1:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:07:29.93 ID:
eo0MsCE10るか「あ、はっ、はい!美術部の友達が、古くなった画材一式を譲ってくれて……折角だし、と思って……」
岡部「ふむ、何を描いているのだ?」
るか「ああっ!! 見ないでくださぁい!」
岡部「ふっふっふ、恥じることはあるまい。誰でも最初は下手なものだ。
妖刀五月雨の扱いも初めは酷いものだったが、今ではかなり会得したではないか」
るか「あ……あの……下手だから、っていうことじゃなくて……
その……怒りませんか?」
岡部「ん? 何に怒って? 言ってみるがいい」
るか「その……ボク、岡部さ…凶真さんの絵を、描いてみたんです……」
岡部「へっ? お、おう、そうか……うむ、まあ、感心なことだ。
いずれこの世界構造の管理者となるべき男の肖像をこの世に残す事ほど偉大な行為はない!
フゥーーッハハハ!!」
るか「あ、あうぅ……」
岡部「して、ルカ子よ。この俺の肖像、早速見せてみるがいい。
マッドサイエンティストにしてハイパーメディアアーティストであるこの俺が鑑定してやろう」
るか「はっ、はい……ええと、これ、です……」ズズッ
岡部「どれどr……ぐああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁあぁ!!!!」
るか「ええっ!! 岡部さん!大丈夫ですか!?」
6:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:15:42.13 ID:
eo0MsCE10岡部「っ……くはっ……はぁ、はぁ……」
るか「大丈夫ですか!? お、お父さんを呼んできますね!!」
岡部「ま、待て!! もう大丈夫だ……」
るか「岡部さ…凶真さん……無理しないでください……」ウルウル
岡部(今、何が起こった? ルカ子の絵を見た途端に、強烈な頭痛とも眩暈ともつかない不快感が……
リーディングシュタイナー? いや、そんな感覚ではなかった。そもそも電話レンジは破壊したし)
るか「本当に平気ですか? お水、持ってきますか?」
岡部「あ、ああ、頼む……」
るか「はい! すぐ戻りますね!」 タッタッタッ
岡部(そうだ、ルカ子の絵を見て……待てよ、俺は絵を見たか?
ちょうどそこの絵を見た瞬間に) チラッ
岡部「がああああああぁああぁぁあああぁぁぁあああ!!!」
岡部(くうっ、どういう事だ!! ルカ子の絵を見た瞬間に、世界が歪むような感覚が……!
まさか、ルカ子の絵が原因? 馬鹿な! 単なる絵だろう?) チラッ
岡部「ひぎゃあああぁぁぁあああうぉええええええええ!」
岡部「くっ……くそっ……直視できない!!」
8:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:17:00.81 ID:ShDRoeGqO
小林ゆう9:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:17:42.99 ID:ZaL3ZyTr0
画伯って事か※参考画像
13:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:34:19.76 ID:IxTzXMbNO
なんのことかと思ったら中の人ネタかwww10:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:20:27.04 ID:+Q55UYUF0
画伯は絵があれだけど字はすごい達筆だよな11:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:26:40.45 ID:
eo0MsCE10岡部(何が何だか分からんが……これでルカ子の絵が原因であることは確定だな)
岡部(しかし何故だ? いくら巫女とはいえ、ルカ子の筆にそんな悪魔じみた『力』が宿るわけもない)
岡部(まさか……度重なる世界線移動の影響か!?)
岡部(俺は、俺のせいで、ルカ子の大切な思いを消し、書き換えてきた)
岡部(そのせいで、ルカ子によからぬ魔性を取り憑かせてしまったとしたら……)
るか「岡部さん! お水持って来ました!」
岡部「ああ、ありがとう……すまない、ルカ子!」
るか「ふえっ! な、何ですか?」
岡部「俺は……俺の軽率な行動のせいで、お前にまた重い枷を背負わせてしまったらしい……」
るか「は、はぁ……?」
岡部「だが安心してくれ!」ギュッ アクシュ
るか「ひゃわっ!」
岡部「その身に降り掛かった呪い……俺がこの手で払いのけて見せよう!!
これよりオペレーション・テルプシコレを発動する!!」
14:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:37:38.65 ID:
eo0MsCE10岡部「と、言ったものの……どうしたものか」
岡部「この『呪われし絵画』は危険ゆえに白衣をかけて隠しながら、ひとまずラボへ運んだが」
岡部「何から手をつけたらいいのか……念のため呪いの類のセンをルカ子やルカパパに聞いたが、
そんな呪い聞いたことがないと言っていた」
岡部「……すると、サブリミナルかなにかだろうか?」
岡部「そうなってくると、ここはやはり紅莉栖が一番詳しいか……
ルカ子にあんな大見得を切ってさっそく紅莉栖に頼る算段とは情けないが」
♪テレッテテッテンテッテテテーン テレレーン
岡部「ん、電話だ……ダルか、どうした?
はぁ? 財布をラボに? おお、これか……何?これを持ってメイクイーンへ来いと?
ダルよ、この俺をパシリに使おうなどとは偉くなったものだな、ってか前にもあったろ同じことが!」
岡部「牛皿の会計? ああ、そんなこともあったな、細かいことを……
分かった、これでチャラだ。ちょっと待っていろ」 ピッ
岡部「まったく……我がラボメンには緊張感がなくて困るな」 タッタッタッ……
カツン カツン トントン ダレカイルー? ……ガチャッ
紅莉栖「なんだ、誰もいないのか……」
15:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:46:08.05 ID:
eo0MsCE10紅莉栖「岡部さえいないし……@ちゃんでも見ようかな」
紅莉栖「……? これ、岡部の白衣よね?」
紅莉栖「どこ行ってるか知らないけど、着て行かないなんて珍しいわね」
紅莉栖「…………」
紅莉栖「いやいやいやいや、それは駄目でしょ、常識的に考えて」
紅莉栖「あいつらと同レベルのHENTAIに成り下がるわ」
紅莉栖「……でも……あいつはどこに行くにもこの白衣着てるし」
紅莉栖「こんなチャンスはめったにないし……」
紅莉栖「いや、チャンスって私のバカバカHENTAI!」
紅莉栖「そ、そうよ、これはアレよ、岡部がだらしないから、私が体臭チェックしてあげるだけよ」
紅莉栖「精神の異常は内分泌系に作用してテストステロンの過分泌をもたらしうるわ!
ここは専門家の私が診断してあげないと。あんなのでもラボメンだし、倒れたら困るわ、うん」
紅莉栖「だ、だから、ちょっとだけ……」
ハラリ
紅莉栖「ぎゃあああああああああああああああああぁぁあああぁああああぁあ」
16:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:49:23.65 ID:+Q55UYUF0
紅莉栖は犠牲になったのだ17:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:52:08.27 ID:kup50VYCO
精神汚染級の超克絵画18:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:53:18.82 ID:6jEQRtZQ0
子供は泣く19:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:55:08.72 ID:JCxePEi60
あの画風は凡人にゃそうそう真似できるもんじゃない20:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:55:43.12 ID:
eo0MsCE10ダッダッダッ ガチャッ
ブラウン「おいどうした! すげぇ悲鳴が聞こえtぐわああああぁぁああああああぁぁ!!」
タッタッタッ ガチャッ
綯「お父さん! どうしtきゃあああああああああぁぁああああああぁああ!」 バタッ
トントントン ガチャッ
鈴羽「チィーッス! オカリンおじさん、未来から遊びに来tぎゃあああああああああぁぁああぁ!」 バタッ
タンタンタン ガチャッ
萌郁「…………FBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFBFB」 バタッ
トコトコトコ ガチャッ
まゆり「トゥットゥルウワアアアアアアアアアアアアアアアアア」 バタッ
ノシノシノシ ガチャッ
ダル「いやーオカリンマジサンクス、助かったおわあああああああああぁぁああああああぁあ」 バタッ
岡部「ど、どうしたダル!! あれっ? 白衣がああああああああぁぁああああああぁぁあああぁ」 バタッ
隙間「ニャニャッ?! 二人ともどうしたのニャアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァ」 バタッ
テンテンテン ガチャッ
るか「あの、岡部さん……ボク、やっぱり心配で、来ちゃいまし……
え、ええっ!? 大変!! ガス中毒?!」
22:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:56:39.83 ID:qhMCCLm10
まゆりwwwwww25:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 03:03:04.26 ID:kdv+tUuR0
萌郁さん可愛いな! 23:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 02:58:18.83 ID:kup50VYCO
隙間ピンクのことフェイリスって言うなよ!27:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 03:09:54.45 ID:
eo0MsCE10数時間後、そこには元気にエロゲをするダルの姿が!
ダル「いやぁ、あの時はどうなることかと思ったよ。 もうラボに財布を忘れたりなんかしないよ」
岡部「ええい、エロゲをやめろ! これから臨時の円卓会議をするのだ!!」
まゆり「まゆしぃはまだ頭がちょっとくらくらするのです……」
紅莉栖「それにしても……本当なの? 漆原さんの絵がこの騒動の原因だって」
岡部「ああ、確実と言っていいだろう。現にお前たちもあの絵を見てから倒れたのだろう?」
ダル「んー、そういわれるとそうだった希ガス。でもとっさのことだったしなぁ」
フェイリス「だからルカニャンには帰ってもらったのニャ?」
岡部「ああ、ルカ子はまだ知らないのだ。己の右腕にリヴァイアサンを宿してしまったことを……」
まゆり「しばい屋さん?」
鈴羽「そうか……父さん達に聞いたことがあったっけ」
岡部「何?! 知っているのか鈴羽!!」
ダル「そこは雷電っしょ。 つーか存在に全く違和感なくてスルーしてたけどどちらさま?」
鈴羽「へへっ、通りすがりの戦士だよ」
岡部「SG世界線なんだから戦士ではないだろうが」
29:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 03:24:47.70 ID:
eo0MsCE10 ザ・ペインター
鈴羽「私が父さん達に聞いていたのは……『画伯』を目覚めさせるな、ってこと」
紅莉栖「『画伯』?」
鈴羽「うん。オカリンおじさんが漆原るかの能力をそう命名したんだよ」
岡部「えらくシンプルなネーミングだな……それだけ唯一性の高い脅威ということか」
萌郁「……」 ティロリン♪『それってシンプルなの(・_・?』
鈴羽「そう。『画伯』を目覚めさせない……つまりは、漆原るかに絵を描かせない、描いたならそれを人目に触れさせない。
それが唯一の対策だってさ」
岡部「くっ……未来の俺は根本的解決策を見い出せなかったのか……」
ダル「なんか未来がどうとかまた厨二設定が重ねられてる件」
まゆり「まゆしぃはよく分からないけど、るか君が絵を描いちゃいけないなんてかわいそうだよー!」
紅莉栖「そうね。理由も分からず自由を侵害されるなんて馬鹿げてるわ」
ダル「自由の国アメリカのスピリットですねわかります」
紅莉栖「そこ、茶化さない。ともかく、漆原さんの絵をもっとよく検分してみましょう。どれどれ」 ファサッ
岡部「ちょっおま何やってぎゃあああああああああああぁぁぁああああああああっぁあああああああああ!!!」
紅莉栖「しまっとぅえああああああああああぁぁあああああああああぁぁああああああああああ!!!」
30:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 03:33:33.45 ID:qhMCCLm10
アホや……31:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 03:38:15.09 ID:
eo0MsCE10紅莉栖「ひ、ひとつ、分かったことが、あるわ……」
サーヴァント・オブ・ザ・ペインター
岡部「ぜぇ、ぜぇ……な、何だ助手よ、いや『画伯の使い魔』よ」
紅莉栖「変な呼び名を増やすな!! 悪かったと思ってるわよ……
最初に私たちが倒れてから目を覚ますまで、2時間かかったわね?」
まゆり「かいちゅーが壊れなかったか心配で確かめたから間違いないのです」
紅莉栖「でも、今みんなが倒れてから起きるまでの時間はどれくらいだった?」
フェイリス「30分ぐらいだと思うニャ」
紅莉栖「つまり、この絵……“慣れる”ことができるのよ!」
ダル「な、なんだってー!!」
岡部「……それだけか?」
紅莉栖「現時点ではこれだけね。でも、立ち向かえない相手じゃないって分かっただけで一歩前進よ」
岡部「ううむ……しかし、何度も見れば完全に慣れるとは限らんぞ? 次もその次も30分気絶しているかもしれん」
紅莉栖「可能性はあるけど……漆原さん自身が倒れていないわけだし、希望はあると思う。
私、この絵を慣れるまで見続けようと思う。そうしなくちゃ解析もできないわ」
岡部「おお……なんという自己犠牲の精神! お前は我がラボで俺に次ぐ誇りの」
紅莉栖「何言ってんのよ、岡部もやるのよ」 岡部「」
33:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 03:48:54.47 ID:
eo0MsCE10その後のことを思い出すのは今でも辛い。絵を見てはぶっ倒れ、起きてはまたぶっ倒れ……
何度ミスターブラウンから悲鳴について苦情が入ったことか。
タイミングによってはミスターブラウン自身も倒れる羽目になったからか、そのうち来なくなったが。
ラボには朝まで俺と助手二人の悲鳴が響き渡ったのだった。
岡部「よ……ようやく、軽い立ちくらみ程度で抑えられるようになったな」
紅莉栖「そうね……しかし、こうして改めて見ると……」
岡部「ああ、なんというか、壮絶、だな」
紅莉栖「これ岡部を描いた絵なのよね?」
岡部「そのはずなのだが……こ、これが目か? すると、こっちが口か? いやまさかな」
紅莉栖「懸念していたことだけど、やっぱりこの一枚だけじゃサンプルとして足りないわね」
岡部「何? ではどうするのだ」
紅莉栖「簡単よ。漆原さんにもう何枚か絵を描いてもらえばいいわ」
岡部「おい、ふざけるな! この混沌の塊をこの世に更に産み落とそうというのか!!」
紅莉栖「私達以外に見せなければ問題ない。そうでしょ?」
岡部「うぅむ、そうだな……」
32:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 03:43:59.38 ID:GNtJFbDi0
画伯はもはやそういう病気何じゃないかとすら思える37:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 04:05:17.52 ID:+Q55UYUF0
画伯の絵って張ってると霊を跳ね除けそう34:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 03:56:30.43 ID:
eo0MsCE10るか「えっ、ボクの絵を、もっと、ですか?」
岡部「あ、ああ……お前の絵はこの俺を始め、ラボメンの心を大いに揺さぶる傑作、もとい怪作だったのでな。
ぜひお願いしたいのだよ」
るか「そ、そうですか……お役に立てて、ボク嬉しいです」 テレテレ
岡部(うっ、可愛い……だが画伯だ)
岡部「手の込んだものでなくていい、素描で構わん。 できれば4,5枚描いてもらいたい」
るか「は、はい。……あの……」
岡部「どうした?」
るか「あの、えっと……変な意味じゃなくて、ですけど……岡、凶真さん、モデルになってくれませんか?」
岡部「なん……だと……?」
るか「あっ! やっぱり嫌ですよね! ごめんなさいボク変なこと言って!
ただなんていうか、その……凶真さんをテーマにしたほうが、筆が進む、というか、その……」
岡部(だが男だ)
るか「その……ごめんなさい……」ジワッ
岡部「フッ、フゥーハハハ!! マッドサイエンティストたる俺には絵画のモデルなど実に容易い! よかろう、引き受けた」
るか「あっ、ありがとうございます!!」
36:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 04:05:16.87 ID:
eo0MsCE10~数時間後~
ガチャッ
岡部「今、戻った……」
紅莉栖「お疲れ様。どう、岡部?描いてもらえた?」
岡部「ああ……バッチリだよ……」
紅莉栖「なんだかゲッソリしてない? 大丈夫?」
岡部「大丈夫だ、放っておいてくれ。ほら、これが絵だ……」
紅莉栖「ふむん……くっ、やっぱりクラッとするわね。 ……? ねぇ……岡部?」
岡部「何だ」
紅莉栖「漆原さんの絵を解析してるうちに、簡単な法則性みたいなものが見えてきたんだけど……」
岡部「本当か!! でかしたクリスティーナ!!」
紅莉栖「ティーナ禁止! で、あんたが今持ってきた絵なんだけど、その法則性を当てはめてみると……
後半のやつ、は、裸のように見えるんだけど……」
岡部「………あれは、獣だ、獣の眼だ………」
紅莉栖「?」
岡部「だんだんとポーズや衣装の要求がヒートアップしてきてな……気づいたら、薔薇を一輪くわえてダビデ像のポーズをしていた……
あの気迫に勝てる者がいるなら手合わせ願いたい……いや、もう出会いたくない……」
38:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 04:23:06.74 ID:
eo0MsCE10紅莉栖「と、とにかく座りなさいよ。ドクペでも飲む?」
岡部「ああ、頼む」
紅莉栖「はい、これ。 それで、漆原さんの絵の件だけど……岡部の持ってきた残りの絵と照らしあわせて、原因が分かったわ」
岡部「んぐふっ! ゲホッゲホッ、本当か!ばかに早いな!」
紅莉栖「ちょっと、ドクペこぼしてるわよ! 汚いな…… 結論から言えば、漆原さんには異常と言えるものはない、ましてや呪いなんかじゃない。
『個性』の範疇に入る事象よ」
岡部「こ、個性……?これが?」
紅莉栖「そう。岡部は『クオリア』って聞いたことある?」
岡部「……ソニーのブランドだったか?」
紅莉栖「そっちじゃないわ。バズワードっぽくて本当は使いたくないんだけど、今回の件を説明するにはその存在を仮定したほうが判りやすい。
これは、岡部がその眼で認識している『赤』と、私が認識している『赤』が同じものか、って問いからスタートする」
岡部「同じに決まっているだろう」
紅莉栖「本当に? 例えばあなたの脳の視覚野を、橋田の脳の視覚野と交換したとする。
この時、あなたがバナナを見るとなんと真っ青。橋田の視覚野はおかしい、と文句をつけるかもしれない。
でも橋田は物心ついてからずっとその色を『黄色』と認識していた……として、何か矛盾は生じるかしら?」
岡部「むぅ……分かったような、分からんような……しかし俺とダルを手術する前提の例えはやめろ」
紅莉栖「そういうバナナの黄色みたいな、ある刺激に対して人が受ける『感じ』……それをクオリアと言うのよ。
だいぶ大雑把で不正確だけど、そんなところ」
43:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 04:41:43.11 ID:
eo0MsCE10紅莉栖「ここで問題になるのは、クオリアは同じであっても、それぞれの個人の脳の中で具体的にどんな処理が成されているか、
客観的に判断するのは極めて難しいという事」
紅莉栖「例えるなら、PCのCPUやOSが違っても、同じウェブページはブラウザ上では同じに見える。PC内での処理は異なるけど」
岡部「ええい、話が長いな。 それがルカ子の件とどうつながる?」
紅莉栖「PCとウェブページのたとえで続けると、この時、漆原さんはサーバからウェブページのデータをダウンロードするところまでは問題ない。
そうでなければ、日常生活を送るのにとても苦労してるはずだもの」
紅莉栖「ただし……それをディスプレイに表示するところが、他と違う」
岡部「……“文字化け”を起こしているということか?」
紅莉栖「絵を描くことに関して限定で、ね。それと、文字化けというたとえは正しくないわ。最初に言ったけど、漆原さんの件は個性の範疇よ。
同じものを見て同じ物を描いても、誰一人同じ絵にはならない。上手い下手だけの問題じゃなく、『ディスプレイへの表示アルゴリズム』は
誰もが違って当然なの」
岡部「ううむ……しかし、ならば何故あの絵を見ると気絶する?」
紅莉栖「個性、とは言え、一般的な描写からかけ離れているのは事実。 さらに今回の漆原さんの絵は、私達の見慣れた岡部の顔を描いてる。
実際の岡部の顔と、漆原さんの絵との違いに、脳の一部が過負荷を起こしたのよ。
線が多い絵だから、V1・V2領域がやられてるのかな……ちょっとこれ以上はMRIなんかを使って分析しないと分からないけど」
岡部「なるほど、(よく分からんが)分かった。それで、対策はあるのか?」
紅莉栖「ええ、あるわ。 岡部が戻ってくるまでの間に準備も進めてた。もうちょっとだから、手伝ってくれない?」
39:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 04:24:46.77 ID:kup50VYCO
画伯はマジで異次元を見てる
たぶん沙耶も美少女に見えるhttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002HWR46C/horiz-22/46:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 04:52:59.57 ID:
eo0MsCE10~数日後~
るか「あ、岡、凶真さん!」
岡部「ほう、また絵を描いているのか」
るか「はい。今日はそこの松の木を描いているんです」
岡部「ふむ。……ん、地中の根まで描いているのか、斬新だな……」
るか「えっ?これは松ぼっくりです」
岡部「あ、ああもちろんそうだな、そうじゃないかと思っていた、フゥーハハハ!!」
あの後、俺の大いなる助力と紅莉栖の知能によって、ヘッドギア状のデバイスが完成した。正直ややトラウマを感じるビジュアルだったが。
紅莉栖が言うには、見るものの視覚野に過負荷をかけない絵を描くように、絵の描写を司る脳の一部を「書き換える」そうだ。
不安ではあったが、人間は生きている間つねに自身の脳を書き換えており、この装置もそれと大差無いと語る紅莉栖を信じ、ルカ子に
その装置を試させたのだった。
結果はこの通り、相変わらず何が何だかわからないビジュアルの絵ではあるものの、見た瞬間昏倒することは無くなった。
るか「あっ! ボク、岡部さんにお礼を言わなくちゃいけなかったんです」
岡部「うん? 何のことだ?」(『画伯』の呪いの件はルカ子本人には話していないはずだが)
るか「その、ボクの絵をたまたま見てくださった画廊の方の紹介で……こ、個展を開くことになったんです!」
岡部「なん……だと……?」
47:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 04:57:07.32 ID:B6qEp5SSO
こういう病気実際にあるよな49:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 04:58:10.60 ID:qjogYn990
往年のピカソの妙にズレた人物画も病気のせいだったらしいな50:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 05:01:32.58 ID:
eo0MsCE10るか「画廊の方、フェイリスさんともお知り合いらしくて……
たまたまフェイリスさんが駅前の画廊を買い取ったところで、展示品を探してたとかで……」
岡部「そ、そうか……よかったな」
岡部(世の中、何が認められるか分からないものだ……考えてみればゴッホやピカソもそうではないか。
表面的な美しさだけでなく、心を揺り動かすエネルギーこそ芸術の本質なのかもしれないな)
るか「あの、それで……よろしければ、凶真さんに……」
岡部「もちろん、個展へは足を運ぶぞ! ラボメン達も動員して毎日のように押しかけてやるから覚悟するといい、
フゥーーハハハ!!!」
るか「あ、いえ、もちろんそれもなんですが……
凶真さん、また、絵のモデルをやっていただけませんか?」
岡部「えっ」
るか「画廊の方のアドバイスもあって、やっぱり自分の一番描きたいものを描くのがいいって……
あっ!えっと、変な意味じゃないんです」 テレテレ
岡部「そ、そうか……期待に応えたいのは山々なのだがな、マッドサイエンティストたる俺は多忙を極めていて」
るか「お願いできますよね?」 ズイッ
岡部「うっ」
51:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 05:09:41.02 ID:
eo0MsCE10るか「ほら、まゆりちゃんにお願いして衣装も作ってもらったんです」
岡部「ちょっと待て、まゆりもグルか?!」
るか「グルだなんて酷いですぅ……」 ウルウル
岡部「あっ、いや、だから多忙が多忙で多忙なんだ、フゥハハ!」
るか「さぁ、こっちに来てください」
岡部「ちょ……くっ!ルカ子よ、いつの間にこんなに腕力を」
るか「岡部さんが五月雨で稽古をつけてくれたお陰ですよ。お礼に岡部さんの五月雨も描いてあげますからね」
岡部「おい、ちょっ、キャラおかしくね? えっ、うっ、アッー!」
秋葉原駅を降り立つと、すぐ眼の前に異様なオーラを放つ画廊を見つけることができるだろう。
だが、立ち寄ってはいけない。覗き込むのもいけない。それくらいの慎重さが求められていると理解しろ。
特に、画廊の最奥に展示された……臀部から一輪のアネモネを咲かせているように見える絵には、触れないで欲しい……
それが俺の、せめてもの願いだ。
エル・プサイ・コングルゥ。
おわり
54:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 05:11:41.55 ID:+Q55UYUF0
乙!59:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 05:36:16.84 ID:XXxkgJT90
秋葉原駅近くの画廊って怪しいキャッチのとこかwww56:
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2011/12/05(月) 05:12:48.92 ID:kup50VYCO
おっつー
える ぷさい こんがりぃ
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