1:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:07:41.30 ID:CGtm9QbJ0
2011年、爆発的なブームで日本中に普及した『スマートフォン』
高機能携帯電話と称され、従来の携帯とは違い、
スマートフォンに『アプリ』をダウンロード、インストールすることにより、
各々の好きなように機能をカスタマイズできる。
アプリをダウンロードするには『マーケット』に接続する必要がある。
この、マーケットでは20万を超えるアプリが存在する。
ゲームや、壁紙、時計などのデザイン系のアプリや、
その端末の機能をアップさせるアプリ。
とにかく莫大な量のアプリがこのマーケットには存在していた。
その中に、製作者不明で、若者の間では
『ダウンロードしてはいけないアプリ』と『禁断のアプリ』
と言われる謎のアプリがある。
3:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:08:31.15 ID:CGtm9QbJ0
この話を聞いたのは、冬休みの課題に追われて、友人のトオルと
ファミレスで課題をやっていたときだった。
「あっ、お前スマホじゃん」
唐突にトオルが話掛けてきた。
「ああ、うん」
「俺もさ、最近変えたんだよね。コレ」
「おー最新機種じゃん。すげえ」
トオルの最新機種の自慢話をうんざりするほど一通り聞いた。
するとトオルが妙な表情で話を持ちかけた。
4:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:09:03.65 ID:CGtm9QbJ0
「なあ、『ディザイアーアプリケーション』って知ってるか?」
「は?何?アプリ?」
「うん、アプリ。なんでも、そのアプリをインストールすると入力欄だけがあるらしくてさ」
「……うん」
「そこに、自分の願いとか、こうなって欲しい!っていうことを入力すると、叶うらしいんよ」
トオルは真剣な表情で語っていた。
俺はこいつは真性のバカなのだと本気で思った。
5:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:10:15.08 ID:CGtm9QbJ0
「お前さ……。それ本気で叶うとでも思ってんの?そもそもそういう根拠のない……」
「まあ最後まで聞けって。そのアプリに入力して、本当に叶ったっていうレビューがあるんだよ。それも何万件も」
「まあ、業者だろうな。自作自演ってやつだ」
「いや、それがTwitterでも話題になってるんだよ。とにかく、そんなにレビューがあると信憑性があるだろ?ちょっとそのアプリ入れてみね?俺一人でいれるのちょっとびびっちゃってww」
トオルの話を聞いている途中に、マーケットで検索してみると確かに存在する。
ダウンロード数10万越え……。アプリ公開日は一週間前。……一週間前!?
一週間にしてはダウンロード伸びすぎだ。やっぱTwitterってすごいなと感心。
「コレ?『Desire App』ってあるけど」
「あーそれそれ!ちょっとダウンロードしてみて!」
俺もトオルの話と、ダウンロードの伸び、そしてTwitterでの反響。
入力欄に願いを書くだけで叶うなんて全然信じられないがダウンロードすることにした。
6:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:12:15.61 ID:CGtm9QbJ0
10%…25%…40%………95%…100%
「とりあえず入れてみたけど」
「おお!じゃあ起動起動!」
特にウイルスやそういうものは無いらしい。
まあ何かあったらアンインストールすれば良い。そう思ってた。
さっそくアプリを起動。
7:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:12:53.37 ID:CGtm9QbJ0
『ようこそ!Desire Appへ!』
画面上部に文字が映し出される。
『既にあなたの個人情報は携帯端末を通じて取得済みです!』
「は!?何それ!超怖いんだけど!」
俺は驚いた。そりゃそうだ、勝手に個人情報が云々って…。
「とりあえず落ち着け!最後まで見てみようぜ」
トオルは自分がアプリをいれてないからか、気楽だった。
8:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:13:30.60 ID:CGtm9QbJ0
『<Desire App>ではあなたの願いを叶えます』
『下記の規約の範囲内の願いであれば、何でも叶うことになります』
規約か…、まあそりゃあるだろうな。
『<利用規約>
(1)…金銭に関する願いは一回につき、1万円とします。
(2)…金銭に関する願いは一回使用すると一週間は使用できません。
(3)…過去に関する願いは効力がありません。
(例)「昔に戻りたい!」「死んだ母親を生き返らせたい!」等
(4)…Desire Appを使用により発生したトラブルには当方はいかなる理由でも関与しません。(5)…Desire Appを使用した人は当方の方針に同意したということと判断します。
<利用規約> 終』
9:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:13:53.87 ID:edJ/Li/w0
デビサバ的な
10:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:14:10.69 ID:CGtm9QbJ0
「……え?」
トオルと思わず顔を合わす。
「いやいやいやいやwwwww」
「規約おおざっぱすぎるだろwwww」
お互い思わず笑いがあふれる。
これは神アプリ!と思った。
だが実際にまだ願いを入力していない。
本当に叶うのか確かめてみよう。
12:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:14:45.31 ID:CGtm9QbJ0
「トオル、お前なんか願いない?」
「んー、じゃあ、このファミレスの店員からメアドを渡される!とか?」
「お前wwwwとりあえず入力してみっか」
利用規約の下に
『利用はこちらから!』というボタンがある。
そこをタップする。画面が替わり、
質素な入力画面だけがある画面になった。
「…現在居るファミレスの店員からメアドを書いた紙を渡されるっと」
入力画面の下に<Desire判定>というボタンがある。
とりあえずここしか押すところが無い為、タップする。
13:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:15:24.84 ID:CGtm9QbJ0
『Desire判定 <Level 1> 願いを叶えますか?』
Yes と No のボタンがある。
だが少し落ち着け。
Level1…?そもそもDesire判定ってなんだ?
「これなんだと思う?」
俺はトオルに問いかけた。
「んーなんだろ、つかここに小さく<Desire判定表>っていうのあるから見てみよーぜ」
「お、気付かなかったわ」
確かにトオルが言うとおり、<Desire判定表>というボタンが存在した。
とりあえずタップしてみる。
14:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:16:14.31 ID:CGtm9QbJ0
『Desire判定表です。ご利用は慎重に』
画面上部に文字が現れる。下には表があった。
(Level 1~10)
あなたの周りの物体が無くなります。
Levelが上になるにつれ貴重な物になります。
「ちょっと待て!どういうことだよこれ」
「たぶん願いは叶えるけどその代わりに失う物があるってことだろ」
トオルの言う通りで間違いない。確かにそうだ。
よく考えてみれば、願いを叶えてるだけじゃ割に合わないだろう…
まだ表は下に続いていた。
(Level 11~20)
非公開(物)
(Level 21~30)
非公開(生物)
(Level 31)
非公開
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:16:41.85 ID:CGtm9QbJ0
「非公開って…」
「じゃあ書くなよって話だよな」
「トオル、とりあえずこれ意味わかんないわ」
「まあとりあえず、判定はLevel1~31まであるってことだろ?」
「ああ、んで1~10はそんな危険じゃなさそうだな。物体だし」
「ましてやLevel1なんてたぶんティッシュとかそこらへんだろwww」
「おいwww」
なんて俺らは冗談を言い合っていた。
だがしかし、そんな甘い話ではなかった。
20:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:19:16.16 ID:Jrm4iSPJ0
おもしろそうだ
なんか期待
24:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:21:13.54 ID:uJOr49480
「>>1が続きを書く」
『Desire判定 <Level 3> 願いを叶えますか?』
Yes と No のボタンがある。
Yes←
No
29:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:23:06.82 ID:agt7h7gA0
>>24
おい寝る時間が無くなった
こりゃ良く出来てるな
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:21:37.08 ID:CGtm9QbJ0
「とりあえずさっきのやつLevel1だからやってみよーぜ!」
トオルは意気揚々と俺に言う。
「もしお前、俺の時計とか無くなったら弁償しろよ」
「無いだろwwwとりあえずやってみようぜ」
「はいはい」
さっきの画面に戻り、俺はYesをタップした。
『願いを受け付けました。反映まで1~5分かかります。
Level 1相当の何かがあなたの周りから消えました』
「おおおおお……」
「とりあえず楽しみだな!これで叶わなかったら警察に訴えようぜ!」
トオルは相変わらず意気揚々としていた。
28:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:22:56.65 ID:CGtm9QbJ0
絶対に叶うはずがない。そう思っていた。
数分後、たぶん2,3分後のことだったと思う。
「お客様…こちら『ホウレン草のソテー』でございます」
黒い髪のなかなか可愛い顔立ちの店員がやってくる。
俺とトオルは顔を合わせた。
本当に来た!!驚きすぎて少し声を出してしまった。
「えーと、頼んでないですけど…」
トオルが普通の対応をする。
「あっ、申し訳ございません。………。あの……。すいません。こういうことしてしまうと、怒られちゃうんですが…これ、受け取ってください」
まさかだった。
本当に実現してしまった。
このアプリは、ただものではないと確信した。
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:25:25.97 ID:CGtm9QbJ0
トオルも驚きを隠せていないようで、茫然としていた。
「あ……はあ、はい。ありがとうございます」
「良かったら、良かったらでいいです!連絡ください!」
そういうと店員は厨房の方へ小走りで去って行った。
「おい……トオル……」
「マジかよこのアプリ…いざ叶うとなんか、不気味だし怖いわ」
さっきまでのトオルのテンションはどこかへ行っていた。
俺らは不気味な感覚に襲われていた。
とにかく、ヤバイ、と思った。いろいろな意味で。
31:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:26:10.00 ID:CGtm9QbJ0
その後は、俺とトオルは帰宅した。
アプリについてはなぜか話す気になれなかった。
本当に願いが叶い、不気味すぎるからだ。
あり得ないと思っていたのに。
俺は帰宅してもう一度アプリを起動した。
今度は、最初にでていた『ようこそ!』のような画面は出てこなく
入力欄と、入力履歴が見れるボタンがあった。
入力履歴を一応確認すると、やはり「店員からメールアドレスをもらう DesireLevel 1」
と書かれていた。
……!!
そういえば、何かを俺は失ったはずだ。
32:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:26:39.91 ID:CGtm9QbJ0
そういう規約だったはず。
俺は部屋の中から何かが無くなっていないかチェックした。
数分、探し終えて無くなった物体が何か分かった。
「ちょっと待てよ、マジで消えてるじゃん」
それはAV、アダルトビデオだった。
俺は数本、AVを持っていたが、一本無くなっていた。
「くっそー!Level 1でこれかよ!超もったいねえ」
「しかもトオルのために一本AV消えちまったよ!!」
しかし、どうやって無くなったんだ…?
誰かが俺の部屋に侵入して奪ったのか?
そう考えると寒気がした。恐ろしくなった。
33:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:27:22.73 ID:CGtm9QbJ0
ちょっと調べてみよう!
俺はそう思い、ネットでこのアプリについて検索した。
数十分が経ち、俺はある程度のこのアプリに関する知識を身に着けた。
まず失う物の回収は専門の業者が取りにくるらしい。
俺の場合ファミレスに居たからかもしれないが、その業者と鉢合わせになっても
「ご利用ありがとうございます。DesireAppの者です」
と結構愛想が良いそうだ。
本人不在の場合は、家族または知り合いの立会のもと、
「依頼された買い取り」という名目で物を回収するらしい。
お金は後日振り込むという話になるとかなんとか。
確かに、本人以外の人物にこの件について1から話すのも手間がかかる。
それが一番良い方法だなと少し感心した。
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:28:28.37 ID:CGtm9QbJ0
また体験談が多く寄せられてる掲示板では
『Level 7で洋服(総額5万)が消えた!』
『Level 10でテレビ消えたわ……。』
『Level 3 でアイドルのDVD3本消えました萎えたわ』
など、いろいろな体験談が寄せられていた。
中には、ゾッとする体験談もあり
『Level 22 で愛犬が消えました。返して、返して』
『Level 24 でウサギ4匹消えた、悲しい』
など、本当にLevel 21~は思い入れのある生物が消えていくらしい。
Level 31まであるが、それは想像したくなかった。
というか、想像ができない。何が起きるのか・・・。
37:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:30:51.62 ID:CGtm9QbJ0
俺はその日は寝ることにした。
冬休みはまだ中盤である。
昼ごろに起きると、トオルからのメールがあった。
「俺もアプリいれてみたわ。とりあえず1万円もらったけど、その代わりに服が一着消えてたわ…」
あいつらしいなと思った。
金が大好きだからな…。
「一万ならそれよりいい服が買えるとおもって割り切れよww」
とメールを返しておいた。
俺は昼飯を軽くとったあとに、気付けばアプリを起動していた。
39:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:31:22.66 ID:CGtm9QbJ0
「願いか、そういわれると何を書いていいのかわからないな」
「とりあえずDesire Level判定だけしてみっか」
適当に願いを書き込む。
『好きな人から告白される』
と入力した。判定はLevel 10
たけーな!掲示板の情報によればテレビ一台消えるのかよ。
『アイドルと付き合う』
判定はLevel 21……。
うわぁ……。たけえ……けど俺ペットなんて飼ってないぞ?
どうなるんだ?
『朝起きると5kg痩せてる』
判定はLevel 7
案外低いな。
40:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:31:55.57 ID:CGtm9QbJ0
Levelの判定をするだけならなんともないのでちょっと楽しくなっていた。
だがしかし、『アイドルと付き合う』のように、Level 21いってもペットとか
飼ってない場合はどうなるんだろう。
俺は疑問に思ってまた、ネットで検索した。
『Desire App 失う物が無い場合』
で検索をかけてみる。
ヒットは少ないものの、情報は確かにあった。
41:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:32:37.16 ID:CGtm9QbJ0
『俺Level22出たけど、何も無かったぞ!ペット飼ってなかったからかな』
という情報や
『Level 23でたけど、飼ってた猫が半年前に死んじゃってたから特に何もなかった!
ペット飼ってないヤツはどんどんLevel 21超えちゃっても平気だぞ!』
なんという神情報。そう思った。
俺は掲示板を深くは読まずに閉じて、アプリを起動した。
この時に、ちゃんと掲示板を深く、しっかりと読んでいればあんなことにはならなかった。
42:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:33:13.25 ID:CGtm9QbJ0
アプリを起動し、入力欄に
『アイドルのミカコと付き合う』
と入力。判定はLevel 21。
俺は掲示板の情報にもあった通り、ペットを飼っていないと失う物はない。
という情報を胸に『願いを叶えますか?』の下にあるYesボタンをタップした。
すると赤文字で文字が出てきた。
<エラー!既にこの願いを実行中の人がいます>
なるほど。ミカコと付き合うと入力した奴が俺の他にいたってことか。
まあミカコは人気だし仕方ないか。
こういう願いは多数には適応されないらしい。上手くできてるなホント。
43:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:33:37.47 ID:CGtm9QbJ0
んじゃ、これでどうだ!
『アイドルのレイコと付き合う』
と入力した。判定は同じくLevel 21。
『願いを叶えますか?』の下のYesをタップ。
……。お!!
今度はエラーがない!!!
『願いを受け付けました。反映まで1~5分かかります。
Level 21相当の何かが失われました』
1~5分ってはえーな!
店員の時と一緒じゃねーかwww
俺は少し気分があがっていた。
Level 21とはいえ俺にはペットは居ない。
つまり失う物はない。つまり、何も起きない!!
45:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:34:11.94 ID:CGtm9QbJ0
俺はLevel 21~30をこれからやっていこうと思った。
この美味しい情報をトオルに言おうと思ったがヤめた。
俺が手にした情報だ。いつの時代も情弱は損をするんだ。
そう自分に言い聞かせた。
3分ぐらい経った頃だろう。
電話が一通きた。知らない番号だった。
「…はい」
「あ、すいません。私、レイコと言えばわかりますか?」
「えーと、アイドルの?」
「はい!急にお電話すいません。ちょっと今から時間ありますか?」
「ええ、まあ」
「A駅の前で待ってます!」
「え!?」
「ガチャ、ツーツー」
46:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:34:52.74 ID:CGtm9QbJ0
え!?
え!?!?
マジか!本当に叶っちゃったよ!おい!
つか無理やりすぎんだろこれ!
いきなり電話かかってくるって何!?え!?
俺は動揺してるのと同時に服を着替え、
顔を洗い、髪をセットしA駅に向かった。
A駅は俺の最寄駅のためすぐついた。
Desire App、すごく都合がいいな本当に。
さすがはLevel 21ってところか。
47:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:35:17.45 ID:CGtm9QbJ0
駅につくと、改札の前に美少女がマスクをつけて立っていた。
遠目からみてもわかる、完全なる美少女。オーラが違う。
「えっと、電話もらった者だけど、レイコちゃん?」
「あ!初めまして!いきなりすみません。本当に来てくれたんですね」
「まあ、一応俺ファンだしね」
「そうなんですか!ありがとうございます!」
「ってか敬語やめようよ。俺と同い年だよ」
そんなこんなで俺はその日レイコとデートした。
アイドルとデートをしている。
なんという夢物語。
俺は頭の中が花畑になっていた。
48:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:35:42.94 ID:CGtm9QbJ0
帰り道、案の定レイコから告白をされる。
俺は快くOKした。
人生がなんとなく明るくなっている気がした。
…あの光景を目にするまでは。
「じゃあね、レイコ」
「うん!またメールするね!」
俺はレイコを駅まで送り、自宅へ徒歩で帰宅していた。
今日のレイコとのデートの余韻がまだ残っていて
フワフワした気持ちで浮き足立ちながら自宅へ歩いた。
しかし、その途中の踏切で思いもしない光景を目の当たりにする。
52:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:37:27.68 ID:CGtm9QbJ0
「あれ…?踏切降りそうなのにまだ渡り切れてない人いるじゃん」
「っていうか!渡るのかあの人!?止まってるんだけど!!!」
ちょっと待て。
Desire Appのことが頭をよぎる。
Level 21からの失う物の対象は『生物』
もしかして、人間も生物に入るのかよ!
…となると、偶然ではないとしたらあの人物は…!!!
54:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:38:00.40 ID:CGtm9QbJ0
踏切に向かって猛ダッシュした。
近づくとその正体がわかった。
俺の爺ちゃんだった。
早く助けないと…!
このままじゃ…!
カンカンカンカン
待ってくれ!頼む!!!
列車がものすごいスピードで踏切に近づいてくる。
「じいちゃん!!!」
俺は走りながら叫んだ。
じいちゃんは俺と目があった。
その顔は、とても哀しそうな、気力がない顔だった。
55:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:38:28.53 ID:CGtm9QbJ0
列車が踏切を通過した。
そこには爺ちゃんの姿は無かった。
四方にとんだ爺ちゃんの肉片を確認した。
1cm~5cmってところだった。
爺ちゃんはもういない。俺が殺してしまったんだ。
だが俺は、不思議と、悲しくは無かった。
殺した、という事実を淡泊に受け止めてる自分がいた。
俺は家に徒歩でそのまま帰宅した。
57:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:39:09.06 ID:CGtm9QbJ0
なんという感覚だろう。爺ちゃんが死んだというのに
俺には悲しみはなかった。
自分でも不思議だった。
警察の捜査の結果、爺ちゃんは自殺ということになった。
俺は何故かホッとした。
少し、嬉しかったのかもしれない。
そこから俺の何かが狂い始めた。
俺はレイコと毎晩のように会い、毎晩のようにセックスをした。
自分の欲望のために生きている。そんな実感がした。
人間らしいといえば人間らしいのかもしれない。
59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:39:41.48 ID:CGtm9QbJ0
俺はいつの間にかアプリの虜になっていた。
この前見た掲示板を深く読んでみると
Level21~というのは自分の周りの生物、
つまり家族や親戚も含まれるということだった。
俺はどんどん願いを入力していた。
時にはエラーになることもあるがそんなことなど気にしてもいなかった。
『レイコと結婚する』
Level 27。
エラーにはならなかった。
そりゃそうだ、俺は今レイコと付き合っている。
つまりこのままいけば結婚という路線もあるはず。
つまりエラーにはならない。
俺はDesire Appのコツをつかんでいた。
61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:40:10.27 ID:CGtm9QbJ0
ちなみにこの『レイコと結婚する』という願いで
失った物は、婆ちゃんだった。
警察から電話があり、崖から転落したらしい。
事故死となった。俺が殺したのに。
何故か笑えた。
そして数分後、俺はレイコからプロポーズを受けた。
人生がもっと明るくなった気がした。
64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:46:10.49 ID:CGtm9QbJ0
そしてまた俺は願いを入力した。
『豪邸を建てる』
Levelは29だった。
その数分後、一級建築士数名から電話がかかって
俺は10億相当の豪邸を建ててもらった。
俺は父親を失った。
業者が朝7時頃自宅に訪ねてきて
「毎度ありがとうございます。Desire Appの者です」
とまあ、いつも通りの挨拶のあと、俺の父親に向かって
ピストルを発砲。
頭をブチ抜き父親は死んだ。
俺は何とも思わなかった。業者に軽く挨拶をして、
俺はその家を出ていき、レイコと豪邸に住んだ。
俺の人生は確実に華やかだった。
66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:46:38.64 ID:CGtm9QbJ0
だがそんな俺も壁にぶち当たった。
レイコの不妊症が発覚した。
真っ先にDesire Appに願いを入力
『レイコの不妊症が治る』
LevelはMAXの31
どうせ家族の残りの母親が死ぬぐらいだろうと思っていた。
現実は違った。
数分後、俺の豪邸に業者が訪ねてくる。
「毎度ありがとうございます。Desire Appの者です」
67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:47:08.04 ID:CGtm9QbJ0
何故、俺の家に?
俺は疑問で仕方が無かった。
俺の母親はまだ生きてる。母親が死ぬんだろ!順序的にそれで間違いないはず!
「今回の願いを当方、承りました。失われるものは、あなた自身です」
俺は意味がわからなかった。
俺が失われるってなんだよ。
おい、どういうことだよ。
俺は業者の胸倉をつかんだ。
「聞いてねえぞそんなこと」
「ええ、言っておりません。ですが規約には書いてあります」
「…あ?」
業者は規約の印刷した紙を出した。
68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:47:29.74 ID:CGtm9QbJ0
『<利用規約>
(1)…金銭に関する願いは一回につき、1万円とします。
(2)…金銭に関する願いは一回使用すると一週間は使用できません。
(3)…過去に関する願いは効力がありません。
(例)「昔に戻りたい!」「死んだ母親を生き返らせたい!」等
(4)…Desire Appを使用により発生したトラブルには当方はいかなる理由でも関与しません。(5)…Desire Appを使用した人は当方の方針に同意したということと判断します。
<利用規約> 終』
69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:47:59.65 ID:CGtm9QbJ0
「どこに使用者本人が対象になるなんて書いてあるんだよ!!」
「(5)です。当方の方針、というのはLevel31の願いを入力された場合、
使用者本人を施設に移動させある実験の被験者となってもらうということなんですよー」
「そんなの卑怯だろ!!!おい!!」
俺は業者が許せなかった。
Desire Appをすぐ起動し、
『目の前の業者が死ぬ』
と入力した。
俺は笑いが止まらなかった。
「お前はバカだから死ぬハメになるんだよ!!おい!!」
俺は笑いながら続けていった。
70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:48:24.07 ID:CGtm9QbJ0
が、そううまくはいかなかった。
<エラー!!その願いは実行できません!>
「残念でしたね。けどこの女性の不妊症は完治しますよー」
「ふざけるな!!!クソが!!おい!!!お……」
業者は俺に麻酔を打った。
俺は深い眠りについた。
「………い!」
「……おい!」
「………………起きろ!!!!」
「え!?!?!?!?」
73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:49:27.28 ID:CGtm9QbJ0
目を覚ますと俺はファミレスに居た。
「どういう…?」
「どういうってこっちのセリフだわ!お前何時間寝てると思ってんだよ!
ぜんっぜん起きねえし!!深夜料金かかってんだよ!」
「え…っと…」
「えっとじゃねーよ!今日お前のおごりだからな絶対!」
ようやく状況がわかった。
75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:49:52.80 ID:CGtm9QbJ0
とはいえ、トオルが俺に怒鳴りつけている、という情報のみが判断できる。
「仕方ねーやつだなあ、ホラ、課題やんぞ」
「ああ、すまん。マジで、マジごめん」
何だ、夢だったのか。
きっと夢でよかった。いや絶対に良かったんだ。
俺は狂っていた。欲望に踊らされて、家族の死さえも笑えていた人間だ。
今考えただけで夢とはいえ恐ろしい。
「この問題わかる?」
「え、ああ、それは、xが…」
俺はきっとこんな平凡な毎日で良かったんだ。
76:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:50:23.89 ID:CGtm9QbJ0
それが一番、俺にとって、良い毎日っていうやつなんだと心から実感した。
「トオルー」
「ん?何?今更おごりはやめてーとか泣き寝入りなしだぞ」
「いや、そうじゃなくてさ、なんか、良いよなこの平凡感」
「は?なんだよいきなり」
「いや、安心感って重要だと思うんだよね」
「意味わかんねwww」
俺たち凡人は、日々凡庸に過ごしていることに不満を覚えるかもしれない。
けど、それはそれで悪くないのかもしれない。
ましてや、Desire Appなんてもの、無い方が良いんだ。
77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:50:46.77 ID:CGtm9QbJ0
「リアルな夢だったな…」
「はいはい分かったから課題やれ」
「わりいわりい」
するとトオルが顔を上げて、
唐突に問いかけてきた。
「そういえばお前、スマホじゃん」
嘘…だろ…?
「Desire Appって知ってるか?」
―完
81:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:51:59.42 ID:5Ow7RZ3z0
乙
79: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 :2011/10/03(月) 07:51:27.80 ID:0Jzswa/k0
危険性をしってても欲に溺れるかの実験ってことか
83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:52:27.70 ID:qwhR0DR90
>>79
なるほど
84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:52:37.27 ID:RFVbE/Bb0
すでに実験体にされてたってわけかまあ乙
78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:51:20.55 ID:hWXCiQZsi
今度は上手く使えるな!
88:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:54:43.79 ID:hWXCiQZsi
イケメンになる Level21
…悩むな、俺は欲に負けそうだ
92:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:58:04.91 ID:BILQC3g0O
今追いついた
世にも奇妙なで見たいな。乙
91:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/03(月) 07:55:51.33 ID:uJOr49480
乙
世にも奇妙なだったら、レイコがアプリ見つけてて、その代償が主人公とかなんだろうな
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