1:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:36:20
ID:WGP
SUPER BEAVERの「らしさ」という曲を聞きながら作りました。前々からこれ飛鳥君ぽいなあと思ってはいた。
この曲を飛鳥くんにカバーで歌って欲しい部の部員です
普段やってる全然関係ないもの
もぐもぐやすは
泰葉「美味しく、楽しく」
誤字多くてすみませんです。確認は今回念入りにしたつもり
2:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:37:26
ID:WGP
自分らしさ。とは...一体何なんだろうね?
3:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:38:54
ID:WGP
【コンビニ】
「...なんだこれ」
【人とは違うで差をつけろ!】
コンビニの雑誌コーナーにある週刊誌の一つに太字の煽り文があった。
「...くだらないな。人とは違うことを意識しようとする時点で平凡から抜け出せないだろうに」
そんなことをぼやきながら買い物に戻る。
......まあこういうものは年齢を経るにつれて自分でわかっていくものだと個人的には思う。
アイデンティティ...要するに自己を確立する要素。これはある程度の知性がなければなしえないと、
かつて学校の教師が言っていたことを思い出す。
知性がなければ自己を認識できない。個性とは人格と共に生まれると。なるほど、たしかにそうだろう。
子供の頃、そんな事を気にする人間はいない。いや、もしかしたらいるのか?
...自分がどこからきてどこへ行くのか?人はどうして生きるのか、そんな事を考えている天真爛漫さをもった子供が。
......それは天才というやつじゃないだろうか。
......なんとなく一人の少女をボクは思い浮かべた。......そうだ、いたじゃないか。身近に天才が一人。
そう思いボクは一人の天才の元へ向かうのだった。
4:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:41:29
ID:WGP
【事務所】
「自分らしさの定義なんてものをよりによってアタシにきくの?...頭大丈夫?」
......言ったそばからずいぶんなご挨拶じゃないか天才。
「残念ながら正気だよボクは、自他共に認める天才ことギフテッド。一ノ瀬志希はどう思うね?」
「飛鳥ちゃん、なんかいやみったらしーよ?」
...確かに。何故僕はこんな言い方をするのだろう...?
「まあ報酬分くらいは協力してあげるけどねー」
志希の手には僕がコンビニで買ってきた新商品のスイーツが握られている。いわゆる買収というやつだ。
「ああ、そうしてくれると助かる」
「んで。なんだっけ?自分らしさ?ってやつかー。そんなん完璧にわかっている人なんてこの世にいなくない?」
「まあ、簡単にわかれば苦労しないだろうね」
自分らしさの定義なんて学者が何年もかけてそれでもたどり着けなさそうな領域だ。
「ほらよく言うじゃん?個性を磨けーってヤツ。そんなん磨こうと思って磨けるようなもんじゃないじゃん」
「まあ、長所や短所とは違うからね」
5:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:42:47
ID:WGP
例えば白菊ほたるというアイドルがいる。彼女はとても個性的だ。不幸なアイドルとして有名人である。
彼女の個性は決して長所ではない。一般的に見ればむしろ短所だろう。
だが彼女の個性は主に短所によって形成されている。
不幸というのは短所、いやむしろ事象なのだから彼女自信の意思は介在してもいないのかもしれない。
だが彼女という物を語ろうとするとまず不幸という単語がでてくるのは紛れもない事実だ。
無論彼女はそれだけではない。長所だってたくさんあることをボクは知っている。
困り眉のかわいらしい顔、すらっとした見た目に黒が似合う事。光より闇を好みそうな彼女はとても魅力的だとも言える。
だが......彼女は自分でそのことを把握しているだろうか?
不幸なことが個性である、それがあるから自分があると、彼女は言えるのだろうか?
彼女はとても強いから、もしかしたら言えるかもしれないか......?だが、ないほうが良いと願っているのではないか?
傍観者らしく思考を巡らせる...ただの傍観者だからこそできる行為だがで当人から知ったことではないだろうな......
「思考の海に沈んでるとこ悪いけどさー」
「......ああ、すまない」
「一つわかったことがあるねー」
「......なんだ?」
「その広告がどんなんか志希ちゃん知らないけどさー」
...聞いてはいけない気がする。言わないでくれ志希、......やめろ。
「飛鳥ちゃんがその広告のこと、結構気にしちゃってるってことかにゃ?」
......ぐうの音もでなかった
6:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:45:30
ID:WGP
【屋上】
今、ボクは屋上にいる。日はもうとっくに沈んでしまった。
最近は日が落ちるのが早くなってきたな......
誰もいない屋上は久しぶりかもしれない......ここは割と騒がしいから。
昼の喧騒とは裏腹に夜の屋上は静寂で満ちている。
......子供の頃、自分はどんな人間だっただろうか?...普通の子供だったはずだ。
少なくともこんな痛いヤツじゃなかった。気に入らなければ怒って、楽しければ笑って。
好き嫌いを直球で伝えて、親にお菓子をせがんでいただろう。
キラキラしているというだけで価値のないガラス玉を大事にしまっていた。
いや、もっと理解されないものだったかも。
親の庇護という不自由な自由を満喫していた、......いつからかそういうことをすることが少なくなった。
理解されない宝物を持たなくなり、理解されようと努力する。
「これが......大人になっていくということなんだろうか」
変化がないものなど殆ど無い。世界は常に移り変わり続けていく。そんな事はとっくにわかっている。
でも...それでは納得できない自分がいる。
変わり行く毎日を恐れて。だけど変わらぬ日々も嫌う。なんという自己矛盾だろう。
志希が言っていたのはこういうことだったのだろうか?考えるだけ無駄とそういう事なのか?
自分らしさをわかっている人なんかいないと彼女は言った。他人を完璧に理解することは出来はしない。
当たり前の話だ。他人を完璧に理解できるのならそれはもう人間じゃない。だが
7:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:47:34
ID:WGP
「よう」
声をかけてきたのは僕の担当プロデューサーだった。.....知った顔と声でも夜に声を掛けられると少しどきっとするな。
「......なんだ。プロデューサーか......プロデューサーも屋上に用事かい?」
「なんだとはご挨拶だな。もう遅いから帰れっていいに来たんだが」
「別にまだ構わないだろう?夜はこれからだよ」
「うちの飲ん兵衛たちみたいなこというんじゃねえよ」
彼はそういって煙草に火をつける。僕は風上に移動する...これはいつもの習慣なので驚くことでもない。
「......アイドルの喉をいたわるという優しさはないのかい?」
「そんなもん持ち合わせてるならお前の首根っこひっ捕まえて連れて帰ってるわ」
なるほど。是非もない。
「......志希に自分らしさについて聞いたんだって?」
「......ただの気まぐれだよ」
「嘘つけよ。気になったたんだろ?何がきっかけかはしらんけど」
......そう、気にしたんだ。あんな頭の悪いコンビニの太字を。なんでか、わからないけれど
「大人になればなるほどそういうのが目につく様になるもんさ。後悔だって増えていく」
「......そういうものなのかい?」
「当たり前だろ?長く生きてるんだから。ああすればよかった...なんてもんがふえるのは」
...言われてみればそうだ...プロデューサーだって子供の頃があって。やりたいことがあったはずなんだから。
8:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:51:24
ID:WGP
「......性別男、暇があれば煙草吸っててコーヒーが大好きなおっさん......ここまでは会社で話したことあるやつなら誰でも知ってる」
......彼が突然そんな事を言い出した。なら僕はこう返そう。
「......二宮飛鳥。14歳の女性アイドルだ。身長や体重スリーサイズは普通くらいかな」
「普通かどうかは知らんがそれくらいならちょっと話せば誰だってわかる。じゃあ、お前には神崎蘭子っていう仲のいい娘がいる...みただけでわかるか?」
「まあ、無理だろうね...ボクが自分から話に出さなければな」
「そんなもんだよ。他人から見たお前らしさなんぞ」
「......暴論すぎやしないかい?」
「実際そうだぞ。自分らしさって言われて自分が納得する答えを完璧にだせるやつなんかいるんかな......?」
「どうだろうね」
「まあ一つ変わんねえのは......星空だな」
「ほう......随分ロマンチックなことを言うじゃないか...場所によって見える星が違うだろう?」
「ちょっと息とめろ...止めたな?......こうやってさ」
そうやって彼は煙草の煙を天に吐く。煙が風に流れ都会の少ない星が煙のむこうで少し光ったように見えた
「煙越しに見る星は変わんねえんだよ。不思議なことにな」
「フィルターがかかっているようなものだからね」
9:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:57:14
ID:WGP
......嘘だ。変わらないわけがない、光源が違うのだから、大体星なんてこの都会じゃ殆ど見えないじゃないか
「...上ばっかり見てると足元を見失う」
「至言だね」
「足元ばっかり見てるとどこを目指せばわからなくなる」
......何が言いたいんだ?
「お前子供の頃の宝物なんだった?」
「......思い出せないね」
...これは嘘だ、まだ覚えている。......ただのビー玉だ。
「俺もだ。でも、大切だってことは覚えてるんだ......不思議だろう?」
「大体くだらないのに?」
「理解されなくても忘れちまっても宝物は宝物のままなんだよ」
「......そうかもしれない」
「自分なんてものは探すようなものじゃないんだよ。いつの間にか出来てるもんさ、だってよ......」
......彼は続ける
「俺はお前じゃないし」
「......ああ、ボクも君じゃない」
「すれ違うことだって多いだろ?」
「よくちひろさんにも怒られてるしね」
それはお互い様だけど。
「それをうまくいかせるために言葉があって」
「体がある、と。......そういうことかい?」
10:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:57:54
ID:WGP
......もしかしたら、それで愛だの友情だの生まれるかもしれない。全く素敵だ。...本当に素敵だ。
「よろしい......煙草吸ったから帰んぞ。送ってやるからさっさと支度しろ」
「...全く過保護だねキミは」
「うっせ」
彼はボクの頭をくしゃっとする。それが終わって彼は歩きだす。ボクはそれについていく。
11:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:58:17
ID:WGP
ボクらは歩きだす。おててつないでなんて柄ではないからそんなことはしないが。
これからも目まぐるしくボクらの日々は変わっていくけれど。
それでも、この大切ななにかだけは変わらない。
これが愛という奴なのか、友情というやつなのか。それとも絆というのか
なんの定義にすればわからないけれど......絶対の自信をもって、今、確かにある。
そう信じていいと。そう、思えるから。
12:
名無しさん@おーぷん 2018/10/09(火)12:59:10
ID:WGP
以上です。ありがとうございました。誤字は友達だけど最近仲良すぎて読んでる方々にちょっと申し訳ないですね
元スレ
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1539056180/
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