夏葉「ラスト・クリスマス」

2020-01-14 (火) 12:01  アイドルマスターSS   0コメント  
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:25:36.18 ID:xVvfAwpH0


去年のクリスマスー
私たちが一緒になって、最初のクリスマス。

今年のクリスマスー
私たちがふたりで過ごす最後のクリスマス。





2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:27:08.55 ID:xVvfAwpH0


P「ー夏葉」

夏葉「……え?」

P「どうした? ボーッとして」

夏葉「ああいえ、何でもないわ。みんなは?」

P「今日はクリスマスだろ。みんな帰ったか仕事に向かったよ。後はまあ、大丈夫だろう」

夏葉「……そう。なら帰りましょうか、プロデューサー」

P「ああ。夏葉」




3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:27:44.81 ID:xVvfAwpH0


このことを、いつ、どんな風に、どんな顔をしてアナタに伝えたら良いのだろう。

私の今までの人生で得た数えきれない言葉の束をめくり返してみても、ぴったりな言葉は見つからなくて。

…そして、アナタは、この言葉を聞いた時、どんな顔をするのだろうー




4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:29:29.39 ID:xVvfAwpH0


P「夏葉」

夏葉「? 何かしら」

P「また、ボーッとしてるみたいだったから」

夏葉「そんなことないわ。大丈夫よ」

P「熱でもあるんじゃないか?」ピトッ

夏葉「きゃっ…」

P「うーん、そんなことはないか」

夏葉「もう、プロデューサーの手、冷たいわ」




5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:31:15.64 ID:xVvfAwpH0


P「はは、ごめんごめん。…ところで、夏葉?」

夏葉「今度は何かしら?」

P「もう「プロデューサー」でなくていいんじゃないか?」

夏葉「あ…そうね。……Pさん」

P「うん。……夏葉」

夏葉「……なんだかこそばゆいわね」

P「まだ慣れないのか? 一緒になってもう1年になるのに」




6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:31:49.01 ID:xVvfAwpH0


夏葉「ずっと「プロデューサー」だったもの…。アナタこそ、さっき、事務所で私のこと「夏葉」って」

P「はは、ふたりきりだしいいだろ? クリスマスなんだしさ」

夏葉「もう……ふふ」

P「では…。帰ろうか。「社長」」

夏葉「「夏葉」でいいわよ。……いいえ。「夏葉」がいいわ」




7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:33:21.04 ID:xVvfAwpH0


アイドルとプロデューサーとして。ずっと最高のパートナーとしてふたりで歩んでいきたいと願っていた。

そして、いつしか私はアイドルとしてではなく、ひとりの女性としてこの人とパートナーになりたいと願うようになっていた。

そんなことを……彼も思っていてくれて。いつしか私たちは恋に落ちて。

忘れもしない。思い出の夏の海で彼にプロポーズされて。


ー私たちは、夫婦になった。




8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:34:09.00 ID:xVvfAwpH0



P「……」

夏葉「ど、どうしたの? 私の顔に何かついてるかしら?」

P「いや、夏葉はずっと綺麗だなって思ったんだ」

夏葉「な……によ、急に」

P「いや、いつも思ってることだよ。美人社長さん」

夏葉「もうっ、えいっ!」ピトッ

P「冷たっ!」

夏葉「ふふ、さっきのお返しよ!」




9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:34:47.85 ID:xVvfAwpH0


P「お返しって、わざとやったわけじゃ…そら!」ピトッ

夏葉「冷たっ!」

P「……」

夏葉「……」

P「……くすっ」

夏葉「……ふふっ」

P「なんだか夏葉、昔より子どもっぽくなってないか?」

夏葉「そんなことないわ。アナタが子どもっぽいのよ」




10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:35:48.51 ID:xVvfAwpH0


P「そうかなあ…」

夏葉「ふふっ。ええ、そうよ。……ねえ、Pさん」

P「ん?」

夏葉「手……繋ぎましょう?」

P「ああ。勿論いいよ。エスコートさせてくれ。…そうだ」

夏葉「どうしたの?」

P「イルミネーション、見に行かないか。ほら、去年もふたりで見に行った」

夏葉「ああ、あの大通りの…ええ、是非行きましょう」

P「よし、それじゃあご案内するよ。…「社長」」

夏葉「ナ・ツ・ハ!」




11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:36:28.61 ID:xVvfAwpH0


アイドル事務所を立ち上げたい。結婚して最初の私のワガママを言った時のアナタの顔、私、まだ覚えてるわ。

私にとってのアナタのように、今度は私が、誰かの背中を押したかった。

私にとっての283プロのように……今度は私が、誰かに翼を授けたかった。

そんな私の側に、社長とプロデューサーという関係のパートナーとしてアナタにいて欲しい。そんな私のワガママを、アナタは笑って受け入れてくれた。


本当に、アナタには……敵わないわ。




12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:37:43.80 ID:xVvfAwpH0


P「…で、今度社長…天井社長の方な。に会いに行こうと思うんだ。ほら、新年の挨拶もかねて」

夏葉「ええ、いいわね。何か…そうね、お酒でも買って行こうかしら?」

P「そうだな。好きなお酒があったはずなんだよ。ほら、あれ……」

夏葉「……Pさん?」

P「あ、ごめん。ほら」

夏葉「! ……綺麗ね……」

P「ああ……本当に」




13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:38:25.76 ID:xVvfAwpH0


夏葉「去年と少し色合いが変わっているわね」

P「ああ。去年は赤がメインだったよな? 今年は青で、まるで、光の海みたいだ…」

夏葉「ええ…」

P「……」

夏葉「……」

P「…夏葉」




14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:39:26.99 ID:xVvfAwpH0


夏葉「…何?」

P「…………」

夏葉「…………」

P「……綺麗だよ、夏葉」

夏葉「言われると思った。………ありがとう」

P「はは……うん」

夏葉「………♪」




15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:40:37.71 ID:xVvfAwpH0


P「………なあ、夏葉」

夏葉「………何かしら?」

P「何か、俺に言いたいことがないか?」

夏葉「え…」

P「わかるよ。俺は夏葉のパートナーなんだから」

夏葉「……そう。そうよね」

P「……」

夏葉「……」




16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:41:51.28 ID:xVvfAwpH0


P「…あ」

夏葉「え?」

P「ほら、雪…」

夏葉「あ…」

P「……」

夏葉「……」

P「……綺麗だな」

夏葉「……ええ、本当に」




17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:43:06.33 ID:xVvfAwpH0


P「……夏葉」

夏葉「……うん」

P「…どんなことでも、素直に俺に伝えて欲しいな」

夏葉「……」

P「どんなことでも、受け入れるから」

夏葉「……」

P「…夏葉がいれば、俺は、どんなことでも幸せだよ。夏の葉の色も、冬の雪の白さも、春も秋も何倍も美しく感じられて……。楽しいことだけじゃない、辛いことだって、悲しいことだって、俺と夏葉のものだ。ふたりで分けたら半分になるだろ」




18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:45:02.59 ID:xVvfAwpH0


夏葉「…………」

P「……ゆっくりでいいんだ。これからもふたりで歩んでいく仲だろう。俺に、伝えて欲しい。何か、あったのか?」

夏葉「…………っ」

P「夏葉…」

夏葉「…………最後なの」

P「……え」

夏葉「もう…こうして……ふたりきりで、イルミネーションを見に来れるのも」

P「な……夏葉?」

夏葉「だってー」




19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:46:14.57 ID:xVvfAwpH0



夏葉「ー来年のクリスマスは、「3人で」過ごすんだもの…!」






20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:46:43.22 ID:xVvfAwpH0


去年のクリスマスー

私たちが一緒になって、最初のクリスマス。

今年のクリスマスー

私たちがふたりで過ごす最後のクリスマス。




21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:48:24.37 ID:xVvfAwpH0


このことを、いつ、どんな風に、どんな顔をしてアナタに伝えたら良いのだろう。できればやっぱり、ふたりきりの時がいいわね。

ーきっと幸せが溢れて、泣いてしまうから。

私の今までの人生で得た数えきれない言葉の束をめくり返してみても、ぴったりな言葉は見つからなくて。

ーこんな幸せ、経験したことないから。




22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:48:51.05 ID:xVvfAwpH0


…そして、アナタは、この言葉を聞いた時、どんな顔をするのだろう。

ーきっと、私を強く抱きしめて…私と同じかそれ以上に、幸せな涙を流して、笑いかけてくれるんじゃないかしら。




23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:50:12.28 ID:xVvfAwpH0



…………ほら、ね♪






24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2019/12/25(水) 23:52:21.91 ID:xVvfAwpH0


間に合ってよかった! P夏葉夫婦のクリスマスの帰り道の話でした。

それでは、またの機会に。




元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1577283935/

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