1:
◆C2VTzcV58A 2020/02/03(月) 00:10:29.26
ID:GmFExp4n0
とあるオフの日
心「は~~、お店の中はあったかくていいね~♪」
梨沙「奥の席行きましょ。入口あたりはドア開いたら風入ってきちゃうし」
飛鳥「入り組んだ路地裏の奥にあるカフェ。いかにも穴場な雰囲気じゃないか」
心「でしょー? この前偶然見つけたの☆」
梨沙「いいお店ね! 店員にロリコンもいなさそうだし!」
飛鳥「見ただけで判断つくのか?」
梨沙「アタシのロリコンレーダーを甘く見ないことね! 全部『理解って』しまうのよ!」
心「人間観察の鬼かよ」
梨沙「たとえば……そうね。今頃プロデューサーは書類の山と向き合っているはずよ。あいつ今日オフじゃないから」
飛鳥「そこまでいくと超能力の類だな」
心「梨沙ちゃんはともかく、飛鳥ちゃんまでナチュラルにプロデューサーをロリコン扱いするのはやめたげない?」
心「それはそれとして、プロデューサーは今休憩挟んでおやつ買いに行ってると思うぞ☆」
梨沙「なに、張り合うわけ? だったらどっちか正しいか確かめようじゃない!」
心「よしきた♪ てことで飛鳥ちゃん、チェックよろ☆」
飛鳥「『今なにしてる?』っと……何故ボクがこんなことを」
梨沙「公平な審査をするためよ」
心「素直にやってくれるあたり、飛鳥ちゃんもプロデューサーが何してるか気になったんじゃないの~?」
飛鳥「さあ、どうだろうね。とりあえず席に座らないか。立ちっぱなしは邪魔だろう」
2:
◆C2VTzcV58A 2020/02/03(月) 00:13:46.84
ID:GmFExp4n0
梨沙「フルーツパフェかケーキか……んー、悩むわね」
心「こっちに期間限定のメニューもあるよん♪」
梨沙「あ、季節限定の特製チーズケーキ! おいしそう~」
飛鳥「ボクは……どうしようか。コーヒーは決まりとして……」
梨沙「コーヒーだけとかはやめなさいよね。アタシだけはしゃいでるみたいになるじゃない」
心「はぁとはちゃんとデザートから選ぶぞ☆」
梨沙「偉いわ!」
飛鳥「いや、ちゃんとコーヒー以外も頼むつもりだけど」
梨沙「ならいいわ。でもそういうところ、プロデューサーと似てるわよね」
心「あ、わかるー♪ プロデューサーもだいたいコーヒーから選ぶよね」
飛鳥「そういえばそうだったか。あまり意識してなかったけれど」
心「今の何ポイントだと思う?」
梨沙「プラス50ポイントってところね」
飛鳥「なんだ、そのポイント」
心「ヒロインポイント。ヒロインムーヴをすると蓄積されるぞ☆」
飛鳥「理由も目的も尺度も一切理解らないが、危害がないなら見過ごそう」
心「2万ポイント貯まると、めでたくはぁとの恋のライバル認定☆」
飛鳥「一気にめんどくさそうな臭いがしてきた」
梨沙「ま、2万ポイントなんて早々貯まらないから大丈夫でしょ」
飛鳥「あ、Pからさっきのメッセージの返信だ」
心「なにしてるって?」
飛鳥「『梨沙のお父さんと1時間くらい話し込んでたよ』って」
梨沙「プラス2億ポイント!!」
心「一瞬でライバル認定だな☆」
飛鳥「『ご愁傷様。そしてすまない』と返事しておこう」
心「こっちの状況知らないと意味わかんない返事だな……」
3:
◆C2VTzcV58A 2020/02/03(月) 00:14:32.33
ID:GmFExp4n0
梨沙「い、1時間も何を話してたっていうの……アタシに隠れてこそこそと……!」
飛鳥「十中八九キミの話だと思うが」
梨沙「だったらアタシも混ぜてくれればいいじゃない」
心「オトナ同士の積もる話もあるんじゃないの?」
梨沙「アタシがコドモなのはわかってるけど、コドモ扱いはほどほどにしてほしいの!」
飛鳥「オトコ同士の積もる話もあるんじゃないか」
梨沙「アタシがオンナなのはわかってるけど、オンナ扱いは……あれ? してほしいわね?」
心「ほら、梨沙ちゃんの誕生日プレゼントの相談とかしてたんじゃない?」
梨沙「アタシ誕生日11月だけど。近いのは飛鳥でしょ」
心「じゃ飛鳥ちゃんの誕プレの相談してたんだ」
梨沙「なんでアタシのパパが飛鳥の誕生日プレゼント考えてるのよ」
心「ファンだから?」
梨沙「ファン~? そういえば、この前の飛鳥の出てた特撮ドラマ、何回も見てたわね……」
飛鳥「そうなのかい?」
心「あの電脳世界のやつだよね? 演出凄かったよね~♪ 左眼が色変わって光るところとか、バイク走らせて警備ロボを撒くシーンとか」
飛鳥「流石にバイクのシーンはスタントだったけれど、監督のおかげで筋肉痛になるほどアクションを要求されたよ。その分、いい作品に仕上がった自信はあるけどね」
飛鳥「あらゆるものが機械や電子に置き換えられつつある世界で、歪な生身を引きずりながら生きる人間を描いた作品。痛みも苦しみも拒絶せず駆け抜ける『アスカ』を演じる上で、生身を痛めつけられたことで役に共鳴できたところもあるかもしれないね」
梨沙「確かに、あのドラマの飛鳥かっこよかったわよね。すっごい役に入ってたし。パパもああいうのが好きなのかしら」
心「男の子って、いくつになってもあーいうのに興奮するらしいぞ☆」
飛鳥「Pも大興奮だったからね。仕事を持ってこれて、さぞご満悦だろう」
梨沙「アタシも特撮出たいわね……日曜朝のアレとかオファーこないかしら」
心「大きく出たな~♪ 地道にお仕事頑張って、知名度上げてこーぜ☆」
梨沙「千里の道も一歩から!」
飛鳥「フフっ。今日の格言、だね」
梨沙「で、なに頼むか決まった?」
飛鳥「………」
飛鳥「……とりあえず、ブレンド」
梨沙「それはさっき聞いた」
心「はぁとは季節のメガ盛りパフェで☆」
4:
◆C2VTzcV58A 2020/02/03(月) 00:15:39.61
ID:GmFExp4n0
梨沙「ん~~っ♪ おいしっ♪」
梨沙「さっすが、特製って言うだけあってまろやかで味わい深いわね、このチーズケーキ」
梨沙「冷たいチーズに添えられている常温のホイップがコントラストを生み出してるわね!」
心「グルメリポーターのお仕事できそうなコメント~」
梨沙「おいしいもの食べられるお仕事っていいわよね! 実は狙ってるの」
飛鳥「理由はどうあれ、新たな仕事に挑戦しようとする姿勢はPも喜ぶだろうね」
飛鳥「………うん。おいしい」ハム
梨沙「………じー」
心「なんていうか、飛鳥ちゃんの食べ方って綺麗だよね」
梨沙「口ちっさ! ってなるわよね。お上品っていうか」
心「かわいいよな☆ ハムスターみたい☆」
飛鳥「……じろじろ見られながらだと食べにくいんだが」
心「梨沙ちゃんの豪快な食べ方もグルメリポーター向きでいいと思うぞ☆ おいしそーに食べるもんね♪」
梨沙「そう? ふふ、一回プロデューサーに相談してみようかしら♪」ムシャムシャ
飛鳥「頬にクリームがつかないようにね」
梨沙「大丈夫! この前プロデューサーと行った時にうっかり失敗しちゃったから、もう同じテツは踏まないわ!」
心「てことはその時はほっぺたにつけちゃったんだ」
梨沙「あそこのお店のスイーツもすっごくおいしかったわ。パパと一緒に行くのが楽しみ~♪」
心「へー、そのお店はぁとも気になる! 教えて教えて♪」
梨沙「いいけど、アタシがパパとデートする日は来ないでよね」
心「えー、いいじゃん♪ 梨沙ちゃんと梨沙パパ・はぁとと飛鳥ちゃんのダブルデートにしようぜ☆」
飛鳥「うわ、巻き込まれた」
梨沙「い・や・よ! そんなこと言うなら教えたげないから!」
心「残念……じゃあデートの日取りはずらそっか」
飛鳥「デートは確定なのか……」
心「飛鳥ちゃんも気になるっしょ? 梨沙ちゃんが太鼓判押すスイーツの味♪」
飛鳥「気にならないと言えば嘘になるな」
心「じゃ、決まり! おめかししなきゃな☆」
飛鳥「ボクは普段着で行くが」
心「温度差カップル!」
梨沙「すれ違いの末ハキョクしそうね」
5:
◆C2VTzcV58A 2020/02/03(月) 00:16:16.30
ID:GmFExp4n0
飛鳥「おすすめのメニューとかはあるのかい、そのお店」
梨沙「んー、そうねえ。アタシが頼んだパンケーキはアイスとかフルーツとか山盛りですっごくおいしかったわ。別のを頼んだプロデューサーがあんまり物欲しげに見るもんだから、一口あげちゃったのよね」
心「えー、なにそれカップルみたいじゃん! いいなあ~」
心「この前プロデューサーとドライブデートした時にもカフェに入ったんだけどさ、お互い子供みたいに頼みまくって、最終的に食べ切るためにお互いに押し付け合いしてたからね。ちゃんと完食したけど」
梨沙「えー、なにそれいっぱい食べさせてもらえたってこと!? アタシの時と全然違うじゃない!」
梨沙・心「ずるい! 贔屓だ!」
飛鳥(隣の芝は青い、だな……)
心「あ、そうだ♪ これ、そのドライブデートの時のはぁとの運転姿☆ どうよ?」
飛鳥「………」チラ
梨沙「………」チラ
飛鳥「大人っぽいな」
梨沙「オトナっぽいわね」
心「でしょ~~? うふふ~、キミ達はぁとのこと見直したでしょ~~~」
飛鳥「そういうわけで大人な心さん」
梨沙「アタシ達コドモなんでゴチになりまーす♪」
心「そーいうことかい! かっわいくないなーマセガキ達め☆」
6:
◆C2VTzcV58A 2020/02/03(月) 00:17:22.16
ID:GmFExp4n0
梨沙「まさかホントにおごってくれるなんて」
飛鳥「よかったのかい? 冗談のつもりだったんだが」
心「いーのいーの♪ ふたりとも、アイドルで稼いでてもこづかい制でしょ? だからはぁとのお財布に甘えちゃいな~」
梨沙(こういうところの方がよっぽどオトナっぽいと思うんだけどなぁ)
飛鳥「そういえば、会計の時に何かもらっていなかったか?」
心「あー、これ? 商店街の福引券☆ せっかくもらったんだし回しにいっちゃう?」
梨沙「いいわね、行きましょ! ハートさんが回していいわよ」
心「やったぜ☆」
飛鳥「ちょうど正面に見えるあれじゃないか? ガラガラが置かれているよ」
梨沙「あ、ホントだ。えーと、1等は――」
心「温泉旅行のペアチケット!? めっちゃ欲しい!」
商店街のおじさん「はい、1回分ね。どうぞ」
飛鳥「チャンスは1回だけ。あのガラガラの中にいくつ球があるのかは不明だが、1等を引ける確率は低いだろう」
梨沙「でもまだ1等が出たっていう張り紙はない。ということは、どれだけ低くても1等を引ける確率はゼロじゃないってことよ」
心「この福引は、ハゲしく重い……! だがはぁとは引く! アツい温泉旅行を引いてみせる! たとえこのツインテールが、ぺっきり折れようとも!」
心「ガラガラガラガラガラガラ、ガラーーーッ☆」
梨沙「まー、確かにアツいわね。ホッカイロ」
心「こんちきしょー!」
飛鳥「心なしかツインテールが本当に折れて萎びているように見える」
心「セットでいっぱいもらったからふたりにもあげる!」
飛鳥「ありがとう。まだ寒い日が続くし、使わせてもらうよ」
7:
◆C2VTzcV58A 2020/02/03(月) 00:18:13.57
ID:GmFExp4n0
数時間後
飛鳥「……もうこんな時間か」
飛鳥(ふたりと別れた後、何の気なしに本屋に立ち寄ったけれど……思ったより時間を食ってしまったな)
店員「ありがとうございましたー」
飛鳥「さむ……早く帰ろう」
P「寒い……早く帰ろう」
飛鳥「……あ」
P「あ」
飛鳥「お疲れ様。今、帰りかい」
P「ああ。やっと仕事が片づいた」
飛鳥「ボクらが羽を伸ばしている間も、キミは頑張ってくれていたんだな……ありがとう」
P「いやいや。そのかわり、俺は明日休みだから」
飛鳥「駅まで、一緒に歩こうか」
8:
◆C2VTzcV58A 2020/02/03(月) 00:19:37.56
ID:GmFExp4n0
P「なるほど。あの『ご愁傷様』はそういう意味だったのか」
飛鳥「すまない。また梨沙に怒られるだろう」
P「今回は本当に趣味の話で盛り上がってただけだから、怒られるような話じゃないと思うんだけどな」
飛鳥「余計怒られそうな気がするけどね……つくづくキミは、女も男もたらしこむのが上手だな」
P「なんだ、その誤解を招くような言い方」
飛鳥「じゃあ二刀流」
P「さらに誤解を招くだろ!」
飛鳥「しかし、現に梨沙や心さんとデートをする傍ら、オジサマとも親交を深めているとなると、ねぇ」
P「今日の飛鳥、なんだか手厳しいな……」
飛鳥「フフッ。さて、ボクが何故手厳しいか、そして何を求めているか。理解るかい」
P「ん~~?」
飛鳥「あぁ、そうだ。これ、ホッカイロ。心さんからのプレゼントだ。たくさんあるからキミにもおすそ分け」
P「ありがとう」
飛鳥「ところでヒントは『隣の芝は青い』だ」
P「………」
P「もうすぐ誕生日だよな。そのあたりで、どこかに出かけるか?」
飛鳥「よしきた。喜んで」
P「最近、飛鳥にいいように踊らされることが増えた気がする」
飛鳥「成長期だからね。見えるセカイがどんどん広がっているのさ」
飛鳥「広いからといって、見失わないでくれよ」
P「それは任せとけ。俺は飛鳥がどこにいても見つけてみせるよ」
飛鳥「ボクはキミの、そういう青臭いセリフが真顔で言えるところが好きだよ。イタくて、そして真っすぐなところが」
飛鳥「それでこそ、ボクの定点観測者だ」フッ
P「一応確認するけど、褒めてもらってるんだよな?」
飛鳥「当然さ。ある意味では、そう。心さんと同じタイプの大人だ」
P「……本当に褒めてるのか?」
飛鳥「そんなこと言っていると、心さんに怒られるぞ」
P「はは……それで、どこか行きたいところとかあるのか」
飛鳥「そうだな……キミ、バイクは乗れたりするかい? この前の撮影で――」
おしまい
9:
◆C2VTzcV58A 2020/02/03(月) 00:26:04.27
ID:GmFExp4n0
10:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/02/03(月) 21:00:04.64 ID:5fTY+Kpgo
乙
バイク2ケツデートで飛鳥くんもヒロインポイント稼いでいけ
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1580656228/
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