1:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:30:09.23
ID:lTcyIwD60
服装の問題。もちろん暴論。
2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:31:33.23
ID:lTcyIwD60
陸奥「今更だけど、一つ尋ねてもいいかしら」
長門「うむ」
陸奥「どうしていつも長門は、カレーを湯船に浸かりながら、食べているのかしら」
長門「唐突だな。今に始まったことではないだろう」
陸奥「ええ唐突よ。今まで気にも留めなかったけど、思えば、おかしなことだと思ったから、こうして聞いてみたのよ」
長門「確かに、風呂に入りながらカレーを食べるのは、おかしなことだと言える」
陸奥「自覚はあるのね」
長門「いいや、陸奥に言われて初めて気がついた。今まで、おかしなことだと一度も思い浮かばなかったからな」
陸奥「自分の常識を疑ったことはないのかしら?」
長門「いや常日頃から疑い、思案を巡らせているぞ」
陸奥「なら客観的に、湯船に浸かりながらカレーを食べる自分の姿を、長門はどう見つめ直せるかしら」
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:32:15.27
ID:lTcyIwD60
長門「合理的と言えよう」
陸奥「一体何が合理的なのかしら」
長門「陸奥は私が辛いカレーが苦手なことを知っているだろう」
陸奥「ええ知っているわ。でもカレーは甘口でも辛口でも、辛い、という味覚は変わらないわ。だからてっきり私は、長門は辛口しかり、甘口でも、カレー自体が嫌いな食べ物だと思っていたわ」
長門「辛いから苦手と言って、何も嫌いな食べ物というわけではないぞ」
陸奥「イコールというわけではないのね」
長門「そうだ何事もイコールでは結びつかん。しかし陸奥よ。私がカレーを嫌いだと思っていたのに、その食べている姿を見て、どう思っていたんだ」
陸奥「何も思わなかったわ。だから興味を持った今、こうして聞いているのよ」
長門「なるほど」
陸奥「それで、一体何が合理的なのかしら」
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:38:28.32
ID:lTcyIwD60
長門「陸奥が言うように、カレーは甘口だろうと辛口だろうと、辛い食べ物だ。そして辛い食べ物を食せば、人間、艦娘は自ずと汗をかく。私はそれが顕著だ」
陸奥「長門は味覚性発汗が著しいのね」
長門「なんだそれは」
陸奥「辛いものを食べると出る汗のことよ。長門は唐辛子や、香辛料などに含まれる、辛いの元凶、カプサイシンっていう成分の効果を受けやすいのよ。ちなみに辛いものを食べて、汗が出るメカニズムは、舌べろや粘膜に通っている知覚神経に、カプサイシン受容体っていうのがあるからよ。そこは辛いや熱いの刺激。今までの話の流れに沿って説明すると、その受容体はカプサイシンの効果を知覚すると、アドレナリンの分泌を促進して、交感神経を活発にさせる働きがあるの。そして交感神経の中には、汗を司る汗腺の一つ、エクリン腺っていうのがあるの。アドレナリンによって交感神経が活発になれば、同じくエクリン腺も活発になり、自然と汗が分泌される。そういうメカニズムで汗はでるのよ」
5:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:39:19.31
ID:lTcyIwD60
長門「なるほど」
陸奥「わかっているのかしら」
長門「そのエルリン腺?エアリン腺?とかいうのがすごくなって、汗がでるということだな」
陸奥「まぁ、細かいことに目を瞑れば、間違ってないわよ」
長門「それでなんの話だった?」
陸奥「カレーを食べると汗がたくさん出る話よ」
長門「うむ、見失うところだった。それで私はカレーを食べるとたくさん汗をかくのだ」
陸奥「もしかして長門は味覚性多汗症なのかしら....?」
長門「そういうことにしておこう。して、私の服装はノースリーブを逸脱しているだろう」
陸奥「私もそうね」
長門「汗をかくと、頭から顔、もちろん腋や胸の谷間まで現れる」
陸奥「あぁ...だから少し匂うのね...」
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:39:57.41
ID:lTcyIwD60
長門「なんだと?私は、匂って、いるのか....?」
陸奥「ごめんなさい嘘よ。だから湯船に顔をつけるのはやめて」
長門「その嘘は私の心を抉る」
陸奥「ごめんなさい、つい出来心で。でも安心して、本当に匂ってないわ。私と同じシャンプーと、コンディショナーを使っているから、甘くていい香りよ」
長門「なら安心した」
陸奥「そういえば、なんで私がリンスじゃなくて、コンディショナーを選んでいるのかと言うと....」
長門「うむ湯上りにゆっくり聞こう。それで汗を体じゅうにかけば、その後には風呂に入りたくなるだろう」
陸奥「そうね、体じゅうべとべとだと気持ち悪いもの」
長門「だったら風呂に浸かりながら、頭にタオルを巻き、カレーを食べるのは理に適っていよう」
陸奥「論理の飛躍が滅茶苦茶ね」
長門「汗をかいたら風呂に入る。ならば風呂に入りながら、カレーを食べ汗をかく。合理的ではないか?」
陸奥「へー。危うく納得するところだったけど、あくまでそれは長門の視点よね。客観的に、自分を見直す。私から見て、長門がいましている行為は、理に適っていると言えるのかしら?」
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:40:28.41
ID:lTcyIwD60
長門「無論、そう言える」
陸奥「なぜ?」
長門「カレーは飲み物だからだ」
陸奥「根拠は?」
長門「湯船に浸かりながら酒を飲むのは、非常識とは言わんだろう。そうできる宿は世の中にはあるのだから」
陸奥「確かにそうね。でも入浴中に飲酒するのは体に悪いわよ。アルコールによって血液が大量に送られ、貧血や....」
長門「うむそれも湯上りにゆっくり聞くとしよう。それで飲み物を持ち込み、風呂に入るのが許されるのなら、カレーもまた飲み物だから許される。私はそう思っている」
陸奥「今考えついたくせに、よく豪語できるわね。でもその屁理屈を並べても、カレーは飲み物じゃなくて、食べ物よ。長門は今スプーンを片手に、お米とルーを、食べている、じゃない」
長門「いやこれは掬って飲んでいる」
陸奥「咀嚼してるじゃない」
長門「陸奥よ。私がカレーを飲み物と主張するのには、歴とした根拠がある」
陸奥「何かしら」
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:40:56.74
ID:lTcyIwD60
長門「陸奥はコーンスープは、飲み物、食べ物どちらだと思う?」
陸奥「卑怯ね。でも、コーンスープは飲み物ね」
長門「ならオニオンスープはどうだ?」
陸奥「オニオンスープも飲み物ね」
長門「そうだろう」
陸奥「ドヤ顔で言っても、私は納得できないわよ」
長門「しかし、この両者もスプーンを使い、掬い上げ飲むものだ。コップに注ぐのもあるがな。故に飲み物と言える」
陸奥「でもカレーは具材の大きさ明らかに違うわ。それにお米も入っていて、なおかつ咀嚼もしなければ、飲み込めないわよ?」
長門「カレーを食べている時、陸奥は自分の咀嚼回数を数えたことはあるのか?」
陸奥「ないわよ。そもそも気にしないわ」
長門「なら数えてみるといい」
陸奥「カレーを渡してこないで....。答えだけでいいわ」
長門「.....」
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:41:27.19
ID:lTcyIwD60
陸奥「答えだけ言ってくれればいいのに、食べないでいいわよ....」
長門「七回だ」
陸奥「へー、で?」
長門「次は白米だけだ」
陸奥「.....」
長門「......」
陸奥「飲み込んだわね」
長門「七回だ」
陸奥「同じじゃない」
長門「いや、カレーには具材が入っている。しかし、米は米だけだ。同じ回数は割に合わんだろう」
陸奥「それにしても長門は噛む回数が少ないわね。もっと増やさないと便秘の原因になったり、大食いの原因だったりいいことないわよ?それに....」
長門「うむ次から気をつけよう。それで私が実践し、証明したわけだが、カレーは食べ物だとしても、白米単体の咀嚼回数と同じなのは、気にならないか?これが、カレーが飲み物と主張できる所以だ」
陸奥「暴論に近い主張の所以を話してもらえるのよね?」
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:42:10.57
ID:lTcyIwD60
長門「コーンスープとて咀嚼はいる。オニオンスープも同様に。しかし、この二つは圧倒的に咀嚼回数は少ない。従ってこう言えるだろう。飲み物は咀嚼回数は少なくてよいと。だから食べ物の白米と、具材も多く白米も付いてくるカレーの咀嚼回数が同じでも、ものが多いカレーは咀嚼回数は少ないと言える。だから私は、カレーは飲み物だと断言できるのだ」
陸奥「だとしても、意図的に咀嚼回数を減らした可能性も否めないわよ?」
長門「カレーのルーはそもそも液体だ。錠剤の薬を飲む時、あの異物を水で流し込めるだろう。それと同じ原理で、カレーを飲み込む時に、多少大きな具材や白米があっても飲み込めるのだよ」
陸奥「粉薬飲めないくせに、ねぇ」
長門「それは今は関係ないだろう....」
陸奥「まぁ、なんだっていいわよ。カレーが飲み物でも食べ物でも。そもそも湯船に浸かりながらカレーを食べる理由を聞いたのに、カレーは飲み物の話に移るなんて。だんだんバカらしくなってきたわ....」
長門「今回は私の勝ちのようだな」
陸奥「でもお風呂の中にカレーを落としたら、って考えると、やっぱ筋が通ってないわね」
長門「落としやしない」
陸奥「だとしても、後ろめたい気持ちがあるから、こうして私と長門しかいない時にカレーを食べるのよね?」
11:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:42:45.83
ID:lTcyIwD60
長門「.....」
陸奥「そもそも体じゅうが汗でべとべとになるのが嫌なのよね。それに汗をかいても、長門はいい匂いだから汗臭くならないはず。だったらもっと簡単な解決策があるじゃない」
長門「ほう、一体なんだ」
陸奥「着る服を変えればいいのよ。ノースリーブなんかやめて、ちゃんと袖がある服を着る。そうすればいいだけのことじゃない」
長門「だが汗をかいてむずむずする」
陸奥「後ろめたさがあるから、カレーは一人か私がいる時に食べるのよね?後ろめたいなら、乾くまで我慢すればいいじゃない。それか食べ終わったらお風呂にはいる。それに合理性を求めると品が疑われるわよ?イヤでしょ?」
長門「うむ。長門の名に恥じないよう、常に気品に溢れていたいな」
陸奥「なら多少の我慢は必要よ」
長門「しかし陸奥よ。室内でコートを羽織るのは、滑稽であろう?」
陸奥「ええ見てて暑苦しいわね」
長門「しかし脱いだとしても、腕の上半分だけの袖と、逸脱したノースリーブの服装ではどうしようもないだろう」
陸奥「ほんとにそうね」
長門「.....一体いつになったら、私は腹と腕をしっかりと覆えるのだろうか....」
陸奥「覆えてたら、腹痛で悩まされず、胃腸薬だって飲まなくて済んだはずなのにね。まぁ、我慢よ」
長門「なるほど、耐え難きを耐え、忍び難きを忍びとはこういう心情なのか」
陸奥「まぁ、いいわ。もう上がりましょう」
長門「うむそうしよう」
陸奥「積もる話は山ほどあるわけだし」
長門「....忘れてなかったのか」
12:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/11/21(火) 05:43:56.96
ID:lTcyIwD60
おしまいです。深夜のテンションで書いたので意味わからんかもしれません。寝ます。
元スレ
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