1:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:05:43.70 ID:WGojfodA0
―幼い日の記憶―
まゆり「ねぇ、オカリン」
岡部「ナンだよ、まゆり」
まゆり「オカリンとずーっといっしょにるには、どうしたらいいのかなぁ」
岡部「はぁ?」
まゆり「まゆしぃは、いっしょーオカリンといっしょにいたいのです」
岡部「いっしょ、っていってもなぁ……」
まゆり「まゆしぃは、ほんきなのです!」
岡部「ん~……」ポリポリ
まゆり「……」ジーッ
岡部「じゃあさ――」
5:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:11:25.84 ID:WGojfodA0
―2010年 8月7日 PM05:04 大檜山ビル2F:未来ガジェット研究室―
ダル「溶ける~っ」ガラッ
紅莉栖「こら橋田、虫が入って来るでしょ」
ルカ子「凶真さん、遅いですね」
ダル「そういえば、オカリン、今日はずっと見かけてないなぁ」
フェイリス「でも今日のお昼頃ニャン? 例のメール」
鈴羽「『ラボメンに大発表があるから』って、何なんだろうね」
紅莉栖「どうせ、いつもどおりロクでもないことに決まってるわ」
ダル「まゆ氏もいないし……。どしたんだろ」
7:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:17:18.60 ID:WGojfodA0
―8月7日 PM05:22 大檜山ビル2F:未来ガジェット研究室―
ルカ子「だから……ボク……、そういうのはちょっと……」
鈴羽「いいじゃ~ん! 女の子同士なんだしさ!」
ルカ子「だだ、だから、ボクは男の子で……」
ダル「だがそれがいい」キリッ
フェイリス「女の子よりカワイイ顔してるニャ~……。何なら、この予備のネコ耳を……」
紅莉栖「もう、あんまり漆原さんをいじめちゃ可哀想でしょ」
チャーチャー チャラララー チャララ~♪ チャララーラーラーラーラララー♪
紅莉栖(ん? この着メロ……)
ダル「あれ? これ、オカリンの携帯じゃん」
紅莉栖「ここに忘れてったの? バカね、あいつも」
9:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:22:24.27 ID:WGojfodA0
♪~
紅莉栖「ん。今度は私だ」カチャッ
紅莉栖(まゆりからだ……。件名、『人質』……?
しかも、これ、本文がない……)
紅莉栖(あ、でもファイルが添付されてる……)
紅莉栖「――なッ!?」
紅莉栖「ちょ、橋田ッ! こ、これ!」
ダル「どしたん、牧瀬氏? そんなに血相変えて……」
紅莉栖「いいから、こ、これッ! この写メ見てッ!!」
ダル「ん~? ――うわッ!?」
14:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:28:04.00 ID:WGojfodA0
鈴羽「ん、どしたの?」
フェイリス「どうかしたのかニャン?」
ルカ子「牧瀬さん……?」
紅莉栖「お、お、岡部が……岡部が……」プルプル
ダル「ま、牧瀬氏、お、落ち着いてっ!」
紅莉栖「……こ、これ……」
スッ
鈴羽「お、岡部倫太郎ッ!?」
フェイリス「な、な……キョ、キョーマ……?」
ルカ子「……」フラッ
15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 18:28:48.93 ID:+JyanDvC0
wktk
16:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 18:29:17.70 ID:5b9/QHIw0
アヘ顔ダブルピースのオカリンなんてそんな…
18:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:34:21.08 ID:WGojfodA0
鈴羽「ちょ、ちょっと、大丈夫!?」ガシッ
ルカ子「……す、すみません……、阿万音さん……」
フェイリス「こ、これ……間違いない。キョーマニャ……」
紅莉栖「ど、どういうことッ!? な、何で岡部がこんなに血だらけになってるのッ!?」
ルカ子「……」ガタガタ
鈴羽「……この出血量……。この程度だったら、まだ生きている可能性が高い……」
フェイリス「フェイリスもそう考えてたニャ……。今なら、まだ助かるニャ……!
クーニャン、これ、誰からのメールなのニャ!」
紅莉栖「……ま、まゆりのアドレスから……」
鈴羽「椎名まゆり!?」
フェイリス「ま、まゆしぃからニャ!?」
~♪
紅莉栖「ッ!?」
19:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:39:32.05 ID:WGojfodA0
フェイリス「ん? ま、またメールニャ!」
紅莉栖「ちょ、ちょっと携帯いいッ!?」
フェイリス「う、うん、はいニャ」
紅莉栖(ま、まさか……)
カチャッ
紅莉栖「ま、また、まゆりからだ……っ!」
紅莉栖「件名……『トゥットゥル~♪ まゆしぃ☆です』」
まゆり『オカリンはまゆしぃの一日人質となったのです。
人質には人権がないので、明日の午前9時までに見つけ出してくれないと、
オカリンは死んでしまいます。
だから、ラボメンのみんなにはオカリンを探し出してほしいのです☆
がんばってね?
それじゃあ、みんな、トゥットゥル~♪』
20:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:42:50.26 ID:WGojfodA0
―同日同刻 某所―
まゆり「これでよしっ。後は電源を切ってっ、と」
岡部「……ムググ」
まゆり「どうかなぁ、オカリン。みんなここに来れると思う?」
岡部(……来ないと……困る、な……)
まゆり「できれば……まゆしぃは来てほしくないのです」
岡部(……まゆり……)
まゆり「もう準備はできてるしなぁ……」
岡部(……もうラボメンに賭けるしかないのか……。
頼んだぞ……、クリスティーナ、ダル、みんな……)ガクッ
まゆり「ねぇ、オカリン?」ニコッ
22:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:47:06.35 ID:WGojfodA0
―同日同刻 大檜山ビル2F:未来ガジェット研究所―
紅莉栖「ともかくッ! まゆりは本気よ!
何とか明日までに岡部の居場所をつきとめないと!」
ルカ子「……で、でも……ど、どうやって……」
鈴羽「こういうときは、冷静さを失ったら負けだよ、二人とも」
フェイリス「そうニャン……。タイムリミットまで後、半日以上あるニャ。
それに幸い、まゆりの行動範囲はある程度絞られるニャン」
紅莉栖「そ、そうね……」
紅莉栖「……私としたことが取り乱したわ。ごめんなさい」
鈴羽「あたしは早速、MB使って、この秋葉で聞き込みするよッ!」
フェイリス「フェイリスは電気街のお店のネットワークを
活用してみるニャン!」ピポパポピ…トゥルルルルル
フェイリス「……あ、パパ? ……実はお願いが……」
ダル「僕とルカ氏は、中継役をしつつ、オカリンの実家に行ってみるお。
いいかい、ルカ氏?」
ルカ子「はい……ボクにお手伝いできるなら、やらせて下さい……!」
24:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:52:05.27 ID:WGojfodA0
紅莉栖「橋田、私は池袋のまゆりの家に行ってみる。
……少なくとも、何か手がかりがある筈だわ」
ルカ子「凶真さん……大丈夫でしょうか……ウッ、グスッ」
ダル「さっきのメールを信じるしかないかな……。
取りあえず、身体の危険はないと思われ」
紅莉栖「漆原さん、不安なのは私も同じ。でも、今は足をすくめている場合じゃないわ」
ルカ子「……は……はい……!」
ダル「それじゃあ皆の衆、散開! 何か新しい発見があり次第、僕に連絡して。
さっきも言ったように、みんなに中継するお!」
鈴羽「オッケーッ! 進展あったらヨロシクッ!」ダッ
フェイリス「……うん……そう、この前の白衣を着てた人……」クイックイッ
ダル(フェイリスたん?)
フェイリス(筆談)『確かに、ここにいても埒があかないニャ。
フェイリスは中野の方にも行ってみるニャン』
紅莉栖(待ってて岡部……、絶対に見つけ出してみせるわ……。何としても……ッ!)
【岡部倫太郎死亡まで、残り15時間18分】
25:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 18:55:14.39 ID:+JyanDvC0
てか警察に通報しろよw
30:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 19:03:59.07 ID:WAcKJURn0
>>25
通報したらまゆ氏が捕まってしまうだろ
26:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 18:58:09.46 ID:WGojfodA0
―8月7日 PM05:31 大檜山ビル(※2F:未来ガジェット研究室)前―
♪~
ダル「あ、もうメール来た」
鈴羽『岡部らしき男の目撃者あり。詳細は追って報告』
ダル「阿万音氏、仕事早ッ!……秋葉のジェバンニとは君のことだ」
♪~
ダル「また来た」
フェイリス『キョーマの特徴を秋葉中のお店に教えたニャン。続けて中野に向かうニャ』
ダル「さすがフェイリスたんっ! ってか、みんな行動力ありすぎだろ常考……」
ダル「……しかし、さっきは『散開!』とカッコよさ気に決めたケド、
オカリン家は自営業だから、軟禁されてるとは考えにくいんだよなぁ。
……ねぇ、ルカ氏、どう思う?」
ダル「……って、アレ? ルカ氏?」
ダル「る、ルカ氏? お~い……。どこ行っちゃったんだろ……」
28:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:03:15.38 ID:WGojfodA0
―同日同刻 大檜山ビル横の路地―
ルカ子「き、桐生さ~ん……!」タッタッタッタッ…
萌郁「……」
ルカ子「き、桐生さん、ハァ、ハァ、た、大変なんです……」
萌郁「……」カタカタカタカタカタカカタカタッ……ピッ
♪~
ルカ子「いつも通り、ハァ、ハァ、ケ、ケータイで……話すんですね……?」カチャッ
萌郁『どうしたの、漆原さん? そんなに急いで(´・ω・`)
私、用事が終わったから、これからラボに行こうと
思ってたんだけど( ´∀`)σ)∀`)』
ルカ子「実は……、きょ、凶真……岡部さんが……、さらわれたんです……!」
萌郁「! どういう……こと……?」
32:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:08:16.89 ID:WGojfodA0
ルカ子「まゆりちゃんが……、岡部さんをさらって……
明日の朝9時までに見つけないと殺す、って……」
萌郁「……本当……?」
ルカ子「だから、今、ラボメン総出で探している所なんです……」
萌郁「……」カタカタカタカタカカタカタッ、ターンッ!
萌郁『信じられない話だけど、そういうことだったら、私も力を貸すよ!\(`・ω・´)』
ルカ子「あ、ありがとうございます……!」
萌郁「……」カタカタカタカカタカタッ
萌郁『早速なんだけど、私、心当たりがあるの( ̄ー ̄)vニヤリッ』
ルカ子「えっ?」
萌郁「……」カタカカタカタッ
萌郁『ついてきてε=ε=ε=ヘ(* - -)ノ 』
ルカ子「は、はいっ!」
34:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:14:19.30 ID:WGojfodA0
―同日同刻 JR中央線 車両内―
フェイリス(女の子。青いワンピースと青い帽子をかぶった、身長150cmくらいの女子高生。
「トゥットゥル~♪」が口癖。ショートヘアでほわほわした感じ)
フェイリス(男。身長180cmくらいのヒョロッとした体型で、20歳前後の大学生。
髪がボサボサで、急に「フゥーハハハ」と高笑いをあげる)
フェイリス(これで、秋葉原100万の目はキョーマとまゆしぃに向いたニャ……。
――あとは、この網に魚がかかるのを待つだけ)
フェイリス(でも……、これはあくまで『まゆしぃとキョーマが今日アキバにいた』という
前提あっての措置ニャ……)
フェイリス「……」
フェイリス(え~い、フェイリス! らしくないニャ! 得意の推理で考えるニャ!
二人がどこにいるのかを!)
フェイリス「う~ん……」
女子高生A「……この顔文字でいいかな? 怒ってそうな感じしないよね?」
女子高生B「これにするとツンデレっぽくならない?」
女子高生A「あははは、そうだね……じゃあ……」
フェイリス(……ッ!)キュピーンッ!
フェイリス「これはダルニャンにメールニャ!」カチャッ!
35:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 19:17:36.35 ID:IIJcoHYH0
なんだ
36:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:18:34.57 ID:WGojfodA0
フェイリス『ねぇ、ダルニャン、おかしいと思わないかニャ?』
ダル『おかしい? 何が?』
フェイリス『まゆしぃがあんなことするのは変ニャ』
ダル『でもそれ、僕に言われてもなあ』
フェイリス『何か裏があるニャ』
ダル『まゆ氏は、オカリンと幼なじみだし、
何か僕たちには分からない事情があるんじゃない?
ああ、幼なじみ……何て快い響きなんだ……』
フェイリス『ダルニャン、今は緊急事態ニャ。ボケと勘違いは後にするニャン』
ダル『すみません』
フェイリス『フェイリスはこれからアキバに戻るニャ』
ダル『へ? なんで? 中野は?』
38:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:23:22.51 ID:WGojfodA0
フェイリス『フェイリスはピピーンと来たニャ』
フェェイリス『そもそも、どうして、まゆしぃは、キョーマを探させようとするのニャ?』
フェイリス『もし、これがふつうの殺人犯だったら、いついつまでに探し出さなければ殺す、
なんて回りくどい条件をつけたりしないニャ。さっさと殺すニャ。
しかも、タイムリミットは午前9時。中途半端すぎる時間ニャ……』
ダル『さ、さすがフェイリスたん! もはや「バーロー」と言っても違和感なしだお!』
フェイリス『つまり、理由は分からニャいけど、まゆしぃは、自分たちを
見つけてほしいんじゃないかニャ。つまり、ツンデレみたいなものニャ』
ダル『へ?』
フェイリス『そうじゃなきゃ、わざわざあんなメールを送ってくる道理がないニャ。
今日、ラボメンをラボに全員集めたのも、
ラボメン総出で探し出させるためだとしたら……』
39:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:28:15.50 ID:WGojfodA0
ダル『でも、そんな隠れんぼみたいなことしたって意味がないんじゃ?』
フェイリス『そう、これは多分、そういう「ゲーム」なのニャ』
ダル『ADV?』
フェイリス『「SAW」とか「CUBE」みたいなもんニャ』
ダル『映画はあんま観ないからなぁ』
フェイリス『要するに、命がけのデスゲームってことニャ。
だから、あえて最初に、ゲーム開始の合図と、ルールを宣言したのニャン。
そして、ラボメン全員とその「ゲーム」で勝負をしようとしているニャ』
フェイリス『そして、そんな全力で戦いに来てる人間なら、
遠くに隠れるなんて、姑息な真似は絶対にしないニャ』
ダル『さ、さすが雷ネットで鍛え抜かれた勝負師の勘だお!
すごい、すごいよフェイリスたん!』
フェイリス『相手の心理を読むのは基本中の基本ニャ』
フェイリス『そして、フェイリスの勘は、まゆしぃがキョーマを殺そうとする理由が、
その辺りにあるとささやいているのニャン』
ダル『何だか今日のフェイリスたんは、萌えというより燃え属性だお……』
フェイリス『……いずれにせよ、今夜中に見つけないとマズいことになるニャ……』
フェイリス(キョーマ……)
41:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:33:10.18 ID:WGojfodA0
―8月7日 PM05:42 大檜山ビル(※2F:未来ガジェット研究室)3F―
ルカ子「……3階に来たけど……部屋、だれも、いませんね……真っ暗だし……」
萌郁「……」カタカタカタカタカタカカタカタッ
萌郁『灯台もと暗しっていうから、てっきりここかと思っちゃった(^^;)ごめんね(_ _;)』
ルカ子「いいんです。ボクも、ごもっともだと思いましたし」
萌郁「……」タカタカカタカタッ
萌郁『優しいんだね(*^-^*)』
ルカ子「いえ……そんな……」カァッ
萌郁「……」カタカタカタカタカタカカタカタッ
萌郁『4階から上はあがれないようになってるから、ここじゃなければ違うねぇ(´д`)』
ルカ子「あの、じゃあ、ちょっとラボに寄ってくれませんか?
……妖刀五月雨を置いてきてしまって」
萌郁「……」コクリ
42:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:38:45.81 ID:WGojfodA0
―8月7日 PM05:44 大檜山ビル2F:未来ガジェット研究室―
ガチャッ
ルカ子「あ……、橋田さん」
ダル「ルカ氏! さっきは急にいなくなったからびっくりしたよ。どこ行ってたん?
あれ、桐生氏もいる。今日は用事があったんじゃなかったの?」
ルカ子「ボクは、桐生さんを見つけて……、思わず走って迎えにいっちゃったんです。
桐生さんの方は、用事が早く終わったそうで」
萌郁「……」カタカタカタカタカカタカタッ
萌郁『椎名さん何でこんなことしちゃったの(; _ ;)』
ダル「今のとこ手がかりなしだお」
ルカ子「橋田さんは……、外に行かなかったんですか……?」
ダル「うん。ちょっと気になったことがあって」
ルカ子「気になったこと……?」
ダル「う、うん。実は今、警察のデータベースにハッキングしてるんだけど」
43:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:43:47.31 ID:WGojfodA0
ルカ子「け、警察……ですか……!?」
萌郁「……」カタカタカカタカタッ
萌郁『橋田君、すごいっ><』
ダル「僕は、SERNの防壁を突破した漢だぜ?」キリッ
ルカ子「でも、警察は、よくないんじゃ……」
ダル「そりゃそうなんだけど、嫌な予感がしてさ」
萌郁「……岡部君のことね……」
ダル(キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!)
ダル「……傷害事件とか、妙な事件とか、この辺りで起きてないかなって思ったんだ。
オカリンと関係あるかもしれないだろ?」
ルカ子「……傷害……事件……」
ダル「大丈夫大丈夫。今の所、それらしい事件は起きてないみたいだから」
46:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:48:49.18 ID:WGojfodA0
ルカ子「他の人は、今どうしてるんですか?」
ダル「フェイリスたんは、中野に向かってたんだけど、色々あって秋葉に帰ってくることに。
阿万音氏は、街の人に聞きこみしつつ、オカリンが行きそうな所を洗ってくれてる。
牧瀬氏は、池袋に向かってる所」
ルカ子「凶真さんのこと、何か分かりましたか……?」
ダル「今のところ……、手がかりらしい手がかりはゼロ」
ルカ子「……そう、ですか……」
萌郁「……」カタカタッ
萌郁『\(^o^)/』
ダル「終わってないっつーの!」
ルカ子「じゃあ、ボク、また探して来ますっ!」
萌郁「……」カタカタカカタカタッ
萌郁『私も行くわ、漆原君』
ダル「ねぇ、ルカ氏、桐生氏、一応、オカリン家に行ってみてくれないかな。場所は――」
48:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:54:07.46 ID:WGojfodA0
―8月7日 PM06:05 池袋 椎名まゆり自宅―
紅莉栖「ごめんくださーい……」
紅莉栖(灯りが点いていない……。ドアは……)
ガチャッ
紅莉栖(か、鍵もかかってない!?)
紅莉栖(部屋は真っ暗ね……。取りあえず、電気を……)
パッ
紅莉栖(ん? 机の上に紙切れが……)
紅莉栖(まゆりの字だ……ッ!!)
まゆり『クリスちゃん、残念だったね~。オカリンはここにはいないのです。
でも、せっかくだからヒントをあげちゃいます。
オカリンは、オカリンの家にもいないよ~☆』
50:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 19:59:16.37 ID:WGojfodA0
紅莉栖「な、何で、私がここに来ることを……」
紅莉栖(いや、待てよ……。
そもそも、まゆりの家を知っているのは、岡部を除けば、
橋田と私だけだ……。橋田は秋葉に詳しい。岡部を探しに来るとしたら、
消去法で自動的に私になる可能性が高い……)
紅莉栖「あの子……、こんなに頭のキレる子だったんだ……」
紅莉栖(これからどうしよう? 私がここに来ることを予測していたとしたら、
致命的な証拠は残すような真似はしていない筈……)
紅莉栖(でも、念のため調べてみる価値はある。あれだけの出血量だったんだから、
この家に岡部がいた、あるいはいるのなら、何か痕跡があってもおかしくない。)
紅莉栖(時間は無駄にできないけど……慎重に調べてみよう……)
紅莉栖(おっと、その前に。……万が一のときのために、
橋田に現状を報告しておかなきゃね)カチャッ
紅莉栖(でも……仮にここにも、岡部の家にも何もないとしたら、まゆりは一体……)
【岡部倫太郎死亡まで、残り14時間49分】
52:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:05:06.93 ID:WGojfodA0
―8月7日 PM07:47 秋葉原某所―
鈴羽「ハァ、ハァ、ハァ……。ここもダメだったかぁ……。え~っと」カチャッ
鈴羽(橋田至に教えてもらった、椎名まゆりが行きそうな場所……)
鈴羽(とらのあな……メロンブックス……メッセサンオー……K-BOOKS……
ゲーマーズ……コスメイト……サンボ……メイクイーン+ニャン2他色々……
もう全部行っちゃったよ)
鈴羽「オカリンおじさんが行きそうな所はもう全部探したし、
街行く人たちにも片っ端から話、聞いたしなぁ……」
鈴羽(確かに――オカリンおじさんが『今』死ぬことは、この世界線ではありえない。
でも、それは逆に言えば『死ねない』ということでもある。
拷問を受けているのなら、必ず助けなきゃ……!)
鈴羽(でも、どうして、この世界線で、椎名まゆりがオカリンおじさんを殺そうとするんだろう。
いくら世界線にゆらぎがあるからといって、こんな極端な事件が発生するの?)
鈴羽(……もしかして、SERNが何らかの形で関与しているのかもしれない……)
鈴羽「とにかく、もっと目撃情報をつかまなきゃ!」ガチャッ!
鈴羽(待っててね、オカリンおじさん!)キキーッ
ドンッ
鈴羽「ぐはっ!」
53:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:10:21.96 ID:WGojfodA0
??「おーい、大丈夫かー」
鈴羽「う~ん……」
鈴羽「……う……あ痛たたた……」
??「急に飛びだして来るんじゃねぇよ」
鈴羽「そっちがぶつかって来……て、店長っ!?」
ブラウン「お前が猛スピードで突貫してきたんだろうが。
本気でやっちまったかと思ったぞ」
鈴羽「いや、あたし、思いっきり吹っ飛んだんだけど……」
ブラウン「ケガはねぇか?」
鈴羽「うん、平気みたい。とっさに受け身とったから頭も打ってないし」
ブラウン「んで? なんであんなに急いでたんだよ」
鈴羽「そ、そう! それがさ! 岡部倫太郎が大変なことになってるんだよ!」
ブラウン「岡部ぇ? アイツの脳ミソはいっつも大変なことになってるじゃねぇか」
鈴羽「上手いこと言ってる場合じゃないんだよ、店長!」
ブラウン「……何があった……?」
55:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:15:50.76 ID:WGojfodA0
鈴羽「――というわけなんだよ!」
ブラウン「穏やかな話じゃねぇな」
鈴羽「だから、秋葉で聞きこみをしてるんだけど、全然情報がなくって……」
ブラウン「信じられねぇぜ。まさかあのお嬢ちゃんがな……」
鈴羽「すでに椎名まゆりは、洗脳されてるのかもしれないんだよ!」
ブラウン「まぁたお前、そんなことを……。
まぁ、非常事態には変わりねぇみたいだな」
鈴羽「店長、岡部倫太郎と椎名まゆりのことで、何か心当たりない?」
ブラウン「う~ん、ねぇなぁ……」
鈴羽「そっか……」
56:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:20:59.76 ID:WGojfodA0
鈴羽「あ! じゃあ、店長、聞きこみ手伝ってよ!」
ブラウン「バイト、それを先に言うんじゃねぇよ」
鈴羽「は?」
ブラウンが「俺の方から、『ここは俺にも手伝わせな』ってキメる……。
それが、男らしくていいんじゃねぇか」
鈴羽「て、店長……! あたし、見直したよ!」
ブラウン「お前なぁ、俺をふだんどんな目で見てんだよ……」
鈴羽「よしっ! あたし、ここいらをもう一周してくるよ!」ガチャッ
ブラウン「ああ、俺はちょっと遠くの方まで行ってみるぜ」
鈴羽「サンキュー! 店長ッ!」
ブラウン「ちゃんと前見て漕がねぇと、またはねられるぞ」
【岡部倫太郎死亡まで、残り13時間01分】
57:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:25:19.87 ID:WGojfodA0
―8月7日 PM010:28 大檜山ビル2F:未来ガジェット研究室―
ダル「……」
紅莉栖「……」
フェイリス「……」
ルカ子「……」
萌郁「……」
鈴羽「……」
紅莉栖「全員、何の手がかりもなし、か……」
ダル「みんなも揃ったことだし、念のため情報の突き合わせでもしてみる?」
紅莉栖「そうね……」
59:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:31:01.61 ID:WGojfodA0
ルカ子「凶真さんの家は、ご両親がいて……。昨日の夜から帰ってないそうです……。
ご厚意で、部屋も調べさせてもらいましたが……」
萌郁「……すっぱい臭いがしただけだった……」
ルカ子「その後は、秋葉原を回ってみました……」
萌郁「……でも、情報は見つからず……」
鈴羽「あたしはひとつ。……今日の午前中に、ラジ館の近くで椎名まゆりを見た人がいた。
……でも、それだけ……。今も、店長が聞きこみをしてくれてるけど……」
紅莉栖「私は、みんなに見せた、この紙切れだけよ。部屋に争った形跡はなし。
血痕もなかったわ。その後は、まゆりの家の近くで聞きこみをしてみた。
紅莉栖「確かに、8朝頃にまゆりを見たって人はいたわ。でもそれ以降はぷっつり」
ダル「僕の方もダメだったね。オカリンに繋がりそうな事件は何も。
秋葉原は今日も平和ですた。一応、ネットで情報は募ってるけど……」
紅莉栖「で、この岡部の携帯か……」
萌郁「……岡部君の携帯……?」
紅莉栖「ああ、桐生さんは遅れてきたから知らないんだっけ」
萌郁「……?」
61:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:37:21.90 ID:WGojfodA0
紅莉栖「今日、一番始め、みんなが集まったときに岡部に着信があったの。
それが気になったから見てみたら、このメッセージが出てきたわ」
まゆり『トゥットゥル~♪ まゆしぃ☆です。この携帯を調べているということは、
みんな手詰まりになったのかな? 時間的に、まだオカリンは死んでないと
思うので、みんながんばってね。それじゃ、トゥットゥル~♪』
フェイリス「……完璧に手札を読まれてるニャ……」
鈴羽「くっ……!」
萌郁「……」カタカタカタカカタカタッ
萌郁『そのメール、私がラボに来る前に来てたの( ̄□ ̄;)!!?』
紅莉栖「そうよ……」
萌郁「……」カタカタカタカタカカタカタッ
萌郁『他にまゆりさんからメールとか着信とかは(?_?)』
紅莉栖「何も。そもそも、他に誰からもメールも電話も来てないわ」
萌郁「……さびしい……」
♪~
62:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:43:31.49 ID:WGojfodA0
フェイリス「あ、フェイリスニャ!」ピッ
フェイリス「もしもし、パパ? ……そう……うん……。
そっか……分かった。
うん……、ありがとう、じゃあね……」ピッ
ダル「フェイリスたん?」
フェイリス「……今日、電器店で二人を見かけたっていう
情報はなかったニャ……」
鈴羽「……」
ルカ子「……グスッ」
紅莉栖「漆原さん、泣かないで……」
萌郁「……」
ダル「……詰んだ……」
【岡部倫太郎死亡まで、残り10時間37分】
63:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:49:12.95 ID:WGojfodA0
―8月8日 AM08:02 大檜山ビル2F:未来ガジェット研究室―
ダル「……もう後、1時間しかないぉ……」
紅莉栖(もうみんな疲れ切ってる……。
もう9時間くらい探しつづけてるんだもんね……。当然だわ……)
紅莉栖(あれから、やっぱり行ってみるって言って、フェイリスさんが橋田と中野に行って……)
紅莉栖(桐生さん、漆原さん、私は三人で、範囲を広げて探索と聞きこみをして……)
紅莉栖(鈴羽さんはMBで遠くまで探してもらって……)
紅莉栖(ブラウンさんは綯ちゃんの世話があるから途中でリタイア……)
紅莉栖(みんな、休息を取りつつ探し回ったとはいえ、これだけの時間聞き回って、
もう体力的にも限界な筈……)
紅莉栖(こんなとき、岡部なら何て言うだろう……)
岡部『フゥーハハハハハハーッ! この程度で思考停止かぁ? クリスティーナ?
俺ならこの程度の事件を解決することなど、赤子の手をひねるようなものっ!
天才脳科学者と言っても、所詮は単なるセレセブに過ぎなかったようだなっ!
フゥーハハハハハハーッ!』
紅莉栖(――とでも言うんだろうなぁ……って、想像したら、何かムカついてきたわ……!)
64:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 20:54:53.40 ID:WGojfodA0
紅莉栖(ここで考えるのをやめたら、岡部に負けた気がするな。
っていうか、負けてないのに勝ち誇られる姿が目に浮かぶわ……。
あ~、何だか無性に憎たらしいっ!)
紅莉栖(そうよ……! 岡部だって、そんな虚勢をはるんだ。
この私がこんなことで諦めるわけにはいかない!
もう一度初めから考えるんだ!)
紅莉栖「ねぇ、みんな」
紅莉栖「もう時間がないわ。最後にもう一度だけ、今までの情報をまとめてみない?」
ダル「でも、結局、有力な情報は見つからなかったし……」
フェイリス「色々と知恵を合わせたけど、結局どこにもいなかったニャン……」
紅莉栖「端的に言うわ。もう一度だけ、私にチャンスをちょうだい。
みんなの証言から、必ず、岡部の居場所を導き出すから!」
ルカ子「牧瀬さん……」
鈴羽「牧瀬紅莉栖……」
萌郁「……自信はあるの……?」
紅莉栖「あるわ。いや、あるとかないとかじゃない。私が解答を出してみせる!」
【岡部倫太郎死亡まで、残り47分】
66:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:00:38.87 ID:WGojfodA0
紅莉栖「まず、岡部が昨日実家に帰っていない、ということから、
ラボに泊まったのは、おそらく間違いないわ」
鈴羽「それから、午前中、おそらく9時頃に、椎名まゆりが現れた」
フェイリス「キョーマをやったのはおそらくそのときニャン」
萌郁「……その次にラボに来たのは……」
ダル「僕だね。3時くらいかな。それから、30分くらいして、牧瀬氏が来た」
紅莉栖「つまり、犯行時刻は、午前中から午後3時の間」
ルカ子「それから、二人は、この秋葉原では目撃されていません……」
フェイリス「ということで、このビルにいる可能性を考えたけど――」
萌郁「このビルの他の階に人がいないことは、私と漆原君が確認している」
紅莉栖「……」
紅莉栖(……考えろ、考えろ私! 何か、何かを見落としてるんだ!)
ブルルルルル……キッ
鈴羽「あ、この車の音、店長だ。心配して、早く来てくれたんだよ、きっと」
69:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:05:47.76 ID:WGojfodA0
ガチャッ
ブラウン「お~い、バイト~!」
ダル「あ、ミスターブラウン」
ブラウン「おお、橋田。どうだ、首尾は。岡部は見つかったか?」
ダル「それが……まだなんだ……」
ブラウン「そうか……。まぁ、まだ時間はある。最後まで諦めないで探してみろ」
ダル「でも、もう探し尽くした感は否めないんだよ……」
ブラウン「街を隠れながら、あっち行ったりこっちに戻ったりしてるかもしれないだろ。
ともかく、まずは行動だ行動。人間、足と筋肉だ」
ブラウン「取りあえず、俺は下にいる。
また何か手伝えることがあったら、言ってくれ」
ダル「さ、さすがミスターブラウン、漢気溢れる背中にぞくぞくくるぜ!」
ブラウン「へっ、褒めても家賃はまけねぇぞ。じゃぁな」
バタン
71:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:10:56.68 ID:WGojfodA0
紅莉栖「……!」
ダル「あれ? 牧瀬氏、どしたん、そんなに呆然として」
紅莉栖「……」
ルカ子「牧瀬さん……?」
紅莉栖「ちょっと、話しかけないで」
萌郁「……?」
紅莉栖(……そうか……、そういうことだったんだ!
分かった! 分かったわ! 岡部の居場所がッ!)
紅莉栖「くっ!」ドンッ
フェイリス「く、クーニャン、どうしたのニャ?」
紅莉栖(この私が、こんなことに気づかないなんて……! どうかしてたッ!)
紅莉栖「……鈴羽さん、萌郁さん、ちょっとこっち来てもらっていい?」
鈴羽「何? ここで言えばいいじゃん」
紅莉栖「いいから、こっちへ」
萌郁「……」スッ
鈴羽「分かった分かった、あたしも行くよ」
73:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:16:22.62 ID:WGojfodA0
ダル「牧瀬氏、あっちで何こそこそ話してるん?」
ルカ子「さあ……何でしょうか……。それに……何か様子が、変ですね……」
フェイリス「……」
ルカ子「ふぅ……」グッタリ
フェイリス「ルカニャン、大丈夫ニャ?」
ルカ子「大丈夫です……でも、徹夜なんてしたことないから、ちょっと疲れちゃって……」
フェイリス「かくいうフェイリスもさすがに疲れたニャ……」
ルカ子「まゆりさん……本気、でしょうか……」グスッ
フェイリス「フェイリスだって、まゆしぃがキョーマを殺すなんて信じられないニャ……」
フェイリス「でもフェイリスは、人は簡単に心の闇の呑まれるということも、よく知ってるニャ……」
ルカ子「フェイリスさん……」
74:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』 ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:21:58.95 ID:WGojfodA0
紅莉栖「――岡部はそこにいるわ」
鈴羽「ほ、本当ッ!? で、でもそこって……」
萌郁「……信じがたい……」
紅莉栖「二人には、先に行って岡部の容体を見て来てほしいの」
鈴羽「わ、分かった。間違いないんだね?」
紅莉栖「みんなの情報を総合して考えると、導き出されるのは必然的にこの結論よ」
萌郁「……」カタカタカタカカタカタッ
萌郁『牧瀬さんはどうするの?(; ・`ω・´)』
紅莉栖「私には、ここでやるべきことがある」
鈴羽「了解。よし、行こう、桐生萌郁!」ダッ
萌郁「……」ダッ
紅莉栖(……これで、舞台は整った……)
【岡部倫太郎死亡まで、残り39分】
75:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~解決編~ ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:26:43.96 ID:WGojfodA0
―8月8日 AM08:25 大檜山ビル2F:未来ガジェット研究室―
紅莉栖「三人とも、ちょっと聞いてほしいことがあるの」
ダル「ん?」
フェイリス「何ニャ?」
ルカ子「……?」
紅莉栖「この事件の全貌が分かったわ」
フェイリス「ニャッ!?」
ルカ子「全……貌……?」
ダル「はぁ?」
フェイリス「クーニャン、全貌ってどういう意味ニャ? キョーマの居場所が
分かったってことかニャ?」
紅莉栖「もちろん。今、阿万音さんと桐生さんに救助に向かってもらってるわ」
ルカ子「よかったぁ……」
紅莉栖「でも、それだけじゃない」
フェイリス「それ以上、何かあるのニャ?」
紅莉栖「岡部を拉致監禁した犯人……、それが分かったの」
78:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~解決編~ ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:32:03.76 ID:WGojfodA0
ダル「は、犯人って、犯人はまゆ氏でしょっ!?」
フェイリス「……ダルニャンの言うとおりニャ」
ルカ子「……どういうことでしょうか……?」
紅莉栖「そう、もちろん、まゆりが犯人なのは間違いないわ。
でも、彼女には共犯者がいたの」
ダル・フェイリス・ルカ子「!」
紅莉栖「私たちは、ひとつ、とても重要な点を見落としていた」
ダル「重要な点?」
紅莉栖「岡部とまゆりの体格差よ。あの二人、20cm近くも身長差がある。
そもそも、まゆりは女の子よ。
岡部を誘拐、拉致するには、ひとりじゃとても無理がある」
ルカ子「た、確かに……」
紅莉栖「さっきみんなで話したことを思い出しみて。
阿万音さんが、街の人にくまなく聞いて回ったにもかかわらず、
誰ひとり二人が一緒にいるところを見ていない……。
ちゃんと、午前中には、まゆりは目撃されているのによ?」
85:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~解決編~ ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:37:44.92 ID:WGojfodA0
フェイリス「確かに、犯行現場が、このラボだって可能性はニャくはニャいけど……」
ルカ子「で、でも、あの、ボク……、思ったんですけど……、
たとえば、まゆりちゃんが凶真さんをどこかに呼び出したとか……」
ダル「うん、それ考えられる。オカリンはまゆ氏に携帯で呼び出されて、
そこでやられたってのは?」
紅莉栖「変装なんかをして人の目をごまかして? ……いい線だけど、ありえないわ」
ルカ子「ありえない……?」
紅莉栖「岡部の携帯には、今日、誰からも連絡が入ってないのよ。
……あの、まゆりのメール以外」
ルカ子「あ、そうか……」
フェイリス「つまり、今日、まゆしぃがキョーマを呼び出すのはムリだったということだニャ……」
ダル「それに、もし、『誰か』がメールや着歴の痕跡を消したんだとしても、
結局、それはその『誰か』がこの事件に関わっているということの証明になるってことか」
紅莉栖「そういうこと」
87:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~解決編~ ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:42:58.00 ID:WGojfodA0
ダル「あらかじめ、待ち合わせてたってのは?
前もって約束してたとか、あるんじゃね?」
紅莉栖「それこそ、誰かに目撃されてないと妙だわ。
待ち合わせ場所は人目につきやすいでしょ?」
ルカ子「……人目につきやすくないと、待ち合わせ場所の意味……ないですからね」
フェイリス「クーニャン、フェイリスも疑問があるニャ」
フェイリス「もし、キョーマを刺したのがこの場所なら、血の跡が残ってなきゃおかしいニャ。
キョーマはかなり出血してた。
ラボのどこかに血痕がなきゃ変ニャ」
ダル「さすがフェイリスたん!
そういえば、血ってけっこう飛び散るってエロゲで言ってたお!」
紅莉栖「刺すのはここじゃなくてもできるわ。
まゆりと共犯者は、岡部を気絶させてから身体を傷つけたのよ。
相手はモヤシの大学生。二人いれば気絶させるだけなら何とかなるわ」
ルカ子「……もやし……」
95:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 21:48:30.63 ID:L+XPWwit0
_
σ λ
~~~~
/ ´・ω・) <オカリンはまゆしぃの人質なのです♪
_, ‐'´ \ / `ー、_
/ ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、 ノ、 | _,,ム,_ ノl
'い ヾ`ー~'´ ̄__っ八 ノ
\ヽ、 ー / ー 〉
\`ヽ-‐'´ ̄`冖ー-/
98:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 21:51:45.39 ID:vcRR24I10
>>95
共犯者いらないだろ
94:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~解決編~ ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:47:58.27 ID:WGojfodA0
紅莉栖「つまり、こういうことよ。
ひとつ。目撃証言と岡部の携帯から、犯行は、このラボで行なわれた。
ふたつ。まゆりの体格と力から、この犯行は共犯者がいなければならない。
そして――」
♪~
紅莉栖「おっと、私か。……もしもし……うん、……ふぅ……、よかった……。
うん、じゃあまた。私もすぐにそっちに行くわ」ピッ
紅莉栖「……まゆりと岡部が見つかったわ。
岡部は命に別状ないそうよ。まゆりもおとなしくしてるって」
ダル「ふぅ~、一件落着だお~」
ルカ子「よかったぁ……凶真さん……グスッ」
フェイリス「ようやく安心できたニャ……。
でも、キョーマは、一体どこにいたのニャ?」
99:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~解決編~ ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:52:58.73 ID:WGojfodA0
紅莉栖「それは、ここ」ピッ
フェイリス「その指先、もしかして……」
ダル「上の階……」
ルカ子「で、でも……、3階はぼくと、桐生さんが……」
紅莉栖「うん。ここからは、分かりやすいように、時系列で説明するわね」
紅莉栖「まず、まゆりから例のメールが来る。
ここで、共犯者はさりげなく、全員をこのラボから遠ざけようとした。
でも、今回は、みんなかなり自発的に動いたから、
幸運にもそんなことしないで済んだんだけどね」
紅莉栖「で、全員がラボからいなくなった所を見計らって、犯人はここに戻ってくる。
そして犯人は、岡部とまゆりがいる、このビルの3階に直行した。
そう、岡部とまゆりは、初めっから3階にいたのよ」
ルカ子「ぼく……二人を、見落としていたんですね……」
103:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~解決編~ ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 21:58:25.46 ID:WGojfodA0
紅莉栖「いいえ。ここがこの計画の上手いところよ」
紅莉栖「犯人はこのビルに来てすぐ、漆原さんと桐生さんがやって来る前に、
3階の岡部を運んで、このラボ、つまり、2階のシャワー室に隠しておいたの。
もちろん、そこにまゆりも隠れていたのは言うまでもないわ」
ルカ子「そっか……、だから……、3階に誰もいなかったんですね……!」
紅莉栖「犯人は、漆原さんと桐生さんがこのビルから出たのを確認して、
再び、岡部を3階に運んだ。まゆりも一緒になってね」
紅莉栖「元々、犯人は、どこか適当なタイミングで、誰かに3階を調べさせるつもりだった。
誰かに一度調べられば、その場所は、もう調べられることはない……。
3階は『もう調べたから』という先入観から来る、安全地帯になる」
フェイリス「中国の故事か何かに、それと似たような話があったニャ」
紅莉栖「そして、こんなことができたのは、ラボメンの中ではあなたひとりしかいないッ!」
――橋田ッ! あなたしかねッ!!」
ダル「――ッ!」ビクッ
106:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~解決編~ ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 22:02:47.56 ID:WGojfodA0
ダル「ぼ、僕? 僕は何も関係ないよ」
紅莉栖「ヒントは、ミスターブラウンがくれたわ。
『街を隠れながら、あっち行ったりこっちに戻ったりしてる』
もし、この『街』を、『このビル』に置き換えたら……」
フェイリス「ニャるほど。フェイリスにも全部分かったニャ。
ルカニャンとモエニャンが3階を探したとき、ラボにいたのはダルニャンニャ」
フェイリス「それに、このビルの2階と3階を往復して人目を逃れていたとしたら、
秋葉中を探し回っても、目撃者を見つけられないのは当然ニャ!」
ダル「で、でも、僕がここにいたのは、たまたま、そう、たまたまルカ氏と
離ればなれになったからだよ?
僕は、ルカ氏とオカリンの家を探そうと――」
紅莉栖「ラッキーだったわね、橋田。
当初の計画では、街中で漆原さんをまく予定だったんでしょ?
そして、ここに戻ってくるつもりだった」
紅莉栖「あのとき、一番所在なさ気にしていたのは、漆原さんだったわ。
漆原さんが万が一にも、『このビルを探してみます』とか言い出さないように、
自分から言いだしてペアを組んだのよ」
紅莉栖「それから、思いがけずひとりになったあなたは、すぐにトリックを実行に移した。
いつ漆原さんが帰ってくるか、分からないからね」
108:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~解決編~ ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 22:09:47.02 ID:WGojfodA0
ダル「だ、だからって、僕が共犯なんてありえないお!
まゆ氏はオカリンを殺そうとしてる!」
紅莉栖「橋田、もう言い逃れはできないわ。
あなたの動機は、まゆりが証言してくれる筈よ」
ダル「ぐっ……!」
紅莉栖「さあ、どうなの、橋田ッ!」
ダル「……」
ダル「……すべて……牧瀬氏が言ったとおりだよ……」
フェイリス「ダルニャン……」
ルカ子「橋田さん……」
ダル「天才脳科学者の二つ名に偽りなし……。
これで、僕の望みも露と消えた……」
紅莉栖「さあ、フェイリスさん、漆原さん、私たちも3階に!」
フェイリス「そ、そうだニャ! キョーマが心配ニャ!」
ルカ子「はい、ついていきます!」
―fake END―
109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 22:10:32.66 ID:VI7Gh9Bj0
なんだfake ENDって
110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 22:10:53.22 ID:EtwKFrjt0
ベトローサルで検索したらこのスレしかでなくてワロタwww
113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 22:12:45.35 ID:/buLRBjm0
>>110
お前のせいでベトローサルの意味が気になって仕方ない。どうしてくれる
112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 22:12:19.76 ID:YaL3FhE60
true endは?
115:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 22:14:14.78 ID:WGojfodA0
―8月8日 AM08:35 大檜山ビル3F―
紅莉栖「やっぱり、ここにいたのね、まゆり……!」
まゆり「あちゃー、今度はクリスちゃんにまで見つかっちゃった……」
紅莉栖「岡部はっ!?」
まゆり「……あっちだよ」
紅莉栖「奧ねッ!」ダッ
まゆり「はぁ……、まゆしぃは、ちょっぴりがっかりなのです……」
紅莉栖「岡部ッ!?」
岡部「じょ、助手か……」
紅莉栖「岡部……! ケガは大丈夫?」
鈴羽「心配ないよ、牧瀬紅莉栖。というか、その……」
萌郁「……」カタカカタカタッ
萌郁『傷ひとつないんだよ( ̄ー ̄;)』
紅莉栖「は?」
118:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 22:19:19.30 ID:WGojfodA0
紅莉栖「ちょっ、い、一体どういうこと!?」
岡部「いやぁ、話せば長くなるからな……。
まぁ、この俺が無事だったということでもう、良しとしようではないか……。
ファーハハハッァ↓……」
紅莉栖(いつもの痛い雰囲気が消えかかっている……?)
まゆり「ごめんねぇ~、みんな。
まさか、ここまでぼろぼろになるまで探してくれるなんて思わなくて……」
フェイリス「な、何がどうなってるニャ……?」
ダル「あれは……昨日の朝のことだったお……」
紅莉栖「う、うわぁ!? は、橋田、亡霊のように出てくるな!」
ダル「この一件は、いくつもの偶然が重なった、痛ましい出来事なんだ……」
鈴羽「……痛ましい」
ルカ子「出来事……?」
萌郁「……嫌な予感……」
119:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 22:25:39.49 ID:WGojfodA0
―8月7日 AM09:25 大檜山ビル2F:未来ガジェット研究室――
まゆり「ねぇ、オカリン」
岡部「あ~? 何だ、まゆり」
まゆり「一回さぁ、人質交換しない?」
岡部「はぁ?」
まゆり「警察でね、一日署長とかあるでしょ?
それと同じように、オカリンがまゆしぃの人質になるのです!」
岡部「なんだそりゃ……」
まゆり「だめかな? 面白いと思ったんだけど……」
岡部「……ん~……、じゃあ、一日だけだぞ」
まゆり「やったぁ!」
岡部「そんなにはしゃぐことか」
まゆり「えへへ~、実は、こんなものを買ったのです」ゴソゴソ…パッ
岡部「『人質調教日記』」
122:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 22:31:22.21 ID:WGojfodA0
岡部「通るか、こんなもんっ!」パシーンッ!
まゆり「ああっ! 叩きつけちゃだめだよっ!」
岡部「思いっきり凌辱BL本ではないか!」
まゆり「この本で、勉強したの。人質に人権はないんだって!」
岡部「あるわッ! 同人誌の内容を真に受けるなッ!」
まゆり「えー……」
岡部「『えー』じゃない」
まゆり「うー……」
岡部「『うー』でもない」
まゆり「じゃあ、こうしようよ、オカリン。雷ネットをして、勝ったら人質交換取り消し」
岡部「それは、もし負けたらどうなるのだ」
まゆり「もちろん、人質は続行で、そして、まゆしぃのお願いをひとつ叶える!」
岡部「思いっきり不平等だと思うのだが……」
岡部(ふっ……、まぁ、いいだろう。俺もフェイリスにさんざん鍛えられた身。
まゆりごときに土をつけられる筈がない)
123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 22:35:20.38 ID:EtwKFrjt0
フェイリスに鍛えられた身だと…フェイリスはMのイメージだったが
124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 22:36:25.04 ID:qNQKKf2t0
>>123
何を言っているのか分からない
125:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 22:36:57.45 ID:WGojfodA0
ダル「――などと考えたのが、すべての悲劇の始まりだった……」
紅莉栖「で、見事、負けたわけね」
ダル「ボロ負けってレベルじゃねーぞ、って感じだったな」
まゆり「フェイリスちゃんに、色々と教えてもらったから。ありがとう、フェイリスちゃん」
フェイリス「そ、それは、どういたしましてなのニャ……」
鈴羽「それで、どうなったの?」
まゆり「まゆしぃのお願いごとはね、小さいときから変わらないの。
ずっとずっと、オカリンと一緒にいることなのです」
紅莉栖「なッ!?」
まゆり「まだオカリンとまゆしぃが子どものときにね、オカリンが言ったの。
ずっと一緒にいたいなら、結婚すればいいんだぞ、って」
岡部「だがな……、そこで貴様が、『じゃあ、婚姻届でも役所に提出してきたらいんじゃね?』
などと火に油を注ぐからこんなことになったのだ! 聞いてるのか、ダル!」
ダル「リア充に対する、ささやかな復讐心……。きっと神様も許してくれる筈さ……」
萌郁(清々しい顔をしている……)
127:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 22:43:19.22 ID:WGojfodA0
岡部「で、まぁ、ここからがさらに肝心なのだが……」
岡部「当然のように婚姻届を用意してきたまゆりを、俺はどうにかしなければならなかった。
おまけに、まゆりが解釈した人質ということで、
例の薄い本のように手足を縛られた上に猿ぐつわまでかまされた」
まゆり「だって、ダルくんが事細かに教えてくれるから……」
岡部「しかも、この男、『せっかくだから椎名姓にしたら』とまで言いやがった!」
紅莉栖「橋田ぁ~ッ!」
ダル「少し調子に乗った。今は反省している」
岡部「このままでは、岡部倫太郎が、椎名倫太郎になってしまう。
それだけは避けねばと思ったのだ」
フェイリス「そうか、『オカリンが死ぬ』というのは、岡部倫太郎という人間が
社会的に死亡する、という意味だったんだニャ~」
ルカ子「確かに、『オカリン』は死んでしまいますね」
萌郁「……シイリン……?」
129:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 22:50:18.68 ID:WGojfodA0
岡部「俺は役所に行こうとするまゆりを死にものぐるいで止め、その甲斐あって、
一日待ってもらうことになった。で、まゆりが譲歩したのが――」
まゆり「明日の人質解放までに、みんながオカリンのことを見つけられたら、
婚姻届は提出しないってことにしたんだ~」
紅莉栖「な、なんで?」
まゆり「まゆしぃは頭を振り絞って考えたのです。オカリンが見つからない方法を。
でも、もしそれでも見つかったとしたら、それだけみんな、オカリンが
大好きで、頑張って見つけたってことでしょ?」
まゆり「それなら、まゆしぃだけがオカリンを一人占めしちゃいけないと思ったの」
まゆり「ダルくんにも協力してもらって……。あ、『サイリウム・セーバー』を
使って血が出てるように見せかけたのは、ダル君のアイデア。
その方が、みんな本気になるだろうから、って」
鈴羽「……」ポンポン
ダル「?」クルッ
鈴羽「滅ッ!」ゴッ
ダル「ぐはぁッ!」
132:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 22:55:03.50 ID:WGojfodA0
紅莉栖「でも、それ以外は全部、まゆりが……?」
まゆり「ほとんど全部まゆしぃが考えたんだよ。
まゆしぃ、ちょっとだけ本気で頑張ったのです」
フェイリス「それにしても、えらく協力的だニャ、ダルニャン」
まゆり「ああ、それはね……」
ダル「ちょっ、まゆ氏、それは言わないでおこう」
まゆり「どうして?
……ダルくんからは、フェイリスちゃんの生コスで手を打とうって言われて」
鈴羽「一瞬千撃ッ!」
ダル「ぐふぅッ!」
ルカ子「あぁっ! 橋田さんが、橋田さんがボロ雑巾のようにっ!」
萌郁(……色々すごい……)
135:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 23:00:23.45 ID:WGojfodA0
紅莉栖「まったく……とんだHENTAIね……」
フェイリス「さすがのフェイリスもドン引きなのニャ」
ダル「男には……無理と分かっていてもやらなければならないときがある……」キリッ
鈴羽「まだ足りないみたいだね」ゴキッゴキッ
ルカ子「でも、すごいなぁ……。まゆりちゃん、凶真さんと一緒にいたいって、
本気で願っていたんだね……」
ダル「アッー!」
まゆり「えへへ~」
紅莉栖「それにしても、まゆりがこんなに頭のキレる子だとは思わなかったわ。
……あ、もちろん、今まで悪かったとか思ってないわよ?」
まゆり「クリスちゃんに褒められると、すご~くうれしいのです」
フェイリス「そうニャ。ラボメン全員、完全に手玉に取られてたからニャ……」
まゆり「そんなに褒められると、まゆしぃは照れてしまいます……///」
138:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 23:06:42.42 ID:WGojfodA0
萌郁「……」カタカタカタカタカタカカタカタッ
萌郁『もし、もう一度3階を調べてみようって誰かが言い出したら、
どうする気だったの?(・3・)』
まゆり「え~っと、一番始めに、ダルくんが窓を開けてたでしょ?
あれでね、ラボの中の会話を聞こえるようにしてもらったの。
もし、誰かが3階を調べようって言ったら、メールを送るつもりだったんだ」
萌郁「……メール……?」
まゆり「うん、文面はね~、『詰まっているようなので、ヒントをあげちゃいます。
まゆしぃは今、ホテルにオカリンと一緒にいます』とか……、
とにかく、ビルから目を逸らそうと考えていたのです」
フェイリス「まゆしぃは、キョーマのことになると、戦闘力が跳ね上がるニャ……。
まるでサイヤ人ニャ……」
まゆり「もう一生分の頭を使い果たしたような気がするよ~」
岡部「昔から、まゆりは変な所で頭の回転が速いのだ。びっくりするほど遅いかと思えば、
今回のように超まっちょしぃ化することもある」
143:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 23:12:54.57 ID:WGojfodA0
岡部「とにかく、助かったぞ助手……。お前の推理は全部聞こえていた」
紅莉栖「へっ?」
岡部「さっき、まゆりが言ってただろう。窓を見て見ろ」
紅莉栖「あ、開いてる……」
岡部「ダルを追いつめてゆく姿は、俺が昔、古畑なにがしという刑事の真似をして
調子づいていたときのことを思い出させた。
『――橋田ッ! あなたしかねッ!!』ビシィッ」
紅莉栖「ま、真似するな、この馬鹿!」
岡部「フフフゥ~、貴様も『逆転裁判』で証拠をつきつけるとき、『くらえっ!』とか
自分で言っちゃってたクチなのだろう? 分かる、分かるぞセレセブゥ~!」
紅莉栖「言うか! あとセレセブじゃないと言うとろうが!」
ルカ子「何だか、凶真さんもいつもどおりに戻ったみたいですね」
萌郁「……それが一番、岡部君らしい……」
まゆり「……ごめんね、クリスちゃん。
オカリンのために、すっごく一生懸命になってもらって……」
紅莉栖「まゆり……」
岡部「……」
146:『Steins;Gate「消失のベトローサル」』~TRUE END~:2011/07/20(水) 23:20:11.36 ID:WGojfodA0
まゆり「……」
岡部「まゆり……」
まゆり「みんなには、とっても迷惑をかけてしまったのです……」
岡部「気にするな。半分はフェイリスのコスに目がくらんだ、そこのHENTAIのせいだ」
まゆり「……」
岡部「それに、昨日から何度も言ってるが……」
まゆり「……?」
岡部「子どもの頃言ったことなぞ気にするな」
まゆり「どうして……?」
岡部「……結婚なんかしなくても……、俺たちはずっと一緒だ」
まゆり「オカリン……」
岡部「……お、お前は俺の人質なのだからなっ!」
まゆり「……うんっ!」
シュタインズ・ゲートSS『消失のベトローサル』 ―TRUE END―
151:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 23:23:46.52 ID:NEPwIqTK0
>>1乙
読みやすくて良かった
152:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 23:25:17.37 ID:VI7Gh9Bj0
まゆりがサイコの世界線も捨てがたい・・・
153: ◆k6VgDYkyGI :2011/07/20(水) 23:26:05.63 ID:WGojfodA0
という感じで、皆様のお陰で完走できました。
拙作でしたが、支援して下さった方、ありがとうございます。
ちなみに、「ベトローサル」って何?というご質問がありましたが、
これは「betrothal」(婚約)を適当に日本語読みしたものです。
最後になりましたが、お読みいただいた方、重ねてお礼申し上げます。
150:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/07/20(水) 23:22:20.34 ID:AKrVJOhA0
'´  ̄  ̄ ` ヽ、
、__/ : : : : : )ノ: :ヾ: : : \
. `7: (: : : : : : : : : : : : :} :)ヽ
{: : ト; ;ハ,リノ;Y川 } : ノ: : i|
i::小● ● ノリル: ; j
从l⊃ 、_,、_, ⊂⊃从ッ》 乙でした!
/⌒ヽ、|ヘ ゝ._) j /⌒i
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