男「金のなる木を育てることにしたぞ！」 : ホライゾーン

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男「金のなる木を育てることにしたぞ！」

2018-05-17 (木) 18:01　

オリジナルSS 　

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1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:08:04.58 ID:12Ua0qHS0

男「金のなる木？」

商人「はい、これはその苗でございます」

男「あー、知ってる知ってる。葉っぱがコインに似てるとかいう、実在するやつでしょ？」

商人「いいえ、違います。これは正真正銘、金のなる木でございます」

男「マジ？」

商人「マジです」

男「……買った！」

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:09:18.82 ID:12Ua0qHS0

男「買っちゃったぜ～、金のなる木！」

男「かなり高かったから、しばらくはバイトのシフト増やさなきゃな！」

男「じゃ、さっそく水をあげましょうっと」ｼﾞｮﾛﾛﾛﾛ…

男「はーやく金を実らせてちょうだいねんっ」ｼﾞｮﾛﾛﾛﾛﾛ…

3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:11:32.61 ID:12Ua0qHS0

ｼﾅｯ…

男「あれ？　早くもしなびてきちゃったぞ？」

男「なんでだ？　ちゃんと毎日水はあげてるのに！」

男（そういや、商人に『育てる時の注意』っていう冊子をもらったっけ……）

男（どれどれ……）

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:12:43.58 ID:12Ua0qHS0

男「え！？　水はミネラルウォーターじゃないと受け付けない！？」

男「肥料もいるのか……それも超高級なやつ！？」

男「なんて贅沢な……しかし、このままじゃ枯れちゃう！」

男「仕方ない、先行投資だ！　ミネラルウォーターと肥料を買ってこよう！」

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:14:23.27 ID:12Ua0qHS0

男「よしよし、成長してきたぞ……」

男「……ん？」

男（ちょっと虫がついてるけど、このぐらいなら問題ないだろ）

男（農作物も虫がついてる方がいい、なんていうし）

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:16:31.08 ID:12Ua0qHS0

ｼﾅｯ…

男「あれ？　またしなびてきちゃった！」

男（例の冊子を……）

男「なになに、『金のなる木は非常に虫に弱いです』だと！？」

男「『虫なんかにつかれたら死にます、即死します』『農薬で殺虫しまくって下さい』だとォ！？」

男「やっべぇ、急いで農薬買ってこなきゃ！」

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:18:10.58 ID:12Ua0qHS0

男「オラッ、虫っ！　死ねっ！　金のなる木を食うなっ！」ﾌﾟｼｭﾌﾟｼｭｯ

男「ふぅ～、こんなとこでいいかな」

男（まったく……金のなる木は非常に栄養があるから、食べた虫も強く育つ）

男（だから、一度ついた虫は高い農薬じゃないと殺せないとは参ったよ）

男「バイトじゃきつくなってきたな……ちゃんと就職するかぁ」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:19:50.87 ID:12Ua0qHS0

ﾆｮｷｯ

男「だいぶ育ってきたな……もう立派な若木だ！」

男（だけど……）

ﾋｮﾛｯ…

男（いまいち細いというかひょろいというか、頼りないんだよな。今にも折れそうだ）

男（こういう時は、またまた冊子を……）

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:21:20.66 ID:12Ua0qHS0

男「な、なにい！？」

男「金のなる木は木になると、さらに生命力が弱くなるから」

男「毎週一回は樹木ドクターに診てもらって、専用の栄養剤を注射してもらえ、だと！？」

男「ここまできて枯らしてたまるか！　樹木ドクターに連絡だ！」

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:23:09.62 ID:12Ua0qHS0

ﾁｭｰｯ

樹木ドクター「……これで、一週間は大丈夫でしょう」

男「ありがとうございます！」

樹木ドクター「診療費と栄養剤の費用として、これぐらいいただきましょう。請求書です」

男「こ、こんなに……！？」

男（しかも、毎週一回ってことは、毎週この費用が飛ぶってことか！）

男（俺、もっとバリバリ働かないと！）

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:24:45.14 ID:12Ua0qHS0

男「だいぶでかくなったな……」

男「だけど、なかなか金がなる様子はない……どうしてだろう？」

男「冊子を……」

男（金のなる木は非常に気難しい性質で、見た目も整えてやらなければなりません）

男（腕のいい庭師を雇って毎日のように手入れしてあげましょう……か）

男「すぐ庭師雇わなきゃ！」

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:26:48.78 ID:12Ua0qHS0

ﾁｮｷﾁｮｷ…　ﾁｮｷﾁｮｷ…

庭師「ご主人、だいぶ整いましたぜ」

男「うん、ありがとう。また明日、頼むよ」

庭師「分かりました」

男（腕は一流だけど値段も一流……。庭師って、やっぱり金がかかるんだなぁ……）

男（俺、もっともっと出世しなきゃ……！）

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:28:43.46 ID:12Ua0qHS0

……

……

……

大富豪「まったく、素晴らしい邸宅だ」

大富豪「我が家もかなりの豪邸だが、この家にだけはかなわんよ」

男「いやいや」

大富豪「ところで、君がここまでの大金持ちになれた秘密はなにかね？」

男「君には世話になったこともある。特別に教えてあげよう」

男「実は“金のなる木”のおかげなんだよ」

大富豪「金のなる木……！？」

15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:29:15.70 ID:12Ua0qHS0

大富豪「ぜひ、見せてくれないか！」

男「いいとも」

男「金のなる木はこっちにある。ついてきてくれたまえ」

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:31:43.27 ID:12Ua0qHS0

大富豪「おおっ、これは立派な樹木じゃないか！　いかにも金がなりそうだ！」

男「だろ？」

男「今は特別に編成した専門のチームに、この木を維持・管理させているよ」

大富豪「ところで、下世話な話なのだが、“金のなる”とはどんな風に？」

男「そのまんまだよ。シーズンになると、金が実るのさ」

大富豪「おおっ！」

男「もちろん、この木からなったお金は決して偽造扱いされることはないんだ」

大富豪「なるほど……それで一体どのぐらい実るのだね？」

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/04/27(金) 20:33:44.23 ID:12Ua0qHS0