9:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 21:30:01.84 ID:
mL8YZlIS0
妹「……よし」
ガラガラ……
女生徒A「あっ、来たwww」
女生徒B「おはよーww」
妹「…………」
妹「(私のイスがない)」
ナイものねだりはもうお姉妹
10:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 21:34:51.37 ID:
mL8YZlIS0
女生徒C「さっきからキョロキョロしてどうしたのww?」
妹「あ、あの……私のイス知りませんか?」
女生徒C「それなら男子トイレの中に放り込んであったよwww」
妹「あ、ありがとうございます……」
スタスタ……
女生徒C「感謝されちゃったwww」
女生徒A「ウケるwww」
12:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 21:40:31.80 ID:
mL8YZlIS0
妹「あ、あの!」
男「ん?なに?ちょっと今漏れそうなんだけど」
妹「え///あの、私のイスがちょっと手違いで男子トイレに入ってしまったみたいで……」
男「どんな手違いだよwwちょっと待ってて……うーん、何にも無いけど?もしかして今のジョーク?」
妹「あ、そ、そうです!すみませんでした!」
タッタッタ……
13:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 21:47:06.65 ID:
mL8YZlIS0
男「…………」
男「こんなひでぇもん見せらんねぇよな。便器の中に突っ込んでやがる」
男「どうせまた女の仲間がやったんだろ。今度また来る時のために個室の中でオナニーして待機してやろうか」
男「なんて、やる度胸もないんだけどな」
16:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 21:59:16.61 ID:
mL8YZlIS0
妹「(どこにあるんだろう……)」
妹「(前みたいに屋上前の階段かな……)」
兄「妹?」
妹「ひゃっ!!?に、兄さん!!」
兄「何俺に媚びるようなかわいい声出してんだよ」
妹「し、してません!!」
兄「してただろ。ていうかさ、朝から4階まで来てなんか用でもあんの?」
妹「と、友達がなくしものしちゃったみたいでSOSメールが来て……」
兄「そうか。見つかったらすぐ戻れよ。兄妹いるところ見つかると友とかうるさいんだよ」
妹「わ、わかりました。ごめんなさい……」
兄「引き止めてわりぃな。早く探しに行きな」
17:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 22:03:49.56 ID:
mL8YZlIS0
妹「あの、兄さん」
兄「なに?」
妹「もしも、私が兄さんに、SOS出した時は、どうなるのかなーって思ってしまったり……」
兄「お前もなんか失くしたの?」
妹「そういうわけでは……」
兄「助けてやるよ」
妹「えっ?」
兄「時間ないぞ。早く行けって」
妹「……は、はい!」ニコッ!
18:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 22:07:36.28 ID:
mL8YZlIS0
妹「(兄さんは……兄さんだけはいつも味方でいてくれる!!)」
妹「(大丈夫。大丈夫だよ私。兄さんがついてるから)」
妹「(でも心配かけさせたくないから、何も言わないでおくね)」
妹「(あっ……イス、見つかった)」
妹「(わざわざ4階の女子トイレまでご苦労様です)」
妹「(よし、教室に戻ろう)」
23:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 22:33:36.92 ID:
mL8YZlIS0
女生徒A「あっ、帰ってきた」
妹「…………」
男「(あれ?なんでイス持ってんだ。空き教室から借りてきたのか?)」
ガラガラ
女教師「はーい、みんなおはよー。あれ?妹さんどうしたの?」
妹「な、なんでもないです!」
女教師「そう?じゃあみんな席についてー。今日はね……」
何も変わらなかった。夏休みが終わったばっかりなのに、冬休みまでの日を数える日常が始まる。
25:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 22:48:05.11 ID:
mL8YZlIS0
今日のいじめはいつもに比べれば大分マシな方でした。
いつもみたいに席を外したらプリントが破られているということもなく、お弁当がゴミ箱に捨てられているということもなかったです。女さんが休んでいるからだと思います。
妹「…………」モグモグ…
女生徒A「でさー、あいつったらwww」
女生徒B「嘘でしょ!?」
男生徒C「今日部活さぼってゲーセン行かね?」
男生徒D「結局最後は部活行くパターンだろ」
部屋の中や、帰り道など、本当に一人でいられる場所で感じる孤独感はつらいものではありません。むしろ安心感さえあります。
こういう賑やかな場所で、独りだけ疎外されているというのが本当につらいのです。何よりも、こんな姿を兄さんに見られたらと思うといてもたってもいられません。
27:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 22:53:51.24 ID:
mL8YZlIS0
6時限目の終了を告げるチャイムが鳴りました。朝は永遠に終わらない一日が始まるような気さえしたのに、終わってみればあっという間でした。
それでもまだ明日は火曜日です。地獄はまだまだ続きます。兄さんにお願いして、明日はどこか遠くに遊びに連れて行ってもらおうかと思いました。不可能なことではないのに、それが叶う気は全くしません。
妹友「今日、文房具買わなくちゃ」
友ちゃんは、やさしいです。視線を交わすことなく、わたしはコクリとうなずきました。
29:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:07:31.63 ID:
mL8YZlIS0
今日は帰り道とは逆側にある文房具屋さんに寄りました。友ちゃんが先にいました。あくまで偶然です。偶然出会った私たちは、最初はぼそぼそと、店を出る頃には以前のようにぺちゃくちゃたくさんお喋りをしていました。
女さんがいる日にはこんなこと到底できません。他の人達はさほど私を虐めるのには興味がなく、女さんに目をつけられないためにしているみたいです。
妹「そしたら兄さんがね、お父さんのまくら投げちゃってww」
妹友「あの……妹ちゃん」
妹「なに?」
妹友「ごめんなさい」
どういう意味だろう。もう私とはいられないという意味だろうか。それとも今朝のイスは彼女がやったというのだろうか。私はショックをやわらげる手段としてありとあらゆる可能性を想定する癖がついてしまった
妹「どういうこと?」
妹友「学校で、話しかけるのが怖くて……」
友ちゃんは泣きだしてしまいました。やっぱり彼女は優しい子です。女さんの私に対するいじめが突然始まってからというもの、私に話しかけてくれる人はだんだん少くなってきました。
友ちゃんは最後まで傍にいてくれたのですが、ある日突然欠席し、そのあとは学校に来てからも私を避けるようになりました。何かされたんだと思います。
妹「うんうん。今日も一緒におしゃべりしてくれて楽しかったよ」
妹友「…………」グズ…
妹「あっ、もうこんなところまで。じゃあまたね!」
また明日ね、とはいいづらいです。友ちゃんは泣きながら、笑いながら手を振ってくれました。
31:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:17:12.59 ID:
mL8YZlIS0
妹「あのさ!」
私は急な思いつきに自分でもびっくりしました。振り返った友ちゃんに、勇気を振り絞って尋ねました。
妹「明日、学校サボってどこか行かない?」
私は今まで皆勤賞でした。身体も健康だし、どんなにひどい嫌がらせをうけても家族に心配されたくないのでずっと学校には通い続けました。嘘です。休む私を家族が受け入れてくれる気がしなかったのです。
友ちゃんはずっとこっちを見つめていました。ああ、駄目なんだろうな。仕方ないよね。友ちゃんも大人しくて真面目だし。またいつもの癖で、苦痛をやわらげるために駄目だった時のことを既に考えてしまっています。
妹友「妹ちゃん……」
妹「ご、ごめんね!たまには不良ごっこもいいかなーって……」
妹友「うん、ごめんね……」
断られました。ドクン、と心臓が下に落ちていったような気がしました。拒否されることは、どんなに備えているつもりでもやっぱり悲しいです。
さっきまでの感謝もどこかへさっぱり消えて、目の前の女の子がどーでもよくなってしまいました。ものすごい距離を感じます。私は最低です。自分も嫌になってしまいました。
急ぎ足で帰ります。こんなに悲しいのに、雨が降る気配はありません。
33:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:23:10.00 ID:
mL8YZlIS0
家の玄関のドアを開けた、その時でした。
兄「伏せろ!!」
頭にやわらかい衝撃が走りました。兄さんがプチプチマットを棒状に丸めて叩いてきたようです。
兄「ふぅー、怪我はないかいお嬢さん?」
妹「どういうシチュエーションだか1から説明してください」
兄「そういうのを水平思考問題っていうんだっけ?まあ自分で考えろ。ハハハ!」
妹「兄さんはその場のノリで生きてますよね」
34:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:29:51.51 ID:
mL8YZlIS0
兄「ねえー、なんか暇つぶししようよ」
妹「兄さんは受験生じゃないですか」
兄「学校は学ぶところ。では家は何をするところ?学ぶところだ!!」
妹「そのテンションについていけないので私は部屋に戻りますね」
我ながら冷たい反応だと思うが、実際兄さんの成績は三年にあがってから急激に悪くなっている。本人は部活動をやめたからだとか意味のわからない抗議でお父さんに逆切れしていたっけ
35:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:33:49.11 ID:
mL8YZlIS0
兄「そういえば、最近ずっとお前の部屋入ってないな」
妹「またまた、ご冗談を」
兄「下着の位置ずれてるのばれたか」
妹「ふぇっ!?」
兄「嘘に決まってんだろ」
36:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:36:44.80 ID:
mL8YZlIS0
妹「入ってみます?」
兄「えっ、いいの?」
妹「物色するようなことはしないでくださいね」
兄「わかってるって」
ガチャ…
兄「スーハースーハー!!」
兄「すげぇいい匂い!!」
妹「やっぱり出てってください!」
38:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:42:00.17 ID:
mL8YZlIS0
兄「換気扇とりつけてお前の部屋の空気俺の部屋に送り込むようにできないの?」
妹「できたとしても許しません」
兄「俺がお前の部屋の空気清浄機になるのは?」
妹「意味がわかりません」
兄「なんていうかさ、フィルターに溜まった汚れ見ると興奮しそうだよな」
妹「まったく……兄さんは相変わらず最低です」
兄「俺の妹愛も変わらず最高だぜ」
妹「全然うまくないです」
41:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:49:08.93 ID:
mL8YZlIS0
兄「そのでっかいペンギンのぬいぐるみかわいいな」
妹「お気に入りのやつです」
兄「抱いて寝たりすんの?」
妹「昔はしてましたね。はい、匂いを嗅がないでください」
兄「テディベアもあんじゃん。これも抱いてねるの?」
妹「それは材質がかたいのでしませんでしたね」
兄「じゃあなんで置いてあんの?」
妹「あるだけでいいんです」
兄「むしろあるだけだからいい、みたいな?」
妹「そうかもしれません」
43:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:53:50.01 ID:
mL8YZlIS0
妹「そこのひよこの覚えてます?兄さんがとってくれたんですよ」
兄「…………」
妹「懐かしいですね。私がちょっと見てただけなのに、兄さんはりきっちゃって。お小遣いなくなりかけてましたよね」
兄「…………」
妹「本当にそこまで欲しくなかったんですよ?でも兄さんがあんなに一生懸命になってくれてすごく嬉しかったんです」
兄「…………」
妹「ペンギンの真似をするのやめてもらえます?」
兄「抱いてくれるかなって」
妹「材質がかたそうなので駄目です」
兄「それは下ネタかな?っておわ!テディベア投げるな!!」
妹「ふふっ」
45:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/12(金) 23:55:48.60 ID:wgprEujz0
47:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 00:03:50.74 ID:
OvqkT5/t0
ガラガラ…
兄「ん?なんだこれ……」
妹「ぎゃあああああ!!!!」
バサッ!!
妹「最低です!!勝手に引き出し開けるなんて!!」
兄「ほほぉ…そのノートには黒い歴史がいっぱい詰まっているというわけですね?かしこまりました」
妹「かしこまらないでください!見たら蹴りますからね!」
兄「じゃあ見るわ」
妹「見ないでください!蹴ってあげますから!」
兄「よし来い!」
ドグッ!
妹「す、すいません!!つい……」
兄「ハァハァ……生きてるって感じがする……」
妹「……そこまでいくと変態も崇高なものに見えてきますね」
50:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 00:12:06.40 ID:
OvqkT5/t0
兄「お前からあんな叫び声聞いたの久しぶりだな」
妹「やめてくださいよ」
兄「昔はしょっちゅう叫んでたのにな」
妹「そ、そうでしたっけ?」
兄「風呂場で全裸の俺と遭遇するたびにいつもあんな感じだったな」
妹「嘘です。笑っていましたから」
兄「えっ?まじで?そんなことあったっけ?ふぁぁ……」
妹「ジョークです。適当なこと言う自分がわるいんですよ」
兄「ぐぬぬ……」
55:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 00:15:24.20 ID:
OvqkT5/t0
兄「で、あれ何が書かれてんの?」
妹「しょ……えっと……しょ……」
兄「ショタぁ!?お前腐女子だったんか!!」
妹「違います!小説です!!」
兄「へぇ~」ニヤリ…
妹「さ、策士め……」
59:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 00:30:02.60 ID:
OvqkT5/t0
妹「黒歴史のひとつやふたつ兄さんにだってあるはずです!」
兄「お、俺はねぇよ」
妹「だったら今から兄さんの部屋に行きましょう」
兄「わるかった!俺がわるかった!」
妹「いいえ、許してはならんのです」
スタスタ…
兄「…………」
兄「(あれだけは、見られたら本当にまずい。女に知れたら……)」
61:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 00:41:22.31 ID:
OvqkT5/t0
ガチャ
妹「おじゃまします」
兄「やめとけって。イカくせーぞ」
妹「いつもですよ」
兄「下ネタ言っても顔真っ赤にしながらわからないふりしてた中学時代の妹ちゃんはどこにいってしまったんでしょうかね……」
妹「し、しりません!」
兄「机の引き出しは受験関係の資料あるからいじんなよ」
妹「受験関係の資料にとても興味があります」
兄「わりぃな、本当は机の引き出しは自作の漫画しかねぇんだわ」
ガラガラ
妹「あっ!本当ですね!」
兄「待ちなさい」
63:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 00:47:23.04 ID:
OvqkT5/t0
妹「3コマ漫画劇場?」
兄「お前まじで見たら後悔するって。作者が後悔してんだから」
妹「少しだけ拝見しますね」
パラパラ……
66:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 00:57:14.50 ID:
OvqkT5/t0
美女『女の子のどーいうところが好き?』
イケメン『おむつ履いて放尿しながら会話してるのに気づかないところかな』
ジョバジョバジョバ
美女『へぇー……』
妹「絶縁手続き……検索っと……」
兄「お前が100%正しいのはわかるが思い直してくれ」
67:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 00:59:03.98 ID:
OvqkT5/t0
ペラ…
妹「うわ……ひっどい。ほとんど下ネタだらけじゃないですか」
兄「やめてくれ」
妹「わぁ……これひどすぎます……これ……ぶふっwww……兄さん最低です……」プルプル…
兄「今笑ったよね?」
77:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 01:34:47.70 ID:
OvqkT5/t0
兄「よし!行くぞ!」
私がお風呂からあがると、コンビニの袋を掲げた兄が楽しそうにしていました。在庫処分の特売だったそうです。
妹「今からですか?」
兄「まだ9時じゃねぇか」
妹「しょうがないですね、ついてってあげますよ」
それにしては口元がほころんでるな、と言われたので殴ってしまいました。
82:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 01:45:03.88 ID:
OvqkT5/t0
兄「この時期はまだあたたかいな」
妹「あたたかいですね」
兄「あたたかいですね、と言ったらあたたかいですね、と返してくれる人がいるこのあたたかさ」
妹「それちょっと暑苦しいです。ところで母さんは呼ばなかったんですか?」
兄「見たいドラマと殴りたいオヤジがいるらしい」
妹「納得です」
86:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 02:08:15.07 ID:
OvqkT5/t0
平和に花火をするのに飽きた兄さんが、ねずみ花火を縦にしたせいで私に向かって火車がものすごい勢いで転がってきました。慌てて駆けて来た兄に頭突きをしました。
そんな兄でも最後はやっぱり線香花火をするところが、なんだか人間らしくて寂しい気持ちにもなりました。
兄「願い事、何にしてる?」
妹「あっ、考えてませんでした」
線香花火の火の玉が地面に落ちることなく燃え尽きたら、込めた願いが叶うというあれです。未だかつて一度も落ちなかったことがありません。
妹「兄さんは?」
兄「妹と混浴できませんように」
妹「それずるいですよ」
88:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 02:08:51.45 ID:
OvqkT5/t0
兄「ほら、もうすぐ終わっちまうぞ。願い事どうする?」
突然、何の理由もなく哀しい悟りが訪れる。
こんなふざけた兄でもお金を稼がなければ生きて生けない。
こんな陽気な兄さんも誰かからは消えればいいと思われているかもしれないし、思っているかもしれない。
兄さんも学校へ通っている。そのうち本格的に勉強をする時期に生きることを強いられる。
そのあとも就職とか、結婚とか、兄さんらしくない問題が兄さんに訪れる。
少し常識外れな今回の花火でさえ、公園の中でというルールを守っている。
そして、私もまた、明日学校へ行かなければならない。本気で不登校になろうと思えばなれるんだろうけど、それを選べない私が私なのだ。
私はこんな世界から--
妹「逃げ出したい」
92:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 02:20:08.96 ID:
OvqkT5/t0
兄「…………」
妹「兄さん……」ポロポロ…
妹「もう限界です……」
妹「どこか遠くに連れて行ってください」
妹「誰も私たちのことを知らない世界に。私達も誰も知る必要ののないところに」
さっきまで、兄のくだらない冗談をあしらっていた私はどこに行ってしまったのでしょう。
兄の答えを聞きたくありませんでした。私の声を聞いてくれるだけでよかったんです。
94:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 02:30:11.03 ID:
OvqkT5/t0
兄「…………妹」
わかっています。
現実的に考えてどれだけ馬鹿げていることか。
そもそも遠くって、一体なんでしょう。
私にとっての非日常だって、誰かにとっての日常なんです。
現実から逃げて来た誰かがたどり着いたところが、この街かもしれないのです。
期待を裏切られるのにはもう耐えられません。だからもう、期待をすることはやめたんです。
95:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 02:36:04.02 ID:
OvqkT5/t0
妹「兄さん……」
もう家に帰りましょう。
本当は心の片隅にあった0.1%の期待が、その言葉を飲み込んでしまいました。
兄さんが口を開いてしまいます。
もうやめてください。
悲しませないでください。
失望させないでください。
せめて、くだらない冗談でもつぶやいてください。
兄「妹」
兄さん……
兄「ごめん。俺にはどうすることもできない」
私は号泣しました。もう、どうすることもできません。
97:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 02:48:20.69 ID:
ed+uiKXP0
「おはよー!」
ドアを開けると、黒板消しが顔に飛んできました。女さんが来ていました。マスクをつけていますが、とても愉快な表情をしているのだとわかります。
女「久しぶり、妹ちゃん。先週あなたと話していたからか、病気にかかっちゃったみたい」
女友A「可哀想……妹、女さんに謝りなよ」
女友B「そうだよ謝りなよ!」
それからは謝れコールが始まりました。時計を見たら午前8時過ぎでした。
妹「……ぅ……ぐ……」
喉の奥が震えます。涙が出そうになります。それでも堪えます。頑張ります
妹「ご、ごめんなさい……」
蹴られました。声が小さいそうです。頑張ります
100:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 02:58:41.35 ID:
ed+uiKXP0
妹「ごめn……なさい……」
8時20分。教室の隅から、反対側にいるみんなに向かって独りで叫びます。叫べませんでした。声が震えてしまいます。
みんなのうんざりした表情はここからでも見えます。聞こえないよー、いい加減にしてよー、やる気出しなよー。昨日友ちゃんや兄さんといた時はやる気がなくても大声で笑うことができました。
友ちゃんはまだ来ていません。遅刻ぎりぎりに来るのでしょうか。私が遅刻ギリギリに来ると椅子や机がなくなってしまいます。早めにきても発声練習をさせられます。
妹「ごめ……さい……」
女友1「そろそろ先生来る頃じゃない?」
女友2「そうだね。妹、もうあんた用ないから寝ててよwww」
102:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 03:09:23.18 ID:
ed+uiKXP0
もう用済みだそうです。みんな笑っています
女「寝かせてあげるんだ」
シン、と静まり返ります。教室の空気が張り詰めています。読書をしている男の子も、緊張して動けなくなっているみたいです。
女「妹ちゃんにやさしいんだね」
女友2「え、え?違うよwwんなわけないじゃんwww」
女「そうなの?」
女友2「そうだよ!!ねぇ、妹!!あんたのせいで誤解されちゃったじゃん!!謝ってよ!!」
彼女をみてみると、声は強気でいるものの、笑顔は強ばっていて足が小刻みに震えています。
妹「ごめんなさい」
女友2「それだけなの!?土下座してよ!!」
言った本人がハッとした表情を浮かべていました。彼女は本来やさしい人なんだと思います。
クラス全員を敵にまわすような私は、果たして正しいのでしょうか。外の世界の人たちがこの状況を見たら私以外の人間が悪だというかもしれません。でもこの状況を知っているのがわたしたちだけである今のような場合には、まわり全員の意見が正しいのかもしれません。
106:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 03:24:26.04 ID:
ed+uiKXP0
どうすればいいかわかりません。
女友2「土下座しろって言ってるでしょ!!」
それはきっと彼女も同じです。
妹「…………」
土下座はできません。それどころか身体が動きません。動いてもしませんが。
ちょうどその時先生が教室に入って来ました
107:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 03:30:45.55 ID:
ed+uiKXP0
女教師「あら、みんな朝から仲良くおしゃべり?」
女「先生おはよー!」
女教師「あら!女ちゃん!おはようございます、でしょ。体調はどう?」
女「先生を見たら元気になりました!!」
女教師「いつも通りね」
二人は仲良さそうに笑っている。
139:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 10:17:34.08 ID:
ed+uiKXP0
私の味方はどこにもいません。
女さんが奪ってしまいます。
それとも単に、女さんの方が魅力的なのかもしれません。
男「あのさ……」
みんなが女さんと先生の会話に夢中になってる時に、男くんが話しかけてきました。
男「……大丈夫?」
妹「あの、何がですか?」
男「ご、ごめん。なんでもない」
男君は自分の席に戻ってしまいました。
気遣ってくれたんでしょうか。
彼の言葉が何の解決ももたらさないとはわかっているけど、すごく、嬉しかった。
142:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 10:27:11.55 ID:
ed+uiKXP0
昼休みは地獄のようでした。
私の体操着をみんなが黒板消しで叩きます。
それをかばう私の制服もピンクや黄色の跡がどんどんついていきます。
可哀想だから体操着だけは洗ってあげると言ってくれて、便器の中に置いて水を流してくれました。
女友1「綺麗になってよかったねww」
女友2「そういえば次の時間って何の授業だっけ?妹」
妹「……体育です」
女友1「wwwwwwwww」
女「遅れるとまずいし行こうか。妹ちゃんもはやく行こ?」
妹「…………はい」
多分この体操着さえ見えなければ、女さんは心やさしい天使のようにみえるんだと思います。
143:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 10:34:12.76 ID:
ed+uiKXP0
保険医「ごめんね、さっき他の子が借りて行っちゃって無いの」
妹「そうなんですか……ありがとうございます」
保険医「友達に頼んで借りてちょうだい」
妹「わかりました」
今日の体育は体調がわるいので見学することにしました。
体育座りをしている私にバレーボールがたくさん飛んできました。みなさん楽しそうです。
145:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 10:42:15.66 ID:
ed+uiKXP0
結局、友ちゃんは学校に来ませんでした。
来なくてよかったと思います。
私の惨めな姿をあまり晒したくありませんから。
帰り道をひとりでとぼとぼ帰ります。
みんなは部活をやっています。
私も吹奏楽部に入っていました。でもやめてしまいました。
妹「学校の外に部活があればいいんですけど」
160:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 11:30:16.54 ID:
ed+uiKXP0
妹「ただいまー」
妹「……誰もいないのでしょうか」
妹「さて、何をしましょう」
妹「うーん……」
妹「もうちょっと、兄さんの部屋を見ておきたいです」
161:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 11:33:50.01 ID:
ed+uiKXP0
妹「兄さんの部屋、いい匂いがします」
妹「少しくらい横になってもいいですよね」
ボフッ
妹「はぁー、どうしてこうなってしまったのでしょう」
妹「もう死ぬまでこの部屋にいることにしましょうか……」
164:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 11:43:49.71 ID:
ed+uiKXP0
妹「……暇です」
妹「あっ、そうでした」
スタスタ… ガラ
妹「ふふっ、兄さんの黒歴史ノートはどこでしょうか」
妹「うーん……プリントがたくさん入っててよくわから……あれ、これはなんでしょう?」
妹「封筒の中にたくさん写真が入っています」
166:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 11:48:23.69 ID:
ed+uiKXP0
兄「おい、何やってんだ」
妹「きゃっ!」
バサァ!
妹「……え?女さん?」
兄「出てけ!!早く!!」
あんなに恐くて、そして怯えている兄さんを見たのは初めてでした。
そして、あんなに怯えている女さんの写真を見るのも。
171:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 11:59:39.97 ID:
ed+uiKXP0
ガラガラ…
女友1「あっww来たwww」
妹「……おはようございます」
女「おはよう妹ちゃん。あのさ、今日の放課後暇?」
妹「なんででしょう?」
女「うちら今日部活休みになっちゃったからさ、遊びに行きたいなーって思って」
妹「すいません……今日は……」
女「へー、用事があるんだぁ」
妹「は、はい……」
女「…………」
妹「…………」
女「…………」
妹「い、行きます」
女「やったぁ♪」
173:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 12:09:53.07 ID:
ed+uiKXP0
帰りのホームルームが終わるまで、今日は何の嫌がらせもありませんでした。
何もしないことであえて不安がらせるつもりなのでしょうか。私は平和な昼を過ごせてよかったと思っただけです。
女「妹さん、お金持ってきてる?」
クラスメートと放課後にショッピングモール。充実しています
妹「はい……少しですが」
何か買わせるつもりなのでしょうか。財布には千円しか入っていません。これくらいならなくなってもまだ平気です。
女「私欲しいものがあるの」
175:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 12:19:06.91 ID:
ed+uiKXP0
指示は簡単でした。財布を盗んでこいとのことでした。
女さんは私に万引きさせたいだけのようです。
妹「だ、駄目です!」
女「ばれないって。この店タグもついてないからブザー鳴らないし、監視カメラも見当たらないから」
妹「そ、そういう問題じゃ……」
女「もし私のために盗ってくれたら、もう何もしないであげる」
妹「えっ?」
女「約束するよ」
女さんは笑っていいましたが、目は真剣でした。どういうつもりなのでしょう
178:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 12:28:29.38 ID:
ed+uiKXP0
手に尋常ではない量の汗が流れています。
善悪との葛藤よりも、損得勘定が強くせめぎ合っています。
万引きに失敗して、捕まったらどうあるのでしょう。どんなに言い訳したって、優等生の女さんのことを学校の先生方は信じるでしょう。私が独りで盗んだことになる気がしてなりません。
逆に、成功したらどうなるのでしょう。本当に解放してくれるのでしょうか。万引きが出来るならと、もっとひどいことをさせられるのではないでしょうか。
手の平なんてすぐ返されそうです。
女友1「ねぇ、さすがにやばいんじゃない?」
女友2「男用の下着買わせるのにするんじゃなかったの?」
二人でさえ心配しています。
女「大丈夫だから」
私が捕まっても大丈夫、という意味でしょうか。
181:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 12:47:48.15 ID:UFlKAwX80
書籍化決定
182:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 12:50:30.69 ID:
ed+uiKXP0
妹「はぁ…はぁ…」
財布を手にしました。なんだか息が苦しいです。
女さんはじっと店の外から見ています。女さんの友達は二人して落ち着かない様子です。
妹「…………」
これを盗めば解放される。少なくとも、女さんの友達には強気にでられるようになるかもしれません。
妹「…………」
でも、
妹「お父さん……お母さん……」
やっぱり、
妹「兄さん……」
無理みたいです。今まで女さんの前では気丈に耐えてきたのですが、泣きだしてしまいました。
万引きなんて何万人もの人ができるのに、私にはその能力がないようです。
186:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 13:00:01.35 ID:
ed+uiKXP0
女友1「やっば!」
店員さんが心配そうな顔をして私に近づいてきています。
女友2「女さん、あれやばいよね?」
私はもう半ば自どうなってもいいという気持ちになり、財布を放り出して店の外に逃げ出します。
女「い、妹!」」
女友1「ま、待ってよ!」
女友2「やばいって!うちらも逃げよう!」
191:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 13:12:30.85 ID:
ed+uiKXP0
こんなに全力で走ったのはいつぶりでしょう。
後ろから女さんたちの声が聞こえます。
何も私と同じ方向に逃げなくてもいいのに、パニックになってるみたいです。
気付いたら神社の境内にいました。来たことのない土地に来てしまったようです。万引き未遂のあとに神社なんて、少し皮肉です。
呼吸が整う前に、はっと気づきました。
女の人たちが私をみていました。
うちとは違う高校の制服で、4人組みです。
この人たちはもっと皮肉なことにタバコを吸っています。
先輩A「なにこの子?」
先輩B「さぁ」
場違いで気まずかったのですが、離れる体力も残っていません。
195:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 13:24:10.34 ID:
ed+uiKXP0
女友1「ハァ…ハァ…!」
女友2「死ぬ!もう無理!」
ふたりとも地べたに寝転んでしましました。
女「妹……勝手に逃げ出して、あんたただじゃおかないからね……」
女さんは膝に手をついて立っていますが、息切れしています。
女「死刑にしてやるんだから……」
先輩A「へー、うちらがあんたにやったみたいに?」
女さんの身体がビクッ、と揺れました。
199:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 13:33:32.10 ID:
ed+uiKXP0
どうしたのでしょう。
女さんからはさっきまでのような過呼吸がぴたりとやみ、代わりにじっとかたまって動けないようでした。
先輩B「ひさしぶりだね。元気してた?」
先輩C「へー、その制服。あんた頑張って勉強したんだね。新しい環境はどう?いじめられないでうまくいってる?」
女さんは顔をあげないまま、汗をポタポタと流し続けています。
203:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 13:38:28.80 ID:
ed+uiKXP0
女友2「どういうことなの?女さん」
女「…………」
女「中学時代の違うグループよ。うちらのグループと特別仲が悪かったの(嘘。てきとうに女友らをごまかすため)」
それを聞いて女性方は顔を見合わせていました。
女「こんなクズどもといると吐き気がするから行きましょう」
誰とも目を合わせないまま女さんは後ろを向いて速めに歩き出しました。手と足が震えています。
383:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 20:48:52.32 ID:
ed+uiKXP0
《あらすじ(境内編)》
万引きやめて逃げ出す→妹一行神社に到着。女の先輩がいた
兄が預かった写真について話す時、先輩BCDは写真についてデブニキビ時代(今の女とは全くの別人の外見)の話しかしないのに、女が見たのは痩せた女の布一枚羽織った写真だった。先輩Aは妹が布一枚verの写真の話題を出すことを危惧し、慌てて
「実はね、私とお兄さんは、昔お付き合いしていたの~~~~泥沼三角関係になってね(全て嘘。過激なこと言って妹の注意をそらすため)」
などど嘘をついた。だけど結局女が布一枚の写真見たことを女に告げたら女ぶちぎれて先輩Aの頬を刺す。
207:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 13:49:46.18 ID:
ed+uiKXP0
先輩A「あはははwww」
笑って走りだした女性が、女さんの襟を掴んで強引に中央まで引き戻しました。他の女性もどっと笑っています。
先輩A「ねぇデブニキビwww今の設定何www?あれでしょ?他の友だちの前で見栄はっちゃった感じでしょwww?」
先輩B「グループってなんだしwwうちらが先輩だってことも忘れちゃったのかな?ていうかさ、こいつグループどころか友達いなかったじゃんwwww」
先輩B「ねぇねぇ君、こいつがすっごい底辺な存在だったって知ってた?」
女友1「えっ……」
先輩C「今こいつ学校でどんな感じなの?」
女友2「あの、その……」
先輩C「言えよ」
女友2「す、凄く人気です!運動も勉強もできて、先生と仲好くて、男の子からも人気があります!!」
208:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 13:53:30.81 ID:
ed+uiKXP0
爆笑が起きました。
先輩A「デブニキビさんwwwおめでとうございますwwww」
先輩B「今日もダイエットで走ってたのかなぁ?www」
先輩C「あのさ、当時の写真こいつの高校にばらまいてやんね?」
先輩A「バカ。写真は兄にまかせてあんだろ」
えっ……
先輩B「そうだったねww兄くんも大変だねぇwww」
妹「あ、あの!」
先輩A「ん?なに?」
217:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 14:20:58.32 ID:
ed+uiKXP0
妹「い、今兄って……」
女「わぁああああああああ!!!!!」
女さんが叫びました。
女「別にいいじゃん!!過去の私なんてどーでもさ」
女「ねぇ裏切んの!?過去の私をちょっと知っただけで底辺扱いすんの!?ねぇ!!」
女友1「お、落ち着いて……」
女「あんたも裏切んの!!?」
女友2「女さん、だ、大丈夫だから」
爪を自分の頭にかきたててぐしゃぐしゃとやっています。恐怖心がものすごいストレスに変わったようです。
233:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 14:51:48.34 ID:zVKkCa+C0
カオスwwww
226:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 14:33:38.59 ID:7XHj5UYY0
爪痛そう(´・ω・`)
238:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 15:10:03.96 ID:+nNUOmX70
先輩も最低だと思うけどちょっとスカッとしてしまった
265:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 16:37:25.00 ID:
ed+uiKXP0
女「もう嫌だ……」
女さんはしゃがみこんでしまいました。女さんの友達はきたすら呆然としています。
妹「あ、あの」
先輩A「どうしたの、いじめられっこさん?」
私はむかっときましたが堪えます。
妹「あの、本当に写真ばらまいたりしませんよね?」
先輩A「そんなこと言って、ばらまいて欲しいんじゃない?」
妹「違います」
先輩A「いじめられっこがいじめっこかばっちゃうことってよくあるからねぇ」
先輩C「ばらまくって言ったってAの知り合いの男に頼まなくちゃならないし」
妹「そ、それです。にいs……どうしてその男の人に預けてるんですか?」
先輩A「だって家族に見つかったらやばいじゃん」
妹「その男の人は見つかったらどうするつもりですか?」
先輩A「知らないよ。うちのこと大好きだからかばってくれるし(嘘。てきとうに妹を誤魔化すため)」
妹「そんな……」
268:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 16:45:19.21 ID:
ed+uiKXP0
わけがわかりません。
私は中学も高校も兄と一緒です。
兄は中学時代は部活をしておらず、放課後は図書館で勉強していたそうです。
妹「その男の人とはどんな関係ですか?元クラスメートとか?」
先輩A「いきなり何?中学も違うわよ」
制服を見たらわかるけど、高校も違うはずです。
兄とこの方に一体どんな接点があったというのでしょう。
兄は私に何を隠しているのでしょう。
273:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 16:58:28.88 ID:
ed+uiKXP0
先輩A「ねぇ、あんた兄のこと知ってんじゃない?」
知っている。16年間もずっと一緒にいた。
今は何よりも情報が欲しい。兄さんのことを知らないと嘘をついたところでもう何も打ち明けてくれなくなる。
それならいっそ
妹「私は兄の妹です」
異様だった。他の先輩は驚いたような、好奇な目で私を見ているのだが、先輩Aは動きか完全に止まってしまっていた。
妹「兄とどういう関係なんです?」
先輩B「なんか友達の友達とからしいよ」
妹「黙っててください」
怒りだした彼女を他の先輩がとめる。
383:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 20:48:52.32 ID:
ed+uiKXP0
>>273
妹「私は兄の妹です」
先輩Aびっくりする。
先輩A「ねぇ、女。あんたこのこと知ってたの?」
女「いじめていたのがたまたま兄さんの妹だった、なんて奇跡が起こると思います?(=兄の妹だと知ってていじめました)」
結局 女×兄×先輩Aの接点は謎のまま。
274:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 16:59:40.79 ID:
ed+uiKXP0
妹「何か言ってくださいよ」
先輩Aはショックを受けているようでしたが、何故か返事は違う人物に返していました。
先輩A「ねぇ、女。あんたこのこと知ってたの?」
女「いじめていたのがたまたま兄さんの妹だった、なんて奇跡が起こると思います?」
妹「女さんは兄さんを知っているの?」
女「同姓同名の別の人の話だよ」
妹「嘘です!教えてください!」
278:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 17:13:06.61 ID:
ed+uiKXP0
しばらくの間沈黙が続きました。そして
女「もう帰ろっか」
女さんは降ろしていたバッグを肩にかけて二人に告げました。二人もあわてて帰る準備を整えました。
妹「まだ話は終わってません!」
女「もう充分でしょ」
妹「全てを教えてください。話に矛盾があった場合、あの写真全部ばらまきますから」
女さんは足を止めました。
妹「兄の部屋にあったのをこっそり持ち込んでおきました(嘘。布一枚を裸にまとって怯えた目をした女の写真を一枚みただけ。なんで兄を知っているのかなど色々情報吐かせたくて嘘ついた)」
私も悪い人間になってしまったようです。
297:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:01:26.21 ID:
ed+uiKXP0
女「ばらまいたって誰も信じたりしないわよ」
先輩B「たしかにwwwあのデブニキビ具合はやばかったからねwww」
先輩C「空気読みなよwww」
私はふと話のスレ違いに気づきました。
先輩A「ねぇ、妹さん、あなただけには大切なこと教えてあげる」
突然先輩が口を開きました。
先輩A「ごめんね、みんな先に帰るね。妹さん、一緒に帰りましょう」
妹「で、でも……」
先輩A「今しか話すつもりないわよ」
妹「……わかりました」
298:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:08:04.61 ID:
ed+uiKXP0
どうして今さら。それよりさっき何か大切なことに気付いたような……
女さんでさえ突っ立ったまま何もできずにいました。
先輩は私の腰に腕をまわしてどんどん前に押し進めていきます。
みんなとの距離がだいぶ離れて、話を始めてくれました。
先輩A「実はね、私とお兄さんは、昔お付き合いしていたの」
妹「えっ!?そ、そんなの聞いたことないです!!いい加減なこと言うのはやめてください!!!」
先輩A「ふふっ。本当よ。私のお父さんは自営業をしていたんだけど、なりたたなくなってね。莫大な借金抱えちゃって」
妹「それと兄に何の関係が……」
先輩A「全部聞けばつながりが見えてくるわよ」
それからは、身体を売らされそうになった先輩が兄に助けて貰ったエピソードや、兄に恋をしていた女さんと修羅場になるエピソードなどがでてきました。
先輩A「青春の痛手ってやつね。でもね、ここまでは大した話じゃないの。驚かないで聞いて欲しいんだけど、そのあとね……」
さっきからやけに、ドラマチックな展開ばかり出てきます。時系列が前後したり、一方で話同士の結びつきがなかったり。
先輩にとって都合の良い状況にいるはずです。でなければ今日初めて会った私にこんなに赤裸々な話をするわけないですから。
300:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:16:30.58 ID:
ed+uiKXP0
神社から大分離れてしまいました。
私は何を女さんから聞きたかったんでしたっけ。
何か……そう、話のスレ違いです。
妹「ああっ!」
先輩A「どうしたの?」
先輩さんの意図に気づいて、驚いて声をあげてしまいました。
せっかくだから利用してしまいましょう。
妹「あそこ!!見てください!練炭自殺しています!!」
私も先輩さんと一緒です。何かをごまかす時に振る話題は、つい過激なものになってしまいます。
音を立てないようにバッグをそっと置き、急いで先ほどの神社へ向かって走り出します。バッグの中には落書きだらけの教科書が入っているだけです。
女さんは私に気づいて後ろから追いかけているようです。
私の発言が何を意味するのかはわかりませんが、何か影響を及ぼすことに変わりはないでしょう。
今の生活より最悪なことなんて起こりえません。何でも起きてください
307:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:28:09.42 ID:P9SFcZUW0
妹がお漏らしするまでパンツは脱いでおく
308:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:32:41.12 ID:
ed+uiKXP0
妹「はぁ…!はぁ…!女さん!!」
まだみんな境内にいました。私を見て困惑しています。
妹「あの、あのね!もうややこしいことは嫌だから、本当のことだけ話すね」
女「あなたが何か知っているの?」
妹「あの……すいません、女さんの写真をばらまくって、どういう写真をばらまくつもりでしたか?」
先輩B「あー、普通にデブニキビ時代のに決まってんじゃん」
先輩C「そうそう。でも今のこいつとは別人だから誰も信じねーかもよ」
先輩D「今はそこら辺にいそうな女だもんね」
そうです。これです
妹「女さん。私、兄さんの部屋にあるあなたの写真を見たの」
女「だから?」
妹「あなただってわかったの」
310:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:36:51.07 ID:
ed+uiKXP0
女「……っ!?」
女さんは驚いていました。
私が言ったことは彼女にとって衝撃的な事実なんだろうと思います。
私がかろうじて見ることのできた写真は、毛布一枚を羽織って怯えた目をしていた女さんの写真でした。
先輩が口からでまかせの嘘をついてまで私を帰らせようとするくらいにあの写真の存在は女さんに知られてはならなかった。他の先輩方も、きっと何のことかわかっていません。
先輩Aさんと、兄と、女さんの間だけに何かがあったのです。
先輩A「はぁ…はぁ…!!あんた、話したのか!?」
妹「三人の中でしか共有されていない秘密があったんですね」
妹「それとも、あなたと兄さんだけの間の秘密ですか?」
311:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:39:48.75 ID:
ed+uiKXP0
先輩A「あんた、全部知ってるの?」
妹「大切なこと全て、という意味なら」
嘘です。本当は、憶測です。
信じたくない憶測でした。
でも知っているふりをすれば、2人共自分から色んな情報を話してくれるかもしれません。
妹「三人で帰りましょう。他の人に聞かれたくはないですから」
318:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:48:17.44 ID:
ed+uiKXP0
私はいろいろなことを考えていました。
写真は十枚近くはあった。
毛布一枚を羽織っていた女さん。
それを隠していた兄。
最悪の想像しかできません。
それでも真実を知らなければいけない気がするのです。
どうしようか、そんなことを考えていると、女さんがカバンのチャックを開けて、ふでばこの中からシャープペンシルを取り出し、先輩の首めがけて突き出しました。
先輩A「いやぁあああ!!!!」
頬から血を流した先輩は走っていってしまいました。
誰もいない夕方の薄暗がりの中、私は殺意を手にした少女とふたりきりになってしまいました。
秘密を知ったものには死んでもらう。
そんなフィクションの中ではありがちなセリフが、現実の私にも迫っていると感じました。
320:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:50:33.83 ID:
ed+uiKXP0
女「殺すわけないじゃん」
女さんはぼそっとつぶやきました
女「警察につかまっちゃうもん」
妹「…………」
女「私、先に帰るね」
妹「う、うん」
女「秘密ばらしたら、ただじゃおかないから」
323:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:55:32.48 ID:
ed+uiKXP0
深夜3時。
ストレスで眠れなかった日はあったけど、興奮で眠れなかった日は兄さんと二人でデートの約束をした時以来です。
あと五時間後には私は学校にいる。
そして多分女さんも平然とした態度でくるのでしょう。
明日も、来週も、来月も、学校です。
ずぅーっと、学校ですよ。
324:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 18:58:58.30 ID:
ed+uiKXP0
女「おはよー!!」
女子生徒A「おっはー!」
女友1「…………」
男「お、おはよう女!」
女「ねぇ、あいつ来てる?」ボソッ…
女友1「えっ、あっ、わかんない、かな。あはは」
教室の中から会話が聞こえます。トイレの中にいた私は教室のドアを開けにいきます。
326:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:03:44.84 ID:
ed+uiKXP0
ガラガラ……
妹「…………」
女子生徒B「おっはーww妹ちゃんww」
女子生徒C「何暗い顔してんのーww」
女友1「…………」
女「本当朝から気が滅入るよねー」
女子生徒A「謝りなよー」
女子生徒B「そうだよ。あんたがいるせいで妹ちゃん元気なくなってんじゃん」
女「そうだよねー。本当……」
女さんは、皆の目線が自分自身に向いていることにようやく気付いたようです。
335:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:12:10.34 ID:
ed+uiKXP0
女子生徒A「ねぇ聞こえない」
女「ご、ごめ……」
女子生徒B「やる気あんのー?」
女「なんで私がこいつに謝んなくちゃいけないの!?みんなの陰口言ってるようなこいつに」
女子生徒C「あんたがハブって一人ぼっちにさせたのになんで陰口言えるようになんのさ」
男「……あっ、やべぇ。1限の教科書借りてこなくちゃ」
あれだけ念入りに応援を頼んだのに。
どちらの女の子も助けられないただのヘタレでした。
女子生徒A「ねぇー、あんたのせいでうちらめっちゃ疲れてたんだからね」
女子生徒B「そうそう。いつも教室ピリピリしてさ。他のクラスは平和だってのにさ」
女子生徒C「みんなに謝ってよ。ほら、よく見えるように教卓の上で土下座して」
女子生徒B「あの写真みたいに脱いでもいいんだよwww」
女子生徒C「それ昼休みまでのお楽しみだったじゃーんww」
女子生徒B「いいじゃんいいじゃんwwwB専の男子も喜ぶってwwww」
338:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:19:27.44 ID:
ed+uiKXP0
女さんは教卓の前でじっとしています。
教卓には、先輩たちからなんとか入手したデブニキビ時代の卒業アルバムの写真を貼っておきました。写真撮影の前に自分を変える努力をしておけばよかったのに。
彼女は慣れているはずです。過去散々似たようなことをされてきたのでしょう。
テレビでは決して報道されない、残酷な真実があることを私は知ることができました。
いじめられっこは、いじめっこであるということ。
いじめっこは、いじめられっこであるということ。
どちらの世界化でしか生きられない私や女さんのような人たちは、交代にその役割を担うことで死ぬまで命を保っていくのです。
妹「ほら、デブニキビさん。登る元気が無いなら食料あげますよー」
女さんのお弁当を頭からかけてあげました。涙をこぼすほどおいしかったみたいです。
わたし今、すごくしあわせです。
339:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:20:44.05 ID:pJmUoVz2i
暗黒面に…
349:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:27:07.24 ID:5MygTmy00
妹ダークサイドオオオオオオオオオ
340:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:21:35.75 ID:woeaMpQd0
どうしてこうなった……
345:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:25:49.78 ID:
ed+uiKXP0
女子生徒B「あっ、妹ちゃん。そろそろ先生来るんじゃない?」
女子生徒A「えっ?はやくない?」
女子生徒B「えっ、そ、そうかな……」
妹「そうだね。早く席についておいた方がいいよね。ありがとう」
女子生徒B「あっ、うん!」
女さんは教卓の前で突っ立ったまま動こうとしません。
なんだか、ちょっと前までの私を思い出してしまいました。
妹「あの、女さん……」ボソッ…
女「……な、なに」ビク!
妹「ごめんなさい、やりすぎました。頭洗いに行きましょう」ボソッ…
そのあとは女さんを洗面所につれていき、洗剤をつかって頭をあらってあげました。女さんはトイレットペーパーで、急いで髪の水分を拭き取っていました。
353:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:34:50.25 ID:
ed+uiKXP0
隣の席の女の子も以前と同じ用に話しかけてくれるようになりました。
元々は仲がよかったのです。
ちょうど6月ごろから女さんに嫌がらせをうけるようになりました。
でももう今は自由です。
なんだか教室が違って見えます。
景色とか、感覚とか。
でも、ちょっと前から、座っている時に違和感を感じています。だんだん薄れてはいるのですが。
今日の数学の時間は、ずっといじめる内容を考えていました。
授業中一番頭を使っていた自信があります。
356:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:43:33.45 ID:
ed+uiKXP0
今日の放課後は呼び止めるまもなく女さんは帰ってしまいました。部活にはいかなかったようです。
そういえば、最初の頃は一緒に話していた時期もありました。
誰も知り合いのいない吹奏楽部の見学をしていた時に、
同じクラスだよね?
と初めに声をかけてくれたのも女さんでした。
あの頃から私をいじめるつもりだったんでしょうか。
今の女さんに聞いたら答えてくれるでしょうか。
きっと無理です。だからいじめることに専念します。
兄が帰って来た気配がします。
でも今は、兄と話すより明日のことを考えていたいです。
幸せな気持ちで眠ります。
361:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 19:50:20.96 ID:
ed+uiKXP0
女教師「女友2さん。あら、今日もおやすみかしら」
ガラガラ……
女「…………」
女教師「あら、珍しいわね。どうしたの?」
女「ね、寝坊しちゃってww」
女教師「あらあら。夜更かししちゃ駄目よ」
何をヘラヘラしているんでしょう。
朝の楽しみが台無しです。
私が責任をもって朝早く、ずぅーっと早くから学校に女さんを来させます。
375:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 20:24:06.88 ID:
ed+uiKXP0
《ここまでのあらすじ(登場人物編)》
今は8月後半くらい
【妹】
AA中学→ZZ高校1年
高校入学後、6月頃から女からいじめを受け始める。吹奏楽部もやめた。
【兄】
AA中学→ZZ高校3年
中学の時は帰宅部だった。高校ではテニス部に入るが三年にあがった頃に部活をやめてしまう。
女(痩せたver)のいやらしい写真をたくさん持っている。そのことを女にしれたらマズイと思っていた(写真の管理は杜撰だったが)。
【女】
BB中学→ZZ高校1年
中学時代はデブニキビと呼ばれいじめられていた。
高校入学前の春の期間に想像を絶する健康管理をして高校デビューを果たす。
中学、高校共に吹奏楽部。
何故か兄と面識がある。
【先輩A】
BB中学→YY高校3年
中学時代は吹奏楽部の部長=女(肥ver)の先輩。
あることをきっかけに女をいじめ始める(←まだ書いていない)
何故か兄と面識がある
【先輩BCD】
BCはAと同中。Dは高校からの友達。モブ
【妹友】
単なる仲良し
385:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 20:52:13.40 ID:G/g7Si6A0
~放尿パラダイス~
386:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 20:54:10.76 ID:ukKiapAU0
おまえらどんだけおもらし好きなんだよwww
400:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 21:14:03.44 ID:
ed+uiKXP0
来る日も、来る日も、女さんに対するいじめは続きました。
黒板消しで身体を叩いたり、筆箱をゴミ箱に捨てたり。
ノートにジュースをこぼしたり、トイレに携帯を落としたり。
意識をしてみると、女さんが私にしたこととほとんど一緒です。
なんだか少しずつ飽きてきました。
自分はもしかしたらそういうキャラクターではないのかもしれません。
405:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 21:24:47.51 ID:
ed+uiKXP0
ひと通り私にしてきたことを仕返したら、もう許してあげよう。そういう気持ちになってきていました。
せめて無視をするくらいでいいのではないのかと。
妹「じゃあお母さん、行ってきます!」
母「行ってらっしゃい」
妹「兄さん、待ちましょうか?」
兄「兄妹で登校とか勘弁してくれ。先行ってろ」
妹「ふんです!先に行ってきます!!」
入学したての頃は一緒に行ってくれたのに。むかつく反面、少し、かなり、寂しいです。
学校へ向かう途中に今日するいじめの内容を考えました。
今日はいつになく早い登校です。
私の椅子が4階の女子トイレにやられたことを思い出しました。これにしましょう
415:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 21:40:40.81 ID:
ed+uiKXP0
妹「よいしょ……よいしょ……」
妹「ふぅー……」
椅子を持ちながら階段をあがるの、物凄く疲れます。
朝で人は少ないとはいえ、周りの目も気になります。
持って降りるほうがよほど楽です。
2階…………
3階…………。担任の先生の姿が見えたので急いで引き返します。
昇り降りと休憩を繰り返してやっと4階にたどり着きました。
妹「……よいしょっと。これなら持って降りる側の方がよっぽど楽です」
廊下を歩く。三年生、兄さんの階だ。
420:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 21:48:01.40 ID:
ed+uiKXP0
妹「大分遅れちゃった。兄さんに見られる前にはやくしないと」
妹「それにしても疲れました。女さんは友達に手伝ってもらったのかもしれません」
妹「うーん……」
妹「一人で男子トイレに放り込む勇気もでないですね。男のかたと遭遇したら嫌ですし」
妹「女さんだったら躊躇せずに男子トイレのぎりぎり廊下から見えそうな位置に放り投げると思ったんですが。まさかの女子トイレのなかでした」
妹「私もそれで勘弁してあげます」
誰もいませんように。いたら高所の掃除に使うとか、適当な言い訳を使いましょう。
その必要は、ありませんでした。
妹「…………」
妹「何やってるの、兄さん?」
兄「妹…………」
427:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 22:01:15.22 ID:
ed+uiKXP0
頭がずぶ濡れでした。
トイレットペーパーで髪を拭いていました。
妹「……どうして言ってくれなかったんですか?」
兄「…………」
妹「どうして……」
兄「失望されるかと思って」
妹「するわけ無いじゃないですか!!」
兄「知られるだけでも嫌だったんだ」
だってお前の俺に対するイメージ完璧じゃん?ニコっと笑って兄は言いました。
今年一番の憎悪心がわいてきました。
434:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 22:10:25.71 ID:
ed+uiKXP0
妹「ねぇ、兄さん」
兄「なんだ?」
妹「どこか遠くに行きません?」
兄「……ああ」
437:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 22:16:08.50 ID:
ed+uiKXP0
妹「どこに行きましょうか」
兄「今から学校出るのもなぁ……」
妹「あっ、いいこと思いつきました。兄さんは三階の……」
キーンコーンカーンコーン…
キーンコーンカーンコーン…
キーンコーンカーンコーン…
キーンコーンカーンコーン…
妹「…………」
兄「バッグだけ教室においてあるんだ。戻らなかったらなんて言われるかな」
妹「兄さん、もういいんです。もういいんですよ。私がついていますから。三階の男子トイレで待っていてください」
私もカバンは女子トイレの中に放り投げる。もういいんです。
急いで職員室に向かう
444:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 22:28:29.80 ID:
ed+uiKXP0
コンコン…
妹「失礼します」
教員は各自のクラスに既にいるので職員室の中は人が少なかった。
妹「あの、すいません」
教頭「はい、なんでしょう」
妹「先生に頼まれて、視聴覚室の鍵をお借りしたいのですが……」
教頭「ああ、あそこの木の板にたくさん鍵がヒモでくくりつけられているでしょ」
妹「あっ、ありがとうございます」
鍵は昔借りたことがあるので手順は既に知っていた。
『屋上玄関』の文字が書かれたところから鍵を持ちだそうとした。
無かった。我ながら素敵なアイデアだと思っていたのに。
445:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 22:29:03.93 ID:
ed+uiKXP0
教頭「あっ、そういえばさっき他の女の子が借りていってたなあ」
妹「屋上の鍵ですか?」
教頭「何言ってるんだね。視聴覚室の鍵だよ」
『視聴覚室』と書かれたところに、鍵はありました。
発想が似すぎていて嫌になってしまいます。
教頭「こら!走らない!」
一刻を争う事態です。兄さんには悪いけど、西の男子トイレはこの上にある屋上の入り口とは反対方向にあります。声をかける時間はありません。
私は屋上へ--女さんの元へ向けて走り出しました。
450:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 22:37:39.23 ID:
ed+uiKXP0
妹「女さん!!」
女「おはよう、女ちゃん」
女さんはうわばきと靴下を脱いでいました。けれどまだ柵の内側にはいませんでした。
妹「……ずるいよ!椅子がなくなったくらいで死ぬなんて!!あなたがどれだけ私にひどいことをしたのかわかってるの!?」
女さんはペタペタ音をたててコンクリートの上を歩いています。
女「なんで死ぬ人って靴を脱ぐのか考えてみたの」
女「そしたら、家の中じゃ靴は履かないなあって思ったの。外国はどうか知らないけどね」
妹「何が言いたいのかわからないよ……」
女「死ぬ、って言ってるの」
452:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 22:39:04.86 ID:oNGXAatW0
メンヘラだああああああああああああああああああ
460:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 22:48:47.84 ID:
ed+uiKXP0
女「ねぇ、なんで私が妹ちゃんのこといじめ始めたか知ってる?」
妹「なんで?」
女「あなたのお兄さんがいじめられていたから」
妹「な、なにそれ……」
女「私って中学時代にいじめられてたでしょ?だんだん部活にも行かなくなって、かといって早く家に帰ると親からなんか言われそうだしさ」
女「地元の人がいないような少し離れた図書館に放課後行ってたの。そこにあなたのお兄さんはいた」
472:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 23:02:05.42 ID:
ed+uiKXP0
妹「あの……あなたと、それと今の兄さんも、なんでいいめられたの?」
女「あなたの兄さんのことからいうと、あれは体質だよ」
妹「体質……」
女「ひどいことされてもヘラヘラ笑っちゃうような人でしょ?陽気で明るい、いじられやすい。性格のねじまがった人にも、心を開いてしまう」
妹「…………」
女「きっとさ、恨みや妬みとかよりも、そういう虐めるのが楽しい人がいるからいじめはおきるんじゃないかな」
妹「そんなことないです!そんな、いじめられるための存在なんて……」
女「私自身がそうだったのよ。デブでものすごい量のにきび。痩せてる人が走ってると健康のために走ってるって思われるのに。私が走ってたら男の人達に笑われてダイエットかなんて言われるのよ」
女「学校では目立たないようにしてた。冴えないグループで集まって、当時はあまり知られてなかったBLとかアニメの話題をして日々を過ごしてた。それはそれで楽しいと思ってた時期もあったんだけどね」
女「部活も吹奏楽を始めたの。次第にみんなとうちとけていって、一生懸命に活動している私に目をかけてくれるようになったのが、次期部長の先輩Aだったの」
475:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 23:10:15.47 ID:
ed+uiKXP0
女「私ね、先輩のこと凄く尊敬してたの。かっこよくて、しっかりしてて、やさしくて」
女「ある日ね、部活が終わって友達と帰ってる途中に忘れ物に気付いたの。みんなも待たせるの悪いから一人で音楽室まで行ってね。まだ閉まってなければいいなとか、閉まってたら職員室に届けられてるかなとか、どーでもいいことを考えながら向かってたなあ」
女「音楽の顧問の先生の後ろ姿が見えたの。当時は40歳くらいだったかな。髪の長い女性で、けっこう厳しい先生だった」
女「声をかけようとして、ふと気がついて立ち止まったの。先輩と先生が、キスをしていたの」
480:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 23:14:50.58 ID:woyOhGXJ0
レズゥ…
481:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 23:15:26.13 ID:1/yKEQ4v0
ホモ
488:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 23:22:25.23 ID:
ed+uiKXP0
女「しかもね、2人共上半身がはだけててね。ふふっ、すごかったなーあれは。私さ、こんな世界が本当に存在したんだって、驚きを通り越して感動したの」
女「それでね、私超馬鹿でさ。音を立てないようにできるだけ急いで離れて、バッグの中に携帯押し込んで、撮影ボタン押してから急いで音楽室に戻ったの。撮影ボタン押すと音がなっちゃうからね」
女「本当に、なんて言えばいいんだろう。一枚の写真が人に涙を流させるなら、1分の時間は私のなかにある液体を全部出しちゃうんじゃないかって思った」
女「持つ手が震えてたわ。未来永劫この時間は続くんじゃないかっていうくらいに神秘的な空間だった」
女「でも、本当に現実的で笑っちゃうような『ピコン』って音が空間を壊してしまったの。普段使わない機能だから設定とか全然してなくて、数分すると勝手に撮影終了するようになってたんだ」
女「あの時の先輩の目。私を殺してやりたいくらいに憎んでいるのがわかったわ」
505:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 23:37:04.73 ID:
ed+uiKXP0
女「その日は逃げ出せたんだけど、次の日は一回も目線を合わせてもらえなかった。すれ違いざまに『消してね』とは言われたけど」
女「先輩が正式に部長になって、上級生も引退した。するとね、先輩がみんなの前で私だけを注意するようになったの」
女「最初は演奏のことだけったのに、次第に性格や、容姿を馬鹿にするようになってきた」
女「その頃から私は部活に行かなくなって、遠回りしてから家に帰るようになったの」
517:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 23:47:47.53 ID:
ed+uiKXP0
女「私が部活に顔を出さなくなると、無視から一転、放課後私を待ち伏せしてはやけに話しかけらるようになってきたの」
女「『撮影したやつ本当に消したの?』『私のいないところで何か広めてるでしょ?』」
女「本当に消したし、あの日のことは誰にも広めてなかった。携帯も見せたことあったけど、バックアップとってるんじゃないかとか言われてさ」
女「とにかく学校にいるのが苦痛だった。先輩がつけたデブニキビってあだ名も広がって、知らない男子からも悪口を言われるようになった」
女「男さんだけが、私の味方でいてくれたの」
523:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/13(土) 23:55:49.92 ID:
ed+uiKXP0
女「図書館に寄るようになって、色んな本を読み始めたの」
女「私なんかとは比べようもないほどの壮絶な人生を生き抜いて成功した偉人がたくさんいた」
女「けれどそういう人たちの伝記を見ても、生きる希望なんてものは当時の私にはわいてこなかった」
女「いじめの無い世界で暮らす。本当に、それだけが願いだった。後になって私自身がいじめを起こすなんて予想は全くできなかった」
女「ただ苦痛がなければいい。学校で友達と話して帰る。それだけのことにただただ憧れていた」
女「結局、苦痛のない日々がくることはなかった。でも幸福な放課後が訪れるようになったの」
537:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 00:17:32.44 ID:
YioMxYCA0
---
トントン。
図書館から帰る途中、誰かが私の肩を叩いた。
女「えっ?」
兄「芋けんぴ、ついてるよ」
女「はい?」
兄「これ、忘れ物」
私の栞だった。パンダのキーホルダーがついている大切なやつだ
541:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 00:21:57.42 ID:
YioMxYCA0
兄「いつも自分の本持ってきてるよね」
女「あ、あの、は、はい」
兄「家で読まないの?」
女「め、迷惑でしたか?」
兄「読書が迷惑とか聞いたことないわwwあっ、でも書店のおばちゃんによく起こられたりするわ」
女「立ち読みですか?」
兄「座り読みでした」
女「それは怒られますよ」
543:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 00:26:54.50 ID:
YioMxYCA0
兄「まあ俺も家でできることをわざわざ図書館来てやってるけどね」
女「あの……いつも凄い勉強なされていますよね?」
兄「おっ!!嬉しい!!親でさえあんた勉強してんの?って聞いてくんのに」
女「受験生ですか?」
兄「そうだよ。君は?」
女「ま、まだ一年生です」
兄「そっかー。じゃあ勉強がわかんなったらお兄さんに聞いてくれたまえ」
女「あ、ありがとうございます!」
545:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 00:30:10.80 ID:gDQQeRKnT
芋けんぴってあれか
546:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 00:31:58.95 ID:bCUwq2jti
芋権ぴ、ついてるよ
551:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 00:39:17.19 ID:
YioMxYCA0
兄「でね、書店のおばちゃんにまで参考書買うのとめられちゃってさ。最初の3ページマスターなんて不本意なあだ名までつけられて」
女「あの……」
兄「おっ?どうした?」
女「受験終わったらどうしますか?」
兄「高校入学するけど」
女「そ、そうですけど……図書館に来ますか?」
兄「うーん、部活やるつもりだからなー。何に入るか決めてないけど」
552:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 00:39:57.13 ID:
YioMxYCA0
女「そうですか……あっ、吹奏楽が楽しいですよ!!」
兄「俺楽譜読めねーしなー」
女「私もお兄さんと同じ高校に合格して、一緒に演奏しますから!」
兄「俺が受かる前提になってるのは嬉しいけどさ。たとえ入ったとしても俺の引退のちょっと前に入部することになるぞ」
女「それでもいいですから!!」
兄「うーん、多分入らないぞ」
女「そうですか……」
兄「まぁソロ演奏くらいなら聴いてやらないこともない」
女「本当ですか!?」
兄「もちろんだ」
553:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 00:42:04.02 ID:
YioMxYCA0
女「受験シーズンが待ち遠しいです」
兄「殺気立った受験生の前で言わないようにな……」
女「あはは」
兄「あっ、そういやさっきの話なんだけど」
女「何でしょう?」
兄「吹奏楽だったら、身近にいいやつ知ってるぜ」
555:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 00:48:12.87 ID:
YioMxYCA0
---
妹「兄さん本当に勉強してたんですね」
女「あの人凄く真面目だよ?そして繊細でやさしい人」
女「放課後は幸せだった。それでも学校は地獄だった」
女「先輩は私が動画を消したことを数ヶ月経ってもまったく信じてくれなかった。信じる素振りを見せるほどにも許せていなかったのかもしれないけど」
女「もういい加減私も限界きててさ。『もうやめてください。バックアップはあります。今すぐ嫌がらせしないとばらまきますよ』って言っちゃったの」
女「言ったあとに、凄い後悔した。もう何が起こるかわからないって」
女「私にはしばらくは何も起こらなかった」
女「でもね、先輩が部活そのものをやめてしまったの」
570:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 01:18:55.95 ID:
YioMxYCA0
妹「馬鹿みたいです」
妹「自分が蒔いた種で私と兄さんまで巻き込んで」
妹「あの写真はなんだったんですか?あなたが毛布一枚着て怯えている写真」
女「どこまで知ってるの?」
妹「知ってるところまでしか教えないつもりですか?」
女「今から死のうとしてる人間が複雑な駆け引きなんてしないよ」
妹「でしたら正直に話します」
574:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 01:24:12.00 ID:
YioMxYCA0
妹「実は、私はその毛布の写真を一枚垣間見ただけで入手はしていません」
妹「あなたに精神的な苦痛を与えるためにクラスの皆にも女さんのいやらしい写真があると噂だけは流しましたが、現物は持っていません」
妹「兄さんが持っているはずです。実はあなたのいじめを仕掛ける日の前日、必死であの写真の入れられた封筒を探したのですが見つかりませんでした。昔の写真などは知り合いを辿ってなんとか入手できたのですが」
妹「あれは、一体何なのですか?」
577:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 01:27:59.81 ID:
YioMxYCA0
女「あなたのお兄さん、6月頃に部活をやめたよね?」
妹「質問に答えてください!」
女「今答えてるよ。私があなたをハブりはじめたのっていつ頃だったっけ?」
妹「ちょうど同じ時期です」
女「先輩Aに強姦されている私をあなたのお兄さんが撮影していたのはいつ頃だったっけ?」
妹「っ!!?」
586:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 01:36:36.71 ID:
YioMxYCA0
女「あなたのお兄さんに呼び出されて入ってみたら、あの女の魔窟だったわ」
女「多分、昔私が図書館に行くのを先輩Aが尾行していたんだろうな」
女「そしてお兄さんとどうにか連絡先を交換した。先輩は私に最大限の憎悪をぶつけるにはお兄さんを利用すればいいとわかったみたい」
女「あなたのお兄さんが私を騙して呼び出すなんて、どんな脅しを使えばすると思う?」
妹「う…そ…」
……そういうことだったんですね。
私を守るために、兄さんは犯罪に手を染めたんですね。
591:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 01:56:23.37 ID:
YioMxYCA0
女「私の裸の写真集を手に入れた先輩は安心したい。たとえ私が先輩のあの動画を未だに保持していようと、私の弱みを握っている限りそれがばらまかれることはない」
女「もうあの事故から三年近くも経ってたのにね。もう頭のなかがひどい妄想で犯されて神経がすり減っちゃってたんだろうね」
妹「ちょ、ちょっと待って下さい。先輩も、兄さんも、あの封筒に入れてた写真の存在を必死に隠していました。牽制のための材料じゃなかったのですか?」
女「ははっww」
女「世界から核兵器がなくならない理由を身をもって実感したよ」
女「お互いがお互いの弱みを捨てる約束をしたの。私は本当にバックアップなんてなかったんだけど、相手の疑いを晴らすために空のディスクを持ってきた。あいつは写真を持ってきた。私はその場でCDを割り、あいつは写真を燃やしたの」
女「今思えばさ、あんなに疑い深い人間がディスク一枚割っただけですっきりするわけないんだけどさ」
女「あいつははなから自分の防具を捨てるつもりがなかったの」
妹「あなただって空のディスクで騙そうとしたじゃない」
女「信じて欲しかったの」
なんて身勝手な欲求だろう。そして、それ以外に余地のない選択だったのだろう。
私に万引きを支持した時の彼女を思い出した。『約束するよ』そう言った女さんの目は真剣でした。
約束の根拠もないのに、自分のことを信じてくれるのであれば、その相手のことを許してあげてもいいと思えるのかもしれません。
ディスクを渡した女さんは相手を許してあげました。
ところがあの神社からの帰り道、私の言葉がその心をかたくかたく閉ざしてしまったのです。
いろいろな情報を得たいという、ただの好奇心から。
593:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 02:08:42.91 ID:
YioMxYCA0
女「ねぇ、お兄さんを呼んで。もう私からじゃ連絡とれないの」
妹「ど、どうしてで呼ぶんですか?」
女「元々あなたたち二人と話すためにここに来たの」
……何か嫌な予感がします。
幸い兄さんにはここの場所をメールでも知らせていません。嘘のメールを送って、兄さんをどこか遠くへ……
笑ってしまいます。遠くを目指してここへ来るつもりだったのに。
それに、この嘘の連鎖に、またひとつ嘘を塗り重ねていくのでしょうか。私にはもう耐えられません。
妹「私達二人の前で飛び降りでもする気ですか?」
女「それもいいなって思うの。でもね……」
バン!!
兄「妹!!」
妹「兄さん!!」
599:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 02:25:09.15 ID:
YioMxYCA0
妹「来ちゃ駄目です!!」
女「本当に素敵なお兄さま。何も伝えずともどこからでも妹を助けに来てくれる」
兄「女……」
女「妹のためなら、他人を騙して裸の写真を撮ることだってかまわない」
妹「兄さん!帰りましょう!!」
女「私は防具が欲しいんです。持っているだけで安心感が手に入り、自分の恨みもはらせるような」
兄「どういうことだ?」
女「私は遺書を机の上に乗せてからここに来ています。二人に関する記述が書かれています。私の習慣で書いていた日記もあり、既にデータ化してあります。私が今日の夜までにパスワードを打ち込まなければネット上やマスメディアに拡散するようになっています」
603:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 02:43:05.06 ID:
YioMxYCA0
兄「考えが読めないな。俺に恨みを晴らしたいなら警察にでも何にでもつきつければいいだろう」
女「恨みを晴らしただけじゃ私は無防備になってしまいます。あなたたちの弱みが欲しいんです」
女「もっと楽しいことを思いついたんです。自分の大好きなお兄さまを意のままに操れ、それが私の盾になってくれるなら、それが同時に苦痛もあなたたちに与えられる。それは死よりも素晴らしいことです」
兄「どういうことだ」
女「私の愛おしいお兄さん。ここで、セックス、してください……」
兄「…………」
女「そうしたら、自殺しないであげますから」
604:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 02:43:49.29 ID:
YioMxYCA0
そういうことですか。
私の目の前で大好きな兄さんを犯すということです。
男「…………」
男「妹、見苦しいもん見せちまうな……こいつのことだから、お前のこと帰らせないだろう」
妹「兄さん……」
兄「お前を世間の目に晒したくねぇんだ。わるいな」
605:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 02:45:19.00 ID:
YioMxYCA0
兄さんが女さんのところまで歩み寄ります。
女「ほら、はやく脱いでくださいよ」
女さんの指示に従い兄さんは服を脱ぎます。
兄「こんな男に、心底惚れてくれて、ありがとうよ」
兄さんは怒りを込めた声で女さんの服に手をかけます。
兄「脱がすぞ」
女「やだなー、お兄さん」
兄「……あぁ?」
女「違いますよ」
兄「どういう……」
妹「私とセックス、ですか……?」
608:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 02:49:32.33 ID:aGZKm3gYO
パンツ脱いだ寒いぜまったく
609:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 02:53:31.68 ID:
YioMxYCA0
兄「そんな……」
兄「馬鹿言え!!俺たち兄妹なんだぞ!!」
女「でも仲はよろしいでしょ?」
兄「てんめぇ……!!」
激怒している兄さんを無視して女さんは続けます。
女「あなた達がセックスする動画を、弱みとして握らせてもらいます」
女さんはポケットから携帯を取り出しました。古い機種です。
なんだか様子がおかしいです。
携帯を持つ手がぶるぶる震えています。
呼吸がとても激しいです。
目は子供のように爛々と輝かせているのに、性欲にみなぎったどす黒いオーラが溢れています。
613:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 03:11:08.68 ID:
YioMxYCA0
青空の下。
快晴です。
生まれて初めて憎んだ天気です。
四方から自動車の走る音が聞こえます。
校庭からはかけ声が聞こえます。
日常のすぐそばにいるのです。
私の股の下では大勢の学生が授業を受けています。
そこには私の友達もいます。
友ちゃんも、先生も、男くんも、みんないると思います。
614:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 03:17:27.41 ID:
YioMxYCA0
世界で一番好きな人と
世界で一番したいことを
世界で一番憎んでいる人のためにする
それは世界で一番したくないことでした
妹「ひぐっ…ぐす…」
妹「ごめんなさい……震えがとまらないんです……」
兄「だ、大丈……」
言いかけて兄さんはやめました。
兄妹間でのセックスは禁忌の最たるものです。
私も兄さんをそういう目で見たことはありません。
妹「うん……」
妹「大丈夫……大丈夫だよ、兄さん」
私たちは接吻をしました。
世界で一番遠くにある場所に到着できた気がしました。
622:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 03:44:52.46 ID:
YioMxYCA0
妹「突っ立っていても仕方ないです。ズボン、ヌガしちゃいますね」
兄「あ、あぁ!」
ずりずり……
妹「に、兄さん!!///」
兄「仕方ないだろ!!」
妹「妹に欲情するとか最低です」
兄「お前に欲情しないほうが無理だって!」
妹「えっ?」
兄「じ、自分で脱ぐ!」
626:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 03:49:10.83 ID:
YioMxYCA0
妹「下着は脱がないんですか?」
兄「お前こそまだ何も脱いでないじゃないか」
妹「うっ……」
兄「俺だけ脱いでも、なぁ」
妹「ブレザーだけなら……」
するする……
妹「す、スカートも脱ぎますか?」
兄「スカートは履いたままでいいよ」
妹「兄さん……?」
兄「ち、ちがうって」
628:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 03:52:13.46 ID:Bkgdsyue0
女は愛のキューピッドだったんや
627:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 03:51:06.51 ID:YzNPVfVy0
弱み握るとか言ってるけどこれ女悲しくなるだけだろ
629:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 03:56:09.70 ID:
YioMxYCA0
妹「兄さん……ここからはリードしてください」
兄「お、俺が?」
妹「信頼してますからね」
兄「お、おう」
妹「兄さんが、私にして欲しいことからでもかまいませんから」
兄「わかった。じゃあ……ブラウス脱いでくれ」
妹「は、はい」
スル…スル…スル…
兄「ピンクのブラジャーか」
妹「あ、あんまりじろじろ見ないで下さい……」カァァ///
630:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 03:58:47.56 ID:
YioMxYCA0
兄「次は……俺の下着、脱がしてくれ」
妹「き、緊張します」
兄「目つむりながらでいいから」
妹「わかりました……」
スルルル……
ポロン ペチン!
妹「きゃっ!」
兄「わ、わりぃ」
妹「脱がせたらどうするんでしょうか……?」
634:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 04:07:29.02 ID:
YioMxYCA0
妹「――んん……はぁ。けほっ。ふう――こ、こんなに大きいとは思いませんでした……」
兄「そうだろうな……」
妹「昔兄さんとお風呂に入った時はこんなに大きくなりませんでしたが……」
兄「小学生の時だろ!」
妹「んむっ……ぷはぁ――む、むずかしいです」
兄「でもすげぇ気持ちいいぞ……」
妹「だ、だまってください///続けますから///」
635:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 04:12:08.84 ID:
YioMxYCA0
妹「はむ――ん」
妹「ん……あむ……んぐ……」
妹「んー……んっんっんっ……」
兄「――や、やばい……そろそろ、出そうなんだけど……」
妹「んっ!?」
兄「や、やばい出る!出る!!うっ!!」
ビュルッ!!ビュクッびゅるるっびゅく!!
妹「んんーーーーーっっっ!!?」
637:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 04:18:24.91 ID:
YioMxYCA0
妹「ぐ、むぐ……ふっ、けふっ。こほっ。はあ……」
兄「だ、大丈夫か?」
妹「んんん!!」フルフル!!
兄「は、吐き出せ……」
妹「んんん!!!」フルフル!! ゴックン!!!
妹「んぐ……ぷはぁ!!死ぬかと思いました……」
兄「飲んだのか?」
妹「はい……凄く独特な味がしました……。それにねっとりしてまだ舌に絡みついています」
兄「そ、それはすごいな……」
兄さんの照れながらも、気持ちよさそうな顔に少し嬉しくなっていたときでした。
640:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 04:24:55.22 ID:
YioMxYCA0
ピロロロン!
兄「――撮影終了だな。約束通り止めてもらうぞ」
妹「急いでください」
女「駄目です」
妹「な、なんでです!」
女「セックスをするようにお願いしたはずです。オーラルセックスなんかじゃ駄目ですよ」
兄「んん……」
妹「兄さん、まだ体力もちます?」
兄「妹が相手なら大丈夫だ」
妹「兄さんったら……」
ピロロロン!
642:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 04:33:26.96 ID:
YioMxYCA0
兄「じゃあ……妹、脱がすぞ」
妹「わわわ///い、いきなりですか?」
兄「スカートは履いたままでいいから」
妹「んー……そういうことなら……」
するする……
兄「おお……」
妹「キャァアア!?み、見ないでください!!」
兄「いや、だって……」
妹「もう恥ずかしさで焼け死んでしまいそうです……」
兄「うわっ!お前の顔めっちゃ赤っ!!」
妹「頭がぐるぐるしてきました……」
643:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 04:42:24.00 ID:
YioMxYCA0
妹「ブラの方も…取りますね」
兄「頼む……」
スル…
兄「うわぁ、すげぇキレイ」
妹「あ、ありがとうございます///」
兄「妹、寝転んで」
妹「はい、兄さん……」
644:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 04:44:43.12 ID:
YioMxYCA0
兄「妹」
妹「なんですか、兄さん」
兄「好きだ」
妹「私もです。私も兄さんが大好きです」
兄「入れるぞ」
妹「はい、きてください……兄さんなら嬉しいです……」
667:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 07:07:48.81 ID:rvl9DaNj0
想像したらシュールすぎてワロタwwwww
724:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 11:32:32.15 ID:
YioMxYCA0
シュ…シュ…
兄「わ、わりぃ」
妹「大丈夫ですよ。ここです」
ピト
兄「んっ……妹の指ひんやりする」
妹「気持ちいですか?」
兄「うん、すごく」
妹「……きてもいいですよ」
兄「……あぁ」
ぐにゅり!!
妹「んぐっ!!い、いっ……」
兄「大丈夫か!?」
妹「き……キスしてください、兄さん……」
兄「妹……」チュ…
妹「んん……もっと深くまで……」レロ…チュルル…
731:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 11:45:47.83 ID:
YioMxYCA0
兄「んっ……ぐっ……」
妹「はぁ…!はぁ…!」
兄「やばい、もうイキそうだ……」
妹「あ、あの、兄さん」
兄「どうした?」
妹「でちゃいそうです……」
732:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 11:46:49.05 ID:
YioMxYCA0
兄「んっ……何が?」
妹「おしっこ……」
兄「もう…んっ…イキそうだから…」
妹「……がまんできません」
兄「だしていいから」
妹「そんな!」
734:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 11:52:14.95 ID:YzNPVfVy0
まさかここでおもらしが来るとは!!(歓喜)
735:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 11:56:42.37 ID:
YioMxYCA0
妹「もう、本当に出しちゃいますから……」
兄「いいよ、出して。妹の、おしっこ、かけて……」
妹「はっ――あ……っ。……あっ、でる……」
ジュワアアア……
妹「あ、かかって、るっ……私……お兄さんにおしっこかけちゃってる……!」
兄「うわ、すごいあったかい……」
妹「やめてください、もう最悪です……」
兄「ううん、気持ちい、あったかくて」
妹「ばか…兄さんのばか…」
兄「俺も…もう…!」
妹「出して下さい…!」
兄「んっ、はぁ!で、でる!!」
妹「兄さん!兄さん!」
736:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 11:57:45.25 ID:
YioMxYCA0
ギュゥゥゥゥ!!!
兄「妹、そんなに抱きついたら……!ううっ!!!」
びゅるるっ!!ビュクッビュルッ!!ドクットクトクトク……
兄「はぁ…!はぁ…!」
兄「ごめん…妹…」
妹「……いいえ、やさしくて、あったかかったです」
ピロロロン!
その機械音で私は現実へ引き戻されました
737:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 11:58:41.64 ID:DECucZhki
ふう
738:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:00:47.79 ID:AU4+NE1G0
>>737
はやくね!?
739:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:01:08.97 ID:plWPaUqBQ
ヨスガ√
740:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:03:16.49 ID:
YioMxYCA0
女「ふたりともお疲れ様でした。いいものが撮れましたよ」
兄「それはよかったな。じゃあさっさと帰って解除してくれよ」
女「ごめんなさい。私はあなたたちに2つ嘘をついてたの」
妹「ど、どういうことですか!」
女「一つは家に帰ってパソコンを起動する必要はなくて、この携帯で色々操作できるということ」
兄「なんだよ、そんな些細な事かよ」
女「ですからちょっと待っていてください」
女さんは携帯を操作しはじめました。
どうしてこんな些細な嘘をついたのでしょう?
742:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:06:01.81 ID:
YioMxYCA0
妹「もう一つの嘘ってなんですか?」
女「作業に手中したいんから話しかけないで。どっか取りこぼしちゃうかもしんないよ?」
妹「うっ……」
女さんの携帯の操作は、それから10分近くも続きました。
745:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:13:42.18 ID:
YioMxYCA0
女「ふぅー、終了です」
兄「おい、もう一つの嘘ってなんだよ」
女さんは空を仰ぎながら歩き始めました。
748:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:22:43.28 ID:
YioMxYCA0
女「この世界から逃げ出したくなったことってある?」
妹「ありますよ。学校も、あなたたちのことも何もかも忘れてここに向かおうとさえしていたんです」
女「日常が苦しいから非日常に憧れる」
女「私は必死で勉強したの。自分らの中学からじゃ滅多に合格者者が出ないようなこの学校を目指して勉強した」
女「勉強が終わってからはすぐに、死んじゃうんじゃないかってくらいダイエットに専念した。健康管理も狂ってるくらいにした」
女「世界が大分変わったの。世界が変わるっていうのは、自分がかわるというよりも、他人の私への接し方が変わったということ」
兄「何が言いたいんだ」
754:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:35:17.05 ID:
YioMxYCA0
女「芯になるものがないなぁって思ったの。これだけは死ぬまでずっと変わらず私を守り続けてくれる。人はそれを宗教や、哲学に求めたりする。私は、お兄さん、あなたに求めました」
兄「…………」
女「あなたたちは死ぬまでお互いを守り続けることができるかな?」
女さんは、そう言うと柵を乗り越えて屋上の縁に立ちました。
妹「お、女さん!」
女「数えきれないほどの人たちが見る掲示板や動画投稿サイトに、あなたたちのことばらまいちゃった」
妹「女…さん…」
兄「おい!嘘だろ!!」
女「遺書も日記も置いたまま。これからのあなたたちの日常が楽しみ。クラスじゃなくて、世界中すべてのひとたちがあなたたちをいじめてくれるの」
妹「そんな……」
女「わかってくれたかな。もう一つの嘘は、『約束』」
女「妹ちゃん。最初の二ヶ月間あなたと友達でいた頃、すごく楽しかったよ」
妹「待って!!女さん!!」
女「さようなら」
760:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:40:45.00 ID:
YioMxYCA0
駆け出した兄さんに続いて、急いで女さんのもとへ駆け寄ります。
学校中で私達が一番近い距離にいるのに、絶望的なまでに遠い距離でした。
私たちの場所からは女さんが見えなくなりました。
数秒後、生まれてから聞いたことのないような衝撃音と、悲鳴が聞こえました。
あんなに脱出したいと思っていた日常から抜け出すことが出来ました。
家にひきこもることも、今の私達には出来るようになったと思います。
大丈夫。
世界は、人です。
妹「兄さん……」
765:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:46:08.86 ID:jmrUbKwf0
兄妹で中田氏交尾までできたんだから悔いは無いだろ
769:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:53:34.09 ID:
YioMxYCA0
兄「妹……」
これからは二人でずっと生きていきましょう。
そう言うつもりだったのに……
兄「俺、もう駄目みたいだ」
兄さんがフェンスを登り始めました。
770:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:55:07.43 ID:
YioMxYCA0
訳がわかりませんでした。
妹「兄さん…兄さん!」
妹「大丈夫ですから!私がついていますから!」ポロポロ…
妹「一人にしないでくださいよぉ……」ポロポロポロ…
兄さんはうつろな目で宙を見て、最後の言葉をかけてくれました。
兄「もっと素敵な日常が、この下にあるから」
771:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 12:57:13.07 ID:
YioMxYCA0
屋上でセックスをしてくれた兄さん。
最後は地べたで肉片になることを選択する兄さん。
どうやら天国には行けそうにないです。
妹「……そうですね」
私もフェンスを頑張って乗り越えて、兄さんの隣に立ちました。
妹「手、繋いでください」
兄「…………」
妹「地獄までついていきます」
兄「…………」
妹「妹ですから」ニコッ
私たちは飛び降りました。
新しい、世界に向かって……!!
~fin~
799:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 13:21:48.19 ID:RxII8FGc0
大層乙であった
812:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 14:37:26.00 ID:CG1t66Px0
楽しかったよ!!
806:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2013/04/14(日) 13:55:44.12 ID:zvT0UpkZ0
あまり鬱にならないバッドエンドだったからこれはできる>>1
808:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2013/04/14(日) 14:17:12.84 ID:oTmRN0L+Q
乙
ハッピーエンドじゃなかったけど
完結してくれて良かった
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