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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2021/02/27(土) 22:09:07.55
ID:72mPFGvRO
涼宮ハルヒにキスされた翌日と言うとなんだか後日談のようだが、では当日がどんな1日だったかと言えば何の変哲もない日常だった。
いつものように登校し、いつものように授業を聞き流し、そして放課後いつものように変人集団がたむろする元文芸部室へと向かう前に、ここ最近日課になりつつある勉強をしていた。
頼みもしないのに俺の専属講師となった涼宮教諭の指導は、時に身も蓋もないことを言われる以外、特に不満はなく、概ね良好だ。
わざわざ作ってくれたハルヒ謹製の問題集を解き、間違ったらシャーペンでチクチク刺されることすらも特筆するに値しない日常である。
そんな穏やかな勉強風景に茶の間が凍るようなおかしなシーンが訪れたのは、ハルヒが出題した図形問題について不明な点があったのでそれについて尋ねている時のことだ。
隣に来て問題の図形を覗き込むハルヒと俺の顔面の距離はかなり接近しており、なんとなく落ち着かない気持ちになっていたことを悟らせまいと平静を装っていたところで事件は起きた。
ぷちゅっと。
頬にこれまで経験したことがない柔らかな感触を覚えた俺が驚いて隣を見ると、まるで鏡のように目を丸くしたハルヒがこちらを向いていて、暫しの沈黙の後、奴はこう呟いた。
「別に。ただなんとなく」
なんとなくってなんだよ、と返すと、ハルヒはそれっきり黙り込み勉強道具を片付けて部活にも行かずにそのまま直帰してしまった。