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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/08/02(火) 22:39:09.27
ID:TWUEfI3CO
アパート
居間
理樹(事件が起きたのは、いつものように3人で朝食を取っている時だった。その日はフォークと陶器がぶつかる音くらいしか聴こえないほど静かだったのを覚えている)
葉留佳「ねーねー、あとどのくらいで学校戻れるのかな」
佳奈多「さあね。最低でもあと一ヶ月はかかるかしら」
葉留佳「はあ、最初は学校サボれるなんてラッキー!とか思ってたけどこうも続くと寂しくなりますナァ……」
理樹「僕も、そろそろ食堂のご飯が恋しくなってきたよ」
理樹(僕らは休学届けを出してからこのアパートで暮らすようになってから既に一ヶ月が経っていた。その間に二木さん達の両親や”彼ら”の内部にいた味方の人達によって一族の人間は順当に法的措置が講じられていった。しかしまだ裁判で粘って外にいる人達がいる。どんな手段を取っても勝てないのはあちらも承知のはずだが、それでも時間稼ぎをしているのは、きっと僕らを探すためだろう。つまり、その人達が然るべき場所に移るまでは僕らもまだ安心して学校には戻れないというわけだ)
佳奈多「……なに、私の料理にはもう飽きたって?」
理樹「あっ、いや、決してそういう意味ではなくて……」
佳奈多「葉留佳もちゃんと勉強してる?もしも学校に早く戻れたら中間テストには間に合うだろうし、その時になって『うわー!テスト勉強やってなーい!』なんて言っても言い訳にはならないわよ」
葉留佳「…………や、やっぱりしばらく戻りたくないなー……なんちて」
理樹(とはいえ、ここの暮らしも苦ではない。急いで決めた割には良い街だった。静かでのんびりとした僕向けの田舎で、学校やあの家からはかなり遠い場所にあるので見つかることはまずないだろう。一つ不満があるとすれば映画館が遠いということくらいだ)