ガッツ「セルピコ……お前って料理が上手いんだな」

2017-08-04 (金) 12:01  その他二次創作SS ベルセルク   1コメント  
1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:06:34 ID:RjiiI8Ro




野宿


セルピコ「…………」

ガッツ「どうした?」

セルピコ「……それはこちらのセリフです」

セルピコ「急になんです?褒められてもお代わりは有りませんよ」

ガッツ「そういう訳じゃないんだが……」

ガッツ「この肉料理を食ったら、ふとある事を思い出した」

セルピコ「この程度、料理と言うほどでもありませんが……」

セルピコ「ある事?」





2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:07:43 ID:RjiiI8Ro


ガッツ「……今でも夢だったんじゃないのか?と思ってしまうんだが」

ガッツ「あれは俺がまだ一人で、当ての無い旅をしていた頃の話だ」

セルピコ「…………」

ガッツ「この刻印のせいで何度目かもわからねぇ魔獣どもとやり合って」

ガッツ「精も魂も使い果たしたか、と思うほど疲れ果てた時だった……」

―――――――――――

ガッツ「はあっ……はあっ……」

ガッツ「くそっ……さすがに……キツかったぜ……」

ガッツ「くっ……うっ……」

ガッツ(……折れてはいねーが、もう体力的に限界だ)

ガッツ(どこか……休める場所を探さねーと……)

ガッツ「はあっ……はあっ……」




3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:08:25 ID:RjiiI8Ro


ガッツ「ん……?」

ガッツ「…………」

ガッツ「なんだ……これは?」

ガッツ「…………」

ガッツ(こんな……開けた場所に)

ガッツ(なんでドアだけがポツンと立っている?)

ガッツ(あからさまに怪しい……また魔獣が何か仕掛けてきやがったのか?)

ガッツ(…………)

ガッツ(だが、仮にそうだとしても)

ガッツ(延々とこのドアが現れ続けるって事になりかねないな……)

ガッツ「……チッ」

ガッツ「行くしかねーみてーだな……」




4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:09:18 ID:RjiiI8Ro


     ガチャ… キィ… カララン♪

マスター「いらっしゃい」

ガッツ「…………」

マスター「どうしました?お客さん」

ガッツ「……なんだ? ここは……」

マスター「お客さん、ここは初めてだね」

マスター「ここは、ねこ屋っていう洋食……飯屋だよ」

ガッツ「飯屋……だと?」

マスター「ああ」

マスター「お客さん、ごついの背負ってるね」

マスター「とりあえずそれ置いて、どこかの席に着いて、メシ食って行きなよ」

ガッツ「…………」




5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:10:13 ID:RjiiI8Ro


     ドサッ(着席)

マスター「何になさいます?」

ガッツ「…………」

ガッツ「肉だ」

ガッツ「とにかく精をつけてぇ。肉を食わせてくれ」

マスター「あいよ」

     スタ スタ スタ…

ガッツ「…………」

ガッツ「……はあ」

     俺は……余りにも異質だが

     とりあえず敵意は無さそうな、この場所で一息ついた

ガッツ(だが……油断はできねぇ……)




6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:11:01 ID:RjiiI8Ro


ガッツ(……ここは魔獣どもが見せている幻影かも知れねぇからな)

     幾度と無く、だまされた

     ある時は眠りを誘い、永眠へと導くため

     ある時は恐怖に陥れ、動けなくさせるため

     ある時は快楽へ誘い、丸裸にさせるため……

     とにかく、執拗で、節操の無い幻影だ

ガッツ(…………)

     スタ スタ スタ…

マスター「へい、お待ち」

     ジュウジュウ…

マスター「ねこ屋特製、Tボーンステーキだ」

ガッツ「…………」




7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:11:50 ID:RjiiI8Ro


ガッツ「……ゴクリ」

マスター「ささ、冷めない内にどうぞ」

ガッツ「…………」

     これは何の肉だ?

     と、たずね様と思ったのだが……

     それを言葉にする前に

     ナイフとフォークを手にとってしまっていた

ガッツ「…………」

ガッツ「…………」 ムシャ…

ガッツ「!!」

     何だこれは

     味がする。それも塩だけの単純な味じゃねぇ

ガッツ「はぐっ!ムシャムシャ!」




8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:12:29 ID:RjiiI8Ro


     ピリリと辛味を含む、刺激的だが鼻の奥を駆け抜け

     強烈な旨みを感じさせる黒い粉がかけられている……!

ガッツ「ガツガツガツ……」

     詳しくはわからねぇ……わからねぇが

     葉っぱを細かく刻んで粉状にしてあるコレが

     とにかくいい匂いで食欲をそそりやがるッ……!

ガッツ「ムシャムシャ……ゴクンッ、ガツガツガツ……」

     しかも骨を中心に左右で微妙に肉質が違うだと……!?

     反対側の肉には、そっちなりの味がして

     ほとんど別物?と言っていいほどの差を感じるッ!

ガッツ「ガツガツガツ……ふう」




9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:13:24 ID:RjiiI8Ro


     俺は肉、と言ったはずなのに

     何で野菜の炒め物を一緒に出しやがるんだ?

     と疑問に思ったが

     これは肉を食った後に食うと旨い上に

     肉から出た油を吸い取りやがって

     さらに肉が食え、旨くなりやがる……!

     なんなんだ、これは!?

ガッツ「…………」

ガッツ「げぇっぷ」

マスター「お客さん、いい食いっぷりだね」

マスター「疲れた顔をしてたからちょっと手を加えたんだが」

マスター「要らぬ心配だったな」

ガッツ「…………」




10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:14:05 ID:RjiiI8Ro


ガッツ「……手を加えた?」

マスター「ああ」

マスター「体に良く、疲れも取れるハーブや野菜を少々多めにね」

マスター「でも、それだけだよ」

ガッツ「…………」

ガッツ「……あ」

マスター「ん?」

     俺は慌てて懐をまさぐる

ガッツ「…………」

ガッツ「……すまねぇ」

ガッツ「今、持ち合わせがこれしかない」




11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:15:00 ID:RjiiI8Ro


マスター「ははは、確かに足りないね」

マスター「いいよ、ツケにしとくから」

ガッツ「ツケ?」

ガッツ「いいのか?俺は初めてここへ来たんだぞ?」

マスター「ああ。また来た時に払ってくれたらいい」

マスター「あるとき払いの催促なしだ」

ガッツ「……変わってるな、あんた」

マスター「よく言われる」 クスッ

マスター「あと、扉は7日に一度、同じ場所に現れるんで」

マスター「それをお忘れなく」

ガッツ「7日に一度か……わかった」

マスター「またのお越しを」

     ガチャ… カララン♪ キィ… パタン




12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:16:07 ID:RjiiI8Ro


―――――――――――

ガッツ「……という話だ」

セルピコ「……色々な事を経験していない頃の私だったら」

セルピコ「くだらない与太話と思ったでしょうね」

セルピコ「ですが……」

セルピコ「私の料理とも言えないこの料理が」

セルピコ「その食堂の主人の作るものに似ている、とでも?」

ガッツ「もちろん比べ物にならねーよ」

セルピコ「……けなすのなら、はっきりそうしてください」

ガッツ「ただな」

ガッツ「この料理……あの時感じた草の匂いがしたんだ」

セルピコ「…………」




13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:16:58 ID:RjiiI8Ro


ガッツ「あの店のマスターは」

ガッツ「疲れている俺を考えて体に良い物を、と手を加えていた」

ガッツ「だから……」

セルピコ「よして下さい。そんなつもりはありませんよ」

セルピコ「ファルネーゼ様の為ならいざ知らず」

セルピコ「あなたのためなんて、これっぽっちも有りません」

セルピコ「たまたま使えるハーブを見つけて入れただけですよ」

ガッツ「……そうか」

栗パック「で?ガッツは、またその店に行ったのか?」

ガッツ「起きたのか」

栗パック「旨そうな話が聞こえたからな!」

栗パック「で、どうなんだ?」




14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:17:46 ID:RjiiI8Ro


ガッツ「……ほんの少しの間だけ」

ガッツ「とでも言っておく」

石ドロ「やい!そんな旨い店、自分だけ通ってたなんてずるいぞ!」

石ドロ「俺も連れてけ!」

ガッツ「お前も起きたのかよ……」

シールケ「お師匠さまから聞いた事があります」

シールケ「遠き炎国の地に住まうドラゴンの力と」

シールケ「太古のエルフ達が編み出した秘法が合わさり」

シールケ「聖なる隔絶空間を彷徨う食堂の話を」

ファルネーゼ「そうなのですか」

ファルネーゼ「ならば私もぜひ行きたいです」

キャスカ「んあー?」




15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:18:26 ID:RjiiI8Ro


セルピコ「おやおや」

セルピコ「これはもう収集がつきませんね」

セルピコ「ともあれ、私も興味あります」

ガッツ「話すんじゃなかった……」 ハア…

イバレラ「でかい図体して落ち込むんじゃないわよ」

イバレラ「いいから、どこにあるのか教えなさい!」

ガッツ「わかったわかった……」

ガッツ「…………」

ガッツ(ちょいと遠回りになっちまうが)

ガッツ(たまにはいいか) クスッ



     おしまい




16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2017/08/01(火) 17:20:01 ID:RjiiI8Ro

ガッツにも7日に一度くらい安らぎがあってもいいよね。
異世界食堂面白いっす!




元スレ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1501574794/

B07355FSP1「異世界食堂」Blu-ray 1皿

エイベックス・ピクチャーズ 神保昌登,犬塚惇平 2017-09-22

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その他二次創作SS ベルセルク   コメント:1   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
48120. 名前 : 名無し@SS好き◆- 投稿日 : 2017/08/05(土) 00:42 ▼このコメントに返信する
ベルセルクSSだと…?
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