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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 01:55:31.00
ID:58bg+DvZ0
酒の勢いで書いた短編。
家業等様々捏造あります。
あと、地の文多いです。
それでもよろしければ
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 01:56:24.28
ID:58bg+DvZ0
絵筆が手に馴染んできたのはいつ頃だったか。
水彩画、なんてそれこそ学校の授業でしかやったことがなかった私が、いつの間にか画材まで揃えている。
休みの日の、一人の時間の大半をキャンバスを載せたイーゼルの前で、なんて想像もしていなかった。
「………っと、そろそろ時間か」
時計の針を見て、筆をおく。
画材を洗ってひとまず片付けて、あちこちについた絵の具を落とすのにシャワー。
丁度いい時間だ。
ダルダル星人だのなんだの言われてる私だけど、流石にこういう時くらいは遅刻は避けたい。
いざとなれば塞におぶさっていけばいいけど………まあ、そこは。
それに、絵の具付けたまま出たりしないあたり少しは成長してるはず、だ。
「………………ま、完成品見せられるのは、次かな」
製作途中の、一枚の絵。
その絵を―――今まで何枚も描いてきた絵を、描こうと思わせてくれた、あの少女。
金髪碧眼、天真爛漫、いつでもスケッチブックを持ち歩いていた、あの【友達】。
彼女は今――――どうしているのだろうか。
少しずつ上達して、でもまだ拙い日本語の手紙を何度やりとしりしても気になる、彼女の今。
他のみんなですらも遠く感じるというのに、『四年』という時間もあって果てしなく厚いその壁。
「ニュージーランドも、今の時期は暑いのかな………」
エプロンを脱いで画材を片付けつつ、外を見れば―――蝉の鳴き声と、ひたすらに青い、空。
「今日も、暑いよね………ダル」
小瀬川白望。
本年度を以って、22歳。
あの時代――――高校最後の夏に共に過ごした一人の青い目の少女を。
今でも忘れることができず、筆を取り、絵を描き続ける――――そんな、『女性』になっていた。