1:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:05:36.11
ID:DCAGNsjG0
アイドルマスターシンデレラガールズ 神谷奈緒のSSです
アイドルそれぞれに担当Pがいる設定
2:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:06:13.15
ID:DCAGNsjG0
今日はあいにくの雨降り
あたしは担当プロデューサーが来るのを、駅の改札口で待っていた
奈緒「あ、いたいた……おーい! Pさーん」
P「奈緒!ごめん、待ったか?」
奈緒「大丈夫だよ。着く時間分かってたし」
P「そうか、安心した。毎回ごめんな。アイドルにこんな事させて」
奈緒「あ、謝らなくていいよ! もう慣れたしな」
P「慣れちゃったか……」
Pさんは申し訳なさそうに言う
慣れたと言うのはあたしの照れ隠し
まさか、Pさんと帰るのが好きだからなんて絶対言えない
奈緒「ま、そんな事はいいからさ! 事務所に帰ろうよ」
P「ん、そうだな」
3:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:06:44.62
ID:DCAGNsjG0
駅から出ると、外はもちろん雨降り
パーカーのフードを被り、駆け出す青年
鞄を濡らさないようにと、抱きかかえながら走るサラリーマン
そして……彼氏の迎えに来たのか、傘をもう1本持っている若い女性
……あたしも、あんな風に見えたのかな?
P「奈緒、行こうか」
奈緒「うん」
Pさんはあたしが持ってきた大きな傘を開く
あたしが持ってきたのは、その傘1本だけ
そうなると、あたしたち2人は当然相合傘になる
P「わぁー、こりゃもっと酷くなりそうだなー」
奈緒「ほんとだ。向こうは真っ暗だ」
P「早めに帰らないとな」
4:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:07:31.04
ID:DCAGNsjG0
Pさんと相合傘で帰るのが当たり前になったのはいつからだろう
初めは、加蓮と凛に無理やり行かされたんだっけ
その時はまだ、傘を2本持って行ってた
Pさんがふざけてあたしの傘に入ってきて、それから相合傘になってしまったんだ
奈緒「……」
P「奈緒? 今日はやけに静かだな」
奈緒「……! あぁいや、ちょっと考え事。なんでもないから」
P「そっか。最近どうだ? トライアドの活動もようやく波に乗ってきたけど」
奈緒「うん、頑張ってるよ。ていうか、いつも見てるだろ」
P「んん? そうだったか?」
奈緒「あたし達がレッスンしてる端っこで、凛と加蓮のプロデューサー達と3人揃ってずっと見てるじゃんか。
特にPさんと加蓮のプロデューサーはニヤニヤしてさ」
P「あー、あれはだな。担当アイドルの成長を確かめようとしているだけだ。ニヤニヤしてはいない……はず」
奈緒「いーや! 絶対ニヤニヤしてた! 加蓮のプロデューサーなんてデレデレだったぞ!」
P「あぁ、彼は北条さんにべた惚れだから……」
奈緒「……まったく……プロデューサーなんだからしっかりして欲しいよな」
P「やっぱりさ、自分がスカウトした子だから一層かわいく見えるんだろうな」
奈緒「…………ふぅ~ん……そうなんだ」
5:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:08:10.44
ID:DCAGNsjG0
あたしは、どう? とは聞けなかった
聞くのが怖かった
P「…………奈緒もかわいいよ」
奈緒「は……はぁ!? い、いきなりそんなこと言うなよ! ビックリするだろぉ!? ばかぁ!」
P「言ってほしそうな顔してたけどな」ニヤニヤ
不意討ちだ……
恥ずかしくて顔が赤くなるのが自分でも分かるくらい
それでも、Pさんからかわいいって言われるのは凄く……うれしい
奈緒「そ、そんな顔してない!! してないから!」
P「してたよ。顔が近いからよく見える」
奈緒「うぅ~~! 見るな~!もう離れろぉ!ばか!ばか!」
P「無理無理、相合傘なんだし…………ほら、濡れちゃうからこっちに寄りな」
奈緒「ったく! からかうなよな!……ん? Pさん、また肩濡れてる」
P「え? あぁ、いつも言ってるだろ? 気にしなくていいって」
奈緒「……うん」
相合傘の度に、Pさんの片方の肩は濡れてしまう
あたしが濡れないようにと傘を向けてくれるからだ
あぁ、守られているんだ……って安心できる
……あたしは甘えてばかり。優しいPさんにお礼の1つも言えない自分が腹立たしい
6:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:08:42.19
ID:DCAGNsjG0
___
P「ふぅ……なんとか酷くなる前に着いたな。奈緒が来なかったら今頃どうなってたか」
奈緒「別に、そこまで大げさな事じゃないって」
加蓮「奈緒ー!」
事務所に帰ると、ちょうど加蓮と彼女のプロデューサーに出くわした
うーわ……手つないでるよ……恥ずかしい
奈緒「加蓮……なんで手をつないでるんだ?」
加蓮「ふふ~♪ 今からプロデューサーさんとデート♪」
奈緒「おいアイドル」
加蓮「なぁに? アイドル♪」
奈緒「はぁ……あんまりはしゃぎ過ぎるなよ。明日もレッスンあるんだから」
加蓮「安心して、ちょっと買い物に行くだけだしね。……奈緒はまたお迎えデート?」ニヤニヤ
奈緒「ただの迎えだ! まったく……」
加蓮「ふふっ、それじゃあまたね」
奈緒「……」
P「あの2人はほんと仲が良いよなー」
奈緒「というより、良すぎな感じがする……アイドルとプロデューサーだぞ?」
P「まぁ、良いんじゃないか? 俺は気にしないけどね」
奈緒「プロデューサーの発言じゃないなそりゃ……さすが不真面目Pさん」
P「不真面目か? 奈緒に対しては真剣だけどな」ニヤニヤ
奈緒「んなっ!? へ、変な事いうな!ばか!」
P「ハハハ! 奈緒は反応がかわいいよなぁ」
奈緒「……ばか」
P「さーて、少し休んだら来週のラジオ番組の打ち合わせだ。仕事万歳! かわいい奈緒のために頑張りますか!」
奈緒「かわいいは余計だって!」
7:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:09:15.59
ID:DCAGNsjG0
___
P「到着いたしました、お嬢様。足元にお気を付け下さい」
奈緒「なんのマネだよ……」
P「さぁ、俺にもサッパリ分からないな。やって後悔した」
奈緒「ハハッ! ばーか」
P「アハハッ! ……それじゃあ明日も頑張ろう。お疲れ様」
奈緒「ん、Pさんも。また明日な」
P「あっと……奈緒! あとで明日のスケジュール送るから」
奈緒「うん。じゃあね。Pさん」
家に入ると毎度恒例、お母さんのからかいが始まる
だからあたしとPさんはそういう関係じゃない!
……否定する度にあたしの心が痛んだ
部屋着に着替え、ベッドに寝転がる
何もない天井
ぼんやり浮かぶのはあの人
奈緒「Pさん……」
8:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:09:57.39
ID:DCAGNsjG0
Pさんにスカウトされてアイドルになれた。それからたくさんレッスンして、かわいい衣装を着て、ライブに出て……
ファンもいっぱい出来た。ライブの度にいっぱい応援してくれる優しい人たち
アイドルの仲間やライバルもたくさん出来た。お互い刺激し合って、アイドルとしての高みを目指していける
こんな経験が出来るのは、全部……Pさんが居てくれたから
感謝してもしきれない。ただの女の子だったあたしに魔法をかけてくれた人
あたしだけの魔法使い
奈緒「好き……」
いつの間にか芽生えた恋心
その芽は日に日に大きくなっている
いつか……花開くのかな
奈緒「……」
体を起こし、机を見るとたくさんの小物
全部Pさんがプレゼントしてくれたものだ
これは初ライブの時
これはあたしの誕生日の時
これはアイドルになって1周年の時
……どれも掛け替えのない思い出のモノ
あたしは貰ってばかりで、何もPさんには返していない
9:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:10:45.64
ID:DCAGNsjG0
奈緒「素直じゃないよなぁ……あたし」
好意の1つも言えないなんて……
もっと素直になりたい
もっと積極的になりたい
もっとPさんに近づきたい
……
奈緒「……うぅ……くっ……うぅぅ~~」
あぁダメだ
涙が、出てきた
Pさん…………
好きになるって、こんなに苦しいんだね……
___
奈緒「…………あ……明日の予定……」
どれくらい泣いただろうか
頭は割と平静を取り戻していた
明日は昼からレッスンがある。切り替えろあたし。午前中は……なんだっけ
涙を拭いてスマホを取り出す
10:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:11:12.52
ID:DCAGNsjG0
奈緒「午前は…………あ」
メールを確認するとPさんからの通知
明日のスケジュール表と……1つのメッセージ
奈緒「……アッハハ! Pさん、ありがとね」
《 奈緒~! 明日も一緒に頑張ろう! 超かわいい奈緒を担当する超かっこいいPより 》
奈緒「……泣いてる場合じゃないよな、Pさん。元気、貰ったよ。……またPさんから貰っちゃったね」
涙の雨はもう止んだみたい
さっきまでの曇った気持ちがウソのようだ
心はすっかり晴れ模様
11:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:11:42.40
ID:DCAGNsjG0
___
【 翌日・事務所 】
奈緒「おはよ、Pさん」
P「おはよう、奈緒」
奈緒「……」
P「……」
奈緒「って、何か言えよ!」
P「いや、奈緒が話したそうな顔してたから」
奈緒「な、なんで分かるんだよ……」
P「長い付き合いってやつかな? 話してみな」
奈緒「……ふぅ~……」
よし、言うぞ
少しだけ素直になるんだ。がんばれ! あたし!
12:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:12:13.16
ID:DCAGNsjG0
奈緒「Pさん!」
P「……」
奈緒「い、いつも……っ、いつもあたしと一緒にいてくれて……その、あ、ありがと」
P「うん」
奈緒「えと、あたし、素直じゃないけどさ……Pさんには本当に感謝してるから! だから……こ、これからも、ずっと一緒に……いて……?」
P「もちろん。一緒にいるよ、安心してくれ」
奈緒「わ、わかってんのか!? ずっとだぞ! ずっとなんだからな!」
P「ずっと一緒だよ。俺のアイドルは奈緒だけなんだから」
奈緒「はぁ…………まぁ、それで……いいか」
P「……もっとストレートに言った方が良かったか? でも奈緒の血圧が高くなって倒れそうだからなぁ」ニヤニヤ
奈緒「…………ばか」
P「ハハハッ! ……っと、そろそろ行くか。今日はレコード会社に営業だ」
奈緒「ん、分かった。行こう、Pさん」
少し、気が楽になったな
うやむやにされた気もするけど、多分Pさんに思いは届いているよね?
13:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:12:52.94
ID:DCAGNsjG0
___
奈緒「なんだこの雨は……さっきまで晴れてたのに……」
P「ただのにわか雨だな。すぐ止むよ。さぁ出発だ」
奈緒「って、車じゃないのか?」
P「今日は歩きたい気分なんだ。雨降りでもね」
少し前を歩くPさんは傘を差してあたしを待っている
奈緒「……相合傘?」
P「そう、相合傘。いつもしてるだろ?」
奈緒「……じゃあ、お邪魔……します」
P「なんだよ改まって。さっきので意識した?」ニヤニヤ
奈緒「う、うるさいな! そうだよ! だって……だってさ、素直になったから……恥ずかしくて……不安で」
P「大丈夫。奈緒の本当の気持ちは伝わってるよ」
奈緒「!!」
P「さっきははぐらかしちゃったけど、ちゃんと奈緒の事は見てる。素直で優しい女の子だって事もね」
奈緒「わ、わかったから! もう恥ずかしいからやめろって~!」
P「アハハッ! 奈緒はかわいいなぁ~」
奈緒「ばか! ばかPさん!…………Pさん……」
14:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:13:30.66
ID:DCAGNsjG0
振り絞った勇気
あたしはPさんの肩にピッタリくっ付く
P「おっ……? 奈緒、どうした?」
奈緒「……な、なんだよ。くっ付いちゃダメなのかよ」
P「……いや、いいよ」
奈緒「こ、こうすりゃ距離が近くなって、Pさんの肩が濡れないだろ? ……あ、あたしなりの、気配り……」
P「優しいね、奈緒は。ありがとう」
奈緒「……Pさんも、ありがとな。いつも魔法をかけてくれて」
P「……俺は奈緒の魔法使いだからな。これからも魔法をかけてあげるよ」
奈緒「うん!」
いつか……魔法が切れても、傘が無くても、こうしてPさんとくっ付いて歩きたいな
今はまだ……だけど、いつか、いつかね
奈緒「なぁ、Pさん」
P「ん?」
奈緒「これからは、あたしらしく攻めていくからな! 覚悟しろよな! へへっ♪」
15:
◆Ceuv.hziBQ 2017/02/08(水) 00:13:57.24
ID:DCAGNsjG0
終わりです
奈緒かわいい
依頼出してきます
16:
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/02/08(水) 01:18:33.82 ID:iiJujpik0
乙
なおかわ
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1486479935/
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