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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/02/05(水) 00:57:56.42
ID:30BMMpCHO
プロローグ
うさぎとカメという童話がある。
足の速いうさぎと遅いカメが競走する物語だ。
僕と彼の関係はそれとよく似ている。
彼はとても足が速かった。
なにせ、光速よりも速かった。
しかも彼はうさぎとは違い、怠けなかった。
彼我の距離は開く一方で、全く追いつけない。
しかし、どんな競走にも必ずゴールがある。
うさぎとは違い、彼はゴールに辿り着いた。
僕はゆっくりとそのゴールに近づいていく。
そうしてようやく彼に追いつくことが出来た。
全力で走った彼はとても、とても疲れていた。
僕も全力で走っていたけれど、もともと鈍足な分、まだ余裕があった。だから、追い抜いた。
「お先に」
疲れた彼を置き去りに、先へ、先へと進む。
この先はいったいどこへと続いているのか。
のんびり歩きながら、開けた視界を眺めた。
追いついてくるであろう、彼を待ちながら。