1:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 15:13:58.49
ID:gvvZeGCDO
―それはバレンタインの時、起こった
サッ
雪美「はい……P…私のキモチ……」
モバP(以下P)「ありがとう。開けてもいいかな?」
雪美「うん……感想……待ってる…」
P「じゃあ…」
ガサゴソ
P「お、チョコでいちごをコーティングしたのか」
雪美「うん……食べやすくした……」
P「あぁ……じゃあ、いただくよ」
カプッ
P「うむ、少しすっぱいいちごとチョコの甘さが加わって」
?「世界レベルよ!」バタン
雪美「……侵入者?」
P「……気にするな」
2:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 15:37:53.31
ID:gvvZeGCDO
P「それはともかくとして、おいしいよ」ニコッ
雪美「んっ!」ズキュッ
(今貰ったあなたの笑顔。それだけで、私はこんなにも胸の奥からドキドキする)
雪美「……よかった」
ズキズキ
(でも、今日はいつもと違う)
ドクンドクン
(もっと奥からズキズキと痛みを感じる)
ビリビリ
(それは……背筋からくるよくわからない痺れと……)
P「雪美……?」
(お腹の下の方から、ぐっと締め付けられるような感覚……)
(どうしよう……まるで病気になったみたい……)
P「雪美……?大丈夫か?」
雪美「うん……」
雪美「でも……少し頭が痛くて……熱っぽい……」ハァハァ
P「それは大丈夫じゃないな……少し横になるか」
P「ちひろさん、仮眠室借りますよ」
ちひろ「あ、はい……大丈夫?頭痛の薬とか必要かしら?」
ツゥー
(私の足を伝う何か……)
(汗かな……って見たら……)
雪美「え…………血?」
3:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 15:40:11.70
ID:gvvZeGCDO
(その日、私は)
雪美「あ……どうしよう……病気……?」ガクガク
P「もしかして?」
ちひろ「……千秋ちゃん、清良さんを」
千秋「はいっ!」
(私は「女」になりました)
4:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 15:44:27.37
ID:gvvZeGCDO
―数日後
ガチャ
雪美「お……おはよう……ございます……」
千枝「あ、雪美ちゃん。おはよう!」
由愛「おはよう、雪美ちゃん……もう大丈夫なの?」
雪美「うん……でも、何か変な……」
千秋「少ししたら慣れるから……大丈夫よ」
雪美「あ……千秋……ごめんなさい」ペコリ
千秋「謝らなくてもいいのよ。女の子なら必ず一度は訪れことなんだから」
ワイワイキャッキャッ
ありす「……」
ありす(……私……まだ来ていないんですけど……)
5:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 15:54:24.09
ID:gvvZeGCDO
ガチャ
P「おはようございます……お、雪美?!大丈夫なのか?」
雪美「うん……」
雪美「初めて(バレンタインの手作りチョコ)をあげた……だからP(から貰った笑顔)が原因(で女の子に早くなったと思う)…………」
雪美「……責任重大……結婚する……」
みんな『へぇ……』ジトメ
P「ちょ!!」
6:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 16:02:41.22
ID:gvvZeGCDO
―もちろん、みんなその場にいたので誤解は解けました
P「まったく……」
雪美「ごめんなさい……Pの横に……早く並びたくて……」
P「いや、あれは悪ノリしたあいつらが悪いだけだからな。ま、これからしばらくは安定するまで、あまり激しいレッスンとかはできないなぁ」
雪美「安定……?」
P「雪美もまだ始まったばかりだから、あまり乱暴なことをやると、中がびっくりするってことさ」
雪美「うん……わかった」
雪美「……ありがとう……」
雪美「やっぱり……あなたが好き……」ボソリ
P「ん?何か言ったか?」
雪美「むぅ……」ペチペチ
P「おっと。どうした、急に絡んで来て?」
雪美「むぅ!……むぅ!」ペチペチ
7:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 16:42:20.31
ID:gvvZeGCDO
(大人になる……)
(……それは、いつもPの前からと背中からしか見てこなかった私の一番の願い)
(いつもPの横にいる大人が羨ましかった……)
(涼みたいに恰好良くなれる)
(文香みたいに静かになれる)
(千秋みたいに大胆になれる)
(茄子みたいに……あいみたいに……真奈美みたいに……)
(だから、横になって対等になりたいって……いつも思ってた)
(そうすれば、前や後ろからと違い、子供扱いされないし、いつも一緒にいられるって)
(飛鳥や蘭子みたいに気を使われずにすむし、凛や加蓮みたいに重く思われたりもしないでいい……)
(比奈みたいにいつも怒られずにすむし、奈緒みたいにからかわれないでいい……)
(それが私の理想……)
(けど……)
8:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 23:11:00.56
ID:gvvZeGCDO
(そうなった時……Pは私だけを見てくれるの?)
(もしかして、まだ今の私が子供だからこうやっていっしょにいてくれるの?)
(もしそうなら……)
(大人になんて……なりたくない……)
(でも……このお腹の底から来る痛さは、それを否定していた)
(身体だけ成長しても……心だけ成長しても……)
(あの人が私を「好き」でないなら……それこそ生きていても仕方がないんだ)
9:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 23:13:48.74
ID:gvvZeGCDO
(そう結論づけてしまった私は……悩み抜いてしまい)
(知恵熱で数日休むことになってしまった……)
(この……新たに痛み出した、心と向き合えと言わんばかりに……)
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 23:18:59.92
ID:gvvZeGCDO
―3月14日
(学校も休みになり、しばらくアイドル活動も休止状態ではあったが、一度ケリをつけるべく事務所に向かう)
(ふと、その途中に……)
雪美「あ……桜……?」
(それは雪の降る中、咲いていた桜の一枝)
(まるで……私の……心の底を見たかのように)
(そう……初めてわかったこのキモチ……好きとは何かとようやくわかったこの……)
(……恋心を後押しするかのように)
11:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 23:22:13.86
ID:gvvZeGCDO
タタタッ
(今はただ……Pに会いたかった……)
(会ってどうなるわけでもない……)
(でも会いたい!)
(顔を見たい。手を繋ぎたい。横でいいから一緒にいたい……)
(そして何より……)
(さっきまで乱れていた心が澄み切ったかのように、溢れ出てくる。もう感情だけでは抑えきれない)
雪美「P……P……」
雪美「Pーっ!!」
バタン
12:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/03/14(土) 23:27:02.44
ID:gvvZeGCDO
P「おぅ、久しぶりだな。雪美」
雪美「P……」
(何でだろう……今まで一杯沢山考えていたのに顔を見た瞬間に……)
(疾風がそよかぜになったように……嵐が凪になったように……不安は消えて)
(物凄い満足感で一杯になった)
(この間までとはまるで違う感覚。これが本当に……人を好きになることなんだ……)
(だから……私は……)
雪美「P……私は……」
おしまい
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1578191016/
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