4:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 14:54:44.29 ID:
w7EklE3F0
男「……」ぴっ
男「ふむ、友の家族とカラオケか。なんだか不思議な気分だな…」
男(友の言うとおり、確かに俺はあの家族とは仲がいい)
男(一緒にマックに行ったり、一緒にドライブ行ったり、弟くんの運動会におじゃましたり)
男「──色々と世話になってることは確かだよな」
男「んじゃ行かねえとな。うん」
男「来週の日曜かーおしゃれして行かないとなー」ゴソゴソ
男「……」
男(あれ? なんかデジャヴ?)
5:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 14:55:42.81 ID:
w7EklE3F0
~~~
男「……」ちらっ
男(待ち合わせ場所はここでいいんだよな、時間もそろそろだし)
「──おーい!」
男「ん、おお! こっちこっち!」
友「いやいや、待たせちゃったかな」
男「大丈夫だ。俺が少し早めに来ただけだし」
友「そっか、ならよかったよ」
男「てか、あれ? お前一人だけ? 家族は?」
友「ボクの後にちゃんと来るよ。色々と用事があるんだって」
男「ふーん」
友「その間、結構時間があるからそこら辺でも見まわってみない?」
男「おぅ、いいぜ」
6:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 14:57:28.03 ID:
w7EklE3F0
男「んじゃ何処行く? ゲーセン?」
友「…すぐに君はゲーセンに行きたがるね、そんなに遊びたいのかい?」
男「男はみなゲーム好きだ、お前もそうだろ?」
友「まあね。だけどゲーセンはまた今度だ、次回に行こう」
男「えー」
友「えーじゃあないんだよ、男。少しはムードというものを考えようよ」
男「何をおっしゃるのやら、一応考えてますけど?」
友「…じゃあ言ってみなよ」
男「一緒にプリクラとる」
友「えーまたぁ?」
男「またってなんだよ、いいじゃんいっぱい取ろうぜプリクラ」
7:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:00:12.61 ID:
w7EklE3F0
友「いいよもうプリクラは。正直、お腹いっぱいだよ」
男「んだよ、昔はあれだけ取りたがってたのに」
友「それは昔だからだよ。今のボクは違うんだ、むしろ今はプリクラより違うのが取りたい」
男「え、何を撮りたいんだ?」
友「結婚写真」
男「重いなオイ!」
友「実はもう予約をとってます」
男「嘘でしょ…?」
友「いえ、本気です。ボクが本気出したら絶対やるって、男知ってるよね」
男「……」
友「…そんな目で見ないでくれないかな」
8:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:02:02.56 ID:
w7EklE3F0
男「…あえて聞くけど、結婚写真って写真だけだよな?」
友「そうとも。とあるツテでね、ウエディングドレスとタキシードを着させてくれることになったんだ」
男「……」
友「その際、ボクが無理を言って写真を取らせてくれるようにお願いしたんだ」
男「…それがまかり通ったと?」
友「イエス、さぁ家族が来る前にちゃちゃっと撮っちゃうよ。お店はこの近くだからさ」ぐいっ
男「お、おお…」
友「ふふっ」
すたすた
~~~
店員「いらっしゃいませー…あら、友くん?」
友「どうも、こんにちわ」
9:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:03:16.01 ID:
w7EklE3F0
店員「あらあら! 大きくなったわねぇ~声だけじゃわからないものね! うふふ!」
友「お姉さんも元気そうで何よりです」
店員「こういう仕事だと元気が何より重要だからね~」
男「……」もじもじ
店員「ん? あらあら?」
男「ど、どもっす」
店員「……」じぃー
男「…な、なんすか?」
店員「んふふ、君が──あの彼なのかな? ん?」
友「はい、そうです」
店員「そぉーなんだぁ~へぇ~…あのさ、聞いてもいいかな?」
10:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:04:54.07 ID:
w7EklE3F0
男「は、はい? なんすかね…」
店員「君ってホモなの?」
男「…………」
店員「あれ? 違うのかな?」
男「…えーっと、なんて言ったらいいだろうか。
とにかくそう思われても仕方ないって想いますけど、わかりやすく言えば──」
友「その通りです」
男「違う!」
店員「あ! やっぱりー?」
男「ち、違いますよ! 俺ホモじゃないっすから!」
店員「え、でも友くんが言ってるけど」
男「騙されちゃ駄目です! こいつの冗談みたいな感じですから!」
11:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:06:39.36 ID:
w7EklE3F0
店員「冗談なの?」
男「おまっ! なに急に言い出すんだよ…!」
友「ありのままを言ったまでさ」
男(なにその堂々とした顔!)
店員「ねえねえ、本当はどうなの? 違うの? ホモさんなの?」
友「ふむ…そうですね、もしかしたら言い方を間違ったと思います」
友「彼は確かに──ホモじゃないかもしれない、でも、これだけは言えるんです」
友「ボクと彼は、ちゃんと想いが通じ合っている仲だってことは」
友「だよね、男?」
男「うぐ…!」
友「あれ、違うのかい」
男「…お、おう…」
12:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:08:45.48 ID:
w7EklE3F0
友「うん、ありがとう男」
男「っはぁ~…なんだよまったく…」
男(最近、ものすごく手球に取られてる気がしてならないな…)
友「あはは」
男(つか、最近になって色々とこいつ大胆になってきてるんだよな…)
男(そう、あの日あの時から…俺達は友達という関係よりもずっと距離を詰めている)
店員「なるほど、お姉さんわかっちゃったよ。大人だからね、
ちゃんと君たちが言いたいことはわかってしまったよ」
店員「──つまりはそう! 男くんはホモではなく、友くんが好きってことだよねっ?」
男「…もう、どうとでも受け取ってください」
友「そういった諦めのいい男。ボクは好きだよ」
男「…うっせ」
店員「んふふ、仲がいいのねぇ──うんうん、それじゃあ」
店員「さっそくだけど写真、撮ってく?」
13:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:09:54.97 ID:
w7EklE3F0
~~~
「着替えでわからないことがあったら、お姉さん呼んでねー」
男「あ、はーい」
男「はぁ…流れるままに更衣室まで来ちまったけど」
男(本当に着るんだな、これ…タキシードをよ)
男「…ぴっちぴちだな、オイ」
男(着方は普通に来てもいいのかこれ…よくわからないけど、まあ良いんだろ)ゴソゴソ
男「……」
男(隣の部屋では──友がドレス、着てんのかな)
男(……俺と友が出会って随分と経つ)
男(高校になって久しぶりに中学の奴らとカラオケに行った時から──始まった出来事)
男(今、思い出しただけでも。濃い日々だったと思い返すことが出来る)
男(──友の兄弟、そして友が抱えていた問題)
男(それらをすべて乗り越えた俺達は──晴れて、前までとは違った関係になった)
男(口にするのは難しいけどよ、だけど、言わなくたってわかるもんだよな)
14:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:11:29.34 ID:
w7EklE3F0
男(誰が見たって俺らの関係は──一般的な男同士とは違った関係)
男(…人は違った存在だ)ごそ
男(俺達は互いに望んた結果を求め合っただけだ、それが間違ってるかは──関係無い)
男「俺は決めたんだ、アイツが…アイツが望むものであれば…受け止めると」
男(だからこそ、俺らの関係は続いている。何事も無く、こうやって一緒に歩けてる)
男「それがいかに世間で認められてなかったとしてもなっと、うし。着替えた」
男(今の俺がどれだけ世間から外れた存在だったとしても、俺はかまわない)
男(──だけど、不安はある)
男(こんな関係がいつまでも認め続けられるわけがない)
男(いつかは踏ん切りや、答えを見つけ出さないといけないんだろーよ)
男(俺はいつしか、そんな問題に押しつぶされて、俺が俺でなくなっていくのかもしれない)
男(…そんな弱気な考えを、いつまでもいつまでも…抱えて生きていくんだな俺…)しゃっ
男「はぁ…着替えましたー」
友「お、着替えたんだね男」
男「うわー! ウェディングドレス! めちゃくちゃ可愛いなお前っ!?」
15:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:12:23.65 ID:
w7EklE3F0
男(やべぇー! 思わず鼻血が出そうになった!)
友「えへへ…そうかい? ふふっ」
男「びっくりしたぜ…目の前に天使が居るのかと思ったわ…」
友「いくらなんでも、褒めすぎさ男。嘘っぽく聞こえるから、ボクが不機嫌になる前にやめるんだね」
男(そう言いながら満面な笑みなんですけど…)
友「…それよりも男、君も随分と似合ってるじゃあないか」
男「そ、そうか? …かっこいい?」
友「うん。かっこいいよ」
男「ふへへーもっと褒めてもいいぞ?」
友「そのままボクを抱き上げて欲しいなって、思ったり」
男「おう、いいぞ」ぐいっ
友「えっ? いやいや…! 冗談だってば、ちょ! うわわっ!?」
男「よしょっと。ん、やっぱ軽いなお前」
友「…本当に君ってやつは…」
男「んだよ。やって欲しかったんだろ?」
17:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:13:27.61 ID:
w7EklE3F0
友「…ま、まあね」
男「じゃあ大人しくお姫様抱っこされとけ」
友「…うん」
男「おう」
友「…」
男「…」
男&友(あれ? なんか案外気まずい…?)
友「あ、改めて思うとさっ? こういうのって、直に来る…よね」
男「か、かもな。こう…やっちゃってる感が半端ないって言うか」
友「……」
男「……」
友「あ、あのさ! 男!」
男「ど、どうしたっ?」
18:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:15:17.37 ID:
w7EklE3F0
友「…その、今日は急に連れてきてごめん」
男「ん? どうした急に」
友「あはは、いくらなんでも早急すぎたかなって。
もっと初めから概要を伝えておけばよかったと、今更ながら後悔中なんだ」
男「何いってんだ、お前はいつだって急じゃん。知ってるよそんぐらい」
友「…うん、そっか、そうだね。ボクはいつだって男を困らせてばっかりだね」
男「ん、そうじゃねーよ」
男「馬鹿言うな。ちげーって、俺が言いたいのはそうじゃない」
男「お前はいつだって──なんだって、思い切りがいいすごいやつだって事だよ」
男「人よりも多く物事を考えてるし、人よりも多く優しを持ってる」
男「…お、俺はそんなお前のこと…お、おう……す、すぅ…うん…だから大丈夫だ!」
19:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:16:29.76 ID:
w7EklE3F0
友「え? なんて言ったの? 聞こえなかったよ?」
男「じゃ、じゃあ聞き逃せよっ」
友「無理無理、せっかく君がカッコイイことを言ってくれたんだから」
男「い、いいよ別に…俺的には…」
友「なんだっていうのさ、もっと強気になりなよ」
男「……じゃあ、言うぞ? 言っちゃうぞ?」
友「うん」
男「俺は、ごほん! 俺はなっ? そんなすごいお前のことを好──」
店員「……」わくわく
男「──……」
店員「んはっ!?」
店員「つ、続けて! うん! 続けていいよ!」
20:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:17:59.00 ID:
w7EklE3F0
男「……居るなら居るで、はやく声をかけてください
店員「いい雰囲気だったからかけづらくてね…」
男「構わないっすから…うん…どんどんかけてくださいよ…」
店員「が、がんばっ! がんばだよ! 世間は敵でもお姉さんは味方だからね!」
友「がんばれ男!」
男「うん…うん…」
~~~
店員「ありがとうございましたー写真は来週には家に送っておくからねー」
友「はい、ありがとうございました」
男「うっす。どうもでした」
ウィーン
友「んー疲れた、案外ドレスって着疲れするもんだね」
男「慣れないもの着るとそうなるよな。俺も若干、肩が変だし」
友「そうだね。だけど、いい経験になったよ」
21:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:19:27.49 ID:
w7EklE3F0
男「そうだな」
友「……」
男「…まあ、写真楽しみだな」
友「ん、そうだね」
男「見せてくれよな、俺にもちゃんと」
友「勿論さ。君とボクとで見て楽しむために撮ったものだからね」
男「おう」
友「さて、そろそろみんなも揃う時間かな──」
男「…なあ、友」
友「……」
男「なんかさ、いいよなこういうのって」
友「…どうしたの急に」
男「なんとなくだよ。とにかく、いいなって思った」
23:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:20:32.64 ID:
w7EklE3F0
男「お前と一緒にこうやって歩き回れること──俺はいいなって思った」
男「ただそれだけだ」
友「…ふふ、そっか」
友「ボクもそう思うよ、男。君と仲良く歩ける今が大好きすぎて──」
友「──幸せでいっぱいだ」
友「人は言うかもしれないね、ボクたちの関係は──非生産的で、時間を浪費するだけのものだと」
友「だけどそれは、違うと思うんだ」
友「──今しかない時間を、今しかできないことに使いたい」
友「君と一緒にいる時間は、ボクの残りの寿命よりも長くていい」
友「ボクは本気でそう思っているんだ」
男「…相変わらず、色々と視野が狭いなぁお前」
友「そうかな? これでも、多く見えるようになったと思うよ」
友「…誰かさんのお陰でね、ふふっ」ぎゅっ
男「そうかい、そりゃ光栄だ」
24:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:22:06.37 ID:
w7EklE3F0
友「さあ行こうか、時間が迫ってるから」
男「だな。お前もあんまりひっつくなよ…周りの視線が痛いし…」
友「気にしないのが男だろ? って言ったら怒るかな」
男「…いーや、上等じゃねえか」
男「視線だって何だって、俺は気にしねえよ。俺が決めたことに、俺自身が後悔しないように」
男「──俺はお前の手をとって、歩いてるんだからよ」
友「…ありがと、男」
男「どーいたしまして」
友「くすっ」
男「はっ」
「──いやーほんっと、声をかけづらいふんいきだしまくりですよね」
「ああ」
「アニキも何か言ってあげたら? いくらなんでも、コッチにもしつれいだよってさ」
25:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:24:04.68 ID:
w7EklE3F0
男「って、友兄さん!?」
友兄「久しぶりだな」
友弟「僕もいますよー」
男「弟くんも…」
友「やぁ、来たんだね二人とも」
友弟「うん! だってアニキが急に単車壊れたって言うから本当にさー!」
友兄「……」
友兄「すまなかった」ぺこり
友「そうなんだ、それは大変だったね」ニコニコ
男(なんだこの邪悪に満ちた笑みは…?)
友弟「だから、電車で行くことになったから少し遅れてちゃいました」
友兄「すなまかったな、男」
男「い、いえいえっ! 別に俺は気にしてなんか…!」
26:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:26:06.93 ID:
w7EklE3F0
友「とにかく、そこまで遅れなくてよかった」
友兄「ん…」
友弟「ごめんなさいっ! 男さん…!」
男「おう、俺は気にしていないぞ」
友兄「お袋はどうした」
友「お母さんはもうすぐ来るよ、まだ時間が必要みたいだけど」
友弟「そういえば…誰かの家に寄ってから来る、って言ってたよね?」
男(用事でもあったのかね…別に今日じゃなくっても良かったんだが…)
友弟「…あ、男さん。もしかして自分のせいだっておもってませんか?」
男「えっ?」
友弟「違いますよ! 母もそうですけど、アニキも僕も今日を楽しみにしてたんですから!」
男「そ、そっか」
友弟「母のようじは母のせいのものです。
自分の都合をまにあわせることができなかっただけで、男さんは悪くありません」
男「…うむ、わかった」
友弟「えへへ、良かったです。ではでは、よいしょっと」ぎゅっ
27:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:27:17.22 ID:
w7EklE3F0
男「お、おおっ?」
友弟「んふふー! えへへ、やっぱおおきいですね! てのひら!」ぎゅっ
友「……」
男「そ、そうか? いや別にいでででェッ!?」
友「おや? どうしたんだい男?」
男「今、指がえらい方向に曲がったけど!?」
友「それは困ったね、大丈夫かい」
男(すごいいい笑顔だー)
友弟「だ、だいじょうぶですかっ? けがしてるんですか?」
男「だ、大丈夫だ」
友弟「本当ですか…?僕、くわえたほうが良くないですか?」
男「なにを!?」
28:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:27:57.91 ID:
w7EklE3F0
友「こら、ひっつきすぎると男が困るじゃあないか」
友弟「そうかな? そうやって指を持つほうがこまるって、僕はおもうけどなぁ」
友「…ん? どういうことかな?」
友弟「なんでもないよー」
友「…」
友弟「…」
友兄「楽しそうだな。オレも仲間に──」
友&友弟「(あにき)おにいちゃんは黙ってて!!」
友兄「──……」
友兄「すまん」
男(本当に兄弟に弱いなこの人…)
29:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:29:43.47 ID:
w7EklE3F0
男「ま、まあまあ落ち着け二人共…まぁとりあえずカラオケに行こうぜ」
男「こんなトコロで喋ってても、時間のムダだし」
友「確かに男の言うとおりだね。お母さんには悪いけど、先にはじめよっか」
友弟「わーい!」
友兄「そうだな」
男「そういえば皆、歌上手かったりする?」
友弟「僕はまぁまぁです。アニキ、バンド組んでるんでめちゃくちゃうまいですよ」
友兄「……」
友「そうだね、お兄ちゃんはその歌声でどれだけの人をおとして──はっ!?」
男「うぉ! ど、どうした?」
友「…そういえばお兄ちゃん、珍しくこの前…歌の練習してなかった…?」
友弟「…あ、そういえば…いつもはライブがあろうと練習をしなかったあにきが…」
30:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:30:42.14 ID:
w7EklE3F0
友&友弟「…」ちらっ
友兄「………」
友兄「さて、行くか」すたすた
友「逃げた!?」
友弟「お、男さん!? 僕と一緒にうたいましょうねっ!? ずっとずっと!」
男「お、おう」
友「何を言ってるんだい、ボクが男とデュエットするんだよ」
友弟「僕がするの!」
友「いーや、ボクだよ」
男「どっちでも構わないんだが俺…」
友弟「いっちゃなんだけど、お兄ちゃん…歌下手だよね」
友「っ」
友弟「前からそうおもってたんだよ僕。違うのかな?」
友「…いいだろう、その言葉、しかと受け取ったよ」
31:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:31:34.04 ID:
w7EklE3F0
友「──目にものを見せてあげるよ…この素晴らしい歌声をね」
男「そういえば友の歌声初めて聞くな、俺」
友「ふっふっふ…期待しておきなよ、男」
友「更にボクに惚れさせること間違いなしだよ!」
友弟「…げんめつのまちがいじゃないかな~」ぼそっ
友「…ねえ、最近ちょっとボクに口が悪く無いかな?」
友弟「な、なわけないよー」
男「とにかく行くぞ、お兄さん物凄い速さで去ってるから」
友「…見とけよ馬鹿弟」
友弟「…くすくす」
男(仲が良いんだが悪いんだがわからん兄弟だなほんっと)
男「じゃあ行くか」
友弟「はいです!」
友「うんっ!」
男「うっし、って待て。さっそく喧嘩しそうになるな…おい! 俺の周りをぐるぐると───」
32:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:38:22.89 ID:
w7EklE3F0
~~~
チュンチュン
男「ん…」
男「ふわぁ~…もう朝か…ううん…」ごしごし
男(今日は学校だ…もうそろそろ起きないとな…)
男「朝飯めんどいし…パン途中で買うか…いやでも今月厳しいしな…」
ジリリリリ!
男「うぉっ!? やべぇ遅刻だよ! うわわっ!」ガサゴソ
~~~
男「はよー」
クラスメイト「よぉ男、今日も朝から辛気臭い顔してんなぁ」
男「うるせーよ。てめーこそ何だその顔」
クラ「うん、寝不足です!」
男「…寝不足? またゲームでもしてたのかよ」
クラ「違う違う。そうじゃないって」
34:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:44:08.17 ID:
w7EklE3F0
男「じゃあなんだ、男さんは回りくどいことは大嫌いですよ」
クラ「仕方ねーな。特別に好として教えてやんよ」
クラ「…知ってっか? 今日は隣のクラスに転校生が来るらしいぜい?」
男「てんこーせー?」
クラ「なんだそのマジシャンみたいな言い方、興味ない感じ?」
男「全然ない」
クラ「はっ! これだからお前は…良いか? その転校生ってのは、噂だとちょおおおお可愛いらしいぞ!」
男「ふーん」
クラ「やっべー! 全然共感得られてない!」
男「…別に可愛い転校生ぐらい可能性としてはあり得る話だろ」
クラ「ねぇーよ馬鹿! ドキドキギャルゲーぐらいの確率だよ!」
男「そんなもんかね」
クラ「なんだよお前…前まではすっげー食いついてきてたじゃん、なんなの? ホモなの?」
男「ホモじゃねーよ!!」
36:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:48:32.34 ID:
w7EklE3F0
クラ「うぉおっ? なんだよっ? 急に大声出すなよ…!」
男「えっ? あ、すまん」
男(思わず力んでしまった…)
クラ「…ホモなの?」
男「ち、違うって言ってんだろ」
クラ「…お、おう。そうだよなー! 前に爆乳のエロ本貸しあった仲だもんなー?」
男「お前も声がデケーよっ」
「さっきから色々とうるさいぞ、お前ら」
男「うっ」
クラ「…あちゃ~」
委員長「何を朝から騒いでるんだ。少しは高校生としての自覚を持て」
男「…はいはい、わかってますいいんちょーさん」
37:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:53:37.32 ID:
w7EklE3F0
委員長「分かってるなら自覚を持った行動を持つべきだ。
二年にもなって、馬鹿騒ぎする余裕が有るのなら…」
委員長「…もっと未来の為に時間を浪費しろ」
男「……」
委員長「おい。聞いてるのか」
クラ「あーちょい待ちいいんちょ! コイツってば朝弱いから耳が遠くってさー!」
男「おい、どういうことだお前」
クラ「お前は黙っとけ! …だからね? 今日はこのへんでって事で~」
委員長「…ふん、今後は気をつけろ」すたすた
クラ「ふぅ~、あんまお前も喧嘩腰で行くなよ…」
男「だってうるせーだもんよ。いちいち突っかかってくるしよ」
クラ「そうかもしれないけどさ、だけどいいんちょと対話してる時のお前って…」
男「…なんだよ」
クラ「なんか、厳しくね? 苛ついてるっていうかさ」
38:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:54:22.75 ID:USVrU2Ow0
ホモスレか?全力で支援
39:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:55:54.42 ID:9hQM3nSi0
カマホモスレと聞いて
40:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 15:58:53.01 ID:
w7EklE3F0
男「別に」
クラ「ほら、そんな感じじゃんか。なになに、お前っていいんちょに嫌われてんの?」
男「別に、って言ってるだろ」
クラ「はいはい、そうだねそういうことなんだね。わっかりましたー」
男「……」
クラ「ま、そんなことよりも! おいおい、そろそろ可愛い転校生は教室に来る頃じゃね? んふふ!」
男「いちいち楽しそうだなお前」
クラ「楽しまねーと青春はあっといまだぜ! さて、ちょっくら隣のクラスにおじゃましてくるわ~」すたすた
男「……」
男(はぁ~、青春はあっという間ね…まあわかる気がしないでもないが)
男「……転校生か、誰だろうな一体」
ガラァ!
男「うおっ? な、なんだ?」
クラ「………………………」
男「…ど、どうした? お前?」
41:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:05:05.27 ID:
w7EklE3F0
クラ「………」すたすた
クラ「……男だった」ストン
男「………」
男「えっ? なんて言った?」
クラ「…男でした、転校生」
男「……ぶっ」
男「ぶっはっはっは! ひぃー男ぉ!? あははは! なんだよそれ、くっひひひ!!」
クラ「……笑うなら笑え、こんなオレを笑えぇ…っ」
男「あっひゃひゃひゃ! わら、わらうぞそりゃっ! なんだそれ、おいお前っ…!
か、可愛いってあんだけ期待してっ…男ぉ? くっくっくっ…やべぇ…死んじゃう…!」
クラ「だ、だって可愛い転校生って言ったら期待するだろぉ!? しちゃうだろ!? するにきまってんだろー!!」
男「性別ぐらい噂に流れなかったのかよ? くっく、いやーマジで笑えた腹いてぇ…」
クラ「うぐっ…まあ、あれよっ? たしかに可愛かったよ、顔はな!」
男「へ、へぇー…ふふふっ、だけど?」
クラ「男だけどなぁー!」
男「ぎゃははははは!!」
42:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:09:38.37 ID:
w7EklE3F0
男「あー駄目だ、こんな笑い方したの初めてだぜ俺…」
クラ「ああ…昨日の夜から期待したオレは一体…」
男「それで寝不足だったのかよ、くは! 駄目だ笑いがまた…!」
委員長「ゴホン!」
クラ「うっ! お、おい…男あんまり笑いすぎるなよっ?」
男「え?」
クラ「いいんちょがお怒りだ…」
男「…あーはいはい、了解了解」
クラ「はぁ~なんにしても、この噂を知ってた奴らはみな意気消沈だろうな」
男「なんだ、結構広まってたのか?」
クラ「まな。オレみたいに教室に見に来てた奴らがたくさんいたし」
男「暇なんだな…」
クラ「楽しみといえ」
男「暇な楽しみ方ってことだよ。ま、それもおしまいみたいだけどな───」
男「──……」
43:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:13:35.55 ID:
w7EklE3F0
クラ「ん? どうした?」
男「…………」
クラ「なんだあっち見て固まって…あれ? 転校生じゃん」
「えーと…」
クラ「この教室に用事かね? お、委員長が動いたぞ」
委員長「この教室に用事か」
「あ、うん。そうなんだ、確かこの教室だったと思うんだよね」
委員長「知り合いでもいるのか。では、委員長の私が取り次ぐが」
「ありがとう。でも一目見ればわかると──」
クラ「くっそーやっぱ顔は可愛いよな…男の制服着てるから、男なんだろうけどって、男? 何処行くんだよ」
男「う、ウンコ」
クラ「うんこ? きたねー!」
男「ば、ばかっ! 大声出すなって…!」
「…あ、居た!」
44:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:14:25.91 ID:
w7EklE3F0
男「っ……!!」びくぅ
クラ「」
45:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:17:59.59 ID:
w7EklE3F0
男「っ……!?」びくぅ!
クラ「うんっ?」
「やっと見つけたよ! 探したんだよ、男」
男「…何方でしょうか、もしや誰かと勘違いしてるのでは…?」
「なんなのさ、その反応。ちょっとボクに失礼じゃあないのかな?」
男「…俺は何も聞いてないぞ、一切合切。だから知らな人だ」
「内緒にしてたのさ。驚かせたくってね、いやはや、効果適面みたいだね」
クラ「え? 男…まさか…知り合い?」
男「……」
「ん、こちらは男の友達? はじめまして、この高校に転向してきた──」
友「──友っていいます、気軽に友でいいからね」
クラ「お、おう…」
友「ついでにいうと、男とは中学の時同じクラスだったんだ。今はーえっと~」
男「と、友達! なっ!? 友達だよな!?」
友「うん! そんな感じだよね!」
50:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:36:22.40 ID:
w7EklE3F0
クラ「な、なるほど。なんだよ男、知り合いだったのかよ~!」
男「まぁな、ていうか俺も今知ったけど」
友「んふふ」
クラ「それじゃあオレも自己紹介しないとなっ!コイツとは高校からの付き合いで──」
男「……ん?」
委員長「…」
男(なんだよ、なに此方を見てるんだアイツ)
委員長「…」すっ
男「……」
友「だけど、最近は男の趣味は変わったんだ。今は貧乳派だよ」
クラ「なるほどなぁ…だから最近はオレのコレクションを借りにこねーわけだ」
男「仲良くなりすぎだろ! 俺の個人情報を語り合うな!」
友「いい友だちだね、彼は。ボクも是非とも友達になりたいよ」
クラ「いいぜ! オレはばっちこいだ!」
男「そうかそうか、そりゃよかったな…」
53:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:41:01.36 ID:
w7EklE3F0
友「うん。こうもすぐに仲良く慣れるなんて、幸先がいいね」
男「…友」
友「なんて言ったら男は絶対に、今回のこと許してくれると思ってる」
男「もう許してあげねーからな!」
クラ「いいじゃん、ドッキリサイコーじゃん!」
男「バカは黙っとけ」
クラ「馬鹿ぁ!? 偏差値そんな変わんねーだろ馬鹿!」
男「はぁっ!? 数学ヤバいクセによく言うなテメー!」
クラ「上等だゴラァ…ちょっと問題出してみろてめー…」
男「三十×五十」
クラ「えっと…」
男「バーカ!」
クラ「う、うっせ! いきなり二桁の掛け算はムズいだろ!? えっと…えっと…」
友「ふふっ」
54:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:45:02.83 ID:
w7EklE3F0
男「…とにかく後で色々と説明聞かせろよな」
友「ああ、いいよ。ボクも悪いとは思ってるのだから」
男「はぁ、ほんと。お前はすごいやつだよ」
友「あはは。何を言ってるんだい、君がそんなこと言うなって」
友「──何よりも凄いのは、君のほうさ」
~~~~
昼休み 屋上
男(すげー定番なところに来ちゃった…)
友「おー高い高い、ボクの学校では屋上は立入禁止だったから新鮮だよ」
男「そうか、んじゃ聞かせろ」
友「せっかちだねぇ。まずはお昼ごはんと洒落込もうよ」
男「俺は食わないぞ、昼ごはん」
友「えっ? なんで?」
男「節約」
友「…相変わらずだね、君も。いいさ、そんな君のために用意してたりするんだよ」
55:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:50:47.97 ID:
w7EklE3F0
男「えっ? 弁当作ってくれたのか…?」
友「えへん。どうだい、 食べるかい?」コト
男「マジかよっ。食べる食べる!」
友(本当に単純なやつだ…)
男「うっはー! すげぇ! 豪華だな!」
友「だろう? これ手作りだからね」
男「マジで!」
友「お兄ちゃんがね」
男「マジで!?」
友「凄いだろう、だって何よりもボクが一番驚いてるから」
男「あの人なんでも出来過ぎだろ…つぅか何兄が作ったのどや顔で出してるんだお前…」
友「えへへ」
56:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:54:36.19 ID:
w7EklE3F0
友「まーボクだって弁当ぐらいは作れるけれど、
今日はお兄ちゃんがが作りたいって言われたんだ」
男「なんか食べにくいな…」
友「大丈夫だよ、お兄ちゃんなら何も変なの入れないさ」
男「お前だったらなにか入れるつもりだったのかよ!」
友「冗談だよ。さて、時間も限られてるし食べようか」
男「お、おう…」
友「うんっ」
男「じゃ、じゃあ…いただきます…もぐ」
男「やべぇ…普通にうめぇ…」
友「あはは、だろうね。というかお兄ちゃんは料理なんて作ったことないはずなのに」
男「え? 初めてでこれ?」
友「みたいだよ。馬鹿みたいに馬鹿なほど、お兄ちゃんは天才だから」
57:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 16:58:48.00 ID:
w7EklE3F0
男(普段はあんな格好なのにな…)もぐもぐ
友「それよりもボクが何よりも驚いてたのは、お兄ちゃんのエプロン姿だよ」
男「ぶほぉ! え、エプロン!?」
友「うん。異様だったさ…朝早くのエプロン姿のお兄ちゃんの光景は…」
友「弟なんて、びっくりしすぎて叫び声あげてたよ」
男「うん、俺も上げる自信あるわ…」
友「ともかくそんな愛のこもった弁当箱なんだ。きっちりと食べきろうね」
男「お、おう」
友「もぐもぐ」
男「…と、ところでさ」
友「なんだい?」
男「なんで、急に転校してきたんだ?」
友「あーうん、親に頼んで転向してもらったんだ」
59:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:02:12.92 ID:
w7EklE3F0
男「軽いなオイ!」
友「でしょう。ボクも正直、手軽に転校できて驚いてる」
男「流石はあの母親さんだな…」
友「くす、それにボクら兄弟の母でもあるしね。
子供の意見も尊重してくれる、素晴らしい人だよ」
男「そ、そうだな…俺とおまえの関係も知って認める人だからな…」
友「母もそうだけど、父も案外軽く認めてくれたよ」
男「まあ、なんとなくわかった。だけど転校の理由はなんだ?」
友「え? わからないのかい?」
男「…おう」
友「うっそだー、そんなことないだろ? 君ならわかってくれると思ってたのに…」
男「な、なんだよ…そんなこと言ったってよ…」
友「……」じっ
60:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:07:29.05 ID:
w7EklE3F0
男「え、えっと。もしかして…俺がこの学校に…」
友「家が近いからに決まってるだろ?」
男「嘘つけ!」
友「うん、嘘だよ。君が好きだから転校してきたんだ」
男「うひっ!?」
友「…うひ? 変な驚き方だね」
男「き、気にするなっ。だ、だけどお前そんな理由で…」
友「そんな理由じゃあないさ。それだけのこと、それだけで十分なほどの理由になる」
友「好きでいたい人と側に居たい。それがボクの転校の理由にも、きっかけにもなるよ」
男「友…」
友「えへへ、あのさ男」
男「ん、どうした」
友「…嬉しいかい? ボクが転向してきて、さ」
61:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:11:25.60 ID:
w7EklE3F0
男「……」
友「……」
男「…ごめん正直言うと怖い」
友「怖い!?」
男「そこまでされるとなーって…うん、びっくりしすぎて怖いんだけど」
友「なっ…なっ…!」
男「ストーカーっぽくて、やだ」
友「なにをーっ!?」
男「何か夢のシチュエーション、って思ったりするけどさ。案外、引くんだなこれって」
友「ひどいよっ…こんなのってないよ!」
男「自業自得じゃねえか」
友「そんな反応をもらうとは思わなかったんだよ! なんていうことだ…ううっ…」
男「…ホントに行動力あるけど、メンタル豆腐だなお前」
62:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:14:24.25 ID:
w7EklE3F0
友「もっと喜んでくれるとボクは…っ」
男「いや、喜んでるよ俺」
友「え…?でも、怖いって…」
男「それとこれは別だろ。怖いもんは怖い、だけど──」
男「──お前とこうしてまた、昼休みにご飯食えるのは嬉しいことだ」
友「……」
男「それが俺の正直な気持ち。わかったか?」
友「あ、うん…」
男「よろしい。んじゃ食うぞ」
友「…うんっ」
男「もぐ…あ、そういえばメンタル豆腐で思い出したけど」
友「もぐぅ?」
男「アイツは? 不良のやつはどうしたんだ?」
友「…ごくん、ああ、彼ね」
63:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:19:39.56 ID:
w7EklE3F0
男「まあ元は同じ学校だし、アレからけっこう交友あったんだろ? 言ったのか、転向するって」
友「うん。言ったよ、そした君によろしくってさ」
男「…アイツが? そりゃまた殊勝だな」
友「なぜか号泣してたけどね」
男(き、傷ついてる! 頑張ったんだなアイツ…!)
友「その後走り去っちゃって。それからまだ顔をみせてなけど…大丈夫かな、不良クン」
男「だ、大丈夫だろ」
友「あ」
男「ん、どした?」
友「いけない忘れるところだった。不覚だったよ、ごめんごめん」
男「なんだよ」
友「はい、あーん」
男「えっ!? い、いいよ別にやんなくて!」
友「えー? こういうのはお約束だろ?」
64:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:23:29.35 ID:
w7EklE3F0
男「い、いや! なんていうか…そいうのは二人っきりの時に…」
友「今は二人っきりじゃあないか」
男「今は学校だ! 誰かに見られる可能性もあるだろ!」
友「そんなこと言ってたら、これから学校じゃなにもできないよ」
男「なにか学校でするつもりだったのかよ!?」
友「…夕焼けに染まった教室にてキスとか」
男(やべぇ! なんかそれイイ!)
友「お。顔に出てるねぇ、ツボだったかい?」
男「ぐっ…」
友「ほらほら、今こうやって食べてくれたら…やってもいいんだけどな~」
男「ち、ちがわい! やりたいわけじゃないし!」
友「へ~」
男「くっそ、なんだその表情は。そういう態度してると頬をつねって──」
65:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:26:56.52 ID:
w7EklE3F0
ガチャン
男「んおっ!?」
友「うん?」
きぃ…
委員長「…む」
男「……」
友「あれ、君は」
委員長「ふん」
男「…なんだよ」
委員長「いいや、何も。こんなトコロでまた馬鹿騒ぎかと思ってな」
男「はぁ?」
友「…こらこら、何を喧嘩腰で行ってるんだい」
委員長「別に構わないさ。私は別に、君と馴れ合うつもりは一切ない」
66:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:30:11.36 ID:
w7EklE3F0
男「…いちいちムカつく喋り方だな」
委員長「結構、気に入られるために生きてるつもりは無い」
男「あっそ。それじゃあどうぞ、俺らは動くつもりはないんでね」
委員長「……」きぃ…ぱたん
男「なんだよ、アイツ」
友「こら、男!」
男「…いいだろ別に。俺が悪いわけじゃないじゃん」
友「だからといってあんな態度は無いだろ? 君らしくもない」
男「俺らしくない? 何いってんだよ、気に入らない奴は嫌う。俺だってそんな人間だ」
友「そうともさ!」
男「…ちょっとは否定して欲しかったり」
友「何を言ってるんだい、だけど、確かに君の言うとおりだけど…あからさまに嫌うのは君らしくもないよ」
67:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:34:30.95 ID:
w7EklE3F0
男「…そうか?」
友「そうとも。君は嫌いでも嫌いなりに、間違った方法をとるだろう? 爆乳の歌を歌ったりして」
男「それ忘れてくれ!」
友「とにかく、ああいった態度は良くないよ。ちゃんと向き合わないと、きちんとね」
男「…おい、なんでそんなアイツの肩を持つんだよ。俺、拗ねるぞ」
友「拗ねるの?」
男「拗ねる」
友「じゃあ抱きしめてあげるから許すんだ」
男「……」
友「考えるなよ」
男「ち、ちがわいっ」
友「…理由としてはあるよ、ボクが彼に肩を持つ理由はね」
男「え、理由?」
友「似てるんだ。彼は──ボクにね」
72:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:51:41.21 ID:
w7EklE3F0
男「似てる?」
友「うん、彼は昔のボクにそっくりなんだ。中学の時の頃の、ボクとね」
男「いや全然似てないけど」
友「…表面上のことじゃないよ、精神面だよ」
男「似てない」
友「…本当に君は彼のこと嫌いなんだね、そんなに意固地になるなんて」
男「だって、似てないし。お前とアイツを一緒にするなよ」
友「了解。わかった、君がどれだけ嫌いなのか理解したよ。んじゃこの話はおしまいだね」
男「そうしてくれ」
友「時間もそろそろだし、食べきっちゃおうよ」
男「うっす」
~~~
73:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:55:13.05 ID:
w7EklE3F0
男「んじゃな、また明日」
友「うん、今日は一緒に帰れなくてごめんね」
男「用事があるなら仕方ないだろ。謝るなよ」
友「あはは」
クラ「…なーんかカップルっぽいなお前ら」
男「えっ!?」
友「そう思う?」
クラ「思う。すっごく思っちゃう、やべーぐらいに何か雰囲気よすぎ」
男「ほ、ほんとお前は馬鹿だなぁ!」
クラ「………」
友「そう疑われるのは、いささか心外だよクラくん」
クラ「そかね?」
友「ああ、ボクと男はカップルなんかじゃあないさ」
友「──夫婦だよ! もうすでに夫婦なんだ!」
74:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 17:58:30.27 ID:
w7EklE3F0
クラ「な…なんだと…っ?」
友「まあ嘘だけどね」
クラ「嘘かよ! 鬼気迫った顔だったぜっ? なぁ男? 男…?」
男「」
クラ「たったまま気絶してやがる…!」
友「あはは。それじゃあね、また明日」
クラ「うっす!」
男「ハッ!?」
クラ「よぉ、夫」
男「ち、違うわ!」
クラ「ぬはは、ま! わかってんよ、オレは冗談は通じる男だからな!」
男(ある意味通じてないけどな…)
クラ「んじゃ明日な、男!」
男「お、おう」
76:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:03:32.09 ID:
w7EklE3F0
男「……」
男「俺も帰るか…」
~~~
男「ふーんふんふん」
男「今日は何処で買い物すっかなー」
どさぁ!
男(ん? なんだ物音?)
男「…この路地裏から聞こえたな」
男(ココらへん治安悪いしな。不良校も近くにあるし…誰か喧嘩でもしてんのかね)
男「くわばらくわばら、関わらないことに越したことねえな」くるっ
「や、やめろ! それぐらいにしてくれっ…!」
男「……この声」
~~~
「んだよ黙って殴られとけ」
「…も、もうよしてくれ…私は別に何もしてないだろっ…」
77:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:06:45.38 ID:
w7EklE3F0
「おい? 聞いたか? ぎゃはは、私は何もしてないだろぉ~だってよ!」
「んな辛気臭ぇーこというなよ、な? こっちは楽しく殴ってるんだからさぁ~」ドス
「グッ…!?」
「ところで持ってきたんか?」
「え…」
「財布だよ財布、今月のご機嫌取りもらってね~だろ」
「な、なにをっ…それはすでに機能あげたではないか…っ!」
「えっ? もらったっけ? 忘れた忘れた」
「なっ…」
「ぎゃはは! なにそれ馬鹿丸出しだろー!」
男「……」
男(はぁ~…なんか声に釣られて来たものの、案の定か)
78:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:10:51.18 ID:
w7EklE3F0
男「遠目で見るとあれ、委員長だよな」
委員長「……」
男(何やってんだか。あの不良らと)
男(ま、みりゃーわかんだけどな。どーせ金でもせびられてるんだろ)
男(…どうしてそうなったかは知らねえけどよ)
委員長「…今日はもう金は無いんだ、昨日渡したもので今月は…」
「はぁ? お前、いいところの坊ちゃんだろ? 親に欲しいですって言えばあんだろうが」
委員長「…私の家はそこまで自由はない、親に言えるほど…」
「んじゃ盗って来いよ間抜け! んぐらできっだろ?」
委員長「そ、そんなこと…!」
「はぁ? 口答えすんなって!」
委員長「うっ」
80:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:13:02.13 ID:
w7EklE3F0
「とにかく俺らは今日、金がほしーの。わかる?」
委員長「…」
「今から取ってこいよ。俺らは待ってるからよ~」
委員長「……」ずりっ
「お、行くのか? いってらっしゃーい」
「ぎゃはははは」
委員長「っ……」
~~~
委員長「くそっ…くそっ…」ずりずり…
委員長「なんで私がこんなめにっ…くそっ…」
「しょうがねーんじゃねえの」
委員長「っ…!?」
男「俺はそう思うけどな、委員長」
81:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:17:06.05 ID:
w7EklE3F0
委員長「お前っ…! 見てたのか…?」
男「まあな」
委員長「っ…なんだ、何が言いたい…!」
男「別に、自業自得って言いたいだけ」
委員長「……っ…」
男「安易に予想つくけどな。アンタがなんでアイツに絡まれてるか、なんて」
委員長「……」
男「どうせ、よくわからん正義感を振りまいたんだろ? 説教でも浴びせたのか?」
委員長「…うるさい、お前には関係ないだろう…」ずりずり
男「あっそ」
委員長「……」ずり
男「…どうした、親の金を盗りに行くんだろ」
委員長「…お前はわからないだろうな、私の気持ちなど」
82:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:24:13.30 ID:
w7EklE3F0
男「わからん」
委員長「ああ、だがな…そうやって見て見ぬふりをしてる限り…なにも生まれはしないぞ…」
男「わかりやすく言ってくれ、馬鹿な俺にはわかんねーから」
委員長「…そうだろうな、ふんっ」ずり…ずり…
男「………」
~~~
「アイツ盗ってくると思う?」
「くるんじゃね? わっかんねーけど」
「ぎゃははは! だったらアイツ、犯罪者だな!」
委員長「…」ずり
「お、来たじゃん! はえーな!」
「おっかえりーどうだった?」
「金は金? ぎゃははは」
委員長「…これで良いのだろう」
83:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:27:37.07 ID:
w7EklE3F0
「おーやるじゃんお前」
「どおどおー? うっは、すっげーしょべぇ!」
「せんwwwえんwwww」
委員長「…それしかなかったのだ」
「うそつけバーカ! んなことねーだろ?」
「だろーこんなの俺らバカにしてるだけだろー」
「マジかwww貧乏なんじゃねwwww」
委員長「…そのとおりだ。我が家は経済的余裕など無い、私もバイトをして稼いでいる」
「はいはい。いいから見え透いた嘘は、信じねーよ」
委員長「ほ、本当のことだ! 私は本当に…!」
「んじゃーもういいよ、俺ら喉乾いたから」
「とってきてーちょ! コンビニでもいいからさぁ!」
85:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:30:21.72 ID:
w7EklE3F0
委員長「ばかな! それは犯罪だ…!」
「俺ら関係ねーし、いいからいってこい。殴るぞ?」
委員長「うっ」びくぅ
「うっはwwwびびってるwww」
委員長「…っ」
「なぁ? 殴られる前に早くいけよ、とっとさ」
委員長「…わ、わかった…」
「いくってさーマジかよー」
「はっwんwwっwざいwwwしゃwww」
委員長「……」
「──あーもしぃもっしぃ!」
委員長「…っ?」
「あぁあー! オレオレぇ! そうそう! 今にやってんのォッ!?」
87:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:34:17.89 ID:
w7EklE3F0
「なんだぁ…?」
「なにあいつー?」
委員長「お前は…」
男「えっ!? ゴルフ場で盆踊りっ!? なにそれやっべぇえええええ!!!」
「うはっwww超声うるせぇwwwww」
「なんつぅデカ声だよっ…おい! お前!」
男「はいはいはい! わかったわかった、晩御飯ねっ! 了解了解!」
「無視すんなごら! 聞いてんのか!?」
男「えっなになに? きこえなーい? バカが隣でうるさくってさ~」
「テメーのほうがでかいwwww」
「…ふざけんな、オイ此方向け!」
男「…はいはい、わかったから」ぴっ
男「なに? 電話の邪魔なんだけど」
「邪魔だァ? てめーこそ邪魔なんだよ、喧嘩うってんのか?」
88:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:38:11.03 ID:
w7EklE3F0
男「…喧嘩? え、喧嘩? なにそれ俺売ってるように見えるの?」
「はぁっ!?」
男「ちょっとまってくれよ。俺、電話してただけだぜ? なんなのそれ、ありえなくない?」
「……」
男「少しは考えろよ。俺はたまたま電話してただけ、のっと喧嘩、わかる? 日本語ワカリマースカ?」
「…おい、殴られてーのか」
男「なんだやっぱ外国人か。すんません、俺日本語しか喋れないんです」
「死ね」ブンッ
男「痛ぁ!?」
「ちょwwwよわいwww」
男「な、殴ったな!? おい、今殴っただろ!?」
委員長「おい、やめろ! 彼は関係ないだろう!」
「…なんだ知り合いか、てめーら」
89:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:42:07.27 ID:
w7EklE3F0
委員長「そ、それは…っ」
男「はぁ? なわけないだろ、こんなモヤシメガネ」
委員長「…なんだと?」
男「モヤシメガネ、と言ったの」
委員長「き、貴様…ッ! このメガネを侮辱したのか…ッ!?」
男「え、切れたところそこ?」
委員長「このメガネはだなぁ!? 私の親が働いて買ってくれたメガネだぞ!
ばかにすることは誰も許さん! この大声公害人間が!」
男「…おい、テメーなんつった?」
委員長「壊れたスピーカー」
男「お、おいッ! おいおいおい! それは言っちゃいけねー約束だろ!」
委員長「いつ約束した! 貴様とは喋ることすら気色の悪いわ!」
91:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:45:23.21 ID:
w7EklE3F0
男「俺だってアンタとは会話することすら鳥肌モンだッ」
委員長「奇遇だな、私もそう思っていたところだ」
男「んっとアンタは大っ嫌いだ。死ね馬鹿クソメガネ」
委員長「なっ!? また私のメガネを馬鹿にしたな!?」
男「きったねーえんがちょ、洗ってるのそのメガネ?」
委員長「うがぁあああああああ!!!」
「うるせぇええええ!!」
男「…ほらお前が大声出すから怒っただろ」
委員長「…貴様のせいだろ」
男「おい、さっきから貴様貴様って失礼だろうが」
委員長「気安く話しかけるな。鼓膜が破れる」
男「敗れませんけどぉおおおおおおお?!」
委員長「うるさいぞッ!」
92:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:49:54.11 ID:
w7EklE3F0
「てめーらこそうるせぇんだよ! 勝手に話すな! 俺の話を聞け!」
男「だってさ、聞いてやろうぜ」
委員長「……」
「わかった! てめーコイツを助けに来たのか? はっ、いいやつだなお前ー」
男「違うけど?」
「ちがうってさwww」
「…じゃあ何しにきたんだ、お前」
男「だから電話って言ったじゃん」
委員長「…そんなもの嘘だろう。誰もが気づいてるぞ」
男「え、そう思ってんの? マジで?」
委員長「…余計な真似を。だから貴様は嫌いなんだ」
男「……」
委員長「〝あの時〟もそうだった。貴様は何時だって──」
男「──いや、待ってくれ」
93:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:52:31.42 ID:
w7EklE3F0
委員長「…なんだ」
男「急に懐古してるところ悪いけど、俺本当に電話してただけだから」
委員長「なんだと?」
男「うん」
委員長「今の電話内容で、何を伝えていたんだ…?」
男「いやだって、内容なんて意味ないし。そもそもアイツに電話した時点で──」
男「──俺的には成功かな、って思うし」
委員長「一体何を言って…」
「──よぉ…男、てめーなにを電話してくれちゃってんの」
委員長「…え?」
男「よぉー! よくこの場所がわかったな!」
94:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 18:55:56.48 ID:
w7EklE3F0
「っ…わかったねーよ! 馬鹿野郎! あんなうるせぇ声だったらわかるわ!」
男「釣れないこと言うなよ、同じやつを好きになった好だろ?」
「て、てめぇー…またオレをいじめてーんだなァ? そうなんだなぁ!?」
委員長「だ、誰だこの人は…」
男「うん? 不良だけど?」
不良「不良いうなやっ! てめーは本当にうぜぇやつだな!」
男「はいはい」
不良「流すなよ!」
「誰だコイツ…」
「うはっwwwふえたんすけどwwww」
不良「んで、なんなんだこの状況は」
男「見た感じ絡まれてる」
不良「…また問題ごとかよーてめーは本当にお人好しだな」
男「ちげーよ」
96:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:01:14.24 ID:
w7EklE3F0
不良「お人好しじゃねーか。これで何回目だよ」
男「さぁな」
委員長「……」
「…あ、なんか見たことあるって思えば…!」
「しってんのー?」
「ああ! アイツ! 隣の高校の赤鬼だ!」
「赤鬼wwww……赤鬼…ッ?」
男「おっ、有名じゃんお前」
不良「ふっ、まーな。これでも不良どもにはちっとは名をしれた存在だぜぇ?」
「知ってるぞ…あれだろ、何十人もの不良を泣きながら殴り倒す鬼…!」
不良「な、泣いてなんかいねーよ! ちょっと拳が痛かっただけだし!?」
男「しまらねえな…」
不良「う、うっせーし! お前らも黙っとけ!」
「ひぃwwwこわいっすwっwせんぱいwww」
97:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:04:29.74 ID:
w7EklE3F0
不良「んでなんだ、こいつらを締めればいいわけかぁ?」
男「いいよ喧嘩になんなくて。友に嫌われるぞ」
不良「マジでっ!?」
男「マジで、というか俺がチクる」
不良「最悪だなてめー!」
委員長「お、おい…」
男「ん、そうかちょっとまってくれ──不良、あいつらがもってる千円とあと、財布を盗ってくれ」
不良「あー? なんでだよ、ふっざけんなメンドクセェ」
男「そしたら友のウェディングドレスの写真見せてやる」
不良「行くぜてめーら覚悟しやがれぇえええええええええ!!!」
「ええええっ!?」
男「さて、行くぞ委員長」
委員長「お、おい…!」
98:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:08:26.02 ID:
w7EklE3F0
~~~
男「ふぅ」
委員長「はぁ…はぁ…いいのか、彼を放っておいて…」
男「いいんだよ別に、最近は良い子ちゃんになってるし、いい運動になるだろ」
委員長「…しかし何故彼のことを不良と呼ぶんだ? かなり、その…」
男「見た目的には、めちゃくちゃ清楚的美少年だって? くっく、そりゃ最近の話だからな」
男「昔は髪は金髪、ピアスにタバコって。本当に不良だったからだよ」
委員長「……」
男「ま、だいぶ印象が変わっちまったけどな。いいことだって、俺は思うけど」
委員長「…その原因として、貴様も関係してるのか」
男「えっ? あ、うん…してるっちゃしてるのか…わからん…」
委員長「まあいい、それよりも」
男「あん?」
99:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:12:27.74 ID:
w7EklE3F0
委員長「──ありがとう、助かった」
男「……」
委員長「貴様は助けたつもりはない、と言うのだろうが。礼だけは言わせてくれ」
男「…おう」
委員長「それでおしまいだ。あと、私は貴様のことは嫌いだからな」
男「今言わなくてもいいだろ」
委員長「ケジメだ」
男「…あっそ、ならいいけど」
委員長「……」
男「それじゃ後は…気をつけて帰れよ。財布と金の件は追々連絡すっから」
委員長「…わかった」
男「ああ、それじゃあ」
委員長「っ…少し、待ってくれ!」
100:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:15:36.02 ID:
w7EklE3F0
男「…なんだよ?」くるっ
委員長「っ…えっと、だな…その…」
男「早くしないと、スーパーの買物乗り遅れるんだけど」
委員長「そ、それだ!」びしぃ!
男「えっ?! な、なんだよ?」
委員長「ば、晩飯……一緒に食べるか?」
男「……」
男「え?」
~~~
委員長「ここだ」
男「お、おう」
委員長「鍵をあける。待っててくれ」カチャカチャ
委員長「いいぞ、入ってくれ」
男「…お、おじゃましまーす」
101:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:18:56.27 ID:
w7EklE3F0
男(だいぶ風格のある…いや、本当になんていうかボロいな…)
委員長「ボロい家だろう」
男「えっ! い、いやー…」
委員長「いい、わかってるからな。では上がっていいぞ」
男「…うん」
委員長「狭いがここでくつろいでてくれ、私は着替えてくる」
男「…了解」
男「……」すとん
男(なんか流れに乗ってたらあがっちゃったわ…)
男「すげー気まずい…」
男「てか、本当に…なんていうか貧乏だったんだな。アイツの家」
男(学校だと生まれ育ちが良い、ボンボンっぽい雰囲気なんだけどな)
102:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:20:58.08 ID:cMe2v4WC0
不良はチョロかわいい!
103:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:21:41.49 ID:
w7EklE3F0
男「……」
男「ん、隣の部屋のふすまが少し…」
ガタン!
男「うぉおおっ!?」
「ふぇっ…ふぇっくしッ!」
男「おおっ…?」
「…あんちゃん? かえってきてんの?」
男「うん? いや、ごめん俺は…」
「ふえ? 誰ぇ?」
男「…そのクラスメイト、かな」
「ふぇーそうなんだぁーあたし、あんちゃんの妹」
男「妹…?」
妹「うん、妹っすよろぴくー」
105:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:27:00.94 ID:
w7EklE3F0
男「よ、よろぴく」
妹「…なんか、あんちゃんの友だちっぽくない感じっすね」
男「まぁー…えっと友だちじゃねえしな」
妹「あ、やっぱり? だってあんちゃん友達居ないしねぇ」
男(反応に困ることを言いおって)
妹「んーでも、あれ? 同じ学校なんすね、ほうほう」
男「それがどうした?」
妹「いーえなんにも。あ、あんちゃんに晩飯になったら起こしてっていっててくれないっすか?」
男「…客だぞ、こっちは。用事を頼むなよ」
妹「あっははー、妹だぞこっちは!」
男「意味がわからん!」
妹「のりいいっすねー! 好きっすよ、そういうの」
男「…とりあえず、わかった。伝えとけば良いんだな」
106:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:31:26.46 ID:
w7EklE3F0
妹「あれ? いいの? …よくお人好しって言われたりするっすね」
男「断言するなよ」
妹「あはは、ほんっとノリがいいっすね」
男「うるせーよ」
妹「……」
男「…何? 寝るんじゃないの?」
妹「あんちゃんのこと、好きっすか?」
男「嫌いだけど?」
妹「まっ! ほんとっすか? めずらすぃー!」
男「珍しくないだろ、アイツの事なんて好きな奴は居ねえだろ」
妹「そうっすか? 嫌いじゃなくって、苦手って人は多そうだけど」
男「……」
妹「それに、嫌いって言える人。あんちゃん、好みのタイプっすよ」
107:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:34:08.52 ID:
w7EklE3F0
男「知らねえよ、アイツの好みのタイプなんて。俺は知りません」
妹「んふふ」
男「…なんだよ」
妹「わかってないっすね。妹的にも理解で来てるのに、だめだめっすね」
男「……」
妹「とにかくあんちゃんは、いわゆる──」
ガラリ!
委員長「おい」
男「うおっ?」
妹「あ、あんちゃん…」
委員長「帰ってたのか。なら、返事ぐらいしろ」
妹「ね、ねてたしー? きこえなかったしー?」
委員長「…そうか、ならいい。それで? 今何を話してた?」
108:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:36:31.53 ID:
w7EklE3F0
妹「べ、別になあにも話してないけど?」
委員長「……」
妹「………」ドキドキドキ
委員長「男」
男「あ、うん。どうした」
委員長「とりあえず茶を出さないとな、妹。出しておいてくれ」
妹「りょ、りょうかいっ」
男「いや、俺は別に…」
委員長「黙って座っておけ」
男「…おう」
委員長「すぐに晩御飯も作る。手間は取らせない」がたっ
委員長「……。ふん!」ぴしゃり
110:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:41:01.04 ID:nYo407UA0
男「……はぁ~、なんか知らんけども全然落ち着けねぇ…」
男「ていうか、アイツのエプロン姿なんて…しかも下、ジャージだったぞ」
男「よくわからんが、新鮮だな」
~~~
委員長「妹、ご飯と箸を持ってきてくれ」
妹「りょーかーい」
男「なんか俺も手伝うよ」
委員長「貴様は客だろ、黙って口を閉じて座っておけ」
妹「こら、お客さんならもっと丁寧にお願いしなきゃ!」
委員長「…貴様の声はうるさいので、おとなしく座っておいてください」
男「それでいいと思ってんのか!」
妹「あっはは! ナイス! 良いツッコミ!」
委員長「…コイツに大人しく頼んでも無駄と知ってるからな」
男「もう帰っちゃうぞ俺」
委員長「む! それは駄目だ! もうじきできるからな!」
111:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 19:44:12.47 ID:
pIzT4BVA0
委員長「ほらできたぞ、どうだ」
男「もやし炒め?」
委員長「そうだ、我が家特製のソース付きだ」
妹「うっうー」
男「…栄養価が偉いことになりそうだな、これ」
委員長「腹には溜まる」
男「そういうもんでいいのか…?」
妹「大丈夫っすよん、意外と」
男「…じゃあ信じるぞ」
委員長「味は保証する。では、席についてくれ」
妹「あーお腹すいたー」
男「…親は?」
委員長「仕事だ。帰宅は夜中だな」
男「そっか」
115:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:03:24.22 ID:
pIzT4BVA0
委員長「それでは、いただきます」
妹「いただきまーす」
男「…いただきます」
~~~
妹「ふにゃーおなかいっぱいっすっ」
委員長「ごちそうさまでした」
男(…意外と美味かった、後でこっそり妹にソースの作り方を聞いておこう)
委員長「お茶を出す。待っておけ」
男「あ、いやっ! いいって、俺はもう帰るから」
妹「えー? 帰っちゃうんすか? マリカーしようよマリカー!」
男「ああ、すまんな。だけど用事があるんもんでさ」
委員長「…そうか、では途中まで見送るぞ」
男「別にいいって。気にすんな」
委員長「駄目だ。委員長として、クラスメイトを見送らなければ」
男「責任感ありすぎだろ」
117:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:12:32.61 ID:
pIzT4BVA0
~~~
男(といいつつ、本当に見送ってもらう俺)
委員長「……」
男(コイツと一緒に歩幅を合わせて歩く日が来るとは。思いもよらなかったな)
委員長「…この道を真っ直ぐに行けば、通学路に行ける」
男「そうか、わざわざすまんな」
委員長「気にするな」
男「おう、そっか」
委員長「……」
男「…なんだよ、帰るぞ俺?」
委員長「ああ…」
男(じゃあそんな顔をするなよ!)
男「…用事でもあんのか?」
委員長「えっ? いや、そういうことではないのだが…」
119:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:22:48.21 ID:
pIzT4BVA0
委員長「……少しだけ、貴様に言いたいことがあると」
男「言いたいこと?」
委員長「思ったんだが、やっぱり気にしなくて良い」
男「もう言っちまえよめんどくせぇ!」
委員長「うっ…」
男「なんだよ、ハッキリと言え。お前らしくもない」
委員長「……」
男「んなに言い難いことなのか? だったら言いかけるなよ、俺は絶対に聞き出すぞ」
委員長「…しつこい奴なんだな」
男「うっさい」
委員長「じゃあ、言葉に甘えさせてもらうが。いいだろうか、1つだけ聞かせてくれ」
男「あんだよ」
委員長「…ホモなのか?」
120:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:27:19.03 ID:
pIzT4BVA0
男「…え、なんでそんなこと急に?」
委員長「今日の昼休み、貴様と転校生が…」
男「え…?」
委員長「──キスをする所を…」
男「してねーよ馬鹿! ふざけるな!」
委員長「してなかったのか? だが、たしかに私の目には…」
男「びっくりした!おいおい! お前のメガネは度なしか? 違うだろ、どうみたって違っただろ!」
委員長「じゃ、じゃあ何をしていたんだっ?」
男「え? …あーん、かな」
委員長「あーんっ!? あーんと言ったのか今!?」
男「まぁ…そうなるかなぁ」
委員長「なぜそこで照れる!? ちょ、ちょっと待て! 転校生は…男だろうっ?」
男「男だな」
委員長「そして貴様も…性別は男、だ」
121:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:29:58.80 ID:
pIzT4BVA0
男「俺が女に見えるのかよ」
委員長「見えんっ! だ、だが! だからこそ変だろう!?」
男「変だな」
委員長「だろう! なのに、なぜ…っ…あーん、をしあってるんだ…っ?」
男「うむ…」
委員長「へ、返答次第では…貴様と距離を取らざる負えなくなるぞ…」
男「…ま、そうなるわな」
委員長「ど、どうなんだっ?」
男「……」
委員長「な、なぜ黙る!」
男「あ、すまん。どう答えたものかって考えてた」
男「──まあいいや、お前だったら信用できるし」
委員長「…え?」
122:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:32:58.94 ID:
pIzT4BVA0
男「別に俺はホモじゃねえよ」
委員長「……ほ、本当にか」
男「そうだな、いわゆる一般的な男好きってやつじゃない」
委員長「そ、そうか…」
男「だが、友は大好きだ」
委員長「……へ?」
男「友は、大好き、だ」
委員長「な、なななっ…えっ? 何を言って…?」
男「何度も言わせるなよ。俺は、友のことは好きだって言ってんだ」
委員長「…ライク?」
男「ノット、ラブ!」
委員長「……!?」
男「んふふ、引いたか? 引いちゃったか?」
123:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:35:39.65 ID:
pIzT4BVA0
委員長「………」
男「そうだろうな、うんうん、仕方ねえよな」
委員長「…貴様は何時から…」
男「何時からって、まあごく最近だけどな。色々とあって、アイツとはそういう仲だ」
男「…更に引くかもしれないが、キスだってしてるぞ」
委員長「…!?」
男「おー引いてる引いてる」
委員長「よ、よくもまぁ…! そう安々と語れるなっ!」
男「お前だからだよ」
委員長「っ…え?」
男「お前だから、俺は正直に答えた。信用してるし、俺的には」
委員長「信用…? さっきもそう言ってたが、私は貴様のことは嫌いだぞっ?」
男「嫌いと信用は違ったもんだろ。嫌いだからわかることもあるしな」
124:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:39:23.26 ID:
pIzT4BVA0
男「正直に言うけど──俺はお前みたいな正義感の塊が、大っ嫌いだ」
男「人が出来る事も限られてる。やれば出来るなんて、幻想を持ってる奴…そんなお前が嫌いなんだ」
委員長「…」
男「だけどさ、そういった考えを持ってる奴こそ…ちゃんと考えてくれると思ってる」
男「決して言いふらさないって。俺と友の関係もきちんと秘密にしておいてくれると、な」
委員長「…なぜそう思う」
男「だから、嫌いだからだよ。お前のことが」
委員長「……」
男「俺がお前のこと嫌いな限り、信用してるってことだ」
委員長「…バカがいうことは訳がわからんな」
男「そうだな、そう思っとけ」
委員長「じゃあ…貴様はホモじゃないが、転校生とは好きあってると?」
男「オフコース。覚えておけよ、あとで思い出してドン引きでもしとけ」
125:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:44:45.87 ID:
pIzT4BVA0
委員長「…今でも十分、ドン引いてる」
男「あっはっは、だろうな! いいんだよ、それが普通の反応だしな」
委員長「…貴様は何を考えてるんだ」
男「うん? 何を考えてるか、か。そうだな、敢えて言わせてもらうなら──幸せか」
委員長「幸せ?」
男「おう。一番って言えるほどの幸せを…って考えると今の状態がベストなんだよ」
男「問題は山積みだし、いちいち危険だって伴う。だけどよ」
男「──なによりも幸せでいられる努力は、何時だって無駄じゃないだろ」
委員長「…ただの自己満足だ、それは」
男「結構だ。自己満足主義愛、実に俺らしくてかっけーじゃん」
委員長「か、かっこ良くはない! それはッ! ただの非生産的で無意味な行動だ!」
男「それも結構だ。だがそれに、無意味と決め付けるのはお前じゃない。俺が決めることだろ?」
126:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:49:37.67 ID:
pIzT4BVA0
男「突っかかるなよ委員長。何を言ったって、その問題は俺的には解決してる」
委員長「なにを…」
男「好きなもんを好きだという、それが俺にとって自慢だ」
男「──他の誰がなんと言おうと、俺は何時だってアイツの事…好きでいてやるんだよ」
委員長「………」
男「ま、そんな感じだ。わけわかんねーならそれでいいよ、気にしないしな」
男「これから距離を取りたかったらそうしてくれ。あと、友のやつには何も言うなよ? 怒られるからな!」
委員長「……」
男「…そんじゃ、さよなら」
すたすた…
「──待ってくれ!!」
127:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:53:12.06 ID:
pIzT4BVA0
男「…んだよ、まだ言い足りないのか?」
委員長「っ…ああ、まだいい足りないな!」
男「じゃあ言っちまえよ。スッキリするまで付き合ってやるから」
委員長「……」ズカズカ!
男「おおっ!? な、なんだよ急に近づいてきて!」
委員長「こ、ここに来い! 明日、放課後になってだ!」びっ
男「え? なに?」
委員長「このメモに書いてるところにだ…! いいかっ? わかったかっ!?」
男「お、おおっ?」
委員長「…用はそれだけだ、帰っていいぞ」
男「わ、わかった。もういいんだな?」
委員長「良い」
男「…じゃあ帰るぞ、妹さんによろしく言っておいてくれ」
委員長「………」
128:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 20:56:15.86 ID:
pIzT4BVA0
男(何か忙しないやつだな…こんなやつだったか?)
委員長「──おい! 男!」
男「…んだよ?」くるっ
委員長「……あの時のこと、私は忘れたこと無いぞ」
男「………」
委員長「ただ、それだけだ」
男「…そうかい、ならいいよ。礼なんてもんも要らないからな」
委員長「ああ」
男「んじゃな、さよなら」
~~~~
男「というわけで、ついていてください!」ばっ
友「えーなんでボクが~?」
男「しょーじきに言うと! めちゃくちゃ怖いんです! もうヤバイぐらいに!」
友「怖い? へぇ~それってボクが転向してきたぐらいに怖いのかな?」
男(まだ根に持ってる…!)
129:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:00:30.76 ID:
pIzT4BVA0
友「どうなんだい、そこのところは」
男「…同等レベルです、ハイ」
友「なるほどね、君がそういうのなら仕方ないねぇ」
男「ついてきてくれる、のか?」
友「いいよ、ボクだって彼が何を考えてるのかが気になるし」
男「ありがとう…っ! マジでありがとう…っ!」
友「…。君は本当に彼が嫌いなのかい? それとも怖いのかい?」
男「迫られたら、怖いだろ…嫌いなやつから…」
友「…そうか、じゃあそう納得しておくよ」
男「おう…」
友「それよりも、ボクは君が彼の家で晩御飯を食べた理由が気になるのだけれども?」
男「…たいしたことないから、うん」
友「ふぅーんほぉーん」
130:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:05:29.49 ID:
pIzT4BVA0
男(めっちゃ疑われてる…)
友「…君は誠実そうに見えて、あれこれ色々な人にちょっかいをかけるからねぇ」
男「し、失敬なッ!」
友「じゃあ最近の不良くん。あれって君のせいじゃあないのかい?」
男「ま、まっさかァ?」
友「あえて口には出さなかったけれど。彼の変貌ぶりは友だちであるボクでさえも非常に驚きだよ」
友「…というか、最近は驚きっぱなしだよ。本当に」
男「そりゃまあ? 俺とお前が付き合う、っていうかそんな関係になるぐらいだしなっ?」
友「それによって人間関係に変化があるって言いたいのかい? ふふ、違うだろ?」
友「それが君の力なんだ。君はいるだけで人を渇望させる、変化を望ませる、答えを見つけ出そうとする──」
男「だぁーもう! その話はやめろ!」
友「何言ってるんだい。そんな君のことを、ボクは好きになったんだから…言わせてくれたっていいじゃないか」
男「…勘弁して下さい」
132:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:09:54.03 ID:
pIzT4BVA0
友「ふふ、さて。そういう風にことが運んでいるのなら──是非ともボク的にも見届けたいよ」
友「君は更に誰を、感謝させるのかなってさ」
男「俺が正義のヒーローみたいな言い方をするなよな…」
友「じゃあボクだけの勇者だね」
男「…ん、それなら誇れるわ」
友「ふふんっ」
男(嬉しそうだな…)
~~~
友「さて、放課後だけど…あれ? もう委員長くんは居ないみたいだね」
男「終わり次第、駆け足で走り去っていったな」
友「そうなんだ。なにか理由でもあるのかな、出来れば一緒に向かいたかったのだけれども」
クラ「…およ? なんの話?」
男「お前には関係のない話だ」
クラ「ひっどーい! いいじゃんいいじゃん、仲間はずれにするなって!」
133:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:13:39.01 ID:
pIzT4BVA0
友「そうだぞ男! 彼は大切な君の友人じゃあないか!」
クラ「でしょでしょ?」
男「じゃあ今日は1人で行くわ」
友「ごめんねクラくん、今日は仲間じゃあないや!」
クラ「変わり身早いよね!? そんなキャラなのっ!?」
友「ごめんね…ボク、男には逆らえないんだ…ううっ…」
クラ「ああ、コイツって強引なところがあるからな…」
男「納得するな馬鹿」
友「あはは、それじゃあまたね」
クラ「うぃっす、気をつけて帰れよ」
男「んじゃな、また明日」
友「…それじゃあ行こうか、うん」
男「…そ、そうだな」
~~~
134:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:17:27.36 ID:
pIzT4BVA0
友「──ここみたいだね」
男「ここか…」
友「なんだか趣きのある──良い喫茶店っぽいけれど」
男「確かに、待ち合わせとしては十分な場所だな」
友「外装も綺麗だし、凝ったインテリアも窓から伺えるよ」
男「まあ一概に言えば、オシャレな喫茶ってんだな」
友「…うーん」
男「どうした友?」
友「いや、ね。窓越しに確認してみたのだけれど、どうも委員長くんの姿は見えないようだよ」
男「あれ? でも、さっき先に帰ってたよな?」
友「そうだよね。何か理由でもあるんじゃあないかな、中で待ってようよ」
男「そうだな」
チリンチリーン」
135:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:21:15.78 ID:
pIzT4BVA0
「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ」
男(うぉ! なんかすげーマスターぽい人だ! かっこいい…)
友「こら、立ち止まってないで!」
男「お、おう。すまん」
友「よいしょ、へーやっぱりお洒落だねぇ」
男「そ、そうだな。ちょっと緊張するな」
友「そうかい? 君でも緊張するんだね」
男「喧嘩買うよ?」
友「じゃあ売らないでおくね。あ、メニューがあるから頼もうよ」
男「…そうだな、じゃあ俺はコーヒーで」
友「ボクもコーヒーだな。すみませーん」
「──は、はい」
友「えっとですね、このお勧めコーヒーを2つで」
男(うん…?)
136:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:24:52.44 ID:
pIzT4BVA0
「わ、わかりました…当店おすすめのコーヒー、2つですね」
友「お願いします」
男(いや、別に注文内容が気になる訳じゃなくって…あれ? なんか今、違和感が…)
友「…ん? どうかしたのかい?」
男「い、いや。別に気にしないでくれ、なんかちょっと…」
友「ちょっと?」
男「違和感っていうか、なんだろうな」
友「変な男だね。やっぱり緊張してるの?」
男「…かもな」
男(むしろそうであって欲しいと、願ってるきがする)
「お、おまたせっ…しました…!」
男「お。来たか…」
男(って、今気づいたが可愛い…制服? なのか? メイドっぽいけどこういうのは──ちょっと惹かれるな)
137:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:27:52.94 ID:USVrU2Ow0
おおお?
138:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:29:01.32 ID:
pIzT4BVA0
男「……」
友「むっ、ちょっとだらしない顔してるよ男」
男「えっ? マジで!?」
友「ああしてたね、丸っきりデレデレ~ってしてたよっ」
男「ま、まさかそんなワケ!」
「えっと…ごめんなさい…」
男「いえいえ! 別に俺が悪いだけであって! 何も悪いことはないっすよ!」
友「…今認めたんだよね、そうなんだね」
男「ち、違う! いや、でも確かに可愛い制服だなって思ったけども!」
「っ……!」
男「なんていうか、あはは。すんません、何いってんだか俺──」チラッ
男「──………」
「……」
男「………」
男(え、嘘だろ?)
141:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:33:53.48 ID:
pIzT4BVA0
「そ、それではっ…ごゆっくりどうぞっ」ぱたたた
友「…あーあ、君があんなにもやらしい顔で見るから~」
男「……………………………」
友「え、どうしたの? 急激に固まってるけど…?」
男「…………今、見覚えはなかったか」
友「見覚え? 制服のこと?」
男「ち、違う。その着てる人のことだよっ」
友「……。ボクがわかるわけ無いだろ、君が振ってきた女の子のことなんて」
男「なんでそれを急に持ちだすんだよ! ち、違う! そうじゃなくって!」
男「い、今のもしかして…アイツじゃねえか…?」
友「何が言いたいんだい、君は」
男「だから!」
143:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:39:36.19 ID:
pIzT4BVA0
男「っ……!」
男(いや、待て待て! これで間違ってたら…相手に失礼じゃあないか!?)
友「?」
男(店員さんになんて言うつもりだ? もしかし俺の知り合いの男性ですか? なんて聞くのか?!)
男(失礼じゃんそれ! 下手したら泣かれるわ! …もう少し様子を見て、確信を持てたら言うべきか…?)
友「おーい男ー」
男「…すまん、ちょっとトチ狂ってた」
友「…なんだいそれ、それで説明したつもりかい」
男「ジト目になるなよ。俺だって混乱してるんだ…」
友「…」じぃー
男(不用意に出るなよ、俺。ここは自然に行動に移すんだ…例えばもう一回、あの人の顔を見れば大丈夫なはずだ)
男「あ、あーっ? なんか美味しそうなショートケーキがあるぜっ? 食べようよ友ぉ~?」
144:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:41:06.74 ID:USVrU2Ow0
焦らすなw
145:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:44:08.91 ID:
pIzT4BVA0
友「…ボク食べたくないけど」
男「んなこと言うなって、食べようぜ? 美味しいって絶対に!」
友「ボクが作ったほうが美味しいし」
マスター「…」ぴくっ
男「ちょ! な、何を言い出すんだよお前っ…なっ?」
友「違うね。ボクが作ったほうが男を満足させるケーキを作れるから」
男(何対抗意識燃やしちゃてんの!?)
男「そ、そういうことじゃないだろ…? なぁ、どうしちゃったんだよ急に」
友「ふんだ」ぷいっ
男「…可愛いって思ってやってんのか、それ」
友「……」
男「いいか? 俺だって怒るもんは怒るんだぞ、聞き分けの無い奴は…」
男「こうだぞっ」ぷにっ
男(ああチクショウ…可愛いから頬をつねるしかできなかったッ…!)
146:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:48:26.53 ID:
pIzT4BVA0
友「……」ツーン
男「なぁ…頼もうぜケーキ、絶対に美味しいからさ」ぷにぷに
友「いやひゃ」
男「ちゃんと喋れてないぞ」
友「ひみりょれいりゃひょ」
男「……」むぃーん
友「……」
男「…はぁ、じゃあ俺のおごりならどうだ」ぱっ
友「ボク、抹茶ケーキね」
男「はぁ…いいよ、抹茶な。おっけーおっけーすみませ~ん」
男(どうだ、来るぞ!? どうなんだ俺の答えは!?)
「は、はい…! ご注文ですかっ?」
男「…………」
友「あ、はい。抹茶ケーキといちごのショートケーキで…男、いいの?」
147:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:52:21.74 ID:
pIzT4BVA0
男「…………」
友「男ってば、聞いてるの?」
男「…………」
「っ………!」
男「あっ…あぁあっ!?ああああっ!!」がたっ
友「うぇっ?」
男「や、やっぱりっ…! やっぱりやっぱりっ!」
「ぐっ……そうか…」
男「お前っ…お前はぁっ!?」
「バレてしまっては…仕方ないな…そうだ、私は…」
男「委員長の妹だなっ!!」びしっ!
「違うだろッ! そうじゃないだろ馬鹿ッ!」
149:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 21:58:10.03 ID:
pIzT4BVA0
男「え、違うの?」
「ち、違うだろ! そんなんじゃないだろ流れ的には!」
男「じゃあ…誰なの…え? えっ?」
「ふ、不安になるなよ! 理解力皆無か貴様は!」
男「その口の悪さ…まさか、委員長か!?」
委員長「そうだ馬鹿者! き、気づかれたと思っていればっ…! この唐変木めッ!」
男「マジかよ…なんで女装してるんだ?」
委員長「ま、まて! とりあえずナチュナルに聞くな!」
友「ボクの予想だと、ズバリ! 委員長くんの趣味と見た!」
男「え、マジで? お、おい…」
委員長「まだ何も答えてないが!? 勝手に引くな! 認めてはいないだろ!」
友「じゃあそうだね…ふーむ」
男「当てたらここの奢りな」
委員長「勝手に話を進めるな! 待て、ちょっとは私の話を聞き給え!」
150:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:04:35.88 ID:
pIzT4BVA0
友「ピンポーン!」
男「はい、友!」
友「実は店長さんの趣味!」
マスター「不正解です。でで、でーん!」
委員長「マスター!?」
男「お。今の音って、なんとかひとしくんが落ちた音だよな」
友「あちゃー参ったよ、これじゃあ次の問題は金をかけなとね」
委員長「かぁってに問題にするなぁー!」
男「なんだよ、静かな喫茶店で騒ぐなよ委員長」
友「雰囲気が台無しだよ?」
委員長「台無しにしてるのは誰だ!? 私ではない、貴様らだ!」
男「おい、俺らのせいだとよ」
友「ボクら至って静かにしてるのにね~」
151:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:06:40.66 ID:USVrU2Ow0
メイド風の格好で騒いでる委員長かわいい
152:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:08:33.75 ID:
pIzT4BVA0
委員長「なにをっ…言ってやってくださいマスター! この客はひどい客です!!」
マスター「ぐーぐー」
委員長「マスタァーッ!?」
男「イチゴのショートケーキと、抹茶のケーキで」
友「よろしくお願いします」
委員長「はっ…がっ…ぐっ…!!」
委員長「ううっ…わかりましたぁ…」とぼとぼ…
~~
男「うめぇ!」
友「…………くそう美味い…」
男「すげーっすよ! こんなケーキ初めて食べました!」
マスター「ありがとう」にこっ
友「何か秘訣でもあるんですか…?」
マスター「愛、かな?」
153:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:12:52.56 ID:
pIzT4BVA0
友「おおっ…! 愛、か」
男「かっけぇ…」
委員長「…コーヒーのおかわり、お持ちしたぞ」
男「おいおい。なんだその口の聞き方は? 客だぞこっちは」
委員長「ぐぬっ…こ、コーヒーのォ? おかわりお持ちしましたァ…!」
男「ふむぅ、まあ良いだろ」
委員長「っ…ありがとうございますぅ」びきぃ
友「あはは。それにしても、びっくりしたね。驚きで声が出なかったよ」
委員長「…いち早く私をからかう体制に入ったのは誰だァ…?」
友「そうだったかな?」
男「よくわからんな」
委員長「ッ…!! ああ、もういい…わかった…貴様らと会話しても無駄だ…」
154:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 22:17:13.17 ID:
pIzT4BVA0
男「ふはは、とうに勝敗など決まっているというのにのぉ!」
友「あ、久し振りだね殿モード」
委員長「…話を勧めさせてもらっても良いだろうか」
男「ああ、いいぞ。仕事は大丈夫なのか?」
委員長「休憩中だ。マスターにも了解を得ている」
マスター「…」ニコリ
友「…それで今日はどうして、ここに呼んでくれたんだい?」
委員長「転校生、貴様は呼んでないはずだが」
友「男に頼まれたんだよ、仕方なくってやつさ」
委員長「……」じっ
男「だ、だって不安になるじゃんっ? お前から来いって言われたら…」
委員長「…信用すると言ったのはどの口だ」
男「あははー」
170:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:33:20.56 ID:
pIzT4BVA0
委員長「まあいい。とにかく、今日は…その来てくれて感謝する」
友「いえいえ」
男(今更だけど、その格好で説明に入るのか…)
委員長「今日、この場所に呼んだのは他でもない──この姿、私の格好についてだ」
男「お、おう」
委員長「ひとつ聞かせてもらってもいいか、この格好どう思う?」
友&男「似合ってる」
委員長「っ…そうか、そうだろうな」
男「はじめっから女の人だと思ってたしな、俺」
友「頬が緩んでたしね」
男「うっせ、それで何でそんな格好してるワケ?」
委員長「単刀直入に言えば、これが私のバイトだ」
友「…やっぱ店長さんの趣味なんだね?」
171:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:36:26.22 ID:
pIzT4BVA0
マスター「違います」ニコリ
委員長「…マスターの言うとおり、この格好は単に私がしてるだけだ」
男「へ、変態だー!」
委員長「どうとでも言ってくれたまえ。確かにそのとおりだからな…」
友「…なにか理由があると見えるけど、どうなのかな」
委員長「………」
男「理由があるのか?」
委員長「…ああ、あるんだ」
男「それは?」
委員長「それは…くっ…それはっ…!」ぎゅっ
委員長「──接待業がっ…出来ないのだ、私はっ…!!」
172:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:41:58.59 ID:
pIzT4BVA0
男「…」
男「は?」
友「しっ! 静かに!」
委員長「どうやってもっ…何をどう努力してもっ…失敗する、自が出てしまいお客を不快な目にさせてしまうのだっ…!」
男「……」
友(ああ、わかってしまう。男の理解力が急激に薄れていくのが…)
委員長「どうにかしたい、それだけを考え続けっ…やっと見つけたのが、この格好なんだ」
委員長「──別人に成り代わる。それが、私が考えた唯一無二の方法」
友「それで、その格好というわけなんだね」
委員長「そのとおりだ。この格好を極めていけば行くほど、私は接待業が潤滑に進むことを理解した」
委員長「お客を帰らすこともなく、怒らせることもなく。このバイトへと入り込むことが可能になった」
男「ずずず…」
友(あ、完全に興味がなくなったね男)
委員長「…だがな、それにも問題はあった」
173:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:45:15.93 ID:
pIzT4BVA0
友「…問題?」
委員長「そう、それが今回男を呼んだ理由でもある」
男「もぐもぐ」
友「お、男…せっかくだから聞いてあげなよ…?」
男「えっ? なにが?」
友(駄目だ! もう完全に上の空だ!)
委員長「…はは、いいんだ転校生。わかっている、このような話が男に興味が無いことはな」
友「そ、そんなことないはずだよ! ね、ねえ? 男?」
男「興味ないです」
友「おとこぉー!」
委員長「知ってるさ、男。貴様もバイトを頑張ってることは…だから私みたいな弱音は気に喰わないのだろう?」
男「…まあな」
友「え、そうなの?」
男「当たり前だろ。俺だってバイトぐらいする、むしろ他の高校生よりもしまくってるぞ」
174:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:50:06.01 ID:
pIzT4BVA0
友「…実に初耳だよ、なぜ言ってくれなかったんだい?」
男「言ってどうするよ。何かの解決にもなんのか?」
友「…どうして怒り気味なんだい、男」
男「金を稼ぐってことは、そういうことだろ。仕方ないとか、しょうがないからなんて理由で」
男「自分の出来る事に制限をかける。なんてことは、ただの怠け者だ」
委員長「………」
男「両手が動く、足で歩くことが出来る。日本語話せる、計算暗算が出来る」
男「たったこれだけでも、人は働ける。金を稼げるんだぜ」
男「…なのにただ接客が出来ないって、ましてや自分に問題があるからって」
男「そんな小さい理由で働けない、集中できない、なんてこと言ってる奴はムカつくんだよ」
委員長「…そのとおりだ、男の言うとおりだな」
男「あたりまえだ、ばーか」
175:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:54:48.46 ID:
pIzT4BVA0
友「そのとおりかもしれないよ。だけど、彼はそのためにこの格好を選んだんだ」
男「それに同情しろってか? 違うだろ、やるべきことをやっただけだ」
男「自分が弱い部分をカバーしただけ。あたり前のことだろ、なんも凄いことじゃねえよ」
委員長「……」
友「…ほんと、素直じゃないね君は」
男「…何がだよ」
委員長「はっは、本当だな男…本当に私はその貴様の言葉を聞きたくて…ここに呼んだのかもしれないな…」
委員長「ありがとう。感謝する、私はその言葉に救われた」
男「気持ち悪いな…いきなり感謝されても、わっかんねえけど?」
委員長「そうか、ならそう受け取ってくれ。気持ち悪いとな」
友「ふふ、こんな男ですけど。ボクといるときは素直で可愛いんだよ?」
男「ちょ! お前!」
委員長「…そうなのか、考えもつかないな」
177:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/23(日) 23:59:57.71 ID:
pIzT4BVA0
男「真に受けるな、コイツの冗談だっ」
委員長「そうか、ならそう受け取っておく」
友「ふふ、話を戻すけど、それじゃあ委員長くんの問題ってのはやっぱり?」
委員長「…私自身の問題は、こんな姿である私が〝あってもいいもの〟なのかと…不安になったんだ」
委員長「このような異様な格好が、許されるものなのかと」
男「だから言ってるだろ、当たり前なことだって」
委員長「…そうか、そう思ってもいいのだな」
委員長「──〝この格好は当たり前〟だと」
男「…そこまでは自信持てねえけどな」
友「不安になるなよ男」
男「ち、ちげーし」
委員長「いや、男が責任を持つことはない。私が救われたことだけが、素晴らしいことなんだ」
179:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:07:23.09 ID:
hr5DUHBT0
委員長「誰にも話すことは出来なかった秘密を──なによりもかくし通したかった思いを」
委員長「男はただ一言、当たり前といってくれた」
男「……」
委員長「そんな言葉が…なによりも、ただなによりも…欲しかっただけだったんだ…」
友「委員長くん…」
委員長「ああ、これでスッキリした。転校生、君もありがとう」
友「ううん、ボクは何も出来なかったし。話をきくことしか…」
委員長「いや、それだけでいいんだ。私の心は救われた」
男「いちいち大袈裟なんだっての。救われた救われたって」
委員長「素直な気持ちなんだ。言わせてくれ、ありがとう男」
男「うぐっ…あっそ、ならいいっすけどねー」
友「ふふっ。それで委員長くんは、これからも頑張るのかい?」
委員長「ああ、頑張るさ。この格好にも更なる磨きをかけ、仕事に集中するだろう」
180:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:12:50.09 ID:
hr5DUHBT0
友「…そうなんだね、頑張るんだよ」
委員長「ああ、これからもよろしく頼む」
友「うん! 話したいことがあったら、いつでもいいよ。相談に乗るから」
委員長「…いいのか?」
友「いいとも。解決に協力は叶わないかもだけど、話を聞くぐらいはできるから」
友「──異なっても、違った道を行く者通しとして話は聞けるはずだよ」
委員長「っ……!?」
友「ねっ?」
委員長「まさか、そんな……はは、見透かされたということか。凄いな、転校生」
男「…?」
友「まあね、これでも人を見る目はあると自負してるよ」
委員長「これは、いい相談相手が出来たものだ。おい、男…いい恋人さんだな」
男「な、なんだよ」
182:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:17:43.92 ID:
hr5DUHBT0
男「てか、その話は秘密にしとけって言ったろ?」
委員長「そうだったな、だが既にバレてると思うが」
友「うん、やっぱり彼にはボクらの関係を言ってたんだね、ここまで信用されてるからおかしいと思ったんだ」
男「…すまんな、勝手に言って」
友「良いんだよ、むしろ秘密にしておくことがおかしいことだろ?」
男「…まあな」
友「好きだから好きだと、嫌いだから嫌いだと。
なにもかも秘密にしておくことが綺麗なことじゃあない」
友「社会的美徳なんて、まずは高校生のボクらにはまだ早い話さ」
男「いや、大人の成りかけのとしては責任は持たねえとな!?」
友「成人式なんて糞食らえだよ! なにが税金だ払いたくない!」
男「駄目なこと言っちゃったー! いっぺん働いてみろあまちゃんめがッ!」
委員長「あはは」
183:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:21:37.84 ID:
hr5DUHBT0
~~~
委員長「またお店に来てくれ。今度はきちんと接待をしてみせるぞ」
男「あいよ、楽しみにしとくぞ」
友「また明日。学校でね」
委員長「…ああ、また明日──学校でな」
男「なんだよ、二人して。なんか秘密事か?」
友「いいや、そうでもないさ。明日になればわかることだからね」
男「わかること?」
委員長「ああ、明日になればわかる。では、明日な男」
男「…おう、なんだその」
委員長「どうした?」
男「…が、頑張れよ。仕事」
委員長「……」
委員長「ああ、頑張るさ」
184:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:30:13.95 ID:
hr5DUHBT0
──そう告げて、俺らは喫茶店から家へと帰った。
──委員長が残した「また明日」という言葉を耳に、
──俺は何ら疑いもなく、ましてや不思議に思うこともなく。
──それこそ〝当たり前〟のように自然と行われた、常套句。
───しかし、それは。大きく違ったものだった。
───俺はその日から…知ってる委員長と〝顔を合わせることが、なくなってしまったのだから。〟
189:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:51:41.82 ID:
hr5DUHBT0
男「はよーさん」
クラ「…はよぉ…」
男「うぉおっ!? なんだその顔!?」
クラ「お、おお…お前か…」
男「やべえぐらいに顔が死んでるぞお前…」
クラ「だろうな…わかってんよ…」
男「ど、どした? 具合でも悪いのかよ?」
クラ「うんにゃ。ただの寝不足っす…」
男「寝不足かよ」
クラ「…なぁんともまた、面白い噂が飛び回っててさぁ」
男「噂ぁ? なんだよ、また躍らせるために夜通しやってたのかよ」
クラ「決めけるなよ…今度のは凄いぞお前…知ってっか?」
クラ「──なんと、可愛い女の子が転向してくるって話を!」
190:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 00:57:03.81 ID:
hr5DUHBT0
男「ん。今度はちゃんと、性別があるんだな」
クラ「あたりきちゃんよ、そこんところは間違えませんぜ?」
男「そりゃご苦労さん」
クラ「ぐっふっふ~何を言おうと、今度こそあたりってもんよ!」
男「転校生ってことは、どの教室に来るんだ」
クラ「それも! なんと、この教室でっす!」
男「…この教室?」
クラ「イエース。間違いなし、これは絶対、はずれなし!」
男「ふーん。このクラスだと結構、満杯のはずなんだがな」
クラ「良いじゃん大丈夫じゃん、深く考えないほうがいいって!」
男(なんか変なテンションだなコイツ…)
クラ「ぎゃっはー! たまんねぇや! 可愛い子がくるなんてぎゃぴー!」
192:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:00:45.48 ID:
hr5DUHBT0
男「…んで、その可愛い転校生はもうすぐ来るのか」
クラ「見たいよん? んっじゃんっじゃ、待ちましょうかねー!」
男(転校生か、次から次へとまぁポンポンと転校するもんだ)
男「…ん、変だな」
男「おい、委員長見なかったか? アイツが遅刻なんて珍しいな」
クラ「はぁーん? 今はいいんちょうかんけいねえだろッ!!」
男「お、おう…」
男(駄目だ完全に目が座ってる)
ガラリ…
男「お。なんだ、来たんじゃないのか───」
「──皆さん、おはようございます」
クラ「えっ? えっ? きたきた? キタ─────!!!」
男「…………………え?」
193:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:07:22.15 ID:
hr5DUHBT0
「え? 誰あのこ?」
「かわいいー髪長ーい」
クラ「やべぇ! なにあれ可愛ゆす! ふんすふんす!」
男「っ……!」
「ん、おはよう男」すたすた
男「お、お前…」
クラ「此方キタ!? いやてか何で知り合い!? てめーこらどうしてくれちゃってんの!?」
男「ちょっと黙っとけお前!」
「あはは。いいんです、別にね」
男「いいんですって、お前…いや、お前だよな?」
「勿論ですよ。私に決まってるじゃないですか…忘れちゃったの?」
委員長「──委員長に決まってるでしょう、ね?」
男「……お、おいおい!」
194:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:09:22.89 ID:of/Z1niG0
委員長かわいい
195:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:11:32.23 ID:
hr5DUHBT0
クラ「…え? いいんちょ?」
男「お前…なんでその格好…っ!?」
委員長「当たり前、ってやつです。貴方が言ってくれた言葉、私に言ってくれた言葉」
男「当たり前って…そりゃ言ったけども! それは単に仕事での話であってだな!?」
委員長「確かに、そうでしょうね。けれども、それは単にそういうつもりで…言ったこと」
委員長「それをどう捉え、どう受け取ったのかが問題です。私はその言葉で救われたことは事実」
委員長「…なのでこの格好で生きることにしました、てへっ☆」
男「……マジか?」
委員長「ああ、マジだ」
男「地の声に戻るな! こ、怖いから!」
友「いやー着てるね、おはよう」
委員長「あ、おはよう転校生さん」
友「おー! すごいね、制服姿でも様になってるよ」
196:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:15:17.16 ID:
hr5DUHBT0
委員長「あれからだいぶ研究しましたから」
友「一晩でこれかい? すごいね、尊敬するよ」
男「お、おい! 友これってどういう…」
友「あはは。君も確かに聞いてたはずだよ? 彼の…いや彼女の言葉を」
『ああ、頑張るさ。この格好にも更なる磨きをかけ、仕事に集中するだろう』
男「…あ、ああ。言ってたな」
友「実にそのとおりに、彼女は頑張るんだ。更なる磨きをかけるために、ね」
男「張り切り過ぎだろ!? 私生活も磨きに使うつもりか!?」
委員長「それが私です」キリ
男「きりってするな! 似合ってるから!」
クラ「いいんちょ…? マジでいいんちょなの…?」
委員長「はい、そのとおりですよ。私は委員長さんです」
197:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:21:52.33 ID:
hr5DUHBT0
クラ「っ……なんで可愛いんだよぉおおおおおおくっそおおおおおお」だだっ
男「おいっ! 何処行くんだよ!?」
委員長「おー」
友「彼はいつも元気だねぇ」
男「ったく、つぅか目立ってるぞお前」
委員長「可愛くて?」
男「違う! 委員長だってバレてだよ!」
委員長「…そうか、やはりそうなりますよね」
男「なるに決まってるだろ…」
委員長「うふふ。だけど、私は大丈夫です」
委員長「──幸せになるための努力に、無駄はありませんから」
男「む…」
委員長「でしょう?」
男「…んだよ、当てつけるように言いやがって」
198:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:24:13.98 ID:
hr5DUHBT0
委員長「救われた言葉は覚えておくことにしましたから、うふふ」
男「あっそ、勝手に努力して幸せになれよ馬鹿」
委員長「そうですね、馬鹿」
友「…なーんかふたりとも、仲が良い気がするんだけど?」
男「なわけあるかっ」
委員長「なわけありません」
友「むー」
男「はぁ~…」
委員長「…」ニコニコ
男「…ま、頑張れよ」ぼそっ
委員長「え? なんていいました?」
男「な、なんでもねーよ…」
199:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:31:33.65 ID:
hr5DUHBT0
それから委員長は教師に呼びつけられ、放課後、次の日。また次の日、一週間と姿を見せることはなかった。
その間に噂は噂を呼び、各学年から他の学年へ。
そして学校中へと広まり、そして他校にも広まってくという凄まじい感染度を見せた。
ただ、それも本人が姿を見せない限りは──噂が続くこともなく。
ついには半月の時が流れてしまった。
男「ふんふーん」
流れる噂は付けるだけ尾ひれを付け、今では性転換をして外国の大富豪と結婚したとまで進化している。
馬鹿らしくも俺自身がちょっと信じてしまいそうになってしまうぐらい、長い間、委員長の姿を見ていない。
男「何してんだか…」
アイツの家に確認することは簡単だ。どうなっているのか、気になるのであれば確認するが普通だろう。
男「……」
──だけどそれは、なにか違った気がした。
201:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:36:33.47 ID:
hr5DUHBT0
男「…なにかしら理由があるのはわかるけどな」
男「単純に、何かを得られるわけじゃない。努力なんてものは、等しく答えが用意されてるわけじゃないし」
男「…頑張るだけ、無駄ってこともある」
男「……」
男「一人になることを怖がらない奴は、誰にも優しく出来やしない──」
「──久しぶりに聞いたな、その言葉」
男「うぉおっ!?」びくぅ!
委員長「こんな所でなにをしている、屋上は今は立入禁止のはずだが?」
男「…夢か、これ」
委員長「夢じゃあない。本当だ、びっくりしたか?」
男「びっくりだよ。なんだ、戻ってきたのか」
委員長「その通り、すべてを終わらせてきた」
男「…おわらせてきた、ね」
202:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:40:17.25 ID:
hr5DUHBT0
委員長「………」
男「…この半月」
委員長「むっ?」
男「いや、きになってな。何をやってたのか、ってよ」
委員長「何もしてないさ。ただ、周りにすべてを話してただけだ」
男「…すべてを?」
委員長「そう、すべてを。自分が知るかぎりの知恵と思いを、すべて吐き出してきた」
男「ふーん、それでスッキリできたのか?」
委員長「大方な。だが、妹は本当に苦労させられた」
男「なんだ、妹さんに怒られたのかよ」
委員長「その逆だ。賛同しすぎて、暴れて、あと少しで補導される所だった」
男「やべぇなそれ…」
委員長「だろう。感謝もするが、この先が不安になるよ」
203:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:45:29.04 ID:
Bs7drq0k0
男「…ま、お前がスッキリ出来たんならそれで良いんじゃねーの?」
委員長「ああ、そうだな」
男「俺だってお前のこと、まあちっとばかし? 心配してたっつーところもあるわけよ」
委員長「それはありがたい話だ。感謝する」
男「…おう」
委員長「…覚えてるか、あの時のこと」
男「…なんだよ急に」
委員長「私はずっと忘れたことはない、貴様から言われた──あの時の言葉を」
男「……」
委員長「一人になることを怖がらない奴は、誰にも優しく出来ない」
委員長「私が1人で委員長としての仕事をしていた時に…貴様が言った言葉だ」
205:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:51:15.82 ID:
Bs7drq0k0
男「…言ったか、そんなこと」
委員長「相変わらず素直なじゃないな」
男「うるせぇーよ」
委員長「とにかく、貴様は言ったさ。
私は別に何ら苦もなく仕事を済ませるつもりだった、それに疑問も持っていなかった」
委員長「だからこそ、貴様の言葉は心外で酷く苛ついた」
男「……」
委員長「今にして思えば、確かにあれは──私一人のものではなかった」
委員長「そもそも、1人でやるべき仕事にしてしまったのは…私だったのだから」
委員長「自分だけが正しいと想い、他のものは馬鹿だと蔑む」
委員長「…そのような生き方をする人間に、誰が手を貸すことがあろうか。誰が、歩み寄ろうか」
委員長「しかし、それは私にとって──普通だったのだ。何も変わることのない、普遍的な日常」
委員長「…だからこそ、今になってすべてが間違ってたことがわかるのだがな」
206:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 01:55:20.14 ID:
Bs7drq0k0
男「…間違ってると思えたのなら、いいんじゃねえの」
委員長「だな。しかし、貴様が嫌いな私はもういなくなったみたいだが…」
委員長「信用度はどのように、変わっているのか気になるところだ」
男「ん? 良いんじゃねえの、変わんねーよ」
委員長「…まだ私のコトは、信用しててくれるのか?」
男「してるって。だからお前のことは、嫌いなまんまだ」
委員長「言葉は良いようだな、ははっ」
男「…くっく」
委員長「…今日はいい風が吹いてる。素晴らしい日だ」
男「……」
委員長「こんな日なら、正直に打ち明けられそうだ」
男「…何がだ?」
委員長「うん? 好きだってことだよ」
208:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:09:32.49 ID:
Bs7drq0k0
男「……はいぃ?」
委員長「……」
男「どゆこと?」
委員長「そのままの意味だな。私は、貴様のことが好きだ」
男「………」
委員長「多分、だけどな」
男「多分ってなんだよ」
委員長「じ、自信がない…」
男「じゃあ自身もって言えよ! 断りにくいだろ!」
委員長「断る前提なのか!? ま、まあ承諾されるつもりもないのだが…ちょっと待っててくれ」
男「なんだよ」
委員長「少し準備をする。数分だけ時間をくれ」
男「…いいけど」
委員長「うむ」
209:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:12:06.79 ID:
Bs7drq0k0
~~~
委員長「──待たせたな」
男「おう、一体何やってたんだよ───」
委員長「……」
男「──なんで女装なの?」
委員長「こ、これのほうが…正直に話せると思ってだな、うむ」
男「ま、まあお前が素直に話せるなら…いいけども…」
委員長「ありがとう、感謝する」
男「…それで? なんだって?」
委員長「私は貴様のことが……その、好きです」
男「駄目です」
委員長「早い! も、もうちょっと言わせてくれ! 頼む!」
男「…仕方ねえな、なんだよ」
210:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:16:49.23 ID:
Bs7drq0k0
委員長「いつから…その、好きになったのか気にならないのか?」
男「好きになるのに、タイミングなんて要らないだろ」
委員長「……………」
男「そ、そんな潤んだ瞳で見るなよ!」
委員長「す、すまん…思わず感動してしまってな…」テレテレ
男(いちいち仕草が女っぽくすぎるだろ…)
委員長「確かにな、貴様の言うとおり…好きになることにタイミングは要らないだろう」
委員長「実際その通り、私も貴様を好きになったのは──嫌いだと、言われた時からだったよ」
男「マゾなの?」
委員長「そうなのかもしれん」
男(認められちゃった…)
委員長「そう思われることも仕方ないだろう。だがな、私は…気持よかったんだ」
委員長「素直な気持ちをぶつけられることを。思いを隠すことなく、言われることを」
212:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:22:11.96 ID:
Bs7drq0k0
男「……」
委員長「変なことだろうな。だけど、私は今まで生きてきて…素直な言葉というものを聞いたことがない」
委員長「誰もが言葉に膜を貼り、全てに嘘をまぶし、誤魔化し塗りつぶす」
委員長「それが正しいことであっても、素晴らしいことであってもだ」
委員長「…そんなものはタダの嘘でしか無い」
男「…それがふつうのコトだろ、人間、正直に生きていけない。お前だって経験してるはずだ」
委員長「そうだな、だからこそ…あの不良どもに絡まれてしまうんだろう」
委員長「人はみな正直に生きていけない。嘘であれなんであれ、正論を武器にするものは悪いやつだ」
委員長「ただ、正しくはないだけなんだ──わかっている、わかっているからこそ…」
委員長「貴様の事を、好きになってしまった」
男「俺、そんなに馬鹿正直か?」
委員長「私が見る限りでは、馬鹿な正直者だよ。少なくとも、私よりは利口だが」
213:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:27:45.68 ID:
Bs7drq0k0
男「…そうかね」
委員長「じゃなければ、半月も学校が来れなくなってたりはしないだろう?」
男「たしかにそうだ」
委員長「不器用──最近になって妹から言われた言葉だ、私はどうも不器用らしい」
委員長「頑張ってることはわかる、だけど、思いっきりスカしてる…みたいな」
男(バッサリ切り捨ているなぁ妹さん)
委員長「確かにそのとおりだと、今の私には理解できる」
委員長「私は不器用だ。器用には出来てないみたいだからな」
男「ま、俺もそう思う。お前不器用だよ」
委員長「…はは、今ので100%理解した。私は不器用だ」
委員長「不器用で、バカで、女装野郎で、男を好きなる」
委員長「……そして好きになる理由も、本当にどうしようもない」
214:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:32:18.27 ID:
Bs7drq0k0
委員長「すべてが本当に馬鹿げてる──なんで私のような人間が生まれてしまったのだろうな」
男「……」
委員長「…」
男「…今、お前に」
委員長「…ああ」
男「優しい言葉や、慰めの言葉を言うのは簡単だと思う。
それがどれだけお前にとって──委員長にとって救われるものになるのか、なんとなくわかる」
委員長「……」
男「だけど、それは俺は言うことはしない」
男「…俺はお前の期待に、添えることはしない」
委員長「彼のことを裏切れないからだろう?」
男「そうだ。なんていうか、自惚れってのもおかしいけども」
男「…これ以上、お前に話してしまうと…めちゃくちゃ惚れるだろ、お前」
委員長「ああ、もうメロメロになるだろうな」
男「…だから、話したくない。むしろ帰って欲しい」
215:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:37:09.29 ID:
Bs7drq0k0
委員長「…わかってるさ。大丈夫、それぐらいはバカで不器用な私でも理解できる」
男「……」
委員長「実際の所、私は貴様に振られるためにここに来た」
委員長「──この想いに決着を付けるために、私は告白をしにきた」
男「…そうか」
委員長「いや、なに気にするな。私の都合に付きあわせて、本当に済まなかった」
委員長「…なんだろうな、本当に」くるっ
委員長「……もう少し早く仲直りすれば、私が付き合えていたのかな…」
男「………」
委員長「なんて、な」
きぃ…
ぱたん…
216:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:41:34.84 ID:
Bs7drq0k0
男「……ふぅ」
男(嫌いだから、好きになった──か)
男「…変態だな、アイツも」
男「………」
「…そろそろ出ないと、怒られるかな」
男「もう既に怒ってるわ」
「あはは。そうかい、それは困ったね」
男「…ま、仕方ないって思うけどよ」
友「うん。仕方ないことなんだ」すっ…
男「よう、どうだ男にモテる男ってのは」
友「正直、ドン引きだね。残念でしょうがないかな」
男「正直でよろしい」
217:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:44:35.67 ID:
Bs7drq0k0
男「…いつからそこにいたんだ?」
友「委員長くんが女装して、屋上に入って行く時からだよ」
男「丸聞きじゃねえか」
友「実にいい告白だったね。感動的だったよ」
男「……」
友「…なんにしても、良かったのかい? 彼を振ってしまってさ」
男「お前がそんなこというなって」
友「ボクだから言えるのさ。ホモじゃない、ボクが好きな男にね」
男「……」
友「ボクは君みたいに、優しい人間じゃあ無いんだ」
友「…相手のことを思った言葉は、正直苦手なんだよね」
男「じゃあ言ってみろよ。何が言いたいんだ」
219:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:48:42.56 ID:
Bs7drq0k0
友「じゃあお言葉に甘えて──やっぱり君はホモじゃあないのかな」
男「………」
友「ボクだから好きではなく、ただ単に正直で可愛い男が好きなんだ」
友「…女に興味がないわけじゃない。つまりバイって可能性もあるのだけれど」
友「それでも、君は自分のコトが好きな人間を──好きになってしまう性質がある」
男「ひとつ、言わせてもらうが」
友「なにかな?」
男「俺はお前のことが好きだ。本当に結婚してもいいと思ってる」
友「そうか、そうだろうね」
男「…そういった一度決まったことに、絶対的な自信をもつお前も好きだ」
男「だけどな、言わせてくれ」
男「俺は委員長は嫌いだ。けれど、付き合えないわけじゃない」
220:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 02:53:24.18 ID:
Bs7drq0k0
友「ほお」
男「…さっき言ったお前の言葉。まるで俺を試すような言い方だったな」
友「それがボクだよ」
男「知ってる。だけど、それは間違っちゃいねえな」
男「正直、俺は揺れかけた。アイツの事、好きになってしまうかもって思った」
友「…正直でよろしいね」
男「だろう? だけどさ、それは許されねーってわかってるんだ」
男「重みが違うだろ。お前を好きになった思いと、アイツを好きになる想い」
男「──天秤に図ることもない、考える必要もないぐらいにな」
友「………」
男「それが正しいことだ。間違ってるか?これ?」
友「間違ってはいないよ。むしろ、間違ってることを真面目に答えにしている君は凄い人だよ」
221:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:03:30.50 ID:
Bs7drq0k0
男「だよな…」
友「だからこそ、君は間違っているのかもしれないね」
男「あ?」
友「君は凄い人間だよ。何番煎じになるのかわからないけれど、君は人を動かせる素晴らしい人間だ」
男「……」
友「心も体も、その先にある未来へと促せる──力のある人間だ」
友「…だけどね、それでも君が決して正しいとは限らないんだ」
男「正しいとは、限らない?」
友「そうとも。君が指し示してくれる道は、どんな事よりも素晴らしく真実に近いものなのだろうと思う」
友「だけど、それを受け取り感じるのはあくまで……その受け取った人間だ」
友「素晴らしいと思うことも、正しいと思うことも。すべて君ではなく、歩く人間が思うことだ」
222:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:07:38.30 ID:
Bs7drq0k0
男「……」
友「信じるこそが力になる──いい言葉だよね、今がピッタリの言葉だ」
友「信じたからこそ正しいんだ。君の言葉を信じたからこそ、素晴らしいと思えるんだ」
友「…でも、それは違う」
友「君は神でもなく先導者でもない。ただの高校生で、男の子だ」
男「…そうだな」
友「そんな君がだよ? ただ、1つだけの正しい道を──絶対的な真実を」
友「選べることなんて、出来やしないんだよ。きっとね」
男「…何が言いたい」
友「もう、気づいているんじゃあないかい? ボクが言いたいことも」
男「……」
友「いいさ、決めてみなよ。今信じる君の道を」
友「──一体どの道が正しいなんて、君以外に決め付けることなんて出来やしないのだかr」
223:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:11:40.88 ID:
Bs7drq0k0
男「……」
友「この世に正しいことなんてありゃしない。だったら、ボクらの関係だって間違いだ」
友「君が信じた道だからこそ、正しいんだ。間違いだって、それは正しいことになる」
男「…俺の信じた道」
友「そう、ボクはそんな君が選んだ道なら──喜んで付き添うよ」
友「ボクにとっての幸せは、なによりも君と側に要られることなのだから」
男「………」
友「…どうだい? 元気が出てきたかい?」
男「…かもな、いや、めちゃくちゃ元気が出てきたかもしれん」
友「そっか。じゃあ突き進んでみたらどうかな、どうかそんな君を見せてほしいな」
男「……」くるっ
友「ふふっ」
224:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:14:56.33 ID:
Bs7drq0k0
男「ちょっくら、バカで不器用な奴に言いたいことを思い出した。行ってくる」
友「そうかい。行ってらっしゃい」
男「おう」
きぃ! パタン!
友「……」
友「んー…本当に男は、正直でバカで不器用だなぁ」
友(そんな君のことをボクは好きになったのだけれども…なんても、本当に…)
友「あはは…ボクも馬鹿だなぁ…」
友「……振られちゃうのかな、ボクも」
友(まあそれはそれで、君が選んだ道なら──)
ぐいっ
友「うわわっ…?」
男「──なんて思ってたら、怒るぞ」
ちゅっ
225:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:16:11.35 ID:of/Z1niG0
ひゅーww
226:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:19:30.70 ID:
Bs7drq0k0
友「っ……」
男「じゃあ、また後でな」
たたたっ…パタン
友「………」
友「…はは、本当に君は…すごいやつだよ」
友「ふふっ」
~~~
男「ふぅー…さて、アイツは何処に行った」
男(行きそうな場所は? わかるわけねぇ! そんなに仲良くねえし…)
クラ「お、なーにやってんの男?」
男「ん、クラ! 委員長みなかったか?」
クラ「はぁ? ずっと来てないだろーに」
男「役立たず!」だだだ
クラ「酷くない!?」
227:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:24:09.37 ID:
Bs7drq0k0
男「とりあえずッ…そうだな、アイツの家に行ってみるか!」だだだ
男「うぉおおおおお!!」
~~~
男「はぁっ…はぁっ…」
男(なんとか着いた…よ、よし…チャイムは…無い! じゃあノックだ!)
男「すみませーん! えっと、委員長いますかー?」
「いませんっすー」
男「あ、そうっすか。ありがとうございましたー」
男「ってオイ! 学校はどうした妹!」ガラリ!
妹「ぎゃー! プライバシー侵害ー!」
男「うるせぇ! お前学校は!?」
妹「やすみっすよ? なんか記念日っつって」
男「え、マジで?」
妹「マジで。つか男さんのほうがマジヤバ目じゃなっすか?」
228:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:27:44.51 ID:
Bs7drq0k0
男「お、おお俺のことは気にするな…!」
妹「じゃあ気にしなーい」
男「と、とにかくお前の兄貴は何処行ったかしらないか!?」
妹「あんちゃん? うーん、男さんと違って学校じゃないっすか?」
男「いちいち俺を例題に上げるな!」
妹「怒らない怒らない、一休み一休み」
男「ごめん! 正直に言うけどうざいわ!」
妹「あ、やっぱりっすか? でへへー」
男(ワザとかコイツ!)
妹「あんちゃんは知らないっすよ。学校に行ったきり、つか居ないんすか学校?」
男「い、今はな」
妹「ふーん。じゃあ振られたんすね、男さんに」
男「ふぇっ!?」
229:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:32:24.85 ID:
Bs7drq0k0
妹「え、そうなんですよね? だから後になって心配になって駆けつけた、と」
男「…何でそう思うんだ、つか兄の色々知りすぎだろ!」
妹「妹っすから。ふふん」ドヤァ
男(駄目だ、この子と会話してると疲れる!)
妹「…じゃああんちゃん、土手にいるじゃーないかな」
男「土手?」
妹「友だち居ないから暇な時、壁に向かってボール投げて遊んでるから」
男「悲しすぎるだろ…」
妹「ですよね…マジ私も何度泣きそうになったか…」
男「でも、わかった。土手だな? サンキュ!」
妹「うぃーす! きをつけてー」
~~~
男「はぁ…はぁ……土手ってここだよな…家の近くだし…」
230:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:34:03.05 ID:of/Z1niG0
一人壁に向かってボール投げてる委員長かわいいよおおおお
231:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:36:35.55 ID:
Bs7drq0k0
男「……」
男「あ、居た!」だだだだ!!
委員長「えいっ」
委員長「ふむ…よし今日は良い角度でボールが跳ね返ってきたな」
委員長(いずれは1人キャッチボール選手権で優勝まちがいなしだ)
委員長「…だけど、これをアイツと一緒に出来たらよかったり…」
委員長「…駄目だ駄目だ、何を考えている私! もう彼を忘れることにしたんだろ!」ぎゅっ
委員長「この想いッ…すべてをボールに乗せ…ッ!」
委員長「そぉいっ」ブン
ポーン
委員長「あ、少し強くやりすぎた──」
男「おい! 委員長!」
委員長「ひゃいっ!?」びくぅ
232:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:40:04.52 ID:
Bs7drq0k0
男「探したんだぞおま──ぶげはぁッ!?」ゴス!
委員長「ぎゃー! おとこぉー!?」
男「なに、すんだ、てめー……」
委員長「ち、違うぞ!? ボールが跳ね返ってきてっ…!?」
男「うぐっ…」
委員長「え、ちょ…どうした───」
パタリ
~~~
男「……」パチ
男「あれ…ここは…」
男(以前嗅いだことのある匂い…もしかしてここ、委員長の家か…?)
トントントン
男(包丁の音…それに毛布がかけられてる…)
233:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:43:43.10 ID:
Bs7drq0k0
男「……」むくり
男「…いてて」
がらり
委員長「む、起きたのか…」
男「あ、ああ。すまん、運んでもらったみたいだな…」
委員長「気にするんじゃあない。大した重みでもなかったからな」
男「…そうか」
委員長「ああ、今味噌汁を作ってたんだが…食うか?」
男「なんで味噌汁進める…?」
委員長「し、仕方ないだろっ。我が家には気の利いたものなど…ないからなっ」
男「…んじゃお言葉に甘えて、もらうわ」
委員長「よ、よしっ。待ってろ」
男「……」
委員長「…具合はどうだ」
234:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:47:20.19 ID:
Bs7drq0k0
男「少し頬が痛むぐらい」
委員長「…いきなり気絶したのは驚いたぞ」
男「俺もびっくりだよ。人って簡単に気絶するんだな」
委員長「するわけ無いだろうに。ともかく、疲れとダメージで集中力が一気に途絶えたのだろう」
男「…よくわからん」
委員長「そんな時は──ほら味噌汁だ」コト
男「……」
委員長「塩分に水分。味噌によって身体もポカポカになる、意外と身体にもいいぞ」
男「…いただきます」
委員長「……」ドキドキ
男「ずずっ…」
委員長「ど、どうだ?」
男「…美味いな」
235:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:50:17.86 ID:
Bs7drq0k0
委員長(良かった…)
男「正直、味噌汁? とか思ってたけど、やるじゃんお前」
委員長「そ、そうか?」
男「うん…ずずっ」
委員長「し、白飯もあるぞ? 妹のだけど、アイツはいらないだろうからな。うんうん」
男「ずずぅ…いや、いいよ。すぐに学校に戻るし」
委員長「…そ、そうか」
男「まあ、お前に一言言わなくちゃいけないけどな」
委員長「……」
男「なあ委員長」
委員長「っ…聞きたくない!」
男「えっ?」
委員長「だ、駄目だ! やっぱり聞きたくない! 死んじゃうから!」
236:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:55:17.45 ID:
Bs7drq0k0
男「死んじゃうってお前…」
委員長「だって死ぬよ私っ!? なんかこうっ…ダメになって…ぐにゃぐにゃになって!」
男「よくわからんこと言うなよ」
委員長「よく分からないのは貴様だろ!? な、なんで追いかけてきたんだっ! ち、違うと思うが!」
委員長「期待してしまうんだよ! ここまで、ここまで追いかけられたことにっ…! 私は絶対に今! 勘違いをしている!」
男「……」
委員長「だ、だけどそれと同等にっ…! ああ、やっぱりなって…思ってしまう自分がいる…!」
委員長「もうっ…もうっ…嫌なんだ、こんな気持はっ…中途半端な想いはっ…! 私は前へと進まないと行けないのに!」
委員長「不器用な私は! ここでオシマイにしないといけないんだ!」
男「…そうだな、確かにお前の不器用さは終わりにしないとな」
委員長「うっ…だろう、そうだろう…」
237:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 03:59:17.17 ID:
Bs7drq0k0
男「…んじゃ、そのきっかけになるかは分からねえけど」
男「1つだけ、俺からお前に答えを送る」
委員長「え…こたえ…?」
男「そうだ、俺が作った道だけどな。そんな道を、未知を、お前がどう信じるかはわからん」
男「──だけど、それが正しいって俺は思ってる」
委員長「何を…行ってるいるんだ貴様は…?」
男「はぁーふぅー…いいか? 言うぞ?」
男「お前、俺を好きにさせてみる自信はあるか?」
委員長「…え」
男「俺を心から、お前だけしか考えられないようする度胸はあるか?」
男「お前だけを、委員長だけを。すべての想いから一歩進んだところに…行かせる覚悟はあるか?」
239:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:04:26.96 ID:
Bs7drq0k0
委員長「……」
男「それが知りたい。そして俺は望んでる、それから信じてる」
男「難しい話は嫌いだ。だから簡単に直接に言ってみろ」
男「──俺を好きにさせてみろ、委員長」
委員長「……」
男「俺は、確かに友のことが大好きだ。マジラブリーって思ってるし、今でも抱きついてチュッチュしたいと思ってる」
委員長「…変態か貴様」
男「ああ、そうだ。俺は変態だ、だがそれを望んでる」
男「友の事を愛してるんだ。そんな俺が、お前にこういってる」
委員長「…好きに、させてみろと?」
男「おう。それが良いなって、俺は思っちまったわけだ」
男「…こんなの正しくないよな、わかってる。ちゃんと理解してるし、言わなきゃ良かったって今更後悔してる」
240:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:09:58.84 ID:
Bs7drq0k0
男「はぁーふぅー……だから、1つだけ約束してやる」
委員長「約束…?」
男「ああ、約束だ。馬鹿なこと言ってるから、きちんとした契約みたいなもんを作ってやる」
男「──これからどんな事があっても、俺はお前のことを嫌わない」
委員長「……」
男「それに信じてやる。嫌いだからって、信じるじゃなく──お前のことを理解して嫌わないでやる」
男「だから、俺を好きにさせてみろ」
委員長「…貴様…」
男「くっ、くぁー!? だ、駄目だなんだこの恥ずかしさ! やっべー!」
委員長「お、おお…」
男「っ…なんだよ、俺に何を言わせるんだよ! もう二度とこんな馬鹿なこと言わないつもりだったのによぉ!?」
委員長「き、キレるなよ! 私に知ったこっちゃないだろ!?」
男「そうだな! ごめんっ!」
241:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:15:23.53 ID:
Bs7drq0k0
男「…そ、それにな。こんな俺に…幻滅するっていう選択肢もあるんだぜ、お前には」
委員長「……」
男「馬鹿な事を言ってる俺を嫌う。それもアリな選択だ、お前がそう思うのならな」
男「それでも俺はいいって思う。そうであっても、俺は絶対にお前のことは嫌わない」
男「…いつか一緒に笑って過ごせるまで、俺はずっとそばに居てやるから」
委員長「…何を馬鹿な事を」
男「あーそうだぜ、馬鹿だよ。だが、それがどうした」
委員長「どうして…そこまで…私のことを考えてくれるんだ…?」
男「あん? いいじゃん別に、そんなの理由なんてねーよ」
男「…だけどそうだな、アイツから言葉を借りると…こうなるのかもな」
男「──世間に認められない告白ほど、重みを増すことになるってな」
男「…俺はそれに、想いを感じた。ただ、それだけだ。そして信じることにした」
男「俺は俺で、自分の道を進むってことにな!」
242:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:20:04.79 ID:
Bs7drq0k0
委員長「馬鹿げてる。貴様は、本当は人間じゃあないな?」
男「そうかもな。宇宙人でも地中人でも良いだろ」
委員長「そ、そんな…わけのわからないことをいって…私を翻弄するきだろう…!」
男「……」
委員長「そのようなこと! 正しいわけがない! た、ただのハッタリだ! 私はっ…! 私はっ…!」
男「──違う、当たり前だ馬鹿野郎」
委員長「っ……!?」
男「…言い方が違ったな。そうじゃなくって、当たり前と思えよ」
委員長「当たり前…?」
男「おう、不器用で馬鹿なら。不器用で馬鹿らしい当たり前を信じろよ」
男「…そんな自分でしか出来ない自分を、認めるのも一興だぜ?」
委員長「…………」
243:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:23:00.79 ID:
Bs7drq0k0
男「そういうこった! 後はもう肉なり焼くなり好きにしろ!」バタン!
委員長「っ…」
男「どうしたっていいぜ。だが、あとは俺は答えを聞くまで帰らんからな!」
委員長「ええ…!」
男「……」
委員長「っ…!」そわそわ
男「どうしたっ!」
委員長「うぐっ」びくぅ
男「男ならハッキリ言えよ!」
委員長「………」
委員長「……え、えいっ」ぽすんっ
男「……」
委員長「……」ぎゅっ
男(え、抱きつくの?)
244:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:26:30.24 ID:
Bs7drq0k0
委員長「こ、これが私の…ううっ…答えだ…!」
男「こ、これが?」
委員長「が、頑張った。す、好きにっ…させるための…努力? っていうのか…その…」ぎゅっ
男「そ、そうか」
委員長「…うん」
男「……」
委員長「……」
男「……」
委員長「それから…どうすればいいんだ…?」
男「わかりませんッ!」
委員長「な、なんだその返事っ? やっぱり怒ってるのかッ?」
男「違いますッ!」
246:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:31:25.44 ID:
Bs7drq0k0
委員長「やっぱり怒ってるんだな…すまん、調子乗って…」
男「違いまッ…違うって、違う違うから…!」
委員長「ほ、本当か? 本当に…怒ってない? 大丈夫?」
男「本当。俺、嘘つかない」
委員長「…じゃあ白ご飯も食べてくれるのか?」
男「食べる超食べる。お腹いっぱい食べたい」
委員長「お、お漬物もあるぞっ?食べるか…?」
男「マジ大好き。つけもの瓶ごと食べる」
委員長「…えへへ」
男(寒気が! 見事にしねえ!)
委員長「…そうか、へへ。いいなこういうのって、くすくす」
男「…じゃあ聞くけど、いいのか?」
委員長「…ああ、まかせろ。貴様のこと好きにさせてみせる」
248:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:36:03.88 ID:
Bs7drq0k0
委員長「貴様の愛する友であろうとも! この私の多大なる愛で!」
委員長「──私色に染め打ち勝ってやるっ……と思うぞ…うん…っ」
男「途中で照れるなよ」
委員長「うるさいぞっ」
男「とにかく、信じてくれるんだな。俺のことを」
委員長「…ま、まあな。信じてやらんでもない、ぞ」
男「ありがとな。感謝する」
委員長「…う、うん…」
男「じゃあ食うか飯。ていうか食べさせてください」
委員長「あ、ああ。だが待ってくれ、どうせならアイツも呼ぼう」
男「アイツ?」
249:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:38:33.90 ID:
Bs7drq0k0
~~~
友「……」
男「……」
シーン
男「…えっと」
友「うふふ」
男(笑ってる!?)
委員長「ま、待たせたな」ガラリ
男「お、おう…」
委員長「味噌汁と、ご飯だ。おかずはスマンが用意できなかった…」
男「だ、大丈夫だ。そこまでごちそうになるつもりはないから…」
委員長「漬物はあるぞっ!?食べるか…?」
男「もらうもらう!」
250:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:41:52.10 ID:
Bs7drq0k0
委員長「いっぱい食べてくれ、な? おかわり自由だからな?」
友「ありがとう」
男「っ」びくぅ!
友「とても美味しそうな味噌汁だね」
委員長「そうか? ちょっと味には自身があるんでな…」
友「…」 ピクッ
男(は、反応してる…自信があるって言葉に反応してる…!)
友「へぇ、それは楽しみだよ」
男「い、いただきます」
友「いただきます」
ずずっ…
友「………」
男「や、やっぱり美味いなぁ。あはは…」
251:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:45:39.53 ID:of/Z1niG0
252:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:45:56.43 ID:
Bs7drq0k0
委員長「そうか、それは良かった……転校生はどうだ?」
友「……」
男「と、友? どうだったんだ…?」
友「……」カタリ
男(そっと箸を置いたっ!?)
友「…ボクってこういう時に、お世辞を言うタイプじゃあないんだ」
委員長「お、おお…」
友「だから正直に言わせてもらうけど──」
男「っ……」ゴクリ
友「──美味しいと思うよ、委員長くんのお味噌汁」
委員長「ほ、ほんとうかっ? 美味しかったか?」
友「うん、美味しかったさ。今度作り方を教えてくれたら嬉しいな」
男「っはぁ~…良かったぁ…」
253:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:50:22.43 ID:
Bs7drq0k0
友「…おや? どうしたんだい、男? えらく汗をかいてるようだけれど?」
男「な、なんでもないっす…」
友「ふふっ、そうかい。なんでもないのなら結構だよ」
男「……」
委員長「えっと、その…転校生…急に呼び出してすまなかったな」
友「大丈夫。先生たちには上手く説明してあるから、ついでに君たちのこともね」
男「マジか、ありがとな」
委員長「…すまない、本当に迷惑をかけてばかりだ」
友「そうだね。だけど、ボクは謝罪よりも聞きたい言葉があるよ?」
委員長「っ…そ、そうだな」
友「聞かせてくれるかな? どう答えを導き出したのかを、そして、何を信じたのかを」
委員長「…私は、だな。転校生」
委員長「──男と本気で付き合いと、願っている…」
254:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:55:15.96 ID:
Bs7drq0k0
友「……」
委員長「それには大きな問題がある。転校生のことも、私自身の問題も───」
委員長「──しかしそうであっても、私は乗り越えると信じたいッ!」
委員長「彼のためであれば、私は何時だって前を向いて歩けると思えるんだ!」
男「委員長…」
委員長「…そんな私を、転校生にもわかって欲しかった」
友「…そっかそんな風に決めたんだね。思いを」
委員長「あ、ああ」
友「ハッキリ言うとね、ふざけるなって思ってたりするよ。ボク」
委員長「うっ」
友「これでも嫉妬深いし、男を取ろうとする輩がいるなら全力で阻止するつもりだからね」
委員長「ううっ」
友「例え男が許しても、ボクが絶対に許さない。絶対に邪魔をすると思う」
255:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 04:58:43.57 ID:
Bs7drq0k0
委員長「うううっ!」
友「だけどさ。それにだって、例外もある」
委員長「っ…え」
友「そんなボクの思いすら、乗り越えてしまうぐらいの想い──」
友「──そんな物が仮にもし、あったとするのなら…ふふ、たとえボクでも手も足も出し用がないよ」
委員長「………」
友「例えばの話だけどね?」
委員長「…ああ、乗り越えるさ」
友「そうかい、期待して待ってるよ」
委員長「……」
友「……」
男(み、味噌汁美味しいなぁ)ずずっ
256:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:02:51.81 ID:
Bs7drq0k0
後日談
友兄「最近、顔が緩んでるな」
男「えっ!?」
友兄「いいことでもあったのか」
男「べ、別に何もないっすけど?」
友兄「そうか」
男「え、ええ」
男(やべぇ…緩んでたかな? こんな時に…)
友兄「次、来るぞ」
男「うっ!?」
ぱしーん
友兄「ストライク」
257:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:06:18.42 ID:
Bs7drq0k0
不良「よっしぁああああ! とってやってぜぇええええ!!」
男「うるせー! まだワンストライクだろが!」
不良「はぁーん? 何言ってるんですか? キコエマセーン!」
男「くっそ…見てろよお前…っ」
不良「ふっふっふ。見てるか-友ぉ~? オレ、かっこいいかっ?」
友「ごめん! 飲み物飲んでたー!」
不良「えぇえー!」
男「はーんっ! 残念だったな、間抜け!」
不良「ぐぬぬっ…兄貴さん! たまを!」
友兄「打たれるなよ」しゅっ
不良「わかってますってー!」
男「………」じりっ
不良「…見よ! 我が魔球! ド・ストライク!」ブン!
258:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:10:05.36 ID:
Bs7drq0k0
男「見事っ…安全圏ッ!」カキーン
不良「なっ!?」
友兄「…バックだ!」
友弟「はいはーい、了解了解~」
ひゅーん
友弟「んー……痛ぁっ!?」ゴチン!
不良「なぁっ!?」
男「チャンス!!」だだだだだ
不良「は、早く弟さん! 投げて投げて!」
友弟「痛いよぉー男さんがぼうりょくしたぁー」
男「してないわッ! って、やべっ…!」
友「男っ! 早くバックホームだ! じゃないと───」
「──私にカバーされるってわけだ」
259:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:14:20.83 ID:
Bs7drq0k0
男「ッ……委員長ッ!」
委員長「大丈夫か? 怪我酷くないみたいだな」
友弟「うん…うん…ひっく…」
友「いまだ! まだ間にあうよ! 逆手さよならホームランだ!」
男「うぉおおおおおおおおおおおお!!!」
委員長「さて、男の姿は──三塁を回ったところか」
委員長「ふぅ……見ろ、十数年と続けた──ぼっち投球の極意をッ!」ブン!
ギュゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウン!
友兄「良いコースだ」すっ
男「うぉおおおおおおお!!!」
ズバーン!!
友「っ…ど、どうなの!?」
男「……」
友兄「…さすがだな、男」
ころり…コロコロ…
261:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:18:15.83 ID:
Bs7drq0k0
友「やっ…やったぁー!!! やった勝った勝った!!」
不良「くそぉー…マジかよ…」
友兄「立てるか」
男「あ、すんません。怪我とかは大丈夫っすか?」
友兄「平気だ」
男(めっちゃ足プルプルしてるんすけど…)
友弟「ご、ごめんなひゃいっ…僕がドジラなければっ…ひっぐ…」
不良「大丈夫っすよ。あんなのこと、みんなしますって」
友弟「そうかなぁ…ところで、あなたって誰ですか…?」
不良「えっ」
友「男っ! やったね、凄いよマジで愛してる!」
男「お、おう。興奮しすぎて何かダダ漏れてるぞ!」
262:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:23:18.04 ID:
Bs7drq0k0
委員長「参ったな。あれほどの素晴らしい送球でも、貴様を止めれなかったか」
男「ふっへっへ。次はもっと凄いたまを投げるんだな、期待してるぞ」
委員長「…勿論だ、次はもっと凄いのをくれてやる」
男「例えばどんなの?」
委員長「…うーんと、一緒にデートとか。しかも原宿、オシャレさんにしてやるぞ?」
男「………」
委員長「ふふん。どうだ、楽しそうだろ? わかるわかる、いいよな~原宿~」
友「それはどうかな、委員長くん」
委員長「な、なにがだ?」
友「彼はね、自分のファッションに自信があるんだよ?
それなのに、君のセンスでお勧めるのはナンセンスだと思うのだけどねぇ」
委員長「ぐぬぬっ」
男「なぁ委員長、マジで行きたいわ」
263:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:28:15.90 ID:
Bs7drq0k0
友「ちょっと男ぉ!? なにそれ!?」
男「えっ? なんで急に怒ってんの…?」
友「なに見事に釣られちゃってるのさ! びっくりだよ! 一本釣りにも程があるよっ!?」
男「だ、だって可愛い子とお洒落デートとか、マジ憧れるんだもん…」
委員長「だよなっ? やっぱりそう思うだろうっ!」
男「おおっ! 俺ってどんな服が似合うと思う?」
委員長「そうだなぁ、足は長いし。背丈も中肉中背…むしろVネックとかの奴もいいんじゃないか」
友「ぐぬぬっ」
友弟「…コイテキがほんっと、多いよねお兄ちゃんってさ~」
友兄「……」そわそわ
友弟「気になってそわそわしないのっ!」
友兄「……」
友兄「すまん」ペコリ
264:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:32:08.92 ID:
Bs7drq0k0
不良「」
友母「あらあらあら。そろそろお昼ごはんにしましょー」
友「はーい。行こうよ男、あーんしてあげるよ」
男「えっ? ホントに…?」
委員長「わ、私もやってあげるぞ!」
友弟「僕はくちうつしをしてあげます! だけど…よくわからないから男さんに教えて欲しいなぁって…」もじもじ
友兄「…」すっ
男「ちょ、ちょっとまってくれ! いや、ありがたいけど…!」
不良「」
男「てか、もうお前頑張れよ! さっきから傷つきすぎだ!」
委員長「よっと」
男「うぉっ? どうした急に?」
265:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:36:06.01 ID:
Bs7drq0k0
委員長「うん、少し暑くなってな」
男「あーカツラ被ってるもんな。暑いのか?」
委員長「これ? そうだな、そろそろ脱ごうって思ってたんだ」
男「拭ってお前、おいいいのか──うおっ?」
委員長「えっと…どう思う?」
男「…髪伸ばしてるのか」
委員長「…うん、まあな」
男「良いんじゃね? 似合ってるよ、可愛いと思うし」
委員長「そ、そっか。後は男の好きなロングにするまで伸ばすまでだな」
男「なんで俺の癖知ってんの!?」
委員長「えっ? クラから聞いたけど?」
男「あいつー!」
委員長「ま。そんな小さなことよりも…さきに貴様の事を振り向かせてみせるさ、なっ?」
ちゅっ
266:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:39:37.38 ID:
Bs7drq0k0
男「うぃっ!? い、今…!」
委員長「秘技、誰も見てない瞬間に頬にキス──だ」
男「…ばかやろう」
委員長「貴様もなっ」
友「…というかボクにはバレてるよ」
委員長「うわあ!?」
男「お、俺は悪くない! コイツが悪いんだ!」
委員長「それは酷くないか!?」
友「いいさ、ここは両成敗──罰として母の料理を食べさせてあげよう」
男「え? 罰?」
友「母の料理。それは、鉄の胃袋を持つというお兄ちゃんでも二秒で気絶させた異物だよ」
委員長「……」だだっ
男「ま、マジで? ってちょ! 逃げるの早いなお前!」
267:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:44:25.84 ID:
Bs7drq0k0
委員長「だ、大丈夫だ! 私はきっと逃げても嫌われない、そう信じてる!」
男「じゃあ一緒に地獄に落ちようぜ!? 仲良くハッピーに!」がしっ
委員長「ぎゃーやめてやめてやめて! なんか怖い! 目が据わって、ウッ!」パタリ
男「に、匂いだけで…アウトだと…?」
友「し、進化してる…」
ふわぁり
男「え、なんかコッチにも匂いが…ごひゃ!」パタリ
友「えっ? えっ? うそだろみん──こひゅっ」パタリ
友弟「あれ? 何で三人でグラウンドに倒れてるの?」
友兄「仲が良いな」
不良「」
男「う、うーん…やめろよ…くすぐったいだろいいんちょ…男…」
委員長「あぁ…ダメだって男…そんなことしたら…えへへ」
友「…くす。幸せだなぁ、本当に」
269:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:46:30.40 ID:
Bs7drq0k0
終わり
今回は
男「中学の時の奴が集まってカラオケ? 行く行く!」
の続き、です。無いとか言ってたけど急遽考えた。
それによって三部作になりました。
次もあるけど今日はこのへんで、ご支援ごほしゅありがとう
感謝してこにれて、ではではノシ
270:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:47:20.33 ID:of/Z1niG0
乙
二人とも受け入れるとは。最高の選択だよ
本当面白かった!
三部作だと…?次はいつだ見逃したくないな
272:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 07:29:57.78 ID:hO6nsPdn0
男だらけじゃないですか、ホモですかホモなんですか!?
271:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/06/24(月) 05:57:16.62 ID:nbC1nnJa0
おつ
楽しかった(小並感)
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